JP2931502B2 - 高炉操業法 - Google Patents

高炉操業法

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JP2931502B2 JP11931493A JP11931493A JP2931502B2 JP 2931502 B2 JP2931502 B2 JP 2931502B2 JP 11931493 A JP11931493 A JP 11931493A JP 11931493 A JP11931493 A JP 11931493A JP 2931502 B2 JP2931502 B2 JP 2931502B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は銑鉄製造における高炉操
業法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉においては鉄原料とコークスとを交
互に炉頂部より装入し、羽口より高炉に空気を吹き込ん
でコークスを燃焼させる。コークスの燃焼によって発生
する還元ガス、さらには空気とともに羽口より吹き込ん
だ微粉炭等の燃焼による還元ガスは、鉄原料を昇温・還
元し溶融滴下する。したがって、鉄原料の還元・溶融の
点からは、還元ガスの半径方向分布を適正に制御し、融
着帯形状を制御することが重要となる。
【0003】実際操業ではこの融着帯形状を逆V型に制
御するために、炉頂に設置されたプロフィルメーターに
より装入物表面での鉱石とコークスの層厚比分布や降下
速度分布を測定し制御している。具体的にはベル式高炉
ではムーバブル・アーマーを用い、ベルレス高炉では旋
回シュートを用いて、目標の鉱石とコークスの層厚比分
布あるいは降下速度分布となるように、鉱石およびコー
クスの落下位置を決めている。
【0004】そして、装入物分布制御技術としては上記
ムーバブル・アーマーや旋回シュートのほかにいろいろ
な方法があり、装入物のストックラインの変更もそのひ
とつであるが、その目的は鉄と鋼(68(1982)、
S704)に報告されているように、装入物の半径方向
の粒度偏析を変更する目的で実施されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、装入物表面で
の降下速度分布では、周辺部は中心部に比べて20%前
後大きく、この降下速度分布と装入物層内の降下速度分
布が一致すると仮定すると、炉下部での装入物は中心か
ら炉壁に向かってその位置が低くなる堆積層になるはず
であるが、高炉の解体調査結果では、炉下部での装入物
堆積層はほぼ水平になっている。このことは、装入物表
面の降下速度分布と装入物層内の降下速度分布が異なっ
ている可能性を示している。したがって、たとえ装入物
表面での鉱石とコークスの層厚比分布および降下速度分
布を制御できたとしても、融着帯形状と密接に関連して
いる装入物層内の降下速度分布が装入物表面での降下速
度分布と異なる場合には、融着帯形状を制御することは
極めて困難であり、鉱石とコークスの層厚比分布の変更
操作が過剰になり、かえって高炉操業が不安定になると
いう問題点があった。
【0006】また、装入物の半径方向の粒度偏析を強化
するために実施されてきた従来の装入物のストックライ
ン低下技術は、降下速度分布とは無関係な操作であり、
しかもその場合の装入物のストックライン位置の最下限
値はせいぜい2.0mであり、低下幅が小さく降下速度
分布を適正化するという効果が得られないという問題点
があった。
【0007】そこで、高炉の安定操業にとって重要な融
着帯形状を決定する熱流比分布と直接対応がある装入物
層内の降下速度分布と装入物表面の降下速度分布の差異
を小さくし、両者の値ができるかぎり一致するようにす
ることが必要となってくる。
【0008】本発明はコークス層厚比分布の変更に伴う
高炉操業不安定化の問題のない安定した高炉操業法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するものであって、高炉の安定操業にとって重要な融着
帯形状を決定する熱流比分布と直接対応がある装入物層
内の降下速度分布と装入物表面の降下速度分布ができる
かぎり一致するように、垂直円筒内では装入物表面での
降下速度分布と層内での降下速度分布が一致するという
効果を利用し、ストックラインを上昇させて炉口部での
炉壁の鉛直部分における装入高さを2m以上確保するこ
とを特徴とする。
【0010】すなわち、本発明の要旨とするところはス
トックラインを上昇させて炉口部での炉壁の鉛直部分に
おける装入高さを2m以上確保することにより、装入物
表面での相対降下速度と装入物層内の相対降下速度の差
を中心からの相対距離が同一の位置において0.03以
下にすることを特徴とする高炉操業法にある。ここで、
相対距離とは中心から測定位置までの水平距離をその測
定位置での半径(たとえば、炉口部の場合には炉口半
径)で除した値と定義する。また相対降下速度とは降下
速度の測定値を半径方向の降下速度の平均値で除した値
と定義する。また炉口部での炉壁の鉛直部分における装
入高さとはシャフト上端から装入物のチャージングライ
ンまでの垂直距離と定義する。
【0011】
【作用】本発明の詳細について、実施態様に基づいて説
明する。本発明の方法は以下に説明する実験結果から得
られた知見をもとになされた方法である。本発明者ら
は、図2に示すような縦断面の構造をもち現実の高炉の
1/20縮尺の大きさの模型装置を使用して実験を行な
った。この模型装置の炉床径は345mmであり、炉腹
径は379mm、羽口からシャフト上部までの有効高さ
は1217mmであった。また、模型装置の前面には、
コークスや焼結鉱の降下挙動を観察できるように耐熱性
のガラスを装着した。
【0012】コークス4および焼結鉱5は、模型装置上
部のベル6からムーバブルアーマー7を介して交互に装
入された。他方、室温の送風を装置上部の18本の羽口
8から吹き込み、粒径が2〜4mmのコークスおよび粒
径が1〜3mmの焼結鉱5はレースウェイ9直下に設け
た6台のロータリーフィーダー10によって下部ホッパ
ーに運ばれ、さらにチューブラコンベア11によって密
閉庫内に排出された。この高炉模型装置において、炉内
の通気性、炉壁近傍の応力状態およびガス流れを検出す
るため、温度計、圧力計および熱線風速計を、それぞれ
炉壁面あるいは炉内に設置し、装入物の降下速度を検出
するため等時間線用のトレーサーとして着色コークスを
装入すると同時に、装入物粒子の降下挙動を検出するた
め通常(黒色)コークスに10%程度着色コークスを混
合したものを装入した。
【0013】図3はシャフト角が81°のシャフト部の
高炉模型に装入物のストックラインを下げて炉口部の炉
壁の鉛直部分における装入高さを25mm(実炉換算値
0.5m)にして上記の焼結鉱とコークスを交互に層状
装入した場合の装入物表面での相対降下温度の半径方向
分布および装入物のストックラインから150mm(実
炉換算値3m)下の装入物層内の相対降下速度の半径方
向分布を示したものである。
【0014】装入物表面での相対降下速度と装入物のス
トックラインから150mm(実炉換算値3m)下の装
入物層内の相対降下速度の差異は大きく、最大で0.1
5、平均で0.07〜0.08であった。このように装
入物表面での相対降下速度の半径方向分布は、融着帯形
状との対応が強い装入物層内の降下速度の半径方向分布
と一致していない。
【0015】この理由は、炉口部の鉛直部分における装
入高さが25mm(実炉換算値0.5m)と短いため
に、装入物表面の炉壁近傍の装入物がシャフトの拡がり
の影響をうけ優先的に周辺部近傍の炉内空間に移動する
ためである。本現象が装入物のストックラインから15
0mm(実炉換算値3m)下の装入物層内の相対降下速
度の半径方向分布で測定されないのは、その装入物層の
上にすでに数層の装入物が存在し大きい荷重がかかって
いるために、その装入物層内の粒子が自由に移動するこ
とが難しく、比較的半径方向に均一に移動しながら降下
するためである。
【0016】本発明では、図1の高炉の炉口部付近の断
面模式図に示すように装入物のストックライン1を上昇
させて炉口部での炉壁の鉛直部分20における装入高さ
21を100mm(実炉換算値2m)以上確保すること
とした。この理由は装入物表面3の位置をシャフト上端
2から遠ざけることにより、装入物表面の降下挙動とく
に炉壁近傍の装入物の降下挙動がシャフトの拡がりの影
響を受けないようにし、装入物表面の降下速度分布と融
着帯形状との対応が強い装入物層内の降下速度分布をで
きるかぎり一致させるためである。
【0017】図4は上記と同じ高炉模型に、本発明法で
示したように装入物のストックラインを上昇させて炉口
部での炉壁の鉛直部分における装入高さを100mm
(実炉換算値2m)確保し、焼結鉱とコークスを交互に
層状装入した場合の装入物表面での相対降下速度の半径
方向分布および装入物のストックラインから150mm
(実炉換算値3m)下の装入物層内の相対降下速度の半
径方向分布を示したものである。
【0018】本発明法では装入物表面での相対降下速度
と装入物層内の相対降下速度の差異は小さく、最大で
0.03、平均で0.01〜0.02であった。このよ
うに装入物のストックラインを上昇させて炉口部での炉
壁の鉛直部分における装入高さを100mm(実炉換算
値2m)以上確保することにより、装入物表面での相対
降下速度の半径方向分布は融着帯形状との対応が強い装
入物層内の降下速度の半径方向分布とかなりよく一致す
ることができている。
【0019】これは垂直円筒内では装入物表面での降下
速度分布と層内での降下速度分布が一致するという現象
に起因するものである。炉口部での炉壁の鉛直部分にお
ける装入高さが実炉換算で2m未満の場合には、装入物
表面での降下速度分布と層内での降下速度分布に差異が
発生し、装入物表面の降下速度分布に基づき鉱石とコー
クスの層厚比分布を変更するために、鉱石とコークスの
層厚比分布の変更操作が過剰になり、かえって高炉操業
が不安定になるという問題点がある。
【0020】図5は上記と同じ高炉模型に本発明法で示
したように装入物のストックラインを上昇させて炉口部
での炉壁の鉛直部分における装入高さを120mm(実
炉換算値2.4m)確保し、焼結鉱とコークスを交互に
層状装入した場合の装入物表面での相対降下速度の半径
方向分布および装入物のストックラインから150mm
(実炉換算値3m)下の装入物層内の相対降下速度の半
径方向分布を示したものである。
【0021】本発明法では装入物表面での相対降下速度
と装入物層内の相対降下速度の差異は小さく、最大で
0.02、平均で0.01であった。このように装入物
のストックラインを上昇させて炉口部での炉壁の鉛直部
分における装入高さを100mm(実炉換算値2m)以
上確保することにより、装入物表面での相対降下速度の
半径方向分布は融着帯形状との対応が強い装入物層内の
降下速度の半径方向分布とかなりよく一致することがで
きている。
【0022】
【実施例】本発明の高炉操業法を内容積4000立方メ
ートルの高炉に適用し、装入物のストックラインを上昇
させて炉口部での装入物の炉壁鉛直部分の高さを100
mm(実炉換算値2m)確保して装入物を装入した。比
較例では装入物のストックラインを上昇させずに、炉口
部での装入物の炉壁鉛直部分の高さを50mm(実炉換
算値1m)にして装入物を装入した。その結果、本発明
法では表1に示すようにプロフィルメーターから測定さ
れる装入物表面での相対降下温度とシャフト上部ゾンデ
位置で測定される相対降下速度の差が、中心からの相対
距離が同一の位置において0.03以下になったため装
入物分布による融着帯形状の制御が容易になり、融着帯
形状の変動を示す指標のひとつである中部ゾンデの各半
径方向位置でのηCOの変動の平均値を比較例に比べて5
0%減少することができた。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明は装入物のストックラインを上昇
させて炉口部での炉壁の鉛直部分における装入高さを2
m以上確保し、装入物表面の位置をシャフト上端から遠
ざけ、装入物表面の装入物の降下挙動とくに炉壁近傍の
装入物の降下挙動がシャフトの拡がりの影響を受けない
ようにすることにより、装入物表面の降下速度の半径方
向分布と装入物層内の降下速度の半径方向分布をできる
かぎり一致させることができて融着帯形状の制御性が向
上し、高炉の安定操業を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を説明する高炉の炉口部付近の断面
模式図
【図2】高炉の1/20縮尺の大きさの模型装置の縦断
面図
【図3】高炉模型による従来法による操業の場合の相対
降下速度の半径方向分布を示したグラフ
【図4】高炉模型による本発明法による操業の場合の相
対降下速度の半径方向分布を示したグラフ
【図5】高炉模型による本発明法による操業の場合の相
対降下速度の半径方向分布を示したグラフ
【符号の説明】
1 ストックライン 2 シャフト上端 3 装入物表面 4 コークス 5 焼結鉱 6 ベル 7 ムーバブルアーマー 8 羽口 9 レースウェイ 10 ロータリーフィーダー 11 チューブラコンベア 20 炉壁の鉛直部分 21 炉壁の鉛直部分における装入高さ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ストックラインを上昇させて炉口部での
    炉壁の鉛直部分における装入高さを2m以上確保するこ
    とにより、装入物表面での相対降下速度と装入物層内の
    相対降下速度の差を中心からの相対距離が同一の位置に
    おいて0.03以下にすることを特徴とする高炉操業
    法。
JP11931493A 1993-04-23 1993-04-23 高炉操業法 Expired - Lifetime JP2931502B2 (ja)

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