JP2931123B2 - 紙葉処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、投入された紙葉が正規
のものか否かをその読取データから判定する紙葉処理装
置に関する。

【０００２】この種の装置は、紙幣，有価証券などの受
渡しを行なう自動機に使用されている。

【０００３】

【従来の技術】図８では従来技術が説明されており、装
置に投入された紙葉１０は各種のセンサ（ここでは紙葉
透過光を検出する光センサ，紙葉表面の反射光を検出す
る光センサ，紙葉裏面の反射光を検出する光センサ，紙
葉上インクの磁気を検出するセンサ）を用いて同図
（Ａ）のように読み取られる。

【０００４】さらに各センサの読取データで示される紙
葉１０は同図（Ｂ）のように所定の姿勢へ回転移動さ
れ、それらの濃度が適正なものに補正される（正規
化）。

【０００５】そして、正規化された読取データが同図
（Ｃ）に示されたセンサ別の辞書データと各々比較され
る。

【０００６】これら辞書データの作成に際しては該当の
センサを用いて正規な紙葉から読取データが大量に予め
採取されており、紙葉の各画素に関するデータ値の分布
からデータ上限値と下限値が統計的に算出され、データ
上限値と下限値を各々内容とした画素群のデータが辞書
データとして用意される。

【０００７】例えば透過型光センサと磁気センサの場合
には図３，図４の分布特性が正規な紙葉から得られ、両
図のように、データ値（濃度）の上限と下限が各画素に
ついて決定される。

【０００８】これらの辞書データと対応の読取データと
の比較は図８のように画素単位で行なわれており、読取
データの全画素に関する濃度が辞書側の対応画素で示さ
れる許容範囲（上限値，下限値で画定される）を逸脱し
ていない場合には、投入された紙葉１０が正規なもので
あることが、その読取データ（該当のセンサ）について
のみ、確認される。

【０００９】さらに、全ての読取データ（全センサ）に
ついて投入紙葉１０の正規性が確認されると、投入紙葉
１０の正規性が最終的に確認される。

【００１０】これに対し、いずれかの読取データにおけ
るいずれかの画素濃度が辞書側の対応画素で示される許
容範囲を逸脱していた場合には、投入された紙葉１０が
正規なものでないことが、直ちに確認される。

【００１１】ところが、紙葉の偽造技術，変造技術が高
度化しており、このため、不正な紙葉をより厳密に識別
することが要求されている。

【００１２】そこで、投入された紙葉の読み取りに用い
られるセンサを増設する提案が行なわれている。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、センサ
の増設で製造コストが上昇し、また、センサの増設に必
要なスペースを確保することが困難であり、さらに、紙
葉の読み取りを時間内に全て完了できないので、装置を
新規に開発することが必要となる。

【００１４】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、既存のセンサをそのまま利用して
センサを増設することなく不正な紙葉をより確実に排除
することが可能となる装置を提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明にかかる紙葉処理装置は図１のように構成さ
れおり、同図の装置は、投入された紙葉１０の読み取り
を異なる方式で各々行なう複数の紙葉読取手段１２−
１，１２−２・・・１２−Ｎと、複数の読取データが組
み合わされたグループを特定するグループ特定手段１４
と、組み合わされた読取データの演算を全てのグループ
について行なうグループ内データ演算手段１６と、全て
のグループについて得られる演算結果の許容範囲を格納
する許容範囲格納手段１８と、各グループについて得ら
れた演算結果が対応格納の許容範囲を逸脱しているか否
かをチェックする演算結果チェック手段２０と、全ての
演算結果が対応格納の許容範囲を逸脱していないときに
のみ投入紙葉１０の正規性を確認する紙葉正規性確認手
段２２と、を有している。

【００１６】

【作用】本発明では、各紙葉読取センサ（１２−１，１
２−２・・・１２−Ｎ）により得られたデータを組み合
せたデータが演算で求められ、その演算結果で示される
データと対応の辞書データとが比較される。

【００１７】例えば、図３の光透過データと図４の磁気
データとを和演算して図５の特性で示されるデータを求
め、この組み合せ演算のデータから辞書データ（許容範
囲の上限値，下限値）を予め作成する。

【００１８】そして、投入された紙葉１０について光透
過と磁気の読取データが得られたときに、これらデータ
の和演算で求めた組み合わせ演算のデータが辞書データ
（図５参照）と比較される。

【００１９】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明にかかる紙葉処
理装置の好適な実施例を説明する。

【００２０】図２では実施例の構成が説明されており、
紙葉１０がこの装置に投入されて内部に搬入されると、
その紙葉１０が紙葉検知部３０で検知される。

【００２１】紙葉検知部３０の検知出力は中央処理装置
３２に与えられており、紙葉１０の検知が確認される
と、この中央処理装置３２によって紙葉読取部３４が起
動される。

【００２２】紙葉読取部３４には透過型の光センサ１２
−１，反射型の光センサ１２−２，１２−３，磁気セン
サ１２−４が設けられており、紙葉１０の透過画像，表
面反射の画像，裏面反射の画像，磁気画像の読み取りが
センサ１２−１，１２−２，１２−３，１２−４を用い
て各々行なわれる。

【００２３】これらの読取データは増幅部３６で増幅さ
れ、Ａ／Ｄ変換部３８でデジタルデータに変換される。

【００２４】そして、デジタルデータの各読取データは
画像処理部４０へ与えられ、それらの読取データで示さ
れる紙葉１０を回転移動し、縮小し、濃度を補正するな
どの正規化処理が行なわれる。

【００２５】さらに、正規化後の各読取データは辞書デ
ータ部１８の対応した辞書データと辞書比較部４２にお
いて比較され、紙葉１０が正規なものであるかを示す辞
書比較部４２の出力が記憶部４４に書込まれる。

【００２６】ここで、辞書データ部１８には単一のセン
サ（透過型光センサ，反射型光センサ，磁気センサ単
独）を用いて採取したデータから作成した辞書データが
予め格納されている（図３，図４参照）。

【００２７】また、２種類のセンサ（透過型光センサ＋
(表)反射型光センサ，透過型光センサ＋(裏)反射型光セ
ンサ，透過型光センサ＋磁気センサ，磁気センサ＋(表)
反射型光センサ，磁気センサ＋(裏)反射型光センサ）に
よる採取データを演算して作成した辞書データ（図５参
照）も格納されている。

【００２８】さらに、３種類のセンサによる採取データ
を演算して作成した辞書データも格納されている。

【００２９】そして、複数のセンサによる採取データの
いずれかに重み付けした演算（例えば、透過型光センサ
＋磁気センサの組み合せを選択した場合で、磁気の分布
を重視したときには、光透過データ＋(２＊磁気データ)
の演算）で作成したデータも格納されている。

【００３０】なお、４種類のセンサによる採取データを
演算して作成したデータを追加することも可能である。

【００３１】また、装置の処理速度が問題となる場合に
は、以上の辞書データを適宜選択して格納することが好
ましい。

【００３２】さらに、本実施例では辞書データが採取デ
ータの四則演算（加減乗除）で求められているが、他の
演算を行なうことも可能である。

【００３３】図６では辞書比較部４２の作用が説明され
ており、１種類の読取データで構成されるグループ，２
種類の読取データで構成されるグループ，３種類の読取
データで構成されるグループ，複数の種類で構成され上
記の重み付け演算が行なわれるグループが最初に定めら
れる（ステップ６００）。

【００３４】そして複数の種類の読取データで構成され
たグループについて、グループ内のデータを四則演算
（該当のグループについては重み付け演算）する処理が
行なわれる（ステップ６０２）。

【００３５】これらの演算が全て行なわれると、各グル
ープのデータが対応の辞書データと画素単位で逐次比較
される（ステップ６０４）。

【００３６】最後に、それらの比較結果を用いて紙葉１
０が正規なものであるか否かが判定され、この結果が記
憶部４４に出力される（ステップ６０６）。

【００３７】図７では辞書比較処理（ステップ６０４）
の内容が説明されており、センサ１２−１，１２−２，
１２−３，１２−４によりそのまま得られた読取データ
が対応の辞書データ（図３，図４参照）と逐次比較され
る（ステップ７００）。

【００３８】それらセンサ単独の読取データが全て辞書
データと一致（全ての画素が許容範囲内）すると、読取
データの２種類組み合せ演算による各データが対応の辞
書データ（図５参照）と逐次比較される（ステップ７０
２）。

【００３９】そして２種類組み合せ演算のデータが辞書
データと全て一致した場合には、読取データの３種類組
み合せ演算による各読取データが対応の辞書データと逐
次比較される（ステップ７０４）。

【００４０】さらに、３種類組み合せ演算のデータが辞
書データと全て一致した場合には、読取データの重み付
け演算による各データが対応の辞書データと比較される
（ステップ７０６）。

【００４１】この処理（ステップ７０６）で辞書データ
との一致を示す結果が得られたときには、投入された紙
葉１０が正規なものである旨の判定が行なわれる（ステ
ップ７０８）。

【００４２】すなわち、センサ単独の読取データとセン
サ組み合せ演算によるデータの全てが対応の辞書データ
と一致した場合に限り、投入された紙葉１０が受け付け
られる。

【００４３】これに対し、センサ単独の読取データとセ
ンサ組み合せ演算によるデータのうちいずれかでも辞書
データと一致としなかった場合においては、紙葉１０が
正規なものでない旨の判定が行なわれ（ステップ７１
０）、その取り扱いが拒否される。

【００４４】ここで、図３，図４で示されるように偽造
された紙葉や変造された紙葉はセンサ単独の辞書データ
において許容範囲の境界付近で正規なものと判定される
が、図５で示されるように複数のデータを組み合せ演算
して得られた辞書データの場合においては、センサ単独
の場合に比べ、改造や変造の部分が強調される。

【００４５】したがって、同図のようにこの種の不正な
紙葉はいずれかの組み合せ演算による辞書データとの比
較で判別でき、これを排除できる。

【００４６】また、辞書データが従来の４枚分に比して
大幅に増加しているので、不正な紙葉をより完全に排除
することが可能となる。

【００４７】しかも、センサが新たに追加されておら
ず、ソフトウェアの変更のみが変更されるので、それま
での装置を変更することなくそのまま流用できる。

【００４８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、紙
葉読取用のセンサを増設することなく、不正な紙葉をよ
り完全に除去することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】発明の原理説明図である。

【図２】実施例の構成説明図である。

【図３】光透過の分布特性説明図である。

【図４】磁気データの分布特性説明図である。

【図５】光透過データと磁気データの和となる分布の特
性説明図である。

【図６】辞書比較部の全体作用を説明するフローチャー
トである。

【図７】辞書比較処理を説明するフローチャートであ
る。

【図８】従来技術の説明図である。

【符号の説明】

１０ 紙葉 １２−１ 透過型光センサ １２−２，１２−３ 反射型光センサ １２−４ 磁気センサ １８ 辞書データ部 ３０ 紙葉検知部 ３２ 中央処理装置 ３４ 紙葉読取部 ３６ 増幅部 ３８ Ａ／Ｄ変換部 ４０ 画像処理部 ４２ 辞書比較部 ４４ 記憶部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G07D 7/00 G06F 19/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 投入された紙葉（１０）の読み取りを異
   なる方式で各々行なう複数の紙葉読取手段（１２−１，
   １２−２・・・１２−Ｎ）と、複数の読取データが組み
   合わされたグループを特定するグループ特定手段（１
   ４）と、組み合わされた読取データの演算を全てのグル
   ープについて行なうグループ内データ演算手段（１６）
   と、全てのグループについて得られる演算結果の許容範
   囲を格納する許容範囲格納手段（１８）と、各グループ
   について得られた演算結果が対応格納の許容範囲を逸脱
   しているか否かをチェックする演算結果チェック手段
   （２０）と、全ての演算結果が対応格納の許容範囲を逸
   脱していないときにのみ投入紙葉（１０）の正規性を確
   認する紙葉正規性確認手段（２２）と、を有する、こと
   を特徴とした紙葉処理装置。