JP2930082B2 - 気液比検出装置 - Google Patents

気液比検出装置

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JP2930082B2 JP10702791A JP10702791A JP2930082B2 JP 2930082 B2 JP2930082 B2 JP 2930082B2 JP 10702791 A JP10702791 A JP 10702791A JP 10702791 A JP10702791 A JP 10702791A JP 2930082 B2 JP2930082 B2 JP 2930082B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体通路を流れる気液
二相流体の気液比を検出する気液比検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の気液比検出装置として
は、特開平2−103357号公報に開示されたものが
ある。この気液比検出装置は、冷媒配管を流れる気液二
相の冷媒を分流させて、気相冷媒と液相冷媒とに分離し
て貯留する気液分離室を備え、この気液分離室内の各分
離成分が、気液分離室の上部に接続された第1通路およ
び気液分離室の下部に接続された第2通路を介して冷媒
配管へ戻るように構成されている。
【0003】第1通路と第2通路は、第1通路の第2通
路に対する通路抵抗比が、検出目標とする気液分離室内
の気体成分量に対する全分離成分量の比と一致するよう
に設定されている。そして、気液分離室内の気体成分量
が増加して、その気体成分が第2通路からも流出するよ
うになると、このときの気液分離室内の気液状態に基づ
く冷媒の気液比を表す値が検出手段により検出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の気液
比検出装置は、水平方向に付設された冷媒配管に設置さ
れるため、配管内を気相冷媒と液相冷媒とが上下に二相
分離して流れる。このため、配管内の気液二相冷媒を均
一にサンプリングすることができず、検出値にバラツキ
が生じて検出精度が低下する課題を有していた。
【0005】本発明は上記事情に基づいて成されたもの
で、その目的は、流体通路を流れる気液二相流体の気液
比を精度良く検出することのできる気液比検出装置を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、流体通路を天地方向に流れる気液二相の
流体を前記流体通路より分流させる分流通路と、前記流
体通路内に開口する前記分流通路の開口端部より上流に
て、前記流体通路の通路断面寸法を60%ないし90%
に減少させる絞り部と、前記分流通路を介して流入した
流体が、その比重差により気体成分と液体成分とに分離
されて、その各分離成分を貯留する気液分離室と、この
気液分離室内の上部に開口する上部開口部を有し、この
上部開口部より前記気液分離室内の分離成分を前記流体
通路に導く第1流出通路と、前記気液分離室内の下部に
開口する下部開口部を有し、この下部開口部より前記気
液分離室内の分離成分を前記流体通路に導く第2流出通
路と、前記気液分離室内の液面を検出する液面検出手段
とを備え、前記第1流出通路が前記第2流出通路に対し
て所定の通路抵抗比に設けられたことを技術的手段とす
る。
【0007】
【作用】上記構成より成る本発明は、流体通路を天地方
向に流れて絞り部を通過した流体が分流通路を介してサ
ンプリングされる。このサンプリングされた流体は、絞
り部を通過する際に拡散されて、気体成分と液体成分と
が均一に分布した気液二相流体となって気液分離室に導
入される。気液分離室に導入された流体は、その比重差
により気体成分と液体成分とに分離され、その各分離成
分が上部開口部および下部開口部を介して流出し、第1
流出通路および第2流出通路を通って流体通路に戻る。
【0008】このとき、気液分離室に流入する流体中の
気体成分量の占める割合が、第2流出通路に対する第1
流出通路の通路抵抗比に基づいて決まる所定の比率より
大きくなると、気液分離室内の気体成分が第1流出通路
のみでは戻りきれなくなり、第2流出通路からも流出し
ようとする。その結果、気液分離室内の液面が下部開口
部の高さまで低下するため、この液面の上下動を検出す
ることにより、気液分離室内に導入される流体の気液比
を前記の通路抵抗比に対応して検出することができる。
【0009】
【実施例】次に、本発明の気液比検出装置を図に示す一
実施例に基づき説明する。図1は気液比検出装置の断面
図である。本実施例の気液比検出装置1は、車両用空気
調和装置の冷凍サイクル2(図2参照)に適用されて、
その冷媒不足を検出するものである。
【0010】冷凍サイクル2は、図2に示すように、電
磁クラッチ3を備えた冷媒圧縮機4、冷媒凝縮器5、レ
シーバ6、膨張弁7、冷媒蒸発器8の各機能部品より構
成された周知の構造を成す。
【0011】気液比検出装置1は、サンプリングした冷
媒を気体成分と液体成分とに分離して貯留する気液分離
室9を有し、この気液分離室9が、レシーバ6と膨張弁
7とを結んでリキッドラインを成す冷媒通路10(本発
明の流体通路)に、ブロックジョイント11を介して取
り付けられたボディ12に形成されている。
【0012】気液分離室9は、冷媒通路10を流れる冷
媒をサンプリングして気液分離室9に導入する分流管1
3(本発明の分流通路)と、気液分離室9内の各分離成
分を冷媒通路10に導く流出管14(本発明の流出通
路)とによって冷媒通路10と連通されている。
【0013】冷媒通路10は、レシーバ6側から垂直方
向に付設された垂直配管10aと、膨張弁7に向かって
水平方向に付設された水平配管10b、および垂直配管
10aと水平配管10bとを連通する冷媒流路10cか
ら構成される。冷媒流路10cは、ブロックジョイント
11に形成され、垂直方向から水平方向に屈曲されてい
る。
【0014】分流管13は、冷媒流路10cの角部にお
いて、その一端側が垂直方向を成す冷媒通路10の上流
に向けて開口し、他端側が気液分離室9内の上部に開口
する。この分流管13は、垂直方向を成す冷媒通路10
と互いの中心軸が一致して設けられるとともに、その開
口端が、水平方向を成す冷媒通路10の中心軸と一致す
る位置まで突出されている。
【0015】ブロックジョイント11には、冷媒流路1
0cに開口する分流管13の開口端より上流側(図1の
下方側)10mmの所に、冷媒流路10cの通路断面積を
減少させる絞り部15が形成されている。この絞り部1
5は、冷媒通路10の内径を6mmとした場合に、その絞
り径が4.5mmに設定されている。
【0016】流出管14は、その一端側が水平方向を成
す冷媒流路10cに開口し、他端側が気液分離室9内の
上部まで延びて設けられている。そして、流出管14の
頂面および下部側壁には、それぞれ気液分離室9内の各
分離成分を流出するためのガス流出口14a(本発明の
上部開口部)および液流出口14b(本発明の下部開口
部)が形成されている。従って、本発明の第1流出通路
は、ガス流出口14aから冷媒流路10cに開口する開
口端までの流出管14で形成され、本発明の第2流出通
路は、液流出口14bから冷媒流路10cに開口する開
口端までの流出管14で形成されている。
【0017】ここで、第1流出通路の通路抵抗比をr、
第2流出通路の通路抵抗比をRとすると、第1流出通路
と第2流出通路との通路抵抗比S(=r/R)が所定の
値(例えば、0.5)となるように、第1流出通路およ
び第2流出通路の各通路長および各通路面積が定められ
ている。
【0018】この通路抵抗比Sは、図3に示すサイクル
内の冷媒封入量と冷媒通路10を流れる冷媒のガス混入
率β(ガス体積流量/全体積流量)との関係から、冷房
能力を保証する最低冷媒封入量を70%として、その冷
媒封入量が70%まで減少した場合のガス混入率β(約
50%)に対応して決定する。
【0019】この結果、サイクル内の冷媒封入量が70
%まで減少して、ガス混入率βが50%を超えると、気
液分離室9に流入する気体成分の割合が増加して、気液
分離室9内の液面は、それまでのガス流出口14aから
液流出口14bまで低下することになる。
【0020】気液分離室9内には、外周面にマグネット
16を埋め込んだナイロン製のフロート17が収容され
て、分流管13の外周に嵌め合わされている。このフロ
ート17は、気液分離室9内の液面が変位することによ
り、分流管13に案内されながら気液分離室9内を上下
に所定のストローク(例えば5mm)だけ移動する。
【0021】ボディ12には、マグネット16の磁気作
用で開閉するリードスイッチ18が収容されている。こ
のリードスイッチ18は、気液分離室9の底部寄りに配
置されており、フロート17の上下動に伴ってマグネッ
ト16が接近することで閉成状態となり、マグネット1
6が離れることで開放状態となる。なお、本発明の液面
検出手段は、マグネット16、フロート17およびリー
ドスイッチ18から成る。
【0022】また、ボディ12の上部には、分流管13
を介して気液分離室9に導入される冷媒の状態を観察す
るためのサイトグラス19が装着され、ボディ12の側
面には、制御装置20に接続するためのコネクタ21が
設けられて、リードスイッチ18のオン・オフ信号が制
御装置20に出力される。
【0023】制御装置20は遅動回路(図示しない)を
有し、リードスイッチ18からのオン信号が一定時間T
α入力されると警報ランプ22を点灯させる(図4参
照)。警報ランプ22は、運転席のコントロールパネル
(図示しない)に設けられ、点灯によって乗員に冷媒不
足であることを知らせる。また、低負荷状態となってフ
ロスト防止のため電磁クラッチ3のオン・オフ制御を行
った時には、電磁クラッチ3が切れても、警報ランプ2
2の点灯を所定時間継続させて、乗員が警告を見逃さな
い様にする。
【0024】次に、本実施例の作動を説明する。今、サ
イクル内の冷媒封入量が70%以上ある場合には、冷媒
中のガス混入率βが50%以下となり、気液分離室9内
の液面は、流出管14に形成されたガス流出口14aの
位置にある。従って、リードスイッチ18は作動せず、
冷媒不足の警報ランプ22も点灯しない。
【0025】その後、冷凍サイクル2の配管系統などか
ら冷媒が漏洩して減少すると、冷媒通路10内を流れる
冷媒中に占めるガス冷媒の流量割合が高くなり、冷媒の
気液重量比が大きくなって気液分離室9に流入するガス
冷媒の割合が増加する。
【0026】そこで、冷媒封入量が70%まで減少する
と、ガス混入率βが50%を超えて、気液分離室9内の
液面は、流出管14の下部に形成された液流出口14b
まで低下する。この結果、液面の変位とともにフロート
17が降下し、マグネット16がリードスイッチ18に
接近することで、リードスイッチ18が閉成状態とな
る。このリードスイッチ18の閉成状態が一定時間Tα
以上継続した場合には、制御装置20を介して警報ラン
プ22が点灯され、乗員に冷媒不足の警告が行われる。
【0027】上記作動において、分流管13を介してサ
ンプリングされる冷媒は、垂直配管10aを上昇して流
れるため、水平方向に流れる時のように、気相冷媒と液
相冷媒とが上下に二相分離して流れるのを防ぐことがで
きる。また、絞り部15を通過する際に、冷媒が加速さ
れて拡散されるため、気相冷媒と液相冷媒とが均一に分
布された気液二相冷媒となる。このため、検出値にバラ
ツキのない正確な気液比の検出を行うことができる。
【0028】ここで、絞り部15の効果について図5お
よび図6を基に説明する。図5は絞り部15の効果を測
定するために設定した測定方法のモデル図である。図6
は絞り部15の絞り径Dとガス混入率β(ガス体積流量
/全体積流量)および絞り部15前後の圧損ΔPとの関
係を示すグラフである。
【0029】絞り部15の効果を測定するために、図5
に示すように、曲がり部を有する配管23(内径6mm)
にガス混入率β=55%の気液二相冷媒を流し、絞り部
15を通過した後、配管23の中央部でサンプリングし
た冷媒の気液比βおよび圧損ΔPを測定した。なお、絞
り部15はサンプリング通路24の開口端より上流側へ
10mmの所に設置し、配管23の曲がり部からサンプリ
ング通路24の開口端までの距離をL、冷媒流量をGr
とすると、測定に際して、L:50mmと400mm、G
r:60kg/hと120kg/h、の各値を設定した。
【0030】この測定結果では、図6に示すように、絞
り径Dが大きくなるに連れて気液比βが上昇している。
これは、冷媒が配管10aを垂直方向に流れる場合、配
管23の中央部を気相冷媒が流れ、配管23の管壁に沿
って液相冷媒が流れていることから、絞り径Dが大きい
場合には、絞り部15を通過する際に冷媒が拡散され
ず、そのまま配管23の中央部を気相冷媒が流れる。こ
のため、配管23の中央部でサンプリングする結果、気
液比βが上昇することになる。逆に、絞り径Dが小さく
なると、絞り部15を通過する冷媒が良く拡散されて、
気相冷媒と液相冷媒とが均一に分布した気液二相冷媒と
なるため、配管23の中央部でサンプリングしても気液
比βの上昇は見られない。
【0031】但し、絞り径Dが小さくなると、抵抗とな
って絞り部15前後の圧損ΔPが大きくなるため、本実
施例では、両者(気液比βと圧損ΔP)の関係より、絞
り径Dの最適な値として4.5mmを設定した。しかしな
がら許容される絞り径Dの範囲は、配管23の内径6mm
に対して、3.6mm(60%)〜5.7mm(95%)で
あり、好しくは4mm(66%)〜5mm(83%)が良
い。
【0032】なお、曲がり部を通過する冷媒は、遠心力
の作用によって、曲がり部の内周側を気相冷媒が流れ、
曲がり部の外周側を液相冷媒が流れる。このため、曲が
り部からの距離が短い所(例えばL:50mm)では、液
相冷媒が外側に片寄って流れるが、絞り部15を設ける
ことにより、上記のように気相冷媒と液相冷媒とが均一
に分布した気液二相冷媒となる。
【0033】上記実施例では、気液比検出装置1のボデ
ィ12を、ブロックジョイント11を介して冷媒配管
(垂直配管10aおよび水平配管10b)に取り付けた
が、図7および図8に示すように、他種のブロックジョ
イント11aを用いて、レシーバ6の上部に直接取り付
けても良い。これによれば、多種類のブロックジョイン
トを用意することで、気液比検出装置1のボディ12を
共通とすることができる。
【0034】
【発明の効果】本発明の気液比検出装置は、流体が天地
方向に流れる流体通路に絞り部を設けたことにより、気
相成分と液相成分とが均一に分布した気液二相流体をサ
ンプリングすることができる。その結果、検出値にバラ
ツキのない正確な気液比を検出することができ、従来装
置と比較して、検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気液比検出装置の断面図である。
【図2】気液比検出装置が適用された冷凍サイクル図で
ある。
【図3】冷媒封入量と気液比との関係を示すグラフであ
る。
【図4】本実施例の作動に係るタイムチャートである。
【図5】絞り部の効果を測定するために設定した測定方
法のモデル図である。
【図6】絞り部の絞り径とガス混入率および圧損との関
係を示すグラフである。
【図7】本発明の変形例を示す側面図である。
【図8】本発明の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 気液比検出装置 9 気液分離室 10 冷媒通路(流体通路) 13 分流管(分流通路) 14 流出管(第1流出通路、第2流出通路) 14a ガス流出口(上部開口部) 14b 液流出口(下部開口部) 15 絞り部 16 マグネット(液面検出手段) 17 フロート(液面検出手段) 18 リードスイッチ(液面検出手段)
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F25B 49/02 520

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)流体通路を天地方向に流れる気液二相
    の流体を前記流体通路より分流させる分流通路と、 b)前記流体通路内に開口する前記分流通路の開口端部
    より上流にて、前記流体通路の通路断面寸法を60%な
    いし95%に減少させる絞り部と、 c)前記分流通路を介して流入した流体が、その比重差
    により気体成分と液体成分とに分離されて、その各分離
    成分を貯留する気液分離室と、 d)この気液分離室内の上部に開口する上部開口部を有
    し、この上部開口部より前記気液分離室内の分離成分を
    前記流体通路に導く第1流出通路と、 e)前記気液分離室内の下部に開口する下部開口部を有
    し、この下部開口部より前記気液分離室内の分離成分を
    前記流体通路に導く第2流出通路と、 f)前記気液分離室内の液面を検出する液面検出手段と
    を備え、前記第1流出通路が前記第2流出通路に対して
    所定の通路抵抗比に設けられた気液比検出装置。
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