JP2924793B2 - 移動通信システムおよび自動周波数配置方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複数の移動局と、
これらと周波数の異なる複数のチャンネルで交信を行
う、固有の無線エリアを持つ複数の無線基地局と、シス
テムの運用状態を監視・制御する運用保守局とを有し、
同一のチャンネルが複数の無線基地局に割り当て可能な
移動通信システムおよび自動周波数配置方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】移動通信システムにおいては、セルと呼
ばれる固有の無線エリアを保有する各無線基地局に対
し、使用を許可されている限られた無線周波数（チャン
ネル）の中から、各々の送受信機に対してチャンネルを
割り当てなければならない。この限られた周波数を用い
て、出来る限り多数の加入者を収容し、大量の通話を処
理するための手法として、同一システム内で同一チャン
ネルを再利用する手法がある。

【０００３】同一システム内で同一チャンネルを再利用
する場合、近隣にある複数の無線基地局において同時に
同一チャンネルが使用されると、他局で使用されている
同一無線周波数が妨害波となって通話品質が劣化するこ
とになる。このようなことから、システム設計の際に
は、同一チャンネルを効率良く利用でき、再利用された
同一チャンネル間の干渉を最小限に止めるように、チャ
ンネルの割り当て（無線周波数配置）を行う必要があ
る。

【０００４】近年、移動体通信システムは極めて大規模
なものになり、基地局数が数百以上のシステムも構築さ
れており、このような大規模な移動体通信システムにお
ける無線周波数配置では、設計上考慮すべき要因数と扱
うデータ量が膨大なため、机上での設計者の判断では、
短時間で正確なものを設計することは極めて困難なもの
となっていた。

【０００５】そこで、コンピュータ・シミュレーション
により無線周波数配置を行う方法が提案さている。例え
ば、一定仮定条件下で無線周波数配置をシミュレーショ
ンして求める方法があり、実際のシステム運用状況なら
びに無線回線品質データをシミュレーションシステムに
投入し、シミュレーション精度を上げるような試みもな
されている。

【０００６】また、シミュレーションシステムを用いな
い周波数配置方法として、他の基地局が使用する通信用
キャリア周波数を監視して、自基地局と他の基地局との
通信用キャリア周波数の一致の有無を検出し、他の基地
局の通信用キャリア周波数との一致を検出したときには
自基地局の通信用キャリア周波数を再選択し、これによ
り、自基地局の通信用キャリア周波数を変更して他の基
地局との干渉を防止する自動周波数配置方法も提案され
ている（特開平4-68925号公報参照）。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
シミュレーションにより無線周波数配置を行う方法で
は、得られた無線周波数配置は、一定仮定条件下で得ら
れたシミュレーション結果であり、実際の運用状態が反
映されていないため、最適な無線周波数配置とはならな
い。

【０００８】また、実際のシステム運用状況ならびに無
線回線品質データをシミュレーションシステムに投入し
た場合においても、収集データの量が膨大でその収集に
時間を要し、随時変化するシステムの運用状態を追従で
きないこと、さらには測定データが測定毎に誤差・変動
を含むために測定結果から得られた無線回線状態が一定
ではなく、シミュレーションでは最適解もしくは現実解
に収束させることがでいないこと等の問題があり、依然
としてシステムの状況に追従して常に最適な無線周波数
配置を導入するまでには至っていない。

【０００９】さらに、シミュレーションを用いる場合、
設定した無線周波数配置が最適なものであるかどうかを
自律的に判断することがないために、システム運用状態
をシステム運用者が随時監視し、運用状態および無線回
線品質状態から、無線周波数配置の変更の要否を判断す
る手間を必要とする。

【００１０】特開平4-68925号公報に記載の自動周波数
配置方法おいては、他の基地局との干渉が生じないよう
に実際のシステム上で自動的に周波数配置を行えるが、
システム内で同一チャンネルが使用されることがないた
め、同一システム内で同一チャンネルを再利用する移動
通信システムには適さない。

【００１１】本発明の目的は、上記各問題を解決し、シ
ステム設計者および運用保守者の介在なしに、自律的に
システム運用に最適な周波数配置をできる、同一システ
ム内で同一チャンネルの再利用が可能な移動通信システ
ムおよび自動周波数配置方法を提供することにある。

【００１２】

【００１３】

【００１４】

【００１５】

【００１６】

【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するた
め、本発明の 自動周波数配置方法は、複数の移動局と、
周波数の異なる複数のチャンネルで前記複数の移動局と
の無線通信が行われる複数の無線基地局と、を有し、同
一のチャンネルが複数の無線基地局に割り当て可能な移
動通信システムにおいて行われる自動周波数配置方法で
あって、前記無線基地局のそれぞれが、自基地局におけ
る各チャンネルの受信電界強度を測定するようにし、予
め設定された前記無線基地局のそれぞれの設置位置情報
と所要の希望波対妨害波比より定められるクラスター半
径とから、前記複数の無線基地局のうちのチャンネルを
割り当てる基地局に対して同一チャンネルの配置が禁止
される無線基地局を判定し、前記チャンネルを割り当て
る基地局において測定された各チャンネルに関する受信
電界強度と前記同一チャンネルの配置が禁止された各無
線基地局にて測定された各チャンネルに関する受信電界
強度とに基づいて、前記チャンネルを割り当てる基地局
に使用可能チャンネルを割り当てる際に、前記チャンネ
ルを割り当てる無線基地局における各チャンネルの受信
電界強度のうち、電界強度が低いチャンネルから順に同
一チャンネルの配置が禁止された無線基地局にて使用さ
れているかを確認し、最初に使用されていないことが確
認されたチャンネルを割り当て、その後、割り当てたチ
ャンネルによる無線通信の通話品質が所要品質を下回る
かを確認し、割り当てたチャンネルの通話品質が所要品
質を下回る場合には、割り当てたチャンネルの次に電界
強度が低く、使用されていないチャンネルを割り当てる
ことを特徴とする。

【００１７】上記の通りの本発明によれば、実際のシス
テム上で実際の運用環境下のデータを基に無線周波数配
置が行われるので、無線周波数配置は実際の運用状態が
反映されたものとなる。

【００１８】また、無線周波数配置はシステム内で自律
的に行われるので、無線周波数配置にシステム設計者が
介在することはない。

【００１９】さらに、割り当てたチャンネルによる無線
通信の通話品質が所要品質を下回る場合は、割り当てた
チャンネルの次に電界強度が低く、使用されていないチ
ャンネルが割り当てられるので、運用保守者の介在なし
に、システムの運用状況に追従した最適な無線周波数配
置の導入が可能となる。

【００２０】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例について図
面を参照して説明する。

【００２１】図１は、本発明の移動通信システムを説明
するための図で、（ａ）は移動システムの概略を示すブ
ロック図、（ｂ）は無線基地局の構成を示すブロック
図、（ｃ）は運用保守局の構成を示すブロック図であ
る。同図において、１０は各加入者毎に割り当てられた
移動端末、２０は各移動端末１０と無線通信を行う無線
基地局（ＢＴＳ）、３０は無線基地局を制御する制御
局、４０はシステム内の呼処理および一般電話交換網６
０への接続処理を行う移動体通信交換局、５０はシステ
ムの運用状態を監視し、保守・制御を行う運用保守局で
ある。

【００２２】各無線基地局２０は、システム中で使用可
能とされる全チャンネルの各々について受信電界強度を
測定する受信電界強度測定手段２１を備える。この受信
電界強度測定手段２１にて測定された各チャンネルに関
する受信電界強度は、運用保守局５０へ送信される。

【００２３】運用保守局５０は、周波数配置を行う周波
数配置設定手段５１、設定された周波数配置を運用状態
に基づいて変更する周波数配置変更手段５２、システム
運用状態、無線基地局設置位置情報（例えば、設置位置
を緯度・経度で表した情報）、および各無線基地局２０
から送信された各基地局毎の各チャンネルに関する受信
電界強度などの情報を記憶する記憶手段５３より構成さ
れる。

【００２４】周波数配置決定手段５１は、所要ＣＩＲ
（Carrier to interference Ratio:希望波対妨害波比）
より定められるクラスター半径Ｄと無線基地局設置位置
情報とからチャンネルを割り当てる基地局に対して同一
チャンネルの配置が禁止されるＢＴＳを判定する同一チ
ャンネル配置禁止判定手段５１１、チャンネルを割り当
てる基地局における各チャンネルに関する受信電界強度
と該基地局について設定された同一チャンネル配置禁止
ＢＴＳにて測定される各チャンネルに関する受信電界強
度とに基づいて使用可能チャンネルを割り当てる使用可
能チャンネル割当手段５１２よりなる。

【００２５】周波数配置変更手段５２は、各移動端末１
０と各無線基地局２０との通話品質を監視する通話品質
監視手段５２１と、一定時間毎に監視データを集計した
結果を基に通話品質が所要品質を下回るチャンネルを使
用している無線基地局があるか否かを判定する品質判定
手段５２２と、所要品質を下回るチャンネルを使用して
いる無線基地局に対して、チャンネルの変更を行うチャ
ンネル変更手段５２３より構成される。

【００２６】上述のように構成された移動通信システム
では、周波数配置設定手段５１による各無線基地局に対
する周波数配置、周波数配置後に行われる周波数配置変
更手段５２によるシステム運用状況に応じた各無線基地
局に対する周波数配置の変更が行われる。以下、周波数
配置に関する処理と周波数配置の変更に関する処理とに
分けて本システムの動作ついて詳しく説明する。

【００２７】（１）周波数配置に関する処理 本移動通信システムでは、まず、無線基地局設定時に行
う運用保守局５０への局データ設定の際に、無線基地局
設置位置情報が各無線基地局２０の属性値として記憶手
段５３に記憶される。

【００２８】次に、あるＢＴＳoに対してどのＢＴＳが
同一チャンネルを配置してはならない位置関係にあるか
について、同一チャンネル配置禁止設定手段５１１が記
憶手段５３に記憶された位置情報から以下の手順より算
出する。

【００２９】全ての無線基地局ＢＴＳについてＢＴＳi
〜ＢＴＳj（ｉ≠ｊ，ｉ≧１，ｊ≦Ｎ）の各基地局間の
距離Ｒを求め、これらをＲijを要素とするＮ×Ｎの行列
Ａを作る。そして、所要ＣＩＲから必要となるクラスタ
ー半径Ｄを求めて、上記行列Ａのｒojより、ｒoj＜Ｄを
満たすＢＴＳjを探索することで、ＢＴＳoに設定される
チャンネルと同一チャンネルを配置できないＢＴＳを求
める。このようにして求めた同一チャンネル配置禁止Ｂ
ＴＳは記憶手段５３に記憶される。

【００３０】ＢＴＳoについて同一チャンネル配置禁止
ＢＴＳが求められると、ＢＴＳoによりシステム中で使
用可能とされる全てのチャンネルの各々について受信電
界強度が測定され、該測定結果が運用保守局５０へ伝送
されて記憶手段５３に記憶される。

【００３１】ＢＴＳoにおける全チャンネルの受信電界
強度が測定されると、使用可能チャンネル割当手段５１
２により、その測定された受信電界強度のうち電界強度
が最も低いチャンネルが使用可能チャンネル候補として
選択され、該使用可能チャンネル候補が上記ＢＴＳoに
ついて求められた同一チャンネル配置が禁止されたＢＴ
Ｓのいずれかにおいて使用されていないか調べられる。
使用されていなければ、その使用可能チャンネル候補を
ＢＴＳoで使用可能なチャンネルとして割り当てる。使
用されている場合は、その使用可能チャンネル候補は使
用不可能とされ、その次に受信電界強度が低い値であっ
たチャンネルが使用可能チャンネル候補として選択さ
れ、該候補について同一チャンネル配置禁止範囲内にあ
るＢＴＳのいずれかにおいて使用されていないかの同様
の判断が行われる。この処理は、使用されていないチャ
ンネルがあるまで繰り返し行われる。なお、受信電界強
度の低い順に使用可能チャンネル候補を選択する場合、
各測定受信電界強度には一定幅の測定誤差が含まれるも
のとし、強度差がこの誤差範囲内にあるチャンネルは同
一強度で受信されているものとする。このように、周波
数配置を判断・決定する為に用いるデータには予め一定
量の誤差・変動が含まれていることを前提として比較判
断等の処理に用いる為、測定毎のデータの中の有意でな
い変動が本処理に与える影響を最小にすることができ
る。

【００３２】周波数配置設定手段５１は、上述のＢＴＳ
oに対するチャンネルの割り当てと同様の処理を全てＢ
ＴＳに対して行う。

【００３３】（２）周波数配置の変更 周波数配置が行われてシステムが運用されると、通話品
質監視手段５２１により各無線基地局における各チャン
ネルの通話品質が監視される。具体的には、端末および
ＢＴＳからの通話品質劣化率のデータ測定結果を基に通
話中の無線回線品質が監視され、各無線基地局における
各チャンネルの通話品質が集計され、記憶される。この
集計結果は記憶手段５３に記憶されても、また別の記憶
手段（ＲＡＭ）に記憶されてもよい。

【００３４】続いて、品質判定手段５２２により、一定
時間毎の上記通話品質監視手段５２１の通話品質監視集
計結果から、各ＢＴＳについて、受信電界強度が十分で
あるにも関わらず所要品質を下回る状態が許容範囲を超
える頻度で発生しているチャンネルを使用しているＢＴ
Ｓがあるか否かが判定される。

【００３５】所要品質を下回るチャンネルを使用してい
るＢＴＳがあった場合には、そのＢＴＳに対して、チャ
ンネル変更手段５２３が、所要品質を下回ったチャンネ
ルについて、そのチャンネルは当該ＢＴＳにおいて使用
不適であるとし、当該ＢＴＳで測定された受信電界強度
のうち、その使用不適とされたチャンネルの次に電界強
度が低いチャンネルをこれに代わるチャンネルとして割
り当てる。このチャンネル変更は、上述の使用可能チャ
ンネル割当手段５１２で行われたチャネル割当処理と同
様の処理が行われる。なお、本実施例ではチャンネル変
更手段５２３によりチャンネル変更（チャンネル割り当
て）が行われるようにしたが、このチャンネル変更を上
述したチャンネル割当手段５１２で行うようにしてもよ
い。すなわち、使用可能チャンネル割当手段５１２が、
品質判定手段５２２にて判定された、所要品質を下回る
チャンネルを使用している無線基地局に対して、該所要
品質を下回ったチャンネル以外のチャンネルを割り当て
るようにしてもよい。

【００３６】なお、以上の説明では、近隣の基地局に対
する同一チャンネルの配置について説明したが、本発明
はこれに限定されるものではなく、同一チャンネルおよ
びその隣接チャンネルを含む周波数範囲について妨害波
とならないように周波数配置を行うようにしてもよい。

【００３７】

【発明の効果】以上説明した本発明によれば、実際のシ
ステム上で自律的に無線周波数配置が行われるので、シ
ステム設計者の介在なしに、システム運用状態が反映さ
れた無線周波数配置を行うことができる移動通信システ
ムおよび自動周波数配置方法を提供することができると
いう効果がある。

【００３８】また、割り当てたチャンネルによる無線通
信の通話品質が所要品質を下回る場合は、割り当てたチ
ャンネルの次に電界強度が低く、使用されていないチャ
ンネルが割り当てられる方法においては、運用保守者の
介在なしに、システムの運用状況に追従した無線周波数
配置が行えるので、無線周波数配置の変更の要否を判断
する手間がなくなるという効果がある。

【００３９】さらに、電界強度が低い順にチャンネルの
割り当てが行われるので、干渉劣化を最小にすることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の移動通信システムを説明するための図
で、（ａ）は移動システムの概略を示すブロック図、
（ｂ）は無線基地局の構成を示すブロック図、（ｃ）は
運用保守局の構成を示すブロック図である。

【符号の説明】

１０ 移動端末 ２０ 無線基地局 ２１ 受信電界強度測定手段 ３０ 制御局 ４０ 移動体通信交換局 ５０ 運用保守局 ５１ 周波数配置設定手段 ５２ 周波数配置変更手段 ５３ 記憶手段 ６０ 一般電話交換網 ５１１ 同一チャンネル配置禁止判定手段 ５１２ 使用可能チャンネル割当手段 ５２１ 通話品質監視手段 ５２２ 品質判定手段 ５２３ チャンネル変更手段

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の移動局と、周波数の異なる複数の
   チャンネルで前記複数の移動局との無線通信が行われる
   複数の無線基地局と、を有し、同一のチャンネルが複数
   の無線基地局に割り当て可能な移動通信システムにおい
   て行われる自動周波数配置方法であって、 前記無線基地局のそれぞれが、自基地局における各チャ
   ンネルの受信電界強度を測定するようにし、 予め設定された前記無線基地局のそれぞれの設置位置情
   報と所要の希望波対妨害波比より定められるクラスター
   半径とから、前記複数の無線基地局のうちのチャンネル
   を割り当てる基地局に対して同一チャンネルの配置が禁
   止される無線基地局を判定し、 前記チャンネルを割り当てる基地局において測定された
   各チャンネルに関する受信電界強度と前記同一チャンネ
   ルの配置が禁止された各無線基地局にて測定された各チ
   ャンネルに関する受信電界強度とに基づいて、前記チャ
   ンネルを割り当てる基地局に使用可能チャンネルを割り
   当てる際に、前記チャンネルを割り当てる無線基地局に
   おける各チャンネルの受信電界強度のうち、電界強度が
   低いチャンネルから順に同一チャンネルの配置が禁止さ
   れた無線基地局にて使用されているかを確認し、最初に
   使用されていないことが確認されたチャンネルを割り当
   て、その後、割り当てたチャンネルによる無線通信の通
   話品質が所要品質を下回るかを確認し、割り当てたチャ
   ンネルの通話品質が所要品質を下回る場合には、割り当
   てたチャンネルの次に電界強度が低く、使用されていな
   いチャンネルを割り当てることを特徴とする自動周波数
   配置方法。