JP2912524B2 - 摺動用複合材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】 本発明はマイクロモータに用い
られる摺動用複合材に係り、特にＡｕ、Ｐｄ、Ａｇ又は
これらの合金の摺動接点材料とＣｕ、Ｃｕ合金、Ｎｉ、
Ｎｉ合金等の母材とを複合した摺動用複合材に関するも
のである。

【０００２】

【従来技術と課題】 従来の摺動複合接点材、例えばマ
イクロモータにおいて用いられる複合材による整流子の
各セグメントの複合形態は、母材の表面に均一に、摺動
用接点材料を複合された状態になっているもので、その
各セグメントを円柱状に組んで整流子とし、ブラシに対
向させて使用されていた。

【０００３】ところで、整流子とブラシが摺動すると、
機械的摩耗と電気的摩耗が発生するが、整流子の表面を
摺動する時は機械的機能によるものが支配的であるが、
整流子のセグメントからセグメントへ移る時には、極性
の切換りが生じるため火花放電による電気的摩耗が支配
的となる。機械的摩耗より電気的摩耗が大きくなりモー
タの寿命を決めると言っても過言ではなく、セグメント
の稜部の摩耗が激しく母材が露出し、これが原因となり
異常摩耗や接触不良が生じ、摺動特性に重大な悪影響を
及ぼすこととなっていた。

【０００４】

【発明の目的】 そこで本発明は、稜部の摩耗によって
も母材が露出することなくもって長寿命化をはかること
を目的とする。

【０００５】

【発明の構成】 上記課題を解決する為の本発明の摺動
用複合材は、卑金属又は卑金属合金の母材の表面に、貴
金属又は貴金属合金による摺動用材料を複合して構成し
た摺動用複合材において、貴金属又は貴金属合金による
摺動用材料を表面の複合厚さに比べ両側稜部の複合厚さ
を厚く複合したことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】 上記のように構成することにより、整流子の
セグメントからセグメントに移る時に発生する火花放電
による電気的摩耗に対して有効に作用しＣｕ、Ｃｕ合
金、Ｎｉ、Ｎｉ合金等の母材が露出することなく、従っ
て異常摩耗や接触不良が生じることなく、もって長寿命
化ができるものである。

【０００７】

【実施例】 以下に実施例、従来例について述べる。

【０００８】実施例として、図１に示す如く、整流子セ
グメント１を組合せて整流子２としたもので、摺動用接
点材料３にＡｕ70％、Ｐｔ５％、Ａｇ10％、Ｃｕ14％、
Ｎｉ１％を使用し、これを母材４（ＣｕＮｉ20％）に複
合した整流子２とし、この時の張厚みは表面20μｍ、両
面稜部は表面より厚く50μｍとしたものをモールド樹脂
を用い直径 2.5mm長さ５mmの整流子とした。

【０００９】一方従来例として、摺動用接点材料３’と
母材４’の材質は実施例と同じ整流子とし、図２に示す
如く張厚は均一で表面及び両側稜部とも20μｍとして、
セグメント５を組合せて、モールド樹脂を用いて実施例
と同一寸法形状の整流子６とした。

【００１０】こうして得た整流子にて下記の試験条件に
て摺動試験を行ったところ、従来例の整流子はセグメン
トの稜部の摩耗が激しく、母材が露出していたのに対
し、実施例の整流子は母材が露出することなく、異常摩
耗や接触不良が生じることなく、従来例の寿命の３倍と
長寿命であった。

【００１１】試験条件 電流 60ｍＡ 電圧 12Ｖ 接触力 ８ｇｆ 回転数 2000ｒｐｍ

【００１２】

【発明の効果】 以上のように本発明による摺動用複合
材は、貴金属又は貴金属合金による摺動用材料を表面の
複合厚さに比べ両側稜部の複合厚さを厚く複合している
ので、両側稜部での摺動用材料の摩耗による母材の露出
がなく、従って安定した接触抵抗で長寿命となるという
優れた効果が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における摺動用複合材の断面
図。

【図２】従来の摺動用複合材の断面図。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 卑金属又は卑金属合金の母材の表面に、
   貴金属又は貴金属合金による摺動用材料を複合して構成
   した摺動用複合材において、貴金属又は貴金属合金によ
   る摺動用材料を表面の複合厚さに比べ両側稜部の複合厚
   さを厚く複合したことを特徴とする摺動用複合材。