JP2907542B2 - 緩衝機構付パワー伝達アセンブリ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は一般的にブレーキアセンブリ等のパワー伝達
アセンブリに関し、より詳細にはブレーキアセンブリ部
品間の反応力を緩衝する緩衝手段を有するブレーキアセ
ンブリに関する。

背景技術 ブレーキ及びクラッチ作用のために大径の複数の静止
及び回転ディスクを利用するブレーキ及びクラッチアセ
ンブリは、ブレーキまたはクラッチ作用の間に非常に大
きな衝撃力を発生する。自由回転からブレーキ作用を行
った時のショックを緩衝しよううとする多くの機構が使
用されている。これらの従来機構は数多くの形状及びサ
イズのスプリング要素を含んでいる。

クラッチまたはブレーキユニットに使用される一つの
タイプの緩衝要素が1967年11月21日にH.E.Chanaに対し
て発行された米国特許第3,353,641号に示されている。
この特許においては、環状エラストマクッション部材が
ピストン表面に形成された溝中に配置されている。ピス
トンの移動に応じて摩擦プレートが係合すると、クッシ
ョン部材は最初撓んで徐々に増加するばね率を提供して
摩擦プレートを徐々に負荷する。ピストンがさらに移動
すると、摩擦プレートが完全な摩擦接触をするまで摩擦
プレートに対するクッション部材の印加力が増加する。
クッション部材の撓みは、ピストン表面がブレーキパッ
クと同一平面になるのでピストン表面に形成された溝の
深さに制限される。

他のタイプのクッション要素が1966年11月15日にC.A.
Helquistに対して発行された米国特許第3,285,379号に
示されている。この特許に開示されているクッション要
素は円形波スプリングであり、流体圧クラッチアセンブ
リに使用されているところが示されている。上述した特
許と同様に、波スプリングはクラッチ作動ピストンの表
面に形成された溝中に位置している。この特許の作用も
上述した特許と同様に、ピストンが移動すると波スプリ
ングはクラッチアセンブリのディスクに接触するように
なる。ピストンがさらに移動されると、スプリングが撓
んでクラッチアセンブリの摩擦ディスクの間の摩擦係合
力を緩和する。波スプリングが撓み切る前にピストン表
面がクラッチディスクに係合する。

上述したクッション要素はブレーキ及びクラッチアセ
ンブリの係合部材の緩衝作用を提供するが、ブレーキ負
荷の一部分のみが緩衝されるだけなので、望ましいばね
率特性を提供しているとは言えない。両方の特許に開示
されている力印加ピストンは、ピストン表面に溝を形成
する必要があるので、製造するのが困難で高価となる。

本発明は上述した問題の一つ或いはそれ以上を克服す
ることを目的とする。

発明の開示 本発明の一つの側面においては、緩衝機構付パワー伝
達アセンブリは、静止ハウジングと、回転ハブと、ハブ
にスプライン結合されたパワーシャフトと、ハウジング
にスプライン結合された複数の第１摩擦ディスクと、ハ
ブにスプライン結合された複数の第２摩擦ディスクとを
含んでいる。このアセンブリはさらに、ハウジング中に
位置した可動ピストンと、ピストンと摩擦ディスクとの
間に位置したクッションディスクと、ピストンをクッシ
ョンディスクに接触するように移動させるパワー手段と
を含んでいる。

クラッチ及びブレーキ作用のために複数の摩擦ディス
クを利用する例えばクラッチ及びブレーキアセンブリ等
のパワー伝達アセンブリは、摩擦ディスクが作動された
時に車輌及びオペレータに急激な衝撃負荷をしばしば発
生する。ブレーキアセンブリにおいては、ブレーキアセ
ンブリが自由回転からブレーキ作用されると車輌のオペ
レータは前のめりとなる。多くの従来のクラッチ及びブ
レーキアセンブリは、衝撃負荷を緩衝する目的のために
多くのタイプのスプリングをアセンブリ中に組み込んで
いる。これらのスプリング要素は衝撃負荷を改良してい
るが、自由回転状態から完全にブレーキがかけられた状
態へのスムーズな変移を提供する理想的な緩衝システム
を提供するものではない。

本発明は非常にスムーズなブレーキ機能を発生する望
ましいクッション機構付パワー伝達アセンブリを提供す
る。本発明は簡単で製造するのに安価なクッション要素
を利用する。

図面の簡単な説明 第１図は本発明のクッションシステムを具備したブレ
ーキアセンブリの断面図； 第２図は本発明のクッション要素の拡大平面図； 第３図は第２図の概略３−３線に沿った断面図； 第４図は本発明と先行技術システムの負荷撓み曲線を
示すグラフ； 第５図は十分に負荷された状態の本発明のクッション
要素の断面図； 第６図は本発明の他の実施態様の断面図； 第７図は本発明のさらに他の実施態様の断面図であ
る。

発明を実施するための最良の態様 図面を参照すると、例えば緩衝機構付摩擦ディスクブ
レーキアセンブリ10のような緩衝機構付パワー伝達アセ
ンブリ10は、静止した非回転ハウジング12と、回転ハブ
14と、回転パワーシャフト16とを有している。シャフト
16は、シャフト16からハブ14に回転運動を付与するため
に、ハブ14上に形成された複数の第２スプライン20に噛
み合う複数の第１スプライン18を有している。ブレーキ
アセンブリ10はさらに、ハウジング12にスプライン結合
された複数の第１摩擦ディスク24と、ハブ14にスプライ
ン結合された複数の第２摩擦ディスク26とを有するディ
スクパック22を含んでいる。第１及び第２摩擦ディスク
24,26は、第２摩擦ディスク26の各々が第１摩擦ディス
ク24の少なくとも一つに隣接するように交互に配置され
ている。実質上平らな接触表面30を有するパワーピスト
ン28がハウジング12中に位置しており、ハウジング12に
対してディスクパック22に近づく方向及びディスクパッ
クから遠ざかる方向に移動可能である。

浮動クッションディスク32がピストン28と摩擦ディス
ク24,26の間のハウジング12中に位置している。クッシ
ョンディスク32は堅いプレート状部分34と弾性部分36を
有している。堅い部分34は熱可塑性物質かまたは金属か
ら形成されており、弾性部分36は適当な耐油特性及び耐
温度特性を有するゴムかまたはエラストマ物質から形成
されている。堅い部分34は第１及び第２円形表面38,40
を有しており、第１円形表面38には複数のスロット42が
形成されて摩擦ディスク24,26に近接して配置されてい
る。ブレーキアセンブリ10を作動中にこれらのスロット
42中を冷却流体が表面38を横切って流れる。弾性部分36
を形成するのに高温エラストマが使用されたときには、
冷却用スロット42は省略可能である。弾性部分36は適当
な接着剤により堅い部分34の第２表面40に接着された大
きな平らなベースを有している。弾性部分36はその頂部
46がピストン28の平らな表面30に隣接する、その断面が
実質上三角形状またはドーム形状を有している。これに
よりブレーキパックに望ましい非線形負荷が発生する。

ブレーキアセンブリ10が作動されると、第１パワー手
段48がピストン28を移動させてクッションディスク32の
弾性部分36に接触する。ブレーキアセンブリ10が非作動
にされると、第２パワー手段50がピストン28を弾性部分
36から離れる方向に移動する。第１図に示された実施態
様においては、第１パワー手段48は一つ或いは複数のス
プリング要素52を含んでいる。第２パワー手段は流体ポ
ンプ54を含んだ流体圧源と、流体溜56と、制御弁58と、
流体ライン60と、流体通路62と、流体シリンダ64を含ん
でいる。制御弁58は第１位置59から第２位置61に移動可
能である。第１図に示されたブレーキアセンブリ10の位
置においては、ブレーキアセンブリ10は解放されてお
り、スプリング要素52は非作動状態となっている。

第４図に示されたグラフは圧力が増加したときのクッ
ションディスク32の弾性部分36の撓み量を示している。
曲線66は本発明の弾性部分36を示しており、曲線68は従
来のスプリング型クッション装置を示している。曲線70
はクッション装置を有しない従来のブレーキアセンブリ
を示している。このグラフから明らかなように、曲線66
は弾性部分36を有する本発明のクッションディスク32
が、ブレーキアセンブリ10の最適に近いばね率特性を提
供していることを示している。第５図は弾性部分36が完
全に圧縮された状態を示している。この状態において
は、撓み及び圧力は最大値であり、弾性部分36が全ての
ブレーキ負荷を支えている。

第６図及び第７図は本発明の代替実施態様を示してい
る。第６図においては、弾性部分74はその断面がドーム
形状をしており、ピストン78の平らな表面76に直接接着
されている。第７図においては、クッションディスク80
が堅い部分82と弾性部分84を含んでいる。弾性部分84は
その断面がドーム形状をしており、堅い部分82の平らな
表面86に接着されている。第６図及び第７図に示した実
施態様の弾性部分74及び84は、望ましくは耐油特性及び
耐温度特性を有するゴムまたはエラストマ物質から形成
されている。

産業上の利用可能性 図面を参照すると、本発明の緩衝機構付ブレーキアセ
ンブリ10は、特に土砂移動車輌及び建設車輌の使用に適
しているが、摩擦ディスククラッチまたはブレーキアセ
ンブリを有する他の型の車輌にも利用可能である。

ブレーキアセンブリ10が第１図に示された位置におい
ては、シャフト16、ハブ14、及び摩擦ディスク26が回転
している。ピストン28及びスプリング要素52は退避位
置、即ち非作動位置となっている。ピストン28及びスプ
リング要素52は、ポンプ54、弁58、ライン60及び流体通
路62により供給されるシリンダ64中の流体圧によりこの
位置に保持されている。ブレーキアセンブリ10を作動し
てシャフト16、ハブ14及び摩擦ディスク26の回転を停止
するためには、制御弁58が第１位置59から第２位置61に
移動される。制御弁58が第２位置になると、加圧流体が
流体シリンダ64、流体通路62、及び流体ライン60から流
体溜56に排出される。

流体シリンダ64中の加圧流体が排出されると、スプリ
ング要素52がピストンをクッションディスク32の弾性部
分36に抗して前方に移動させ、クッションディスクは摩
擦ディスク24及び26に抗して移動する。回転ディスク26
及び非回転ディスク24が強制的に一体化されると、弾性
部分36の圧縮が開始されブレーキアセンブリ10の回転部
品及び非回転部品間の反応力を緩衝する。弾性部分36
は、第５図に示されているように弾性部分が完全に圧縮
され第１及び第２摩擦ディスクが完全に摩擦表面係合す
るまで引き続いて圧縮され力を緩和する。この摩擦接触
がディスク26、相互連結されたハブ14、及び相互連結さ
れたシャフト16の回転を停止させる。これで緩衝機構付
ブレーキ作用が完了したことになる。

ブレーキ作用を解放するためには、制御弁58が第１位
置に移動され、加圧流体がシリンダ64中に再導入され
る。加圧流体がピストンを後方向に移動させてスプリン
グ要素52を圧縮させ、クッションディスク32の弾性部分
36上の圧力を解放する。ピストン64が後方に移動する
と、摩擦ディスク24及び26間の力を解放しこれらのディ
スク24,26が分離する。この状態になると、シャフト1
6、ハブ14、第２摩擦ディスク26が再び回転することが
できる。

本発明の他の側面、目的及び利益は添付図面、発明の
記述及び添付請求の範囲を研究することにより得ること
ができる。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】静止ハウジング（12）と； 回転ハブ（14）と； 前記ハブ（14）にスプライン結合された回転パワーシャ
   フト（16）と； 前記ハウジング（12）にスプライン結合された複数の第
   １摩擦ディスク（24）と； 前記ハブ（14）にスプライン結合され、その各々が前記
   第１摩擦ディスク（24）の少なくとも一つに隣接する複
   数の第２摩擦ディスク（26）と； 平面状接触表面（30）を有し、前記ハウジング（12）中
   に位置してハウジングに対して移動可能なパワーピスト
   ン（28）と； 堅いプレート部分（34）と該堅いプレート部分（34）に
   接着された弾性部分（36）を有し、前記弾性部分（36）
   が前記ピストン（28）に対向するように前記ピストン
   （28）と前記摩擦ディスク（24,26）との間に固着され
   ずに配置された浮動クッションディスク（32）と； 前記ピストン（28）を前記弾性部分（36）に接触させる
   ように及び前記弾性部分（36）から離れるように移動さ
   せるパワー手段（48,50）と； を具備した緩衝機構付パワー伝達アセンブリ（10）。