JP2907468B2 - 歯の清掃装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は歯の清掃装置にして、液圧ポンプに連結さ
れ、噴水によって歯の清掃効果を発生させるようになっ
た装置に関する。

（従来の技術） すべて人間の歯が咀嚼を行う場合には不可避的に歯の
間に食品がはさまる。発生した食品の圧縮物を除去せね
ば、これはむし歯および歯周組織疾患の原因となる。

歯ブラシを使用しても清掃し得ないような解剖学的空
間も、前記液圧ポンプによる歯間用噴水、糸楊枝、別の
ブラシ装置およびつま楊枝によれば近接することができ
る。糸楊枝は噴水を使用しなくとも、その機械的効果に
より接触点の高さにおいて歯の間にはさまれている食物
繊維を除去することができ、次に糸を小さな振幅で上下
に動かすことによって隣接する二つの歯の中間面および
その先端を擦ることができる。糸楊枝をこのように使用
することによって接触点に発生するむし歯は予防され
る。糸は接触点の高さにおいて歯の間にはさまれている
繊維を確実に除去し得ると言う点において噴水作用より
すぐれており、これに反し噴水は歯の端から端までは達
することはできない。糸はその機械的掻取り作用によっ
て得られる表面の品質から言っても噴水よりはすぐれて
いる。

これに反し噴水はすでに接触点の下方に移された圧縮
食品を敏速に除去し、かつ水圧によってこれを横方向に
除去し得ると言う利点を有している。しかしながらこの
噴水はそれによって得られる表面の品質があまり上等で
ないと言うことの他に、これを使用する時に危険の生じ
るおそれがある。実際上、特に圧力を調節する場合に
は、噴水を歯−歯肉の方向に向って斜めに当てることは
是非避ける必要があり、もしこのような噴水が長時間に
わたって行われる時には歯肉の剥離が生じるようにな
る。このような噴水を毎日使用することは歯周組織傷害
の補助要因となる。

したがってこのような危険を避けるためには噴水は厳
密にかつ選択的に操作し、すなわち噴水の方向を常に抑
制的に歯の軸線に対して垂直となるように、または歯肉
−歯の方向に斜めに指向する必要がある。

実際に、周知の液圧ポンプを使用し、かつ手によって
簡単に保持される器具により噴水を発生させて、同じ口
の中のすべての歯間空隙に対して前記の如き最適の指向
性が得られたか否かを確かめることは非常に困難であ
る。

高令または歯周組織の疾患により歯肉が後退しかつ消
失することがある。大きく開いた歯側面には圧縮された
食品が集積し易いが、これは適当に指向された噴水、ハ
ンドルに装架された歯間用ブラシまたはつま楊枝によっ
て容易に清掃することができる。

糸楊枝システムの中にはフォークの二つの分岐の端部
に取付けられた糸楊枝を有する噴水可能な糸担持装置が
ある。糸楊枝の他のシステムは二つの分岐を有するフォ
ークの形をなした糸担持装置であり、該フォークの中に
糸を通すようになっているが、この操作は困難である。
さらにフォークを備えた糸楊枝システムにして、その二
つの分岐に糸を受入れるための溝孔を有するシステムが
あり、この場合は糸の配置は簡単であるが、これを組立
てかつ使用する時、特に糸を接触点から外す時に、溝孔
に対する糸の保持が不安定である。

最後に米国特許第4,031,908号にも同様な歯清掃装置
にして、フォークの二つの分岐の間に糸楊枝を設け、か
つ該フォークの分岐の一つから他の分岐の方に向って、
前記糸楊枝に近接するように噴水を発出させる装置が記
載されている。しかしながらこの周知の装置もいくつか
の欠点を有している。

この装置には一つの噴水しか設けられていないから、
１回の操作では一つの方向における洗浄しか行われず、
二つの方向における洗浄を行うには２回の操作が必要で
ある。したがって一つの方向における洗浄だけでは二つ
の歯間側面すなわち前庭および舌の方に向いた歯側面の
圧縮食品しか除去することはできない。

さらに糸楊枝担持部材はなるべくすべての歯に正しく
近接するように、内方に湾曲したフォークの形となす必
要があるがこの周知の装置のフォークは２回の操作を可
能にするためにフォークの形を平らにせねばならぬ。

さらにまた２回の操作が必要とされ、噴水はこれを傾
斜させても歯の軸線に対して垂直に作用するようにしか
考えられていないから、最初の操作において歯肉−歯の
方向に正しく位置決めしても、装置を180度回転させて
２回目の操作を行う時には誤った方向、すなわち歯−歯
肉の方向に向くようになる。

なおこの問題は噴水が一つだけしか設けられていない
とう言うことに起因するものであり、この周知の装置に
おいて注意すべきことは、切断した糸楊枝片を新規な糸
楊枝片と取換え、かつこの糸楊枝片に正しい引張力を加
える時にはある種の困難、すなわち一方においてはフォ
ークの二つの分岐の自由端に設けられる二つの穴が非常
に小さいためにこの穴に糸楊枝を通すことが容易でない
と言うことと、他方においてはこの糸楊枝の引張状態に
おける締着が装置本体（ハンドル）とフォークの形をな
した頭部との間に糸楊枝の両端を掛止し、前記二つの部
分をねじによって連結せねばならぬと言う問題が生じる
ことである。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明の目的は一回の操作で歯間空隙を完全に浄化し
得る歯清掃装置を供することである。本発明は同様に噴
水を使用する改良された歯清掃装置にして、噴水が常に
歯肉−歯の方向に向って正しく指向されるようになった
装置を供することを目的としている。

（問題を解決するための手段） 本発明による歯清掃装置は二つの分岐を有するフォー
クの形をなし、かつ液圧ポンプに連結し得るようになっ
た器具よりなっている。本発明によれば二つの各分岐は
その内面に噴水の出口となるオリフィスを有し、これら
二つのオリフィスは二つの噴水をずれた状態で反対方向
に指向するように位置している。

反対方向の、しかもずれた二つの噴水は１回の操作で
二つの歯間側面、すなわち前庭および舌の方に向いた歯
側面を確実に清掃し、したがって清掃効率は相互に衝当
することのないように指向される二つの噴水から生じる
回転（渦流）効果に起因して著しく改善される。なお同
じ歯側面に対する二つの相対する噴水の相継ぐ作用によ
って該歯側面内の圧縮されている食物に対して交互作用
（プッシュプル）が生じ、この作用は特に緩解および排
除に効果のあることが実証されている。

噴水出口となる二つのオリフィスは、これら二つの噴
水を平行に、しかもずれた状態で発出させるように効果
的に配置することができ、したがって器具を歯に対して
斜めに位置決めした時も、二つの噴水の少なくとも一つ
が効果的に歯間側面に達する可能性が大となる。

二つのオリフィスはなるべくは、二つの噴水を歯肉−
歯の方向に向って斜めに収斂させるように位置決めさ
れ、これによって二つの噴水が常に正しい方向に指向さ
れる。

なお本発明の範囲内において、フォークの形をなした
器具の各分岐に複数のオリフィスを設け、複数の噴水ま
たはシャワーを発出させるようになすことができる。

本発明による装置はさらに反対方向の二つの噴水を発
出させる二つの分岐を備えた器具に、糸楊枝を通しかつ
これを前記二つの分岐の自由端の近くに維持するための
二つの穴を設けたものとなすことができる。この場合は
前記オリフィスの近くに配設される前記穴の寸法および
位置は糸楊枝の通路と保持および（または）ブラシある
いは毛束の保持を選択的に行うようにされる。したがっ
て本発明による装置は複式噴水および糸楊枝として同時
に使用することができ、二つの清掃作用は相互に補足し
合う。もし年令が増加するに連れて歯間空隙が増大する
ようになれば前記糸の代りに案内穴の中に楔止したブラ
シまたは毛束を使用することができる。糸楊枝とブラシ
または毛束を同時に保持することは可能である。

本発明の好ましい実施例の他の主な特徴を整理してお
けば、以下のとおりである。

（１）前記オリフィス（15,16;20,21）は、対をなすよ
うに対向形成されたオリフィスが二つの噴水（17,18;2
1,23）を、ずれた平行方向に噴出せしめ得るようになっ
ていること。

（２）前記オリフィス（15,16;20,21）は、対をなすよ
うに対向形成されたオリフィス（15,16）が歯肉・歯の
方向に収斂するように二つの斜めに噴水（17,18）を噴
出させるような向きになっていること。

（３）器具の各分岐（2,3）が複数のオリフィス（20,2
1）を有し、複数の噴水またはシャワー（22,23）を噴出
せしめ得るようになっていること。

（４）糸楊枝を通し、かつこれをフォークの形をなした
器具の前記二つの分岐の自由端の近くに維持するため
に、さらに二つの穴を有し、前記オリフィス（15,16）
の近くに配設されている前記穴（4,5）が、糸楊枝（6,2
9）の通路の選択と維持および（または）ブラシ（24）
または毛束（27）の維持を可能にするような寸法を有し
かつそのように配置されていること。

（実施例） 第１図に示される如く歯の清掃器具の本体１の端部は
二つの分岐2,3を有するフォークとなっている。このフ
ォークの二つの分岐2,3は本体１に対して傾斜し、該フ
ォークの共通面がその自由端において器具本体１の面に
対してほぼ45度の角度をなすようにされており、かつ二
つの分岐2,3は本体１の縦軸線に対し対称となるように
相互に拡開している。

本体１の分岐2,3はその自由端の近くに糸楊枝６を通
すように配置された二つの整合穴4,5を有し、該糸楊枝
の両端は本体１の上に配置された二つの止め具７に巻き
つけられかつ楔止されるようになっている。

本体１の反対端部は継ぎ口８となり、後で第２図によ
って説明するように液圧ポンプのハンドルの中に受入れ
られるようになっている。前記継ぎ口８は液圧ポンプハ
ンドル内の密封継ぎ手に対応するのど９を有し、かつ該
本体１と継ぎ口８との間には着色された肩が設けられ、
器具を区別し得るようになっている。

器具の本体１が液圧ポンプ11のハンドル10に連結され
ている第２図の場合は、前記継ぎ口８と本体１との中を
導管12が通り、該導管は二つの導管13,14に分割されて
分岐2,3の自由端の近くに達し、ここでこれらの導管は
穴4,5の近くにおいてオリフィス15,16により前記分岐の
内面と連通していることがわかる。オリフィスは液圧ポ
ンプ11が始動した時に、二つの噴水17,18を反対方向に
指向するように配置されている。

第３図の場合は第１図および第２図に示された器具が
同時に第１図に示された糸楊枝６を有する清掃器具とし
て、かつ第２図に示された二つの噴水17,18を有する清
掃器具として使用される。

第４図に示された変型においては、反対方向の二つの
噴水17,18を形成するためにフォークの二つの分岐2,3の
中に設けられた第２図の二つのオリフィス15,16の代り
に複数のオリフィス20,21が設けられ、反対方向の二つ
のシャワーを形成する二つの複式噴水22,23を形成する
ようになっている。

第２図および第３図に示された反対方向の二つの噴水
17,18に関しては、第４図に示された反対方向の二つの
複式噴水22,23と同様に、これら噴水が平行ではある
が、第２図から第４図までに示されているように、器具
本体の長さの方向にずらされていることに注意せねばな
らぬ。

第５図の場合は二つの分岐2,3の中に設けられた二つ
のオリフィス15,16は歯肉−歯の方向に傾斜して収斂す
る二つの噴水17,18を形成するように配置されている。
このように二つの噴水は歯周組織の健康に有害な歯茎の
剥離を発生させないように自動的に指向される。

第６図の場合は二つの穴4,5の一つ、すなわちフォー
クの形をなした器具の分岐２の穴５は半径方向のブラシ
24を受入れ、該ブラシの体部25はフォークの内部から穴
５の中に嵌入され、かつ摩擦によりまたは肩あるいは締
着リング26によってその位置に保持され、該ブラシ24が
分岐３から他の分岐２の方に突出するようにされてい
る。

言うまでもなく他の分岐２の穴４も、分岐３の方に向
いたブラシを受入れるようになすことができる。

第７図の場合は軸線方向の二つの毛束27が二つの分岐
2,3の二つの穴の中に固定され、該毛束の体部28は第６
図のブラシの場合と同様に摩擦または締着によって嵌込
まれかつ保持されている。

注意すべきことは第６図によるブラシ24も第７図によ
る毛束27と同様になるべくは複式噴水17,18と同時に使
用され、かつ第１図、第３図および第５図に示された糸
楊枝６と同時に使用することができ、穴4,5も同時に糸
楊枝６を通しかつブラシ24または毛束27の体部25,28を
嵌込む時に使用し得ることである。

以上に説明した実施例において使用された糸楊枝６は
市販の糸ボビンから引出される一定長さの糸楊枝よりな
っている。使用に際してはこのような糸は歯間空隙全体
の清掃を終了した度びに切取られる。すなわち少なくと
も１回使用した後は取換える必要がある。

前記取換作業はボビンから十分な長さの糸を引出して
これを切断し、その一端を器具の本体、たとえば止め具
７に掛止めすることよりなる。次に糸の他端を穴4,5に
通す。糸の配置は前記作業を行う時、糸の他端を装置の
本体、たとえば止め具に掛止めする前にこの端部を引張
することによって終る。

実際にはこの糸の取換え作業は、使用者が器用であれ
ば容易に行うことができる。事実糸の取換えには次の動
作が必要である。

ａ）ボビンらから所要の長さの糸を引出す（長過ぎれば
無駄となり、短か過ぎれば糸の取付けができない）、 ｂ）特定の道筋にしたがって糸を動かしかつ前記穴に通
すことによって糸を取付ける。この穴自体の直径は糸の
直径よりわずかしか大きくないから、この作業にはある
程度の器用さと、時間とが必要である。

ｃ）この作業は普通濡れた手で行われ、したがって糸は
くっつき、安定が容易になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は糸楊枝担持部材として働くフォークの形をなし
た器具の透視図、第２図は複式噴水型の歯清掃装置とし
て働く液圧ポンプに連結した同じ工具の透視図、第３図
は糸楊枝担持部材および複式噴水型歯清掃装置としての
機能を有する同じ器具の透視図、第４図はフォークの形
をなした器具の各分岐によって複式噴水を形成する変型
器具を示す図、第５図は歯肉−歯の方向に向って収斂す
る二つの斜め噴水を有する変型器具を示す図、第６図は
複式噴水およびブラシ担持部材を有する変型器具を示す
図、第７図は複式噴水および毛束担持部材を有する変型
器具を示す図である。 １……本体、2,3……分岐、4,5……穴、６……糸楊枝、
７……止め具、８……継ぎ口、10……ハンドル、11……
液圧ポンプ、12……導管、15,16……オリフィス、17,18
……噴水、24……ブラシ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】液圧ポンプ（11）に連結し得る二つの分岐
   （2,3）を備えたフォーク形器具（１）よりなる歯の清
   掃装置において、前記器具（１）の二つの分岐（2,3）
   の各内面に、噴水（17,18;21,23）の出口として少なく
   とも一つのオリフィス（15,16;20,21）を有し、これら
   二つの分岐に対をなすように対向して形成されたオリフ
   ィスが二つの噴水を非整合反対方向に噴出せしめ得るよ
   うに配置されており、前記オリフィス（15,16;20,21）
   は、対をなすように対向形成されたオリフィスがぶつか
   り合うことのないように非整合状態になった二つの噴水
   を噴出せしめるような向きに向いていることを特徴とす
   る歯の清掃装置。
2. 【請求項２】前記オリフィス（15,16;20,21）の近くに
   穴（4,5）をさらに備え、当該穴は、糸楊枝（６）、ブ
   ラシ（24）および毛束（27）のうちの少なくとも一を前
   記フォーク形器具（１）の二つの分岐の自由端の近くに
   維持可能とするものであることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項に記載の歯の清掃装置。