JP2905788B2 - 回転運動倣い装置 - Google Patents

回転運動倣い装置

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JP2905788B2 JP30262194A JP30262194A JP2905788B2 JP 2905788 B2 JP2905788 B2 JP 2905788B2 JP 30262194 A JP30262194 A JP 30262194A JP 30262194 A JP30262194 A JP 30262194A JP 2905788 B2 JP2905788 B2 JP 2905788B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は,筋力とスピードおよ
び持久力が必要とされる回転運動を伴なうスポーツの選
手の能力向上装置および能力判定装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】漕艇競技では,漕手がオールのハンドル
を水平方向に約90゜の範囲で反復的に回転させて艇を
推進し、自転車競技では,選手がペダルを回転させて自
転車を前進させる。両競技においてより速い平均速度を
実現するために選手には,筋力とスピードおよび持久力
が要求される。これらの競技の選手の能力を向上させる
ためにも,各選手の能力を比較・判定するためにも,回
転運動をさせるためのトルクおよび回転速度を同時に制
御する倣い装置が必要とされる。これまで回転運動の負
荷トルクと回転速度を同時に精度および再現性よく制御
できる回転運動倣い装置はなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】漕艇競技のオールのハ
ンドルの回転速度と負荷トルクはハンドルの回転角θに
よって変化するので,該回転速度と該回転角θの関係を
速度関数N(θ)と定義し,該負荷トルクの該回転角θ
の関係をトルク関数T(θ)と名付ける。自転車競技の
ペダルの回転速度と負荷トルクもペダルの回転角θによ
って変化するので,該回転速度と該θの関係および該負
荷トルクと該θの関係を漕艇競技と同様にそれぞれ速度
関数N(θ)およびトルク関数T(θ)と名付ける。あ
る速度を一定時間継続して実現するためには,選手はこ
の負荷トルク関数T(θ)および速度関数N(θ)を同
時に継続して実現する必要がある。
【0004】これら競技の選手の能力を判定評価するた
めの回転運動倣い装置には,選手が負荷を取り付けた回
転軸を正転させる時,設計した負荷トルクに打ち勝つ必
要のある機能および該回転軸の回転速度の上限を制御す
る機能が必要である。本発明が解決しようとする課題
は, (1)負荷を取り付けた回転軸を正転方向に回転させる
ためには,該トルク関数T(θ)の関数として設計した
負荷トルクに打ち勝つ必要があり (2)該回転軸の正転方向の回転速度が該速度関数N
(θ)として設計した回転速度を越えようとすると該回
転軸に追加の負荷トルクが加わり (3)該回転軸を逆回転方向に回転させる時には,無負
荷で回転できる装置を考案することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】負荷として、漕艇のオー
ルのハンドルを取り付けた回転軸の一端部にワンウェイ
クラッチと変速機および速度制御用可変速モータを連結
するとともに、前記回転軸の他端部にワンウェイクラッ
チと変速機およびトルク制御用可変速モータをそれぞれ
連結し、この負荷の回転角を変数としてそれぞれ任意に
設定する関数の値を指令信号に変換して、前記速度制御
用およびトルク制御用可変速モータのそれぞれのドライ
バに入力することにより、前記負荷を正転方向に回転さ
せるためのトルクの下限および前記負荷の回転速度の上
限を、前記負荷の回転角の関数として同時に制御する
とを特徴とする回転運動倣い装置で本発明の課題を解決
する。
【0006】
【作用】図1に基いて説明する。本発明の課題を解決す
るためには, (1)負荷トルク107を取り付けた回転軸106およ
び108は正転する時,可変速モータ101および11
4と連結し,回転軸106および108が逆転する時に
は可変速モータ101および114と非連結となるよう
に可変速モータ101と回転軸106との間に変速機1
02およびワンウェイクラッチ103を配置し,可変速
モータ114と回転軸108の間に変速機113および
ワンウェイクラッチ112を配置すること (2)速度制御用可変速モータ101は常に回転軸10
6の正転方向と同じ方向に回転し,トルク制御用可変速
モータ114も原則として回転軸108の正転方向と同
じ方向に回転する。
【0007】(3)ロータリーエンコーダ123を配置
し,回転軸108に取り付けたタイミングプーリ109
とタイミングベルト115およびタイミングプーリ11
6を介して,負荷の107の回転角θを計測すること (4)負荷107の回転角θの関数として速度関数N
(θ)とトルク関数T(θ)を設計し,ロータリーエン
コーダ123で計測する負荷107の回転角θの値に対
応する速度関数N(θ)とトルク関数T(θ)の値を求
め,速度関数N(θ)の値は可変速モータ101のドラ
イバーに速度指令信号として入力し,トルク関数T
(θ)の値は可変速モータ114のドライバーにトルク
指令信号として入力することが必要である。
【0008】本発明による回転運動倣い装置は,回転軸
106と108および負荷107は,バックラッシュな
しで一体となって回転する。負荷107が可変速モータ
114の制御方向と同じ方向に回転する時,ワンウェイ
クラッチ112が連結して,負荷107には可変速モー
タ114の制御トルクがかかる。可変速モータ114は
例えばACサーボモータのようにトルク指令信号をドラ
イバーに入力することにより,負荷トルクを制御できる
モータであり,ワンウェイクラッチ112が連結してい
る時負荷107を回転させるための負荷トルクを可変速
モータ114のドライバーに入力するトルク指令信号に
よって制御でき,負荷107の回転が可変速モータ10
1の回転に追い付くとワンウェイタラッチ103が連結
して107には更に可変速モータ101の制御トルクが
加わる。可変速モータ101は例えばACサーボモータ
のようにドライバーに速度指令信号を入力することによ
り,回転速度を制御できるものであり,負荷107の回
転速度の上限は可変速モータ101のドライバーに入力
する速度指令信号によって制御できる。
【0009】可変速モータ101のドライバーには負荷
107の正転方向にモータが回転する速度指令信号を入
力し,可変速モータ114のドライバーには負荷107
が正転する時に制動トルクが働き,負荷107が逆転す
る時可変速モータ114を正転させるため負荷107の
逆転方向に可変速モータ114の制動トルクが働くよう
にトルク指令信号を入力することによって,負荷107
を正転させると可変速モータ114の制動トルクが常に
負荷107にかかり,負荷107の回転が可変速モータ
101の回転に追い付くと負荷107には可変速モータ
101の制動トルクが可変速モータ114の制動トルク
に追加されて加わわる。可変速モータ101の制動トル
クがドライバーに設定してあるトルク制限の値に達する
と可変速モータ101は,負荷107によって加速され
る。負荷107が逆転する時には,可変速モータ101
および114は正転するのでワンウェイクラッチ103
および112は非連結となり,負荷107を無負荷で回
転できる。
【0010】ロータリーエンコーダ123で計測する負
荷107の回転角θに対応する前記の速度関数N(θ)
およびトルク関数T(θ)の値を求め,可変速モータ1
01のドライバーと可変速モータ114のドライバーに
それぞれ速度指令信号およびトルク指令信号として該関
数の値を入力して,正転する時の負荷107の負荷トル
クの下限を可変速モータ114の制動トルクによって,
また負荷107の回転速度の上限を可変速モータ101
の回転速度によって,負荷107の回転角の関数として
制御することができる。前記の速度関数N(θ)および
トルク関数T(θ)は,それぞれ自由に設計することが
できることから,各選手の能力を向上させるように両関
数を設計することも,両関数の設計を工夫して各選手の
能力を科学的に比較評価することも可能となる。
【0011】
【実施例】図面に基いて本発明の実施例を説明する。図
1は本発明の漕艇競技への実施例であり,図2は負荷1
07と軸106および108の組立図の正面図であり,
図3は該組立図の側面図である。本発明の回転運動倣い
装置は回転軸106および108が鉛直になるように据
え付けられる。回転軸106と108および軸受押え2
02が一体であり,軸受押え201および203は軸受
204の内輪を,軸受押え202および205は軸受2
04の外輪を押えており,軸受け押え201に取り付け
られた負荷107は軸受204を中心として上下方向に
自由に回転することができる。オール先端のブレードが
水中に入って艇を推進するストローク過程では,漕手は
負荷107を正転させて艇の推進力を造り出し,該ブレ
ードが空中にあるフォワード過程では漕手は,負荷10
7を逆転させて次のストローク過程の準備をする。
【0012】可変速モータ101および114は負荷1
07の正転方向と同じ方向にそれぞれ回転している。例
えば負荷107の正転方向が上から見て時計回り方向と
すると可変速モータ101は負荷107側から見て反時
計回り方向に回転し,可変速モータ114は負荷107
側から見て時計回りに回転する。負荷107を逆転方向
に回転する時,ワンウェイクラッチ103および112
は非連結となり,無負荷で負荷107を回転することが
できる。負荷107を正転させる時ワンウェイクラッチ
112が連結するので,トルク制御用可変速モータ11
4の制動トルクが負荷107にかかる。負荷107の回
転が速度制御用可変速モータ101の回転に追い付く
と,ワンウェイクラッチ103が連結して,負荷107
には可変速モータ114の制動トルクと可変速モータ1
01の制動トルクの合計が負荷トルクとして加わる。可
変速モータ101のドライバーにはトルク制限指令が設
定してあり,可変速モータ101の制動トルクがこのト
ルク制限値に達すると,負荷107は可変速モータ10
1を加速する。
【0013】可変速モータ101のドライバーには速度
指令信号を入力して回転速度を設定し,可変速モータ1
14のドイラバーにはトルク指令信号を入力して,トル
ク制御を行なわせる。速度指令信号を負荷107の回転
角θの関数である速度関数N(θ)として設計し,トル
ク指令信号を負荷107の回転角θの関数であるトルク
関数T(θ)として設計し,ロータリーエンコーダ12
3で計測した負荷トルク107の回転角θの値に対応し
た該速度関数N(θ)の値および該トルク関数T(θ)
の値を求め,可変速モータ101のドライバーおよび可
変速モータ114のドライバーにそれぞれ入力すること
により,負荷107を正転させる時の負荷トルクの下限
および回転速度の上限を該関数N(θ)およびT(θ)
によって,負荷107の回転角θの関数としてそれぞれ
制御することができる。
【0014】負荷107に働くトルクをT(θ)と
し,回転軸108に働くトルクをT(θ)とし,負荷
107の回転速度をN(θ)とし,変速機102の低
速側の回転速度の設計値をN(θ)として,T
(θ)/T(θ)およびN(θ)/N(θ)の
値をそれぞれ観察することにより,負荷107を操作す
る漕手の能力を判定することができる。すなわち (1)T(θ)/T(θ)=1,N(θ)/N
(θ)<1のとき負荷107の回転が可変速モータ10
1の回転に追い付くことができず,漕手がスピードにお
いて劣っていることがわかる。 (2)T(θ)/T(θ)>1,N(θ)/N
(θ)=1のとき負荷107が設計した該速度関数N
(θ)と該トルク関数T(θ)を倣っており,漕手が目
標とする艇速を実現する能力を有していると判定でき
る。 (3)T(θ)/T(θ)>1,N(θ)/N
(θ)>1のとき負荷107が可変速モータ101を可
速しており,設計した該速度関数N(θ)と該トルク関
数T(θ)で実現できる艇速より速い艇速を実現する能
力を漕手が持っていると判定できる。能力をさらに向上
させるためには,該速度関数をN(θ)+ΔN(θ)
と,該トルク関数をT(θ)+ΔT(θ)と設計し直し
て,より速い艇速を目標とすればよい。
【0015】可変速モータ101および114として
は,ACサーボモータが適当であるが,マイナス負荷に
対する回生抵抗ユニットを備えた他の型式のモータでも
よい。トルク制御用のACサーボモータのドライバー
は,無負荷のときモータを制動トルクをかけたい方向と
反対の方向に回転させるので,逆転方向に回転している
負荷107の回転速度が遅いとワンウェイクラッチ11
2が連結して,可変速モータ114が負荷107を加速
するという不都合が生じる。この不都合を解消するため
負荷107が逆転方向に回転している時には,トルク指
令信号として−T(θ)を可変速モータ114のドライ
バーに入力し,可変速モータ114の制動トルクの働く
方向を逆転方向にして可変速モータ114を正転させる
などの工夫をすればよい。負荷107の回転が逆転方向
から正転方向に切り替る時,ワンウェイクラッチ112
が連結する瞬間に該トルク関数T(θ)で指令された制
動トルクより大きな負荷トルクが負荷107にかかると
いう不都合が生じることがある。この不都合は可変速モ
ータ114の制動方向が逆転方向から正転方向に切り替
るときに,変速機113が瞬間的に停止することによる
ものなので,可変速モータ114のドライバーに入力す
るトルク指令信号を切り替えるタイミングを負荷107
の回転方向の切り替えからΔt秒遅らせるなどしてこの
不都合の影響を緩和する必要がある。
【0016】自転車競技への実施例においては,負荷1
07がペダルとなり,常に正転することから,可変速モ
ータ101は常に正転しており,可変速モータ114の
制動トルクの働く方向は正転方向である。その他の筋力
とスピードおよび持久力が必要とされるスポーツ競技に
おいても選手の体の動きが回転運動としてモデル化でき
るものに対しては,回転運動の負荷トルクの下限と回転
速度の上限を同時に制御する本発明の回転運動倣い装置
を選手の能力向上装置および選手の能力判定装置として
応用できる。変速機113の伝達効率が,回転数や伝達
トルクや周囲温度などによって大きく変化する場合に
は,回転軸108に働くトルクが可変速モータ114の
制動トルクに比例しなくなる。そこでより正確に負荷1
07の負荷トルクの下限が設計値となるように制御する
ためには,回転軸108に働くトルクT(θ)が設計
値となるように可変速モータ114のドライバーに入力
するトルク指令信号を制御すればよい。
【0017】
【発明効果】以上説明したように本発明によれば,回転
運動を伴なうスポーツ競技の選手の行なう回転運動の負
荷トルクの下限および回転速度の上限を回転角θの関数
として同時に制御することができ,二つの制御関数すな
わち負荷トルク関数T(θ)および速度関数N(θ)を
目標とする成績(例えば,平均速度や到達距離など)を
実現できるように設計することにより,選手の能力向上
および能力判定を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示した正面図である。
【図2】本発明の漕艇競技への実施例の負荷107の取
り付け状態を示した正面図である。
【図3】本発明の漕艇競技への実施例の負荷107の取
り付け状態を示した側面図である。
【符号の説明】
101,114……可変速モータ 102,113……変速機 103,112……ワンウェイクラッチ 104,111,118,120……軸受 105,110,119,121,122……サポート 106,108,117……回転軸 107……負荷 109,116……タイミングプーリ 115……タイミングベルト 123……ロータリーエンコーダ 124……フレキシブル継手 201,202,203,205……軸受押え 204……軸受 206,207……キー

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】負荷として、漕艇のオールのハンドルを取
    り付けた回転軸の一端部にワンウェイクラッチと変速機
    および速度制御用可変速モータを連結するとともに、前
    記回転軸の他端部にワンウェイクラッチと変速機および
    トルク制御用可変速モータをそれぞれ連結し、この負荷
    の回転角を変数としてそれぞれ任意に設定する関数の値
    を指令信号に変換して、前記速度制御用およびトルク制
    御用可変速モータのそれぞれのドライバに入力すること
    により、前記負荷を正転方向に回転させるためのトルク
    の下限および前記負荷の回転速度の上限を、前記負荷の
    回転角の関数として同時に制御することを特徴とする回
    転運動倣い装置。
JP30262194A 1994-10-17 1994-10-17 回転運動倣い装置 Expired - Lifetime JP2905788B2 (ja)

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