JP2904606B2 - 皮膚表面形態の評価方法及びそのための装置 - Google Patents

皮膚表面形態の評価方法及びそのための装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膚表面形態の評価方
法及びそのための装置に関し、特に皮膚表面の凹凸デー
タをフーリエ変換して得たパワースペクトルと1/fゆ
らぎのパワースペクトルとを比較することのできる皮膚
表面形態の評価方法及びそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚表面の微少な形態を評価し、その特
徴を的確に識別することは、美容、化粧などにとって皮
膚の性状や肌質を知る指標を得る上で、極めて重要なこ
とである。
【0003】従来、皮膚性状・肌質などを把握するため
の皮膚表面形態を知る方法としては、適当な材料を用い
て皮膚表面形状を写し取るレプリカ法や、皮膚表面形状
をカメラなどで拡大・実写する方法が行われていた。そ
してこれらの方法によって得られた画像を視覚的に観察
し、皮膚形態の凹凸の状態を評価していた。
【0004】一般的には、観察者が、皮溝の密度・深さ
・間隔、皮丘の大きさなど、いわゆる皮膚表面形状の複
雑な特徴を判読し、肌質の判定や皮膚形態の凹凸状態の
評価を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の方法にあっては、肌質の判読や皮膚形態の凹凸
の状態を評価するための専門知識が必要であり、専門的
知識を有する特定の者しか評価することができなかっ
た。このため、専門的知識をほとんど有しない一般ユー
ザには、肌質の判定や皮膚形態の凹凸の状態を容易に評
価することができなかった。
【0006】そこで、本発明の目的は、一般のユーザで
あっても、皮膚表面形態の状態を容易に評価することの
できる皮膚表面形態の評価方法及びそのための装置を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために皮膚表面形態の評価方法及びそのための装
置として下記の構成とした。図1は本発明の原理図であ
り、図1を用いて皮膚表面形態の評価方法及びそのため
の装置を説明する。
【0008】本発明の方法では、皮膚表面または皮膚レ
プリカから皮膚表面の凹凸データを得て、得られた凹凸
データを多段階の階層を有する信号に変換し、変換され
た信号に対してスペクトル解析を施してパワースペクト
ルを求め、縦軸のパワースペクトルと横軸の周波数両対
数値の関係から得られる回帰直線の傾きが、横軸を0度
としたとき、−15度から−75度の範囲にあるとき、
皮膚表面形態を良好と判定することを特徴とする。
【0009】本発明の装置では、皮膚表面または皮膚レ
プリカ(1)から皮膚表面の凹凸データを得る読取手段
(2)と、得られた凹凸データを多段階の階層を有する
信号に変換する変換手段(4)と、変換された信号に対
してスペクトル解析を施してパワースペクトルを求める
フーリエ変換手段(13)と、縦軸のパワースペクトル
と横軸の周波数両対数値の関係から得られる回帰直線の
傾きを算出する算出手段(14)と、得られた回帰直線
の傾きが、横軸を0度としたとき、−15度から−75
度の範囲にあるとき、皮膚表面形態を良好と判定する判
定手段(15)とを備えている。
【0010】以上において、前記回帰直線の傾きが1/
fと一致するときが皮膚表面形態の最良点と考えられ
る。
【0011】
【作用】本発明によれば、判定結果が所定の傾きの範囲
内にあるとき、皮膚表面形態を良好と判定するので、皮
膚表面形態の判定に専門的な知識や経験を有しない。
【0012】一般ユーザであっても、皮膚表面形態の特
徴を直感的に容易に評価することが可能となる。
【0013】
【実施例】本発明の具体的な実施例について説明する。
図2は本発明に係る皮膚表面形態の評価方法を実施する
ための皮膚表面形態の評価装置の実施例1を示すブロッ
ク図である。
【0014】図1、図2において、1は皮膚表面を写し
取った皮膚レプリカであり、例えばシリコン樹脂または
シリコン樹脂あるいはその他のラバーベースに硬化剤を
混合したもの、更にポリビニルアルコールを主要成分と
したものなどを材料としている。このような材料を皮膚
表面に塗布し乾燥後、皮膚から剥すことで皮膚レプリカ
1を得ることができる。
【0015】表面粗さ計2は、皮膚表面形態の皮膚レプ
リカ1を走査し、皮膚レプリカ1の表面粗さを凹凸のア
ナログデータで得る。
【0016】図3は人の肌状態の良い肌表面を写し取っ
た皮膚レプリカ1の一例を示す図であり、図4はこの皮
膚レプリカ1の一定軸に沿った皮膚表面の凹凸のアナロ
グデータを示す図である。
【0017】信号増幅装置3は、表面粗さ計2から取り
込まれる皮膚表面の凹凸のアナログデータを所定のレベ
ル、すなわち後述するA/D変換装置4の仕様に適合し
たレベルまで増幅する。
【0018】A/D変換装置4は、信号増幅装置3から
の増幅された皮膚表面の凹凸のアナログデータを、多段
階の階層を有するデジタル信号に変換する。この場合
に、階調は、例えば8,16,32,64,128階調
などの仕様である。
【0019】情報処理装置5は、コンピュータなどであ
り、A/D変換装置4からの皮膚表面の凹凸のデジタル
信号を取り込み、これをフレームメモリなどからなる波
形記憶装置6に記憶したり、あるいは波形記憶装置6に
記憶された凹凸のデジタル信号を読み出して、インター
フェイス8に供給する。VDT(モニタ)7は、A/D
変換装置4からの皮膚表面の凹凸のデジタル信号を画像
として表示する。
【0020】情報処理装置9は、コンピュータなどから
なり、インターフェイス8を介して情報処理装置5から
の皮膚表面の凹凸のデジタル信号を取り込む。
【0021】波形記憶装置10は、デジタル信号の波形
を記憶したり、あるいは記憶されたデジタル信号を情報
処理装置9に供給する。VDT(モニタ)11は、加工
処理されたデジタル信号を画像として表示する。
【0022】フーリエ変換装置13は、フーリエ変換法
を用いて信号を周波数分析し、各周波数に対するパワー
スペクトルを求めるもので、皮膚表面の凹凸のデジタル
信号を周波数解析して各周波数に対するパワースペクト
ルを求める。
【0023】算出手段14は、フーリエ変換により得ら
れた、縦軸のパワースペクトルと横軸の周波数両対数値
の関係から得られる回帰直線の傾きを算出する。
【0024】判定手段15は、得られた回帰直線の傾き
が、横軸を0度としたとき、−15度から−75度の範
囲にあるとき、皮膚表面形態を良好と判定する。このと
き傾きがパワースペクトルの1/fと同一の傾きである
とき最良の皮膚表面形態と考えられる。
【0025】プリンタ16は、加工処理されたパワース
ペクトルをプリントする。次にこのように構成された実
施例1の皮膚表面形態の評価装置及び評価方法について
説明する。まず、表面粗さ計2を用いて、例えば図3に
示すような肌状態の良い皮膚レプリカ1を一定軸に沿っ
て走査すると、図4に示すような皮膚表面の凹凸のアナ
ログデータを得る。また例えば図6に示すような肌状態
の悪い皮膚レプリカ1を一定軸に沿って走査すると、図
7に示すような皮膚表面の凹凸のアナログデータを得
る。
【0026】次に信号増幅装置3により皮膚表面の凹凸
のアナログデータを所定のレベルまで増幅し、さらにA
/D変換装置4により例えば64階調のデジタル信号に
変換する。
【0027】そして皮膚表面の凹凸のデジタル信号を、
情報処理装置5、インターフェイス8を介して情報処理
装置9の制御の下に凹凸の信号をフーリエ変換装置13
に取り込む。
【0028】フーリエ変換装置13により凹凸の信号を
フーリエ変換すると、凹凸の信号のパワースペクトルP
2が求められる。そしてこのパワースペクトルP2は、
プリンタ16に図5に示すようにプリントされる。さら
に、算出手段14で縦軸のパワースペクトルと横軸の周
波数両対数値の関係から得られる回帰直線の傾きを算出
する。
【0029】一方、判定手段15によって、回帰直線の
傾きが横軸を0度としたとき、−15度から−75度の
範囲にあるか否かが判断され、その範囲内にあるとき、
皮膚表面形態を良好と判定する。
【0030】例えば図4に示すような肌状態の良い肌の
凹凸データを加工処理した信号のパワースペクトルP2
は、判定手段15によって前記範囲内にあると判定され
る。このときのパワースペクトルP2を図5に示す。
【0031】よって、皮膚表面形態に関する専門的な知
識を有しない一般ユーザであっても、皮膚表面形態の特
徴を直感的に容易に良好と評価することが可能となる。
【0032】さらに例えば図7に示すような肌状態の悪
い肌の凹凸データを加工処理した信号のパワースペクト
ルP3は、判定手段15によって前記範囲外にあると判
定される。このときのパワースペクトルP3を図8に示
す。
【0033】よって、皮膚表面形態に関する専門的な知
識を有しない一般ユーザであっても、皮膚表面形態の特
徴を直感的に容易に不良と評価することが可能となる。
【0034】なお、この実施例において、インターフェ
イス8を省略し、情報処理装置5と情報処理装置9とを
同一のコンピュータで形成でき、モニタ7と11とを一
つのモニタで共用でき、同様に波形記憶装置6も波形記
憶装置10と共用できる。 <実施例2>次に本発明の実施例2について説明する。
図9は実施例2の皮膚表面形態の評価方法を実施するた
めの装置を示すブロック図である。
【0035】図9において、装置は、皮膚レプリカ1に
光を照射し皮膚レプリカ1の表面形態を明瞭に写す照明
装置21、光学レンズなどを有し皮膚レプリカ1の表面
形態(表面の凹凸)を任意の倍率で光学像として得る拡
大光学系22、CCDカメラなどであって拡大された光
学像を、皮膚表面画像の輝度を表すための電気信号に変
換する光学系電気系変換装置23、皮膚表面画像の輝度
を表すためのデジタル化された電気信号を記憶する画像
記憶装置24を有する。
【0036】また、装置は、前述した実施例1の構成と
同一構成の信号増幅装置3、A/D変換装置4、情報処
理装置9、モニタ7、フーリエ変換装置13、傾きの算
出手段14、判定手段15、プリンタ16の他ゆらぎ信
号発生器20を有する。
【0037】ゆらぎ信号発生器20は、1/f特性を有
するゆらぎ信号を発生するものである。ここで、1/f
特性のゆらぎとは、自然界の波動現象(潮騒音、小川の
せせらぎ音など)に見られるゆらぎであり、パワースペ
クトルがフーリエ周波数に逆比例するものである。間欠
のリズムは、自然界にしばしば見られる1/fのゆらぎ
を有するリズムとすることが人に最も心地よいからであ
る。
【0038】図12は心拍周期のゆらぎを示す図であ
り、図13は心拍周期のゆらぎ信号をフーリエ変換して
得られたパワースペクトルを示す図である。このような
生体内の心拍周期にあっても、図13に示すようにパワ
ースペクトルがフーリエ周波数に逆比例(1/f)して
いる。
【0039】また例えば木目模様のゆらぎなどもパワー
スペクトルが1/f特性を有している。
【0040】次に図9及び図10を参照して実施例2の
装置及び方法を説明する。まず、照明装置21を用い
て、例えば図6に示すような肌状態の悪い皮膚レプリカ
1に光を照射し、皮膚レプリカ1から反射される光を拡
大光学系22により任意の倍率で拡大する。そして拡大
された光学像を、光学系電気系変換装置23により皮膚
表面画像の輝度を表すための電気信号に変換する。
【0041】この電気信号は、例えば皮膚表面画像の一
走査線(実施例1の一定軸に対応)であれば、図10に
示すように直流成分Eを含む凹凸のデータになる。直流
成分Eは、照明装置21からの一定の光によるものであ
り、凹凸のデータが皮膚表面の形態によるものである。
そしてこの電気信号を信号増幅装置3により所定のレベ
ルまで増幅する。
【0042】さらに増幅された電気信号をA/D変換装
置4により例えば64階調のデジタル電気信号に変換
し、皮膚表面画像の輝度を表すためのデジタル電気信号
を情報処理装置9の制御の下にモニタ7に表示する。
【0043】このモニタ7を見ながら、情報処理装置9
によりデジタル電気信号の振幅、すなわち直流成分Eを
除去する処理を行う。
【0044】加工処理されたデジタル電気信号とゆらぎ
信号発生器20からのゆらぎ信号とをフーリエ変換装置
13に取り込む。
【0045】次いで、フーリエ変換装置13によるパワ
ースペクトルP1,P2の傾きを算出し、判定手段で1
/fと比較される。
【0046】その結果、前述した実施例1と同様であ
り、図8に示すようなプリント出力が得られる。
【0047】よって、実施例2にあっても、前記実施例
1と同様な効果が得られる。また実施例2にあっては、
実施例1の情報処理装置5、波形記憶装置6、モニタ
7、インターフェイス8を用いないから、構成を簡単化
できる。 <実施例3>図11は本発明の実施例3の皮膚表面形態
の評価方法を実施するための装置を示すブロック図であ
る。実施例3は上述した皮膚レプレカ1の代わりに、皮
膚表面形態を転写した光透過性レプリカ1aを用いてい
る。
【0048】図11を用いてこれを説明する。光透過性
レプリカ1aに照明装置21から光を照射すると、光は
光透過性質レプリカ1aを透過し、透過光は拡大光学系
22により任意の倍率で拡大される。後の処理は前記実
施例2と同様であり、この実施例3にあっても、実施例
2と同様な効果が得られる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、判定結果が所定の傾き
の範囲内にあるとき、皮膚表面形態を良好と判定するの
で、皮膚表面形態の判定に専門的な知識や経験を有しな
い。
【0050】このため、一般ユーザであっても、皮膚表
面形態の特徴を直感的に容易に評価することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】実施例1の皮膚表面形態の評価方法を実施する
ための装置を示すブロック図である。
【図3】人の肌状態の良い肌表面の凹凸形態を示す図で
ある。
【図4】実施例1の表面粗さ計により図3に示す肌表面
の一定軸を走査して得られた皮膚表面の凹凸データを示
す図である。
【図5】1/fのパワースペクトルと人の肌状態の良い
肌表面の凹凸データを加工処理した信号のパワースペク
トルとを示す図である。
【図6】人の肌状態の悪い肌表面の凹凸形態を示す図で
ある。
【図7】実施例1の表面粗さ計により図6に示す肌表面
の一定軸を走査して得られた皮膚表面の凹凸データを示
す図である。
【図8】1/fのパワースペクトルと人の肌状態の悪い
肌表面の凹凸データを加工処理した信号のパワースペク
トルとを示す図である。
【図9】実施例2の皮膚表面形態の評価方法を実施する
ための装置を示すブロック図である。
【図10】実施例2の照明装置により図6に示す肌表面
を照射して得られた皮膚表面の凹凸データを示す図であ
る。
【図11】実施例3の皮膚表面形態の評価方法を実施す
るための装置を示すブロック図である。
【図12】心拍周期のゆらぎを示す図である。
【図13】図12に示す心拍周期のゆらぎをフ−リエ変
換して得られたパワースペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 皮膚レプリカ 2 表面粗さ計 3 信号増幅装置 4 A/D変換装置 5 情報処理装置 6 波形記憶装置 7 VDT(モニタ) 8 インターフェイス 9 情報処理装置 10 波形記憶装置 11 VDT(モニタ) 12 D/A変換装置 13 フーリエ変換装置 14 ゆらぎ信号発生器 15 比較器 16 プリンタ 21 照明装置 22 拡大光学系 23 光学系電気系変換装置 24 画像記憶装置

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 皮膚表面または皮膚レプリカから皮膚表
    面の凹凸データを得て、得られた凹凸データを多段階の
    階層を有する信号に変換し、変換された信号に対してス
    ペクトル解析を施してパワースペクトルを求め、縦軸の
    パワースペクトルと横軸の周波数両対数値の関係から得
    られる回帰直線の傾きが、横軸を0度としたとき、−1
    5度から−75度の範囲にあるとき、皮膚表面形態を良
    好と判定することを特徴とすることを特徴とする皮膚表
    面形態の評価方法。
  2. 【請求項2】 前記回帰直線の傾きが1/fと一致する
    ことを特徴とする請求項1記載の皮膚表面形態の評価方
    法。
  3. 【請求項3】 皮膚表面または皮膚レプリカ(1)から
    皮膚表面の凹凸データを得る読取手段(2)と、得られ
    た凹凸データを多段階の階層を有する信号に変換する変
    換手段(4)と、変換された信号に対してスペクトル解
    析を施してパワースペクトルを求めるフーリエ変換手段
    (13)と、縦軸のパワースペクトルと横軸の周波数両
    対数値の関係から得られる回帰直線の傾きを算出する算
    出手段(14)と、得られた回帰直線の傾きが、横軸を
    0度としたとき、−15度から−75度の範囲にあると
    き、皮膚表面形態を良好と判定する判定手段(15)と
    を備えたことを特徴とする皮膚表面形態の評価装置。
  4. 【請求項4】 前記回帰直線の傾きが1/fと一致する
    ことを特徴とする請求項3記載の皮膚表面形態の評価装
    置。
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