JP2903793B2 - ロールストレージ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スーパーカレンダの交
換用の弾性ロールを保管しておく為のロールストレージ
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図６に示すように、製紙機械におけるス
ーパーカレンダ１は、高速で回転する多数の金属ロール
２及び弾性ロール３を備えており、これらロール２，３
間に紙を通すことによって紙の平滑度や光沢度を向上さ
せるようにしている。

【０００３】上記スーパーカレンダ１では、紙切れ時に
くしゃくしゃになった紙がロール２，３間に噛み込まれ
て弾性ロール３表面に傷やへこみが生じたり、使いこむ
うちに弾性ロール３にうねりが生じたりする為、紙の品
質に悪影響が及ばないうちにスーパーカレンダ１の運転
を停止し、劣化した弾性ロール３をスーパーカレンダ１
から取外し、該取外した弾性ロール３を天井クレーン４
によって床面まで降ろして図示しない専用台車に移載
し、該専用台車により所要場所にある研磨設備に搬送
し、次いで、スーパーカレンダ１の近傍に立設したロー
ルストレージポスト５から研磨により再使用可能とした
弾性ロール３を前記天井クレーン４によりスーパーカレ
ンダ１のロール取外し位置に搬送して取付けるようにし
ていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のロール交換作業においては、スーパーカレンダ１か
ら取外した弾性ロール３をスーパーカレンダ１から離れ
た位置にある研磨設備に搬送して研磨しなければならな
い上に、研磨により再使用可能とした弾性ロール３を前
記研磨設備からロールストレージポスト５に搬送して次
回のロール交換作業の予備として保管しておかなければ
ならなかった為、劣化した弾性ロール３及び研磨した弾
性ロール３の搬送作業に手間がかかるという問題があっ
た。

【０００５】更に、研磨設備にて研磨された弾性ロール
３はロール表面が毛羽だっている為、スーパーカレンダ
１に取付けた際に直ちに使用することができず、所定時
間ならし運転を行ってから紙を通して紙の平滑度や光沢
度を向上させる作業を再開するようにしていた為、ロー
ル交換作業が頻繁になるとスーパーカレンダ１の作業停
止時間が嵩んで操業効率が低下してしまう問題があっ
た。

【０００６】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもの
で、弾性ロールの交換に要する搬送作業の手間を軽減す
ることができ、しかも、スーパーカレンダに予備の弾性
ロールを取付けた際にならし運転を行うことなく直ちに
作業を再開することができるようにすることを目的とし
ている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、支持脚に回転
可能に支持され且つ周方向複数箇所に弾性ロールを着脱
可能に保持し得るロール着脱装置を備えた回転式切換装
置と、前記ロール着脱装置に保持された弾性ロールに係
合して該弾性ロールを回転駆動し得且つロール表面を研
磨し得るよう前記回転式切換装置に近接配置した研磨装
置と、前記回転式切換装置の回転方向における前記研磨
装置より下流側に配設され且つ研磨された弾性ロールに
回転駆動可能な金属ロールを押圧し得るならし運転装置
とを備えたことを特徴とするロールストレージ装置に係
るものである。

【０００８】

【作用】従って本発明では、回転式切換装置のロール着
脱装置のうち少なくとも一箇所を予め空けておくと共
に、他の箇所には予備の弾性ロールを保管しておき、ス
ーパーカレンダの劣化した弾性ロールを交換する際に
は、スーパーカレンダから取外した弾性ロールを天井ク
レーン等により前記空きのロール着脱装置に渡して保持
させ、他のロール着脱装置から予備の弾性ロールを取外
してスーパーカレンダに取付ける。

【０００９】次いで、回転式切換装置を回転して前記劣
化した弾性ロールを研磨装置のある位置に旋回し、該研
磨装置に前記弾性ロールを係合してこれを回転駆動し、
該弾性ロールのロール表面を研磨する。

【００１０】弾性ロールの研磨が終了したら、回転式切
換装置を更に回転して前記研磨の終了した弾性ロールを
ならし運転装置のある位置に旋回し、該ならし運転装置
の金属ロールを前記弾性ロールに押しつけて回転し、前
記弾性ロールのならし運転を行う。

【００１１】弾性ロールのならし運転が終了したら、前
記金属ロールを弾性ロールから離間させ、天井クレーン
等により取り易い位置に前記弾性ロールが位置するよう
回転式切換装置を回転し、次回のロール交換作業に備え
る。

【００１２】

【実施例】以下本発明のロールストレージ装置の実施例
を図面を参照しつつ説明する。

【００１３】図１〜図５は本発明の一実施例を示すもの
で、図６と同一の符号を付した部分は同一物を表わして
いる。

【００１４】図１〜図３に示すように、スーパーカレン
ダ１の近傍位置に、該スーパーカレンダ１の幅方向（図
１の図面に対し直角な方向）に所要の間隔を隔てて一対
の支持脚６，６が立設されており、両支持脚６，６によ
り前記スーパーカレンダ１の幅方向に延びる旋回軸７の
両端が枢支されている。

【００１５】前記旋回軸７には、周方向複数箇所（図示
する例では４箇所）に弾性ロール３の軸受箱８を着脱可
能に保持し得るロール着脱装置９を備えた一対の回転盤
１０，１０が所要の間隔を隔てて一体に軸支されてお
り、対向するロール着脱装置９，９間で弾性ロール３を
保持し得るようになっている。

【００１６】前記ロール着脱装置９は、図２の左側に示
す如く、軸受箱固定用アクチュエータ１１により進退動
される固定部材１４、及び対向配置した軸受箱固定用ア
クチュエータ１２，１３により進退動される固定部材１
５，１６によって前記回転盤１０の嵌合凹部１７に嵌挿
した弾性ロール３の軸受箱８を固定し得るような構造と
してある。

【００１７】又、前記旋回軸７の一端は、図３に示す如
く前記支持脚６，６の一方に設置台１８を介して取付け
た回転盤用駆動モータ１９に接続されており、該回転盤
用駆動モータ１９と、前述した旋回軸７、ロール着脱装
置９、回転盤１０，１０により回転式切換装置２０が構
成されている。

【００１８】更に、前記回転式切換装置２０の下方位置
におけるベース２１上には、回転式切換装置２０の下部
を挟んで弾性ロール３の軸心方向に対向配置した弾性ロ
ール用駆動モータ２２とチャッキング装置２３が配設さ
れており、前記ロール着脱装置９により保持された弾性
ロール３が回転式切換装置２０の下部に旋回された際
に、前記チャッキング装置２３のスピンドル２５の突出
により該スピンドル２５と前記弾性ロール用駆動モータ
２２のスピンドル２４とを前記弾性ロール３の支持軸２
６両端面に係合してこれを回転駆動し得るようにしてあ
る。

【００１９】又、図３及び図４に示すように、前記回転
式切換装置２０の下方位置における弾性ロール用駆動モ
ータ２２とチャッキング装置２３との間には、前記弾性
ロール用駆動モータ２２とチャッキング装置２３とによ
り回転される弾性ロール３のロール表面に接触し得るバ
イト２７を取付けたサポート２８を、弾性ロール３の軸
心方向と平行に延びるスクリューロッド２９に螺合し、
該スクリューロッド２９をスクリューロッド用駆動モー
タ３０で回転することよりガイド溝３１に案内させつつ
前記弾性ロール３の軸心方向に移動し得るようにしたバ
イト操作装置３２が配設されており、該バイト操作装置
３２と、前述した弾性ロール用駆動モータ２２、チャッ
キング装置２３により研磨装置３３が構成されている。

【００２０】更に、図２及び図５に示すように、前記回
転式切換装置２０の回転方向（図２における矢印Ａで示
す方向）における前記研磨装置３３より下流側（図２に
おける右側）には、弾性ロール３と平行な金属ロール２
が、両支持脚６，６に夫々取付けた設置台３４，３４に
前記旋回軸７に向け進退し得るよう設置された軸受箱３
５，３５によって回転自在に支持されており、該金属ロ
ール２の軸受箱３５，３５を前記設置台３４，３４に取
付けた進退用アクチュエータ３６，３６の伸縮作動によ
り進退駆動し得るようにしてある。

【００２１】又、前記金属ロール２の支持軸の一端は、
該金属ロール２の近傍に配設した金属ロール用駆動モー
タ３７にユニバーサルジョイント３８，３８及びシャフ
ト３９を介して接続されており、この金属ロール用駆動
モータ３７と、前述した金属ロール２、進退用アクチュ
エータ３６によりならし運転装置４０が構成されてい
る。

【００２２】尚、前記シャフト３９はオス形のスプライ
ン軸とメス形のスプライン軸とを摺動自在に嵌合する等
して伸縮可能な構造としてある。

【００２３】而して、回転式切換装置２０のロール着脱
装置９のうち少なくとも一箇所を予め空けておくと共
に、他の箇所には予備の弾性ロール３を保管しておき、
スーパーカレンダ１の劣化した弾性ロール３を交換する
際には、スーパーカレンダ１から取外した弾性ロール３
を天井クレーン４等により前記空きのロール着脱装置９
に渡して保持させ、他のロール着脱装置９から予備の弾
性ロール３を取外してスーパーカレンダ１に取付ける。

【００２４】次いで、回転式切換装置２０を回転盤用駆
動モータ１９により矢印Ａ方向に回転して前記劣化した
弾性ロール３を回転式切換装置２０の下部に旋回し、前
記弾性ロール３をチャッキング装置２３のスピンドル２
５の突出により該スピンドル２５と前記弾性ロール用駆
動モータ２２のスピンドル２４とを前記弾性ロール３の
支持軸２６両端面に係合してこれを回転駆動すると共
に、前記弾性ロール用駆動モータ２２とチャッキング装
置２３とにより回転される弾性ロール３のロール表面に
バイト２７を接触させながらスクリューロッド２９の回
転により前記バイト２７を弾性ロール３の軸心方向に移
動させて該弾性ロール３のロール表面を研磨する。

【００２５】尚、前記バイト２７及びサポート２８は、
通常時には、弾性ロール３の旋回に干渉しないような位
置に退避させておけば良い。

【００２６】弾性ロール３の研磨が終了したら、回転式
切換装置２０を矢印Ａ方向に更に回転して前記研磨の終
了した弾性ロール３をならし運転装置４０のある位置に
旋回し、進退用アクチュエータ３６により金属ロール２
を前記弾性ロール３に押しつけ、金属ロール用駆動モー
タ３７により前記金属ロール２を回転して前記弾性ロー
ル３のならし運転を行う。

【００２７】弾性ロール３のならし運転が終了したら、
前記金属ロール２を弾性ロール３から離間させ、天井ク
レーン４等により取り易い位置に前記弾性ロール３が位
置するよう回転式切換装置２０を回転し、次回のロール
交換作業に備える。

【００２８】従って上記実施例によれば、弾性ロール３
をスーパーカレンダ１とロールストレージ装置との間で
やり取りするだけで弾性ロール３の交換作業を完了する
ことができるので、弾性ロール３の交換に要する搬送作
業の手間を大幅に軽減することができる。

【００２９】更に、スーパーカレンダ１から取外した弾
性ロール３を保管しておく間に弾性ロール３を研磨し且
つならし運転を行っておくことができるので、スーパー
カレンダ１に予備の弾性ロール３を取付けた際にならし
運転を行うことなく直ちに作業を再開することができ、
スーパーカレンダ１の操業効率を大幅に向上することが
できる。

【００３０】尚、本発明のロールストレージ装置は、上
述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要
旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること
は勿論である。

【００３１】

【発明の効果】上記した本発明のロールストレージ装置
によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。

【００３２】（Ｉ）弾性ロールをスーパーカレンダとロ
ールストレージ装置との間でやり取りするだけで弾性ロ
ールの交換作業を完了することができるので、弾性ロー
ルの交換に要する搬送作業の手間を大幅に軽減すること
ができる。

【００３３】（ＩＩ）スーパーカレンダから取外した弾
性ロールを保管しておく間に弾性ロールを研磨し且つな
らし運転を行っておくことができるので、スーパーカレ
ンダに予備の弾性ロールを取付けた際にならし運転を行
うことなく直ちに作業を再開することができ、スーパー
カレンダの操業効率を大幅に向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の配置を示す概略図である。

【図２】本発明の一実施例の正面図である。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ方向の矢視図である。

【図４】図３のＩＶ−ＩＶ方向の矢視図である。

【図５】図２のＶ−Ｖ方向の矢視図である。

【図６】従来例を示す概略図である。

【符号の説明】

２ 金属ロール ３ 弾性ロール ６ 支持脚 ９ ロール着脱装置 ２０ 回転式切換装置 ３３ 研磨装置 ４０ ならし運転装置

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持脚に回転可能に支持され且つ周方向
   複数箇所に弾性ロールを着脱可能に保持し得るロール着
   脱装置を備えた回転式切換装置と、前記ロール着脱装置
   に保持された弾性ロールに係合して該弾性ロールを回転
   駆動し得且つロール表面を研磨し得るよう前記回転式切
   換装置に近接配置した研磨装置と、前記回転式切換装置
   の回転方向における前記研磨装置より下流側に配設され
   且つ研磨された弾性ロールに回転駆動可能な金属ロール
   を押圧し得るならし運転装置とを備えたことを特徴とす
   るロールストレージ装置。