JP2902058B2 - ミストエリミネータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は排ガス中のミストまたはミストとダストを除
去するミストエリミネータに関する。

〔従来の技術〕

従来排ガス中のミストまたはミストとダストを同時に
捕集する方法としては湿式電気集じん装置やミストエリ
ミネータによる慣性捕集が主体である。湿式電気集じん
装置の場合、捕集効率は高くSO₃ミストのような微細な
ミストも捕集できるが、設備費が高いことなどから排脱
装置の出口などにおいては、一般的に使用されていな
い。普通は第９図、第10図に示すように合成樹脂、金属
などのメッシュや充填物をガス流れ内に直交して配置し
たり、あるいはまた折れ板状に加工された多数の板をガ
ス流れに平行に配置することなどにより、慣性捕集作用
でミストなどを捕集している。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来のミストエリミネータには次のような課題があっ
た。

１） 慣性力を利用しているため、微細なミスト及びダ
ストに対しては集じん効率が低い。特に１ミクロン以下
のサブミクロン領域では著しく効率が低下する。

２） また捕集効率を上げるためには充填物の密度を上
げる等の方法が考えられるが、その場合著しく圧力損失
が増大する等の問題がある。

３） 微細なミスト等を捕集する手段としては電気力が
有効であり、湿式電気集じん器などが有効であるが、一
般にコストが高くなる。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記課題を解決するため次の手段を講ずる。

すなわち、ミストエリミネータとして、 １） 流れに交叉して設けられ複数の孔を持つ第１電極
と、同第１電極の後流側の近傍に同第１電極と平行に設
けられる非導電性メッシュ状の充填物層と、上記第１電
極の上流側に、同第１電極と対向して設けられる第２電
極と、同第２電極の上流側に同第２電極と対向し水洗時
に水を噴射する多数のノズルを有する水洗装置と、上記
充填物層から落下する上記水洗装置からの水を受ける樋
と、上記充填物層の後流側に、上記第１電極と対向して
設けられる第３電極と、上記第１電極および上記第２電
極間ならびに上記第１電極および上記第３電極間に高電
圧を印加する高圧電源とを設ける。

２） 上記第１項記載のミストエリミネータにおいて、
第１電極、充電物層および第２電極の組を複数組流れに
沿って設ける。

〔作用〕

１） 上記第１項に係る手段により、高圧電源から高圧
が印加された第２電極から第１電極へ向けてコロナ放電
を生じる。そこで、ガス流れ中のミストやダストは電荷
を帯びる。

電荷を帯びたミストやダストは、一部は第１電極に電
気集じんの原理で捕集されるが、その大部分はその孔を
すり抜け次段の充填物層内に送られる。この充填物層内
では比較的粒径の大きいミストが慣性集じんを主体とし
て捕集される。

一方、同充填物層内では非導電性の充填物と導電性の
ミストが混在しているが、充填物が空隙率の比較的大き
なメッシュ状の物質で構成されているため、ミストが完
全に連なって第１電極と第３電極側の充填物層表面を電
気的に短絡させる可能性は殆どない。このため第３電極
に高温圧を印加することにより、充填物層内には複雑な
電界が形成される。特に充填物表面に捕集された前記の
粒径の大なるミストは一般に誘電率が大きいため、電界
内で分極され、コロナ放電により受けた電荷と同極の電
荷のみならず、反対の電荷もその表面に表れる。

一方微細なミストやダストはコロナ放電により電荷を
帯びているが、充填物層内を通過する際に先の分極して
いる粒径の大きなミストの表面との間で電気的な力、す
なわちクーロン力により反対側の電荷を有している表面
にひきつけられ捕集される。この場合、粒径の大きいミ
ストと微細なミストはその間の距離が近いため、電気的
な力により効果的に捕集される。又、水洗装置のノズル
から水を噴射することにより充填物層内のミストやダス
トが洗い流され、樋を通して外部へ排出される。

このようにして、ガス中のミストやダストが容易に捕
集されるようになる。

２） 上記第２項に係る手段により、第１電極、充填物
層および第３電極の組が複数組用いられるため、上記と
同様な作用によりガス中のミストやダストの捕集率がさ
らに向上する。

〔実施例〕

1a）請求項第１項の本発明の一実施例を第１図ないし第
６図により説明する。

第１図は全体構成図（部分縦断面図）、第２図は第１
図のII−II断面図、第３図は第２電極の斜視図、第４図
は第３電極の斜視図、第５図は作用説明図、第６図は充
填物の図である。

第１図にて、ダクト11の軸にほぼ直交して所定数の孔
を持つ第１電極２が設けられ接地される。また第１電極
２の上流側に同電極２に対向して第２電極１が設けられ
支持碍石６を介してダクト11の上部に取付けられる。そ
の詳細は第３図に示すように、電極棒1aが所定の間隔で
左右に配置され、電極枠14に取付けられる。また電極棒
1aは後流側に突出した所定数の突起ａを持っている。

また第１電極２の後流側には面に沿って第２図に示す
ように絶縁性の樋12が所定数段に設けられるとともに排
水路が左右に設けられる。さらにこの排水路はダクト11
の下方に設けられたホッパ13に通じている。また樋12の
間には、第８図に示すような非導電性のメッシュ状の樹
脂でできた充填物層３が設けられ、所定数の孔を持つ成
形樹脂板４で保持されている。

さらに充填物層３の後流側に第１電極２と面を対向し
て第３電極５が設けられ支持碍石６を介してダクト11の
上部に取付けられる。その詳細は第４図に示すように電
極枠14の内に所定数の電極棒５を左右に並べたものであ
る。

第２電極１と第３電極５は高圧電源７の高圧側につな
がれる。

また第２電極１の上流側には所定数のノズルを第１電
極２面へ向けて持つ水洗装置９が設けられ弁10を介して
水の供給源につながれている。さらに弁10と高圧電源７
は制御器８の制御信号を受ける。

以上の構成において、第２電極と第３電極５へ高圧電
源７から高電圧を印加すると、第２電極１の突起ａから
第１電極２へ向けてコロナ放電が発生する。ダクト11を
流れるガス中のダストやミストはコロナ放電により電荷
を帯びる。

電荷を帯びたミストやダストは、一部は第１電極２に
電気集じんの原理で捕集されるが、その大部分はその孔
部をすり抜け次段の充填物層３内に送られる。この充填
物層３内では比較的粒径の大きいミストが慣性集じんを
主体として捕集される。

一方、同充填物層３内では非導電性の充填物と導電性
のミストが混在しているが、充填物が空隙率の比較的大
きなメッシュ状の物質で構成されているため、ミストが
完全に連なって第１電極２と第３電極５側の充填物層３
表面を電気的に短絡させる可能性は殆どない。このため
第３電極５に高電圧を印加することにより、充填物層３
内には複雑な電界が形成される。

第５図に示すように、充填物15表面に捕集された粒径
の大なるミストｆは一般に誘電率が大きいため、電界内
で分極され、コロナ放電により受けた電荷と同極の電荷
のみならず、反対の電荷もその表面に表れる。

一方微細なミストやダストｄはコロナ放電により電荷
を帯びているが、充填物層内を通過する際に先の分極し
ている粒径の大きなミストｆの表面との間で電気的な
力、すなわちクローン力により反対側の電荷を有してい
る表面にひきつけられ捕集される。この場合、粒径の大
きいミストと微細なミストはその間の距離が近いため、
電気的な力により効果的に捕集される。また図示してい
ないが充填物15自身も分極するため、充填物15に直接微
細なミストやダストが電気的な力で捕集される。

なお、第１図では第２電極１と第３電極５との電源を
同一にしてコスト低減を図ったが別々の電源を用いても
よい。

所定時間毎に制御器８から信号が出され、弁10が開
き、水洗装置９のノズルから水が噴出し、充填物層３内
のミスト及びダストが洗い流される。それらは樋12を通
じてホッパ13へと導かれる。樋12は所定数設けられるこ
とにより、充填物層３内のミスト分布が均一化される。
また水洗中、第２電極１が火花放電しないよう制御器８
より高圧電源７へ信号が送られ、電圧が制御される。

以上のようにして、本実施例では、ガス中のダストや
ミストが容易に除去されるようになる。

1b）請求項第１項の本発明の実施例であるその他の実施
例を第７図に示す。ダクト11中に第１電極２、充填物層
３、代２電極１、第３電極５を屏風形にＷ字に配置した
ものである。作用は前記の実施例とほぼ同様であるので
説明を省略する。

２）請求項第２項の本発明の一実施例を第８図に示す。
本実施例は前記第１図ないし第６図に示される請求項第
１項の実施例の第１図中の第１電極２、充填物層３、第
２電極１およびホッパ13の組を、第３電極５の上流側に
２組（２段）設けたものである。

第３電極５に近い充填物層５を有する段は前記と同様
な作用をする。また最上流の充填物層３は対向する第２
電極１の突起のない側面により高圧電界を受け、下流段
のものと同様な作用をする。したがってほぼ同様なもの
が２段設けられたような作用をし、高い集率でダストや
ミストが除去されるようになる。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明によれば、慣性力と電
気的な力を利用し、ダストや微細なミストも効率良く捕
集できる。また構造的にも湿式電気集じん器のように多
数の電極を必要としないため、経済的に高効率なミスト
エリミネータが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の請求項第１項に係る一実施例の全体構
成図、第２図は同実施例の第１図のII−II断面図、第３
図は同実施例の第２電極部の斜視図、第４図は同実施例
の第３電極部の斜視図、第５図は同実施例の作用説明
図、第６図は同実施例の充填物の斜視図、第７図は上記
請求項第１項に係るその他の実施例の構成図、第８図は
本発明の請求項第２項に係る一実施例の構成図、第９図
と第10図は従来例の充填物の図である。 １……第２電極、２……第１電極、 ３……充填物層、４……成形樹脂板、 ５……第３電極、７……高圧電源。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】流れに交叉して設けられ複数の孔を持つ第
   １電極と、同第１電極の後流側の近傍に同第１電極と平
   行に設けられる非導電性メッシュ状の充填物層と、上記
   第１電極の上流側に、同第１電極と対向して設けられる
   第２電極と、同第２電極の上流側に同第２電極と対向し
   水洗時に水を噴射する多数のノズルを有する水洗装置
   と、上記充填物層から落下する上記水洗装置からの水を
   受ける樋と、上記充填物層の後流側に、上記第１電極と
   対向して設けられる第３電極と、上記第１電極および上
   記第２電極間ならびに上記第１電極および上記第３電極
   間に高電圧を印加する高圧電源とを備えてなることを特
   徴とするミストエリミネータ。
2. 【請求項２】請求項第１項記載のミストエリミネータに
   おいて、第１電極、充填物層および第２電極の組を複数
   組流れに沿って備えてなることを特徴とするミストエリ
   ミネータ。