JP2901207B2 - 新規酸性カルボキシペプチダーゼ及びその製法 - Google Patents

新規酸性カルボキシペプチダーゼ及びその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,例えば,タン白質加水
分解物の苦味ペプチドの除去の如き飲食品類分野、タン
白質のアミノ酸配列の決定の如きタン白質研究分野、消
化剤としての利用の如き医薬品分野、その他、広いプロ
テアーゼ利用分野において有用な酸性カルボキシペプチ
ダーゼ(以下、ACPaseと称することがある)及び
その製法に関し、更に詳しくは,イカ類肝臓由来の新規
な酸性カルボキシペプチダーゼ及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、酸性カルボキシペプチダーゼとし
て、例えば植物起源のカルボキシペプチダーゼとして
は、柑橘類の果皮[Nature(LONDON)201,613(1964)]、
柑橘類の葉[Hoppe-Seylers Z.Physiol.Chem. 352,1524
(1971)]、インゲンマメの葉の酵素[J.Biol.Chem. 247,
5573(1972)]、発芽大麦の酵素[Eu.J.Biochem.7,193(19
69)]、発芽小麦の酵素[Plant Physiol. 58,516(197
6)]、発芽綿実の酵素[J.Biol.Chem.247,5034,5041(197
2)]、トマトの酵素[Agric.Biol.Chem.38,1901(197
4)]、スイカの酵素[同 38,1891,(1974)]、小麦及び/
又は小麦ふすまから得られるカルボキシペプチダーゼ
(特公昭57-53073号公報)及びブロメライン粉末中の酵
素[J. Biochem.75,881(1974)]等が知られており、その
作用至適pHは5乃至6の弱酸性にある。
【0003】また微生物起源のカルボキシペプチダーゼ
としては、例えば、アスペルギルス・サイトイ(Aspergi
llus saitoi)の酵素[Biochim. Biophs. Acta 258,274
(1972)]、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillusory
zae)の酵素[ Agric. Biol. Chem.36,1343,1474,1481(1
872)、同 37,1237,(1973)、特開昭47-29577号公報]、
アスペルギルス属(Aspergillus)の酵素(特開昭47-2538
2号公報、特開昭51-95182号公報、特開昭48-82068号公
報)、ペニシリウム属(Penicillium)の酵素(特開昭48
-35084号公報、特公昭 49-13987号公報)、モナスカス
属(Monascus)の酸性カルボキシペプチダーゼ(特開昭 6
2-158482号公報)等の既知の酵素を挙げることができ、
これらの作用至適pHは3〜5の酸性側にある。
【0004】更に、動物起源の酸性カルボキシペプチダ
ーゼとしては、牛膵臓[Method in Enzymology19,475(19
37)]、豚膵臓[同19,504(1970)]などから得られる酵素
が知られている。
【0005】本発明者らは先に、イカ肝臓より得られた
プロテアーゼによるタン白質材料の加水分解物が、高食
塩含有飲食品及び/又は高酸類含有飲食品のストレート
なもしくは丸みに乏しい鹹味及び/又は酸味を和らげ、
丸みに富んだマイルドでかつコク味のある好ましい呈味
感に改善する作用があることを見いだし、飲食品の風味
改善方法として提案した(特開昭62-11060号公報)。
【0006】イカ肝臓に存在するタン白質分解酵素は、
従来カテプシン系の酵素群であるといわれており、例え
ば、Comp.Biochem.Physiol.B.,70,791,(1981);Agr
ic.Biol.Chem.40(6)1159-1165(1976);日本水産学会誌
26,500,504(1960);及び同27,85,(1961)等に詳細に記載
されている。しかしながらイカ肝臓酵素にエキソ型プロ
テアーゼであるカルボキシペプチダーゼ活性があること
は知られていない。従って、本発明の目的は従来未知の
イカ類肝臓由来の新規酸性カルボキシペプチダーゼを提
供するにある。本発明の他の目的は、該酸性カルボキシ
ペプチダーゼの製法を提供するにある。以下、本発明の
具体的な態様について更に詳しく説明する。
【0007】本発明により提供される酸性カルボキシペ
プチダーゼを採取することのできるイカ類としては、例
えば、アカイカ、スルメイカ、マイカ、アオリイカ、ヤ
リイカ、ケンサキイカ、コウイカ、ヒナイカ、ミミイ
カ、ホタルイカ、ドスイカ、ダイオウイカ、ソデイカ等
の各種のイカ類を挙げることができるが、殊に、肝臓重
量が大きく、また水揚げ量の多いスルメイカ、アカイカ
及びマイカが好適である。これらイカ類の肝臓は、生鮮
品、冷凍品及び塩蔵品のいずれも利用することができ
る。
【0008】これらイカ類の肝臓から酸性カルボキシペ
プチダーゼを分離採取する方法としては、例えば、生鮮
イカまたは冷凍イカの肝臓を分別し、これを磨砕処理し
た後、磨砕物1重量部に対して通常約1〜約10重量
部、好ましくは約3〜約8重量部の水もしくはpH約2
〜6の緩衝液をを加えて撹拌抽出し、好ましくは抽出液
を再度pH約2〜6、好ましくはpH約2〜5に調整
し、得られる抽出水層部を遠心分離し、脂肪を分離除去
し、更にこの水層部をケイソウ土、セルロースなどの濾
過助剤を用いて濾過し、清澄な粗酵素液を得る方法を例
示することができる。得られる粗酵素液は、凍結濃縮、
減圧濃縮、限外濾過などの適宜な濃縮手段を用いて、該
酵素の活性低下をきたさない温度、例えば、約50℃以
下の温度で濃縮することにより粗酵素濃縮物を得ること
ができる。
【0009】この濃縮物はそのまま粗酵素として利用す
ることができるが、更に望ましくは該濃縮物を直接ある
いはデキストリン類などの適当なバインダーを添加した
後、真空乾燥、凍結乾燥等によって乾燥粉末化すること
が保存上有利である。また、上記濃縮物を常法により、
例えばアセトン沈殿法、アルコール沈殿法または塩析法
によって粗酵素を分離した後乾燥を行ってもよい。一
方、前記イカ肝臓を水抽出して得られる抽出水層部は、
例えばイオン交換樹脂、スチレン−ジビニルベンゼンを
重合して得られる多孔性重合樹脂等と接触させて捕集す
ることができる。さらに好ましくは阻害剤を用いるアフ
ィニティークロマトグラフィーを用いて捕集し、含水メ
タノール、含水エタノール又は含水アセトン等で溶出し
た後、上記のごとき処理によって粉末化することができ
る。
【0010】更に上記の水抽出法に代る方法として、イ
カの肝臓を磨砕処理した後、遠心分離などによって脂肪
を分離するか又はせずして、例えばイカ肝臓の2〜5倍
重量のアセトンなどを用いて1〜5回程度繰り返し抽出
脱脂した後、前記の如き乾燥手段によって粗酵素粉末を
得てもよい。
【0011】本発明のイカ肝臓由来の新規酸性カルボキ
シペプチダーゼは、ペプチドのカルボキシ末端からアミ
ノ酸を逐次遊離するエキソペプチダーゼであり、これま
で知られていたイカ肝臓由来のタン白質分解酵素がカテ
プシン系のプロテアーゼであるのとは全く異なり、本発
明者らによって初めて見出されたものである。以下、本
発明の酸性カルボキシペプチダーゼの諸性質及び既知の
酸性カルボキシペプチダーゼとの相違点を具体的に説明
する。
【0012】本発明のイカ肝臓由来の酸性カルボキシペ
プチダーゼと従来既知のイカ肝臓由来のカテプシン系プ
ロテアーゼとの主な特性を対比して下記の表1に示す。
【0013】
【表1】 * 至適pH及び安定pHはカルボベンゾキシ−グルタ
ミル−チロシンに作用させた場合のものである。 **分子量はアンドリュウスの方法に準じ、Super
ose12のゲル濾過法により測定した場合の値であ
る。
【0014】以下、本発明の酸性カルボキシペプチダー
ゼの酵素学的性質について説明する。 (1) 酵素作用:本酵素はpH2乃至6の酸性下でタン
白質及びペプチドのカルボキシ末端のペプチド結合を加
水分解し、中性、酸性又は塩基性アミノ酸ならびにプロ
リンからなるアミノ酸のいずれをも逐次遊離することが
できる酸性カルボキシペプチダーゼ(エキソペプチダー
ゼ)である。下記表2にカルボベンゾキシ−グリシル−
プロリル−ロイシル−グリシン(以下、Z−Gly−Pro
−Leu−Glyと表記することがある)を基質とし本発明
の酵素を用いて行った場合の反応の経時的変化を示す。
【0015】
【表2】
【0016】(2)基質特異性 本発明の酸性カルボキシペプチダーゼの低分子基質に対
する基質特異性を下記表3に示す。
【0017】
【表3】 *pH3.1;30℃ 基質Z-Glu-Tyrに対する活性を100%とした場合の相
対活性(%)。なお、Zはベンジルオキシカルボニル基
を表し、Bzはベンゾイル基を表す。
【0018】表3の結果から明らかな如く、本発明の酵
素はカルボベンゾキシ・グリシル・ロイシルアミド(Z
-Gly-Leu-NH2)に対して活性が認められないことか
ら、アミダーゼ活性をもたず、また、アミノ酸分析機に
よる測定結果から基質をZ-Phe-Tyr-Leuとした場合
にC末端より順次遊離アミノ酸が分離してくることが認
められる。従って本発明の酵素はカルボキシペプチダー
ゼ作用を示すことが確認された。
【0019】(3) 作用至適pH及び安定pH範囲:本
発明の酸性カルボキシペプチダーゼの至適pHを図1に
示す。カルボベンゾキシ-グルタミル-チロシン(Z−G
lu−Tyr)に作用させた場合の至適pHは3〜6である
と認められた。また、安定pH範囲は図2に示すように
pH約2〜pH約6の範囲である。
【0020】(4)力価測定法及び力価表示 力価の測定は、ペプチドの加水分解により生ずる遊離ア
ミノ酸を比色法で定量することによって行った。すなわ
ち、0.05M酢酸緩衝液(pH3.1)に溶解した酵素
液2mlを30℃、10分間予熱の後、これに0.05
M酢酸緩衝液(pH3.1)に10-3Mのカルボベンゾ
キシ-グルタミル-チロシン(Z−Glu−Tyr)を溶解し
た基質2mlを一定時間反応させ、次いで、0.3MNaO
H2mlを添加混合して、反応を停止させる。更に30
℃、30分間放置した後、2.5%酢酸溶液2mlを加え
pHを調整後、必要により濾紙濾過を行う。この濾液2
mlをとり、0.5Mクエン酸緩衝液(pH5.0)とニン
ヒドリン試薬1mlを加え、100℃、15分間加熱後、
急冷し、U−2000型分光光度計(日立製)を用い、
570nm又は580nmの吸光度を測定する。酵素単
位は、上記の条件で1秒間に1モルのアミノ酸を生成す
ることのできる酵素を1酵素単位:1カタール(1ka
t)として算定し、ACPase 活性(kat/ml)として
表わす。
【0021】 (5) 作用適温(至適温度) 本酵素の温度一活性曲線は図3に示すとおりであり、作
適温(至適温度)は約30〜約50℃である。
【0022】(6) 温度による失活の条件 本酵素を各温度で10分間処理後、直ちに氷水中で冷却
し、次いで前記(4)項で述べた条件でカルボベンゾキシ
−グルタミル−チロシン(Z−Glu−Tyr)に作用させ
た結果を図4に示す。図4から明らかな如く、本酵素は
40℃以下では安定であるが60℃,30分間の加熱で
ほぼ失活する。
【0023】(7) 阻害剤及び活性化 各種阻害剤および金属塩の酵素作用に及ぼす影響を、
0.05M酢酸緩衝液(pH3.1)に溶解した10-3
のカルボベンゾキシ−グルタミル−チロシン(Z−Glu
−Tyr)を基質として検討した。酵素液に各種阻害剤又
はキレート剤を添加し、これに基質を加えて前記(4)項
に記載した条件で作用させたときの残存活性の変化を調
べた。その結果を下記表4に示す。
【0024】
【表4】
【0025】表4の結果から明らかなとおり、本発明の
イカ肝臓由来の酸性カルボキシペプチダーゼはキレート
剤、例えばEDTAにより阻害を受けないので金属酵素
でないと認められる。更に、PMSFで阻害を受けない
のでセリン型の酵素ではないと認められる。またE−6
4でも阻害を受けないことから−SHが活性中心ではな
いが、パラクロロマーキュリー安息香酸、モノヨード酢
酸、HgCl2で阻害を受けることから−SHが活性に関
与している可能性もある。これに対して、TPCK、Z
−PCK、キモスタチンで阻害を受けることから活性中
心に−Hisが関与してしていると推測される。また、
本酵素はCys−Cysの1×10-4M〜1×10-2Mの濃
度範囲で活性化される。
【0026】(8) 精製方法 本発明の酸性カルボキシペプチダーゼは、前記した如く
イカ肝臓を脱脂後、水または緩衝液を用いて抽出された
粗酵素液を限外濾過等により濃縮するか、又はそのまま
硫安塩析、有機溶媒を用いた分別沈殿などの操作を行っ
た後、Sephadex等によるゲル瀘過もしくは各種
の吸着樹脂またはこれらの組合わせにより精製すること
ができる。殊に強陽イオン交換樹脂による精製が好適で
ある。粗酵素濃縮物を強陽イオン交換樹脂MonoS
HR5/5(PharmaciaLKB)を用いて分画
精製した結果を後記図5に示す。フラクションN0.2
3に単一のカルボキシペプチダーゼ活性が認められた。
また該強陽イオン交換樹脂分画により得られたカルボキ
シペプチダーゼ画分をSuperose12HR10/
30(Pharmacia LKB)を用いてゲル瀘過
した結果を後記図6に示す。フラクションNo.26に
単一のカルボキシペプチダーゼ活性が認められた。精製
方法の具体例は後記実施例1〜6に示すとおりである。
【0027】(9)分子量 本酵素の分子量は、アンドリウスの方法に準じ、Sup
erose12のゲル瀘過法によって求めたところ、後
記図7に示した如く約42000であった。また本酵素
をPhast System(Pharmacia LK
B)を用いてデイスク電気泳動を行い、次いで酵素タン
白質を銀染色した結果も後記図8に示す如く分子量約4
2000に単一のバンドを示した。かかる分子量を有す
るカルボキシペプチダーゼは、従来公知の動植物起源の
ものとは顕著に異なり、また、モナスカス属、ペニシリ
ウム属及びアスペルギルス属等の微生物が産生するもの
とも相違する。
【0028】(10)結晶構造 本酵素は高度に精製することによって、極端な活性低下
が認められるため、結晶化するには至っていない。
【0029】以上の如く、本発明酵素は,作用至適pH
が3〜6の酸性側にあり、前記した如くZ−Gly−Pro
−Leu−Glyの加水分解で見られたようにカルボキシ末
端から逐次アミノ酸を遊離し,更にZ−Phe−Pro
のカルボキシ末端のプロリンを加水分解する作用を有し
ており、かかる作用を示さない従来から知られている動
物すい臓からのカルボキシペプチダーゼA又はBとは全
く異なるカルボキシペプチダーゼであると考えられる。
【0030】これらの挙動及び至適pHからみると本酵
素は小麦などから得られるカルボキシペプチダーゼとは
基質特異性、分子量が全く異なり、阻害剤による阻害に
も差が認められることから、これらのカルボキシペプチ
ダーゼとも別種のものであると推定される。また、本出
願人の出願に係わるモナスカス属に属する菌の産生する
カルボキシペプチダーゼ(特開昭62−158482号
公報)とも至適pH、至適温度、阻害剤の影響及び基質
特異性の点で異なり、このカルボキシペプチダーゼとも
別種のものであると認められる。以上の理由により、本
発明の酵素は従来既知のカルボキシペプチダーゼとは別
異の新規な酸性カルボキシペプチダーゼであると考えら
れる。以下、実施例により本発明の数態様を更に具体的
に説明する。
【0031】
【実施例】
【実施例1】40℃の軟水1Kgに生のスルメイカ肝臓
(岩手県産)200gを添加し、pH5に調整して充分
にかき混ぜた後、20℃で15時間静置した。次にデカ
ント分離により水層部を得た。この水層部をケイソウ土
濾過し、抽出液700gを得た。この抽出液のpH4.
0におけるカルボベンゾキシ−フェニルアラニル−チロ
シル−ロイシン(Z−Phe−Thy−Leu)を基質
とする酵素活性を測定した結果、12.4(nkat/
ml)であった(以下、この抽出液を「イカカルボキシ
ペプチダーゼ1」と称する)。
【0032】
【実施例2】40℃の軟水14Kgに冷凍アカイカ肝臓
(ニュージーランド沖産)2Kgを添加し充分にかき混
ぜた後、1N−HClにてpH4.0に調整し、30℃
で2時間静置した。次いでデカント分離により水層部を
採取し、珪藻土濾過して濾液10Kgを得た。この濾液
を減圧下に濃縮し濃縮液1Kgを得た。この濃縮液の酵
素活性は17.0(nkat/ml)であった。これを
280nmにおけるタン白吸収当たりの比活性で表すと
12.8(nkat/A280nm)であった(以下、
この濃縮液を「イカカルボキシペプチダーゼ2」と称す
る)。
【0033】
【実施例3】実施例2で得られたイカカルボキシペプチ
ダーゼ2の1Kgに硫酸アンモニウム35.3gを加
え、かき混ぜて溶解させた後4℃で15時間静置した。
次いで、遠心分離により不溶物を除き分離液1031.
gを得た。この分離液に硫酸アンモニウム318gを
加えて溶解し、40℃で15時間静置して塩析処理を行
い析出物21gを得た。この析出物をpH4.0の0.
01M酒石酸緩衝液40gに溶解し、得られた溶液を透
析チューブ(Union Carbide cor
p.)を用いて同じ緩衝液で透析処理して脱塩した。そ
の結果、酵素液110gを得た。この酵素液のACPa
se活性は141.9(nkat/ml);30.3
(nkat/A280nm)であった(以下、この酵素
液を「イカカルボキシペプチダーゼ3」と称する)。
【0034】
【実施例4】実施例3で得られたイカカルボキシペプチ
ダーゼ3の5gをpH5.0の0.01M酢酸緩衝液に
て平衡化した直径3.2cm×23cmのセルロースカ
ラムに供し、同緩衝液で塩化ナトリウム濃度が0〜0.
6Mまでのグラジエントを行い、ACPase活性をも
つ画分10gを得た。この分画物の活性は68.0(n
kat/ml);87.2(nkat/A280nm)
であった。
【0035】
【実施例5】実施例3で得られたイカカルボキシペプチ
ダーゼ3の5gをpH4.0の0.01M酢酸緩衝液で平
衡化した直径1.6cm×10cmのMono S(P
harmacia LKB.製)カラムに供し、同緩衝
液で塩化ナトリウム濃度0〜0.5Mまでグラジエント
を行い、ACPase活性をもつ画分5gを得た。この
分画物の活性は108.2(nkat/ml);14
2.4(nkat/A280nm)であった(以下、こ
の分画物を「イカカルボキシペプチダーゼ4」と称す
る)。
【0036】
【実施例6】実施例5で得られたイカカルボキシペプチ
ダーゼ4の5gをpH5.0の0.01M酢酸緩衝液
(含0.15M塩化ナトリウム)にて平衡化した直径
1.6cm×60cmのSuperdex 75(Ph
armacia LKB)に供し、同緩衝液で塩化ナト
リウム濃度0〜0.5Mまでグラジエントをおこない行
い、ACPase活性をもつ画分5gを得た。この分画
物の活性は、108.2(nkat/ml);142.
4(nkat/A280nm)であった。
【0037】
【発明の効果】イカ類肝臓にカテプシン系のプロテアー
ゼが存在することは従来から知られていた。これらのプ
ロテアーゼはタン白質をランダムに分解するエンドペプ
チダーゼである。イカ類肝臓酵素には上記プロテアーゼ
のほかに酸性カルボキシペプチダーゼが存在することは
従来全く知られておらず、かかる入手が容易で大部分が
廃棄されているイカ類肝臓から新規な酸性カルボキシペ
プチダーゼが得られることは酵素製造上極めて有利であ
る。更に本酵素は、近来蛋白資源の不足から重視されて
いる大豆その他の動植物タン白質酵素分解物製造の際に
問題となっている苦味ペプチド類の除去をはじめとし
て、ペプチド類のカルボキシ末端分析、アミノ酸配列の
決定及び消化剤としての利用など、蛋白研究分野、食品
工業分野及び医薬分野において広く利用可能で産業上極
めて有用な酵素である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明酵素の至適pH範囲を示す図である。
【図2】本発明酵素の安定pH範囲を示す図である。
【図3】本発明酵素の至適温度範囲を示す図である。
【図4】本発明酵素の安定温度範囲を示す図である。
【図5】粗酵素のMonoSを用いたイオン交換クロマ
トグラフィーの溶出パターンを示す図である。
【図6】図5におけるフラクションNo.23をSup
erose12を用いてゲル濾過した際の溶出パターン
を示す図である。
【図7】本発明酵素のアンドリウスの方法による分子量
測定を示す図である。
【図8】本発明酵素のディスク電気泳動を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船田 桂子 神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川 香料株式会社川崎研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−11060(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 9/48 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の理化学的性質を有することによって
    特徴づけられる酸性カルボキシペプチダーゼ。 (1)酵素作用 酸性下でタン白質及びペプチドのカルボキシ末端のぺプ
    チド結合を加水分解する。 (2)基質特異性 比較的非特異的にカルボキシ末端のペプチド結合を加水
    分解物するエキソ型カルボキシペプチダーゼであるが、
    C末端より2番目に疎水性アミノ酸がある場合によく作
    用する。 (3)至適pH: pH3〜6 (4)安定pH範囲: pH2〜6のpH域で安定であ
    る。 (5)作用適温の範囲:30〜50℃ (6)pH、温度などによる失活の条件 pH10以上において30分または60℃、30分間で
    ほぼ失活する。 (7)阻害、活性化及び安定化 パラクロロマーキュリー安息香酸、モノヨード酢酸、キ
    モスタンチン、硫酸第二銅、塩化第二水銀及びカルボベ
    ンゾキシ−PCKにより阻害され、Cys−Cysによ
    り活性化される。 (8)分子量: 約42000
  2. 【請求項2】 イカ肝臓を水又は酸性の緩衝液で抽出
    し、得られる抽出液から脂肪及び不溶性固形分を除去す
    ることを特徴とする請求項1記載の酸性カルボキシペプ
    チダーゼの製法。
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