JP2900637B2 - 定着方法及びその装置 - Google Patents

定着方法及びその装置

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JP2900637B2 JP10181591A JP10181591A JP2900637B2 JP 2900637 B2 JP2900637 B2 JP 2900637B2 JP 10181591 A JP10181591 A JP 10181591A JP 10181591 A JP10181591 A JP 10181591A JP 2900637 B2 JP2900637 B2 JP 2900637B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子写真式複写機や
プリンタ等の画像形成装置に使用され、互いに圧接する
一対のロール間に未定着トナー像を担持した転写媒体を
通過させることにより、この未定着トナー像を上記転写
媒体上に定着させる定着方法及びその定着装置に関し、
特に、定着を行うロールに対するトナーの離型性を向上
させた定着方法及びその定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の画像形成装置において採
用されている定着方法及びその装置としては、例えば
公昭59−4699号公報、特開昭59−74579号
公報、特開昭60−129768号公報に示すものがあ
る。この定着方法及びその装置は、図9に示すように、
内部に加熱源を有し矢印方向へ回動する加熱ロール10
0と、この加熱ロール100に圧接して配設され矢印方
向へ回動する加圧ロール101と、上記加熱ロール10
0に取付けられこの外周面にトナーオフセット防止用の
離型剤を供給する離型剤供給手段102とでその主要部
が構成されており、未定着トナー像が担持された転写用
紙103を上記加熱ロール100と加圧ロール101間
に挿通させてトナー像の定着を行うものである。そし
て、上記加熱ロール100は、内部に加熱源を有する基
質ロール104と、この基質ロール104上に設けられ
た内側弾性体層105と、上記トナーオフセット防止用
の離型剤と親和性を有しかつ耐磨耗性を有するフッ素ゴ
ム等弾性材料にて形成され上記内側弾性体層105上に
設けられた外側弾性体層106とを備えており、上記内
側弾性体層105の弾性作用により適度の押圧力と接触
幅をもって加熱ロール100を上記転写用紙103に接
触すると共に、外側弾性体層106に供給された離型剤
の作用によりオフセット現象を防止するようになってい
る。
【0003】ところで、上記加熱ロール100の表面に
塗布される離型剤としては、例えば通常のシリコーンオ
イルをベースとしたポリジメチルシロキサン等が用いら
れている。しかし、最近は、加熱ロール100の外側弾
性体層106として耐熱性かつ耐磨耗性に優れたフッ素
ゴムであるバイトンゴム(デュポン社:商品名)が多く
用いられているが、このバイトンゴムと離型剤としての
ポリジメチルシロキサンとは親和性が悪く、十分な離型
性を得ることができないという問題点があった。
【0004】そこで、上記の問題点を解決するものとし
ては、加熱ロール100の外側弾性体層106として用
いられるバイトンゴムと親和性の良いメルカプト基を有
するメルカプト変性シリコンオイルを離型剤として用い
ることも考えられ、実際に使用されてもいる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
の場合には、次に示すような問題点を有している。すな
わち、離型剤として加熱ロールの外側弾性体層として用
いられるバイトンゴムとメルカプト変性シリコンオイル
を用いた場合には、バイトンゴムの種類によっては長期
使用する間にメルカプト変性シリコンオイルが熱によ
って化学反応を起こしてゲル化してしまい、耐熱性に欠
けるという問題点があった。また、定着性を向上させる
ため、加熱ローラの表面温度を高く設定した場合には、
メルカプト変性シリコンオイルが変質してしまい、寿命
が短くなるという問題点があった。更に、カラー複写機
等においては、シアン、マゼンタ、イエロー等の複数の
トナーを用いて画像の形成が行われるため定着すべきト
ナー量も多く、又発色性を向上させるためトナーとして
低融点トナーが使用されるので粘着性が高く、離型剤に
も高離型性が要求されるが、従来の離型剤の場合には、
離型性が不十分であるという問題点があった。
【0006】そこで、この発明は、上記従来技術の問題
点を解決するためになされたもので、その目的とすると
ころは、定着を行うロールの表面に対して優れた離型性
を発揮する定着方法及びその装置を提供することにあ
る。また、本発明は、定着を行うロールの表面に対して
高離型性は勿論のこと、耐熱性に優れ、高温度での長期
間の使用に十分耐え得る定着方法及びその装置を提供す
ることにある。また、本発明は、定着を行うロールの外
側弾性体層として耐熱性かつ耐磨耗性に優れたフッ素ゴ
ムであるバイトンゴム等を使用した場合であっても、高
離型性や耐熱性に優れ、高温度での長期間の使用に十分
耐え得る定着方法及びその装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
互いに圧接した一対の定着ロール間に未定着トナー像を
担持した転写媒体を通過させ、この転写媒体上に未定着
トナー像を定着させる定着方法において、上記一対の定
着ロールのうち少なくとも未定着トナー像と接する側の
定着ロールに、有効成分として少なくとも下記一般式
(I)
【化7】 但し、式中Aは−R1 −X又は−R1 −O−Yf −H
但し、R1 は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、X
は−NH2 又は−NHR2 NH2 (但し、R2 は炭素数
1〜8のアルキレン基を示すを示し、Yは炭素数2〜
4のアルキレン基を示し、fは0〜10の整数である
を示し、b及びcはそれぞれ0≦b≦10及び10≦c
≦1,000であり、dは2又は3及びeは0又は1で
あってd+e=3であり、b及びeは同時に0にならな
い〕で表され、かつ、25℃における粘度が10〜10
0,000csの官能基含有オルガノポリシロキサンを
主成分として含有する定着用離型剤を供給する定着方法
である。この官能基含有オルガノポリシロキサンは、そ
のアミン当量が7,500〜500,000の範囲内の
ものであることが好ましい。また、本発明は、この様な
定着方法を遂行するための離型剤供給手段を備えた定着
装置である。
【0008】本発明の定着方法及びその装置において使
用する定着用離型剤は、上記一般式(I)で表される2
5℃における粘度が10〜100,000csの官能基
含有オルガノポリシロキサンであり、好ましくは下記一
般式(II)
【化8】 〔但し、式中Aは−R1 −X(但し、R1 は炭素数1〜
8のアルキレン基を示し、Xは−NH2 を示す)を示
し、b及びcはそれぞれ0<b≦10及び10≦c≦
1,000である〕で表される官能基含有オルガノポリ
シロキサンである。この官能基含有オルガノポリシロキ
サンの好ましい具体例としては、例えば、 アミン変性オイルα1 :一般式(I) d=3及びe=0、及び 中間のA=−CH2 CH2 CH2 NHCH2 CH2 NH2 アミン変性オイルα2 :一般式(I) 一方の末端d=2及びe=1、他方の末端d=3及びe=0、及び 中間のA=−CH2 CH2 CH2 NHCH2 CH2 NH2 末端のA=−CH2 CH2 CH2 NH2 アミン変性オイルβ:一般式(II) d=3及びe=0、及び 中間のA=−CH2 CH2 CH2 NH2 を挙げることができ、特に好ましいものは上記アミン変
性オイルβである。
【0009】また、本発明では、離型剤中に他の有効成
分として、下記一般式(III)
【化9】 (但し、式中R5 は炭素数1〜8のアルキル基又はアリ
ール基を示し、aは1.95<a<2.20である)で
表されるオルガノポリシロキサンを配合することができ
る。この一般式(III)のオルガノポリシロキサンにおい
て、置換基R5 は、具体的にはメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基等のアルキル基や、フェニル基、トリ
ル基等のアリール基等から選択される1種又は2種以上
の炭化水素基であり、好ましくは下記式
【化10】 (但し、式中nは0〜1,000の整数である)で表さ
れるものであって、好ましい具体例しては、例えば、ジ
メチルオイルγ:一般式(III)で表されるジメチルポリ
シロキサン R5 =−CH3 を挙げることができる。
【0010】更に、本発明においては、定着用離型剤中
に他の有効成分として、下記一般式(IV)
【化11】 (但し、式中R3 は炭素数1〜8のアルキル基又はアリ
ール基を示し、R4
【化12】 で表される芳香族アミノ基を示し、D1 及びD2 は上記
3 又は−O−R4 を示し、p及びqはそれぞれ0≦p
≦100及び0≦q≦10を示し、q=0のときにはD
1 及びD2 の少なくとも1つは−O−R4 である)で表
される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンを配
合することができる。この芳香族アミノ基含有オルガノ
ポリシロキサンの好ましい具体例しては、例えば、 芳香族アミン変性オイルδ:一般式(IV) D1 及びD2 =−CH3 、R3 =−CH3 、 一方のR4 =−CH3 、及び
【化13】 を挙げることができる。
【0011】更に、上記一対の定着ロールとしては、例
えば内部に加熱源を有する加熱ロールと、同じく内部に
加熱源を有する加圧ロールとからなり、熱及び圧力によ
って定着を行うものが用いられる。しかし、これに限定
されるものではなく、一対の定着ロールとして、加熱ロ
ール側のみに加熱源を有するタイプのものでもよく、ま
た、金属製ロールからなり、圧力のみの作用で定着を行
うタイプのものであってもよい。
【0012】また、上記離型剤を定着ロールの表面に供
給するための手段としては、例えばオイルパンに収容さ
れた離型剤を定着ロールの表面に接触する塗布ロールに
よって供給するものが用いられる。しかし、これに限定
されるものではなく、定着ロールの表面に接触し、離型
剤を含浸させたウエブ等によって塗布するようにしても
よい。
【0013】
【作用】この発明においては、本発明者らが、定着を行
うロールの外側弾性体層として耐熱性かつ耐磨耗性に優
れたフッ素ゴムであるバイトンゴム等を用いた場合で
も、高離型性は勿論のこと耐熱性に優れ、高温度での長
期間の使用に十分耐え得る離型剤を見出すため種々の実
験を行った結果、上記の構造式で示す2種類のアミン変
性オイルを配合したものを用いることによって、高温度
での長期間の使用に十分耐え得ることを見い出した。
【0014】
【実施例】以下、添付図面に示す実施例、実験例及び比
較例に基づいて、本発明の定着方法とその装置を具体的
に説明する。なお、以下の実施例、実験例及び比較例に
おいて、離型剤を構成するベースオイルとしては以下の
ものを使用した。一般式(I)のアミン変性オイルα1
として アミンAオイル:アミン当量 40,000 アミンBオイル:アミン当量139,000 アミンCオイル:アミン当量195,000 アミンDオイル:アミン当量 7,640 一般式(I)のアミン変性オイルα2 として アミンEオイル:アミン当量 32,500 一般式(II)のアミン変性オイルβとして アミンFオイル:アミン当量 28,600 アミンGオイル:アミン当量 36,500 一般式(III)のオルガノポリシロキサンとして ジメチルオイルγ:粘度300cs 一般式(IV)の芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキ
サンとして 芳香族アミン変性オイルδ その他のベースオイルとして メルカプト変性オイル:メルカプト変性シリコンオイル
(米国SWS社製、粘度270cs) なお、アミン当量とは、全分子量をアミノ基の数で割っ
た値である。
【0015】 実施例1 図1及び図2はこの発明に係る定着方法及びその装置の
一実施例を示すものである。この定着装置は、図2に示
すように、加熱ロール1と加圧ロール2とでその主要部
が構成されている。
【0016】上記加熱ロール1は、内部に500Wのコ
ルツランプ3を備え、外径44mmΦのスチール製コア
材で形成された基質ロール4と、適宜プライマーを介し
て上記基質ロール4上に設けられ、シリコンコンパウン
ド(東レ社SH841U)100重量部に対し、結晶性
シリカ100重量部と加硫剤(東レ社RC−4)0.8
重量部とを充填混合して形成され、そのゴム硬度がJI
S硬度において60°及びその厚みtが3mmの内側弾
性体層5と、この内側弾性体層5上に設けられ、フッ素
系ゴム〔例えば、バイトンゴム(商品名):デュポン社
B−50〕100重量部とカーボン(キャボット社、サ
ーマルブラックMT)2重量部と酸化マグネシウム(M
gO:協和化学社#30)10重量部とを充填混合して
形成され、厚みtが40μmの外側弾性体層6とで構成
されている。一方、加圧ロール2は、内部に500Wの
コルツランプ7を備え、外径48mmのスチール製コア
材で形成された基質ロール7と、適宜プライマーを介し
て上記基質ロール7上に設けられ、シリコンコンパウン
ド(東レ社SH841U)100重量部と、結晶性シリ
カ50重量部と加硫剤(東レ社RC−4)0.8重量部
とを充填混合して形成され、そのゴム硬度がJIS硬度
において60°及びその厚みtが1mmの内側弾性体層
8と、この内側弾性体層8上に設けられ、フッ素系ゴム
〔例えば、バイトンゴム(商品名):デュポン社B−5
0〕100重量部とカーボン(キャボット社、サーマル
ブラックMT)2重量部と酸化マグネシウム(MgO:
協和化学社#30)10重量部とを充填混合して形成さ
れ、厚みtが40μmの外側弾性体層9とで構成されて
いる。また、上記加熱ロール1と加圧ロール2とは、図
示しない加圧機構により互いに圧接されて、中央部で6
mmのニップ幅が形成されている。更に、加熱ロール1
は、通常その表面温度が140℃に設定されているとと
もに、加圧ロール2は、その表面温度が130℃に設定
されている。更に、加熱ロール1と加圧ロール2は、互
いに矢印方向へ表面速度150mm/secの速度で回
転するようになっている。
【0017】上記定着装置によって定着処理を受ける転
写媒体としての転写用紙10は、図2に示すように、そ
の表面に未定着のトナー像11を担持したものである。
この未定着のトナー像11としては、例えばシアン、マ
ゼンタ、イエローの3色からなるカラーのトナー像が用
いられる。上記カラートナー像11は、例えば次の配合
比からなるシアン、マゼンタ、イエローの3色からなる
カラートナーによって形成される。 シアントナー ポリエステル系樹脂 96重量部 帯電抑制剤 1重量部 シアン顔料 3重量部 マゼンタトナー ポリエステル系樹脂 96重量部 帯電抑制剤 1重量部 マゼンタ顔料 3重量部 イエロートナー ポリエステル系樹脂 96重量部 帯電抑制剤 1重量部 イエロー顔料 3重量部 そして、上記加熱ロール1と加圧ロール2間に、未定着
のカラートナー像11が表面側に形成された転写用紙1
0を挿通させ、加熱ロール1内に配設されたコルツラン
プ3からの熱エネルギを上記内側弾性体層5及び外側弾
性体層6を介し、上記未定着トナー像11へ過不足なく
供給して熱及び圧力によって定着を行うものである。
【0018】なお、この実施例1に係る定着装置におい
ては、加熱ロール1の内側弾性体層5と加圧ロール2の
内側弾性体層8とが同じゴム硬度を有するバイトンゴム
によって形成されているが、加熱ロール1の内側弾性体
層5の方が厚く形成されているので、加熱ロール1と加
圧ロール2とを互いに圧接させた状態では、図3に示す
ように、加熱ロール1の内側弾性体5の方が加圧ロール
2に押圧されて凹形状に変形し、加熱ロール1の内側弾
性体5の接触部位に凹部12が形成される。このよう
に、加熱ロール1側に凹部12が形成されるようにした
場合には、転写用紙10が加熱ロール1と加圧ロール2
とのニップ部を通過する際に、転写用紙10が加熱ロー
ル1の凹部12と同一の形状に変形される。そのため、
転写用紙10は、凹形状に変形した加熱ロール1側が未
変形の加圧ロール2側よりも外周長が長い分だけ周速が
速くなり、転写用紙10には、加熱ロール1と加圧ロー
ル2とのニップ部を通過する際に転写用紙11の表面側
を加熱ロール1の表面から分離させるような所謂”しご
く”力が作用するため、次に述べる離型剤のオフセット
効果と併せてより一層転写用紙10を加熱ロール1に巻
き付かせずに分離することができるようになる。したが
って、特にトナー量が多くオフセットしやすいカラート
ナーを定着する定着装置においても、転写用紙10の加
熱ロール1への巻き付きを効果的に防止することができ
る。
【0019】また、上記加熱ロール1の表面には、離型
剤を供給するための離型剤供給手段13が設けられてい
る。この離型剤供給手段13は、図1及び図2に示すよ
うに、離型剤14を収容したオイルパン15と、このオ
イルパン15内に収容された離型剤14に下部が浸漬さ
れた供給ロール16と、この供給ロール16と加熱ロー
ル1の両表面に接触する塗布ロール17とから構成され
ている。そして、上記加熱ロール1の表面には、塗布ロ
ール17によって所定量(例えば、転写用紙10上で
0.1μm厚程度)の離型剤14が塗布されるようにな
っている。
【0020】この実施例1では、上記離型剤14とし
て、上記一般式(I)のアミン変性オイルα1 であるア
ミンAオイル(アミン当量40,000)1,000重
量部と上記一般式(IV)の芳香族アミノ基含有オルガノ
ポリシロキサンである芳香族アミン変性オイルδ1重量
部とを配合して得られた粘度300csの配合オイルを
使用した。
【0021】 実験例1 次に、本発明者らは、図1に示す装置を実際に試作し、
カラートナー像11を担持した転写用紙10を定着する
ことによって、トナーがオフセットして加熱ロール1に
転写用紙10が巻き付くかどうかの離型性のテスト(初
期テスト)を行った。カラートナー像11としては、シ
アン、マゼンタ、イエローの3色のトナーを、各色0.
7mg/cm 2 づつ合計2.1mg/cm2 の割合で転
写用紙10上に担持させたものを用いた。また、転写用
紙10としては、厚紙(65g/m2)と薄紙(56g
/m2 )を用い、それぞれ縦目方向と横目方向に送って
離型性の試験を行った。更に、加熱ロール1の表面温度
は、120℃から20℃刻みで180℃まで変化させる
とともに、加圧ローラ2の表面温度は、130℃で一定
とした。このときの用紙離型性の実験結果を表1に示
す。
【0022】
【表1】 この表1で、○は全く問題なく転写用紙10が離型した
場合を、△は転写用紙10の後半が一部オフセットした
場合を、×は転写用紙10の先端から加熱ロール1に巻
き付いた場合をそれぞれ示している。この結果から明ら
かなように、本実施例の定着装置は、120℃〜160
℃の範囲で問題なく定着が行えることがわかった。ま
た、紙送りの仕方により例えば縦送り方式をとれば、1
20℃〜180℃まで問題のないことがわかった。
【0023】 実験例2 次に、加熱ロール1の設定温度を140℃に固定し、転
写用紙10として厚紙を横目送りの条件で30,000
枚連続して定着処理することによってランニングテスト
を行った。それ以外の条件は、実験例1と同じである。
その結果、加熱ロール1及び加圧ロール2の表面には、
ゲル状生成物の発生が認められなかった。また、30,
000連続定着処理後の転写用紙10の離型性の評価
も、次の表2に示すように初期テストと比べて変化して
いなかった。
【0024】
【表2】 この表2から明らかなように、2種配合のアミン変性オ
イルは、加熱ロール1の外側弾性体層6にフッ素ゴムで
あるバイトンゴム等を用いた場合でも、高い離型性を得
ることができるとともに、耐熱性に優れ、高温度で長期
間使用した場合でも、アミン変性オイルに化学反応が生
じたりすることがなく、初期の離型性を長期間維持する
ことができることがわかった。
【0025】 比較例1 離型剤14をメルカプト変性オイルに変えた以外は、上
記実施例1と同様の定着装置を用意し、上記実験例1と
同じ試験を行った。結果を下記表3に示す。
【0026】
【表3】この表3から明らかなように、離型剤14とし
てメルカプト変性オイルを用いた場合はポリエステル系
トナーに対して用紙の離型性が悪いことが判明した。
【0027】 実験例3 更に、本発明者らは、アミン変性オイルの離型性が何故
良いのかを調べるために、各種の物質からなる10cm
四方の正方形の板材を用意し、これらの正方形の板材を
90〜230℃の温度範囲にで10℃毎に温度コントロ
ールするとともに、各種物質の正方形板に離型剤として
のオイルを薄く塗布する。そして、各種物質の正方形板
の表面に未定着のトナー像11が形成された転写用紙1
0を数秒間押し付けた後、転写用紙10を急激に離型し
た場合に、正方形板の表面にオフセットしたトナー像を
観察する実験を行った。結果を表4〜表17に示す。
【0028】なお、各種物質としては、銅、アルミ、ニ
ッケル、亜鉛、ステンレス、石英ガラス、シリコンRT
Vゴム、フロロシリコンゴム、バイトンゴム1(充填剤
としてMgOを70重量部充填したもの)、バイトンゴ
ムII(充填剤としてPbOを70重量部充填したも
の)、バイトンゴムIII (充填剤としてMgO、SiO
2をそれぞれ20重量部及び50重量部充填したも
の)、バイトンゴムIV(充填剤としてMgO、Al2
3 をそれぞれ20重量部及び50重量部充填したも
の)、バイトンゴムV(充填剤としてMgO、ZnOを
それぞれ20重量部及び50重量部充填したもの)の1
3種類の物質を用いた。また、上記各種物質からなる正
方形板の表面に塗布する離型剤14としては、粘度が3
00csのジメチルオイルγと、メルカプト基の濃度が
0.1%で粘度が300csのメルカプト変性オイル
と、実験例1で使用したと同じ配合オイルとを用いた。
更に、トナーとしては、分子量Mw が15,000のポ
リエステル系樹脂96重量部と、帯電制御剤1重量部
と、マゼンタ顔料3重量部とからなるトナーAと、分子
量Mw が100,000のスチレンアクリル系樹脂96
重量部と、帯電制御剤1重量部と、マゼンタ顔料3重量
部とからなるトナーBとを用いた。ここで、表中、◎は
全く問題なく離型した場合を、○はトナーがオフセット
することなく離型した場合を、△はトナーが一部オフセ
ットした場合を、×はトナーが全面的にオフセットした
場合をそれぞれ示している。また、表中、二つの記号が
記載されているところは、測定結果がそれぞれの記号に
わたる場合を示している。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】
【表10】
【0036】
【表11】
【0037】
【表12】
【0038】
【表13】
【0039】
【表14】
【0040】
【表15】
【0041】
【表16】
【0042】
【表17】
【0043】上記の表から明らかなように、実施例1で
使用した配合オイルは、ゴム類ばかりでなくすべての物
質において、高離型性が得られることがわかった。この
理由は、官能基であるアミノ基が金属や金属酸化物、ゴ
ム類に対して取り付き易く、これらの物質の表面にオイ
ルの化学的な吸着膜あるいは化学反応膜を形成し易いた
めと考えられる。これに対して、ジメチルシリコンオイ
ルの場合には、シリコンRTVゴム等に関しては離型性
が良好であるものの、それ以外のほとんどの物質に関し
ては離型性が悪いものであった。また、メルカプト変性
シリコンオイルの場合には、ジメチルシリコンオイルよ
りも多少離型性がよく、バイトンゴム等一部の物質に関
して離型性が良好であるものの、それ以外のほとんどの
物質に関しては離型性が悪いものであった。
【0044】 実験例4 更に、本発明者らは、上記実施例1で使用したと同じ配
合オイル及びメルカプト変性オイルと相手物質との親和
力の強さを比較するために、オイルを塗布した面を以下
の処理法によって処理した場合における純水の接触角を
測定する実験を行った。表面の処理法として、第1の処
理法の場合には、オイルを塗布した後に乾いた紙でオイ
ルを擦り取る処理を、第2の処理法の場合には、オイル
を塗布した後にメチルアルコールで洗浄する処理をそれ
ぞれ施した。ここで、オイルを塗布する相手物質として
は、バイトンゴム1(充填剤としてMgOを70重量部
充填したもの)、バイトンゴムII(充填剤としてMg
O、SiO2 をそれぞれ20重量部及び50重量部充填
したもの)、ステンレス、アルミ、石英ガラス、OHP
シート、パーフロロアルコキシ(PFA)を40μmの
厚さに塗布したものを用いた。結果を表18に示す。な
お、この表18において、括弧内の数字は標準偏差の値
を示している。
【0045】
【表18】
【0046】この結果から明らかなように、2種配合の
アミン変性オイルの方がメルカプト変成オイルより接触
角が大きく親和力が大きいことがわかった。また、メチ
ルアルコールで洗浄した場合でも、かなりの量のアミン
変性オイルが残存しており、その親和力はかなり大きい
ことがわかった。かなりの量のアミン変性オイルが残存
しており、その親和力はかなり大きいことがわかった。
【0047】 実施例2 離型剤14として一般式(I)のアミン変性オイルαで
あるアミンAオイル(アミン当量:40,000)のみ
を用いた以外は、上記実施例1と同様の定着装置を用意
し、実験例1と同様の試験を行った。結果は実験例1の
場合と同様であった。次に、実験例1のランニング条件
と同じように加熱ローラ1の表面温度を140℃に固定
し、カラートナー3種、厚紙横送りの条件で30,00
0枚の連続定着によるランニングテストを行った。この
結果、加熱ロール1、加圧ロール2の表面にゲル生成物
は認められなかったが、離型剤14を収納するオイルタ
ンク内のオイルの粘度が上昇し、これ以上連続して定着
を行うと、塗布ロール17に過剰のオイルが供給された
り、供給ムラが生じる恐れが若干認められた。また、離
型剤14の色も若干茶褐色に変化していたが、特に問題
にするほどではなかった。このときの用紙離型性の評価
結果は、表19のように初期テストに比べて若干低下し
ていた。
【0048】
【表19】
【0049】 実験例5 更に、本発明者らは、離型剤14の成分を変化させた場
合における用紙離型性、濡れ性、コピー光沢(いわゆ
る、グロス)の変化を調べるため、次に示すような実験
を行った。先ず、実施例1で使用した一般式(IV)で表
される芳香族アミン変性オイルδの使用量を0.1%に
固定し、これに配合されるオイルとして、一般式(I)
で表されるアミン変性オイルα1 におけるb及びcの値
を変化させることによりそのアミン当量を変化させたア
ミンBオイル、アミンCオイル及びアミンDオイル、ま
た、一般式(I)表されるアミン変性オイルα2 である
アミンEオイル、一般式(II)表されるアミン変性オイ
ルβであるアミンFオイル、更に、メルカプト変性オイ
ルとを使用し、用紙離型性、濡れ性、コピー光沢を調べ
る実験を行った。用紙離型性は、加熱ロール1に転写用
紙10が巻き付くか否かによって評価した。また、濡れ
性は、加熱ロール1の表面の濡れの程度を目視によって
観察することによって評価した。更に、コピー光沢は、
光沢計(米国ガードナー社製 グロスメーター:グロス
ガードII(入反射角75°))によって測定することに
より評価した。
【0050】先ず、オイルの濡れ性は、アミンAオイ
ル、アミンCオイル及びアミンDオイルが優れた濡れ性
を示しており、アミンBオイル、アミンEオイル及びア
ミンFオイルが良好な濡れ性を示しており、これに対し
てメルカプト変性オイルは濡れ性が不良であった。
【0051】次に、コピー光沢は、図4に示すように、
高温部において、アミンDオイルのコピー光沢が若干良
くないものの実際の使用には差し支えのないものであっ
た。それに対して、メルカプト変性オイルは、光沢性が
全く良くないものであった。それ以外のオイルは、どの
オイルも同程度であった。
【0052】更に、用紙離型性については、アミンAオ
イル、アミンBオイル、アミンCオイル、アミンEオイ
ル及びアミンFオイルの場合には前記表19と同様の結
果が得られ、また、アミンDオイルの場合には下記表2
0のような結果が得られ、更に、メルカプト変性オイル
の場合には下記表21のような結果が得られた。
【0053】
【表20】
【0054】
【表21】
【0055】これらの結果から明らかなように、アミン
Dオイル及びメルカプト変性オイルを除いて同じ結果と
なった。メルカプト変性オイルについては、濡れ性も悪
く、コピー光沢も高温部で低下しており、用紙離型性も
悪い結果となった。一方、アミンDオイルについても、
コピー光沢の結果と同様、アミノ基の濃度が高いために
(アミン当量が小さいとアミノ基濃度は大)離型効果に
深い係わりをもつオイル中のメチル基が少なくなってし
まうため、離型性が悪くなってしまうためと思われる。
このため、一般式(I)で表されるアミン変性オイルα
1 においては、アミノ基濃度の適当な範囲が存在するこ
とがわかった。具体的には、アミンDオイル以下のアミ
ノ基濃度でアミンBオイル以上のアミノ基濃度(アミン
当量約10,000から140,000)を有すれば良
好な離型性が得られることが判明した。
【0056】 実験例6 次に、アミンDオイルをジメチルオイルγでそれぞれ5
倍及び18倍に希釈し、アミン当量をそれぞれ38,2
00及び137,520に調整して実験例1と同様にそ
の用紙離型性を確認する実験を行った。結果は、何れの
場合も表1と同様であり、アミンDオイルにジメチルオ
イルγを配合してそのアミン当量を増加させることで、
離型性が改善されることが判明した。
【0057】 実施例3 図5はこの発明に係る定着装置の実施例3を示すもので
ある。この定着装置は、図5に示すように、シリコンゴ
ムからなる加熱ロール21と、テフロン系樹脂からなる
加圧ロール22とでその主要部が構成されている。上記
加熱ロール1は、内部に500Wのコルツランプ23を
備え、外径44mmΦのスチール製コア材で形成された
基質ロール24と、適宜プライマーを介して上記基質ロ
ール24上に設けられ、シリコンコンパウンド(東レ社
SH841U)100重量部に対し、結晶性シリカ10
0重量部、酸化マグネシウム(MgO:協和化学社#3
0)30重量部、加硫剤(東レ社RC−4)0.8重量
部とを充填混合して形成され、そのゴム硬度がJIS硬
度において62°及びその厚みtが3mmのシリコン層
25とで構成されている。一方、加圧ロール22は、内
部に500Wのコルツランプ26を備え、外径50mm
のスチール製コア材で形成された基質ロール27と、適
宜プライマーを介して上記基質ロール27上に設けら
れ、PFA(パーフロロアルコキシ:三井デュポン社M
P−10)100重量部に対し、SiC(フジミ研磨材
(株)製:SiC#3000)10重量部を粉体のまま
混合し、基質ロール27上に静電粉体塗装及び焼付けに
より形成されたPFA層28とで構成されており、上記
PFA層28は、ポリッシングされて約40μmの厚み
に調整されている。また、上記加熱ロール21と加圧ロ
ール22とは、実施例1と同様、図示しない機構により
互いに圧接されて、中央部で6mmのニップ幅が形成さ
れるように設定されている。更に、加熱ロール21と加
圧ロール22とは、互いに矢印方向へ表面速度150m
m/secで回転するように調節されている。ところ
で、この実施例3でも、実施例1と同様に、離型剤供給
手段13によって加熱ロール21の表面に離型剤14が
塗布されるようになっている。
【0058】 実験例7 本発明者らは、図5に示す装置を実際に試作し、加熱ロ
ール21に供給する離型剤14として、実験例1と同じ
配合オイルと、ジメチルオイルγとを用意し、実験例1
と同様にカラートナー像11を担持した転写用紙10を
定着することによって、トナーがオフセットして加熱ロ
ール21に転写用紙10が巻き付くかどうかの離型性の
テスト(初期テスト)を行った。なお、カラートナー像
11としては、シアン、マゼンタ、イエローの3色のト
ナーを、各色0.7mg/cm 2 づつ合計2.1mg/
cm2 の割合で転写用紙10上に担持させたものを用い
た。また、転写用紙10としては、厚紙(65g/
2 )と薄紙(56g/m2 )を用い、それぞれ縦目方
向と横目方向に送って離型性の試験を行った。更に、加
熱ロール21の表面温度を120℃から20℃刻みで1
80℃まで変化させるとともに、加圧ロール22の表面
温度は、130℃で一定とした。結果は、何れの場合も
表22に示すとおりであり、表面がシリコン層からなる
加熱ロール21においても、従来のジメチルオイルγと
同等の離型性能を有することがわかった。
【0059】
【表22】
【0060】 実施例4 図6はこの発明に係る定着装置の実施例4を示すもので
ある。この定着装置は、図6及び図7に示すように、一
対の金属ロール31、32を互いに所定の圧力で圧接さ
せてなる圧力定着装置から構成されている。これらのロ
ール対31、32は、外径65mmΦの炭素鋼材(例え
ば、S55C)よりなり、その表面に硬質クロムメッキ
処理を施したものである。上記ロール対31、32は、
図6に示すように、上部フレーム33及び下部フレーム
34にそれぞれ回転可能に軸支されている。また、上記
ロール対31、32は、ロールの全長にわたり均一な圧
力を得るために、両ロール31、32の回転軸35、3
6の中央部を中心として、1.2°の角度をなして交差
するように配置されている。下部フレーム34は、画像
形成装置本体に固定されており、上部フレーム33は、
下部フレーム34の先端部において枢支ピン37を中心
に上下に回動可能に載置されている。更に、両ロール3
1、32間の荷重は、前記フレーム33、34後端に位
置する圧縮ばね38を介したボルト39によって加えら
れており、その荷重は800kgに設定してある。一
方、図示しないモータからの駆動力は、図7に示すよう
に、下側ロール34の端部に取付けられたスプロケット
40を介してチェーン41によって伝達され、両ロール
31、32は、表面速度100mm/secで回転する
ようになっている。ところで、この実施例4でも、実施
例1と同様、離型剤供給手段13によって上側ロール3
1の表面に離型剤14が塗布されるようになっている。
そして、両ロール31、32間に未定着トナー像11を
担持した転写用紙10を挿通させることにより、未定着
トナー像11を圧力によって転写用紙10上に定着させ
るようになっている。
【0061】 実験例8 本発明者らは、図6に示す装置を実際に試作し、上側ロ
ール31に供給する離型剤14として実験例1と同じ配
合オイルとジメチルオイルγとを用意し、以下の組成よ
りなる圧力定着トナーを用いて1mg/cm2 で3×3
cmの正方形のベタ画像を形成し、このベタ画像を担持
した転写用紙10を5枚連続してロール31、32間を
通過させたときのクリーニングパッドに取り付けた白紙
の汚れによって、離型性を確認する実験を行った。 圧力定着トナーの組成比 外殻樹脂 ポリウレア樹脂 20重量部 内部ポリマ液 スチレンアクリルポリマ溶液 30重量部 磁性粉 50重量部 顔料 カーボン 5重量部 結果は、実験例1と同じ配合オイル用いた場合には、定
着用の上側ロール31に取付けたクリーニングパッドに
白紙を取付け、この白紙に付着したオフセットトナー量
が少なく、離型性に優れており、また、ジメチルオイル
γを使用した場合は圧力定着用トナーの付着量が多いか
中くらいであり、圧力定着用の離型剤14としては適し
てしないことがわかった。
【0062】 実験例9 更に、本発明者らは、離型剤14としてのアミンAオイ
ルと芳香族アミン変性オイルδとの配合比を変化させた
場合に、用紙の離型性がどのように変化するかを調べる
実験を行った。アミンAオイルと芳香族アミン変性オイ
ルδとの配合比としては、アミンAオイルの1,000
重量部に対して、芳香族アミン変性オイルδをそれぞれ
0.5重量部、1重量部、2重量部、3重量部、5重量
部と変化させて、前記実験例1と同様の条件で、用紙の
離型性を調べた。結果は、これら芳香族アミン変性オイ
ルδの各配合量に対して、何れの場合も上記表1と同様
の結果が得られた。なお、芳香族アミン変性オイルδの
配合比が5重量部を超えると、用紙離型性が低下すると
共にアミンAオイルに対する相溶性も落ちて遊離した
り、茶色に着色することが判明した。
【0063】 実施例5及び実験例10 700Wの加熱ロール1内部のコルツランプ3、厚み3
0μmの外側弾性体層6、300Wの加圧ロール2内部
のコルツランプ7及び厚み30μmの外側弾性体層9を
使用した以外は図1及び図2と同様の定着装置を使用
し、加熱ロール1及び加圧ロール2の表面温度を150
℃に、また、加熱ロール1及び加圧ロール2の表面速度
を160mm/secに設定した以外は、上記図1及び
2と同様の定着装置を用意した。離型剤14としては、
一般式(II)のアミン変性オイルβを使用し、そのb及
びcの値を変化させて表23に示すアミン当量及び粘度
のアミン変性オイルβを調製して使用した。これらのア
ミン変性オイルβ粘度は何れも約320csであった。
加熱ロール1の表面温度をそれぞれ130℃、150
℃、170℃及び190℃とし、薄紙のみを使用して実
験した以外は、上記実験例1と同様にして用紙離型性を
測定した。結果は、表23に示す通りであった。
【0064】
【表23】 この結果から、この実施例5の場合には、転写媒体とし
て薄紙を使用しても、離型剤14のアミン当量が7,5
00〜500,000の範囲で、また、定着温度130
〜190℃の範囲で問題なく定着できることが判明し
た。
【0065】 実験例11 離型剤14としては、一般式(II)のアミン変性オイル
βとしてアミン当量7,500のものを使用し、これに
ジメチルオイルγ(粘度:300cs)を添加して表2
4に示すようにそのアミン当量を調整して使用した。そ
の他は上記実施例5の実験例10と同様にして用紙離型
性を測定した。結果を表24に示す。
【0066】
【表24】 この実験例11も、上記実験例10と同様の結果を示し
た。
【0067】 実験例12 次に、アミン当量36,500及び粘度320csを使
用した実験例10のテストが終了した後、そのまま加熱
ロール1の設定温度を150℃に維持し、転写媒体10
として30,000枚の厚紙を横目送りで供給し、定着
処理のランニングテストを行った。その他の条件は上記
実施例5の実験例10と同様である。ランニングテスト
終了後、加熱ロール1及び加圧ロール2の表面を観察し
た結果、ゲル状生成物の発生やその前段階のくもり現象
の発生は認められなかった。また、上記ランニングテス
ト終了後に薄紙を用いて行った用紙離型性の評価も、実
験例10と同様に130〜190℃まで何れの温度の場
合も良好であった。
【0068】 実施例6及び実験例13 加熱ロール21と加圧ロール22の表面速度を160m
m/secとし、配合オイルに代えて離型剤14として
アミン当量100,000、粘度300csの一般式
(II)のアミン変性オイルβを使用した以外は、図5に
示す実施例3と同様の装置を準備した。この実施例6の
定着装置に関して、上記実験例7と同様に、加熱ロール
21に転写用紙10が巻き付くかどうかの剥離性のテス
ト(初期テスト)と、転写用紙10として薄紙(56g
/m2 )を使用し、加熱ロール21の表面温度を130
℃から20℃刻みで190℃まで変化させ、また、加圧
ロール22の表面温度を150℃に固定した条件で用紙
離型性のテストを行った。結果は、上記実験例7の場合
と同様に、従来のジメチルオイルγと同等の離型性能を
示した。
【0069】 実施例及び実験例14 配合オイルに代えて離型剤14としてアミン当量10
0,000、粘度300csの一般式(II)のアミン変
性オイルβを使用した以外は、図6に示す実施例4と同
様の装置を準備した。上記実験例8と全く同様にしてク
リーニングパッドに取り付けた白紙の汚れによって離型
性の評価を行った。結果は、上記実験例8の場合と同様
に、アミン変性オイルβを使用した場合には、白紙に付
着したオフセットトナー量が少なく、離型性に優れてお
り、これに対してジメチルオイルγを使用した場合には
圧力定着用トナーの付着量が多いか中くらいであり、ア
ミン変性オイルβは圧力定着用の離型剤14としても適
していることが判明した。
【0070】 実験例15 離型剤14としてアミン当量100,000、粘度30
0csの一般式(II)のアミン変性オイルβ、メルカプ
ト変性オイル及びジメチルオイルγを使用した図1及び
2に示す実施例5と同様の装置により、上記実験例5と
同様に、用紙離型性、濡れ性、コピー光沢の変化を調べ
る実験を行った。オイルの濡れ性については、アミン変
性オイルβは優れた濡れ性を示したが、メルカプト変性
オイル及びジメチルオイルγは何れも不良であった。ま
た、コピー光沢については、図8に示すように、アミン
変性オイルβは良好なコピー光沢を示したが、メルカプ
ト変性オイルは良好とはいえないが実際の使用には差し
支えのない程度であり、また、ジメチルオイルγは光沢
性が全く良くないものであった。更に、用紙離型性につ
いては、下記表25に示す通りであった。
【0071】
【表25】
【0072】 実験例16 離型剤14としてアミン当量100,000、粘度30
0csの一般式(II)のアミン変性オイルβ、メルカプ
ト変性オイル及びジメチルオイルγを使用した図1及び
2に示す実施例5と同様の装置をそれぞれ用意し、加熱
ロール1及び加圧ロール2の加熱温度を160℃に設定
し、両ロールをラッチさせながら回転させるだけで転写
用紙を供給せず、連続80時間の空運転をした。この空
運転終了後、各ロール1及び2の表面をアルコールで拭
き取り、その表面を目視で観察し、ゲル化現象やクモリ
現象の発生があるか否かを観察した。結果は、何れの場
合も全く問題がなく、アミン変性オイルβは従来のメル
カプト変性オイル及びジメチルオイルγと同等以上の耐
熱性を有することが判明した。
【0073】
【発明の効果】本発明の定着方法及びその装置によれ
ば、高離型性は勿論のこと耐熱性に優れ、高温度での長
期間の使用に対しても離型剤が変質することなく、良好
な定着性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1に係る定着装置を示す斜
視説明図である。
【図2】 図1の断面説明図である。
【図3】 定着中のロールの変形状態を示す模式図であ
る。
【図4】 実験例5の加熱ロール温度とコピー光沢との
関係を示すグラフである。
【図5】 この発明の実施例2に係る定着装置を示す断
面説明図である。
【図6】 この発明の実施例3に係る定着装置を示す側
面説明図である。
【図7】 図6の水平断面説明図である。
【図8】 実験例15の加熱ロール温度とコピー光沢と
の関係を示すグラフである。
【図9】 従来の定着装置を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 加熱ロール、2 加圧ロール、3 加熱源、4 基
質ロール、5 内側弾性体層、6 外側弾性体層、7
基質ロール、8 内側弾性体層、9 外側弾性体層、1
0 転写用紙、11 トナー像、13 離型剤供給手
段、14 離型剤17 離型剤塗布ロール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−283765(JP,A) 特開 昭60−19182(JP,A) 特開 昭52−105834(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 13/20 G03G 15/20 C10M 107/50

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに圧接した一対の定着ロール間に未
    定着トナー像を担持した転写媒体を通過させ、この転写
    媒体上に未定着トナー像を定着させる定着方法におい
    て、上記一対の定着ロールのうち少なくとも未定着トナ
    ー像と接する側の定着ロールに、有効成分として少なく
    とも下記一般式(I) 【化1】 但し、式中Aは−R1 −X又は−R1 −O−Yf −H
    但し、R1 は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、X
    は−NH2 又は−NHR2 NH2 (但し、R2 は炭素数
    1〜8のアルキレン基を示すを示し、Yは炭素数2〜
    4のアルキレン基を示し、fは0〜10の整数である
    を示し、b及びcはそれぞれ0≦b≦10及び10≦c
    ≦1,000であり、dは2又は3及びeは0又は1で
    あってd+e=3であり、b及びeは同時に0にならな
    い〕で表され、かつ、25℃における粘度が10〜10
    0,000csの官能基含有オルガノポリシロキサンを
    主成分として含有する定着用離型剤を供給することを特
    徴とする定着方法。
  2. 【請求項2】 官能基含有オルガノポリシロキサンは、
    そのアミン当量が7,500〜500,000の範囲内
    のものである請求項1記載の定着方法。
  3. 【請求項3】 官能基含有オルガノポリシロキサンが、
    下記一般式(II) 【化2】 但し、式中Aは−R1 −X(但し、R1 は炭素数1〜
    8のアルキレン基を示し、Xは−NH2 を示す)を示
    し、b及びcはそれぞれ0<b≦10及び10≦c≦
    1,000であるで表される官能基含有オルガノポリ
    シロキサンである請求項1又は2記載の定着方法。
  4. 【請求項4】 有効成分として下記一般式(III) 【化3】 (但し、式中R5 は炭素数1〜8のアルキレン基又はア
    リール基を示し、aは1.95<a<2.20である)
    で表されるオルガノポリシロキサンを含有する請求項1
    〜3のいずれかに記載の画像形成装置の定着方法。
  5. 【請求項5】 有効成分として下記一般式(IV) 【化4】 (但し、式中R3 は炭素数1〜8のアルキル基又はアリ
    ール基を示し、R4 は 【化5】 で表される芳香族アミノ基を示し、D1 及びD2 は上記
    3 又は−O−R4 を示し、p及びqはそれぞれ0≦p
    ≦100及び0≦q≦10を示し、q=0のときにはD
    1 及びD2 の少なくとも1つは−O−R4 である)で表
    される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンを含
    有する請求項1〜のいずれかに記載の画像形成装置の
    定着方法。
  6. 【請求項6】 互いに圧接した一対の定着ロール間に未
    定着トナー像を担持した転写媒体を通過させ、この転写
    媒体上に未定着トナー像を定着させる定着装置におい
    て、上記一対の定着ロールのうち少なくとも未定着トナ
    ー像と接する側の定着ロールに、有効成分として少なく
    とも下記一般式(I) 【化6】 但し、式中Aは−R1 −X又は−R1 −O−Yf −H
    但し、R1 は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、X
    は−NH2 又は−NHR2 NH2 (但し、R2 は炭素数
    1〜8のアルキレン基を示すを示し、Yは炭素数2〜
    4のアルキレン基を示し、fは0〜10の整数である
    を示し、b及びcはそれぞれ0≦b≦10及び10≦c
    ≦1,000であり、dは2又は3及びeは0又は1で
    あってd+e=3であり、b及びeは同時に0にならな
    い〕で表され、かつ、25℃における粘度が10〜10
    0,000csの官能基含有オルガノポリシロキサンを
    主成分として含有する定着用離型剤を供給する離型剤供
    給手段を設けたことを特徴とする定着装置。
  7. 【請求項7】 官能基含有オルガノポリシロキサンは、
    そのアミン当量が7,500〜500,000の範囲内
    のものである請求項6記載の定着装置。
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