JP2897589B2 - 車両の出力制御装置 - Google Patents

車両の出力制御装置

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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、四輪駆動形式の車両に
おいて、車両の加速時等に、スリップ量に応じて機関の
駆動トルクを迅速に低減させ、車両を安全に走行させる
ようにした車両の出力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両の走行中に路面の状況が急激に変化
したり、滑りやすい低摩擦係数の路面、例えば雪路や凍
結路等の路面を二輪駆動形式(2WD)の車両が発進や
走行する場合、駆動輪が空転することがある。このよう
な場合、駆動輪が空転しないように運転者がアクセルペ
ダルの踏み込み量を調整し、機関の出力を微妙に制御す
ることは、熟練者であっても非常に難しいものである。
【0003】このようなことから、駆動輪の空転状態を
検出し、駆動輪の空転が発生した場合には、運転者によ
るアクセルペダルの踏み込み量とは関係無く、強制的に
機関の出力を低下させるようにした出力制御装置が考え
られている。そして運転者が必要に応じて、この出力制
御装置を利用した走行と、アクセルペダルの踏み込み量
に対応して機関の出力を制御する通常の走行とを選択で
きるようにしたものが発表されている。
【0004】このような観点に基づいた車両の出力制御
に関するもののうち、従来知られているものとしては、
次のものを挙げることができる。即ち、まず車両の走行
速度(以下、これを車速と呼称する)と駆動輪の回転速
度とを検出し、これらの差を駆動輪のスリップ量とみな
す。次に車両の前後方向に沿った加速度(以下、これを
前後加速度と呼称する)に基づいて算出される基準駆動
トルクから、駆動輪のスリップ量等に基づいて算出され
るフィードバック補正トルクを減算して機関の目標駆動
トルクを設定する。そして機関の駆動トルクがこの目標
駆動トルクとなるように、スロットル弁の開度や点火時
期等を制御する。
【0005】なお、機関の駆動トルクを低下させるトル
ク低減手段としては、点火時期を遅らせたり吸入空気量
や燃料供給量を少なくしたり、或いは燃料供給を中止し
たりすることが一般的である。更に特殊なものとしては
機関の圧縮比を下げるようにした構成等も採用すること
ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の「車両
の出力制御装置」は、2WD車両に適用するものであっ
た。四輪駆動形式(4WD)の車両では4輪が全て回転
駆動するため、2WD車両に適用する「車両の出力制御
装置」をそのまま用いることはできない。
【0007】つまり従来の「車両の出力制御装置」では
車速と駆動輪の回転速度(周速度)との差を、駆動輪の
スリップ量とみなす。そしてスリップ量に応じて機関の
駆動トルクを低減する。こうすることにより、雪道や凍
結路などの滑りやすい路面での駆動輪のスリップを抑制
し、発進加速性能や操縦安定性を確保するのである。
【0008】2WD車では非駆動輪(後輪)の回転速度
を車速とみなすことができる。また駆動輪の回転速度
は、2つの駆動輪の回転速度の平均から求めていた。と
ころが4WD車では4輪がすべて回転駆動するため、
「車速」及び「駆動輪回転速度」をどのようにして扱う
かが問題となる。
【0009】本発明は、上記実状に鑑み、4WDの車両
に適用して有効な車両の出力制御装置を提供することを
目的とする。なお4WD車であっても、エンジンの高出
力化やスパイクタイヤの使用規制強化に伴い、スリップ
が発生する事態が生じる。そこで、本願発明者は、4W
D車にも「車両の出力制御装置」を採用して、車輪のス
リップを抑制しようとしたのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の構成は、四輪駆動形式の車両を運転する運転者によ
る操作とは独立に、前記車両に搭載した機関の駆動トル
クを低減させるトルク低減手段と、車両の前後方向の加
速度を検出する前後加速度検出手段と、この前後加速度
検出手段により検出した前後加速度を基に、前記機関の
基準となる基準駆動トルクを設定する基準駆動トルク設
定手段と、前後加速度,操舵軸の旋回角及び各車輪の回
転速度を基に車両の走行速度を演算する車速演算手段
と、車両の走行速度と、各車輪の回転速度のうち複数の
速度の平均速度との差をスリップ量とみなし、このスリ
ップ量に基づき補正トルクを求め、更に基準駆動トルク
から補正トルクを減じた目標駆動トルクを設定する目標
駆動トルク設定手段と、前記機関の駆動トルクが前記目
標駆動トルクとなるように、前記トルク低減手段の作動
を制御する電子制御ユニットと、を有する車両の出力制
御装置であって、前記車速演算手段は、(1) 前後加速度
を基に推定車速を演算する推定車速演算部と、(2) 各車
輪の回転速度のうち早い方から所定番目のものを基準車
輪速として出力する基準車輪速選択部と、(3) 推定車速
と基準車輪速の一方を選んでこれを車速として出力する
車速選択出力部と、(4) 基準車輪速を微分した基準車輪
加速度が、前後加速度に比較用変数を加えた値よりも大
きくなったら、前記車速選択出力部における車速を、基
準車輪速から推定車速に切り換える第1の比較部と、
(5) 推定車速が基準車輪速よりも大きくなったら、前記
車速選択出力部における車速を、推定車速から基準車輪
速に戻す第2の比較部と、を備えており、しかも前記第
1の比較部では、比較用変数は、操舵軸の旋回角が所定
角よりも小さく所定角よりも大きいと大きくなっている
ことを特徴とする。
【0011】
【作用】前述したように4WD車では「駆動輪回転速
度」及び「車速」をどのようにして求めるかが問題とな
る。そこで詳細は後述するが本願発明者は、「車両の出
力制御装置」を4WD車に適用するため、「駆動輪回転
速度」として複数の車輪の回転速度の平均、具体的には
4輪のうち最も速い車輪とその次に速い車輪の回転速度
の平均を用いることとした。また、速い方から3番目の
車輪を基準車輪とし、基準車輪のスリップがないとみな
したときには(この判定手法は後述)、基準車輪の回転
速度を車速とみなし、基準車輪のスリップが生じたとみ
なしたときには、スリップ発生時の基準車輪の回転速度
と加速度センサ信号から車速を推定演算していた。な
お、4輪のうち、スリップ発生中において車速に最も近
いのは1番遅い(速い方から4番目)の車輪であるた
め、速い方から4番目の車輪を基準車輪とすることも考
えられるが、車輪速度センサの断線等の故障などを考慮
して、精度は若干劣る傾向にあるが、3番目の車輪を基
準車両として車速を求めるようにした。
【0012】また、基準車輪の回転速度の微分値が、加
速度センサ信号を基に求めた値(前後加速度+変数)よ
りも大きくなったことで、基準車輪のスリップが発生し
たとみなす。逆に、加速度センサ信号を基に推定演算し
て求めた車速が基準車輪の回転速度よりも大きくなった
ら、基準車輪のスリップがおさまったとみなす。
【0013】更に旋回時に補正をするようにしている。
即ち、旋回中には車輪の回転速度が乱れやすく、基準車
輪の回転速度を車速とみなすモードから、加速度センサ
信号を基に車速を推定演算するモードに入りやすい。こ
のとき、旋回中は、加速度センサの向きと車体進行のず
れや、加速度センサの応答遅れにより、加速度センサ信
号値は実車体加速度よりも小さくなる傾向にあり、推定
演算した車速が実際の車速よりも低くなる。このため駆
動輪回転速度と推定演算した車速との差が大きくなり、
大きなスリップが生じたと判定され、機関の駆動トルク
を低減する量が必要以上に大きくなり、加速不良とな
る。そこで本発明では、旋回時には、加速度センサ信号
に基づき車速を推定演算するモードに入りにくくすると
共に、車速を推定演算するモードに入ったときには、加
速度センサ信号を基に推定演算する車速を直進時のとき
よりも高めにする補正をするようにした。
【0014】
【実施例】図1は、本発明による車両の出力制御装置
を、前進4段後退1段の油圧式自動変速機が組み込まれ
た四輪駆動形式の車両に応用した一実施例における、吸
排気系の概念を表す。図2はその駆動系の概念を表す。
両図に示すように、機関11にはトルクコンバータ12
を介して自動変速機13が接続している。この自動変速
機13は、運転者による図示しないセレクトレバーの選
択位置と車両の運転状態とに応じて機関11の運転状態
を制御する電子制御ユニット(以下、これをECUと記
載する)14からの指令に基づき、図示しない油圧制御
装置を介して所定の変速段を自動的に選択するようにな
っている。
【0015】この自動変速機13の具体的な構成や作用
等については、例えば特開昭58−54270号公報や
特開昭61−31749号公報等で既に周知の通りであ
り、その油圧制御装置には自動変速機13の一部を構成
する複数の摩擦係合要素の係合操作と開放操作とを行う
ための図示しない複数のシフト制御用電磁弁が組み込ま
れている。これらシフト制御用電磁弁に対する通電のオ
ン,オフ操作をECU14にて制御することにより、前
進4段後退1段の内の任意の変速段への変速動作を滑ら
かに達成するものである。
【0016】先端側にエアクリーナ15が取り付けられ
た呼気管17は、機関11の燃焼室16に連通してい
る。吸気管17の途中にはスロットルボディ20が介装
されている。スロットルボディ20には、吸気管17に
よって形成される吸気通路18の開度を変化させ、燃焼
室16内に供給される吸入空気量を調整するスロットル
弁19を組み込んでいる。
【0017】図1及び図3(筒状をなすスロットルボデ
ィ20の部分の拡大断面構造を表す)に示すように、ス
ロットルボディ20にはスロットル弁19を一体に固定
したスロットル軸21の両端部が回動自在に支持されて
いる。吸気通路18内に突出するこのスロットル軸21
の一端部には、アクセルレバー22とスロットルレバー
23とが同軸状をなして嵌合されている。
【0018】前記スロットル軸21とアクセルレバー2
2の筒部24との間には、ブシュ25及びスペーサ26
が介装され、これによってアクセルレバー22はスロッ
トル軸21に対して回転自在となっている。更に、スロ
ットル軸21の一端側に取り付けた座金27及びナット
28により、スロットル軸21からアクセルレバー22
が抜け外れるのを未然に防止している。又、このアクセ
ルレバー22と一体のケーブル受け29には、運転者に
よって操作されるアクセルペダル30がケーブル31を
介して接続しており、アクセルペダル30の踏み込み量
に応じてアクセルレバー22がスロットル軸21に対し
て回動するようになっている。
【0019】一方、前記スロットルレバー23はスロッ
トル軸21と一体に固定されており、従ってこのスロッ
トルレバー23を操作することにより、スロットル弁1
9がスロットル軸21と共に回動する。又、アクセルレ
バー22の筒部24にはカラー32がこれと同軸一体に
嵌着されており、前記スロットルレバー23の先端部に
は、このカラー32の一部に形成した爪部33に係止し
得るストッパ34が形成されている。これら爪部33と
ストッパ34とは、スロットル弁19が開く方向にスロ
ットルレバー23を回動させるか、或いはスロットル弁
19が閉まる方向にアクセルレバー22を回動させた場
合に相互に係止するような位置関係に設定されている。
【0020】前記スロットルボディ20とスロットルレ
バー23との間には、スロットルレバー23のストッパ
34を、アクセルレバー22と一体のカラー32の爪部
33に押し付けてスロットル弁19を開く方向に付勢す
るねじりコイルばね35が、スロットル軸21に嵌合さ
れた筒状をなす一対のばね受け36,37を介し、この
スロットル軸21と同軸状をなして装着されている。
又、スロットルボディ20から突出するストッパピン3
8とアクセルレバー22との間にも、前記カラー32の
爪部33を、スロットルレバー23のストッパ34に押
し付けてスロットル弁19を閉じる方向に付勢し、アク
セルペダル30に対してディテント感を付与するための
ねじりコイルばね39が、前記カラー32を介してアク
セルレバー22の筒部24にスロットル軸21と同軸状
をなして装着されている。
【0021】前記スロットルレバー23の先端部には、
基端をアクチュエータ40のダイヤフラム41に固定し
た制御棒42の先端部が連結されている。このアクチュ
エータ40内に形成された圧力室43には、前記ねじり
コイルばね35と共にスロットルレバー23のストッパ
34をカラー32の爪部33に押し付けて、スロットル
弁19を開く方向に付勢する圧縮コイルばね44が組み
込まれている。そして、これら二つのばね35,44の
ばね力の和よりも、前記ねじりコイルばね39のばね力
のほうが大きく設定され、これによりアクセルペダル3
0を踏み込まない限り、スロットル弁19は開かないよ
うになっている。
【0022】前記スロットルボディ20の下流側に連結
されて吸気通路18の一部を形成するサージタンク45
には、接続配管46を介してバキュームタンク47が連
通している。このバキュームタンク47と接続配管46
との間には、バキュームタンク47からサージタンク4
5への空気の移動のみ許容する逆止め弁48が介装され
ている。これにより、バキュームタンク47内の圧力は
サージタンク45内の最低圧力とほぼ等しい負圧に設定
される。
【0023】これらバキュームタンク47内と前記アク
チュエータ40の圧力室43とは、配管49を介して連
通状態となっており、この配管49の途中には非通電時
閉塞型の第一のトルク制御用電磁弁50が設けられてい
る。つまり、このトルク制御用電磁弁50には配管49
を塞ぐようにプランジャ51を弁座52に付勢するばね
53が組み込まれている。
【0024】又、前記第一のトルク制御用電磁弁50と
アクチュエータ40との間の配管49には、スロットル
弁19よりも上流側の吸気通路18に連通する配管54
が接続している。そして、この配管54の途中には非通
電時開放型の第二のトルク制御用電磁弁55が設けられ
ている。つまり、このトルク制御用電磁弁55には配管
55を開放するようにプランジャ56を付勢するばね5
7が組み込まれている。
【0025】前記二つのトルク制御用電磁弁50,55
には、前記ECU14がそれぞれ接続し、このECU1
4からの指令に基づいてトルク制御用電磁弁50,55
に対する通電のオン,オフがデューティ制御されるよう
になっている。本実施例ではこれら全体で本発明のトル
ク低減手段を構成している。
【0026】例えば、トルク制御用電磁弁50,55の
デューティ率が0%の場合、アクチュエータ40の圧力
室43がスロットル弁19よりも上流側の吸気通路18
内の圧力とほぼ等しい大気圧となり、スロットル弁19
の開度はアクセルペダル30の踏み込み量に一対一で対
応する。逆に、トルク制御用電磁弁50,55のデュー
ティ率が100%の場合、アクチュエータ40の圧力室
43がバキュームタンク47内の圧力とほぼ等しい負圧
となり、制御棒42が図1中、左斜め上方に引き上げら
れる結果、スロットル弁19はアクセルペダル30の踏
み込み量に関係なく閉じられ、機関11の駆動トルクが
強制的に低減させられた状態となる。このようにして、
トルク制御用電磁弁50,55のデューティ率を調整す
ることにより、アクセルペダル30の踏み込み量に関係
なくスロットル弁19の開度を変化させ、機関11の駆
動トルクを任意に調整することができる。
【0027】又、本実施例ではスロットル弁19の開度
をアクセルペダル30とアクチュエータ40とで同時に
制御するようにしたが、吸気通路18内に二つのスロッ
トル弁を直列に配列し、一方のスロットル弁をアクセル
ペダル30にのみ接続すると共に他方のスロットル弁を
アクチュエータ40にのみ接続し、これら二つのスロッ
トル弁をそれぞれ独立に制御したり、或いは一つのスロ
ットル弁をモータにより電気的に駆動すること等も可能
である。
【0028】前記自動変速機13の出力軸58には、前
輪59R,59L及び後輪60R,60Lに対する駆動トルク
を所要の割合に配分する遊星歯車式のセンターディファ
レンシャル(以下、これをセンターデフと呼称する)6
1が中間歯車62を介して連結されている。
【0029】このセンターデフ61は、太陽歯車63
と、この太陽歯車63の周囲に配置されて当該太陽歯車
63と噛み合う複数の遊星歯車64と、これら遊星歯車
64を囲むように太陽歯車63と同軸に配置された内歯
歯車65とを備え、遊星歯車64を回転自在に支持する
遊星キャリア66と前記中間歯車62とが噛み合ってい
る。前記太陽歯車63には、前輪用出力軸67と一体の
減速歯車68を介してフロントディファレンシャル(以
下、これをフロントデフと呼称する)69が連結され、
前記内歯歯車65には後輪用出力軸70及び傘歯車群7
1を介してプロペラ軸72が連結されている。
【0030】つまり、センターデフ61の一方の出力
は、減速歯車68,フロントデフ69を介して前車軸7
3R,73Lから左右の前輪59R,59Lに伝達され、他方
の出力は傘歯車群71,プロペラ軸72及び傘歯車群7
4,リヤディファレンシャル75を介して後車軸76R,
76Lから左右の後輪60R,60Lに伝達されるようって
いる。
【0031】又、フロントデフ69には、その前輪側出
力部と後輪側出力部との差動を制限或いは拘束すること
により、前後輪59R,59L,60R,60L(以下、これ
らを駆動輪と総称する)に対して機関11からの駆動ト
ルクの配分を変更し得る油圧多板クラッチ77が付設さ
れている。この油圧多板クラッチ77は、太陽歯車63
と遊星キャリア66との間に介装されており、当該油圧
多板クラッチ77に供給される油圧(以下、これをクラ
ッチ係合圧と呼称する)によって係合力が変わり、太陽
歯車63と遊星キャリア66との差動の拘束状態を変更
できるようになっている。
【0032】従って、油圧多板クラッチ77に対するク
ラッチ係合圧を制御することにより、この油圧多板クラ
ッチ77を完全に開放した状態から一体的に係合させた
状態までの任意の状態に保持することが可能となる。そ
こでセンターデフ61は前輪59R,59L側及び後輪6
0R,60L側へ伝達される駆動トルクの配分割合を、例
えば32:68程度からこれら駆動輪の接地荷重に応じ
た比率(例えば60:40)の間で制御することができ
る。
【0033】油圧多板クラッチ77を完全に開放した状
態における前輪59R,59Lと後輪60R,60Lとの駆動
トルクの配分割合は、太陽歯車63,遊星歯車64,内
歯歯車65の歯数や、傘歯車群71と減速歯車68との
歯数比等により任意に設定することができるが、本実施
例では前輪59R,59Lと後輪60R,60Lとの駆動トル
クの配分割合が約32:68となるように設定されてい
る。又、油圧多板クラッチ77を完全に係合した状態と
なって、差動制限が実質的にゼロとなると、前輪59R,
59Lと後輪60R,60Lとの駆動トルクの配分割合は、
これら駆動輪の接地荷重に応じた比率(例えば60:4
0)となる。
【0034】なお、本実施例では油圧多板クラッチ77
を太陽歯車63と遊星キャリア66との間に介装してい
るが、太陽歯車63と内歯歯車65との間に介装するよ
うにしても良い。
【0035】図4に、油圧多板クラッチ77に対する圧
油制御回路の概念を示す。図4に示すように、自動変速
機13の油溜め78内の油を吸い上げる油ポンプ79に
は、途中に圧力制御弁80を介装した油路101を介して
油圧多板クラッチ77が接続している。この油圧多板ク
ラッチ77と圧力制御弁80との間の当該油路101の途
中には、この油路101内の油圧を検出する圧力スイッチ
81が設けられ、その検出信号がECU14に出力され
るようになっている。
【0036】又、油ポンプ79と圧力制御弁80との間
の油路101と、自動変速機13の油溜め78とに連通す
る分岐油路102の途中には、設定圧(以下、これをライ
ン圧と呼称する)、例えば約9kg/cm2で開弁して前記
油路101内の油を自動変速機13の油溜め78へ逃すリ
リーフ弁82が介装されている。
【0037】前記圧力制御弁80は、油圧多板クラッチ
77と油ポンプ79とを連通する第一位置と、油圧多板
クラッチ77と自動変速機13の油溜め78とを連通す
る第二位置とに切り換えられ、これらの位置はECU1
4からの出力信号によってデューティ制御されるように
なっている。
【0038】図5に圧力制御弁80の部分の具体的な油
圧制御回路を示す。図5に示すように、当該圧力制御弁
80は、油ポンプ79と油圧多板クラッチ77とを連通
する油路101の開閉を行うランド801と、油溜め78に連
通する排油路103の開閉を行うランド802と、これら二つ
のランド801,802を中央部と一端側に形成したスプール8
03と、このスプール803を図中、右側に付勢する戻しば
ね804とを有する。
【0039】又、油ポンプ79と圧力制御弁80との間
の油路101から分岐する油路104と、圧力制御弁80のス
プール803の一端側のランド802の端面に臨む油路105と
の間には、レデューシング弁83が介装されている。こ
のレデューシング弁83は、前記油路104を開閉し得る
ランド831及び排油路106を開閉し得るランド832をそれ
ぞれ形成したスプール833と、このスプール833を図中、
左側に付勢する戻しばね834とを有する。
【0040】つまり、油路105内の油圧が戻しばね834の
ばね力に対応する設定圧(以下、これをレデューシング
圧と呼称する)以下になると、この戻しばね834のばね
力によって、スプール833が図中、左側に押圧される結
果、油路104,105が連通して、油ポンプ79からのライ
ン圧が油路101,104からレデューシング弁83を介して
油路105に供給される。逆に、油路105内の油圧がレデュ
ーシング圧以上になると、戻しばね834のばね力に抗し
てスプール833が図中、右側に押圧される結果、油路105
と排油路106とが連通して、油路105内の圧油がレデュー
シング弁83を介して排油路106から排出され、このよ
うにして油路105内は常に一定のレデューシング圧に保
持されるようになっている。
【0041】前記油路105から分岐して圧力制御弁80
のスプール803の中央部のランド801の端面に臨む油路10
7の途中には、オリフィス108が介装されている。又、こ
のオリフィス108と圧力制御弁80との間の油路107から
分岐する制御油路109の途中には、この制御油路109と排
油路110との連通状態を切り換えるクラッチ制御用電磁
弁84が設けられている。
【0042】このクラッチ制御用電磁弁84は、後述す
る種々のセンサからの情報に基づき、前記ECU14に
よりソレノイド841に対する通電状態がデューティ制御
される非通電時閉塞型のものであり、弁体842がこのソ
レノイド841による磁力と戻しばね843のばね力とで図
中、左右に変位するようになっている。つまり、ソレノ
イド841に対する通電を行った場合には、戻しばね843の
ばね力に抗して電磁力により弁体842が図中、右側へ移
動し、制御油路109と排油路110とが連通状態となる一
方、ソレノイド841に対して通電しない場合には、戻し
ばね843のばね力により弁体842が図中、左側へ移動し、
排油路110に対して制御油路109を遮断する。
【0043】これにより、制御油路109と排油路110とが
連通して油路107内の油圧(以下、これをデューティ圧
と呼称する)が低下すると、圧力制御弁80の戻しばね
804のばね力に抗してスプール803の一端側のランド802
の端面に作用するレデューシング圧により、圧力制御弁
80のスプール803が図中、左側に移動する結果、油ポ
ンプ79から油路101を介して供給されるライン圧が、
圧力制御弁80によりクラッチ係合圧となって油圧多板
クラッチ77に供給され、油圧多板クラッチ77が係合
状態となる。逆に、排油路110に対して制御油路109が遮
断されてデューティ圧が上昇し、レデューシング圧とほ
ぼ等しくなると、圧力制御弁80の戻しばね804のばね
力により、圧力制御弁80のスプール803が図中、右側
に移動する結果、油圧多板クラッチ77と排油路103と
が連通して油圧多板クラッチ77が開放状態となる。
【0044】上述したクラッチ係合圧は、クラッチ制御
用電磁弁84に対するデューティ率によって変化する
が、これらクラッチ係合圧とクラッチ制御用電磁弁84
のデューティ率との関係は、例えば図6に示すような比
例関係にある。具体的には、クラッチ制御用電磁弁84
に対するデューティ率が少ない(即ち、通電量が少な
い)ほどクラッチ係合圧が低くなり、逆にクラッチ制御
用電磁弁84に対するデューティ率が多い(即ち、通電
量が多い)ほどクラッチ係合圧が高くなっている。
【0045】なお、この逆の設定、つまり図6における
特性が右下がりとなって、クラッチ制御用電磁弁84に
対するデューティ率が少ない(即ち、通電量が少ない)
ほどクラッチ係合圧が高くなり、逆にクラッチ制御用電
磁弁84に対するデューティ率が多い(即ち、通電量が
多い)ほどクラッチ係合圧が低くなるようにすることも
当然可能である。
【0046】このように、本実施例では車両の運転状態
を検出する各種センサからの検出信号に基づき、油圧多
板クラッチ77に対するクラッチ係合圧を適切に設定
し、駆動輪に対する駆動トルクの配分割合を適切に切り
換えるようにしているが、この油圧多板クラッチ77の
制御については、本発明とは本質的に関係がないので、
その説明は省略する。
【0047】一方、前記ECU14には、スロットルボ
ディ20に取り付けられてスロットルレバー23の開度
(以下、これをスロットル開度と呼称する)を検出する
スロットル開度センサ85と、このスロットル開度セン
サ85と同様にスロットルボディ20に取り付けられて
アクセルレバー22の開度(以下、これをアクセル開度
と呼称する)θAを検出するアクセル開度センサ86
と、機関11に取り付けられて機関回転速度NEを検出
するためのクランク角センサ87と、操舵ハンドル88
が取り付けられた操舵軸89の旋回角δHを車両の直進
状態を基準として検出する操舵角センサ90と、車両の
前後加速度GXを検出する本発明の前後加速度検出手段
としての前後加速度センサ91と、車両の前後に取り付
けられ且つこの車両の横加速度GYを検出する前後一対
の横加速度センサ92a,92bと、前輪59R,59Lの回
転速度をそれぞれ検出する左右一対の前輪回転センサ9
3R,93Lと、後輪60R,60Lの回転速度をそれぞれ検
出する左右一対の後輪回転センサ94R,94Lとが接続
する他、スロットルボディ20に取り付けられてスロッ
トル弁19の全閉状態を検出するアイドルスイッチ95
及びイグニッションキースイッチ96とが接続してい
る。
【0048】そして、これらスロットル開度センサ8
5,アクセル開度センサ86,クランク角センサ87,
操舵角センサ90,前後加速度センサ91,横加速度セ
ンサ92a,92b,前輪回転センサ93R,93L,後輪回転
センサ94R,94L,アイドルスイッチ95及びイグニッ
ションキースイッチ96からの出力信号がそれぞれEC
U14に送られるようになっている。
【0049】ところで、四輪駆動形式の車両において
は、4つの駆動輪全てに機関11からの駆動トルクが伝
達されるため、二輪駆動形式の車両の如き機関11から
の駆動力が伝達されない車輪(以下、これを従動輪と呼
称する)が存在せず、車速Vを従動輪の回転速度から検
出することができない。このため、詳細は後述するが、
本実施例では前後加速度センサ91から検出される前後
加速度GXと、前後輪の回転センサ93R,93L,94R,
94Lの信号を基に演算をすることにより、車速Vを求
めている。この車速Vを求める手法が本発明のポイント
である。
【0050】又、本実施例では後述する駆動輪の前後方
向のスリップ量sが予め設定した量よりも大きくなった
場合、機関11の駆動トルクを低下させて操縦性を確保
すると共にエネルギーロスを防止する制御(以下、これ
をスリップ制御と呼称する)を行った際の機関11の目
標駆動トルクTOをECU14にて演算し、機関11の
駆動トルクを必要に応じて低減できるようにしている。
【0051】図7に本実施例による制御の大まかな流れ
を示す。図7に示すように、具体的には、イグニッショ
ンキースイッチ96のオン操作により本実施例の制御プ
ログラムが開始され、M1のステップにてまず操舵軸旋
回位置初期値の読み込みや後述するスリップ制御中フラ
グF等のリセット或いはこのスリップ制御のサンプリン
グ周期である15ミリ秒毎の主タイマのカウント開始等
の初期設定が行われる。
【0052】そして、M2のステップにて各種センサか
らの検出信号に基づいてECU14は前後加速度GX,横
加速度GY,駆動輪速VD等を演算し、これに続いて操舵
軸89の中立位置をM3のステップにて学習補正する。
この操舵軸89の中立位置は、ECU14中の図示しな
いメモリ等に記憶されていないため、前記イグニッショ
ンキースイッチ96のオン操作の度に初期値が読み込ま
れ、車両が直進走行条件を満たした場合にのみ学習補正
され、イグニッションキースイッチ96がオフ状態とな
るまでこの初期値が学習補正されるようになっている。
【0053】次に、ECU14はM4のステップにて操
舵角センサ90及び前後加速度センサ91及び横加速度
センサ92a,92b及び前後輪回転センサ93R,93L,
94R,94Lからの検出信号に基づいて機関11の駆動
トルクを規制するスリップ制御を行う場合の目標駆動ト
ルクTOを演算する。
【0054】そして、運転者が図示しない手動スイッチ
を操作してスリップ制御を希望している場合には、EC
U14は機関11の駆動トルクがこの目標駆動トルクT
Oとなるように、前記一対のトルク制御用電磁弁50,
55のデューティ率を制御し、これによって車両を無理
なく安全に走行させるようにしている。
【0055】なお、運転者が図示しない手動スイッチを
操作してスリップ制御を希望していない場合には、EC
U14は一対のトルク制御用電磁弁50,55のデュー
ティ率を0%側に設定する結果、車両は運転者のアクセ
ルペダル30の踏み込み量に対応した通常の運転状態と
なる。
【0056】このように、機関11の駆動トルクをM5
のステップにて主タイマのサンプリング周期毎のカウン
トダウンが終了するまで制御し、これ以降はM2からM
6までのステップを前記イグニッションキースイッチ9
6がオフ状態となるまで繰り返すのである。
【0057】ところで、本実施例ではM4のステップで
のスリップ制御の際に、一対の横加速度センサ92a,9
2bにより実際の横加速度GYを横加速度演算部203にて
検出する一方、旋回中におけるこの横加速度GYを推定
横加速度GYEとして操舵軸89の旋回角δHと車速Vと
に基づいて予測し、車両に発生する実際の横加速度GY
に対して予め予測可能な推定横加速度GYEを優先的に利
用することにより、制御遅れの可能性がほとんどない状
態で機関11の基準駆動トルクTBを補正するようにし
ている。
【0058】しかし、車両の整備時に前輪59R,59L
のトーイン調整を行った場合や図示しない操舵歯車の磨
耗等の経年変化等によって、操舵軸89の中立位置が変
わってしまうと、操舵軸89の旋回位置と操舵輪である
前輪59R,59Lの実際の舵角δとの間にずれが発生す
る。この結果、車両の推定横加速度GYEを正確に算出す
ることができなくなるため、この場合には一対の横加速
度センサ92a,92bにより、実際の横加速度GYを利用
して機関11の基準駆動トルクTBを補正する。
【0059】このようなことから、操舵軸89の中立位
置をM3のステップにて学習補正する必要があるが、こ
の操舵軸89の中立位置を学習補正する方法について
は、特開平3−189273号公報等ですでに公知であ
るので、その具体的な説明は省略する。
【0060】前記ECU14は、操舵角センサ90から
検出される操舵軸89の旋回角δHに基づいて前輪59
R,59Lの舵角δを下式(1)により演算し、この時の車両
の推定横加速度GYEを下式(2)よりそれぞれ求めてい
る。つまり、このECU14での(1),(2)式による演算
処理が横加速度検出手段に該当する。 δ=δH/ρH ・・・(1) GYE=δ/[ω・{A+(1/V2)}] ・・・(2) 但し、ρHは操舵歯車変速比、ωは車両のホイールベー
ス、Aは車両のスタビリティファクタである。
【0061】なお、このスタビリティファクタAは、周
知のように車両の懸架装置の構成やタイヤの特性或いは
路面状況等によって決まる値である。具体的には、定常
円旋回時にて車両に発生する実際の横加速度GYと、こ
の時の操舵軸89の操舵角比δH/δHO(操舵軸89の
中立位置を基準として横加速度GYが0近傍となる極低
速走行状態での操舵軸89の旋回角δHOに対して加速時
における操舵軸89の旋回角δHの割合)との関係を表
す例えば図8に示すようなグラフにおける接線の傾きと
して表現される。つまり、乾燥路を走行中の車両の横加
速度GYが小さくて車速Vが余り高くない領域では、ス
タビリティファクタAがほぼ一定値(A=0.002)
となっているが、横加速度GYが例えば0.6gを越える
と、スタビリティファクタAが急増し、車両は極めて強
いアンダーステアリング傾向を示すようになるのであ
る。
【0062】又、駆動輪に装着されるタイヤと路面との
摩擦係数は、車速Vの変化率である前後加速度GXと等
価であると見なすことができる。そこで、本実施例では
この前後加速度GXを前後加速度センサ91からの検出
信号により連続的に求め、この前後加速度GXの最大値
に対応する機関11の基準駆動トルクTBを、スリップ
量s(駆動輪速VD−目標駆動輪速VFO)に基づいて補
正し、目標駆動トルクTOを算出している。
【0063】この場合、前後輪回転センサ93R,93L,
94R,94Lからの検出信号に基づいて算出される駆動
輪速VDは、前後輪回転センサ93R,93L,94R,94L
により検出された駆動輪の回転速度データのうち、1番
目と2番目の大きさのものの平均を駆動輪速VDとして
採用している。
【0064】図9,図10に機関11の目標駆動トルク
Oを算出するための演算ブロックを示す。両図に示す
ように、ECU14は前後加速度センサ91からの検出
信号に基づいて現在の車両の前後加速度GX(n)を検出す
る。この前後加速度GX(n)と、操舵角センサ90により
検出した操舵軸89の旋回角δHと、前後輪の回転セン
サ93R,93L,94R,94Lの信号を基に、車速演算部3
00(詳細は図11を基に説明する)により車速Vを演算
する。
【0065】ここで車速演算部300の構成及び動作を、
図11を基に説明する。この車速演算部300は、「車両
の出力制御装置」を4WD車両に適用するために導入し
たものであり、この部分が本発明のポイントとなるとこ
ろである。
【0066】図11に示すように、前後加速度センサ9
1から出力された前後加速度GXは、ローパスフィルタ3
01にてノイズ成分が除去されてフィルタ前後加速度GXf
となる。ピークホールド部302は、フィルタ前後加速度
Xfをピークホールド(ピーク後はある時定数でゆっく
り下げる)したピークホールド前後加速度GXfPを出力
する。ピークホールドすることにより、前後加速度セン
サ91の取付精度の不良,センサ自身の精度不良や応答
遅れ、道路勾配などを原因として、実際の車体加速度よ
りも小さい信号成分が出力されても、このような不良信
号成分を解くことができる。
【0067】スイッチ部303は、車速V(この値は後述
するように図11に示すこの車速演算部300により最終
的に決定したものである)が20[km/h]以上であれば
フィルタ前後加速度GXfを選択して出力し、車速Vが2
0[km/h]未満であればピークホールド前後加速度G
XfPを選択して出力する。ここではスイッチ部303にて選
択して出力された信号をスイッチ前後加速度GXSWとす
る。車速Vが20[km/h]以上であるときにはピークホ
ールドをしていないフィルタ前後加速度GXfを用いてい
るので、高摩擦係数の路面(高μ路面)から雪道等の低
摩擦係数の路面(低μ路面)に飛び込んで加速しても、
雪道等に入り込んだ時点からただちにその状況に応じた
前後加速度値が得られ、高摩擦係数の路面を走行してい
た時の高い前後加速度値の影響を受けることがなくな
り、正しいスリップ制御ができる。逆に言うと、車速V
が20[km/h]以上であるときにピークホールド前後加
速度G XfPを仮に用いたとすると、高μ路面から低μ路
面に飛び込んで加速すると、低μ0路面に入っても高μ
路面のときのデーターをホールドしているため、高μ0
路面並の加速をしているとして次段の推定車速演算部30
4で車速演算が行なわれ、推定車速VBが実際の車速から
大きくはずれ、正しいスリップコントロールができなく
なるのである。よって一度スムーズに発進した後は車速
Vが20[km/h]以上であれば、フィルタ前後加速度G
Xfを選択し、発進初期など車速Vが20[km/h]未満で
あればピークホールド前後加速度GXfPを選択する。
【0068】推定車速演算部304は、スイッチ部303から
出力されたスイッチ前後加速度GXSW及び操舵角センサ9
0から出力された操舵軸の旋回角δHが入力されると、
次式(A)を用いて推定車速VBを演算する。 VB=VB0+∫β・GXSW dt ・・・(A) 但し、VB0は次段の車速選択出力部305が推定車速VB
選択した時点での基準車輪速V3の値である。また変数
βは、旋回角δHが180°未満のときには図12に示す小
さな特性値(時間の経過により変化する)をとり、旋回
角δHが180°以上のときには図13に示す大きな特性値
(一定値1.5)をとる。
【0069】結局、旋回角δHが180°以上のときに、変
数βが大きく推定車速VBが大きくなるようにしている
(式(A)、図11,図12,図13参照)。旋回中には
前後加速度センサ91の向きと車体進行方向のずれや前
後加速度センサ91の応答遅れにより、前後加速度GX
(GXSW)が実際の車体速度よりも低めに出る傾向にあ
るので、この不具合を、βの値を旋回角に応じて変化さ
せることにより補償しているのである。このため、旋回
時に推定車速VBが不要に小さくなってスリップが発生
したと判定し、機関の駆動トルクを下げて加速不良とな
る事態に入ることを回避することができる。
【0070】一方、基準車輪速選択部306は、前後輪の
回転センサ93R,93L,94R,94Lから各車輪の回転
速度が入力されると、そのうち速い方から3番目の車輪
回転速度を選択しこれを基準車輪速V3として出力す
る。基準車輪速V3は車速選択出力部305と微分部307に
送られる。微分部307は基準車輪速V3を微分して基準車
輪加速度G3を演算して出力する。フィルタ308は基準車
輪加速度G3をフィルタ処理してノイズ成分を除去しフ
ィルタ基準車輪加速度G3fを出力する。
【0071】比較部309は次式(B)で示す比較演算をす
る。 G3f>GXf+α ・・・(B) 上式において変数α[m/S2]は図14に示すように、操
舵軸の旋回角δH deg]により変える。即ちδHが180°
未満であればα=2.45としδHが180°以上であれば
α=4.9とする。つまり旋回時には(B)式を成立しにく
くしている。なお(B)式が成立したということは、基準
とした車輪がスリップしたことを意味する。
【0072】比較部310は次式(C)で示す比較演算をす
る。 VB≧V3 ・・・(C) この(C)式が成立するということは基準車輪のスリップ
がなくなったということを意味する。
【0073】車速選択比較部305は、(B)式が成立する
と、接点305aから接点305bに切り換わり、出力している
車速Vを基準車輪速V3から推定車輪速VBに変更する。
この場合、図14に示すようにαの値を設定しているの
で、旋回時には(B)式が成立しにくく、車速VをV3とす
るモードからVBとするモードへ変更されにくくしてい
る。即ち、旋回中には基準車輪速V3が乱れやすく、フィ
ルタ基準車輪加速度G3fも乱れやすく、この乱れ(本来
の動きではないノイズ的な動き)により、GXfに比べG
3fが大きくなる傾向があるが、このような不良動作判定
を抑えるため、(B)式において旋回時のαの値を大きく
して(B)式を成立しにくくして、V3モードからVBモー
ドへの切換をしにくくしている。
【0074】また車速選択比較部305は、車速Vとして
推定車速VBを選んだ後に、(C)式が成立すると、接点30
5bから接点305aに切り換わり、出力している車速Vを推
定車速VBから基準車輪速V3に変換する。
【0075】結局、図11に示す車速演算部300の動作
をまとめると、次のようになる。 (1) 車速Vとして、前後加速度GXを基に(A)式により演
算した推定車速VBか、4輪の車輪速のうち第3番目の
基準車輪速V3のいずれかを用いる。 (2) 基準車輪がスリップしたとき、つまり(B)式が成立
したときには、車速Vを基準車輪速V3から推定車速VB
に切り替える。この場合(B)式中のαの値を調整し、旋
回時には切り替えをしにくくする。また(A)式において
βの値を調整し、旋回時の推定車速が小さくなりすぎる
ことを防止している。 (3) 基準車輪のスリップがないとき、つまり(C)式が成
立したときには、車速Vを推定車速VBから基準車輪速
3に戻す。
【0076】かくして4WD車においても、図11に示
す車速演算部300を用いることにより、車速Vを良好に
求めることができる。本発明のポイントとなる車速演算
部300の説明は、これにて終了する。次は図9,図10
に戻り、目標駆動トルクT0を算出するための演算ブロ
ックの説明を続ける。
【0077】操舵角センサ90により検出された操舵軸
89の旋回角δHと、車速演算部300にて算出された車速
Vが一方の横加速度演算手段である推定横加速度演算部
202に出力され、この推定横加速度演算部202にて前記
(1),(2)式により推定横加速度GYEが算出される。
【0078】なお、操舵軸89の中立位置が学習補正さ
れていない場合や、操舵角センサ90に異常が発生する
と、推定横加速度GYEが全く誤った値となることが考え
られる。そこで、操舵軸89の中立位置が学習補正され
ていない場合や、操舵角センサ90等に異常が発生した
場合には、横加速度センサ92a,92bからの検出信号
に基づいて車両に発生する実際の横加速度GYを検出
し、これを推定横加速度GYEの代わりに用いる。
【0079】具体的には、横加速度センサ92a,92b
からの検出信号の平均値を横加速度演算部203にて算出
し、これをフィルタ部204にてノイズ除去処理した修正
横加速度GYFが実際の横加速度GYとして用いられる。
つまり、これら横加速度演算部203及びフィルタ部204が
他方の横加速度演算手段である。前記フィルタ部204で
は、今回算出した横加速度GY(n)と前回算出した修正横
加速度GYF(n-1)とから今回の修正横加速度GYF(n)を下
式に示すデジタル演算によりローパス処理を行ってい
る。 GYF(n)=Σ[(20/256)・{GY(n)
YF(n-1)}]
【0080】図15に、これら推定横加速度GYE及び修
正横加速度GYFの選択手順を示す。図15に示すよう
に、ECU14はY1のステップにてまずフィルタ部20
4からの修正横加速度GYFを採用し、Y2のステップに
てスリップ制御中フラグFSがセットされているか否か
を判定する。
【0081】このY2のステップにてスリップ制御中フ
ラグFSがセットされていると判断したならば、前記修
正横加速度GYFをそのまま採用する。これは、スリップ
制御中に修正横加速度GYFから推定横加速度GYEに変え
た場合、後述する最大前後加速度GXMやスリップ補正量
KCが大きく変化して車両の挙動が乱れる虞があるため
である。
【0082】前記Y2のステップにてスリップ制御中フ
ラグFSがセットされていないと判断したならば、Y3
にて舵角中立位置の学習が終了しているか否かを判定す
る。ここで、舵角中立位置の学習が済んでいないと判断
した場合にも、Y1のステップでの修正横加速度GYF
そのまま採用し、Y2のステップに戻る。又、このY3
のステップにて舵角中立位置の学習が済んでいると判断
したならば、Y4のステップにて前記推定横加速度GYE
を採用し、Y2のステップに戻る。
【0083】このように、本実施例では二つの横加速度
センサ92a,92bを設けてこれら二つの検出データの
平均値を横加速度GYとして採用しているが、一つの横
加速度センサを車両の重心部付近に設け、この検出値に
基づいて修正横加速度GYFを求めることも可能である。
【0084】前記推定横加速度演算部202にて算出され
た推定横加速度GYEの大きさに応じ、前後加速度制限器
である上限クリップ部205にて前後加速度GX(n)を最大
前後加速度GXM(n)にクリップする。この最大前後加速
度GXM(n)は、予めECU14内に記憶された推定横加
速度GYEと最大前後加速度GXM(n)との関係を表す図1
6に示す如きマップから読み出し、前後加速度センサ9
1から検出される前後加速度GX(n)がこの最大前後加速
度GXM(n)以上の場合には、これを最大前後加速度G
XM(n)にクリップする。更に、フィルタ部206にてノイズ
除去のための後述するフィルタ処理を行って修正前後加
速度GXFを算出する。
【0085】このフィルタ部206での処理は、タイヤの
スリップ率Sと、このタイヤと路面との摩擦係数との関
係を表す図17に示すように、車両の前後加速度GX(n)
が駆動輪に装着されたタイヤと路面との摩擦係数と等価
であると見なすことができることから、車両の前後加速
度GX(n)の最大値が変化してタイヤのスリップ率Sがタ
イヤと路面との摩擦係数の最大値と対応した目標スリッ
プ率SO或いはその近傍から外れそうになった場合で
も、タイヤのスリップ率Sをタイヤと路面との摩擦係数
の最大値と対応した目標スリップ率SO或いはその近傍
でこれよりも小さな値に維持させるように、最大前後加
速度GXM(n)にクリップされた前後加速度GX(n)を修正
するためのものであり、具体的には下記の通りに行われ
る。
【0086】なお、駆動輪に装着されるタイヤのスリッ
プ率Sは、 S=(VD−V)/V と表すことができる。
【0087】最大前後加速度GXM(n)にクリップされた
今回の前後加速度GX(n)がフィルタ処理された前回の修
正前後加速度GXF(n-1)以上の場合、つまり車両が加速
し続けている時には、今回の修正前後加速度GXF(n)を GXF(n)=28・Σ{GX(n)−GXF(n-1)}/256 として遅延処理によりノイズ除去を行い、修正前後加速
度GXF(n)を最大前後加速度GXM(n)にクリップされた前
後加速度GX(n)に比較的早く追従させて行く。
【0088】逆に、最大前後加速度GXM(n)にクリップ
された今回の前後加速度GX(n)が前回の修正前後加速度
XF(n-1)未満の場合、つまり車両が余り加速していな
い時には主タイマのサンプリング周期毎に以下の処理を
行う。
【0089】スリップ制御中フラグFSがセットされて
いない、つまりスリップ制御による機関11の駆動トル
クを低減していない状態では、車両が減速中にあるので GXF(n)=GXF(n-1)−0.002 として修正前後加速度GXFの低下を抑制し、運転者によ
る車両の加速要求に対する応答性を確保している。
【0090】又、スリップ制御により機関11の駆動ト
ルクを低減している状態でスリップ量sが正、つまり前
輪59R,59Lのスリップが多少発生している時にも、
車両は減速中であることから安全性に問題がないので、 GXF(n)=GXF(n-1)−0.002 として修正前後加速度GXFの低下を抑制し、運転者によ
る車両の加速要求に対する応答性を確保している。
【0091】更に、スリップ制御により機関11の駆動
トルクを低減している状態で後述する駆動輪のスリップ
量sが負、つまり車両が減速している時には、修正前後
加速度GXFの最大値を保持し、運転者による車両の加速
要求に対する応答性を確保する。
【0092】同様に、スリップ制御による機関11の駆
動トルクを低減している状態で前記油圧制御装置による
自動変速機13のシフトアップ中には、運転者に対する
車両の加速感を確保する必要上、修正前後加速度GXF
最大値を保持するが、この間での修正前後加速度GXF
漸増させることも可能である。このフィルタ操作によっ
て、変速終了直後における加速感を向上させることがで
きる。
【0093】このようにして、フィルタ部204にてノイ
ズ除去された修正前後加速度GXFを、トルク換算部207
にてトルク換算するが、上述したフィルタ操作をこのト
ルク換算部207でのトルク換算後に行うようにしても良
い。
【0094】なお、このトルク換算部207にて算出され
た値は、当然のことながら正の値となるはずであるか
ら、クリップ部208にて演算ミスを防止する目的でこれ
を0以上にクリップした後、走行抵抗算出部209にて算
出された走行抵抗TRを加算部210にて加算し、更に操舵
角センサ90からの検出信号に基づいてコーナリングド
ラッグ補正量算出部211にて算出されるコーナリングド
ラッグ補正トルクTCを加算部212にて加算し、下式(3)
に示す基準駆動トルクTBを算出する。 TB=GXF・Wb・r+TR+TC ・・・(3) ここで、Wbは車体重量、rは駆動輪の有効半径であ
り、ECU14での(3)式による演算処理が本発明の基
準駆動トルク設定手段に該当する。
【0095】この(3)式から明らかなように、前記上限
クリップ部205の働きにより推定横加速度GYEが大きい
ほど基準駆動トルクTBが小さく設定される結果、駆動
輪のスリップ量sに応じたフィードバック補正トルクを
基準駆動トルクTBから減算することにより、充分なフ
ィードバック補正の効果を得ることができ、四輪駆動形
式の車両であっても機関11の目標駆動トルクTOを効
果的に低減させることが可能である。
【0096】前記走行抵抗TRは、車速Vの関数として
算出することができるが、本実施例では図18に示す如
きマップから求めている。この場合、平坦路と登坂路と
では走行抵抗TRが異なるので、マップには図中、実線
にて示す平坦路用と二点鎖線にて示す登坂路用とが書き
込まれ、車両に組み込まれた図示しない傾斜センサから
の検出信号に基づいて、いずれか一方を選択するように
しているが、下り坂等を含めて更に細かく走行抵抗TR
を設定することも可能である。
【0097】又、本実施例では前記コーナリングドラッ
グ補正トルクTCを図19に示す如きマップから求めて
おり、これによって実際の走行状態と近似した機関11
の基準駆動トルクTBを設定することができ、旋回直後
の機関11の基準駆動トルクTBが大きめになっている
ことから、旋回路を抜けた後の車両の加速フィーリング
が向上する。
【0098】なお、前記(3)式により算出される基準駆
動トルクTBに対し、本実施例では可変クリップ部213に
て最小値TBLを設定することにより、この基準駆動トル
クTBから前記フィードバック補正トルクとしての後述
する最終補正トルクTPIDを減算部214にて減算した値
が、負となってしまうような不具合を防止している。こ
の基準駆動トルクTBの最小値TBLは、図20に示す如
きマップに示すように、スリップ制御の開始時点からの
経過時間に応じて段階的に低下させるようにしている。
【0099】一方、ECU14は前後輪回転センサ93
R,93L,94R,94Lからの検出信号に基づき、駆動輪
速演算部215にてこれらのうち最も大きいものとその次
に大きいもののデータの平均から駆動輪速VDを設定す
る一方、車速Vから算出される目標駆動輪速VFOに基づ
いて補正トルク算出用目標駆動輪速VFSを設定した後、
この補正トルク算出用目標駆動輪速VFSを駆動輪速VD
から減算して求められるスリップ量sを用い、前記基準
駆動トルクTBのフィードバック制御を行うことによっ
て、機関11の目標駆動トルクTOを算出する。
【0100】ところで、車両の加速時に機関11で発生
する駆動トルクを有効に働かせるためには、図17中の
実線で示すように、走行中における駆動輪に装着された
タイヤのスリップ率Sが、このタイヤと路面との摩擦係
数の最大値と対応する目標スリップ率SO或いはその近
傍でこれよりも小さな値となるように調整し、エネルギ
ーのロスを避けると共に車両の操縦性能や加速性能を損
なわないようにすることが望ましい。
【0101】ここで、目標スリップ率SOは路面の状況
に応じて0.1〜0.25程度の範囲に振れることが知ら
れており、従って車両の走行中には路面に対して10%
程度のスリップ量sを駆動輪に発生させることが望まし
い。以上の点を勘案し、前記車速演算部300から出力さ
れる車速Vに基づき、目標駆動輪速VFOを乗算部216に
て下式の通りに設定する。 VFO=1.1・V
【0102】そして、ECU14は加速度補正部217に
て図21に示す如きマップから前述した修正前後加速度
XFに対応するスリップ補正量VKを読み出し、これを
加算部218にて目標駆動輪速VFOに加算する。このスリ
ップ補正量VKは、修正前後加速度GXFの値が大きくな
るにつれて段階的に増加するような傾向を持たせている
が、本実施例では車両の走行試験等に基づいてこのマッ
プを作成している。
【0103】これにより、後述する補正トルク算出用目
標駆動輪速VFSが増大し、加速時におけるスリップ率S
が図17中の実線で示す目標スリップ率SO或いはその
近傍でこれよりも小さな値となるように設定される。
【0104】一方、図17中の一点鎖線で示すように、
旋回中におけるタイヤと路面との摩擦係数の最大値とな
るタイヤのスリップ率は、直進中におけるタイヤと路面
との摩擦係数の最大値となるタイヤの目標スリップ率S
Oよりも相当小さいことが判る。従って、車両が旋回中
にはこの車両が円滑に旋回できるように、目標駆動輪速
FOを直進時よりも小さく設定することが望ましい。
【0105】そこで、旋回補正部219にて図22の実線
で示す如きマップから前記推定横加速度GYEに対応する
スリップ補正量VKCを読み出す。但し、イグニッション
キースイッチ96のオン操作の後に行われる最初の操舵
軸89の中立位置の学習が行われるまでは、操舵軸89
の旋回角δHの信頼性がないので、横加速度センサ92
a,92bからの検出信号により算出される修正横加速度
YFに基づいて図22の破線で示す如きマップから前記
スリップ補正量VKCを読み出す。推定横加速度GYEに対
応する前記スリップ補正量VKCは、運転者の操舵ハンド
ル88の切り増しが考えられるので、この推定横加速度
YEが小さな領域では、修正横加速度G YFに対応するス
リップ補正量VKCよりも小さめに設定している。
【0106】又、車速Vが小さな領域では、車両の加速
性を確保することが望ましく、逆にこの車速Vがある程
度の速度以上では、旋回のし易さを考慮する必要があ
る。そこで、図22から読み出されるスリップ補正量V
KCに車速Vに対応した補正係数KVを図23に示すマッ
プから読み出し、乗算部220にて乗算することにより、
修正スリップ補正量VKFを算出している。
【0107】これにより、補正トルク算出用目標駆動輪
速VFOが減少し、旋回時におけるスリップ率Sが直進時
における目標スリップ率SOよりも小さくなり、車両の
加速性能が若干低下するものの、良好な旋回性が確保さ
れる。
【0108】このようにして、補正トルク算出用目標駆
動輪速VFSが減算部221にて下式の通りに算出される。 VFS=VFO+VK−VKF
【0109】次に、減算部222にて駆動輪速演算部215に
て算出された駆動輪速VDから、前記補正トルク算出用
目標駆動輪速VFSを減算してスリップ量sを算出する。
そして、このスリップ量sが負の設定値以下、例えば毎
時−2.5km以下の場合には、スリップ量sとして毎時
−2.5kmをクリップ部223にてクリップし、このクリッ
プ処理後のスリップ量sに対して後述する比例補正を行
い、又、このクリップ処理前のスリップ量sに対して後
述する積分定数ΔTIを用いた積分補正を行い、更に微
分補正を行って最終補正トルクTPIDを算出する。
【0110】前記比例補正としては、乗算部224にてス
リップ量sに比例係数KPを掛けて基本的な補正量を求
め、更に乗算部225にて自動変速機13の変速比ρmによ
って予め設定された補正係数ρKP(図27参照)を乗算
し、比例補正トルクTPを得ている。なお、比例係数KP
はクリップ部223でのクリップ処理後のスリップ量sに
応じて図24に示すマップから読み出すようにしてい
る。
【0111】又、前記積分補正としてスリップ量sのゆ
るやかな変化に対応した補正を実現するため、積分演算
部226にて基本的な補正量を算出し、この補正量に対し
て乗算部227にて自動変速機13の変速比ρmに基づいて
予め設定された補正係数ρKI(図27参照)を乗算し、
積分補正トルクTIを得ている。この場合、本実施例で
は一定の微小積分補正トルクである積分定数ΔTIを積
分しており、サンプリング周期毎にスリップ量sが正の
場合には前記積分定数ΔTIを加算し、逆にスリップ量
sが負の場合には積分定数ΔTIを減算している。
【0112】但し、この積分補正トルクTIには車速V
に応じて可変の図25のマップに示す如き最小値TIL
設定しており、このクリップ処理により車両の発進時、
特に登り坂での発進時には大きな積分補正トルクTI
働かせて機関11の駆動力を確保し、車両の発進後に車
速Vが上昇してからは、逆に補正が大きすぎると制御の
安定性を欠くので、積分補正トルクTIが小さくなるよ
うにしている。又、制御の収束性を高めるために積分補
正トルクTIに上限値、例えば0kgmを設定し、このク
リップ処理によって積分補正トルクTIは図26に示す
ように変化する。
【0113】このようにして算出された比例補正トルク
Pと積分補正トルクTIとを加算部228にて加算し、比
例積分補正トルクTPIを算出する。
【0114】なお、前記補正係数ρKPKIは自動変速
機13の変速比ρmに関連付けて予め設定された図27
に示す如きマップからそれぞれ読み出すようにしてい
る。
【0115】又、本実施例では微分演算部229にてスリ
ップ量変化率GSを算出し、これに微分係数KDを乗算部
230にて掛け、急激なスリップ量sの変化に対する基本
的な補正量を算出する。そして、これにより得られた値
にそれぞれ上限値と下限値との制限を設け、微分補正ト
ルクTDが極端に大きな値とならないように、クリップ
部231にてクリップ処理を行い、微分補正トルクTDを得
ている。このクリップ部231は、車両の走行中に駆動輪
Dが路面状況や走行状態等によって、瞬間的に空転或
いはロック状態となることがあり、このような場合にス
リップ量変化率GSが正或いは負の極端に大きな値とな
り、制御が発散して応答性が低下する虞があるので、例
えば下限値を−55kgmにクリップすると共に上限値を
55kgmにクリップし、微分補正トルクTDが極端に大
きな値とならないようにするためのものである。
【0116】しかる後、加算部232にてこれら比例積分
補正トルクTPIと微分補正トルクTDとを加算し、これ
により得られる最終補正トルクTPIDを前記減算部214に
て前述の基準駆動トルクTBから減算し、更に乗算部233
にて機関11と前輪59R,59Lの車軸89,90との
間の総減速比の逆数を乗算することにより、下式(4)に
示すスリップ制御用の目標駆動トルクTOを算出する。 TO=(TB−TPID)/(ρm・ρd・ρT) ・・・ (4)
【0117】 但し、ρdは差動歯車減速比、ρTはトルク
コンバータ比であり、自動変速機13がアップシフトの
変速操作を行う際には、その変速終了後に高速段側の変
速比ρmが出力されるようになっている。つまり、自動
変速機13のアップシフトの変速操作の場合には、変速
信号の出力時点で高速段側の変速比ρmを採用すると、
上記(4)式からも明らかなように、変速中に目標駆動ト
ルクTOが増大して機関11が吹け上がってしまうた
め、変速開始の信号を出力してから変速操作が完了す
る、例えば1.5秒間は、目標駆動トルクTOをより小さ
くできる低速段側の変速比ρmが保持され、変速開始の
信号を出力してから1.5秒後に高速段側の変速比ρm
採用される。同様な理由から、自動変速機13のダウン
シフトの変速操作の場合には、変速信号の出力時点で低
速段側の変速比ρmが直ちに採用される。
【0118】前記(4)式で算出された目標駆動トルクTO
は当然のことながら正の値となるはずであるから、クリ
ップ部234にて演算ミスを防止する目的で目標駆動トル
クTOを0以上にクリップし、スリップ制御の開始或い
は終了を判定するための開始・終了判定部235での判定
処理に従って、この目標駆動トルクTOに関する情報が
出力される。
【0119】開始・終了判定部235は、下記(a)〜(e)に
示す全ての条件を満足した場合にスリップ制御の開始と
判断し、スリップ制御中フラグFSをセットすると共に
目標駆動トルクTOに関する情報を出力し、スリップ制
御の終了を判断してスリップ制御中フラグFSがリセッ
トとなるまでは、この処理を継続する。
【0120】(a) 運転者は図示しない手動スイッチを
操作してスリップ制御を希望している。 (b) 運転者の要求している駆動トルクTdは車両を走
行させるのに必要な最小の駆動トルク、例えば4kgm以
上である。なお、本実施例ではこの要求駆動トルクTd
をクランク角センサ87からの検出信号により算出され
た機関回転速度NEと、アクセル開度センサ76からの
検出信号により算出されたアクセル開度θAとに基づい
て予め設定された図28に示す如きマップから読み出し
ている。 (c) スリップ量sは毎時2km以上である。 (d) スリップ量変化率GSは0.2g以上である。 (e) 駆動輪速VDを微分演算部236にて時間微分した駆
動輪加速度GDは0.2g以上である。
【0121】一方、前記開始・終了判定部235がスリッ
プ制御の開始を判定した後、下記(f),(g)に示す条件の
内のいずれかを満足した場合には、スリップ制御終了と
判断してスリップ制御中フラグFSをリセットし、目標
駆動トルクTOの送信を中止する。
【0122】(f) 目標駆動トルクTOは要求駆動トル
クTd以上であり、且つスリップ量sは一定値、例えば
毎時−2km以下である状態が一定時間、例えば0.5秒
以上継続している。 (g) アイドルスイッチ95がオフからオンに変わった
状態、つまり運転者がアクセルペダル30を開放した状
態が一定時間、例えば0.5秒以上継続している。
【0123】前記車両には、スリップ制御を運転者が選
択するための図示しない手動スイッチが設けられてお
り、運転者がこの手動スイッチを操作してスリップ制御
を選択した場合、以下に説明するスリップ制御の操作を
行う。
【0124】このスリップ制御の処理の流れを表す図2
9に示すように、ECU14はS1のステップにて上述
した各種データの検出及び演算処理により、目標駆動ト
ルクTOを算出するが、この演算操作は前記手動スイッ
チの操作とは関係なく行われる。
【0125】次に、S2のステップにてまずスリップ制
御中フラグFSがセットされているか否かを判定する
が、最初はスリップ制御中フラグFSがセットされてい
ないので、ECU14はS3のステップにて駆動輪のス
リップ量sが予め設定した閾値、例えば毎時2kmよりも
大きいか否かを判定する。
【0126】このS3のステップにてスリップ量sが毎
時2kmよりも大きいと判断すると、ECU14はS4の
ステップにてスリップ量変化率GSが0.2gよりも大き
いか否かを判定する。
【0127】このS4のステップにてスリップ量変化率
Sが0.2gよりも大きいと判断すると、ECU14は
S5のステップにて運転者の要求駆動トルクTdが車両
を走行させるために必要な最小駆動トルク、例えば4kg
mよりも大きいか否か、つまり運転者が車両を走行させ
る意志があるか否かを判定する。
【0128】このS5のステップにて要求駆動トルクT
dが4kgmよりも大きい、即ち運転者は車両を走行させ
る意志があると判断すると、S6のステップにてスリッ
プ制御中フラグFSをセットし、S7のステップにてス
リップ制御中フラグFSがセットされているか否かを再
度判定する。
【0129】このS7のステップにてスリップ制御中フ
ラグFSがセット中であると判断した場合には、S8の
ステップにて機関11の目標駆動トルクTOとして前記
(4)式にて予め算出したスリップ制御用の目標駆動トル
クTOを採用する。
【0130】又、前記S7のステップにてスリップ制御
中フラグFSがリセットされていると判断した場合に
は、S9のステップにてECU14は目標駆動トルクT
Oとして機関11の最大トルクを出力し、これによりE
CU14がトルク制御用電磁弁50,55のデューティ
率を0%側に低下させる結果、機関11は運転者による
アクセルペダル30の踏み込み量に応じた駆動トルクを
発生する。
【0131】なお、S3のステップにて駆動輪のスリッ
プ量sが毎時2kmよりも小さいと判断した場合、或いは
S4のステップにてスリップ量変化率GSが0.2gより
も小さいと判断した場合、或いはS5のステップにて要
求駆動トルクTdが4kgmよりも小さいと判断した場合
には、それぞれ前記S7のステップに移行し、S9のス
テップにてECU14は目標駆動トルクTOとして機関
11の最大トルクを出力し、これによりECU14がト
ルク制御用電磁弁50,55のデューティ率を0%側に
低下させる結果、機関11は運転者によるアクセルペダ
ル30の踏み込み量に応じた駆動トルクを発生する。
【0132】一方、前記S2のステップにてスリップ制
御中フラグFSがセットされていると判断した場合に
は、S10のステップにて駆動輪のスリップ量sが前述
した閾値である毎時−2km以下であり且つ要求駆動トル
クTdがS1のステップにて算出された目標駆動トルク
O以下の状態が0.5秒以上継続しているか否かを判定
する。
【0133】このS10のステップにてスリップ量sが
毎時−2kmよりも小さく且つ要求駆動トルクTdが目標
駆動トルクTO以下の状態が0.5秒以上継続している、
即ち運転者は車両の加速を既に希望していないと判断す
ると、S11のステップにてスリップ制御中フラグFS
をリセットし、前記S7のステップに移行する。
【0134】前記S10のステップにてスリップ量sが
毎時−2kmよりも大きいか、或いは要求駆動トルクTd
が目標駆動トルクTO以下の状態が0.5秒以上継続して
いない、即ち運転者は車両の加速を希望していると判断
すると、ECU14はS12のステップにてアイドルス
イッチ95がオン、即ちスロットル弁19の全閉状態が
0.5秒以上継続しているか否かを判定する。
【0135】このS12のステップにてアイドルスイッ
チ95がオンであると判断した場合、運転者がアクセル
ペダル30を踏み込んでいないことから、S11のステ
ップに移行してスリップ制御中フラグFSをリセットす
る。逆に、アイドルスイッチ95がオフであると判断し
た場合、運転者はアクセルペダル30を踏み込んでいる
ので、再びS7のステップに移行する。
【0136】
【発明の効果】以上実施例と共に具体的に説明したよう
に本発明によれば、前後加速度を基に演算した推定車速
か、4輪の車輪速のうち速い方から所定番目のものであ
る基準車輪速のいずれかを車両の走行速度とする。また
基準車輪速を微分した基準車輪加速度と、前後加速度に
比較用変数(α)を加えたものとを比較しており、前者
が大きくなったら車速を基準車輪速から推定車速に切り
換える。更に推定車体速と基準車輪速とを比較してお
り、前者が大きくなったら車速を推定車速から基準車輪
速に戻す。この場合、旋回走行時においては直進走行時
に比べ比較用変数(α)を大きくしているので、旋回時
には、基準車輪速から推定車速への切り換えが生じにく
くしている。旋回時には推定車速が乱れる傾向があるた
め、切り換えをしにくくして精度を上げている。このよ
うにして求めた車速を用いて車両の出力制御をすること
により、スリップのない安定した走行ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両の出力制御装置を、前進4段
後進1段の油圧式自動変速機を組み込んだ四輪駆動形式
の車両に応用した一実施例における吸排気系の部分の概
念図である。
【図2】本実施例における駆動系の部分の概念図であ
る。
【図3】そのスロットル弁の駆動機構を表す断面図であ
る。
【図4】センターデフに組み付けられた油圧多板クラッ
チに対する本実施例における油圧制御回路図である。
【図5】その圧力制御弁の部分の油圧制御回路図であ
る。
【図6】本実施例における油圧多板クラッチの係合圧と
クラッチ制御用電磁弁のデューティ率との関係を表すグ
ラフである。
【図7】本実施例における制御の全体の流れを表すフロ
ーチャートである。
【図8】横加速度と操舵角比との関係を表すグラフであ
る。
【図9】図10と共に本実施例におけるスリップ制御用
の目標駆動トルクの演算手順を表すブロック図である。
【図10】図9と共に本実施例におけるスリップ制御用
の目標駆動トルクの演算手順を表すブロック図である。
【図11】車速演算部を示すブロック図である。
【図12】操舵軸の旋回角が180度未満のとき、推定
車速を演算する式に用いる変数βの特性を示す特性図で
ある。
【図13】操舵軸の旋回角が180度以上のとき、推定
車速を演算する式に用いる変数βの特性を示す特性図で
ある。
【図14】加速度センサで得た加速度と基準車輪加速度
とを比較演算するときに用いる変数αの特性を示す特性
図である。
【図15】本実施例における推定横加速度と修正横加速
度との選択手順を表すフローチャートである。
【図16】本実施例における推定横加速度と最大前後加
速度との関係を表すマップである。
【図17】駆動輪に装着されたタイヤと路面との摩擦係
数と、このタイヤのスリップ率との関係を表すグラフで
ある。
【図18】本実施例における車速と走行抵抗との関係を
表すマップである。
【図19】本実施例における操舵軸の旋回角とコーナリ
ングドラッグ補正トルクとの関係を表すマップである。
【図20】本実施例における制御開始経過時間と基準駆
動トルクの最小値との関係を表すマップである。
【図21】本実施例における修正前後加速度とスリップ
補正量との関係を表すマップである。
【図22】本実施例における横加速度とスリップ補正量
との関係を表すマップである。
【図23】本実施例における車速とスリップ補正量に対
する補正係数との関係を表すマップである。
【図24】本実施例におけるスリップ量と比例係数との
関係を表すマップである。
【図25】本実施例における車速と積分補正トルクの最
小値との関係を表すマップである。
【図26】スリップ量に応じた本実施例における積分補
正トルクの変化状態を表すグラフである。
【図27】本実施例における自動変速機の各変速段と補
正トルクに対応する補正係数との関係を表すマップであ
る。
【図28】本実施例における機関回転速度と要求駆動ト
ルクとアクセル開度との関係を表すマップである。
【図29】本実施例におけるスリップ制御の流れを表す
フローチャートである。
【符号の説明】
11は機関、12はトルクコンバータ、13は自動変速
機、14はECU、15はエアクリーナ、16は燃焼
室、17は吸気管、18は吸気通路、19はスロットル
弁、20はスロットルボディ1 21はスロットル軸、2
2はアクセルレバー、23はスロットルレバー、24は
筒部、25はブシュ、26はスペーサ、27は座金、2
8はナット、29はケーブル受け、30はアクセルペダ
ル、31はケーブル、32はカラー、33は爪部、34
はストッパ、35はねじりコイルばね、36,37はば
ね受け、38はストッパピン、39はねじりコイルば
ね、40はアクチュエータ、41はダイヤフラム、42
は制御棒、43は圧力室、44は圧縮コイルばね、45
はサージタンク、46は接続配管、47はバキュームタ
ンク、48は逆止め弁、49は配管、50はトルク制御
用電磁弁、51はプランジャ、52は弁座、53はば
ね、54は配管、55はトルク制御用電磁弁、56はプ
ランジャ、57はばね、58は出力軸、59R,59Lは
前輪、60R,60Lは後輪、61はセンターデフ、62
は中間歯車、63は太陽歯車、64は遊星歯車、65は
内歯歯車、66は遊星キャリア、67は前輪用出力軸、
68は減速歯車、69はフロントデフ、70は後輪用出
力軸、71は傘歯車群、72はプロペラ軸、73R,73
Lは前車軸、74は傘歯車群、75はリヤディファレン
シャル、76R,76L後車軸、77は油圧多板クラッ
チ、78は油溜め、79は油ポンプ、80は圧力制御
弁、801はランド、802はランド、803はスプール、804は
戻しばね、81は圧力スイッチ、82はリリーフ弁、8
3はレデューシング弁、831はランド、832はランド、83
3はスプール、834は戻しばね、84はクラッチ制御用電
磁弁、841はソレノイド、842は弁体、843戻しばね、8
5はスロットル開度センサ、86はアクセル開度セン
サ、87はクランク角センサ、88は操舵ハンドル、8
9は操舵軸、90は操舵角センサ、91は前後加速度セ
ンサ、92a,92bは横加速度センサ、93R,93Lは前
輪回転センサ、94R,94Lは後輪回転センサ、95は
アイドルスイッチ、96はイグニッションキースイッ
チ、101は油路、102は分岐油路、103は排油路、104は油
路、105は油路、106は排油路、107は油路、108はオリフ
ィス、109は制御油路、110は排油路、202は推定横加速
度演算部、203は横加速度演算部、204はフィルタ部、20
5は上限クリップ部、206はフィルタ部、207はトルク換
算部、208はクリップ部、209は走行抵抗算出部、210は
加算部、211はコーナリングドラッグ補正量算出部、212
は加算部、213は可変クリップ部、214は減算部、215は
駆動輪速選択部、216は乗算部、217は加速度補正部、21
8は加算部、219は旋回補正部、220は乗算部、221は減算
部、222は減算部、223はクリップ部、224は乗算部、225
は乗算部、226は積分演算部、227は乗算部、228は加算
部、229は微分演算部、230は乗算部、231はクリップ
部、232は加算部、233は乗算部、234はクリップ部、235
は開始・終了判定部、236は微分演算部である。300は車
速演算部、301はフィルタ、302はピークホールド部、30
3はスイッチ部、304は推定車速演算部、305は車速選択
出力部、306は基準車輪速選択部、307は微分部、308は
フィルタ部、309は比較部、310は比較部である。又、A
はスタビリティファクタ、FSはスリップ制御中フラ
グ、Gsはスリップ量変化率、GXは前後加速度、GXF
修正前後加速度、GXfはフィルタ前後加速度、GXfP
ピークホールド前後加速度、GXSWはスイッチ前後加速
度、G3は基準車輪加速度、G3fはフィルタ基準車輪加
速度、GYは横加速度、GYFは修正横加速度、GYEは推
定横加速度、KDは微分係数、KPは比例係数、NEは機
関回転速度、Sはタイヤのスリップ率、SOは目標スリ
ップ率、sはスリップ量、TBは基準駆動トルク、TBL
は基準駆動トルクの最小値、TCはコーナリングドラッ
グ補正トルク、TDは微分補正トルク、Tdは要求駆動ト
ルク、TIは積分補正トルク、TILは積分補正トルクの
最小値、TOは目標駆動トルク、TPは比例補正トルク、
PIは比例積分補正トルク、TPIDは最終補正トルク、
Rは走行抵抗、ΔT Iは積分定数、Vは車速、VDは駆
動輪速、VFOは目標駆動輪速、VFSは補正トルク算出用
目標駆動輪速、VKはスリップ補正量、VKCはスリップ
補正量、V3は基準車輪速、VBは推定車速、δHは旋回
角、θAはアクセル開度、ρdは差動歯車減速比、ρKI
補正係数、ρKPは補正係数、ρmは自動変速機の変速
比、ρTはトルクコンバータ比である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02D 29/02 311

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四輪駆動形式の車両を運転する運転者に
    よる操作とは独立に、前記車両に搭載した機関の駆動ト
    ルクを低減させるトルク低減手段と、 車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度検出手段
    と、 この前後加速度検出手段により検出した前後加速度を基
    に、前記機関の基準となる基準駆動トルクを設定する基
    準駆動トルク設定手段と、 前後加速度,操舵軸の旋回角及び各車輪の回転速度を基
    に車両の走行速度を演算する車速演算手段と、 車両の走行速度と、各車輪の回転速度のうち複数の速度
    の平均速度との差をスリップ量とみなし、このスリップ
    量に基づき補正トルクを求め、更に基準駆動トルクから
    補正トルクを減じた目標駆動トルクを設定する目標駆動
    トルク設定手段と、 前記機関の駆動トルクが前記目標駆動トルクとなるよう
    に、前記トルク低減手段の作動を制御する電子制御ユニ
    ットと、を有する車両の出力制御装置であって、 前記車速演算手段は、 (1) 前後加速度を基に推定車速を演算する推定車速演算
    部と、 (2) 各車輪の回転速度のうち早い方から所定番目のもの
    を基準車輪速として出力する基準車輪速選択部と、 (3) 推定車速と基準車輪速の一方を選んでこれを車速と
    して出力する車速選択出力部と、 (4) 基準車輪速を微分した基準車輪加速度が、前後加速
    度に比較用変数を加えた値よりも大きくなったら、前記
    車速選択出力部における車速を、基準車輪速から推定車
    速に切り換える第1の比較部と、 (5) 推定車速が基準車輪速よりも大きくなったら、前記
    車速選択出力部における車速を、推定車速から基準車輪
    速に戻す第2の比較部と、を備えており、 しかも前記第1の比較部では、比較用変数は、操舵軸の
    旋回角が所定角よりも小さいと小さく所定角よりも大き
    いと大きくなっていることを特徴とする車両の出力制御
    装置。
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