JP2893573B2 - 海・湖底の自然ガンマ線量の測定方法と測定容器 - Google Patents

海・湖底の自然ガンマ線量の測定方法と測定容器

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JP2893573B2 JP9770495A JP9770495A JP2893573B2 JP 2893573 B2 JP2893573 B2 JP 2893573B2 JP 9770495 A JP9770495 A JP 9770495A JP 9770495 A JP9770495 A JP 9770495A JP 2893573 B2 JP2893573 B2 JP 2893573B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海・湖底の表層の内部
や表面に存在する放射性核種から放出させるガンマ線量
の測定方法及びその測定容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】表層に含まれた3核種からの放出ガンマ
線量の地表分布をNaI検出器で測定して表層地質を解
析する方法は、1964年にAdams & Frye
r(The Natural RadiationEn
vironment,TheUniversity o
f Chicago Press p.557)が発表
し、またその海底への利用は1972年にBowie等
が取り上げ、原子力施設周辺の海底の汚染解析や表層地
質解析に利用されてきた。後者の測定方法では、直径と
高さが10〜12.7cmのNaI結晶をもつ検出器1
〜2本を海底に引きずる方法が用いられている。この検
出器で各核種の一次ガンマ線量を精度1%で得るには、
測定時間に約1時間を要するので、この方法は、広域の
平均的な地質条件を把握できても、断層破砕帯や開口性
割れ目等のような幅が数m以下の詳しい地質変化を解析
することは困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】海・湖底で表層に含む
自然放射性核種から放出される1.1〜2.6Mevと
いう高エネルギーのガンマ線でさえも、海・湖水ではガ
ンマ線の遮蔽効果が大きく作用し、測定されるガンマ線
量は表層が同じ状態にある陸上でのガンマ線量の約1/
10になる。さらに、海・湖底面から10cm離れる
と、このガンマ線量は表層上の約50〜65%、20c
m離れると約25〜40%にも減少してしまう。このた
め、海・湖底で短時間に解析精度の高いガンマ線量を得
るには、検出器のガンマ線計数効率を高めること、検出
器の数を増やすこと、そして検出器をなるべく底面表層
に近づけることが必要になる。
【0004】多数の検出器を安全な幾何学的条件で設定
するためには、検出器を測定容器に収容する方法とな
る。この場合、測定容器の材質を鉄材にすると、その厚
さ1cmではガンマ線量が50〜60%になり、厚さ2
cmでは26〜42%に減少することから、測定容器の
材質の厚さへの対処が必要になる。
【0005】測定容器の設置位置は、それを定めにくい
海・湖上にあって、かつ水流や風波の影響が大きな条件
下にあっては、で目的の解析に十分な間隔である所望の
位置に、より正確に設置できる方法を確立することが必
要になる。
【0006】本発明の主目的は、海・湖下にある石油・
天然ガス・地熱・地下水・諸鉱石等の探査、海・湖下に
トンネル施工やさく井、人造湖等からの漏水機構の解析
や地震・地すべりの予知調査等で必要となる海・湖底の
表層にある地質境界、断層破砕帯、開口性割れ目等の検
出とそれらの破砕度や開口度の解析、並びに海・湖底面
における連続状態等の解析に役立てようとするものであ
る。これらの目的に対する自然ガンマ線量の測定値から
解析する方法については、本発明の出願人は陸上の場合
も含めてすでに平成7年3月7日に特許出願した。(特
許第2819097号平成10年8月28日登録)
【0007】そこで、本発明にあっては、前記方法によ
る海・湖底の調査に必要な検出機能とそれを収容する測
定容器並びにその測定方法を提示するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、海・湖底の任
意地点で、表層の内部や表面に存在する種々の放射性核
種から放出するガンマ線量を、特定の条件下で、任意の
エネルギー範囲別に、短時間内に高い効率で平面的に詳
細に測定する方法であり、そのためには次の条件から成
るものである。
【0009】(1)検出器の検出体は、他の検出体より
もMev台のガンマ線に対する計数効率が著しく高く、
かつエネルギー分解能が目的とする数種のガンマ線を満
足に区分する分解能となる7%以下にできる条件をもつ
結晶の直径と高さが12.7cm以上のNaIの結晶を
用いる。
【0010】前記検出器で目的とする数種のガンマ線の
量を誤差1%台で評価するためには、1測点当り約60
分の測定時間を要する。この所要時間を数分にするた
め、1測点での測定に10本以上の検出器を用いる。
【0011】(2)測定容器は検出体が海・湖底面に近
づくように、検出器の底面をすべて立てて並べることが
できる底面積をもつ円筒形とし、かつ検出器が接する底
面部分は他の底面部よりも肉厚の薄い平面に成る。
【0012】(3)海・湖底面への密着度を高めるた
め、測定は海・湖底上を引きずらさずに、測点を単位に
密着させて測定する。測定は任意な測線上を1〜2m台
の任意の間隔に設けていく方法で、目的の状態の平面分
布が解析できるように測線を設定する。
【0013】(4)測定容器の測点への設置は、測定容
器を積んだ台船の位置を定めることで一次に近接させ、
次に台船上のウインチで測定容器を降下させる操作で二
次に近接させる。
【0014】(5)海・湖上にある台船の位置確認は、
2台を使うGPS法で巨視的な位置決めをし、2個所以
上の基地と台船上の測定機間の光波測定法で詳しい位置
決めをする。
【0015】(6)海・湖流や風波による台船のゆらぎ
に対する目的位置への移動と固定は、それらの影響度に
応じて2個又は4個のウインチを用い、錨とウインチ間
のワイヤロープを伸縮・固定させる方法で行う。
【0016】(7)海・湖底上の位置確認は、測定容器
に設置した音波発信機からの発信号により台船との位置
関係を求める方法を用いる。
【0017】(8)位置が固定された台船からの測定容
器の降下はウインチを用い、測定容器に備えたライトと
テレビカメラによる海底部の観察と前記方法による現在
位置の確認とから、測定容器の沈降速度や沈降位置を制
御しながら着地させる。
【0018】
【実施例】 検出器と測定装置(図1,図2参照)NaI 検出器1は、NaI結晶2の直径と高さが12.
7cmで、分解能が5〜7%にあるものを12本使用す
る。
【0019】前記検出器1は、測定容器3の底面部に並
置し、測定容器の底面部4を平面状にし、その底厚は3
3mmとしたが、検出器1の収容接置する底面部5は座
ぐりによって厚さ5mmにした。この検出器を収容する
底面部5の厚さは薄ければ薄いほど良いが、水深との関
係を考慮して厚さを決める。
【0020】測定容器3の外部には、ライト6とテレビ
カメラ7を設置し、また測定容器3内には音波発信器機
8と高圧電源波高選別機9を備えた。テレビカメラの照
射角度は62度とした。
【0021】 測線の設定と測定時間 想定断層を約800mの間隔で横切る3本の測線10
を、各延長とも200m宛設置し、測点11は測線10
上を2m間隔に設けたので、全測点数は303点になっ
た。1測点での測定時間を500秒にすることで、測定
した各ガンマ線量をほぼ1%の誤差内に納めることがで
きた。
【0022】 台船の位置決め 図3では、EとFで示した2台のGPS装置を使い、4
個の人工衛星A〜Dからの信号を指標に位置決めする方
法を示しており、各測点は数秒ごとに誤差1〜3mの範
囲に測定できた。また、GとHで示す2個所の基地と台
船15上の測定機Iとを結ぶ光波測定法では、数秒ごと
に0.1m単位の位置を確認した。
【0023】測線10の両端とそれに交叉する方向とに
錨12,12,12,12を落とす方法を用い、この錨
とウインチ13,13,13,13間のワイヤロープ1
4,14,14,14を操作する方法では、台船15の
位置決めをした。
【0024】 測定容器の位置決め 台船15上の測定容器3は、台船の位置決め後にクレー
ン16とワイヤロープ17で吊り下げ、図3に示すよう
に、ライト6とテレビカメラ7による観察と音波発信機
8の音波で示される方向と深さを配慮しながら着地させ
た。その誤差は最大0.4mで、80%が±0.1m以
内に設定することができた。
【0025】台船15上には音波受信機Jを設置し、前
記音波発信機8からの発信音波で台船上の音波受信機J
との間で位置関係を知る。
【0026】
【発明の効果】本発明にかかる測定方法は、深さ数10
0mまでの海・湖底にある任意地点の表層の内部や表面
に存在する種々の放射性核種から放出するガンマ線量
を、任意のエネルギー範囲別に短時間に高い計数効率に
よって知ることができるものである。
【0027】したがって、海・湖下にある石油・天然ガ
ス・地熱・地下水・諸鉱石の探査、海・湖下にトンネル
施工やさく井、人造湖等からの漏水機構解析や地震・地
すべりの予知調査等で必要となる、海・湖底表層の地質
境界、断層破砕帯、開口性割れ目等の検出と、それらの
破砕度や開口度の解析、並びにそれらの海・湖底面の連
続状態の解析に必要な測定方法として広く利用すること
ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1 】測定容器の半截正面図
【図2 】同上の半截平面図
【図3】測定方法を示した例示図
【符号の説明】
NaI検出器 2 NaI結晶 3 測定容器 4 底面部 5 薄厚底面部 6 ライト 7 テレビカメラ 8 音波発信機 9 高圧電源波高選別機 10 測線 11 測点 12 錨 13 ウインチ 14 ワイヤロープ 15 台船 16 クレーン 17 ワイヤロープ A,B,C,D 人工衛星 E,F GPS装置 G,H 基地 I 測定機 J 音波受信機
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−5802(JP,A) Miller.J.M.et a l.;”A towed sea−be d gamma−ray spectr ometer for contine ntal shelf survey s”,Intr.Symp.Nucl. Tech.Explor.Extra c.Proces.Min.Res., IAEA SM/216/62,p.465− 498(1977) 木村重彦、「地表γ線による表層地質 等の調査」、RADIOISOTOPE S,44,pp627−636(1995) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01T 1/00 - 7/12 G01V 5/02 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海・湖底の任意地点で、表層の内部や表
    面に存在する種々の放射性核種から放出するガンマ線量
    を、任意のエネルギー範囲別に、短時間内に高い効率で
    平面的に詳細に測定するのに用いる測定容器において、
    すべての検出器を底面部に立てることができる底面積を
    有する円筒形に成りかつ検出器が接する底面部分は他の
    底面部分よりも肉薄の平板面に成り、前記検出器はNa
    検出器でありそのNaI結晶は直径と高さが12.7
    cm以上の大型で分解能が7%以下のものとし、それを
    10本以上収容して成る測定容器。
  2. 【請求項2】 海・湖底の任意地点で、表層の内部や表
    面に存在する種々の放射性核種から放出するガンマ線量
    を、任意のエネルギー範囲別に、短時間内に高い効率で
    平面的に詳細に測定する次の条件から成る測定方法。 (1)検出器はNaI検出器とし、利用するNaI結晶
    は直径と高さが12.7cm以上の大型でかつ分解能が
    7%以下のものとし、それを10本以上を測定容器内に
    収容する。 (2)測定容器はすべての検出器を測定容器の底面部に
    立てることができる底面積を有する円筒形とし、検出器
    が接する底面部分は他の底面部分よりも肉厚の薄い平板
    面に成る。 (3)測定は測点を単位とし、測点を任意の測線上の1
    〜2m台の任意の間隔に設け、目的とする状態の平面分
    布が解析できるように測線を設定する。 (4)測定容器の希望する測点上への設置は、測定容器
    を積載した台船の位置を定めることで一次に近接させ、
    台船上のウインチで測定容器を降下させる操作で二次に
    近接させる。 (5)台船の位置確認は、2台を使うGPS法で一次に
    近接させ、2個所以上の基地と台船上の測定機間の光波
    測定法で二次に近接させる。 (6)台船位置の移動と固定は、台船に設けた2個又は
    4個のウインチを用い、海・湖の流速と風速に応じて錨
    とウインチ間のワイヤロープを伸縮・固定する方法で行
    う。 (7)測定容器の設置位置の確認は、測定容器に設置し
    た音波発信機からの発信音波で台船上の音波受信機との
    位置関係を求める。 (8)測定容器は台船からクレーンで降下し、測定容器
    に備えたライトとテレビカメラによる海底部の観察と前
    記測定容器の位置とから、測定容器の沈降速度や設定位
    置を制御しながら海・湖底に着地させる。
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