JP2891630B2 - セラミックスと金属との複合構造体 - Google Patents

セラミックスと金属との複合構造体

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JP2891630B2
JP2891630B2 JP8926294A JP8926294A JP2891630B2 JP 2891630 B2 JP2891630 B2 JP 2891630B2 JP 8926294 A JP8926294 A JP 8926294A JP 8926294 A JP8926294 A JP 8926294A JP 2891630 B2 JP2891630 B2 JP 2891630B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性、耐摩耗性、耐
浸透性、耐熱性が優れたセラミックス製の遠心ポンプ、
液封式ポンプなどのインペラーなどに適した有底状のボ
ス部を有するセラミックス体の内面に金属製インサート
を接着したセラミックスと金属との複合構造体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】上記の様な目的で使用されるインペラー
構造としては、実公昭61−559号公報に示されるよ
うな腐食流体の移送に供するポンプの駆動軸の先端に取
付けられた羽根車が知られている。図5はこのような従
来の構成のインペラー構造を示したものであって、セラ
ミックス製のインペラー101 の中心部分の有底状ボス部
102 の内径と、金属製インサート103 の円筒状の外径部
の全面を接着層104 により接着し、さらに金属製インサ
ート103 の中心部に設置されたネジと駆動軸105 のネジ
を螺合し、インペラー101 を駆動軸105 と一体に回転可
能としている。またセラミックス製のインペラー101 の
有底状ボス部102 の開口端面部にOリング106 などのシ
ール部材を挿入し、シャフト方向への腐食液の進入を防
止している。ところがこのような従来の構造には、次に
述べるような多くの問題点があった。
【0003】このような従来のインペラー構造は、セラ
ミックスの耐熱性をいかし高温液の移送に使用される
が、高温で運転したポンプにプロセスの冷却などを目的
として常温液を導入する場合に、液に接触している有底
状ボス部102 は短時間で冷却され縮径する方向に変位す
るに対して、金属製インサート103 の外径部はセラミッ
クス製のインペラー101 の有底状ボス部102 が冷却する
に従い接着層104 を介した熱伝導により徐々に冷却され
る。このため、その冷却はインペラー101 の有底状ボス
部102 の冷却に比較すればはるかに緩慢であり、有底状
ボス部102 が縮径方向に変位するに対し、高温液移送時
の径が維持される。この結果、セラミックス製のインペ
ラー101 の有底状ボス部102 の内径が接着層104 を介し
て金属製インサート103 の円筒部108 により膨圧され、
有底状ボス部102 の径方向には引張応力が発生し、この
状態は冷却される時の温度差が大となるに従い顕著なも
のとなる。この時さらに接着層104 がセラミックス製の
インペラー101 の有底状ボス部102 の開口端面まである
ため端面効果により開口端面部で応力集中し、かかる発
生応力がセラミックスの材料強度以上となった場合にイ
ンペラー101 の破損が発生する。
【0004】またOリング106 より金属製インサート10
3 まで透過してきた薬液により金属製インサート103 の
シャフトとの嵌合面などが腐食しやすいため、金属製イ
ンサート103 の材質は、ステンレス鋼などの耐食性が優
れている材料が使用される。しかしステンレス鋼の熱膨
張率はセラミックスより大であるので、両部材を常温で
接着した後に高温状態で使用した場合には、金属製イン
サート103の外径の拡大寸法がセラミックス製のインペ
ラー101 の有底状ボス部102 の内径の拡大寸法より大と
なり、金属製インサート103 が接着層104 を介してセラ
ミックス製のインペラー101 の有底状ボス部102 の内側
を膨圧する。その結果、有底状ボス部102 の径方向には
引張応力が発生し、この状態は高温液の移送など使用時
の温度が接着時の温度より大となるに従い増大する。こ
の時さらに接着層104がセラミックス製のインペラー101
の有底状ボス部102 の開口端面まであるため端面効果
により開口端面部で応力集中し、かかる発生応力がセラ
ミックスの材料強度以上となった場合にインペラー101
の破損が発生する。
【0005】さらに、インペラー101 とシャフトスリー
ブ109 のシールにはOリング106 などの弾性体が使用さ
れるが、Oリング106 の劣化にともない液シールが不良
となり、金属製インサート103 の腐食により発生した錆
や接着層104 の薬液浸透による膨潤により、セラミック
ス製のインペラー101 の有底状ボス部102の内径が膨圧
され、有底状ボス部102 の径方向には引張応力が発生す
る。この時さらに接着層104 がセラミックス製のインペ
ラー101 の有底状ボス部102 の開口端面まであるため端
面効果により開口端面部で応力集中し、かかる発生応力
がセラミックスの材料強度以上となった場合にインペラ
ー101 の破損が発生する。
【0006】さらに、金属製インサート103 を駆動軸10
5 に結合する場合にネジ部にグリスなどの潤滑剤が過度
に塗布されると、螺合が進行するに従いネジのかみあい
隙間に前記潤滑剤が充満するとともに、金属製インサー
ト103 の内部の潤滑剤が外部に排出されなくなり、この
状態でさらにインペラー101 をネジ込むと金属製インサ
ート103 の内部に等方内圧が発生し、金属製インサート
103 が寸法拡大する。この寸法拡大によりセラミックス
製のインペラー101 の有底状ボス部102 の内側が膨圧さ
れ、有底状ボス部102 の径方向には引張応力が発生す
る。この時さらに、接着層104 がセラミックス製のイン
ペラー101 の有底状ボス部102の開口端面まであるため
端面効果により開口端面部で応力集中し、かかる発生応
力がセラミックスの材料強度以上となった場合にインペ
ラー101 の破損が発生する。
【0007】セラミックス製のインペラー101 の有底状
ボス部102 の底と該ボス部の底に対応する金属製インサ
ート103 の軸方向端面の間に存在する接着層104は、セ
ラミックス製のインペラー101 の有底状ボス部102 の底
と金属製インサート103 を強固に接着し、樹脂の硬化に
伴いセラミックスの底部を引張り、損傷させる問題が発
生する。
【0008】この様な問題を解決するために、セラミッ
クス製のインペラー101の有底状ボス部102 と金属製イ
ンサート103 がほぼ同温度で冷却する様に長時間かけて
インペラー101 全体を冷却することはポンプを使用する
プロセスの効率低下となる。また熱膨張率がセラミック
スより小さいインバーなどの低熱膨張率金属を金属製イ
ンサート103 の材質として使用することも考えられる
が、かかる金属は高価でありまた強度も低く繰り返しの
ネジ結合や回転トルクの伝達には不向きである。さらに
セラミックス製のインペラー101 自体を高強度材とする
ことも考えられるが、高強度セラミックスはHIPなど
の特殊焼結が必要であり高価なものとなる。またOリン
グ106 を定期的に交換することは保守費用の増大とな
り、そのシール性を増すためにOリング106 を二重にす
ることはインペラー101 のボス部まわりの寸法拡大とな
り、コストアップとなる。さらに、インペラー101内の
潤滑剤をネジのかみあい隙間より外部に排出するため徐
々にインペラー101を回転しネジ結合することは組立て
に時間が必要となり、また、インサートの端面に接着剤
が介在しない様に接着することは特に流動性の高い樹脂
を使用する場合困難であるといった問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決し、各種温度の液体の速やかな交番移送
等による温度の急変に耐え、高価な低熱膨張率金属や高
強度セラミックスを使用することなく低価格のステンレ
ス鋼などを使用でき、また耐食性の良いPTFEなどの
フッ素樹脂を長期に安定したシール部材として使用で
き、また組立てが容易なインペラーやその他のセラミッ
クスと金属との複合構造体を提供し、さらにセラミック
ス体の有底状ボス部の底が接着剤により破損することを
防止することができるセラミックスと金属との複合構造
体を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明のセラミックスと金属との複合構造
体は、セラミックス体の有底状ボス部の内面に金属製イ
ンサートを接着した複合構造体において、有底状ボス部
の開口端面からボス部の内径の1/5以上の深さの位置
よりも底方向において両者を接着したことを特徴とする
ものである。また、有底状ボス部の開口端面と、金属製
インサートの接着部に連結された太径部の端面との間
に、弾性体を挟持しておくことが好ましい。
【0011】
【作用】本発明においては、有底状ボス部の開口端面か
らボス部の内径の1/5以上の深さの位置よりも底方向
において両者を接着したので、次に述べるように最も大
きい応力集中の生ずる部分には接着層が存在せず、セラ
ミックス体の急冷時等における応力集中が抑制され、セ
ラミックス体の破損を防止することができる。また、有
底状ボス部の開口端面と、金属製インサートの接着部に
連結された太径部の端面との間に弾性体を挟持しておけ
ば、この弾性体によって液シールが完全に行われ、接着
層への液浸透等に伴うセラミックス体の破損を防止する
ことができる。なお、本発明の作用効果については以下
の実施例とともにさらに詳細に説明する。
【0012】
【実施例】図1は本発明をインペラー構造体に適用した
実施例の要部を示すもので、1はセラミックス体である
インペラー、2はその有底状ボス部、3はこの有底状ボ
ス部2の内面に挿入される金属製インサートである。
4、5は接着層であるが、接着層5の右端面と有底状ボ
ス部2の開口端面との距離Lは、有底状ボス部2の内径
Dの1/5以上(L≧D/5)とされており、セラミッ
クス体1と金属製インサート3との接着はこの位置より
も有底状ボス部2の底方向において行われている。
【0013】上記のようなセラミックス体であるインペ
ラー1の有底状ボス部2の内径と金属製インサート3の
円筒部の外径の間を接着する構造において、前記したよ
うな開口端面部における応力集中の程度を確認するた
め、発明者は有底状ボス部2の内径に付加させる圧力に
対する有底状ボス部2の径方向に発生する引張応力を測
定した。その結果、応力集中が有底状ボス部2の開口端
面からその内径の1/5の部分で著しいことを確認し
た。この知見により本発明では、接着部の有底状ボス部
2の内径をDとした場合に、インペラー1の有底状ボス
部2の開口端面よりD/5以上の内側部分に接着層5を
設け、インペラー1の有底状ボス部2と金属製インサー
ト3を結合している。本構成によれば、高温液を移送し
たポンプに常温液を導入した場合に、液に接触している
有底状ボス部2が短時間で冷却し縮径する方向に変位
し、一方、金属製インサート3の円筒部が緩慢に冷却し
高温液移送時の径を維持しようとすることにより金属製
インサート3が接着層5を介してセラミックス体である
インペラー1の有底状ボス部2の内径を膨圧しても、イ
ンペラー1の有底状ボス部2の開口端面部における応力
集中を抑制できる。
【0014】また、金属製インサート3としてステンレ
ス鋼などの耐食性が優れているが熱膨張率がセラミック
スより大である材料を使用し、さらに両部材を常温で接
着した後に高温状態で使用した場合には、金属製インサ
ート3の外径の拡大寸法がセラミックス製のインペラー
1の有底状ボス部2の内径の拡大寸法より大となり、金
属製インサート3が接着層5を介してインペラー1の有
底状ボス部2の内径を膨圧することとなるが、図1の構
造とすれば有底状ボス部2の開口端面部における応力集
中を抑制できる。
【0015】また、接着層5への薬液浸透による接着層
5の膨潤や、金属製インサート3の腐食による錆により
セラミックス体であるインペラー1の有底状ボス部2の
内径を膨圧しても、図1の構造とすればこの有底状ボス
部2の開口端面部における応力集中を抑制できる。
【0016】インペラー1の材質は、高強度磁器、アル
ミナ、部分安定化ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、窒
化アルミなどのセラミックスが使用できる。接着剤は、
エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキル樹脂などの内、
高温で製品を使用する場合は高温硬化型のものが選定で
き、また金属製インサート3によるインペラー1の有底
状ボス部2の高温時における膨圧を低減するためには、
常温硬化型、紫外線硬化型などより選定できる。
【0017】インペラー1の有底状ボス部2の開口端面
と、金属製インサート3の接着部に連結した太径部6の
軸方向端面には、弾性体7が挟持されている。本実施例
では弾性体7としてフッ素樹脂製のガスケットが用いら
れている。セラミックス製のインペラー1の有底状ボス
部2の内径と金属製インサート3の円筒部の外径の間を
高温で接着する場合、金属製インサート3の図1のL寸
法部分については有底状ボス部2の内径と接着されてい
ないため、接着処理後にインペラー全体が常温に冷却す
るに従い金属製インサート3のL寸法部分が、金属製イ
ンサート3のL寸法に対応するインペラー1の有底状ボ
ス部2の内径より軸方向長さにおいて小さくなる方向に
収縮する。この結果、金属製インサート3のL寸法部分
には引張力が作用し、この力が常に前記弾性体7である
ガスケットを軸方向に圧縮し、内部に液が浸透すること
を防止できる。さらに、このL寸法部分にOリング8を
設けておけば、弾性体7の部分で万一洩れが発生した場
合に接着層5へ薬液を浸透させないための2次的シール
として作用させることができる。
【0018】かかる部分のシールには図5の従来例の様
に、ゴム系材料からなるOリングなどの弾性体が使用さ
れるが、ゴム系材料はフッ素樹脂に比較し耐食性が劣る
ため経年劣化しやすく安定したシールが得られないに対
し、本発明の構成により耐食性が良好でまた経年劣化の
少ないPTFEなどのフッ素樹脂製ガスケットの使用が
可能となる。
【0019】Oリング9は、接着層5が図1中のL寸法
以上のセラミックスの開口端面側方向に存在しない様に
するために設置することが好ましい。Oリング9は、断
面が三角形のリングまたはV字型部材など硬化していな
い接着剤をシールする形状の弾性体としてもよい。また
Oリング9は、接着層5の図1中の右端面においてセラ
ミックス製のインペラー1の有底状ボス部2の内径部に
作用する応力集中をOリング9の弾性により徐々に開放
するためにも設置することが好ましく、同じ理由で金属
製インサート3の図1中の左端面部の外径10は面取りし
ておくと良く、インサートに接する円弧状とするのがさ
らによい。
【0020】また、インペラー1を接着温度時より低温
で使用した場合に、金属の方がセラミックスより熱膨張
率が大であるので、金属製インサート3の接着部外径の
縮径後寸法がセラミックス製のインペラー1の有底状ボ
ス部2の内径の縮径後寸法より小となり、金属製インサ
ート3の外径と有底状ボス部2の内径の間に隙間が発生
する。この場合に、Oリング9は両部材間の芯出しを自
動的に行い、駆動軸の軸芯に対するインペラー1の有底
状ボス部2の外径を一致させ回転することができる。こ
の場合金属製インサート3の図1中の左端面部近傍に芯
出し用のOリングを設置するとよい。さらに、接着剤が
セラミックス側に完全に固着し接着層を形成する様にセ
ラミックスの内面を弗酸などにより粗面化し、さらに金
属製インサート3の表面には接着層を固着させないよう
に、ローレット、サンドブラスト、エッチングなどによ
る凹凸を設けた後、金属製インサート3の表面に、離型
剤またはフッ素樹脂などの非接着性の材料からなる薄膜
を設置すれば、金属製インサート3のローレットと該ロ
ーレットに対応して形成された接着層5の凹凸がかみあ
い、接着部の全円周方向に熱膨脹による均一な隙間が発
生し、しかも金属製インサート3からのトルクをインペ
ラー1の有底状ボス部2に確実に伝達できる。またOリ
ング9の採用により、接着処理時にインペラー1の有底
状ボス部2と、金属製インサート3の円筒部11を芯出し
し、接着層5を一定厚みに形成できる。
【0021】有底状ボス部2の底は、回転円板としての
最大引張応力が発生する中心に近い部分である。またか
かる部分は開口端部から深く研削が困難でありさらに研
削による表面の微少傷による応力集中が発生する。そこ
でインペラー1の回転による引張応力を緩やかに拡散す
るため、有底状ボスの底部は図1中に12として示すよう
な円弧状の断面の未研削面とするのがよい。しかしこの
場合、金属製インサート3の図1中の左端面とインペラ
ー1の有底状ボス部2の底がともに接着されると、接着
層4の収縮により金属製インサート3に固着した接着層
4がセラミックスを引張り、剥離損傷する。これを回避
するため、底部にPTFEなどの接着剤に対し非接着特
性の有る材料からなるふた13を挿入すると良い。
【0022】接着層4、5の形成のためには、インペラ
ー1の羽根面を下にして、金属製インサート3の開口端
底部に開口した注入孔14より樹脂を圧入し、内部の空気
を同じく金属製インサート3の開口端底部に開口した排
出孔15より排出するとともに樹脂と置換し、接着層4、
5の全体に気泡が残存しない構成とするのが良い。しか
し、インペラー1の有底状ボス部2の内面と金属製イン
サート3の外面に接着剤を塗布しておき、金属製インサ
ート3をインペラー1の有底状ボス部2に挿入し、余分
な樹脂を前記孔15から排出してもよい。また、金属製イ
ンサート3の外面には、円周方向の溝16を設け、排出す
る樹脂を集合して排出孔15に導く構成とすることがよ
い。
【0023】金属製インサート3とシャフト17は円筒状
の嵌合部18、19で結合され、セラミックス製の有底状ボ
ス部2を含むインペラー1が軸方向に長い場合でも確実
に芯出しできる構造としてある。金属製インサート3と
シャフト17はねじ部51で結合させるため、ねじ部51にグ
リスを過塗布しても金属製インサート3が寸法拡大して
インペラー1の有底状ボス部2の内側を膨圧することが
ない。また金属製インサート3の開口端面とシャフト17
の軸方向端面との間にはOリング20を設置し、薬液が金
属製インサート3のシャフト17との結合部内へ侵入し、
ネジ部などを腐食することを防止している。
【0024】さらに金属製インサート3の開口端部近傍
には、インペラー組立体のシャフト17へのネジ込みを確
実かつ容易に実施するためのスパナ掛けとして、複数の
孔21が設置してあり、図4に示す様に引掛スパナ22を使
用しインペラー組立体を確実にシャフト17に結合するこ
とができる構造としてある。この場合、引掛スパナ22を
回転させさらにその扱いを容易とするためと軸封部の取
扱いを容易とするために、図4の様にインペラー組立体
の上方向にアダプター23(後述する図3を参照)のリブ
24を設置しないで上部を開放することが良い。またイン
ペラー組立体が逆転してもインペラー組立体がシャフト
17から離脱しない様に、金属製インサート3とシャフト
17の間の廻り止めとして、1ケ以上の止めネジ25が設置
してある。この場合、シャフト側の止めネジ25が当接す
る径の部分26をシャフト17の軸芯に対し偏芯させておく
と、更に効果的に緩み止めが可能となる。
【0025】インペラー1の主板部には、インペラー1
の羽根部の軸方向の圧力バランスのために複数のバラン
スホール27を設けてあるが、裏羽根による圧力バランス
調整でもよい。また、羽根の形状はセラミックスの焼成
前に容易に機械加工で所定の形状とすることが可能なよ
うに、図2に示す直線状の流体通路28を持つものとする
ことが良い。
【0026】次に、図1に示したセラミックスと金属と
の複合構造体(インペラー組立体)を使用した遠心ポン
プの例を図2により説明する。
【0027】ケーシング組立体30は、ケーシング31の軸
方向の2端面にアスベスト、フッ素樹脂などからなる緩
衝材32、33を介した後、セラミックス製のケーシング31
の外径部34と金属製のアーマー35の内径を嵌合させ、さ
らにクランプリング36をボルト37によりアーマー35に螺
合させ、アーマー35の中にケーシング31を固定してい
る。
【0028】ケーシング31の吸込口と吐出口において、
外部からの雨水や腐食雰囲気ガスがアーマー35とケーシ
ング31の隙間内に浸透しアーマー35を腐食させ、生じた
錆によりセラミックスを破損しないように、Oリング3
8、39を設置してある。
【0029】ノズル40は金属製のアーマー35の吐出ノズ
ル部に挿入し、ケーシング31との間にガスケット41と、
さらにOリング42をガスケット41から漏洩した場合の2
次的なシールとして設置してある。アーマー35の内径と
ノズル40の外径の間には隙間43を設け、前記Oリング3
9、42によりこの隙間と両部材の加工公差を吸収可能と
し、アーマー35のノズル内径とケーシング31の吐出部の
内径を正確に芯出しするためのコストアップを回避して
いる。また、ノズル部分は流速が速くスラリーを含む液
の場合損耗しやすいので、ケーシング31の材質よりさら
に硬度、耐摩耗性の高い材料としておくことが好まし
い。
【0030】セラミックスと金属の熱膨張差により高温
時にセラミックス製のケーシング31と金属製のアーマー
35の間に隙間が発生し、芯ずれが発生したり隙間に錆が
発生してセラミックスを破損しない様に、嵌合部をエポ
キシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂などの接着特性
と弾性を有し、前記隙間変化に対応できる接着剤により
接着しておくことが好ましい。
【0031】ポンプの流量・揚程調整は一般にインペラ
ー1の外径の変更、または回転数の変更により実施され
るが、図3中に*印で示すインペラー1の軸方向寸法を
制御しても良く、インペラー1の種類を最少とすること
ができ、またポンプの効率も維持できる。インペラー組
立体は、シャフト17にシャフトのネジ部51により螺合さ
れ、緩み防止ネジ25により固定され、駆動軸と一体とし
た後図示されない電動機などにより回転する。軸封部の
固定環52はエンドカバー組立体に固着され、さらにシャ
フト17に固定された回転環53の間で摺動されることで液
の外部漏洩を防止する。このためインペラー1は接液部
分の耐食性を向上させるために液に接する部分は一体と
しておくことが好ましく、シャフト17に対するシールを
はたすOリング54などの軸シール部材の位置まで、イン
ペラー1の有底状ボス部2を延長しておくことがよい。
【0032】以上に説明した本発明の効果を確認するた
めに、ステンレス鋼(材質SUS316)からなる金属
製インサートの外径をφ49.4mmとし、またアルミ
ナ99.5%製のインペラーの外径をφ80mmとし、
さらに接着層を0.3mmとし、インペラーの有底状ボ
ス部の開口端面と金属製インサートの間に0.8mmの
PTFE製ガスケットを挿入し、150℃で硬化するエ
ポキシ系接着剤を使用した、 図1に示す構造で、Oリング8、9とふた13を排し、
有底状ボス部の開口端面まで接着した比較例のインペラ
ー組立て体、 図1に示す構造で、Oリング8、9を排し、有底状ボ
ス部の開口端面まで接着した比較例のインペラー組立て
体、 図1に示す構造で、有底状ボス部の開口端面から内径
の1/5の深さまでを接着しない本発明の構成のインペ
ラー組立て体 をそれぞれ製造し、各組立て体が常温に冷却してから赤
色浸透探傷液に24時間浸漬した。さらに各組立て体を
電気炉内で140℃に加熱した後、有底状ボス部の外面
を20℃に急冷した。この結果、、は共にインペラ
ーの有底状ボス部の開口端面に軸方向のクラックが認め
られ、さらに軸方向を切断した結果、クラックに起因す
るものでない赤色浸透探傷液の有底状ボス部の内部への
浸透が認められた。またの底部には樹脂の収縮による
クラックが認められたがにクラックは認められなかっ
た。またには切断の結果、有底状ボス部の開口端面お
よび底部にもクラックが無く、また図1のA部への赤色
浸透探傷液の浸透も皆無であった。
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のセラミ
ックスと金属との複合構造体は、セラミックス体の有底
状ボス部の内面にセラミックス体よりも熱膨張率が大き
い金属製インサートを接着した構造であるにもかかわら
ず、セラミックス体の有底状ボス部の開口端面部におけ
る応力集中を抑制して温度の急変等に耐えることがで
き、高価な低熱膨張率金属や高強度セラミックスを使用
することなくセラミックス体の破損を防止することがで
きる。また本発明の複合構造体は、耐食性の良いPTF
Eなどのフッ素樹脂を長期に安定したシール部材として
使用できる。なお、以上の説明は遠心ポンプに使用する
インペラー組立体を中心としてなされたが、本発明はブ
ロアーなどの風力機械のインペラー、往復動型ポンプの
プランジャー、ゲート型弁・グローブ型弁・プラグ弁な
どの弁棒、攪拌機のブレードなど、有底状ボス部を有す
るセラミックス部材の内径に金属を接着した構造体に広
く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すインペラー構造体の中央
縦断面図である。
【図2】本発明の実施例のインペラーを具備する遠心ポ
ンプの中央縦断面図である。
【図3】本発明の実施例のインペラーの羽根部の正面図
である。
【図4】本発明の実施例のインペラーを具備する遠心ポ
ンプのアダプターの横断面図である。
【図5】従来例のインペラーおよび遠心ポンプを示す中
央縦断面図である。
【符号の説明】
1 セラミックス体であるインペラー、2 有底状ボス
部、3 金属製インサート、4 接着層、5 接着層、
6 太径部、7 弾性体、8 Oリング、9Oリング、
10 外径、11 円筒部、12 未研削面、13 ふた、14
注入口、15排出孔、16 円周方向の溝、17 シャフト、
18 嵌合部、19 嵌合部、20 Oリング、21 スパナ掛
け用の孔、22 引掛スパナ、23 アダプター、24 リ
ブ、25止めねじ、26 当接部分、27 バランスホール、
28 流体通路、30 ケーシング組立体、31 ケーシン
グ、32 緩衝材、33 緩衝材、34 外径部、35 アーマ
ー、36 クランプリング、37 ボルト、38 Oリング、
39 Oリング、40 ノズル、41 ガスケット、42 Oリ
ング、43 隙間、51 ねじ、52 固定環、53 回転環、
54 Oリング、101 インペラー、102 有底状ボス
部、103 金属製インサート、104 接着層、105 駆
動軸、106 Oリング、107 シャフト、108 円筒
部、109 シャフトスリーブ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス体の有底状ボス部の内面に
    金属製インサートを接着した複合構造体において、有底
    状ボス部の開口端面からボス部の内径の1/5以上の深
    さの位置よりも底方向において両者を接着したことを特
    徴とするセラミックスと金属との複合構造体。
  2. 【請求項2】 有底状ボス部の開口端面と、金属製イン
    サートの接着部に連結された太径部の端面との間に、弾
    性体を挟持した請求項1に記載のセラミックスと金属と
    の複合構造体。
  3. 【請求項3】 有底状ボス部の底と、金属製インサート
    の有底状ボス部の底に対応する部分の軸方向端面との間
    に、PTFEからなるふたを挿入した請求項1〜2のい
    ずれかに記載のセラミックスと金属との複合構造体。
  4. 【請求項4】 セラミックス体が遠心ポンプ用インペラ
    ーである請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス
    と金属との複合構造体。
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