JP2886890B2 - マグネトロン用電源装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、マグネトロンの陰極に適切な電力を供給で
きるようにしたマグネトロン用電源装置に関する。

［従来の技術］ 商用交流電源からの電力を一旦整流した後、スイッチ
ング回路により商用周波数より高い周波数に変換して変
圧器の一次巻線に入力し、二次巻線から得た高圧を整流
してマグネトロンの陽極に印加する所謂インバータ方式
マグネトロン電源装置は、周波数が高いため変圧器を小
形軽量にでき、かつ、比較的容易に広い範囲に出力を調
整できるためなどで、近年、家庭用電子レンジなどに広
く用いられ始めた（特開昭60−250588号公報）。

第２図はこの種の電源装置の一例を示し、図中、１は
変圧器、２は変圧器の一次巻線、３はマグネトロンの陽
極電源となる昇圧用二次巻線、４はマグネトロンの陰極
電源となる低圧用二次巻線、５はスイッチング回路、６
は整流回路、７は商用交流電源、９はマグネトロンの陽
極へ直流高電圧を供給するための倍電圧整流回路を形成
するコンデンサ、10は倍電圧整流回路の整流用ダイオー
ド、11はマグネトロンへの印加電圧波形を平滑化しマグ
ネトロンに内蔵されている雑音防止用フィルタのコンデ
ンサの充放電を減らし過熱を防止するダイオード、12は
マグネトロンである。商用交流電源７からの交流入力
は、整流回路６で一旦整流されて脈流に変換され、スイ
ッチング回路５により、20〜100kHz程度の交流に変換さ
れ、変圧器１の一次巻線２に入力される。変圧器の昇圧
用二次巻線３の出力は倍電圧整流回路を構成するコンデ
ンサ９とダイオード10により、高電圧の脈流となってマ
グネトロン12の陽極に印加され、マグネトロンを駆動す
る。

第３図は変圧器１の要部を示す図で、1A,1Bは夫々ソ
フトフェライトからなる所謂EI形のヨークで、磁気回路
を構成している。ICはヨーク1A,1Bに挾まれた非磁性絶
縁スペーサで、二つのヨーク間に非磁性の空間を設けて
ヨークが磁気飽和するのを防止している。一次巻線２は
ヨーク1Aの中央脚に巻かれており、この巻線の上に二次
巻線３が巻かれている。陰極加熱用巻線４はヨーク1Aの
右側の脚に１ターン巻かれているだけに過ぎない。この
従来構造では、インバータ方式では商用電源の数百倍も
の周波数になっているため、ヨークに流れる磁束量も巻
回数も何れも大幅に減少し、一次巻線２のターン数は通
常10ターン強程度と少なくなっており、巻線４に誘起さ
れる電圧は、実際にマグネトロン12の陰極が必要とする
陰極加熱電圧たとえば３〜4Vより高くなってしまい、陰
極温度が高くなり過ぎて、陰極材料の熱変形が生ずるな
ど信頼性上の大きな問題が生じていた。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明はマグネトロン用インバータ方式電源に従来生
じていた上記問題を解決して、陰極加熱に丁度適した電
力を供給できるようにしたインバータ方式のマグネトロ
ン用電源装置を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本発明においては、マグネ
トロン用インバータ方式電源の、変圧器の磁気回路を構
成するヨークの一部を磁気回路外に延長し、この延長部
に巻線を施してリアクトルを形成させ、このリアクトル
をマグネトロンの陰極を加熱するための低圧二次巻線に
直列に接続してマグネトロンの陰極加熱に用いるように
した。

［作用］ 上記のようにすれば、陰極加熱用巻線に直列に接続し
たリアクトルの作用によって、実際に陰極に印加される
電圧が低下し、陰極加熱電力を最適値に調整することが
可能となり、また、それに使用するリアクトルは変圧器
と一体化されていて、構造的に単純、堅固で、外部から
の振動や衝撃にも強い。

［実施例］ 第１図（ａ）は本発明の第１実施例の変圧器の要部を
示す。Ｅ形ヨーク1Aの右側の脚に陰極加熱用巻線４を巻
回してある。また、Ｉ形ヨーク1Bの一端が磁気回路外に
延長され、延長部1BAに、巻線４に直列接続した巻線が
施され、リアクトル13を形成している。巻線４では陰極
の加熱に必要な電圧よりも高い電圧が誘起されている
が、リアクトル13により電圧降下し、マグネトロン12の
陰極には加熱に最適な電力が供給される。

第１図（ｂ）は本発明の第２実施例の変圧器の要部を
示す。この実施例では、陰極加熱用巻線４をＩ形ヨーク
1Bの磁気回路内の部分に巻回し、リアクトル13は図示の
ようにヨーク1Bの磁気回路外の延長部に巻回してある。
第１実施例の場合と同様にリアクトル13のインダクタン
ス値を適当に選定することによって、マグネトロンの陰
極に丁度最適な加熱電力を供給することができる。この
実施例では直列接続した巻線４とリアクトル13とを同じ
方向に巻けば良いので作り易い。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明によれば、変圧器に作り付
けのリアクトルによって、陰極加熱電力が調節され、陰
極が最適温度に加熱されて電子放出寿命が長くなり、ま
た、陰極の熱変形が抑制されて変形による特性の変動が
生じなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）は本発明の第１実施例の変圧器の要部を示
す図、第１図（ｂ）は本発明の第２実施例の変圧器の要
部を示す図、第２図はインバータ方式のマグネトロン電
源の例を示す図、第３図は従来のインバータ方式マグネ
トロン用電源装置の電圧器の要部を示す図である。 １……変圧器、２……変圧器の一次巻線、３……昇圧用
二次巻線、４……低圧用二次巻線、５……スイッチング
回路、６……整流回路、７……商用交流電源、12……マ
グネトロン、13……リアクトル、12……マグネトロン、
1A……Ｅ形ヨーク、1B……Ｉ形ヨーク、1BA……ヨーク
の磁気回路外延長部、1C……スペーサ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】商用交流電源からの電力を一旦整流した
   後、スイッチング回路により商用周波数より高い周波数
   に変換して変圧器の一次巻線に入力し、二次巻線から得
   た高圧出力を整流してマグネトロンの陽極に印加する方
   式のマグネトロン用電源装置において、前記変圧器の磁
   気回路を構成するヨークの一部を磁気回路外に延長し、
   この延長部に巻線を施してリアクトルを形成させ、この
   リアクトルをマグネトロンの陰極を加熱するための低圧
   二次巻線に直列に接続してマグネトロンの陰極加熱に用
   いるようにしたことを特徴とするマグネトロン用電源装
   置。