JP2885397B2 - 耐震コンクリート構造物およびその施工法 - Google Patents

耐震コンクリート構造物およびその施工法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンクリート構造物
の曲げ強度と靭性を向上し、震性能を飛躍的に向上す
るとともに、耐震構造物設計の自由度を得られ、施工の
容易化と工期の短縮化並びに工費の低減を図れ、しかも
建設用地確保の容易化とメインテナンスの合理化を図れ
るようにした耐震コンクリート構造物およびその施工法
に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の耐震設計では、阪神・淡路大震災
のような大きな地震に対し、構造物の変形を許容するこ
とにより、地震のエネルギーを吸収する考え方が主流と
なっており、免震装置もこのような考え方に基いてい
る。
【0003】従来の免震装置1は図9のように、一般に
積層ゴム等で製作された弾性変位を生じる部分と、ダン
パーと称される変位を制御する部分とで構成され、これ
を構造物2の基端部と基礎3との間に設置している。し
たがって、免震装置1には構造物2の重量が上載荷重と
して作用し、構造物2が一定値以上水平変位した際、こ
れを免震装置1が感知して作動し、その弾性によって地
震のエネルギーを吸収していた。
【0004】しかしながら、上記免震装置1は弾性変位
を利用する構造上、大きな衝撃荷重が掛かる鉄道高架橋
や、上載荷重の大きな高層の構造物では、免震装置1を
適用できず、これらの構造物の耐震設計や高層化に限界
があった。現状では、塔状比が大きく免震装置1に引き
抜き力が働く場合や、上部構造の固有振動周期が1〜
1.5秒を越えるような長周期建物への適用に限界があ
る。
【0005】このように従来の免震構造物2は免震装置
1とその取付けを要し、その分通常の構造物の施工に比
べて工事が煩雑なり、工期が長期化するとともに工費
が嵩み、しかも免震装置1の機能を維持するために定期
的なメインテナンスを要し、免震装置1を交替する必要
が生じた場合には、構造物2をジャッキアップする大掛
かりな工事を要して、免震構造物2の施工や維持が総体
的に高価になるという問題があった。
【0006】しかも、従来の免震構造物2は免震装置1
を境に基礎3と縁切りし、それらの間に免震装置1の点
検用の地下ピット4を要するとともに、該構造物2の基
部外周には、免震構造物2の水平変位を許容し、かつそ
の最大変位を当接により規制する約50cm程度のクリ
アランス5を要して、構造物2の構築に多大な工費と工
期を要する上に、広い建設用地の確保を要して、工費の
上昇を助長する等の問題があった。
【0007】ところで、従来、鉄筋コンクリート構造物
を施工する場合、主鉄筋を組み立て、これに剪断力を補
強する目的で帯鉄筋を所定ピッチに配置し、この外側に
型枠を組み立て後、型枠内にコンクリートを打設してい
た。
【0008】この場合、帯鉄筋の量と配置については、
一般に曲げ耐力よりも剪断耐力が大きくなるように設計
され、したがってコンクリート構造物は、曲げ破壊先行
型の破壊形態となり、引張り力を補強する主鉄筋の引張
り靱性によって、降伏荷重に達した後も耐荷力を保持す
るようにされている。
【0009】しかし、この従来のコンクリート構造物の
施工法は、帯鉄筋とその配筋を要し、帯鉄筋の製作と鉄
線またはクリップ等による緊結を要して、作業が煩雑か
つ手間が掛かり、しかもこうして構築したコンクリート
構造物も、その立地条件や帯鉄筋の量および施工の如何
によっては、帯鉄筋が破断して構造物が剪断破壊する惧
れがあり、この点は先の阪神淡路大地震において例証さ
れている。
【0010】そこで、コンクリート構造物の剪断力を強
化する手段として、帯鉄筋を増量する方法がある。しか
し、この場合は帯鉄筋の配筋作業が著しく煩雑で手間が
掛かり、工費の高騰と工期の長期化を招くとともに、コ
ンクリート打設時にコンクリートの移動が帯鉄筋に遮ら
れて流動性が低下し、ジャンカを生じ易くなって施工性
が低下する上に、コンクリート内外に空洞や凹凸が生じ
て、コンクリート構造物の強度が低下するとともに、打
設面の補修が必要になる。
【0011】ところで、従来、道路や滑走路、トンネル
等において、コンクリートの引張強度や曲げ強度、ひび
割れ強度、靱性または耐衝撃性の改善を図るために、例
えば炭素鋼やステンレス鋼等の短い鋼繊維を均等に分散
配置した鋼繊維補強コンクリートが使用されている。
【0012】しかし、この従来の鋼繊維補強コンクリー
トは、主にひび割れの改善を目的とし、その強度は鉄筋
コンクリートと比較すると低く、これを曲げと剪断力の
双方を受ける耐震構造物の柱や梁、壁に直ちに採用する
ことはできない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題を解決し、コンクリート構造物の曲げ強度と靭性を向
上し、震性能を飛躍的に向上するとともに、耐震構造
物設計の自由度を得られ、施工の容易化と工期の短縮化
並びに工費の低減を図れ、しかも建設用地確保の容易化
とメインテナンスの合理化を図れるようにした耐震コン
クリート構造物およびその施工法を提供することを目的
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1の発
明は、柱の内部に主鉄筋を配置した耐震コンクリート構
造物において、柱の内部に主鉄筋を無拘束または部分的
に拘束して配置し、従来の帯鉄筋の使用を廃止し、若し
くは使用量を大幅に低減して、帯鉄筋の製作および配筋
作業の手間を解消し、施工の容易化と工期の短縮化並び
に工費の低減を図るとともに、コンクリート打設時のコ
ンクリートの流動性を向上し、ジャンカの無い緻密なコ
ンクリート構造物を得られ、所期のコンクリート強度を
得られるとともに、平滑なコンクリート面を得られ、打
設後の補修の手間を解消する。
【0015】柱の内部に鋼繊維を均一に分散配置し、柱
自体の曲げ強度と靭性を向上して、コンクリート構造物
震性能を飛躍的に向上し、従来の鉄筋コンクリート
構造に免震装置を適用した構造物と同等の性能が得ら
れ、免震装置の使用を廃止することができる。
【0016】したがって、免震装置のような上載荷重や
衝撃荷重の制限がなく、耐震構造物設計の自由度を得ら
れ、塔状比が大きく引き抜き力が作用する免震構造物の
適用が困難な構造物や、固有周期が長い建物、電車の通
行によって衝撃が掛かる鉄道高架橋等への適用が可能に
なる。
【0017】また、免震装置のような定期的なメインテ
ナンスやその設置作業、および設置のための地下ピット
や、免震構造物の水平変位を許容するクリアランスの確
保を要せず、施工の容易化と工費の低減を図れるととも
に、建設用地確保の容易化を促せる。
【0018】柱の基端部を基礎上に一体に立設し、柱と
基礎とを同動可能にして、地震エネルギーを吸収し、従
来の免震装置の使用を廃止する。
【0019】請求項2項の発明は、柱の内部に主鉄筋を
配置した耐震コンクリート構造物の施工法において、柱
の内部に主鉄筋を無拘束または部分的に拘束して配置
し、従来の帯鉄筋の使用を廃止し、若しくは使用量を大
幅に低減して、帯鉄筋の製作および配筋作業を手間を解
消し、施工の容易化と工期の短縮化並びに工費の低減を
図る。柱の内部に鋼繊維を均一に分散配置するととも
に、前記柱の基端部を基礎上に一体に立設し、柱自体の
曲げ強度と靭性を向上して、コンクリート構造物の
性能を飛躍的に向上し、従来の免震装置の使用を廃止す
る。
【0020】免震装置の廃止によって、免震装置に要す
る前記地下ピットやクリアランスが不要になり、それら
の施工を削減して工費の低減と工期の短縮化を図れる。
本発明の施工法は、従来のコンクリート構造物施工の作
業内容や手順と実質的に同様であるから、容易かつ円滑
に施工できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を建築物に適用した
図示の実施の形態について説明すると、図1乃至図8に
おいて6は基盤に一体に敷設した建設用基礎を構成する
基礎コンクリートで、該コンクリート6に複数の基台6
aが突設され、該基台6aにビルやマンション等の建築
物である耐震コンクリート構造物7の柱8が一体に立設
されている。
【0022】柱8の施工は図2のようで、基台6a上に
複数の主鉄筋9が所定位置に配置され、これらの主鉄筋
9は無拘束状態、つまり従来の帯鉄筋で拘束することな
く立設されている。この場合、図3のように主鉄筋9に
帯鉄筋10を粗ピッチに配置し、主鉄筋9を適宜拘束し
てもよく、また主鉄筋9の材質、寸法、配置、数量等
は、柱8に作用する最大荷重および安全率を考慮し、そ
の建築設計基準に基いて決定されている。
【0023】主鉄筋9の外側には型枠11が建て込ま
れ、該枠11の内側に鋼繊維12を所定量混入したコン
クリート13が打設されている。鋼繊維12は、直径は
0.6mmの炭素鋼またはステンレス鋼を30mm(ア
スペクト比50)の長さに切断し、その表面を鋸歯状ま
たは波状に形成して構成され、その混入率は全打設コン
クリート容積の約1.0%に設定されている。
【0024】柱8はコンクリート13の硬化によって作
製され、その状況は図5のようで、鋼繊維12が柱8の
断面の全域に亙って、均一かつランダムな方向に配置さ
れている。図中、14は柱8,8間に掛け渡した各階の
梁と床板である。
【0025】このように構成した耐震コンクリート構造
物は、従来のような免震装置やその取付けを要しないか
ら、その分施工が容易になり、工費が低減されるととも
に、工期が短縮される。
【0026】また、上記免震装置の省略によって、コン
クリート構造物直下に設ける従来の地下ピットが不要に
なり、その分工費が低減され工期が短縮されるととも
に、コンクリート構造物の周辺に、該構造物の最大水平
変位を当接により規制する従来のクリアランスを要しな
いから、その分の建設用地が不要になり、それだけ工
低減する。
【0027】次に、耐震コンクリート構造物を施工する
場合は、造成した土地にコンクリートを打設して基礎コ
ンクリート6を敷設し、該コンクリート6に柱8の基礎
となる基台6aを成形し、該基台6aに複数の主鉄筋9
を所定間隔に配置し、これらを無拘束状態、つまり従来
の帯鉄筋で拘束することなく組み立てる。
【0028】この場合、必要に応じて少量の帯鉄筋10
を使用し、主鉄筋9の所定位置を拘束してもよく、その
ようにすることで主鉄筋9の動揺と、占有スペースの広
がりを防止し得るとともに、柱8に作用する剪断力を帯
鉄筋10に負担させ、その剪断強度を強化することがで
きる。
【0029】このように本発明は、従来多用されていた
帯鉄筋10を廃し、若しくはその使用量を大幅に低減
し、帯鉄筋10の製作とその煩雑な配筋作業から解消さ
れ、施工の迅速化と工費の低減を図れるとともに、コン
クリートの流動性を向上してジャンカの発生を防止し、
これを緻密かつ確実に打設できる。したがって、コンク
ートの所期の強度を得られ、またコンクリート表面が平
滑になって、凹凸や空洞の補修の煩雑から解消される。
【0030】こうして主鉄筋9の組み立て後、それらの
外側位置に型枠11を建て込み、該型枠11の内側にコ
ンクリート13を打設する。コンクリート13には所定
量の鋼繊維12が混入され、その混入率は全打設コンク
リート容積の約1.0%に設定され、これがコンクリー
ト13と一緒に投入されて、型枠11内を移動し填充す
る。
【0031】この場合、型枠11内には複数の主鉄筋9
だけが配置され、またはこれに少量の帯鉄筋10が配置
されているから、主鉄筋9に多数の帯鉄筋10を配置す
る従来の施工法に比べて、コンクリート13の回り込み
や流動性が良く、型枠11内を緻密かつ確実に填充す
る。したがって、ジャンカの発生が防止され、所定のコ
ンクリート強度を得られるとともに、コンクリート面が
平滑に形成されて、それらの補修の手間を省ける。
【0032】コンクリート13の硬化後、型枠11を取
外し、その表面を適宜仕上げれば、柱8の一定高さの構
築作業が終了し、また柱8の構築と同時または後に梁と
床板14を形成する。この後、柱8の同位置に上階の柱
8を上記要領で継ぎ足し、同様に梁と床板14を形成し
て、耐震コンクリート構造物を施工する。
【0033】このように本発明の耐震コンクリート構造
物の施工は、従来のコンクリート構造物の施工と実質的
に同一であり、作業内容や手順も従来と特別変りないか
ら、容易かつ円滑に施工できる。こうして構築した柱8
の横断面は図5のようで、鋼繊維12が柱8の全域に亙
って、均一かつランダムに分散配置されている。
【0034】次に、こうして構築した柱8について、そ
の剪断耐力を調べるため、出願人はこれと同質の供試体
を作成して実験した。この剪断耐力実験は、上記供試体
を垂直に保持し、その上端部に一定の軸圧縮応力を作用
し、その上部に水平荷重、つまり剪断荷重を交番して作
用させ、該荷重は主鉄筋2の降伏荷重、180kN以上
に設定される。そして、柱8の変位を漸次降伏荷重時の
整数倍に増加して、柱7の変位と水平荷重との関係を求
め、一方、水平荷重が降伏荷重の80%以下になるか、
または前記圧縮荷重を保持できなくなった時点で、実験
を終了することとした。
【0035】そこで、この実験において、先ず前記降伏
荷重相当の水平荷重を上記供試体に負荷させると、供試
体表面の数箇所に約0.1mm程度のひび割れが軸方向
と略直角方向に発生し、これらは供試体の上下位置に斜
状に分散していて、これらが水平荷重の増加に伴って剪
断方向、つまり供試体の軸方向と略45°に次第に成長
し、その割れ幅を広げるとともに、供試体の内部に徐々
に進行する。
【0036】この場合、上記ひび割れが連通しても、主
鉄筋9と鋼繊維12とが健全に介在している間は、これ
らが前記荷重を保持し、この後主鉄筋9が自身の曲げ耐
力に抗し破断したところで、供試体がその軸方向と直角
方向の切断面に沿って曲げ破壊する。したがって、この
場合の破壊形態は曲げ破壊先行型となり、この破壊に至
るまでに主鉄筋9と鋼繊維12とが剪断エネルギーを吸
収して持ち堪え、破壊の速度を抑制する。
【0037】図6は上記実験結果を示すもので、主鉄筋
9の降伏後、荷重があまり増加しないにも拘らず変位が
増加し、したがってエネルギーの吸収能力が大きく、そ
の靱性および靱性率(荷重ー変位曲線と横軸とで囲まれ
る面積の大きさ)が大きいことを示唆している。実験結
果では、主鉄筋9の降伏変位の約13倍で、降伏水平荷
重の80%を下回ることはなく、靱性率は13以上期待
できることが判明した。
【0038】更に、同様な実験をプレーンコンクリート
で行なったところ、図7の結果を得た。この実験では、
主鉄筋9が降伏変位に達した後、早い段階で剪断力によ
るものと推定される斜めひび割れが供試体に発生し、こ
れが成長して水平荷重が急速に失われていった。
【0039】そこで、上記構造物を構築後に例えば大地
震が発生し、柱8が水平方向に剪断力を受けた場合、主
鉄筋9と鋼繊維12とが剪断力と曲げに対抗し、柱8の
ひび割れを防止するとともに、ひび割れの分散を促し
て、柱8の変形と破壊を抑制する。
【0040】また、鋼繊維12の混入によって柱8の靱
性が向上し、地震による衝撃ないし剪断荷重を吸収し
て、柱8の変形と破壊速度を抑制する。そして、地震の
衝撃および振幅が繰り返し加わることにより、ひび割れ
が分散して発生し始め、これが成長して開口幅が増加
し、遂に主鉄筋9が降伏して曲げ破壊する。
【0041】この場合、ひび割れが成長して柱8が曲げ
破壊するまでの間、鋼繊維12と主鉄筋9が地震の衝
撃、振動に堪え、主鉄筋9が降伏し破断したところで、
柱8が曲げ破壊する。しかも、ひび割れ面では鋼繊維1
2によって引張応力が伝達されるため、コンクリート1
3自体の剪断耐力が向上し、曲げ破壊先行型の破壊形態
を促して、耐震強度を増進する。
【0042】また、本発明は、帯鉄筋の代わりに鋼繊維
12をコンクリート13に分散配置し、該繊維12と主
鉄筋9とによって、構造物に作用する剪断力と曲げに抗
するようにしたから、構造物の靱性率が飛躍的に向上
し、十分な耐震強度を有するコンクリート構造物を得ら
れる。
【0043】図8は前記構築した柱8について、その耐
震強度を調べるために行なった交番載荷実験結果を示し
ている。この実験は、前記柱8と同質の供試体(断面積
80cm×80cm、長さ250cm)を作成し、その
上端に交番荷重を水平に負荷して、その水平変位を逐次
測定したものである。
【0044】この実験において、鋼繊維を混入しない従
来の鉄筋入りのコンクリート構造物は、±約70mmの
交番変位に堪えられ、その靱性率は約4であった。ま
た、上記従来品に鉄板を巻き付けた補強品は、±約15
0mmの交番変位に堪えられ、その靱性率は約18であ
った。これに対し、本発明は±約180mmの交番変位
に堪えられ、その靱性率は最大22であり、何れの数値
も前記二者を上回っていた。
【0045】このように、本発明は従来品に比べて非常
に大きな交番変位に堪えられ、その靱性率も大きいこと
が確認された。このことは、免震装置と同様に地震エネ
ルギーの吸収に優れていることが推測される。
【0046】また、本発明は、柱8を中心としたコンク
リート構造物7自体の靱性によって、地震エネルギーを
吸収するものであるから、従来のような特別の免震装置
を要しない。したがって、免震装置のような上載荷重や
衝撃荷重の制限がなく、耐震構造物設計の自由度を得ら
れ、塔状比が大きく引き抜き力が作用する免震構造物の
適用が困難な構造物や、固有周期が長い建物、電車の通
行によって衝撃が掛かる鉄道高架橋等へ、本発明を適用
し得る。
【0047】しかも、免震装置のような定期的なメイン
テナンスやその設置作業、および設置のための地下ピッ
トや、免震構造物の水平変位を許容するクリアランスの
確保を要せず、施工の容易化と工費の低減を図れるとと
もに、建設用地確保の容易化を促せる。
【0048】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明は、柱の内
部に主鉄筋を無拘束または部分的に拘束して配置したか
ら、従来の帯鉄筋の使用を廃止し、若しくは使用量を大
幅に低減して、帯鉄筋の製作および配筋作業を手間を解
消し、施工の容易化と工期の短縮化並びに工費の低減を
図ることができるとともに、コンクリート打設時のコン
クリートの流動性を向上し、ジャンカの無い緻密なコン
クリート構造物を得られ、所期のコンクリート強度を得
られるとともに、平滑なコンクリート面を得られ、打設
後の補修の手間を解消することができる。
【0049】また、柱の内部に鋼繊維を均一に分散配置
したから、柱自体の曲げ強度と靭性が向上し、これによ
って地震エネルギーを吸収させることで、コンクリート
構造物の震性能を飛躍的に向上することができ、従来
の鉄筋コンクリート構造に免震装置を適用した構造物と
同等の性能が得られ、同種目的の従来の免震装置の使用
を廃止することができる。
【0050】したがって、免震装置のような上載荷重や
衝撃荷重の制限がなく、耐震構造物設計の自由度を得ら
れ、塔状比が大きく引き抜き力が作用する免震構造物の
適用が困難な構造物や、固有周期が長い建物、電車の通
行によって衝撃が掛かる鉄道高架橋等へ、本発明を適用
することができる。
【0051】しかも、免震装置のような定期的なメイン
テナンスやその設置作業、および設置のための地下ピッ
トや、免震構造物の水平変位を許容するクリアランスの
確保を要せず、施工の容易化と工費の低減を図れるとと
もに、建設用地確保の容易化を促せる効果がある。
【0052】更に、柱の基端部を基礎上に一体に立設
し、柱と基礎とを同動可能にしたから、柱に伝搬する地
震エネルギーを柱ないし構造物自体の靱性によって吸収
し、新規な耐震コンクリート構造物を提供することがで
きる。
【0053】請求項2項の発明は、柱の内部に主鉄筋を
無拘束または部分的に拘束して配置したから、従来の帯
鉄筋の使用を廃止し、若しくは使用量を大幅に低減し
て、帯鉄筋の製作および配筋作業の手間を解消し、施工
の容易化と工期の短縮化並びに工費の低減を図ることが
できる。
【0054】また、柱の内部に鋼繊維を均一に分散配置
するとともに、前記柱の基端部を基礎上に一体に立設し
たから、柱自体の曲げ強度と靭性が向上し、地震エネル
ギーを柱ないし構造物自体の靱性によって吸収すること
で、コンクリート構造物の震強度が飛躍的に向上し、
従来の免震装置の使用を廃止することができる。
【0055】そして、免震装置の使用廃止により、免震
装置に要する前記地下ピットやクリアランスが不要にな
り、それらの施工を削減することで、工費の低減と工期
の短縮を図ることができる。したがって、本発明の施工
法は従来のコンクリート構造物施工の作業内容や手順と
実質的に同様であるから、容易かつ円滑に施工できる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の要部を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の施工法を順に示す斜視図である。
【図3】本発明の施工法の別の実施形態を示す斜視図
で、主鉄筋を少量の帯鉄筋で拘束した状態を示してい
る。
【図4】本発明により構築されたコンクリート構造物の
状況を示す斜視図である。
【図5】図4のAーA線に沿う断面図である。
【図6】本発明に適用した柱の剪断耐力実験において、
荷重と変位との関係を示す実験図である。
【図7】プレーンコンクリートの剪断耐力実験におい
て、荷重と変位との関係を示す実験図である。
【図8】本発明に適用した柱の交番載荷実験図である。
【図9】従来の耐震コンクリート構造物の要部を示す断
面図である。
【符号の説明】
6 基礎(基礎コンクリート) 7 耐震コンクリート構造物 8 柱 9 主鉄筋 12 鋼繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松 岡 茂 東京都千代田区三崎町2丁目5番3号 鉄 建 建 設 株式会社 内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 1/16 E04C 3/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱の内部に主鉄筋を配置した耐震コンク
    リート構造物において、柱の内部に主鉄筋を無拘束また
    は部分的に拘束して配置し、該柱の内部に鋼繊維を均一
    に分散配置するとともに、前記柱の基端部を基礎上に一
    体に立設し、柱と基礎とを同動可能にしたことを特徴と
    する耐震コンクリート構造物。
  2. 【請求項2】 柱の内部に主鉄筋を配置した耐震コンク
    リート構造物の施工法において、柱の内部に主鉄筋を無
    拘束または部分的に拘束して配置し、該柱の内部に鋼繊
    維を均一に分散配置するとともに、前記柱の基端部を基
    礎上に一体に立設したことを特徴とする耐震コンクリー
    ト構造物の施工法。
JP31956096A 1996-11-29 1996-11-29 耐震コンクリート構造物およびその施工法 Expired - Fee Related JP2885397B2 (ja)

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