JP2884224B2 - 屋内真空排水システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、家庭や会社等で発生す
る排水を一旦、汚水ます槽内へ貯溜し、一定量を越えて
貯溜された場合に、真空で吸引して天井裏の屋内配管を
通じて排水するようにしたシステムに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】最近では、下水管内を真空にし、圧力差
を用いて汚水を収集する画期的な真空排水システムが開
発されている。この真空排水システムは、重力を利用し
た自然流下方式でないため、排水勾配が不要であり、し
かも下水管を深く埋設する必要がなく、工事を最小限に
することが可能で、細い路地や曲がりくねった路地等の
掘削工事の難しい地域にも対応可能である等の多くの利
点を有している。

【０００３】更に、従来にあっては、キッチン，トイ
レ，浴室やビル等からの生活排水及び雑排水等を自然流
下方式で、汚水ます槽へ集合させ、これを吸い上げて天
井裏へ敷設した真空式の屋内配管を通じて排水する屋内
真空排水システムが開発されている。

【０００４】図２及び図３は、いずれも従来の屋内真空
排水システムを示すものである。図２の従来例は、真空
弁１及びコントローラ２が汚水ます槽３内に設けられた
ものであり、図３に示す従来例は、真空弁１及びコント
ローラ２が天井裏へ設けられたものである。基本的な動
作態様は、同じである。これらの屋内真空排水システム
は、生活排水及び雑排水等を自然流下方式で、汚水ます
槽３へ集合している。そして、この汚水ます槽３内の汚
水の量が所定量を越えると、屋内配管４へ連通する吸い
込み管５の途中に設けた真空弁１を開動作させ、吸い込
み管５の流入口６を屋内配管４へ連通させている。

【０００５】真空弁１の開動作は、汚水ます槽３内の水
位をダイヤフラム式の水位検知弁を備えたコントローラ
２で検知することで行っている。流入汚水が所定量を越
えると、水位検知弁を備えたコントローラ２が開動作
し、真空弁１の後部室を真空式の屋内配管４へ連通さ
せ、この屋内配管４の負圧によって真空弁１を開動作さ
せている。これにより、汚水ます槽３の内部空間が屋内
配管４へ連通するようになり、汚水ます槽３内の汚水
は、屋内配管４を通じて汚水処理槽（図示せず）等へ真
空搬送され、所定の汚水処理が行われる。

【０００６】そして、この真空搬送により、汚水ます槽
３内の汚水の量が減少し、所定量以下になると、今度は
水位検知弁を備えたコントローラ２が閉動作し、真空弁
１を閉に復帰させるようになる。そのため、吸い込み管
５と屋内配管４との連通が遮断され、汚水ます槽３から
の汚水の真空搬送が停止する。然る後は、汚水ます槽３
内へ汚水が次第に貯溜されるようになる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、図２に示す
従来の屋内真空排水システムでは、真空弁１が吸い込み
管５の流入口６の近傍に配設されているため、汚水の真
空搬送が停止したときに、吸い込み管５の垂直配管部分
に汚水が逆流して溜まり、これが真空弁１の背面側に作
用して真空弁１の開動作に支障を来すという問題があっ
た。つまり、真空弁１の誤動作の原因となる欠点があっ
た。

【０００８】また図３に示す従来例では、汚水ます槽３
の水位を検知するコントローラ２が天井裏に配設されて
いるため、汚水ます槽３の圧力検知部で検知した水圧の
変動は導管７を通じてコントローラ２へ伝達しなければ
ならない。そのため、床と天井裏との間で信号を伝達す
る導管７が必要以上に長くなり、圧力損失が大きくなる
と共に、接続部等からの僅かの圧力のリークがあっても
正確な水位を検知することができず、やはり真空弁１の
誤動作の原因となっていた。これは汚水ます槽３内の水
位の変動による水圧の変動が、わずか数ｍｍＡｑと小さ
く、僅かの圧力損失でも大きな誤差となるからである。

【０００９】更に、この種の真空排水システムでは、通
常、汚水と空気とを混ぜて比重を下げた状態で搬送し、
汚水を吸い上げることのできる高さを汚水のみの場合よ
りも高くなるようにしている。ところで、図２及び図３
に示すいずれの従来例の場合も、汚水ます槽３から汚水
を吸引しているのみであり、空気の混入は汚水が流入口
６よりも低くなった状態、すなわち、汚水の吸引が終了
した後でないと行われなかった。そのため、風呂や連続
して排出されるキッチン流しの排出水等が汚水ます槽３
内へ流れ込んで来る場合は、空気不足となり、垂直に吸
い上げる距離が減少し、天井裏まで吸い上げることがで
きないことがあった。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題
に鑑みてこれを改良除去したものであって、真空弁の正
確な動作を保証することができ、しかも確実に空気を混
入させて高く吸い上げることのできる屋内真空排水シス
テムを提供せんとするものである。

【００１１】而して、前記課題を解決するために本発明
が採用した請求項１の手段は、天井裏に敷設された真空
式屋内配管に連通接続された吸い込み管で、汚水ます槽
の汚水を真空吸引するシステムにおいて、真空弁を天井
裏の吸い込み管と屋内配管との間に配設すると共に、該
真空弁を制御するコントローラを汚水ます槽内へ配設
し、吸い込み管の吸水口近傍に吸気管を連通接続したこ
とを特徴とする屋内真空排水システムである。

【００１２】また本発明が採用した請求項２の手段は、
吸気管の吸気口は天井裏に開口していることを特徴とす
る請求項１に記載の屋内真空排水システムである。

【００１３】

【作用】本発明の請求項１に係る手段にあっては、真空
弁が天井裏へ配設され、コントローラは汚水ます槽内へ
配設されている。そのため、コントローラは、汚水ます
槽内の水位の変動を直接検知することができ、導管等に
よる圧力損失はないので正確な検知が可能である。

【００１４】また請求項１の手段にあっては、吸気管を
吸い込み管の吸水口近傍に連通接続しているので、汚水
の真空吸引と同時に汚水の中へ空気を確実に混入させる
ことができる。そのため、真空搬送物の比重が下がり、
吸引できる距離を高くすることが可能である。

【００１５】更に、請求項２の手段にあっては、吸気管
の吸気口を天井裏へ開口させているので、汚水の真空搬
送に伴って空気が混入するときの騒音を減少させること
が可能であり、また臭気が室内へ充満するようなことも
ない。

【００１６】

【実施例】以下に、本発明の構成を図面に示す実施例に
基づいて説明すると次の通りである。なお、従来の場合
と同一符号は同一部材である。図１は本発明の一実施例
に係る屋内真空排水システムの全体概略図である。同図
に示すように、この実施例にあっては、キッチン，トイ
レ，浴室やビル等からの生活排水及び雑排水等を自然流
下方式で、汚水ます槽３内へ集合するようにしている。
そして、天井裏へ配設した真空式の屋内配管４と汚水ま
す槽３内とを吸い込み管５で連通接続し、天井裏におけ
る吸い込み管５と屋内配管４との間に真空弁１を設けて
いる。

【００１７】また汚水ます槽３内にコントローラ２を配
設し、このコントローラ２と天井裏の屋内配管４とを真
空導管８で連通接続すると共に、コントローラ２と天井
裏の真空弁１とを信号管９で連通接続している。更に、
吸い込み管５の吸水口６の近傍には、吸気管１０を連通
接続しており、その吸気口１１を天井裏へ開口させてい
る。吸気口１１を天井裏へ開口させた理由は、空気が混
入するときの音を室内へ伝達させないようにするため
と、臭気が室内へ充満しないようにするためである。な
お、吸気口１１は、屋根の外へ導出し、雨水等が進入し
ないように傘を被せることも可能である。

【００１８】而して、キッチン，トイレ等からの生活排
水及び雑排水等は、自然流下方式で汚水ます槽３内へ集
合する。そして、この汚水ます槽３内の汚水の量が所定
量を越えると、その水位の変動による水圧を検知してコ
ントローラ２が開動作する。そのため、真空導管８及び
信号管９を通じて屋内配管４内の真空圧が真空弁１の背
面側へ作用し、真空弁１を開にする。

【００１９】これにより、汚水ます槽３の内部空間が屋
内配管４へ連通するようになり、汚水ます槽３内の汚水
は、吸気管１０から吸引される空気と共に、気液が混合
した状態で屋内配管４を通じて汚水処理槽（図示せす）
等へ真空搬送され、所定の汚水処理が行われる。吸気管
１０を吸い込み管５の吸水口６の近傍に連通接続するこ
とで、汚水の吸い込みと同時に且つ確実に空気を混入さ
せることが可能である。そのため、汚水だけを吸い込む
従来の場合よりも搬出し得る汚水の高さを飛躍的に高く
することが可能である。

【００２０】また真空弁１を天井裏へ配設し、コントロ
ーラ２を汚水ます槽３内へ配設することにより、汚水ま
す槽３内の水位の変動をコントローラ２で直接検知する
ことができ、正確な検知が可能である。それに加えて、
コントローラ２が開動作すると、屋内配管４内の真空圧
を利用して汚水ます槽３のコントローラ２から真空弁１
へこれを開動作させるための信号を送ることができ、信
号圧として屋内配管４内の真空圧を利用することができ
る。この真空圧は、−３ｍＡｑ〜−５ｍＡｑもあり、図
３に示す従来の導管７に作用する信号圧としての数ｍｍ
Ａｑの水圧よりも非常に大きく、真空弁１の確実な動作
を保証することが可能である。

【００２１】そして、この真空搬送により、汚水ます槽
３内の汚水の量が減少し、所定量以下になると、今度は
水位検知弁を備えたコントローラ２が閉動作し、真空弁
１を閉に復帰させるようになる。そのため、吸い込み管
５と屋内配管４との連通が遮断され、汚水ます槽３から
の汚水の真空搬送が停止する。然る後は、汚水ます槽３
内へ汚水が次第に貯溜されるようになる。なお、汚水の
真空搬送が停止した状態で、吸い込み管５に汚水が残っ
ている場合は、汚水ます槽３内へ自然流下により返送さ
れるので、真空弁１に悪影響を与える等のことはない。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項１の
手段にあっては、真空弁を天井裏へ配設し、コントロー
ラを汚水ます槽内へ配設したから、汚水ます槽内の水位
の変動を直接コントローラで検知することができ、正確
な検知が可能である。つまり、コントローラによる真空
弁の正確な動作を保証することが可能である。

【００２３】また請求項１の手段にあっては、吸気管を
吸い込み管の吸水口近傍に連通接続したから、汚水の真
空吸引と同時に汚水の中へ空気を確実に混入させること
ができ、汚水だけを排出する場合よりも比重を下げた状
態で排出でき、吸引できる高さを高くすることが可能で
ある。

【００２４】更に、請求項２の手段にあっては、吸気管
の吸気口を天井裏へ開口させているので、汚水の真空搬
送に伴って空気が混入するときの騒音を減少させること
が可能であり、また臭気が室内へ充満するようなことも
ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る屋内真空排水システム
の全体を示す概略図である。

【図２】従来の屋内真空排水システムの全体を示す概略
図である。

【図３】従来の別の屋内真空排水システムの全体を示す
概略図である。

【符号の説明】

１…真空弁 ２…コントローラ ３…汚水ます槽 ４…真空式の屋内
配管 ５…吸い込み管 ６…吸水口 ８…真空導管 ９…信号管 １０…吸気管 １１…吸気口

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】天井裏に敷設された真空式屋内配管に連通
   接続された吸い込み管で、汚水ます槽の汚水を真空吸引
   するシステムにおいて、真空弁を天井裏の吸い込み管と
   屋内配管との間に配設すると共に、該真空弁を制御する
   コントローラを汚水ます槽内へ配設し、吸い込み管の吸
   水口近傍に吸気管を連通接続したことを特徴とする屋内
   真空排水システム。
2. 【請求項２】吸気管の吸気口は天井裏に開口しているこ
   とを特徴とする請求項１に記載の屋内真空排水システ
   ム。