JP2883198B2 - アルキルビニルエーテルの製造方法 - Google Patents

アルキルビニルエーテルの製造方法

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、改良したアルキルビニルエーテルの製造方
法に関する。アルキルビニルエーテルは、機能性高分子
及び医薬品などの合成原料として用いられ、工業的に有
用な化合物である。
〔従来の技術〕 従来、アルキルビニルエーテルの製造方法は、アルカ
リ触媒存在下、アルコールをアセチレンと高温高圧下で
反応させる、レッペ反応として古くから知られている。
同法は原料アルコール及び生成アルキルビニルエーテル
の沸点に比べて反応温度が高い場合、反応液中のそれら
の分圧が増加する。そのため反応速度を維持するには、
10〜20kg/cm2程度の高圧条件でアセチレンを供給する必
要がある。しかし、アセチレンは、2kg/cm2Gを超える
圧力下では非常に不安定であり、分解爆発を起こし易
く、特に高圧ではその可能性が高い。この危険性を回避
するために種々の改良が加えられ、低圧下で実施される
方法が提案されている。
例えば、グライム系溶剤中、カリウムアルコラート触
媒存在下、低圧でアセチレンと反応させる方法(英国特
許616,197号)などが知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来技術の英国特許616,197号の方法ではグライム系
溶剤が使用されている。グライム系溶剤は本反応には適
しているが、反応初期において過剰のアルコールを除去
した後、アセチレンを供給し、反応液の色変化を見なが
ら活性触媒の生成を確認するなど、触媒調製が非常に煩
雑である。また、運転中においても、アルコールがわず
かでも過剰に供給されると、触媒活性が著しく低下する
ため、アルコール及びアセチレンの供給を厳重に管理す
る必要がある。さらにメチルビニルエーテルの実施例が
記載されていないなど、低沸点のアルキルビニルエーテ
ル製造に対する工業的方法としては多くの問題を有して
る。これら従来技術の問題点は、仕込み組成が十分に検
討されてないことに起因しているものである。特に実施
例の中に見られるように反応液中のアルコラート触媒の
濃度が極めて薄いこと、かつ、アルコラート触媒とアル
コールの重量比が定量的に扱われていないことなどが、
低収率かつ不安定な運転状況の原因になっている。
本発明者らは、アセチレンとアルコールからアルキル
ビニルエーテルを製造する方法において、反応特性を研
究し、かつ従来技術の改良を行い、反応溶剤の探索及び
仕込組成を鋭意検討した結果、特別な触媒調製すること
なく、しかも簡便な運転管理で、アルキルビニルエーテ
ルを高収率かつ安定に製造することが可能となり、本発
明を完成するに至った。また、本発明の方法によれば、
反応温度は130℃以下であり、従来に比べて低温条件で
実施でき、しかも反応速度も上昇するという予期せぬ効
果も引き出すことができた。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、本発明は溶剤とアルカリ金属アルコラート
触媒とアルコールを含む系にアセチレンとアルコールを
供給しながら、アルキルビニルエーテルを製造するに際
し、上記反応液中のアルカリ金属アルコラート触媒の濃
度が10%以上、かつアルコールに対するアルカリ金属ア
ルコラート触媒の重量比が0.75〜3.0であることを特徴
とするアルキルビニルエーテルの製造方法である。
以下、さらに本発明について詳しく説明する。
本発明に用いられるアルカリ金属アルコラート触媒
は、カリウムメチラート(KOMe)、ルビジウムメチラー
ト(RbOMe),セシウムメチラート(CsOMe)、カリウム
エチラート(KOEt)、ルビジウムエチラート(RbOE
t)、セシウムエチラート(CsOEt)から選ばれるもの、
あるいはその混合物である。
本発明に用いられる溶剤は、蒸気分圧を低くするため
に、その沸点が130℃以上であることが好ましく、かつ
アルカリ条件下で安定である必要がある。またアセチレ
ンの溶剤に対する溶解度は本発明において重要である。
すなわち、反応に用いられる溶剤は、圧力1.7kg/cm2
及び温度130℃において溶剤に対して1/2体積以上のアセ
チレンを溶解することが好ましく、グライム系が適して
いる。具体的にはRO(CH2CH2O)nR(n=1または2以
上、Rは炭素数1以上のアルキル基)から選ばれるも
の、あるいはその混合物である。
例えば、エチレングリコールジエチルエーテル、エチ
レングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコー
ルジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエ
チレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリ
コールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメ
チルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテ
ル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリ
エチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレン
グリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコー
ルジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジプロ
ピルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエー
テルなどが挙げられる。
反応液中の各成分の仕込組成は、本反応において重要
な要素である。反応液中のアルカリ金属アルコラート触
媒の濃度は10%以上、好ましくは15%以上である。10%
未満では、従来技術に見られるように、反応中のアルコ
ール濃度の僅かな変化により、反応速度が著しく変化す
る。
反応液中のアルコールに対する触媒の重量比は、0.75
〜3.0好ましくは1.0〜2.0である。これより低いと反応
速度は非常に小さく、また、これを越えると系内の反応
液中のアルコール濃度が低くなるため、運転管理及び安
定した操業が困難となる。本反応では副生物として蟻
酸、酢酸等が生成する。これらのカルボン酸生成は触媒
活性を低下させ、反応速度および触媒寿命の減少の要因
となる。従って、副生物生成の抑制は、本反応の工業化
において重要な要素である。本発明者らは、副生物の生
成についても鋭意検討した結果、反応温度が副生物生成
に大きく影響することが判明した。
すなわち、反応温度が135℃を越えると、急激に副生
物生成が増加することが明かとなった。従って、この温
度以下に最適温度が設定されるような反応組成を確立す
る必要がある。本発明の仕込組成によれば、反応温度は
110〜130℃が好ましい。これよりも低いと反応速度は小
さく、また、これより高くても反応速度の大きな上昇は
なく、さらに、触媒寿命の減少の要因となる。
反応圧力は、0.7kg/cm2G以上が望ましい。その上限に
ついては、特に制限されなく圧力が高ければ高いほど反
応速度は大きくなるが、あまり高くするとアセチレンの
分解爆発が起こり易く危険であるため、2kg/cm2Gまでが
好ましく、特に1.5〜1.9kg/cm2Gが好適である。また0.7
kg/cm2G未満では反応速度が小さい。
尚、本反応に使用されるアセチレンは窒素、ヘリウム
などの不活性気体で希釈されても特に問題はない。
また、本発明に用いられるアルコールは制限されない
が、特に低沸点のアルキルビニルエーテルの製造におい
て、その効果を充分に生かすことができる。例えば、ブ
タノール、プロパノール、エタノール、メタノール等が
挙げられる。
本発明は、例えば以下に示す方法で実施される。攪拌
機、アルコール及びアセチレンの供給管、留出管を備え
たオートクレーブに溶剤、触媒およびアルコールを仕込
む。所定温度に昇温した後、所定圧力になるようにアセ
チレンを供給し反応を開始する。以後は、ほぼ一定圧力
になるようにアセチレンを、また、反応液をおよそ一定
量に保つようにアルコールを供給するだけの、容易な運
転で反応を実施することができる。請求範囲内であれば
多少組成変化があっても反応速度はほぼ一定であり、従
来技術で必須とされていた特別な触媒調製及び、アルコ
ール及びアセチレン供給の厳重な管理を必要としない。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこ
れら実施例に限定されない。
実施例1 反応は第1図に示す装置を用いて行った。すなわち30
0mlのステンレス製オートクレーブにKOMe55g、メタノー
ル35g、ジエチレングリコールジメチルエーテル140gを
仕込み、撹拌しながら125℃に昇温した。アセチレンを
供給し、50ml/minの速度で排ガスを放出しながら、圧力
を1.7kg/cm2Gに維持すると反応が進行する。生成メチル
ビニルエーテル、未反応メタノールが留出するため、反
応液の容積をおよそ初期仕込に維持するようにメタノー
ルを供給し、25時間反応を行った。
メタノールが579g供給され、アセチレンが268l消費さ
れた。その結果、876gの留出液が得られ、ガスクロマト
グラフ分析によりメチルビニルエーテルが、640g含まれ
ていることが確認された。尚、この反応は200時間連続
して行っても、反応速度の低下は全く認められなかっ
た。
実施例2〜3 実施例1と同様の反応装置を用い、仕込みアルコール
量を変えて同様の方法で実施し、留出液を分析した。結
果を表−1に示す。
実施例1〜3は、反応液中のカリウムメチラート触媒
の濃度が10%以上の24%かつメタノールに対するカリウ
ムメチラート触媒の重量比が0.75〜2.5であるそれぞれ
1.57、1.00、2.00で溶剤、反応温度、反応圧力を一定に
して実施したものである。表−1に示すようにアルコー
ル量が、ばらついてもメチルビニルエーテルが、高収率
で安定に得られていることがわかる。これより、アルコ
ール及びアセチレンの供給を厳重に管理する必要がな
い。
比較例1〜3 実施例1と同様の反応装置を用い、仕込みアルコール
量を変えて同様の方法で実施した。留出液を分析した。
結果を表−1に示す。
比較例1〜3は、反応液中のカリウムメチラート触媒
の濃度が10%以下の8%かつメタノールに対するカリウ
ムメチラート触媒の重量比がそれぞれ2.00、1.00、0.67
で溶剤、反応温度、反応圧力を一定にして実施したもの
である。表−1に示すようにアルコール量が、ばらつく
とメチルビニルエーテルが、高収率で安定に得られてい
ないことがわる。すなわち、収量がばらついている。こ
れより、アルコール及びアセチレンの供給を厳重に管理
する必要がある。
実施例4〜14 実施例1と同様の反応装置を用い溶剤、触媒、温度、
圧力など変えて行い、留出液を分析した。結果を表−1
に示す。
表−1に示すようにメチルビニルエーテルが、高収率
で安定に得られていることがわる。これより、アルコー
ル及びアセチレンの供給を厳重に管理する必要がない。
比較例4 実施例1と同様の反応装置を用い、反応液中のカリウ
ムメチラート触媒の濃度が20%かつメタノールに対する
カリウムメチラート触媒の重量比が0.75〜3.0の範囲外
である0.67で実施したものである。結果を表−1に示
す。表−1よりメチルビニルエーテルの収量が低いこと
がわかる。
比較例5 実施例1と同様の反応装置を用い、反応液中のカリウ
ムメチラート触媒の濃度が24%かつメタノールに対する
カリウムメチラート触媒の重量比が0.75〜3.0の範囲外
である3.7で実施したものである。結果を表−1に示
す。表−1よりメチルビニルエーテルの収量はある程度
良いが系内の反応液中のアルコール濃度が低くいため、
運転管理及び安定した操業が困難である。
〔発明の効果〕 以上詳細に説明したように、本発明の製造方法によれ
ば保安上有利な圧力条件下で簡易な設備かつ容易な運転
でアルキルビニルエーテルを工業的規模で製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例に用いた反応装置の概略図で
ある。 1……メタノール供給管 2……アセチレン供給管 3……オートクレーブ 4……アルキルビニルエーテル留出管 5……コンデンサー 6……パージガス 7……アルキルビニルエーテル貯槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 博明 新潟県西頚城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内 (72)発明者 八木 勇治 新潟県西頚城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内 審査官 藤森 知郎 (56)参考文献 特開 平4−95040(JP,A) 英国公開616197(GB,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 41/08 C07C 43/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶剤とアルカリ金属アルコラート触媒とア
    ルコールを含む系にアセチレンとアルコールを供給しな
    がら、アルキルビニルエーテルを製造するに際し、上記
    反応液中のアルカリ金属アルコラート触媒の濃度が10%
    以上、かつアルコールに対するアルカリ金属アルコラー
    ト触媒の重量比が0.75〜3.0であることを特徴とするア
    ルキルビニルエーテルの製造方法。
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