JP2882855B2 - 回転粘度計 - Google Patents

回転粘度計

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、試料に回転トルクを与える機構と、試料の
粘性により作用する力を検出する手段を有する回転粘度
計に関し、さらに詳細には、試料を収容する容器、及
び、その容器内の試料に接触する回転部材のうちの一方
の部材にモータを連動させると共に、前記モータの定速
回転に伴って他方の部材にトルクとして作用する粘性力
を検出する手段を前記他方の部材に付設した回転粘度計
に関する。
〔従来の技術〕
従来、この種回転粘度計においてその検出手段を形成
するのに、例えば回転部材に連結される付帯部材として
の回動軸に、トルク感知機構として巻バネなどの弾性体
を付設してその回動角を測定したり、この軸に歪ゲージ
等を張り付けてこのゲージに生じる歪を検出するように
して検出手段を構成していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記従来タイプの回転粘度計には下記のよう
な欠点があった。
即ち、巻バネをトルク感知機構として採用する場合
は、弾性体である巻バネが経年変化をするために、これ
に対応して巻バネの取換え、及びそれに伴う調整を行う
必要があった。こういった場合に、回転粘度計の検定を
必要とするのであるが、この検定は、恒温室等で他の粘
度計で粘度が既知の標準試料を使用して行う必要があっ
た。さらにこのように巻バネを使用する場合、特に高温
度の試料を測定する場合に巻バネの弾性特性にバラツキ
が生じやすく、機器誤差が割合に大きくなると共に、測
定レンジにも自ずとこの巻バネ起因の限界があった。
一方、歪ゲージを回動軸に取り付けて測定を行う場合
は、軸の種類、ゲージの選択に注意を払う必要があり、
高精度で高レンジの測定が可能な回転式粘度計を得るに
は設計、製作上かなりの配慮を必要とするものであり、
特に高温度の測定においては、測定部を高温に保つた
め、特別な工夫が必要であり、構造が簡単で、且つ低コ
スト回転粘度計を得ることは事実上不可能であった。さ
らに、この構造においても、標準試料による検定が不可
欠であった。
本発明の目的は上述した従来欠点を解消する点にあ
り、構造が簡単で、機構精度を確保することができ、維
持、調整が容易でありかつ高温度の測定において不都合
を生じない回転粘度計を得ることにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明による回転粘度計の特徴構成は、他方の部材あ
るいはそれらと一体回転するトルク伝達軸(6)及びこ
の軸と同軸に配設される円盤状の連結部(8)を備えた
付帯部材(6)に対して荷重測定器としての電気式天秤
を、前記トルクを前記電気式天秤に張力として伝達する
索状体(9)により連結して前記検出手段(300)を構
成するに、前記索状体(9)を前記円盤状の連結部
(8)の円周部に連結する構成とし、前記円盤状の連結
部(8)を前記トルク伝達軸(6)、前記索状体(9)
に対して、交換、連結自在に構成して、前記円盤状の連
結部(8)の径が変更可能とされていることにあり、そ
の作用、効果は次の通りである。
〔作用〕
つまり、この回転粘度計においては、試料の粘性によ
って他の部材である回転部材、容器のいずれかにトルク
として粘性力が伝わる。そして粘性力はこの中間体とし
ての回転部材、容器あるいはそれらと一体回転する付帯
部材を介して電気式天秤に連結される索状体に伝達され
るのである。ここで、この索状体において、前述の粘性
力は電気式天秤におけるその測定方向の張力として伝達
される。そして本願の回転粘度計においては、この張力
がこの電気式天秤により測定されるのである。即ち、こ
の回転粘度計においては試料から受ける粘性力を直接、
せん断応力のままで測定することが可能となっているの
である。
〔発明の効果〕
従って、本願の回転粘度計においては、検出機構に従
来のような複雑な機構を採用せず、トルクとして伝達さ
れる粘性力をせん断応力のままで直接検出するため以下
のような効果を生じる。
<1>本願の構成においては回転部材、容器、付帯部材
といった粘性力を伝達する中間体に索状体を連結し、さ
らにこの索状体の他端を電気式天秤に連結するという簡
単な機構で粘度計の中心機構が構成されるため、精度誤
差が介入する余地がなく、簡単に精度よく測定を行うこ
とができる。さらに同様の理由から機器の調整、保守も
容易に行うことができる。
<2>試料から受ける粘性力を、中間体を介したのち張
力として検出できるためその絶対値の測定が可能であ
り、さらに計測自体を受け持つ系が荷重測定器となるた
め、従来のように調整にあたり恒温室等で標準試料を使
用して検定・(調整)・をする必要はない。
<3>トルクとして伝達される粘性力の検出において、
中間体の回動が索状体により止められているため、測定
は零位法であり、中間体が運動をすることを必要としな
い。よって、試料の流動状態に外乱を与えることなく測
定をすることが可能である。
さらに荷重測定器として測定レンジの選択が容易で、
且つ広い電気式天秤を採用すると、この天秤の測定レン
ジに対応して、容器、回転部材等の幾何学的条件を変え
ることなく、10の4乗以上の粘度測定域を備えた回転粘
度計を得ることができる。
索状体と連結部の接続構成は、索状体が連結部の外周
部で連結され、また、円盤状の連結部をトルク伝達軸、
索状体に対して、交換、連結自在に構成して、連結部の
径が変更可能とすることにより、測定レンジの変更を可
能とすることができる。
〔実施例〕
本願の実施例を図面に基づいて説明する。第1図
(イ)に本願の回転粘度計の正面図が、(ロ)にその平
面図が示されている。本願の回転粘度計は、同図にも示
すように試料(1)を入れる試料部(100)と、この試
料(1)に浸漬されて、試料(1)から回転部材(2)
が受ける粘性力を計測する計測部(200)から構成され
ている。
以下に夫々の部位について説明する。試料部(100)
は試料(1)が入れられる容器(3)とこの容器(3)
に連結された回転軸(4)と、この回転軸(4)の他端
に取付けられるモータ(5)から構成されている。そし
てこの部位(100)は、従来の回転粘度計と同様にモー
タ(5)の回転により容器(3)内の試料(1)に回動
を与えるためのものである。次に計測部(200)につい
て説明する。この部位(200)は試料(1)に浸漬され
る回転部材(2)にかかる粘性力を検出、測定する部位
である。さて、同図に示すようにこの回転部材(2)に
はトルク伝達軸(6)が連結されており、このトルク伝
達軸(6)の他端側はベアリング(7),(7)で両持
ち状態で支持されている。ここで試料(1)の回動軸と
トルク伝達軸(6)は同心に配設されている。さらに支
持構造を形成するベアリング(7),(7)の中間に、
トルク伝達軸(6)と一体に円盤状の連結部(8)が備
えられている。ここで、トルク伝達軸(6)と連結部
(8)を付帯部材と呼ぶ。
さてこの連結部(8)には索状体としての緊張状態の
糸(9)がその円周部(8a)で連結されている。そして
この糸(9)の一端がロードセル(10)を備えた検出部
(11)に連結されるとともに、他方の端は糸(9)を水
平に保持するように滑車(12)で支持され、その先端に
重錘(13)がぶら下げられている。この構造を採用する
ことにより、前述のように糸(9)に予め適当な張力が
与えられ、糸(9)の緊張状態が維持される。さらに前
述の検出部(11)に設けられたロードセル(10)は、こ
のロードセル(10)の歪を検出する荷重計(14)に接続
してあるのである。
ここでロードセル(10)と荷重計(14)で構成される
測定系を荷重測定器の一種としての電気式天秤と称す
る。さらに計測部(200)において、トルク伝達軸
(6)に連なる系を検出手段(300)と呼ぶ。
本願においては上記のような構造を採用することによ
り、試料(1)の粘性により回転部材(2)に加わる粘
性力がそのまま連結部(8)に伝達される、この連結部
(8)には上述の糸(9)が円盤形状の接線方向にくる
ように連結されており、この糸(8)に試料(1)によ
る粘性力が伝達されることになる。そしてこの力が、ロ
ードセル(10)に掛かることにより測定される。この実
施例においては、トルク伝達軸(6)及びこれに連結さ
れる糸(9)をほぼ剛体に近いものとして取り扱え、エ
ネルギーロスなく粘性力がロードセル(11)に伝達され
るものとすることができる。
よって、実際に試料(1)によって与えられる粘性力
を正確に検出することが可能となっているのである。さ
らに粘性力は測定対象とする試料(グリセリン、機械
油、水等)により、ほぼ10の4〜5乗のオーダで変化す
るが、ロードセル(11)を適当に選択すれはこういった
試料(1)の変化に対応することが簡単に可能となる。
さらに、この回転粘度計においては、電気式天秤の検定
は、標準試料を使用することなく、例えば前述の重錘
(13)を荷重標準物体と置き換えることにより、電気式
天秤を検定しておけばよい構造となっているのである。
さらに、異なった粘性を有する試料に対応するため、
上述の構造において円盤状の連結部(8)をトルク伝達
軸(6)、糸(9)に対して交換、連結自在に構成し、
円盤状の連結部(8)の径を変更可能なものとすること
で測定レンジの変更が可能である。
〔別実施例〕
上記の実施例においては、索状体として糸(9)を使
用する場合を示したが、糸(9)の代わりにピアノ線、
軽量で強度のある棒状の樹脂体を採用することも可能で
ある。
さらに上記の実施例で、トルク伝達軸(6)をモータ
ー(5)により回転し、容器(3)に加わる粘性力を索
状体で伝達し、ロードセルにかかる負荷を測定してもよ
い。
さらに電気式天秤の代わりに一般の荷重測定器を採用
することも可能である。尚、特許請求の範囲の項に図面
との対照を便利にする為に符号を記すが、該記入により
本発明は添付図面の構造に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ),(ロ)は本願の回転粘度系の正面図及び
平面図である。 (1)……試料、(2)……回転部材、(3)……容
器、(5)……モータ、(6)……トルク伝達軸、
(8)……連結部、(9)……糸。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−262039(JP,A) 特開 昭61−284628(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) GO1N 11/14 G01L 3/00 - 3/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料(1)を収容する容器(3)、及び、
    その容器内の試料(1)に接触する回転部材(2)のう
    ちの一方の部材にモータ(5)を連動させるとともに、
    前記モータ(5)の定速回転に伴って他方の部材にトル
    クとして作用する粘性力を検出する手段(300)を前記
    他方の部材に付設した回転粘度計であって、 前記他方の部材あるいはそれらと一体回転するトルク伝
    達軸(6)及びこの軸と同軸に配設される円盤状の連結
    部(8)を備えた付帯部材(6)に対して荷重測定器と
    しての電気式天秤を、前記トルクを前記電気式天秤に張
    力として伝達する索状体(9)により連結して前記検出
    手段(300)を構成するに、前記索状体(9)を前記円
    盤状の連結部(8)の円周部に連結する構成とし、前記
    円盤状の連結部(8)を前記トルク伝達軸(6)、前記
    索状体(9)に対して、交換、連結自在に構成して、前
    記円盤状の連結部(8)の径が変更可能とされている回
    転粘度計。
  2. 【請求項2】前記索状体(9)を緊張状態で維持する付
    勢手段を設けてある請求項1記載の回転粘度計。
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