JP2880236B2 - ダンシル修飾シクロデキストリン - Google Patents

ダンシル修飾シクロデキストリン

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JP2880236B2 JP7106390A JP7106390A JP2880236B2 JP 2880236 B2 JP2880236 B2 JP 2880236B2 JP 7106390 A JP7106390 A JP 7106390A JP 7106390 A JP7106390 A JP 7106390A JP 2880236 B2 JP2880236 B2 JP 2880236B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はダンシル修飾シクロデキストリンに関する。
[従来の技術] 従来、有機化合物の物理化学的検出方法として、紫外
可視分光法、蛍光法、電気化学法などが用いられている
が、いずれも検出対象となる化学物自体が分光学的ある
いは電気化学的な活性を有する必要があった。
一方、シクロデキストリン(以下、CDと称することが
ある)は、ドーナツ形の立体構造を有し、その中心空孔
内に様々なゲスト化合物を取り込んで包接化合物を形成
することが知られている。その用途も、食品、医薬品、
農薬、化粧品、トイレタリー用品、プラスチック製品な
ど広範囲にまたがっている。
しかし、CDはそれ自体が分光学的に不活性であり、更
にゲスト化合物を取り込んで包接化合物を形成しても光
学的吸収や蛍光発生などの点で変化を示さず、化合物検
出に適用できるものではなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者は種々検討の結果、本来的には光学的吸収や
蛍光性を示さないCDを化学的に修飾することにより、CD
に蛍光活性を付与すると共に、ゲスト化合物の共存下で
蛍光強度が変化する性質を付与することができることを
見いだした。従って、本発明の目的は、ゲスト化合物の
存在、形状や大きさを認識することができるセンサ化合
物として利用可能な新規の蛍光性シクロデキストリンを
提供することにある。
[課題を解決するための手段] 前記の目的は、本発明により、 一般式(I) (式中、nは5〜8の整数であり、mは0または1であ
り、そしてRは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル
基、または置換された炭素数1〜4の低級アルキル基で
ある) で表される化合物(以下、ダンシル修飾CDと称すること
がある)によって達成することができる。
前記の一般式(I)において、nは好ましくは6〜7
であり、mは好ましくは1である。
基Rの低級アルキル基は、例えば、メチル基、エチル
基、i−プロピル基、またはi−若しくはs−ブチル基
である。置換された低級アルキル基R上の置換基は、例
えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、
アミノ基、ジアミノメチルアミノ基、メルカプト基、メ
チルチオ基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、イン
ドール基、またはイミダゾール基である。従って、置換
された低級アルキル基Rは、例えば、ヒドロキシメチル
基、ヒドロキシエチル基、カルボキシメチル基、カルボ
キシエチル基、カルバモイルメチル基、カルバモイルエ
チル基、アミノブチル基、ジアミノメチルアミノプロピ
ル基、メルカプトメチル基、メチルチオエチル基、フェ
ニルメチル基、ヒドロキシフェニルメチル基、インドー
ルメチル基、またはイミダゾールメチル基である。好ま
しい基Rは、水素原子である。
本発明のダンシル修飾CDは、例えば、CDとダンシルア
ミノ酸またはダンシルとから調製することができる。CD
は、グルコース単位がα−1,4−結合でn+1個結合し
た環状オリゴ糖である。このCDをダンシルアミノ酸また
はダンシルで修飾するには、まずCDの6−位ヒドロキシ
基の1個をアミノ基で置換し、続いてそのアミノ基とダ
ンシルアミノ酸のカルボキシル基またはダンシルの反応
性誘導体とを結合させればよい。
CDの6−位ヒドロキシ基のアミノ化は、例えば、塩基
性有機溶媒(例えば、ピリジン)中で、CDを適当なスル
ホニル化剤(例えば、p−トルエンスルホニルクロライ
ド、2−ナフタレンスルホニルクロライド)でスルホニ
ル化してからアジ化(例えば、アジ化ナトリウムで)
し、そして還元触媒(例えば、活性炭上のパラジウム)
の存在下で還元すればよい。
CDに導入されたアミノ基とダンシルアミノ酸のカルボ
キシル基との反応は、非プロトン性溶媒(例えば、ジメ
チルホルムアミド、またはジメチルスルホキシド)中
で、低温(例えば、0℃〜−20℃)条件下で実施するの
が好ましい。また、アミノ化CDとダンシル反応性誘導体
(例えば、ハロゲン化ダンシル、特にダンシルクロリ
ド)との反応は、例えば、アミノ化CDの炭酸水素ナトリ
ウム水溶液にダンシルクロリドのジメチルホルムアミド
溶液を加えることによって行うことができる。
本発明のダンシル修飾CDは、例えば、水単独または水
と少量(5〜15%)の有機溶媒、例えばグリコール類
(例えば、エチレングリコール)、非プロトン性極性溶
媒(例えばジメチルスルホキシド)との混合液中で、53
5〜540nmにピークを有する蛍光を示す。この系中にゲス
ト化合物が共存すると、このピーク強度が変化、即ち、
低下または増加する。このピーク強度の変化は、ゲスト
化合物の濃度、形状または大きさなどに依存する。
本発明のダンシル修飾CDは、CDが本来取り込むことの
できる任意の化合物をゲスト化合物として取り込み、包
接化合物を形成することができる。本発明のダンシル修
飾CDにおけるゲスト化合物は、光学的に不活性な化合物
であることが好ましい。このようなゲスト化合物として
は、ステロイド、特には分子量約270〜約720のステロイ
ド、例えば天然ステロイド、例えばステリン、ビタミン
D、胆汁酸、男性ホルモン、女性ホルモン、副ジン皮質
ホルモン、植物毒、ガマ毒、ステロイドアルカロイド、
トリメチルステロイドまたは合成ステロイド;テルペ
ン、特には分子量136〜156のモノテルペン、例えば、各
種のテルペン炭化水素、アルコール、アルデヒドまたは
ケトン;アルカロイド、特には分子量約320〜約420のア
ルカロイド、例えば、キニーネ、パパペリンまたはヨヒ
ンピン;またはアミノ酸、特には分子量約110〜約210の
アミノ酸、例えば、トリプトファン、フェニルアラニ
ン、チロシン、ロイシンまたはバリンを挙げることがで
きる。
本発明のダンシル修飾CDを用いて、光学的に不活性な
ゲスト化合物の分析、即ち、検出および定量を行うこと
ができる。分析を実施するには、本発明のダンシル修飾
CDを1×10-9〜1×10-4M(好ましくは1×10-7〜1×1
0-5M)の濃度で含む水溶液または水性有機溶媒に、被検
試料を挿入する。ダンシル修飾CDの濃度が1×10-9Mよ
りも低いと蛍光強度変化の測定が困難であり、1×10-4
Mを越えると、ダンシル修飾CDの会合が起きるので好ま
しくない。水性有機溶媒に用いる有機溶媒としては、非
プロトン溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−
ジメチルホルムアミド)、メチルアルコールまたはエチ
レングリコールなどを挙げることができる。有機溶媒
は、水中に50容量%以下、好ましくは30容量%以下の量
で存在させることができる。有機溶媒の比率が50容量%
を越えると、ゲスト化合物の共存による蛍光のピーク強
度の変化が起こりにくくなるので好ましくない。
ダンシル修飾CD含有液と試料との接触は約60℃以下
(好ましくは5〜40℃)で、撹拌しながら数秒から数分
間行う。両者の接触温度が60℃を越えると、ゲスト化合
物の共存による蛍光のピーク強度の変化が起こりにくく
なるので好ましくない。両者の接触pHは、3〜11好まし
くは5〜11である。pHが3より低いとダンシル修飾CDが
分解するので好ましくなく、11を越えるとCD部位で二級
水酸基の解離が起きるので好ましくない。pHの調整に
は、塩酸または水酸化ナトリウムを用いることができ
る。
蛍光強度の測定は、励起波長350〜380nmで、510〜560
nmにおけるピーク強度の変化を観察することによって行
う。
[作用] 次に、本発明のダンシル修飾CDによって、共存するゲ
スト化合物の形状や大きさなどを分析することができる
理由を説明するが、この理由は現段階では推論であり、
本発明はこの理由によって限定されるものではない。
一般に、ダンシル誘導体は水溶液中では弱い蛍光しか
示さないが、酵素やミセルの疎水的環境では強い蛍光を
示す。この事実は、本発明のダンシル修飾CDにおいて、
ダンシル単位がCDの中心空孔内の疎水的環境にある場合
には、ダンシル単位がCD中心空孔外の親水的環境にある
場合と比較して、強い蛍光を発することを示唆するもの
である。
即ち、本発明のダンシル修飾CD上のダンシル残基は、
ゲスト化合物の不在下で疎水的中心空孔内に存在する。
一方、ゲスト化合物が共存すると、そのゲスト化合物を
包接する際に、ダンシル残基が疎水的中心空孔内から空
孔外の親水的環境へ移動する。このダンシル残基が接す
る環境変化に伴って、蛍光強度の大きな低下が起きるも
のと思われる。
また、ゲスト化合物の中には、それが本発明のダンシ
ル修飾CDに包接される際に、蛍光強度を増加させるもの
がある。これは、CDの中心空孔の広さがゲスト化合物と
比較して大きい場合に、ダンシル残基がゲスト化合物に
伴われて中心空孔内に一層密接に取り込まれることによ
るものと思われる。
[実施例] 以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明する
が、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
例1:ダンシルグリシン修飾β−CDの調製 N,N−ジメチルホルムアミド60mlとダンシルグリシン1
gとの混合物を約−10℃に冷却し、その混合物にジシク
ロヘキシルカルボジイミド0.75gを添加し、30分間撹拌
した。次に、6−デオキシ−6−アミノ−β−シクロデ
キストリン1.1gを加え、更に30分間撹拌した。反応液を
室温に戻し、一晩撹拌を続けた。続いて、反応液を濃縮
し、多量のアセトンを加え、得られた沈殿を別した。
沈殿物をアセトンで洗浄してから水を加え、水不溶分を
除き、水可溶分を集めた。この水可溶分を濃縮し、アセ
トンで再び沈殿させ、乾燥してから、更にメチルアルコ
ールで洗浄してメチルアルコール可溶分を除いた。メチ
ルアルコール不溶分を少量の水に溶解し、CM−セファデ
ックスカラム(2.5×40cm)に通した。最初に不純物が
溶出し、その後で目的生成物が溶出した。これを集めて
濃縮し、アセトンで再び沈殿し、目的の標記生成物110m
gを得た。目的生成物の理化学的性質は以下のとおりで
ある。
Rf=0.05(n−ブタノール/エタノール/水=5:4:3) IRスペクトル(KBr):3350,2930,1705,1665,1575,1550,
1413,1365,1330,1232,1155,1080,1030,945,850,795,75
5,705,578(cm-1) NMR(ジメチルスルホキシド−d6)δ: 2.84(6H,s,NMe2), 3.2ー3.75(44H,br,CH2およびCDxH),4.5(6H,m,O
6H),4.85(7H,s,C1H),5.65ー5.9(14H,br,O2HおよびO
3H),7.26(1H,d,ArH),7.60(2H,br,ArH),8.28(1H,
d,ArH),8.45(1H,d,ArH) 元素分析: 理論値(C56H87O38N3S・H2O) C:46.63%、H:6.08%、 N:2.91%、S:2.22% 実測値: C:46.47%、H:6.25%、 N:2.23%、S:1.93% MS(FAB):1424([M+H]) 例2:ダンシルグリシン修飾γ−CDの調製 N,N−ジメチルホルムアミド45mlとダンシルグリシン
0.56gとの混合物を−6℃に冷却し、その混合物にジシ
クロヘキシルカルボジイミド0.42gを添加し、30分間撹
拌した。次に、6−デオキシ−6−アミノ−γ−シクロ
デキストリン0.70gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに
溶解した溶液を加え、更に30分間反応させた。反応液を
室温に戻して48時間撹拌を続けた。減圧下でN,N−ジメ
チルホルムアミドを除き、反応液に水を加え、クロロホ
ルムで抽出した。クロロホルム可溶分を除き、水相を濃
縮し、濃縮液に多量のアセトンを加え、得られた沈殿を
別した。沈殿物をアセトンで洗浄し、乾燥してから少
量の水に溶解し、CM−セファデックスC−50カラム(4
×25cm)で精製した。このカラムでは、最初に不純物が
溶出し、その後で目的生成物が溶出した。目的生成物を
含む画分を集めて濃縮し、アセトンで再び沈殿させ、得
られた沈殿物を取し、乾燥させた。こうして目的の標
記生成物191.5mgを得た。目的生成物の理化学的性質は
以下のとおりである。
Rf=0.39(n−ブタノール/エタノール/水=5:4:3) IRスペクトル(KBr):3350,2930,1670,1572,1550,1412,
1330,1240,1155,1080,1027,940,852,788,758,705,575
(cm-1) NMR(ジメチルスルホキシド−d6:D2O=4:1)δ: 3.25(6H,s,NMe2), 3.4ー4.2(50H,br,CH2およびCDxのC2H〜C6H),4.4ー
4.5(23H,br,O2H,O3H,O6H),5.2ー5.35(8H,br,C1H),
7.65(1H,d,ArH),7.98(2H,q,ArH),8.45(1H,d,Ar
H),8.62(1H,d,ArH),8.86(1H,d,ArH) 元素分析: 理論値(C62H95N3S) C:46.94%、H:6.04%、 N:2.65%、S:2.02% 実測値: C:46.86%、H:6.10%、 N:2.60%、S:2.35% MS(FAB):1586([M+H]) 例3 2.21×10-6Mのダンシルグリシン修飾β−CD(前記例
1で調製した化合物)の10%ジメチルスルホキシド水溶
液2.5mlを蛍光セルに取り、励起波長370nmに設定して、
535nmの蛍光のピーク強度を測定した。次に、ゲスト化
合物のジメチルスルホキシド溶液を添加した。このジメ
チルスルホキシド溶液の添加量は、全体量の1%以内と
した。ゲスト化合物に対する感度の評価には、ΔI/I0
用いた。ここで、ゲスト化合物無添加での蛍光強度を
I0、添加後の蛍光強度をI、添加前後の蛍光強度差をΔ
I(=I0−I)とする。結果を第1表に示す。
第1表に示したように、ダンシル修飾β−CDは、ステ
ロイド化合物の内、ウルソデオキシコール酸、ケノデオ
キシコール酸に対し、それぞれ63.3%および41.9%の高
い感度を示した。これに対し、ケトステロイドであるコ
ルチコステロン、コルチゾン、ヒドロコルチゾンおよび
プレドニゾロンに対しては、3%以下の蛍光強度しか示
さない。リトコール酸は水溶性が乏しく、この濃度では
溶解が困難であったので、0.01mMで測定した。リトコー
ル酸は、この希釈濃度においても14.8%の蛍光変化を示
し、本発明のダンシル修飾β−CDでよく検知されるゲス
ト化合物であることが判明した。ステロイド以外のゲス
ト化合物は感度が低いので、1mMの濃度で測定した。そ
の中で、l−ボルネオールが45.1%の蛍光変化を示し、
最も感度が高かったが、その他の化合物は0.1mMのウル
ソデオキシコール酸が示す蛍光変化の程度よりも低かっ
た。
例4 2.66×10-6Mのダンシルグリシン修飾γ−CD(前記例
2で調製した化合物)の10%ジメチルスルホキシド水溶
液2.5mlを蛍光セルに取り、励起波長370nmに設定して、
540nmの蛍光のピーク強度を測定した。次に、ゲスト化
合物のジメチルスルホキシド溶液を添加し、同様に蛍光
強度を測定した。その他の操作や感度の評価は、前記の
例3と同様に行った。結果を第2表に示す。
第2表に示したように、ダンシル修飾γ−CDは、ステ
ロイド化合物、特にウルソデオキシコール酸、ケノデオ
キシコール酸に対し、それぞれ20.5%および14.8%とい
う比較的高い感度を示した。その他のステロイド化合物
およびステロイド以外のゲスト化合物に対しては、本例
(例4)のダンシル修飾γ−CDの方が、前記例3のダン
シル修飾β−CDよりも感度が低いことがわかった。例え
ば、l−ボルネオールは、ダンシル修飾β−CDでは45.1
%の蛍光変化を示すのに対し、ダンシル修飾γ−CDでは
5.6%の蛍光変化しか示さなかった。但し、リトコール
酸に対しては、ダンシル修飾γ−CDの方が、ダンシル修
飾β−CDよりも、高い感度を示した。また、いくつかの
化合物について感度がゼロあるいはゼロに近い値であっ
たが、この事実は、ダンシル修飾γ−CDの分子認識特性
が大きいことを示している。即ち、感度の低い化合物が
かなりな程度混在していても、ウルソデオキシコール酸
やケノデオキシコール酸が選択的に検知される。
例5 2.25×10-6Mのダンシルグリシン修飾β−CD(前記例
1で調製した化合物)の水溶液2.5mlを蛍光セルに取
り、以下の第3表に示す励起波長(nm)に設定して、53
5nmの蛍光のピーク強度を測定した。次に、ゲスト化合
物のジメチルスルホキシド溶液を0.1ミリモルの量とな
るように添加した。ゲスト化合物に対する感度の評価に
は、ΔI/I0を用いた。結果を第3表に示す。
ストリキニーネ(No.5)はジメシルスルホキシドに対
する溶解度が悪いので、懸濁状態で行った。
例6 2.12×10-6Mのダンシルグリシン修飾β−CD(前記例
1で調製した化合物)の水溶液(水酸化ナトリウム水溶
液によって、pH=10.25に調整)2.5mlを蛍光セルに取
り、励起波長370nmに設定して、525nmの蛍光のピーク強
度を測定した。次に、ゲスト化合物のジメチルスルホキ
シド溶液を0.1ミリモルの量となるように添加した。ゲ
スト化合物に対する感度の評価には、ΔI/I0を用いた。
結果を第4表に示す。
例7 3.49×10-6M(水分子4個を含有するとして計算)の
ダンシルグリシン修飾γ−CD(前記例2で調製した化合
物)の水溶液2.5mlを蛍光セルに取り、以下の第5表に
示す励起波長(nm)に設定して、540nmの蛍光のピーク
強度を測定した。次に、ゲスト化合物のジメチルスルホ
キシド溶液を0.1ミリモルの量となるように添加した。
ゲスト化合物に対する感度の評価には、ΔI/I0を用い
た。結果を第5表に示す。
例8 3.00×10-6M(水分子4個を含有するとして計算)の
ダンシルグリシン修飾γ−CD(前記例2で調製した化合
物)の水溶液(水酸化ナトリウム水溶液によって、pH=
10.25に調整)2.5mlを蛍光セルに取り、以下の第6表に
示す励起波長(nm)に設定して、535nmの蛍光のピーク
強度を測定した。次に、ゲスト化合物のジメチルスルホ
キシド溶液を0.1ミリモルの量となるように添加した。
ゲスト化合物に対する感度の評価には、ΔI/I0を用い
た。結果を第6表に示す。
第5表および第6表に示すように、ダンシルグリシン
修飾γ−CDはアルカロイドに対して感度ゼロに近い値を
示しており、ウルソデオキシコール酸などの感度の大き
い化合物の検出に際し、これらアルカロイドが混在して
いても測定の支障にはならないことを保証している。
例9 2.35×10-6Mのダンシルグリシン修飾β−CD(前記例
1で調製した化合物)の水溶液2.5mlを蛍光セルに取
り、励起波長370nmに設定して、535nmの蛍光のピーク強
度を測定した。次に、ゲスト化合物のジメチルスルホキ
シド溶液を0.1ミリモルの量となるように添加した。ゲ
スト化合物に対する感度の評価には、ΔI/I0を用いた。
結果を第7表に示す。
例10 ゲスト化合物としてのl−ボルネオールの濃度を変化
させ、その濃度変化に伴うダンシル修飾β−CDの感度変
化(蛍光スペクトルの変化)を測定した。その他の操作
は、前記例3と同様に実施した。結果を第1図に示す。
第1図の各曲線において、l−ボルネオールの濃度は、
曲線1が0mM、曲線2が0.083mM、曲線3が0.250mM、曲
線4が0.500mM、曲線5が0.832mM、そして曲線6が1.74
0mMである。
例11 ダンシルグリシン修飾β−CD(前記例1で調製した化
合物)のジメチルスルホキシド溶液(3.01×10-5M)0.2
5mlに、ジメチルスルホキシドと水とを適量加えて総量
2.5mlの溶液を調製した。この際、ジメチルスルホキシ
ド濃度が異なる水溶液9種類(10容量%毎に10容量%〜
90容量%まで)およびジメチルスルホキシド(100%)
の10種類の溶液とした。これらの溶液に、l−ボルネオ
ールの(0.5M)ジメチルスルホキシド溶液10μ(2m
M)を添加し、蛍光強度の変化を測定した。結果を第2
図に示す。第2図において○はl−ボルネオールを添加
する前でダンシルグリシン修飾β−CDだけを含む場合で
あり、●はl−ボルネオールを添加した後である。
例12 2.97×10-6Mのダンシルグリシン修飾β−CD(前記例
1で調製した化合物)の10%ジメチルスルホキシド水溶
液2.5mlを蛍光セルに取り、励起波長370nmに設定して、
535nmの蛍光のピーク強度を測定した。次に、各種濃度
のゲスト化合物(l−ボルネオールまたはシクロヘキサ
ノール)を含むジメチルスルホキシド溶液を添加し、添
加前後の蛍光強度差を測定した。結果を第3図に示す。
第3図においては●はl−ボルネオールであり、○はシ
クロヘキサノールである。
[発明の効果] 本発明のダンシル修飾CDを用いると、分光学的に不活
性な有機化合物の検出および定量を、単純な蛍光強度変
化によって簡単に実施することができる。この検出およ
び定量には、酵素のような不安定な天然物質を用いる必
要がないので、センサデバイスを作成する場合にも、品
質管理等が容易になる。蛍光を用いる検出法では、光吸
収や電気化学的手法による検出と比較して、高感度を実
現することができるので、ゲスト化合物の希薄溶液にも
適用することができる。更に、本発明のダンシル修飾CD
は、ゲスト化合物の分子形状や大きさに依存した蛍光強
度変化を示すので、ゲスト化合物の分子形状や大きさを
測定ないし推定することができる。また、酵素センサが
特定化合物の検出しかできないのに対し、本発明のダン
シル修飾CDは広範な有機化合物に適用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ゲスト化合物の濃度変化に伴う、本発明のダ
ンシル修飾β−CDの蛍光スペクトルの変化を示すグラフ
である。 第2図は、本発明のダンシル修飾β−CDの蛍光スペクト
ルの変化に対するジメチルスルホキシド濃度の影響を示
すグラフである。 第3図は、本発明のダンシル修飾β−CDにゲスト化合物
を添加した前後の蛍光強度比を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中、nは5〜8の整数であり、mは0または1であ
    り、そしてRは水素原子、炭素数1〜4の低級アルキル
    基、または置換された炭素数1〜4の低級アルキル基で
    ある) で表される化合物。
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