JP2878905B2 - ボルト締付診断装置 - Google Patents

ボルト締付診断装置

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JP2878905B2
JP2878905B2 JP4181736A JP18173692A JP2878905B2 JP 2878905 B2 JP2878905 B2 JP 2878905B2 JP 4181736 A JP4181736 A JP 4181736A JP 18173692 A JP18173692 A JP 18173692A JP 2878905 B2 JP2878905 B2 JP 2878905B2
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茂 北川
賢治 柏谷
博 坂本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボルト締付診断装置に
係わり、更に詳しくはナットにて締付状態のボルトの頭
部又は他端部に当接するだけでそのボルトの緩み及びク
ラックの存在を判別可能なボルト締付診断装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、二部材に貫通形成した取付孔にボ
ルトを挿通し、その他端部にナットを螺合して二部材を
締付けた状態にあるボルトの締付力は、一般的にトルク
計で測定されているが、この測定値はナットとボルト及
び座金との間の摩擦力によっても変わるので、必ずしも
真の意味の締付力(ボルトの張力)を示していない。ま
た、ボルトをゆっくり締付ける場合と、ある回転速さで
慣性力を利用して締付ける場合とでもその真の締付力は
異なっている。従って、トルク計を用いて所望の締付力
で締付けたとしても、その真の締付力には大きなバラツ
キが存在している。このバラツキが許容範囲内であれば
問題はないが、十分な締付力が得られてない場合には重
大な問題が発生する可能性がある。また、締付け組立て
当初には十分な締付力が得られていても、部材に作用す
る応力や振動等によって経年的に緩むこともあり、更に
は多数あるボルトの中には締め忘れもないとは言えな
い。その上、ボルトが折損している場合もある。
【0003】そこで、ボルトの締付け緩みや折損を何ら
かの方法で診断することが必要であり、従来から打診法
が既に考えられ、多くの試みや、実用にも供されてい
る。この打診法は、ボルトの頭部又は他端部をハンマー
等で打撃し、その打撃による振動のビビリ状態から締付
けの緩み又は折損を診断する方法である。しかし、この
方法では作業者の熟練や振動解析の煩雑さから現場に普
及するにはまだ問題がある。その上、誤差が非常に大き
いので締付力が半分程度まで緩んでいてもその判別は難
しいのが現実である。
【0004】また、他のボルトの締付力を測定する方法
は、実験室レベルでは既に多数試みられているが、何れ
の方法も一長一短があり、直接ボルトの締付力を測定で
きるものはない。そのため、締付状態にあるボルトの真
の締付力を簡易に検出することができる診断装置の提供
が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が前述の状況に
鑑み、解決しようとするところは、締付状態にあるボル
トの張力によってその共振振動数が異なることに注目
し、この共振振動数を定量的に測定することで、ボルト
の締付け緩み及び折損やクラックの存在を精度よくリア
ルタイムで診断することができ、その取扱いも容易なボ
ルト締付診断装置を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題解
決のために、締付状態のボルトの頭部又は他端部に電磁
振動を付与するための電磁コイルと、該電磁コイルの中
空部を貫通させ且つ先端をボルトの頭部又は他端部に接
触させた振動伝達棒を介してボルトの縦振動を検出する
振動検出器とよりなるプローブと、前記電磁コイルに周
波数が連続的に繰り返し変わる励振電流を供給してボル
トに縦振動を与える励振回路と、振動検出器の振動信号
に基づきボルトの共振状態を検出する共振検出回路とを
備えた制御装置とよりなり、ボルトの共振状態からボル
トの締付力の良否及びクラックの有無を判別してなるボ
ルト締付診断装置を構成した。
【0007】具体的には、プローブは、中空ケースの先
端部に形成したボビンに電磁コイルを巻回し、ケース内
部に振動検出器を進退遊動自在となして配するととも
に、基端を振動検出器に連係させた振動伝達棒をボビン
の中心に形成した貫通孔に挿通してその先端を突出させ
且つケース内部と振動検出器との間に振動伝達棒が突出
する方向に弾性付勢するばね体を配したものを用いるの
が好ましい。
【0008】また、制御装置は、ランプ状制御電圧を発
生する超低周波発振器と、その連続的に変化する制御電
圧で制御され、周波数が連続的に変化する励振電流を発
生する電圧制御発振器とから構成される励振回路と、ボ
ルトが共振点に達したときの前記制御電圧の瞬時値又は
共振周波数を検出する共振検出回路とを備えたものを用
いるのが好ましい。
【0009】
【作用】以上の如き内容からなる本発明のボルト締付診
断装置は、ボルトの縦方向固有振動数(共振振動数)が
締付力(張力)によって変化することを利用して、その
共振振動数を測定することで直接真の締付力を測定し、
ボルトの締付け緩み及びクラックの存在を診断するもの
であり、また共振振動数はボルトの長さによっても変化
し、ボルトが途中で折損している場合には、その共振振
動数が大きく変化するので、ボルトの折損も診断するこ
とができる。ここで、ボルトの共振振動数は、引張り力
の低下、即ち緩みによって10%程度下がり、一方折損
による実効長さの減少によって大幅に上昇するので、そ
の判別が容易である。
【0010】次に、ボルトの縦振動について若干の理論
解析を試みる。ここでは、縦方向(x方向)の振動のみ
を考慮するので、波動方程式は、uをx方向の変位量と
すると、 ∂2 u/∂t2 =c2 2 u/∂x2 (1) c2 =E/ρ (2) と表せられる。ここで、Eはヤング率、ρは単位長さ当
たりの密度である。そして、基準関数は、積分定数C,
Dを用いて、 X=Ccos(νx/c)+Dsin(νx/c) (3) と表せられる。締付けられたボルトは、両端には拘束力
が作用しないので両端では自由とみなせる。従って、積
分定数C,Dは、ボルトの同径部の長さ(頭部を含まな
い)をlとすれば、次の境界条件より求まる。 x=0 で dX/dx=0 x=l で dX/dx=0 (4) この境界条件を用いると、(3)式と(4)式から、 D=0 νl/c=nπ (n=1,2,…) (5) となり、基準振動は、 X=Ccos(nπx/l) (n=1,2,…) (6) となる。そして、固有振動数は、 νn =nπc/l =(nπ/l)√(E/ρ) (n=1,2,…) (7) と表せられる。ρは、ボルトのねじ部とストレート部、
頭部で異なるが、ここでは一定とする。また、Eは、通
常一定として扱われるが、ここでは後述の理由で引張り
力(張力)依存性を考える。(7)式の基本振動は、n=
1とおいて、 ν1 =(π/l)√(E/ρ) (8) となる。
【0011】ボルトの締付力(張力)にして、50kg
f/mm2 以上になると、固有振動数は10%以上変化
することが実験によって確かめられている。この固有振
動数の変化は何に起因しているのかを以下に推証する。
先ず、張力でρが変わるとすると、断面径の変化Δd0
は、 Δd0 =pεd0 =pσd0 /E (9) と表せられる。ここで、pはポアソン比、εはひずみ、
σは応力(単位面積当たりの張力)である。通常、p≒
0.3、E=2.1×104 kgf/mm2 であり、σ
=40kgf/mm2 とすれば、太さの微小変化率は、 Δd0 /d0 ≒6×10-4 (10) となる。断面積変化に換算しても約2倍で0.1%程度
である。つまり、太さ変化からρが変わるのは0.1%
程度である。また、長さlの変化は、 Δl/l=ε =σ/E (11) と表せられる。この式に上記数値を代入すれば、 Δl/l=2×10-3 (12) となり、これも小さい値である。しかも、伸びは振動数
が低下する方向に効くので実測結果とは矛盾する。従っ
て、σの変化によってν1 が10%(上記見積りの10
0倍程度)も変化するのは、ヤング率Eの変化によると
考えざるを得ない。例えば、ν1 が50kHz→55k
Hzになったとすると、√E→1.1倍、即ちEは21
%変わったことになる。このような変化はこれまでの研
究では確認されていない。
【0012】
【実施例】次に添付図面に示した実施例に基づき更に本
発明の詳細を説明する。本発明のボルト締付診断装置
は、ボルトに電磁振動を付与するとともに、その振動を
検出するためのプローブ1と、該プローブ1に励振電流
を供給するとともに、検出した振動信号を解析するため
の制御回路2とより構成されている。図1は、プローブ
1の断面図を示し、図2はボルト3の緩みを実際に測定
する場合の概念図を示している。
【0013】図1に示したプローブ1は、中空ケース4
の先端部に形成したボビン5に電磁コイル6を巻回し、
ケース内部7にセラミック振動センサからなる振動検出
器8を進退遊動自在となして配するとともに、基端を該
振動検出器8に連係させた振動伝達棒9をボビン5の中
心に形成したスライド案内を兼ねた貫通孔10に挿通し
てその先端をボビン5から突出させ且つケース内部7と
振動検出器8との間に振動伝達棒9が突出する方向に弾
性付勢する圧縮コイルばね等からなるばね体11を配し
た構造のものである。ここで、前記振動伝達棒9の先端
部は針状となして、ボルト3が塗装されている場合で
も、先端がボルトに直接接触できるようになしている。
そして、ケース4には電磁コイル6に励振電流I0 を供
給するためと、振動検出器8によって検出された振動信
号V0 を引き出すためのケーブル12が接続されてい
る。
【0014】ここで、ボルト3は、通常図2に示したよ
うに締付けされている。即ち、二部材13,14に貫通
形成した取付孔15,16にボルト3の軸部17を挿通
し、一方の部材13の表面にその頭部18を当接させ、
軸部17の他端部19にはナット20を螺合して他方の
部材14の表面に当接させて二部材13,14を締付け
るのである。尚、前記ナット20と部材14間には適宜
座金21が介装されている。
【0015】この締付状態では、ボルト3の軸部17に
引張り力が常時作用している。そこで、前記プローブ1
の先端をボルト3の頭部18又は他端部19に押し当て
ると、振動伝達棒9はばね体11の弾性力に抗して押し
込まれ、ボビン5の端部が頭部18又は他端部19に当
接する。この状態では、振動伝達棒9の先端はボルト3
の適所に確実且つ常に一定条件で当接するとともに、振
動検出器8にも一定の弾性力がバイアスとして作用して
いる。そして、前記電磁コイル6に励振電流I0 を供給
してボルト3の軸部17に縦振動を付与し、この軸部1
7の縦振動を振動伝達棒9を介して振動検出器8で検出
し、後述の制御回路2にその振動信号V0 を入力するの
である。この際、振動検出器8には、電磁コイル6の励
振に起因する誘導と軸部17の縦振動が検出されるが、
制御回路2では真に軸部17の縦振動のみを取り出せる
ように工夫されている。
【0016】次に、制御回路2について図3及び図4に
基づいて説明する。制御回路2は、前記電磁コイル6に
周波数が連続的に繰り返し変わる励振電流I0 を供給し
てボルト3に縦振動を与える励振回路と、振動検出器8
の振動信号V0 に基づきボルト3の共振状態を検出する
共振検出回路とを備えたものである。
【0017】先ず、前記励振回路について説明する。励
振回路は、1秒程度の繰り返し周期(T)のランプ状
(鋸歯状)制御電圧V1 を発生する超低周波発振器22
と、その連続的に変化する制御電圧V1 で制御され、周
波数が連続的に変化する電流を発生する電圧制御発振器
(VCO)23とから主として構成されている。更に詳
しくは、電圧制御発振器23によって発生された周波数
が連続的に変化する正弦波電圧V2 の回数を計数器24
で計数して、100回の内5回又は10回のみに対応す
る瞬間だけ高レベル(H)、その他は低レベル(L)の
計数信号V3 を発生する。この計数信号V3 によってア
ナログスイッチ25を開閉制御して、前記正弦波電圧V
2 を高レベルのときにのみ通過させる。このアナログス
イッチ25を通過した励振用電圧波V4 は、図4(d) に
示すように間歇的である。即ち、励振用電圧波V4 は、
5/50波数又は10/50波数のみの間歇波である。
そして、この励振用電圧波V4 を本実施例ではバイアス
補正増幅器26で前段増幅した後、電流増幅器27で増
幅して前述の励振電流I0 を発生するのである。当然、
この励振電流I0 も間歇波であり、前記励振用電圧波V
4 と同様な波形である。ここで、前記バイアス補正増幅
器26では、バイアス電圧も制御している。このバアイ
ス電圧は後述のバイアス電流を与えるもので、非鉄金属
への適用をも可能にするものである。
【0018】前記励振回路の動作を簡単に説明すれば、
超低周波発振器22の制御電圧V1によって周波数の変
えられる電圧制御発振器23により、10kHz〜10
0kHz可変の正弦波電圧V2 を生じ、同時にその振動
波を計数器24に与えて5/50又は10/50回のパ
ルス(計数信号V3 )を生じ、そのパルスをアナログス
イッチ25に与えて5/50又は10/50回の励振用
電圧波V4 を次段に出力する。そして、直流電流を適当
に付与するためのバイアス補正増幅器26を通し、次い
で電流増幅器27で0.5A〜2A(ピーク値)の励振
電流I0 を前記電磁コイル6に供給するのである。この
励振電流I0 は電磁コイル6によりボルト3に電磁振動
を付与するものであるが、この励振電流I0 を上記のよ
うに間歇的に与えることにより共振特性を顕著にすると
ともに、励振電流I0 を強くしても発熱を小さく抑えら
れるのである。
【0019】電磁コイル6は、ボルト3の頭部18又は
他端部19に非接触(ボビン5は接触している)で置か
れ、励振電流I0 に応じた電磁振動をボルト3の軸部1
7に与える。ボルト3の振動は、電磁コイル6を巻回し
たボビン5の中心を通ってボルト3の頭部18又は他端
部19に接している振動伝達棒9を介して振動検出器8
に伝えられ、該振動検出器8により検出される。そし
て、この振動検出器8によって検出された振動信号V0
は制御回路2の共振検出回路に入力される。
【0020】次に、前述の共振検出回路について説明す
る。共振検出回路は、ボルト3が共振点に達したときの
前記制御電圧V1 の瞬時値又は共振周波数を検出するも
のである。具体的には、振動検出器8で検出した振動信
号V0 は増幅器28で増幅して検波器29に与えられ
る。このままでは、励振電流波I0 の誘導が入るので、
これを除去するために増幅器28の振動増幅信号V5
アナログスイッチ30を通し、励振電流I0 が供給され
ている間の信号を除去した後、前記検波器29に与える
のである。このアナログスイッチ30の開閉制御は、前
記計数器24から出力される計数信号V3 を位相反転器
31を通して高レベルと低レベルを反転させたゲート信
号V6 を発生させ、このゲート信号V6 で行うのであ
る。即ち、アナログスイッチ30を通すことで、図4
(e) に示した振動増幅信号V5 から励振電流I0 による
誘導が除去され、図4(g) に示す振動出力信号V7 が検
波器29に供給されるのである。そして、この検波器2
9から出力される検波電圧信号V8 を平滑器32に与
え、該平滑器32で検波電圧信号V8 を平滑化してボル
ト3の振動の振幅に略比例した振幅信号V9 を得る。検
波、平滑後の振幅信号V9 は、共振点で振幅が大きくな
るので、そのピーク値(最大値)をピーク検出器33で
検出して、ピーク値に達した時点でサンプリングパルス
10を発生させる。最後に、前記超低周波発振器22の
制御電圧V1 とサンプリングパルスV10が入力されたサ
ンプリングホールド34で、サンプリングパルスV10
発生した瞬間の制御電圧V1 をサンプリングし、これを
保持して出力信号Vrとして表示器35に入力する。こ
の表示器35では、出力信号Vrをそのまま共振点の周
波数に対応する制御電圧V1 の瞬時値として又は周波数
に変換してアナログ的又はデジタル的に表示する。更に
は、表示器35と表音器を併用し、表音器で出力信号V
rに比例したトーンの音又は閾値以上又は以下の出力信
号Vrの場合にのみ音を発生することも好ましい。
【0021】前記表示器35に表示された値は、ボルト
3の共振周波数に対応しているので、ボルト3の締付状
態に対応した値が表示されることになる。前述の如く、
共振振動数は、ボルト3の軸部17の張力に応じて変化
するものであるから、例えば多数の正常な締付状態にあ
るボルト3,…の中から緩んだボルト3を見出す場合に
最適である。ボルト3が緩んでいる場合には、共振周波
数が低下するようにずれるから締付具合を判別でき、ま
たボルト3が折損している場合には、共振周波数(出力
信号Vr)が増加するように大きくずれるので容易に判
別できる。
【0022】次に、前記ピーク検出器33の具体例を図
5に基づいて説明する。本実施例のピーク検出器33
は、計測開始の信号(リモートスイッチ)を与えて振幅
信号V9 のピーク値をアナログ的に記憶し、次の周期で
再度同じピーク値に達したとき、これを共振点と判別す
るものであり、具体的には平滑器32の振幅信号V9
二方向に切り替える切替えスイッチ36と、切替えスイ
ッチ36のa接点に接続されたアナログメモリー回路3
7と、アナログメモリー回路37の出力VA とb接点に
切り替えられた際の該b接点の出力VB (振幅信号V9
そのものである。)とを比較してパルス(サンプリング
パルスV10)を発生する比較器38から構成されてい
る。前記切替えスイッチ36は、制御回路2のリセット
スイッチに連動し、通常はa接点が閉じていて、振幅信
号V9 はアナログメモリー回路37にアナログ的に記憶
され、比較器38の負端子に出力VA が常時入力されて
いる。そして、リセットスイッチを作動させている数秒
間だけ、切替えスイッチ36のb接点が閉じて比較器3
8の正端子に出力VB が入力される。アナログメモリー
回路37に記憶された振幅信号V9 のピーク値は、次の
周期までに僅かに減少(1〜2%)しているので、次回
のピーク値の一つはこれを越える。従って、この点を比
較器38で検出してサンプリングパルスV10を生じさせ
る。
【0023】更に詳しくは、前記アナログメモリー回路
37は、応答性を高めるために二つの演算増幅器39,
40を直列に配し、その中間にダイオード41を配し、
ダイオード41の順方向側に配したコンデンサ42に振
幅信号V9 のピーク値に対応する電圧が蓄えられるので
ある。
【0024】そして、前記ピーク検出器33からのサン
プリングパルスV10は、サンプリングホールド34に入
力される。このサンプリングホールド34は、図5に示
すように、前記サンプリングパルスV10によってスイッ
チングされるトランジスタ43と、該トランジスタ43
によって制御される双方向アナログFET出力形のホト
カプラ44と、該ホトカプラ44の一方の出力端子に並
列接続されたコンデンサ45とから構成されている。前
記サンプリングパルスV10は抵抗46を介してトランジ
スタ43のベースに入力され、該トランジスタ43のコ
レクタはホトカプラ44のカソードに接続され、ホトカ
プラ44のアノードには所望電流を供給できるように電
源に接続されている。ホトカプラ44のドレインには前
記超低周波発振器22から制御電圧V1 が供給され、ソ
ースには前記コンデンサ45が接続されるとともに、表
示器35に接続されている。そして、前記サンプリング
パルスV10が入力されている間だけトランジスタ43が
導通して、発光ダイオードに電流が流れて発光し、それ
に伴ってFETが導通し、超低周波発振器22の制御電
圧V1 の瞬間値でコンデンサ45が充電され、それが保
持される。つまり、表示器35は入力インピーダンスが
高ければ、コンデンサ45に蓄えられた電圧の低下は無
視でき、その電圧が出力信号Vrとして表示器35に供
給されるのである。勿論、次の測定の前にはリセットス
イッチを操作して、このコンデンサ45を放電させて初
期状態にするのである。
【0025】最後に、本発明の装置を用いて実際に締付
状態にあるボルト3を診断した結果を示す。測定対象
は、図6に示すように軸部17の長さが50mmのボル
ト3(強力ボルトM12)を用い、その頭部18とナッ
ト20の間隔を25mmと設定した。そして、プローブ
1の先端をボルト3の頭部18に接触させて行った。励
振電流I0 の周波数は、超低周波発振器22の制御電圧
1 の最大値、最小値を適宜に設定して23.81kH
z〜10.87kHzの範囲で連続的に変化させた。
【0026】図7は、正常なボルト3を用いて、三種類
の締付力で締付けたものを測定した結果であり、振幅信
号V9 を示している。図7(a) は締付力が「弱」、(b)
は締付力が「中」、(c) は締付力が「強」の場合であ
る。この信号には多数の極大が存在し、その原因は明ら
かでないが、おそらくボルト3の軸部17にはねじが切
られており単純な円柱形状でないこと、このねじが部材
13,14の取付孔15,16の内壁に一部接触してい
ることにより、単純な縦振動ではないからと推測され
る。しかしながら、最大値(図中に白抜き丸で示してい
る)をみれば、締付力の増加と共に、その共振点が高周
波数側に変位していることが明確である。
【0027】図8は、前述のボルトと同種のものである
が、ノッチ付きのボルト3を用いて、前記同様に三種類
の締付力で締付けたものを測定した結果である。図8
(a) は締付力が「弱」、(b) は締付力が「中」、(c) は
締付力が「強」の場合である。前記同様に締付力の増加
と共に、その共振点が高周波数側に変位している。
【0028】最後に、本発明の装置の用途について若干
説明する。既に橋梁などで実用中のボルトの締付力を実
測するのは困難であるが、多数の正常な締付力を保持し
ているものに対し、折損(亀裂)を生じて締付力が減少
している少数のボルトを検出するのに最も適している。
このときは全数検査の内の異常値を示すものを見出せば
よいので、1本当たりの検査時間は3〜5秒程度あれば
十分であり、極めて迅速である。しかも、電磁振動を与
える電磁コイル6はボルト3に対して非接触でよいか
ら、ボルト3の塗装を除去する必要はなく、振動伝達棒
9の先端部も針状とするからこれも塗装の影響はないの
である。
【0029】
【発明の効果】以上にしてなる本発明のボルト締付診断
装置によれば、締付状態のボルトの頭部又は他端部に電
磁振動を付与するための電磁コイルと、該電磁コイルの
中空部を貫通させ且つ先端をボルトの頭部又は他端部に
接触させた振動伝達棒を介してボルトの縦振動を検出す
る振動検出器とよりなるプローブと、前記電磁コイルに
周波数が連続的に繰り返し変わる励振電流を供給してボ
ルトに縦振動を与える励振回路と、振動検出器の振動信
号に基づきボルトの共振状態を検出する共振検出回路と
を備えた制御装置とよりなるので、ボルトの縦方向共振
振動数が締付力によって変化するといったこれまでの研
究では確認されてなかった原理を利用して、その共振振
動数を測定することで直接真の締付力を測定し、ボルト
の締付け緩み及びクラックの存在を診断することがで
き、また共振振動数はボルトの長さによっても変化し、
ボルトが途中で折損している場合には、その共振振動数
が大きく変化するので、ボルトの折損も診断することが
できる。
【0030】また、橋梁等の組立時のボルトの締付力の
バラツキは上記の原理からみても10%以内の精度で容
易に測定できるので、品質管理にも有用である。とりわ
け、プラントのガセット締付のバラツキは安全上から重
要な問題であり、通常は締付トルクで測定しているの
で、摩擦のバラツキはそのまま締付力のバラツキになる
ので、正確な締付力は不明のままであるが、本発明の装
置によりそのようなバラツキを最小にすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】プローブの簡略断面図である。
【図2】締付状態のボルトの緩みを診断する概念を示し
た説明用断面図である。
【図3】制御回路の簡略ブロック図である。
【図4】制御回路の各部の信号波形を示したタイムチャ
ートであり、(a) は制御電圧V1 、(b) は正弦波電圧V
2 、(c) は計数信号V3 、(d) は励振用電圧波V4
(e) は振動増幅信号V5 、(f) はゲート信号V6 、(g)
は振動出力信号V7 、(h)は検波電圧信号V8 、(i) は
振幅信号V9 、(j) はサンプリングパルスV10をそれぞ
れ示している。
【図5】ピーク検出器とサンプリングホールドの具体例
を示した簡略回路図である。
【図6】本発明の装置を用いて締付状態のボルトを実測
する場合の設定状態を示す部分側面図である。
【図7】締付状態にある正常なボルトを実測し、その振
幅信号V9 を示したグラフであり、(a) は締付力が
「弱」の場合、(b) は締付力が「中」の場合、(c) は締
付力が「強」の場合を示している。
【図8】締付状態にあるノッチ付きのボルトを実測し、
その振幅信号V9 を示したグラフであり、(a) は締付力
が「弱」の場合、(b) は締付力が「中」の場合、(c) は
締付力が「強」の場合を示している。
【符号の説明】
1 プローブ 2 制御回路 3 ボルト 4 ケース 5 ボビン 6 電磁コイル 8 振動検出器 9 振動伝達棒 17 軸部 18 頭部 19 他端部 20 ナット 22 超低周波発振器 23 電圧制御発振器 25 アナログスイッチ 26 バイアス補正増幅器 27 電流増幅器 28 増幅器 29 検波器 30 アナログスイッチ 31 位相反転器 32 平滑器 33 ピーク検出器 34 サンプリングホールド 35 表示器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 博 東京都国分寺市光町2丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−261058(JP,A) 実開 昭61−34444(JP,U) 実開 昭59−62549(JP,U) 実開 平1−142832(JP,U) 特公 昭49−39035(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 29/12 G01M 7/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 締付状態のボルトの頭部又は他端部に電
    磁振動を付与するための電磁コイルと、該電磁コイルの
    中空部を貫通させ且つ先端をボルトの頭部又は他端部に
    接触させた振動伝達棒を介してボルトの縦振動を検出す
    る振動検出器とよりなるプローブと、 前記電磁コイルに周波数が連続的に繰り返し変わる励振
    電流を供給してボルトに縦振動を与える励振回路と、振
    動検出器の振動信号に基づきボルトの共振状態を検出す
    る共振検出回路とを備えた制御装置と、 よりなり、ボルトの共振状態からボルトの締付力の良否
    及びクラックの有無を判別してなることを特徴とするボ
    ルト締付診断装置。
  2. 【請求項2】 前記プローブとして、中空ケースの先端
    部に形成したボビンに電磁コイルを巻回し、ケース内部
    に振動検出器を進退遊動自在となして配するとともに、
    基端を振動検出器に連係させた振動伝達棒をボビンの中
    心に形成した貫通孔に挿通してその先端を突出させ且つ
    ケース内部と振動検出器との間に振動伝達棒が突出する
    方向に弾性付勢するばね体を配したプローブを用いてな
    る請求項1記載のボルト締付診断装置。
  3. 【請求項3】 前記制御装置として、ランプ状制御電圧
    を発生する超低周波発振器と、その連続的に変化する制
    御電圧で制御され、周波数が連続的に変化する励振電流
    を発生する電圧制御発振器とから構成される励振回路
    と、ボルトが共振点に達したときの前記制御電圧の瞬時
    値又は共振周波数を検出する共振検出回路とを備えた制
    御装置を用いてなる請求項1記載のボルト締付診断装
    置。
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