JP2877824B2 - 穿孔工具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、固形金属材料、とくに板の積層体の穿孔工
具に関し、該工具は、シヤンクと２つの幾何学的相似の
変換使用型カーバイド刃先を有し、これらの刃先はシヤ
ンクの末端において異なる半径方向距離をもって円周方
向に180°だけ互いに偏位して配置され、その加工範囲
は重複していて、それぞれは等しい長さの数個の切刃を
有し、２つの隣接する切刃は鈍角となっていて同時に接
触するように構成され、さらに半径方向内側の第１変換
使用型カーバイド刃先は、ドリル軸線をわずかに越えて
接触する切刃まで延び、半径方向外側の第２変換使用可
能なカーバイド刃先は、第１カーバイト刃先から軸方向
に後退され、かつそれら２つの加工切刃はドリル軸線と
異なる大きさの鈍角となっている。

従来の技術 固形金属材料に関するドイツ特許27 30 418号による
穿孔工具を用いて穿孔する場合、加工物からドリルを引
抜くとき、全直径に相当する直径の無用の円板が形成さ
れる。この無駄な円板は、カーバイド刃先がドリルの軸
方向に同一高さに配置されているからである。この装置
は所定の材料厚さまたは所定の穿孔深さに対して、でき
る限り短かい穿孔距離で処理しなければならないように
選択されている。めくら穴をつくる場合も、そのねらい
は、半径方向外方の刃先に対して、可能ならば半径方向
内方刃先と正確に同じ深さに切断することである。しか
し、もし穿孔対象区域が溶接合体されていない数個の積
重ねられ、または上下に配置された板をこの種の穿孔工
具で穿孔する場合には、上述の廃板の１つは個々の板を
貫通するドリルの通路上に形成されることになる。これ
らの廃板は重なり板間を通過でき、それによって板を引
き離されるばかりでなく穿孔工具に損傷を起こさせるこ
とが知られている。

発明が解決しようとする課題 このために、既述のような板の重ねに穿孔するために
特殊の穿孔工具が開発された。この種の既知の穿孔工具
（Komet Stahlhalter−und Werkzeugfabrik Robert Bre
uning GmbH,D−7122,Besigheim,10/83,44ページに記載
の「KOMETKUB変換使用型刃先ドリル」のカタログに記載
されたもの）においては半径方向外方の第２変換使用型
カーバイド刃先は、第１変換使用型カーバイド刃先から
軸方向に後退されていて、それら２つの加工切刃はドリ
ル軸線と異なる大きさの鋭角をなしている。この設計に
より、ドリルの軸方向運転中に、材料は内側から外側へ
連続的に除去され、これによって板からドリルを抜き去
る際に上述の廃材円板の形成が避けられる。しかし、外
方の変換使用型カーバイド刃先の２つの加工切刃は、こ
の「板ドリル」とも云われる特殊穿孔工具におけるドリ
ル軸線と同一方向に鋭角を形成し、これら２つの切刃は
補償されない半径方向切削力成分を生じ、この成分はド
リルをカーバイド刃先から見てドリル軸線に向う方向へ
押しやる。その結果、穴はドリルの定格直径よりもわず
かに小さくなる。

本発明の目的は、固形金属材料の穿孔、とくに重なり
板を穿孔する上記種類の穿孔工具であって改良されたも
のを提供するにあり、外工具においては、半径方向切削
力成分が可能な限り補償され、それによりドリルの横移
動が避けられ、とくに重なり板の穿孔時にも、正しい直
径の精密な穴が穿孔されると同時に廃板の発生を避ける
ことができる。

課題を解決するための手段 本発明によれば、上記の目的は、第１変換使用型カー
バイド刃先が第２変換使用型カーバイド刃先よりも小型
であって、第１変換使用型カーバイド刃先と同一半径位
置に第３変換使用型カーバイド刃先が配置されている
が、この刃先はその加工切刃が第２変換使用型カーバイ
ド刃先の半径方向外側切刃とほぼ同一の加工円錐面及び
同一の最大半径で加工するように配置されている。

３つのうち２つの第３のものよりも小さい３つの変換
使用型刃先を用い、切削幅を変化させて加工切削切刃が
ドリル軸線を形成する角度を変化させることによって、
半径方向の切削力成分の大幅な補償が得られる。第３変
換使用型カーバイド刃先の半径方向外方の切刃は、第２
変換使用型カーバイド刃先の外側加工切刃に起こる半径
方向切削力成分を大いに補償する。そのうえ、１枚の板
材料から完全に引抜く直前の最終段階において、とくに
穿孔工具は第２、第３変換使用型カーバイド刃先の２つ
の外側切刃によってのみ案内される。２つの切刃がドリ
ルの軸線に対して同一の角度をもって配置されさらに同
一の加工直径上の加工を行うので、半径方向切削力成分
が発生するが、これらは同一の大きさでありしかもその
方向が反対であって穿孔工具の中心に作用する。これに
よって正しい直径の精密な穴が造られることを補償す
る。この新規の穿孔工具は板重ね材料の穿孔ばかりでな
く単体の固形金属材料の穿孔にも適している。

本発明の好適実施例については、特許請求の範囲の従
属項において特徴づけられている。

図面に示された実施例を参照して、本発明を以下に詳
細に説明する。

実施例 本発明による穿孔工具において、３つの変換使用型カ
ーバイド刃先2,3,4がシヤンク１の端部に形成された対
応する凹所内にそれぞれ配置されている。変換使用型カ
ーバイド刃先2,4が同一半径上であって円周方向に180°
だけ第３変換使用型カーバイド刃先３から偏位して配置
されている。各変換使用型カーバイド刃先2,3,4は等長
の複数の切刃2a,2b,3a3b,4a,4bを含む。変換使用型カー
バイド刃先2,3,4は６角形であることが好適で、それぞ
れの他の角度については、２つの隣接する切刃は互いに
約156°の鈍角αを形成する。変換使用型カーバイド刃
先2,3,4は、幾何学的に類似している。

半径方向内方の第１カーバイド刃先２はその内側切刃
2bがドリル軸線Ａをわずかに越えて延びている。ドリル
シヤンク１の端末1aを越えて延びるその２つの切刃2a,2
bが加工物と接触する。ここにおいて、第１変換使用型
カーバイド刃先２は、半径方向最外方にあってかつ180
°だけ偏位されている第２変換使用型カーバイド刃先３
よりも小型である。第２変換使用型カーバイド刃先３は
第１変換使用型カーバイド刃先２から軸方向に後退さ
れ、かつそれと接触しているその２つの加工切刃3a,3b
はドリル軸線Ａと鋭角β1,β２をなす。この構成及び第
２変換使用型カーバイド刃先３が第１変換使用型カーバ
イド刃先２から後退しているという事実から、穿孔工具
が軸方向に進行すると、加工物の材料は内側から外側へ
連続的に除去される。これは、ドリルが加工物から引抜
かれるときに廃板材料が形成されないので重要である。
第２変換使用型カーバイド刃先３の半径方向外側切刃3a
がドリル軸線Ａとなす角β１は約25°〜35°であり、と
くに30°が好ましい。さらに、第１、第２変換使用型カ
ーバイド刃先2,3はそれらの加工範囲が鎖線で示される
ように重なるように配置されている。

第１変換使用型カーバイド刃先２が第２刃先３よりも
小型であるという事実によって、第１変換使用型カーバ
イド刃先２が配置されている半径上において、第３変換
使用型カーバイド刃先４にスペースが与えられる。この
第３刃先４はその半径方向外側の加工切刃4aが第２刃先
３の半径方向外側切刃3aと、同一の加工円錐面上でかつ
同一の最大半径Ｒ上で加工するように配置されている。
このことは、加工切刃4aがドリル軸線Ａと、角β１と同
一の大きさであるがドリル軸線に対して反対の鋭角β３
を形成することを意味している。

第１、第２変換使用型カーバイド刃先2,3はそれぞれ
概ね幾何学的に相似となっているから、個々の変換使用
型カーバイド刃先の保管費は低く保つことができる。

第３変換使用型カーバイド刃先を設けることによっ
て、半径方向の切削力成分を広い範囲に補償できる。図
において、個々の切刃に作用する切削力はF1〜F5で示さ
れている。これらの切削力の大きさは、加工切刃の長さ
ばかりでなくそれぞれの変換使用型カーバイド刃先2,3,
4の加工範囲が重なる量によっても定まる。加工範囲が
重なっている場合、切刃に作用する切削力は大きくても
せいぜい半分であり、なぜならばこれらの区域では、穿
孔工具が進行すると、材料は加工範囲が重なっている切
刃によってそれぞれ半分ずつ削除されるからである。

第２図に示された応力線図において、とくに第３変換
使用型カーバイド刃先に生ずる切削力F5によって、半径
方向の切削力成分が大いに補償されることがわかる。こ
の事実は、単にわずかの半径方向切削力成分FRが残るだ
けであることを示す。もし第３変換使用型カーバイド刃
先４が設けられていなければ、力線は切削力F4で終りと
なり、鎖線で示されたかなり大きい切削力成分FR′が生
じることになる。

第３図に示された実例において、同一機能をもつ成分
に上述の実施例におけると同ど符号が与えられ、これに
よりこの実施例も同様に適用される。しかし、第３図に
示された穿孔工具においては、第３変換使用型カーバイ
ド刃先４の加工切刃4aは、ドリルチップに向う軸方向
に、第２変換使用型カーバイド刃先３の半径方向外側の
切刃3aの加工円錐からわずかに偏位されている。２つの
半径方向外側切刃3a,4aの相互変位量は、この場合、第
２変換使用型カーバイド刃先３の２つの加工切刃3a,3b
に作用する半径方向切削力成分と、第３変換使用型カー
バイド刃先４の加工切刃4aに作用する半径方向切削力成
分とが互いに打消し合うように選定される。第４図に示
された応力線図から、第３変換使用型カーバイド刃先４
に起こる切削力F5は、第１実施例における対応する切削
力F5（第２図）よりも大きく、半径方向外側切刃3aに作
用する切削力F1は第１実施例における対応する切削力F1
よりも小さいことが分かる。よって第２実施例において
は、半径方向切削力成分の完全な補償が達せられる。こ
の半径方向切削力成分を得るために、加工切刃4aは穿孔
工具の送り量よりもわずか少なくドリルチップに向って
切刃3aから軸方向へ偏位され、それにより材料は切刃3a
によって全長にわたって除去され、一方切削厚さは切刃
4aにおける切削厚さよりも薄い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の第１実施例の前端部の正面図、第２
図は、同上の切削力の合成線図、第３図は、この発明の
第２実施例の前端部の正面図、第４図は、同上の切削力
の合成線図である。 １……シヤンク、2,3,4……刃先 2a,2b,3a,3b,4a,4c……切刃

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B23B 51/00

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固形金属材料の穿孔工具であって、シヤン
   クと３つの幾何学的に相似した第１、第２、第３変換使
   用型カーバイド刃先（２），（３），（４）を有し、第
   １、第３変換使用型カーバイド刃先（２），（４）はシ
   ヤンクの末端において、同一半径上に異なる半径方向距
   離をもって配置され、さらに第１、第３変換使用型カー
   バイド刃先（２），（４）は第２変換使用型カーバイド
   刃先（３）に対して円周方向に180°だけ偏位して配置
   され、その加工範囲は重複していてそれぞれ等しい長さ
   の２つの隣接する加工切刃（2a,2b），（4a,4b）を有
   し、これらの加工切刃（2a,2b），（4a,4b）は鈍角とな
   っていて、同時に被加工物に接触するように構成され、
   さらに半径方向内側の第１変換使用型カーバイド刃先
   （２）は、ドリル軸線Ａをわずかに越えてその反対側の
   シヤンク上まで延び、半径方向外側の第２変換使用型カ
   ーバイド刃先（３）は、第１変換使用型カーバイド刃先
   （２）より軸方向に後退していて、その２つの加工切刃
   （3a），（3b）とドリル軸線Ａとで形成する角度（β
   １），（β２）は、異なる大きさとなっており、第１変
   換使用型カーバイド刃先（２）が、第２変換使用型カー
   バイド刃先（３）よりも小型であり、第３変換使用型カ
   ーバイド刃先（４）の加工切刃（4a）は、第２変換使用
   型カーバイド刃先（３）の半径方向外側切刃（3a）とほ
   ぼ同形の加工円錐面及び同一の最大半径（Ｒ）で加工す
   るように配置されていることを特徴とする穿孔工具。
2. 【請求項２】第１、第３変換使用型カーバイト刃先
   （２），（４）が幾何学的に相似であることを特徴とす
   る請求項１記載の穿孔工具。
3. 【請求項３】第２、第３変換使用型カーバイト刃先
   （３），（４）の半径方向外側の加工切刃（3a），（4
   a）がドリル軸線（Ａ）とで25°〜35°の大きさが等し
   く、方向が相反する角度（β１），（β２）を形成する
   ことを特徴とする請求項１又は２記載の穿孔工具。
4. 【請求項４】第１変換使用型カーバイト刃先（２）の２
   つの加工切刃（2a），（2b）及び第２変換使用型カーバ
   イド刃先（３）の２つの加工切刃（3a），（3b）が、そ
   れぞれ互いに120°〜170°の鈍角（α）を形成すること
   を特徴とする請求項１ないし３のいずれか１項に記載の
   穿孔工具。
5. 【請求項５】変換使用型カーバイド刃先（２），
   （３），（４）がそれぞれ６角形であり、さらに２つの
   隣接する切刃（2a），（2b）；（3a），（3b）；（4
   a），（4b）が互いに156°の角度（α）を形成すること
   を特徴とする請求項１ないし４のいずれか１項に記載の
   穿孔工具。
6. 【請求項６】固形金属材料の穿孔工具であって、シヤン
   クと３つの幾何学的に相似した第1,第2,第３変換使用型
   カーバイド刃先（２），（３），（４）を有し、第1,第
   ３変換使用型カーバイド刃先（２），（４）はシヤンク
   の末端において、同一半径上に異なる半径方向距離をも
   って配置され、さらに第１、第３変換使用型カーバイド
   刃先（２），（４）は第２変換使用型カーバイド刃先
   （３）に対して円周方向に180°だけ偏位して配置さ
   れ、その加工範囲は重複していてそれぞれ等しい長さの
   ２つの隣接する切刃を有し、これらの切刃は鈍角となっ
   ていて同時に被加工物に接触するように構成され、さら
   に半径方向内側の第１変換使用型カーバイド刃先（２）
   は、ドリル軸線Ａをわずかに越えてその反対側のシヤン
   ク上まで延び、半径方向外側の第２変換使用型カーバイ
   ド刃先（３）は、第１変換使用型カーバイド刃先（２）
   より軸方向に後退していて、その２つの加工切刃（3
   a），（3b）とドリル軸線Ａとで形成する角度（β
   １），（β２）は、異なる大きさとなっており、第１変
   換使用型カーバイド刃先（２）が、第２変換使用型カー
   バイド刃先（３）よりも小型であり、第３変換使用型カ
   ーバイド刃先（４）の加工切刃（4a）が、ドリル軸線Ａ
   に向って第２変換使用型カーバイド刃先（３）の半径方
   向外側の加工切刃（3a）による加工円錐面からわずかに
   偏位され、それにより第１、第２、第３変換使用型カー
   バイド刃先（２），（３），（４）の各加工切刃（2
   a），（2b）；（3a），（3b）；（4a），（4b）に作用
   する切削力の半径方向成分が互いに相殺するようになっ
   ていることを特徴とする穿孔工具。