JP2877123B2 - 干渉フィルタ温度制御装置およびレーザレーダ装置 - Google Patents

干渉フィルタ温度制御装置およびレーザレーダ装置

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JP2877123B2
JP2877123B2 JP9008654A JP865497A JP2877123B2 JP 2877123 B2 JP2877123 B2 JP 2877123B2 JP 9008654 A JP9008654 A JP 9008654A JP 865497 A JP865497 A JP 865497A JP 2877123 B2 JP2877123 B2 JP 2877123B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、干渉フィルタの透
過率最適化のための干渉フィルタ温度制御装置に関し、
特に宇宙環境下での使用が可能な干渉フィルタ温度制御
装置に関する。さらには、その干渉フィルタ温度制御装
置を用いたレーザレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】干渉フィルタは微弱光検出の際に不要な
光ノイズを除去するために用いられるものであって、所
要の波長域以外の光をカットする。不要な光ノイズをカ
ットするには、所要波長域以外の波長は一切通さないも
のが良く、レーザ等極めて波長幅の狭い光源を用いる場
合は、製作が可能な限り透過帯域幅の狭いものが有利と
なる。しかしながら、干渉フィルタを構成する蒸着膜の
厚さが温度により変化することに伴い、透過中心波長が
変化すると言う問題があり、その影響は透過帯域幅の狭
いものほど大きくなる。以下、その理由について説明す
る。
【0003】干渉フィルタを構成する物質により異なる
が、一般的なもので、0.003nm/℃/100nm
(中心波長1000nmで0.03nm/℃)程度の温
度変化に伴う透過中心波長の変化がある。透過帯域幅が
10nmの場合、30℃の温度変動が有ると生ずる約1
nmの変化は透過帯域幅に対して1/10であるが、製
作限界に近い0.3nmのフィルタでは透過帯域幅に対
する変化割合を同じ1/10(0.03nmに相当)に
するには1℃の制御が必要となる。
【0004】温度変化と透過中心波長のズレと所要波長
での透過率の減少の関係について図6を用いて説明す
る。温度上昇により、干渉フィルタの分光透過率は実線
で示す曲線から破線で示す曲線のようにシフトする。こ
のように温度の変化に伴って干渉フィルタの透過中心波
長にズレが生じてしまうと、レーザ等の信号光波長(温
度に拘わらずほぼ一定)に対して透過中心波長がズレる
ことになり、透過率は低下する。このような温度による
特性変化を避ける為に「干渉フィルタを温度制御可能な
容器に入れ、常に―定温度で使用する」ことは、地上に
おいて使用されている装置では必要に応じて行われてお
り、そのような専用の容器も市販されている。干渉フィ
ルタの温度を制御する装置の一例を図7に示す。
【0005】干渉フィルタ温度制御装置は、干渉フィル
タ106を収納する、十分に外部と断熱された容器10
4と、該断熱容器104内部の温度を検知する温度セン
サ102と、干渉フィルタ106の周縁部に設けられた
ヒータ103とからなり、干渉フィルタ106の周縁部
における温度を温度センサ102により検知し、ヒータ
に流す電流を制御することにより干渉フィルタ106の
温度が一定温度となるように制御される。この干渉フィ
ルタ温度制御装置では、センサの温度とフィルタの温度
が同一であるものとして、フィルタ製作時に想定した温
度に調整される。
【0006】レーザによる大気観測等の目的でレーザレ
ーダ(『Light Detection And Ranging』、一般にライ
ダと称している)装置を人工衛星に搭載する場合、地表
や雲からの太陽光の反射の影響を除くために極めて透過
帯域幅の狭い干渉フィルタを使用する必要があるが、先
に説明したような理由により干渉フィルタの温度制御が
必要となる。
【0007】地上では大気が存在するので、一定温度に
保たれた容器の中に収納された干渉フィルタは容器内の
温度と等しい温度に保たれる。これはフィルタ周縁の固
定している部分を介して干渉フィルタ自身の「熱伝導」
により中心部に伝わる熱も若干存在するが、干渉フィル
タの主たる構成材料たるガラスや石英ガラスの熱伝導率
が低いため、大部分は大気の対流等を原因とした移動に
より熱が伝達され、中心部もほぼ同一の温度に保たれる
ことによる。
【0008】しかしながら、宇宙では大気が存在しない
ことから上述のような大気による熱伝達が期待できず、
干渉フィルタの中心部の温度はフィルタの周縁部や容器
の温度と異なり、干渉フィルタの透過中心波長も場所に
より差異が生じることになる。
【0009】単に「大気が存在しない」だけの問題であ
れば、気密容器の中に温度制御用の容器と干渉フィルタ
を入れ、空気や乾燥窒素等を封入すればよいが、宇宙空
間では重力が無い関係上、「容器内に対流が生じない」
ので熱を干渉フィルタの中心部に伝えてフィルタ全体を
均一の温度とすることは困難である。
【0010】レーザレーダ装置の実績としては、スペー
スシャトルに搭載されて短時間の計測が人の操作により
行われたのみであり、使われた干渉フィルタの透過帯域
幅も比較的広いものであったが、これまでに発表された
限りでは相応のデータが取得され、今後の発展が期待さ
れている。今後は、無人の観測衛星に搭載して長期間の
観測を行うことが各国で計画され、昼間の観測も考慮さ
れている。その際、透過帯域幅が狭い干渉フィルタの使
用が不可避であり、このフィルタを効果的に活用するた
めには、干渉フィルタの全面に亘って均一の温度とする
ことが大きな課題となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のフィル
タ温度制御装置においては、宇宙環境下での干渉フィル
タの温度不均一に伴って透過率が低下してしまうという
問題がある。
【0012】その理由は、透過帯域幅の狭いフィルタで
は温度変動による透過中心波長の僅かなズレが所要波長
の透過率の減少につながり、フィルタの場所により温度
が異なれば、何れかの場所で透過率が最大となるような
最適な温度に設定しても、他の場所では透過率が低下す
る温度となり、全面の透過率としては低下することによ
る。例えば、図7に示した従来の温度制御装置をそのま
ま宇宙環境下で利用した場合、温度センサ102の部分
では±1℃とすることは可能であっても、ヒータ103
で発生した熱が干渉フィルタ6の周縁から中心部へ伝導
する過程で温度勾配が生じてしまい、フィルタ全面に亘
って±1℃の範囲に抑えることは極めて困難である。こ
のような温度不均一に伴う透過率の低下は、微弱な信号
光を扱うシステムでは特に観測精度等に大きな影響を及
ぼす。
【0013】なお、信号光を吸収するおそれのあるヒー
タ103を光路を遮る場所に置き、フィルタ中心部を加
熱するという方法を採ることは望ましくない。また、導
電性の膜を蒸着してヒータの代わりとすることも考えら
れるが、この場合でも若干の吸収があり、膜厚と透過率
等を考慮すると必ずしも実用的でない。
【0014】また、特開昭62−103587号公報に
述べられているように、入射角を変化させる目的で干渉
フィルタを傾けて使用し、干渉フィルタの透過中心波長
のシフトを補正するものもあるが、この場合には、フィ
ルタの各箇所の温度変化に応じて傾きを調整する装置を
駆動せねばならないことの他、宇宙環境下でのフィルタ
の温度の場所による不均一には対応できないため、今回
の用途には不向きである。さらに加えて、宇宙での使用
は打ち上げ口ケツト等の関係で重量、スペース、消費電
力が限度一杯で使用され、各搭載機器はグラム単位の重
量低減、ミリワット単位の消費電力低減を要求され、付
加機能のために割り当てる余力が無いため、温度の不均
一分布を除去するために付加する装置に重量、スペー
ス、消費電力の制約がある。
【0015】本発明の目的は、上記各問題点を解決し、
宇宙環境下において干渉フィルタの温度不均一に伴う透
過率の低下を生じることがなく、また装置が大がかりな
ものとならない干渉フィルタ温度制御装置を提供するこ
とにある。さらには、その干渉フィルタ温度制御装置を
備えたレーザレーダ装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の干渉フィルタ温度制御装置は、干渉フィル
タと、前記干渉フィルタの周縁部に設けられたヒータ
と、前記干渉フィルタの縁周部における温度を検出する
温度センサとが断熱容器内に収納され、前記温度センサ
にて検出された温度を基に前記ヒータに流れる電流が制
御されて前記干渉フィルタの縁周部における温度が設定
温度に保たれる干渉フィルタ温度制御装置において、入
射平行光束に対して所定の拡がり角度を持つ発散光束を
出射する発散光学系を備え、前記発散光学系から出射さ
れた発散光束が前記干渉フィルタに入射するよう構成さ
れ、前記発散光束の拡がり角度が前記干渉フィルタの中
心部から周縁部に亘る温度不均一に伴う透過中心波長の
シフトを補正する角度に設定されたことを特徴とする。
【0017】上記の場合、前記発散光学系がリレー光学
系を兼用するものであってもよい。
【0018】さらに、前記発散光学系は、凸レンズと凹
レンズの組み合せであり、凸レンズと凹レンズとの間隔
が調整可能に構成されているものであってもよい。この
場合、前記凸レンズおよび凹レンズが、単レンズまたは
レンズ群よりなることを特徴とする干渉フィルタ温度制
御装置。
【0019】本発明のレーザレーダ装置は、上述のいず
れかの干渉フィルタ温度制御装置を備え、目標物からの
散乱光を集光した光束が前記干渉フィルタ温度制御装置
の干渉フィルタを介して光検出器に入射するよう構成さ
れたことを特徴とする。
【0020】上記の場合、前記光検出器が固体検出素子
より構成され、前記干渉フィルタ温度制御装置の干渉フ
ィルタを透過した光束を前記光検出器へ集光する集光光
学系がさらに設けられた構成としてもよい。
【0021】上記の通りの本発明によれば、以下のよう
な作用により、前述した干渉フィルタの中心部から周縁
部に亘る温度不均一に伴う透過中心波長のシフトの問題
が解決される。
【0022】干渉フィルタを周縁部(全周)からヒータ
により加熱した場合、フィルタ中心部の温度に比べて周
縁部の温度が高くなり、温度の高い周縁部側ほど透過中
心波長が長波長側へシフトすることは前述した通りであ
る。一方、干渉フィルタは光の入射角が大きくなるに従
って透過中心波長が短波長側へシフトする特性を有する
ことから、これを利用して、温度不均一に伴う透過中心
波長のシフトの補正を行うことができる。すなわち、温
度の高い周縁部側ほど透過中心波長が長波長側へシフト
することから、周縁部側ほど入射角度が大きくなるよう
に干渉フィルタに入射する光束に拡がりを持たせれば、
温度不均一に伴う透過中心波長のシフト(周縁部ほど長
波長側へシフト)と光束に拡がりを持たせたことによる
透過中心波長のシフト(周縁部ほど短波長側へシフト)
とが打ち消し合うことになり、この結果、温度不均一に
伴う透過中心波長のシフトの補正を行うことができる。
本発明では、発散光学系により出射された拡がりを持っ
た発散光束が干渉フィルタに入射するようになってお
り、しかも発散光束の拡がり角度は干渉フィルタの中心
部から周縁部に亘る温度不均一に伴う透過中心波長のシ
フトを補正する角度に設定されているので、干渉フィル
タに温度不均一に伴う透過中心波長のシフトは生じな
い。
【0023】また、本発明のうち、発散光学系が凸レン
ズと凹レンズの組み合せからなり、凸レンズと凹レンズ
との間隔が調整可能に構成されているものにおいては、
焦点を一致させると焦点距離は無限遠になり、レンズ間
隔をずらすことにより複合焦点距離を大きく変えること
ができる。よって、凸レンズと凹レンズとの間隔を調整
することにより、干渉フィルタを透過する領域を制限す
ることができるので、例えば温度変化の少ないフィルタ
中心近傍のみ使用するようにすることができる。また、
拡がり角度が一定となる発散光学系でも、凸レンズと凹
レンズとの間隔を調整することにより干渉フィルタの同
一箇所における入射角度は変わることになり、これによ
り温度不均一に伴う透過中心波長のシフトを補正する最
適な角度に調整することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。図1は、本発明の干渉フィル
タ温度制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
【0025】本実施形態の干渉フィルタ温度制御装置
は、干渉フィルタ6を収納する断熱容器4、干渉フィル
タ6の固定端における温度を検知する温度センサ2、熱
伝導により干渉フィルタ6をその周縁(全周)から加熱
するヒータ3、温度センサ2による温度検知結果を基に
各ヒータ3に流す電流を制御し、干渉フィルタ6の温度
を調節する制御部5からなる干渉フィルタ温度制御部
と、干渉フィルタ6への入射光束に対して拡がりを持た
せ、フィルタの温度不均一に伴う透過中心波長のシフト
を補正する発散光学系1とにより構成されている。
【0026】干渉フィルタ温度制御部における温度制御
では、干渉フィルタ6の温度を周囲温度より若干高めと
なるように設定すると、干渉フィルタ6から周囲に熱放
射が起こり、干渉フィルタ6自体の温度は下がろうとす
るが、このときヒータ3からの熱伝導により温度が上昇
する効果もあるので、両者が平衡状態となる温度に保た
れる。本形態では、この平衡状態における温度が設定温
度に保たれるように制御部5によるヒータ3の電流制御
が行われる。すなわち、制御部5は、設定温度より高く
なった場合はヒータ3における発熱量を減らし、設定温
度より低くなった場合は発熱量を増やし、温度センサ2
による検知温度が設定温度に保たれるように制御を行
う。
【0027】制御のために必要な、設定温度であるか否
かについての温度検出は、温度センサ2を用いて行われ
る。本形態の場合、温度センサ2は干渉フィルタ6の周
縁部の温度を計測するように構成されているため、干渉
フィルタ6の周縁部の温度が設定温度に保たれることに
なる。そのため、本形態では、設定温度は以下のように
設定される。
【0028】大気の存在しない宇宙環境下における干渉
フィルタ6の温度制御では、熱は輻射によるか、あるい
は熱伝導性の悪いフィルタの素材を経由した熱伝導によ
り、フィルタ中心部へ伝達されるに過ぎないので、フィ
ルタ中心部の温度は周縁部より低くなる。このため、干
渉フィルタ6の温度分布はフィルタ中心部が低く、周縁
部ほど高くなる。このように温度分布が生じる干渉フィ
ルタ6では、前述の課題でも述べたようにその温度分布
に応じてフィルタを構成する膜厚が変化するため、透過
中心波長もその温度分布に応じて変化しまい、フィルタ
中心部の透過中心波長に比べて周縁部の透過中心波長が
長くなる。このことは逆に考えると、中心部の透過中心
波長を所定の値になるように設定しようとする場合、温
度センサ2で計測している周縁部の温度を地上で最適と
なる温度よりも高めに設定せねばならないことを意味す
る。したがって、本形態では、干渉フィルタ6の周縁部
における温度が地上で最適となる温度よりも高めになる
ように設定温度が設定される。
【0029】上記のように、干渉フィルタ6の周縁部に
おける温度が地上で最適となる温度よりも高めに設定さ
れた場合、当然のことながら、干渉フィルタ6の周縁部
における透過中心波長は前述の図6に示したように長波
長側にシフトしてしまい、透過率が低下することにな
る。この問題を解決するために、本形態の干渉フィルタ
温度制御装置では、干渉フィルタ6への入射光束に対し
て、発散光学系1により、フィルタ中心部から周縁部に
亘るフィルタの不均一な温度分布に応じた拡がり角度が
付けられている。すなわち、以下の式に示すように、入
射角が増すにつれて透過中心波長が短波長側へシフトす
るという干渉フィルタの特性を利用して、フィルタ周縁
部側における透過中心波長の長波長側へのシフトを、周
縁部ほど入射角度をつけることにより打ち消し合わせる
ようになっている。
【0030】
【数1】 ここで、
【0031】
【外1】 はθだけ傾いた方向から入射する光に対する干渉フィル
タの透過中心波長、λOは垂直入射に対する干渉フィル
タの透過中心波長、
【0032】
【外2】 は干渉フィルタの屈折率である。
【0033】以下、この発散光学系1の具体的な拡がり
角度の設定について説明する。
【0034】上述の式に基づき、透過中心波長1064
nmの干渉フィルタにおける入射角度と透過中心波長の
シフトの関係を図2に示す。前述の従来の技術で述ベた
ように、一般に干渉フィルタには0.003nm/℃/
100nm(中心波長1000nmで0.03nm/
℃)程度の温度特性が有ることから、1℃の温度差に相
当する0.03nmの波長シフトを補正するには、図2
で見ると11mradの角度を付ければよいことにな
る。本形態では、このような角度付けが、発散光学系1
によって干渉フィルタの中心部から周縁部に亘る温度不
均一に伴う透過中心波長のシフトに対して行われてお
り、干渉フィルタへの入射光束は干渉フィルタ6の周縁
部側ほど入射角度が大きくなるように拡がりを持ったも
のとなっている。
【0035】図3(a)〜(e)は、干渉フィルタ6に
おける補正の様子を解りやすく示したもので、干渉フィ
ルタ6の中心部からヒータ3と接する周縁部に亘るまで
の範囲における各特性として、(a)に温度分布、
(b)に透過中心波長のシフト、(c)に干渉フィルタ
の入射角度、(d)に入射角度に対する透過中心波長の
シフト、(e)に補正後の透過中心波長のシフトが示さ
れている。
【0036】干渉フィルタ6の温度分布は、図3(a)
に示すようにヒータ3に接する周縁部で高く、熱伝導で
熱が供給されるのみの中心部で低くなっている。このた
め、図3(b)に示すような透過中心波長のシフトが生
じるが、この透過中心波長のシフトは以下のようにして
補正することができる。
【0037】発散光学系1により少し発散気味の光、即
ち中心は光軸と平行で外側ほど角度が付いた光を出射す
れば、このときの干渉フィルタ6への発散光束の入射角
度は、図3(c)に示すように干渉フィルタ6の中心付
近では光が垂直に当たり、周縁部ほど角度が付いた光が
入射するようになる。この場合の入射角に対する透過中
心波長のシフトは、図3(d)に示すようにフィルタ中
心部ではシフトは生じないが、周縁部側ほど短波長側へ
シフトする。よって、フィルタ周縁部側ほど温度が高い
ことによる透過中心波長の長波長側へのシフトが、発散
光学系1によってフィルタ周縁部ほど入射角度が付けら
れたことによる透過中心波長の短波長側へのシフトと相
殺されるようにすれば、温度分布に伴う透過中心波長の
シフトを補正することができ、これにより、透過中心波
長は、図3(e)に示すようにフィルタ中心部から周縁
部に亘ってぼぼ一定となる。
【0038】上述のような発散光学系1は単レンズで構
成することもできるが、その場合、フィルタ中心部から
周縁部に亘って入射光束に温度分布に応じた角度を付け
るには、極めて長い焦点距離のレンズが必要とされ、装
置が大型化する懸念もある。よって、発散光学系1の構
成としては、図4に示すような凸レンズ11と凹レンズ
12の組み合わせを利用したものが望ましい。このよう
に凸レンズ11と凹レンズ12とを組み合わせるものに
おいては、焦点を一致させると焦点距離は無限遠にな
り、レンズ間隔をずらすことにより複合焦点距離を大き
く変えることができ、干渉フィルタに入射する光束の拡
がり角度を温度不均一に伴う透過中心波長のシフトを補
正するのに最適な拡がり角度に調整することが容易にで
きるという利点がある。なお、図4では、レンズを一枚
づつ描いているが、実際には収差等を除くために何枚か
レンズを張り合わせた複合レンズを使用することもあ
る。
【0039】図4のような構成の発散光学系1を用いた
場合、発散光学系1は干渉フィルタ6を透過する光束を
縮小する機能も有するので、干渉フィルタ6の一部(温
度変化の少ないフィルタ中心近傍)のみ使用するように
すれば、透過中心波長をより一定なものにすることがで
き、透過率の向上を図ることも可能である。
【0040】本形態の干渉フィルタ温度制御装置の場
合、フィルタの温度分布に伴う透過中心波長のシフトの
補正を正確に行うためには、真空中での干渉フィルタ6
各部の温度の計測を行って、温度分布に応じた最適な入
射角の設定を行う必要がある。その方法として、例えば
干渉フィルタ6の裏面の各所に温度センサを取り付けて
計測することが考えられる。しかし、この場合には、取
り付けるセンサの数に限界があること、さらにはセンサ
に用いられるリード線を通した放熱による温度誤差が生
じること等の問題がある。このような問題に関係なくフ
ィルタの温度分布に応じた正確な補正を行うためには、
透過中心波長と同一の波長の連続光を発散光学系1を通
して干渉フィルタに当て、透過光を極めて小さな受光面
の光検出器、あるいは前面(受光面側)を小さな穴を開
けた遮光板で覆った光検出器を用いて微小部分の透過光
のみを計測できるようにし、その光検出器を動かしなが
らフィルタ各所における透過光量が一定であるかをモニ
タすればよい。
【0041】以上説明した干渉フィルタ温度制御装置で
は、干渉フィルタ6を介して光検出を行う場合、全体的
に透過光量が下がる場合は、温度設定の問題であるし、
フィルタの場所によって透過光量が異なる場合は、干渉
フィルタ6と発散光束との角度調整が不十分であるの
で、発散光学系のレンズ構成を変更してその発散角度の
最適化を行うか、あるいは凸レンズ11と凹レンズ12
との間隔を調節して干渉フィルタ6の各所における入射
角度を最適化する。このような操作により、干渉フィル
タ6は常に最大の透過率になるように調整されることか
ら、空気の対流による熱伝達が期待できない宇宙空間に
おいて透過帯域幅が極めて狭い干渉フィルタが用いられ
るレーザレーダ装置において、最適な計測が可能とな
る。
【0042】また、空気の対流等により干渉フィルタの
温度制御が行われるものにおいても、中心部に十分な熱
が伝えられず、温度分布が不均一となる場合は、本発明
の適用が可能であることはいうまでもない。
【0043】<レーザレーダ装置>図5は、本発明の干
渉フィルタ温度制御装置が用いられたレーザレーダ装置
の一実施形態を示すブロック図である。
【0044】このレーザレーダ装置は人工衛星などに搭
載されるものであって、信号光を発生する信号用光源2
1とその信号光を目標物に向かって照射する送信光学系
22と、目標物からの散乱光等を受信する受信光学系2
3と、該受信光を干渉フィルタ6を介して光電変換する
光検出器24と、光検出器24からの検出信号を基に信
号処理を行う信号処理装置25とからなる通常の装置構
成に加えて、干渉フィルタ6に対して前述の図1に示し
た干渉フィルタ温度制御装置の構成(図5の20)が設
けられている。光検出器24に光ダイオード等の固体検
出素子を使用する場合、一般に光検出器24の受光面が
小さいので、ここでは干渉フィルタ6と光検出器24と
の間に集光光学系26が設けられている。
【0045】このレーザレーダ装置では、信号用光源2
1が発生する光は送信光学系22を経由して宇宙空間か
ら地球に向かって照射され、例えば地球の大気やエアロ
ゾルや雲によって散乱された光が受信光学系23により
集光され、干渉フィルタ6で太陽光の反射によるノイズ
光が除去された後、光検出器24にて電気信号に変換さ
れる。光検出器24にて光電変換された電気信号は信号
処理装置25に送られ、データとして処理される。
【0046】干渉フィルタ温度制御装置20は、実際に
宇宙環境を実現出来る装置を用いて、予め真空中での所
定設定温度における温度分布を計測して、その温度分布
に伴う透過中心波長のシフトの補正がなされるように、
発散光学系1の拡がり角度が最適な状態に調整されてい
る。例えば干渉フィルタ6の透過帯域幅を0.3〜0.
4nm、温度設定精度±1℃という条件で、図2に示し
た入射角度と透過中心波長のシフトとの関係に基づい
て、1℃の温度差に相当する波長シフト(1064nm
で0.03nm)が入射角度として11mrad(約
0.6度)の傾きを付けるこにより補正されるといった
ような角度付けが行われている。
【0047】干渉フィルタ6では、ヒータ3と接する周
縁部における温度が設定温度に保たれるとともに、フィ
ルタ中心部から周縁部に亘る温度分布に伴う透過中心波
長のシフトが発散光学系1によって補正される。
【0048】また実際の装置では、構成機器の配置の関
係で受信光学系5から干渉フィルタ6までの間が長くな
る場合もあり、その間で受信した光ビームが不必要に大
きくならないように結像させながら光を転送するリレー
光学系を用いることがある。本形態では、発散光学系1
によってその機能を兼ねることもでき、発散光学系1の
追加は必ずしも装置の大型化や重量増加とはならない。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように構成され本発明によ
れば、温度不均一に伴う透過中心波長のシフトを補正す
ることができるので、空気の対流による熱伝達が期待で
きない宇宙環境下において透過帯域幅が極めて狭い干渉
フィルタが用いられる場合でも、透過率が低下すること
はなく、最適な計測が可能となる。
【0050】加えて、本発明は従来の装置に発散光学系
を加えるだけで構成可能であり、また、その発散光学系
は簡単な凸レンズと凹レンズの組み合わせで構成した
り、発散光学系として新たに光学系を追加せずとも、リ
レー光学系と兼用することが可能であることから、装置
が大がかりなものになることはく、コンパクトなレーザ
レーダ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の干渉フィルタ温度制御装置の一実施形
態を示すブロック図である。
【図2】入射角度と透過中心波長のシフトの関係を示す
図である。
【図3】(a)〜(e)は干渉フィルタにおける補正の
様子を説明するための図である。
【図4】発散光学系の一例を示す構成図である。
【図5】本発明の干渉フィルタ温度制御装置が用いられ
たレーザレーダ装置の一実施形態を示すブロック図であ
る。
【図6】温度変化と透過中心波長のシフトの関係を説明
するための図である。
【図7】従来の干渉フィルタ温度制御装置の一例を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1 発散光学系 2 温度センサ 3 ヒータ 4 断熱容器 5 制御部 6 干渉フィルタ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01S 7/48 - 7/51 G01S 17/00 - 17/95 G02B 5/20 - 5/28 G05D 23/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 干渉フィルタと、前記干渉フィルタの周
    縁部に設けられたヒータと、前記干渉フィルタの縁周部
    における温度を検出する温度センサとが断熱容器内に収
    納され、前記温度センサにて検出された温度を基に前記
    ヒータに流れる電流が制御されて前記干渉フィルタの縁
    周部における温度が設定温度に保たれる干渉フィルタ温
    度制御装置において、 入射平行光束に対して所定の拡がり角度を持つ発散光束
    を出射する発散光学系を備え、 前記発散光学系から出射された発散光束が前記干渉フィ
    ルタに入射するよう構成され、前記発散光束の拡がり角
    度が前記干渉フィルタの中心部から周縁部に亘る温度不
    均一に伴う透過中心波長のシフトを補正する角度に設定
    されたことを特徴とする干渉フィルタ温度制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の干渉フィルタ温度制御
    装置において、 前記発散光学系がリレー光学系を兼用することを特徴と
    する干渉フィルタ温度制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の干渉フィルタ温度制御
    装置において、 前記発散光学系は、凸レンズと凹レンズの組み合せであ
    り、凸レンズと凹レンズとの間隔が調整可能に構成され
    ていることを特徴とする干渉フィルタ温度制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の干渉フィルタ温度制御
    装置において、 前記凸レンズおよび凹レンズが、単レンズまたはレンズ
    群よりなることを特徴とする干渉フィルタ温度制御装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に
    記載の干渉フィルタ温度制御装置を備え、 目標物からの散乱光を集光した光束が前記干渉フィルタ
    温度制御装置の干渉フィルタを介して光検出器に入射す
    るよう構成されたことを特徴とするレーザレーダ装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のレーザレーダ装置にお
    いて、 前記光検出器が固体検出素子より構成され、前記干渉フ
    ィルタ温度制御装置の干渉フィルタを透過した光束を前
    記光検出器へ集光する集光光学系がさらに設けられたこ
    とを特徴とするレーザレーダ装置。
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