JP2877052B2 - 繊維強化熱可塑性樹脂シ−ト - Google Patents
繊維強化熱可塑性樹脂シ−トInfo
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Description
脂シ−トにおける強化繊維の重量含有率が高く、樹脂シ
−ト内の強化繊維の分散性が良好で、強化繊維同志が交
絡せず、シ−トの面内に強化繊維が均一に分散されてい
るため、すべての方向に対して強度、弾性率が均等であ
り、靭性に優れ、後加工時の強化繊維の流動性の良好な
繊維強化熱可塑性樹脂シ−トに関するものである。
てガラス繊維を強化繊維とした繊維強化熱可塑性樹脂シ
−トには強化繊維の形態及びその配向性の面から次のよ
うなものが存在する。 (1) 強化繊維として連続繊維を使用し、繊維が任意の配
向性を持つものとして、一方向強化熱可塑性樹脂プリプ
レグシ−トを同一方向に又は強化繊維が直交又は斜交す
る方向に積層された繊維強化熱可塑性樹脂シ−トがあ
る。このような樹脂シ−トは繊維の体積含有率を高くす
ることができる利点があり、繊維軸方向では弾性率、強
度に優れた特性を有する。またシェル構造物への適用が
可能である。 (2) 強化繊維として連続繊維を使用し、これを織物など
の強化形態として使用したものも強化繊維の体積含有率
を高くすることが可能であり、(1) に記載した強化繊維
の直交積層品と同様に繊維軸方向では弾性率、強度にお
いて優れている。 (3) 強化繊維として連続繊維を使用する場合、一般にス
ワ−ルマットと称されている強化繊維を不織布状にした
ものがある。これは、上記(1),(2) の場合のように面内
異方性を有しない特徴を持っているが、この場合強化繊
維の繊維体積含有率がその製造方法に起因して高くする
ことができず、そのため弾性率や強度に限界がある。こ
のような不織布の強化形態を持つものはスタンピング成
形に供されることが主である。 (4) 強化繊維として非連続繊維を使用するものとしては
チョップドストランドマットを使用するものがある。こ
れは、例えば25mmから50mm程度の繊維長を持つスト
ランド(繊維束)が強化材として使用される。この場
合、成形時の流動性、例えばスタンピング成形時の流動
性が良好であり、シェル構造物のみならず複雑な形状へ
の適用も容易である。
繊維ペレットを用いた成形品も開発されている。これに
は従来の射出成形品に使用される強化繊維の平均繊維長
が数百ミクロン程度であったのに対して数mmから十数mm
の平均繊維長を有するものも開発された。長繊維ペレッ
トを使用した場合、シェル構造物のみならず、複雑な形
状への適用も非常に容易であり、生産性に優れている利
点がある。また繊維の配向に関しても金型への樹脂の注
入の最適化などにより異方性を最小限にする努力が成さ
れている。しかしながら成形時に、強化繊維を樹脂によ
り流動化させる機構が必須であるため、強化繊維の体積
含有率を高くすることができない。強化繊維の体積含有
率が低いこと及び前記の他の繊維強化熱可塑性樹脂シ−
トと比較して、強化繊維の長さが短いために弾性率、強
度などの物性はスタンパブルシ−ト(スタンピング成形
に供する繊維強化樹脂シ−ト)と従来の射出成形品の中
間程度の大きさである。
性樹脂シ−トとして、前記(1) の場合は、例えば曲面を
有する構造物の賦形性に関しては、繊維を拘束する要因
がないため繊維の配向に乱れを生じやすく、強度のバラ
ツキが生じやすい欠点がある。上記(2) の場合は、成形
を最適条件で行わないとよれやしわなどが生じたり、強
化繊維の配向が所望する角度をなさず、最弱断面を生ず
る恐れがある。また上記(3) の場合は、連続繊維が交絡
しているため、強化繊維の流動性が不足して成形品に体
積含有率の分布が生じやすい欠点がある。更に上記(4)
の場合、チョップドストランドマットを強化材として使
用したものは、面内異方性を有しないが、体積含有率を
高くできない欠点があり、弾性率、強度に限界がある。
シ−トの種々な欠点に鑑み、強化繊維の重量含有率が高
く、強化繊維の分散性が良好で、シ−トの面内に繊維が
ランダムに分散されているため、強度、弾性率が面内疑
似等方性であり、靭性に優れ、かつ後加工時の強化繊維
の流動性も良好な繊維強化熱可塑性樹脂シ−トを提供す
ることを目的とするものである。
めに本発明の第1は、熱可塑性樹脂と開繊された強化繊
維とを主成分とし、該開繊された強化繊維の重量含有
率、50%から85%、熱可塑性樹脂の重量含有率、1
5%から50%、強化繊維の平均繊維長、5mmから5
0mmであり、該開繊された強化繊維が実質的に無方向
に分散されて熱可塑性樹脂と一体化されたランダム強化
タイプであることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートである。その第2は、JIS K 7052に準じ
て得られた強化繊維の重量含有率(Wf)に対して、任
意の場所から切り出した10/(100−Wf)gの繊
維強化熱可塑性樹脂シートの小片中に含まれる強化繊維
の重量含有率(Zf)が次式で表される範囲にあること
を特徴とする、上記第1発明記載の繊維強化熱可塑性樹
脂シートである。 (Wf−2)<Zf<(Wf+2) 但し、Wf:2g以上のサンプルから得られた強化繊維の重量含有率(%) Zf:10/(100−Wf)gのサンプルから得られた強化繊維の重量 含有率(%) その第3は、繊維強化熱可塑性樹脂シートをJIS K
7052に示される温度条件(625℃)で炭素質が
実質的に無くなるまで加熱した後の残渣が次式を満足す
ることを特徴とする、上記第1又は第2発明記載の繊維
強化熱可塑性樹脂シートである。 0.95<(t2/t1)<1.10 但し、t1:長繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚み(mm) t2:残渣の厚み(mm) その第4は、繊維強化熱可塑性樹脂シートをJIS K
7052に示される温度条件(625℃)で炭素質が
実質的に無くなるまで加熱した後の残渣中に含まれる強
化繊維が実質的に交絡していないことを特徴とする上記
第1、第2又は第3発明記載の繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートである。更にその第5は、強化繊維がガラス繊維で
あり、熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂、ポリオレフ
ィン系樹脂及び/又はポリアミド系樹脂である上記第
1、第2、第3又は第4発明記載の繊維強化熱可塑性樹
脂シートである。
長が5mmから50mmの強化繊維を使用して強化繊維
の重量含有率が50%から85%、熱可塑性樹脂の重量
含有率が15%から50%で、かつ強化繊維が実質的に
無方向に分散されて熱可塑性樹脂と一体化されたランダ
ム強化タイプの強化繊維を使用した場合のみが本発明の
目的に合致した弾性率と強度に優れ、シート面内の異方
性が無く、疑似等方性の繊維強化熱可塑性樹脂シートが
得られることが判明した。それ以外の条件ではシート面
内の異方性に問題があり、疑似等方性の繊維強化熱可塑
性樹脂シートが得られず、弾性率と強度において劣るも
のであった。例えば平均繊維長5mmから50mmの強
化繊維としてガラス繊維を使用して、強化繊維の重量含
有率が85%を超過し、従って熱可塑性樹脂の重量含有
率が15%未満の場合は製造された樹脂シートの表面に
強化繊維が出現して樹脂シートとしては使用することが
できない。また同様に強化繊維の重量含有率が50%未
満であり、樹脂の含有率が50%を超過した場合は得ら
れた樹脂シートの強度、弾性率が低く、本発明の目的と
するランダム強化タイプの樹脂シートが得られない。
素繊維、ガラス繊維などの無機繊維、ボロン繊維などの
金属繊維などがあるが、コストの面、組み合わせる熱可
塑性樹脂との弾性率、強度のバランスの点から、従来F
RPに使用されているガラス繊維が好適に使用される。
な構成であり、かつJIS K 7052に準じて得ら
れた強化繊維の重量含有率(Wf)に対して任意の場所
から切り出した10/(100−Wf)gの小片中に含
まれる強化繊維の重量含有率(Zf)が次式で表される
範囲にあることが好ましい。 (Wf−2)<Zf<(Wf+2) 但し、Wf:2g以上のサンプルから得られた強化繊維
の重量含有率(%) Zf:10/(100−Wf)gのサンプルから得られ
た強化繊維の重量含有率(%) である。JIS K 7052では強化繊維の重量含有
率測定の際には2g以上の試料を用いることが規定され
ている。その理由に関してはJIS本文もしくは解説中
にも何等記載はないが、2g未満の試料では繊維の重量
含有率にばらつきを生じ、正確な重量含有率が算出でき
ないことを前提としていると考えられる。この点よりし
て本発明においては10/(100−Wf)gの上記J
IS K7052に規定する量よりもわずかな試料を使
用することによって、この小片中の繊維重量含有率が上
記の式で表される範囲内にあることより、始めて強化繊
維の分布が良好であり、特性値のばらつきが小さい繊維
強化熱可塑性樹脂シ−トを得ることができるのである。
この強化繊維の分散性の良さは過剰な樹脂の溜りや、繊
維が熱可塑性樹脂シ−ト内で繊維束状に遍在することに
よる最弱断面、即ち破壊の起点の存在確率が小さいので
ある。即ち本発明者等の研究結果によって、繊維強化熱
可塑性樹脂シ−トの2g未満の極小範囲における任意の
個所からサンプルを採取して、 Wf−2<Zf<Wf+2 の式を満足することによって、該樹脂シ−ト内における
すべての領域において強化繊維の分散性及び過剰な樹脂
の溜り、強化繊維の偏在が無く、本発明の樹脂シ−トの
破壊を惹き起す起点が無いか又は著しく小さいことが判
明して、本発明の樹脂シ−トの要件の一つとしたのであ
る。なお、この条件を満たすには試料から小片を切り出
す、もしくは削り出す際に強化繊維が熱可塑性樹脂と一
体化していることが必須であり、繊維と樹脂との間の接
着性や濡れ性及び含浸が良好であることが必要なことは
いうまでもない。
K 7052に示される温度条件(625℃)で炭素
質が実質的に無くなるまで加熱した残渣が次式を満たす
ことが望ましい。 加熱前の厚みと残渣の厚みとの比(t2/t1)が大き
い場合、強化繊維の弾性回復によるスプリングバック
(Spring back)がその原因として上げられ
る。このような現象は熱可塑性樹脂に埋め込まれている
強化繊維が、大きな弾性変形によるエネルギーを蓄積し
ている証拠であり、このエネルギーは残留応力として蓄
積されている。残留応力は長期使用には徐々に開放され
るか、もしくは熱可塑性樹脂の熱変形温度近辺における
使用中にシートの寸法安定性に悪影響を与えることがあ
り、問題である。しかしながら繊維強化熱可塑性樹脂シ
ートが0.95<(t2/t1)<1.10の条件を満
足する場合には、強化繊維に大きな弾性エネルギーが蓄
積されていないのである。(t2/t1)の値が上記以
外の場合は強化繊維に大きな弾性エネルギーが蓄積され
ており、熱可塑性樹脂シートの寸法安定性に悪影響があ
り採用することができない。
5℃で繊維強化熱可塑性樹脂成形品シート中の樹脂成分
を燃えつくした場合には残渣の形態がもとの樹脂シート
の形態よりも収縮、所謂へこみ(極端にはもとの形態を
とどめない)を生ずるし、また、t2/t1≧1.10
の場合は、同様な処理によって残渣の形態が拡張され
て、成形品の寸法安定性を害し、本発明の目的を達成す
ることができないのである。しかもt2/t1を測定す
ることによって始めて上記の現象が明らかになった。例
えばガラス繊維が不均一に樹脂シートの面内に分散され
ている場合は、上記のへこみや拡張が生じ、t2/t1
≦0.95か又はt2/t1≧1.10となることが本
発明者等によって始めて見出されたのである。
の式を満たすもう一つの物理的な意味は、強化繊維がシ
−トの面内に良く分散しているということである。強化
繊維が面内に良く分散されており、面外へ配向する成分
が少ないことは、面内の応力伝達に寄与する強化繊維が
多いことを意味する。このことは繊維強化熱可塑性樹脂
シ−トがシェル構造を有する構造物に用いられる場合に
有利である。シェル構造において、面内、面外の変形を
問わず、面内に分散、配向している繊維が多いことは、
構造体に掛かる外力を速やかに面内に伝達、分散するこ
とが可能であることを示す。
IS K 7052に示される温度条件(625℃)で
炭素質が実質的に無くなるまで加熱した後の残渣中に含
まれる強化繊維が実質的に交絡していないことが本発明
の望ましい要件の一つである。このような特徴を持つ繊
維強化熱可塑性樹脂シートは、連続した平面を持つシェ
ル構造において非常に有効である。シェル構造の変形に
よるひずみは、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂−強化繊維
界面及び強化繊維への伝達を繰り返す。強化繊維が実質
的に交絡していない繊維強化熱可塑性樹脂シートは、強
化繊維の高い弾性率及び強度を活かし、しかも熱可塑性
樹脂の持つ延性を十分に発揮することができる。つまり
本発明の強化繊維と熱可塑性樹脂との組み合わされた繊
維強化熱可塑性樹脂シートは、その弾性率、強度が発現
されるのみならず、靭性も十分に発揮することができ
る。繊維強化熱可塑性樹脂シートにおいて、強化繊維が
実質的に交絡していないことにより、この繊維強化熱可
塑性樹脂シートを複雑形状を有する構造物に後成形加工
(例えばスタンピング成形やホットプレス成形)する
際、強化繊維の流動性が良好であり、構造物中での繊維
重量含有率のばらつきを最小限に押さえることができ
る。
いられる熱可塑性樹脂としては、ナイロン6、ナイロン
12、ナイロン66、ナイロン46に代表されるポリア
ミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トやポリブチレ
ンテレフタレ−トなどのポリエステル系樹脂、ポリエチ
レンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポ
リエ−テルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂、ポリエ−テルイミド樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂な
どが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではな
い。しかしながら耐熱性が要求される分野においては、
熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることが好まし
い。特に耐熱性や機械的強度、クリ−プ特性、耐薬品
性、耐油性が要求される分野では、ポリエチレンテレフ
タレ−トがより好ましい。また加水分解防止剤、熱劣化
防止剤等の添加剤を目的に応じて添加することができ
る。
熱水性、耐化学薬品性が要求される分野には、熱可塑性
樹脂がポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。更
に好ましくは経済的に優れることから、ポリプロピレン
であることが望ましい。ポリプロピレンは、その本来持
つ特性から強化繊維との接着性に乏しいことが欠点とし
て挙げられていたが、近年、酸変性することにより接着
性が改良された。そのため本発明の繊維強化熱可塑性樹
脂シ−トにポリプロピレンを用いる場合は、このような
変性が成されていることが好ましい。
要な場合には、熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である
ことが好ましい。更に好ましくはナイロン6であること
が望ましい。この場合、例えば酸素雰囲気下で、加熱さ
れると酸化劣化を起こすことがあるが、これを防止する
ために酸化劣化防止剤等を目的に応じて添加することが
できる。
可塑性樹脂シ−トを製造するには、 1.連続ガラス繊維束を引き揃え、これを良く開繊させ
る工程 2.引き揃え、開繊された連続ガラス繊維束に熱可塑性
樹脂を付与する工程 3.一体化されたガラス連続繊維強化熱可塑性樹脂を長
手方向に対し、所望の幅及び長さに裁断する工程 4.裁断された薄片を無配向に、均一に堆積させる工程 5.堆積した薄片を加熱溶融し、ガラス繊維強化熱可塑
性樹脂シ−トに成形する工程 が必須である。以下にこれらの工程について詳細に説明
する。
き揃え、これらを十分に開繊させる。この場合、引き揃
える連続ガラス繊維の本数は特に限定されるものではな
い。この第1工程において重要なことは、連続ガラスの
繊維が十分に開繊されていることである。これらの開繊
が不十分であると、繊維束と繊維束の間隙が広くなり、
最終的には熱可塑性樹脂の余剰な部分が生じたりするこ
とがある。
を付与する工程である。熱可塑性樹脂の付与方法は直接
溶融した熱可塑性樹脂を含浸する方法、フィルム状の熱
可塑性樹脂を溶融して含浸させる方法、粉体状の熱可塑
性樹脂を溶融して含浸させる方法などがあるが、特にこ
れらに限定されるものではない。連続ガラス繊維に熱可
塑性樹脂を付与する工程において重要なことは、連続ガ
ラス繊維と熱可塑性樹脂とが十分に一体化されているこ
とである。例えば前工程で、繊維の開繊性が不良である
と熱可塑性樹脂の含浸が困難になり、連続ガラス繊維と
熱可塑性樹脂の濡れ性が得られず、界面の接着性が不良
になったり、空洞が残るなどの不具合が生じる。この工
程で生じた不具合は、最終の繊維強化熱可塑性樹脂シ−
トの物性に大きな影響を及ぼすため、最も注意が必要で
ある。
脂複合材料を所望の寸法に裁断する工程が必要である。
この際、繊維軸に垂直な方向の幅や繊維軸方向の長さ
は、慎重に選択することが必要である。裁断の方法は特
に限定されないが、ペレタイザ−、ギロチン方式、コダ
ック方式等のカッタ−が利用できる。
一に堆積させる工程である。この工程で重要なことは薄
片を面内に良く分散させることである。薄片などを分
散、堆積させる方法としては、チョップドストランドマ
ットの製造に用いられるような方法が利用できる。例え
ば連続的に生産する場合は前記工程の長手方向の裁断し
た薄片を直接高い位置から自然落下させ、ベルトコンベ
ア−上に堆積させる方法や、落下経路にエア−を吹き込
むか、もしくは邪魔板を取り付ける方法などが考えられ
る。バッチ式の製造の場合は、予め裁断した薄片を容器
に蓄積しておき、この容器の下面に搬送装置を取り付け
金型へ分散させる方法などが考えられる。
は、ベルトプレスにより加熱冷却を連続して行う方法
や、加熱冷却プレスを用いるバッチ方式などが考えられ
る。分散された薄片は上記の工程において既に樹脂がガ
ラス繊維間へ含浸しているため、シ−トへの成形は比較
的低圧で行うことができる。即ち、堆積させた薄片と薄
片との間にある空気を押し出すだけの圧力があれば、優
れた含浸状態のシ−トを得ることができる。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお各評価については以下の通りに行った。強化繊維の
重量含有率(Wf)は、JIS K 7052に準じ、
厚さ2mm、250mm角の熱可塑性樹脂シ−トの任意の位
置から切り出した2g以上を電子天秤を使用して、1mg
まで正確に測定し、これを電気炉中で雰囲気温度625
℃で、4時間加熱した。炭素質が完全になくなってから
デシケ−タに移して室温になるまで冷し、焼成後の質量
を1mgまで測定した。焼成前後の質量からガラス繊維の
重量含有率を算出した。
り、10/(100−Wf)gの試料をニッパ−を用い
て削り出し、これを予乾燥したルツボ(乾燥後の重量を
M1gとする)に入れ、電子天秤で0.1mgの単位まで
秤量し(これをM2gとする)、JIS K 7052
に準じる温度(625℃)で4時間焼成して樹脂分を取
り除いた後、デシケ−タ中で十分に放冷し、サンプルを
含むルツボを電子天秤で0.1mgの単位まで秤量した
(これをM3gとする)。これらの値を用いて、次式に
より繊維重量含有率(Zf)を算出した。 Zf=(M3−M1)/(M2−M1)×100 但し、Zf:繊維の重量含有率(%) M1:ルツボの乾燥質量 M2:焼成前のルツボとサンプルの質量 M3:焼成後のルツボとサンプルの質量 である。
角の試料をJIS K 7052に準じる温度(625
℃)で4時間焼成して樹脂分を取り除いた後、この残渣
中に含まれる任意の強化繊維100本を取り出し、これ
らの長さを0.5mmの精度を持つ金尺で測定し、これら
の平均値を求めた。繊維の交絡の度合いは、上述の平均
繊維長を求めるために任意の1本の繊維を引き抜く際の
引き抜き易さで求め、引き抜きが容易な場合は○、引き
抜きが困難な場合は×で表した。更に、焼成前の繊維強
化熱可塑性樹脂シ−トの厚みと、焼成後の残渣の厚みを
ノギスで測定し、この厚みの比を計算し、この比が0.
95から1.10の範囲に入るものを○、これを越える
ものを×として示した。
JIS K 7055に規定される曲げ試験方法のA法
により、曲げ弾性率、曲げ強度を測定し、〔表1〕に示
した。(測定値は5個のサンプルの平均値である)。こ
の場合、比較例1及び2については面内の異方性を持つ
ため、繊維軸方向(0゜)と、繊維軸と45゜の角度を
成す方向についても検討を行った。賦形性の評価に関し
ては、溝加工を施した金型に材料を投入し、この溝部分
への材料の流れ込みを断面観察により評価を行った。強
化繊維の流動性が良好なものについては○、殆ど強化繊
維が流れ込んでいないものについては×で示した。
開繊したガラス繊維束に、溶融したポリエチレンテレフ
タレ−トをダイ内にて含浸して幅10mmの連続ガラス繊
維強化ポリエチレンテレフタレ−トを作製した。これを
ギロチン方式の裁断機を用いて、長さ20mmに裁断し、
高さ1.5mの位置より金型に自然落下させ、無方向的
に堆積させた。このガラス繊維とポリエチレンテレフタ
レ−ト樹脂からなる繊維強化熱可塑性樹脂薄片の堆積物
を、加熱冷却プレスを用いて、成形温度285℃、成形
圧力10kgf/cm2 、成形時間10分の条件で加熱溶融
し、厚み2mmのシ−ト状成形物を得た。評価結果を〔表
1〕に示す。
ることが、実施例1と異なる繊維強化熱可塑性樹脂薄片
の堆積物を、成形温度220℃、成形圧力10kgf/cm
2 、成形時間10分の条件で加熱冷却プレス成形し、厚
さ2mmのシ−ト状成形物を作製した。評価結果を〔表
1〕に示す。
が50mmであることのみが実施例2と異なる堆積物を、
成形温度220℃、成形圧力10kgf/cm2 、成形時間
10分の条件でプレス成形し、厚さ2mmのシ−ト状成形
物を作製した。評価結果を〔表1〕に示す。
樹脂の配合比が異なる繊維強化熱可塑性樹脂を、成形温
度220℃、成形圧力10kgf/cm2 、成形時間10分
の条件でプレス成形し、厚さ2mmのシ−ト状成形物を作
製した。評価結果を〔表1〕に示す。
樹脂の配合比が異なる繊維強化熱可塑性樹脂を、成形温
度220℃、成形圧力10kgf/cm2 、成形時間10分
の条件でプレス成形し、厚さ2mmのシ−ト状成形物を作
製した。評価結果を〔表1〕に示す。
強化熱可塑性樹脂を、成形温度250℃、成形圧力10
kgf/cm2 、成形時間10分の条件でプレス成形し、厚
さ2mmのシ−ト状成形物を作製した。評価結果を〔表
1〕に示す。
一方向連続繊維強化プリプレグシ−トを積層し、これを
成形温度220℃、成形圧力10kgf/cm2 、成形時間
10分の条件でプレス成形し、厚さ2mmのシ−ト状成形
物を作製した。評価結果を〔表1〕に示す。
なる連続繊維強化プリプレグシ−トを積層し、これを成
形温度220℃、成形圧力10kgf/cm2 、成形時間1
0分の条件でプレス成形し、厚さ2mmのシ−ト状成形物
を作製した。評価結果を〔表1〕に示す。
ピレン樹脂からなる繊維強化熱可塑性樹脂を、成形温度
220℃、成形圧力10kgf/cm2 、成形時間10分の
条件でプレス成形し、厚さ2mmのシ−ト状成形物を作製
した。評価結果を〔表1〕に示す。
リエチレンテレフタレート樹脂からなる繊維強化熱可塑
性樹脂を、成形温度285℃、成形圧力10kgf/c
m2、成形時間10分の条件でプレス成形し、厚さ2m
mのシート状成形物を作製した。評価結果を〔表1〕に
示す。
は、従来の繊維強化熱可塑性樹脂シ−トと比較して、強
化繊維の重量含有率が高く、分散性が良好で、面内に強
化繊維がランダムに分散されているため、強度、弾性率
等の物性に優れ、ほぼ面内等方性であり、かつ後加工時
の強化繊維の流動性も良好な優れた成形材料である。
Claims (5)
- 【請求項1】 熱可塑性樹脂と開繊された強化繊維とを
主成分とし、該開繊された強化繊維の重量含有率、50
%から85%、熱可塑性樹脂の重量含有率、15%から
50%、強化繊維の平均繊維長、5mmから50mmで
あり、該開繊された強化繊維が実質的に無方向に分散さ
れて熱可塑性樹脂と一体化されたランダム強化タイプで
あることを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂シート。 - 【請求項2】 JIS K 7052に準じて得られた
強化繊維の重量含有率(Wf)に対して、任意の場所か
ら切り出した10/(100−Wf)gの繊維強化熱可
塑性樹脂シートの小片中に含まれる強化繊維の重量含有
率(Zf)が次式で表される範囲にあることを特徴とす
る、請求項1記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。 (Wf−2)<Zf<(Wf+2) 但し、Wf:2g以上のサンプルから得られた強化繊維の重量含有率(%) Zf:10/(100−Wf)gのサンプルから得られた強化繊維の重量 含有率(%) - 【請求項3】 繊維強化熱可塑性樹脂シートをJIS
K 7052に示される温度条件(625℃)で炭素質
が実質的に無くなるまで加熱した後の残渣が次式を満足
することを特徴とする、請求項1又は2記載の繊維強化
熱可塑性樹脂シート。 0.95<(t2/t1)<1.10 但し、t1:長繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚み(mm) t2:残渣の厚み(mm) - 【請求項4】 繊維強化熱可塑性樹脂シートをJIS
K 7052に示される温度条件(625℃)で炭素質
が実質的に無くなるまで加熱した後の残渣中に含まれる
強化繊維が実質的に交絡していないことを特徴とする請
求項1又は2又は3記載の繊維強化熱可塑性樹脂シー
ト。 - 【請求項5】 強化繊維がガラス繊維であり、熱可塑性
樹脂がポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及び
/又はポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項
1又は2又は3又は4記載の繊維強化熱可塑性樹脂シー
ト。
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