JP2868943B2 - 半導体素子電極とリードとの接続構造および実装方法 - Google Patents

半導体素子電極とリードとの接続構造および実装方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子の実装にお
いて、半導体素子上の電極とリードとの接続構造および
その接続方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の実装において、半導体素子
上の電極とリードフレーム若しくはTAB(Tape Autom
ated Bonding) テープのリードとを接続するのに幾つか
の方法が実用されている。すなわち、Au,Alなどの
金属細線を用いて電極−リード間を架橋接合するワイヤ
ーボンディングや、素子上に設けた電極バンプにリード
を直接接合するTABテープ接合及びフェイスダウンボ
ンディングなどであるが、前者の方法では、金属細線の
接合に際し、キャピラリー先端での熱圧着や超音波振動
による物理的負荷を付与するため、時として半導体素子
に影響を及ぼしたり、隣接する架橋細線間に接触か起き
ないように設置間隔が制約されるため、特に近時のよう
な多ピン化の要請に対応することが厳しくなるという問
題を有している。また、後者の場合には、多数バンプを
一括接続するのであるが、接合温度が高く上記と同様な
問題が残る外、バンプ数が多くなる程接続を安定して行
うことが難しくなる。一方、バンプは通常高純度のAu
を電極上にメッキなどの方法で作られ、硬度を下げてリ
ードとの接合を良好にするために、ほぼ250〜300
℃で熱処理されるが、この熱処理中にAuと電極(A
l)との拡散によって、Au−Al界面の劣化を起こす
ことがあり、これを防止するために、TiW等の拡散防
止金属薄膜を両金属間に介在させるという複雑な手段を
講じなければならない。
【0003】この様な細線を用いたり、熱付与によって
起こる問題点を解消するために、最近では半導体素子の
電極とリードとをメッキ金属で接合する方法が提案され
ている。例えば、特公昭57−50056号公報には、
半導体素子上に形成された電極と、リード用配線の端部
とを近接配置し、電極−リード間隙をメッキ法により接
続することを開示している。また特開平2−66953
号公報では、表面に基盤電極を有する回路基盤と、表面
に突起状電極を有する半導体素子を下向きにし、両者間
に所定の空間を設定して樹脂層で接着し、前記基盤電極
と、突起電極とをメッキ法で接続する半導体素子の実装
構造が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように半導体素
子の電極とリードとをメッキ金属で接合する技術は、既
に知られているが、従来のこの種の方法では、前記電極
とリードとの間隔をすべて均一に設定することは困難で
あり、従って、接合するメッキ金属が必ずしも均等に付
着しないため、不足部分を補うためにメッキ時間を長く
しなければない。そのために相対的に付着するメッキ量
が多くなって、ピン構造には不向きとなる。仮に、間
隙を均一に設定したとしても、メッキ金属は、当初電極
或いはバンプの表面およびリード表面に夫々付着し、両
面より次第に発達して接合(架橋)するため、この間隙
を埋めるためにかなりの時間を有すると共に、夫々の面
からの付着量が必ずしも一定にはならず、前記と同様の
問題が起きる。又、電気メッキする場合には、電極或い
はバンプ側にメッキ電極を接続するのが困難であるこ
と、リード側からメッキが成長し、電極或いはバンプに
接触してはじめてメッキが電極側からも成長すること、
などからメッキの不均一性の問題がより顕著になる。
【0005】本発明は、この様な従来の問題点を解決す
るものであって、メッキ接合するに際し、リードに突起
を設け、このリードと半導体素子上の電極或いはバンプ
(以下電極と言う。)とを直接接触させた構造にするこ
、およびこのリードを用いて均一且つ、安定した多ピ
ン向きのメッキ接合部が効率よく得られる半導体装置の
実装方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、以下の構成を要旨とする。すなわち (1)リード先端に、メッキにより5〜200μm高さ
の同一材質あるいは電気導体の突起を設け、該突起と半
導体素子の電極とを接触させ、メッキにより接続した半
導体素子電極とリードとの接続構造、および (2)リードを、その先端より5〜200μm内側の範
囲で折曲げて突起を形成し、該突起と半導体素子の電極
とを接触させ、メッキにより接続した半導体素子電極
ードとの接続構造であり、また、 (3)リード先端に、リードと同一材質もしくは電気導
体で5〜200μm高さの突起を設けておき、リード先
端の突起と半導体素子上の電極とを同位置に配置すると
共に電気的に導通が得られるように接触、固定せしめ
て、メッキ浴中に浸漬するか、メッキ液噴霧中に置き、
リードと半導体素子上の電極をメッキ金属により接続す
ることを特徴とする半導体素子の実装方法である。
【0007】この結果、TABやリードフレームのリー
ドと半導体素子の電極とを位置合わせが容易であり、安
定した均一のメッキ接続を極めて効率よく実施すること
を可能とする。尚、上記リード先端の折り曲げは、リー
ド長手方向に垂直だけでなく、垂直線に±45゜範囲で
傾斜させたり、折り曲げ点から湾曲させてもよい。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
リードは、半導体の電極に直接接触させるTABテープ
もしくはリードフレームなどのリードであり、その先端
に突起を設ける。図1の(a)乃至(d)は本発明リー
ドを、2層TABテープを用いてメッキ法により製造す
る一例の概略図を示すものであって、基盤ポリイミドフ
ィルム1にCuリード2を有するTABテープ3に、
(a)図に示すようにレジストフィルム4を全面に熱圧
着した後、リード先端部分のレジストフィルム4を露光
現像して窓開け処理を行い、(b)図に示すように窓5
を形成しリード面を露出させる。この様に形成したTA
Bテープはメッキ浴中に浸漬し電気メッキを施すことに
より、図(c)に示すように窓内にリード2面に付着
したメッキ金属を成長堆積させる。メッキ方法は特に
限定する必要はなく、メッキ液を噴射せしめてメッキ金
属を付着させる方法やその他の方法を採用できるが、例
えばCuを電気メッキする場合には、硫酸銅溶液を用
い、電流密度30〜300A/m2 とすることが好まし
い。その後レジストフィルム4を除去し、(d)図に示
すようにリード先端部にメッキ金属の突起を形成した
TABテープが得られる。図2は図1(d)におけるA
−A線断面であり、リード先端部7に突起6が形成され
た状態を示している。
【0009】突起を形成するメッキ金属としては、リー
ドと同種金属或いは他の導電金属、例えばCu,Snお
よびこれら金属の合金や半田などの低融点金属を用いる
ことができる。また、突起の高さはリードが半導体と
の接触が起きないような間隔を保持できる高さ、すなわ
ち、ほぼ5μm以上あれば充分である。しかしあまり高
くすると、メッキ時間が長くなり生産効率を低下すると
共に、窓の高さ以上の部分でメッキ金属の不均一付着
を起す可能性があり、従って200μm以下にするのが
良く、絶縁被膜の厚み(即ち窓の高さ)以上40〜
100μmとなるが好ましい。絶縁被膜の厚さは通常5
0μm以下であるが、突起高さがその厚さ以下である場
合には突起側の絶縁被膜を除去する。図1はこの場合の
例を示した。
【0010】一方図3の(a),(b)は、リード先端
を折曲げ加工して突起6を形成する場合の概略を示す一
例であって、(a)図に示すように、リード1の先端7
はその部分に基盤フィルム等の被膜がある場合にはこれ
を除去して露出しておき、固定外型8aと可動内型8b
よりなる折曲型台8に配置し、(b)図に示すように、
内型8bを降下せしめてリード先端7を、その最先端よ
り5〜200μm内側の範囲で折曲げて突起6を作る。
突起の折曲げ角度は、リード2に対して直角が好ましい
が、これに限定する必要はなく、内側又は外側に45゜
の範囲のであれば支障ない。また、円弧状に形成しても
よい。
【0011】この様にして設けたリード先端の突起6
は、図5に示すように、半導体素子9上に設置した電極
10上に位置するよう位置合わせをしてから電極10と
電気的に接触させ、移動しないように治具11固定す
る。図5は、突起6付きリード2を有するTABテープ
を固定する場合を示しているが、治具11はアクリル、
セラミックス或いはガラス等の材料からなる上下の支持
材11a,11bからなり、下部支持材11bには半導
体素子9を収納し、電極レベルを特定する凹部11cを
設け、TABテ−プを上下支持材11a,b間に挟持
し、かつ位置合わせをしてからピン11dで固定できる
構造となっている。
【0012】治具によって組み込まれたリード2及び素
子9は、突起6と電極10の接触を保ちながら図6に示
すようにメッキ浴12に浸漬され、リードを陰極として
電気メッキする。この際リ−ド露出面には、突起部分を
除いて油性塗料を塗布しておき、メッキ浴中でのメッキ
析出を防ぐことが好ましい。この結果リード突起部と半
導体素子の電極とは図4に示すようにメッキ金属13で
被覆されて接合する。
【0013】メッキ方法は上記した方法に限らず、メッ
キ液を吹き付ける等の手段、その他の方法を用いてもよ
く、両接合部を電気的に導通できるようにメッキ接合で
きればよい。又電極には、Al電極の上面にTiWのバ
リア層を介し、スパッタ蒸着等によって形成したAu層
からなるバンプを設けた従来のTAB接続用電極構造を
用いてもよが、これに限定することなく、バンプを省略
したものであってもよい。尚、メッキ接合する金属は、
リードと同材質若しくは他の導電材料、例えばCu,N
i,Au,Sn及びその合金や半田を用いることがで
き、これらが所定の接合強度となるような付着量とす
る。
【0014】
【実施例1】図1の方法に準じてメッキ法により突起を
形成した。すなわち、ポリイミドテープ上にCuパター
ンリードがメッキにより形成されている2層TABテー
プを使用した。このTABテープは、リード数200で
あり、リード外周部で全リードとも電気的に接続させて
いる。リードの幅は70μm、厚みは35μm、リード
ピッチ140μmであり、このリード先端に50μm×
50μm×25μmの突起をCuメッキにより形成し
た。すなわち図5に示す治具を用いてTABテープ及び
チップを固定し、図6に示すメッキ層で電気メッキを行
った。メッキ浴は硫酸銅0.8モル/l(リットル)、
硫酸0.5モル/lの溶液を使用し、電流密度を100
A/m2 に設定した。使用したチップは、8.0mm×
8.0mmのSi上に80μm×80μmの大きさの電極
を100個配置し、電極は、下層が1μmのAl膜、密
着用中間層に密着用として2000オングストロームの
Cr金属膜、上層にAu膜3000オングストロームを
スパッタ蒸着により形成した。
【0015】接続に用いたメッキ浴は、硫酸銅0.8モ
ル/l(リットル)、硫酸0.5モル/lの溶液であ
り、電流密度50〜200A/m2 に設定し1時間メッ
キ処理した。
【0016】この様にして得たメッキ接続部の接合強度
を測定した。すなわち接続部から200μm離れた位置
でリードを引上げ、破断するとき荷重を計測(プルテス
ト)して接合強度とした。平均プル強度は40g(最低
35g、最高45g)であり良好な結果を示した。又全
てのリードが電気的に接続されていること、又隣接する
リード間、電極間でのショートもないことが確認され
た。
【0017】
【実施例2】前記TABテープ(リード数200)を図
7(a),(b)に示す型を用いて、リード先端より
0.15mm部分を内側に垂直に折曲げた(図中の寸法数
値はmm)。折曲げ方法は図3の場合と同様である。折曲
げる先端以外の部分は印刷により油性塗料を塗布してお
いた。メッキ条件、固定方法は実施例1と同様の条件を
採用した。但し、メッキ時間は45分とした。得られた
接合部のプル強度は、平均45g(最大52g,最小3
9g)であり、電気的導通も完全であった。
【0018】
【実施例3】Fe−42合金で作成されたリードフレー
ムのリードとチップ電極との接合をメッキ法により行っ
た。リードフレームの厚みは0.15mm、リード数は1
00、リード先端(チップ電極)のピッチは230μ
m、リード先端幅は130μmである。通常リードフレ
ームは、チップを固定するアイランド部分を有するが、
本リードフレームはアイランド部分を削除した。チップ
外形は7.2mm、チップ電極サイズは150μm×15
0μmである。リードの先端2mm部分はAgメッキを施
したものを用いた。先端から250μm内側部分を垂直
に折り曲げた位置が、チップ電極位置に合うようにリー
ドを成形した。リードフレームとチップは、リード先端
と電極を接触、固定して図5に示す治具を用いてメッキ
溶液中に保持し、Cuメッキによる接続を行った。な
お、この際リードの先端部位外は絶縁塗料を塗布してメ
ッキした。Cuメッキ液は硫酸銅0.8モル/l(リッ
トル)、硫酸0.5モル/lのものを使用し、電流密度
は100A/m2 に設定して30分間メッキした。プル
テストによる接合強度の測定では、何れも50g以上で
あり、電気的にも良好な接続ができた。
【0019】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば突起の存
在により、電極との位置合わせが容易に且つ、正確にで
きるTABテープ及びリードフレームのリードを得るこ
とができ、また、メッキ接合の際、半導体素子の電極と
リード突起の接触部でメッキが同時に成長するため短時
間にメッキ金属が均一、且つ安定して付着し、生産性を
向上すると共に、メッキ部分にばらつきのない接合強度
が得られる。またリードと半導体素子との間隔を充分に
取れるため、従来では起り得る素子エッジとリードの接
触をなくすことが可能となり、極めて信頼性の高い多ピ
ン向きの半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)乃至(d)は本発明の突起をメッキ法で
製造する場合の一例を示す概略図である。
【図2】図1(d)のA−A線断面図である。
【図3】(a),(b)は本発明の突起を機械加工して
製造する場合の一例を示す概略図である。
【図4】本発明のメッキ接続部を示す説明図である。
【図5】本発明のメッキ処理におけるリード及びチップ
の固定方法を示す説明図である。
【図6】本発明のメッキ処理方法を示す説明図である。
【図7】(a),(b)は本発明の折り曲げ手段を示す
説明図である。
【符号の説明】
1:基盤フィルム 2:リード 3:TABテープ 4:レジストフィルム 5:窓 6:突起(メッキ金属) 7:リード先端部 8:折曲型台 9:半導体素子 10:電極 11:治具 12:メッキ浴 13:メッキ金属
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大野 恭秀 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新 日本製鐵株式会社 先端技術研究所内 (72)発明者 藤津 隆夫 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 多摩川工場内 (72)発明者 工藤 好正 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 多摩川工場内 (72)発明者 清水 真也 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 多摩川工場内 (56)参考文献 特開 平2−14559(JP,A) 実開 平3−96050(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 21/60 H01L 23/50

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リード先端に、メッキにより5〜200
    μm高さの同一材質あるいは電気導体の突起を設け、該
    突起と半導体素子の電極とを接触させ、メッキにより接
    続したことを特徴とする半導体素子電極とリードとの接
    続構造
  2. 【請求項2】 リードを、その先端より5〜200μm
    内側の範囲で折曲げて突起を形成し、該突起と半導体素
    子の電極とを接触させ、メッキにより接続したことを特
    徴とする半導体素子電極とリードとの接続構造
  3. 【請求項3】 リード先端に、リードと同一材質もしく
    は電気導体で5〜200μm高さの突起を設けておき、
    リード先端の突起と半導体素子上の電極とを同位置に配
    置すると共に電気的に導通が得られるように接触、固定
    せしめて、メッキ浴中に浸漬するか、メッキ液噴霧中に
    置き、リードと半導体素子上の電極をメッキ金属により
    接続することを特徴とする半導体素子の実装方法。
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