JP2865268B2 - 音響伝達特性等化装置 - Google Patents

音響伝達特性等化装置

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JP2865268B2
JP2865268B2 JP5055489A JP5548993A JP2865268B2 JP 2865268 B2 JP2865268 B2 JP 2865268B2 JP 5055489 A JP5055489 A JP 5055489A JP 5548993 A JP5548993 A JP 5548993A JP 2865268 B2 JP2865268 B2 JP 2865268B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーディオ機器用、P
A用等のイコライザやハウリング防止装置などにおいて
用いられる音響伝達特性等化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】音響伝達特性等化装置とは、音源の前段
に配置されたアナログフィルタあるいはディジタルフィ
ルタなどを有し、このフィルタなどと音響伝達特性H
(z)を有する伝達空間とを通過した後に受音器で受音
される音の周波数振幅特性が、音源からの入力信号の周
波数振幅特性と等しくなるように調整する装置である。
そのために、アナログフィルタあるいはディジタルフィ
ルタなどは、音響伝達特性の周波数振幅特性が全ての周
波数において平坦になるように補正処理を行う。なお、
以下、音響伝達特性等化装置を単に等化装置とも記す。
【0003】また、以下、各信号は離散信号であるとし
て説明を進めるが、信号が連続信号である場合にも以下
の説明はあてはまる。離散信号において、信号の時間表
現は、時間を表す整数パラメータkで例えばx(k)と
表現される。また、その周波数表現は、z変換を用いて
X(z)と表現される。以下、信号X(z)を入力信号
X(z)とも表現する。
【0004】図7は室内における音響伝達特性H(z)
を説明するための説明図である。図7には、室内空間1
1に、入力端12からの信号を入力するスピーカ等の音
源13と、出力端15に信号を出力するマイクロホン等
の受音器14とが設置されている場合が示されている。
【0005】入力端12に信号X(z)が入力され音源
13からその信号X(z)が出力されるようにすると、
信号X(z)は、室内空間11における音響伝達特性H
(z)の影響を受けた後、受音器14に到達する。受音
器14で受音された信号Y(z)は、出力端15から出
力される。以下、信号Y(z)を出力信号Y(z)とも
表現する。音響伝達特性H(z)は、入力端12に入力
される信号X(z)と出力端15における信号Y(z)
との間の入出力関係を記述するものであり、 H(z)=Y(z)/X(z) ・・・(1) と表現される。この音響伝達特性H(z)は、同一室内
空間においても、音源13と受音器14の空間的配置が
異なれば、異なった値となる。
【0006】図8は、全ての周波数において伝達特性の
周波数振幅特性が平坦になるように入力信号X(z)を
補正するための構成を示すブロック図である。図8に示
す構成は、図7に示す構成に対して、入力端12に等化
装置82が設けられたものとなっている。入力信号X
(z)は、等化装置82の入力端81に入力される。
【0007】等化装置82の周波数振幅特性をF(z)
とすると、F(z)が音響伝達特性H(z)の逆特性と
等しければ、入力端81に入力信号X(z)の入力があ
ったときに出力端15に出力される信号X’(z)の周
波数振幅特性は、入力信号X(z)の周波数振幅特性と
等しくなる。すなわち、(2)式を満たせば、(3)式
が成り立つ。
【0008】 |F(z)|=1/|H(z)| ・・・(2) |X’(z)|=|X(z)| ・・・(3) ただし、||は振幅特性を表す。
【0009】従来広く利用されている音響伝達特性等化
装置として、一般にグラフックイコライザあるいは単に
イコライザの名称で知られているものがある。イコライ
ザは、オーディオ機器等において、音源から放射される
信号の音色を変化させることなく受音点に到達させるな
どのために用いられる。図9は、そのようなイコライザ
91を等化装置82として用いた構成を示すブロック図
である。
【0010】図9に示すように、イコライザ91は、入
力端81に入力する入力信号を周波数帯域分割する周波
数帯域分割部92と、各周波数帯域毎の利得調整部93
と、各利得調整部93の出力を合成する周波数帯域合成
部94とを有する。
【0011】周波数帯域分割部92は、通常、1オクタ
ーブや1/3オクターブ幅の通過帯域を持つ帯域通過フ
ィルタによって入力信号を各周波数帯域の信号に分割す
る。各利得調整部93は、(3)式を満たすことになる
ように各周波数帯域の利得を調整する。調整された各周
波数帯域の信号は周波数帯域合成部94で合成され、音
源13に供給される。
【0012】閉ループを伴う拡音系などにおいては、ハ
ウリング防止のためにイコライザが用いられる。図10
は、閉ループを伴う拡音系を説明するための説明図であ
る。拡音系では、話者101の音声が受音器14に入力
され、その音声が十分な声量で聴者102に聴かれるよ
うに増幅器103で増幅される。増幅器103の出力
は、音源13で再生される。
【0013】ここで、音源13からでた音は、十分な声
量で聴者102に聴かれるとともに、音響伝達特性H
(z)を経て受音器14にも入力する。すなわち、閉ル
ープが形成される。増幅器103と音源13との間にあ
る入力端12に入力される信号をX(z)、受音器14
と音源13との間にある出力端15で観測される信号を
Y(z)とする。入力端12から、音源13、受音器1
4、増幅器103、音源13、受音器14を経て出力端
15に到る閉ループの伝達特性をG(z)とすると、G
(z)は、(4)式で表される。
【0014】 G(z)=H(z)/(1−A・H(z)) ・・・(4) ここで、Aは増幅器103の増幅率である。閉ループの
伝達特性をG(z)の絶対値が1を越えると、位相が
0,360°,720°,・・・,360・n°(nは
整数)である周波数においてハウリングが発生する。し
かし、閉ループの伝達特性をG(z)の周波数振幅特性
の山部分をイコライザなどで抑圧すれば、ハウリングの
発生は防止される。図11は、拡音系にイコライザ91
を挿入した構成を示すブロック図である。また、図12
〜図14は、信号を12個の周波数帯域に分割するイコ
ライザ91で閉ループの伝達特性G(z)の周波数振幅
特性を補正する様子を示す説明図である。
【0015】イコライザ91は、例えば、入力端12と
音源13との間に挿入される。イコライザ91による抑
圧前の信号の各周波数帯域毎の周波数振幅特性が、図1
2に示すようになっているとする。そのとき、イコライ
ザ91は、図13に示すような帯域利得をもつように設
定される。すなわち、図13に対応したイコライザ91
の周波数振幅特性は、図12に対応した音響伝達特性の
周波数振幅特性の逆特性になっている。よって、イコラ
イザ91を含む系の伝達特性の周波数振幅特性は、図1
4に示すように平坦化される。
【0016】イコライザを含む系の伝達特性の周波数振
幅特性を平坦化するイコライザの各帯域の利得は、例え
ば、入力信号を白色雑音にし受音信号の周波数特性が平
坦になるように、人間の手作業により、あるいは自動的
に設定される。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】一般に、音響伝達特性
H(z)は、音源13や受音器14の配置が異なると異
なってくる。よって、イコライザ91を調整して、ある
音源13と受音器14との位置関係について伝達特性の
周波数振幅特性を補正しても、受音器14が移動すると
イコライザ91の各帯域の利得を再調整する必要があ
る。そのために、ハウリング防止のためにイコライザ9
1を使用する場合には、受音器14が移動するにたび、
イコライザ調整者がハウリングしそうな周波数の音を耳
で判断し、ハウリングが発生しないようにイコライザ9
1の各周波数帯域における利得を再調整しなければなら
ないという問題がある。
【0018】本発明はそのような問題を解決するために
なされたもので、受音器や音源が移動される可能性のあ
る系において、イコライザを一度調整しておけば、その
ままの状態で常にハウリングの防止や源音に忠実な音の
受音ができる環境を設定する音響伝達特性等化装置を提
供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る音響伝達特
性等化装置は、周波数振幅特性平坦化の対象となる音響
系内の複数の異なる位置に配置された音源および受音器
の組を用いて複数の音響伝達特性を測定する音響伝達特
性測定部と、この音響伝達特性測定部が測定した各音響
伝達特性から、前記音響系の持つ極を推定する極推定部
と、この極推定部が推定した前記音響系の極に対応する
周波数成分を抑圧するように、前記音源に入力する信号
補正する等化部とを備える。
【0020】
【作用】ある音響系における各音響伝達特性は、その音
響系固有の極を含む。この固有の極は、各音響伝達特性
の周波数振幅特性に対して、同一の周波数に振幅特性の
ピークを与えるものである。極推定部は、各音響伝達特
性に与えられる固有の極の各寄与量から固有の極を推定
する。等化部は、その固有の極の影響を取り除くよう
に、入力信号を等化する。
【0021】
【実施例】上述したように、同一音響系内における各音
響伝達特性には、その音響系固有の極が共通的に含まれ
ている。その固有の極は、音響系が持つ共振周波数とQ
値に対応している。以下、これを共通極という。共通極
は、音源と受音器との位置関係が異なっている複数の音
響伝達特性に対して、同じ周波数に振幅特性のピークを
与える。よって、共通極を等化する特性を持つ装置によ
れば、複数の音響伝達特性に共通する周波数振幅特性ピ
ークを抑圧できる。
【0022】本発明による音響伝達特性等化装置は、そ
のような音響学上の考え方にもとづいたものである。ま
た、本発明では、共通極の寄与量がそれぞれの音響伝達
特性において異なり、単一の音響伝達特性から共通極を
観測することは困難であるという理由から、共通極を複
数の音響伝達特性から推定する。
【0023】図1は本発明による音響伝達特性等化装置
の動作原理を説明するための説明図である。図1に示す
ように、入力端12と室内空間11にある音源13との
間に等化装置16があり、室内空間11の各位置に受音
器14が置かれる場合を考える。音源13と受音器14
との間の配置関係をrj (j=1,2,・・・,M)と
表す。図1にはM=4の場合が示されている。
【0024】すると、特願平3−60538号の明細書
に開示されているように、各音響伝達特性H(rj
z)は、全ての音響伝達特性H(rj ,z)に共通する
共通極A(z)と、音源13と受音器14の配置が異な
るとその特性の異なるB(rj,z)によって(5)式
のように表される。
【0025】 H(rj ,z)=B(rj ,z)/A(z) ・・・(5) (j=1,2,・・・,M) この表現は、共通極・零モデルと呼ばれる音響伝達特性
の表現である。共通極A(z)の特性を等化装置16に
供給すれば、各出力端15で観測される信号は、共通極
の影響が取り除かれた、すなわち、共通な周波数振幅特
性のピークが抑圧された信号となる。以下、H(rj
z)をHj (z)と記す。
【0026】図2は本発明の一実施例による音響伝達特
性等化装置が入力端12と室内空間11との間に配され
た構成を示すブロック図である。等化装置16は、各音
響伝達特性Hj (z)を測定する音響伝達特性測定部2
1と、測定された各音響伝達特性Hj (z)から共通極
A(z)を推定する極推定部22と、推定された共通極
A(z)の特性を持つ等化部23とを有する。
【0027】次に動作について説明する。まず、図1に
示すような複数の異なる位置関係で音源13と受音器1
4とを室内空間11に配置しておく。その状態で、音響
伝達特性測定部21は、各音響伝達特性Hj (z)を測
定する。例えば、音響伝達特性測定部21は、インパル
ス応答を計測して各音響伝達特性Hj (z)を得る。
【0028】極推定部22は、音響伝達特性測定部21
が測定した各音響伝達特性Hj (z)から共通極A
(z)を推定する。以下、共通極A(z)を推定する各
方法について説明する。なお、各方法は、いずれも上記
特許出願の明細書に開示されている。また、各方法にお
いて、共通極A(z)は、それと等価な表現である共通
AR係数の形で推定される。
【0029】まず、第1の極推定方法について説明す
る。この方法は、各音響伝達特性Hj(z)が共通の極
(すなわち共通AR係数)を持つことから、各特性の入
出力関係から直接的に最小2乗誤差で共通AR係数を推
定する方法である。最小2乗誤差で共通AR係数を求め
るには、M個のインパルス応答h(rj ,k)(j=
1,2,・・・,M)と、これに対応する共通極・零モ
デルのインパルス応答hP(rj ,k)との間の誤差ε
out (rj ,k)の2乗和を最小にすればよい。
【0030】共通極・零モデルのインパルス応答h
P (rj ,k)は、入力信号が単位インパルス応答δ
(k)であるときには、(6)式で表される。
【0031】
【数1】
【0032】ここで、ai は共通極に対応する共通AR
係数、bi (rj )はそれぞれの音源と受音点との配置
関係rj に依存したMA係数を示し、Pは共通AR係数
の次数、QはMA係数の次数である。このとき、εout
(rj ,k)は、(7)式で示される。
【0033】
【数2】
【0034】しかし、一般に、この誤差を最小にする解
を見出すのは困難である。そこで、(7)式右辺のhP
(rj ,k)をh(rj ,k)で置き換えた式誤差εeq
(r j ,k)を導入する。εeq(rj ,k)は(8)式
で表される。
【0035】
【数3】
【0036】全てのrj およびkに対する式誤差ε
eq(rj ,k)を行列で表現すると、(9)式のように
なる。
【0037】
【数4】
【0038】ただし、
【0039】
【数5】
【0040】
【数6】
【0041】
【数7】
【0042】である。ここで、Nは真のインパルス応答
長である。(9)式をe=h−Axと表すとき、eの2
乗ノルムを最小にする解は、 x=(AT A)-1T h (AT はAの転置行列) ・・・(10) で与えられる。すなわち、(10)式を計算すれば、共
通AR係数ai (i=1,2,・・・,P)が最小2乗
解として求められる。
【0043】次に、第2の極推定方法および第3の極推
定方法について説明する。これらの方法は、各音響伝達
特性Hj (z)の共通極が、複数の伝達特性に関する平
均操作を行うことにより強調されることを利用した方法
である。
【0044】第2の極推定方法によれば、まず、各音響
伝達特性Hj (z)に対して各AR係数ai (rj
(i=1,2,・・・,P)を計算する。各Hj (z)
に対する式誤差εeq(rj ,k)の行列表現は(11)
式のようになる。
【0045】
【数8】
【0046】従って、(11)式をe=h−Axと表す
とき、eの2乗ノルムを最小にする解は、やはり、 x=(AT A)-1T h ・・・(12) と与えられる。すなわち、(12)式を計算すれば、各
AR係数ai (rj )が最小2乗解として求められる。
【0047】次に、各AR係数ai (rj )に対して、
(13)式でしめされる平均操作を施し、平均AR係数
av ' i を求める。そして、求められたaav ' i を共通
極の推定値とする。この方法は、極推定のための演算が
簡便である。
【0048】
【数9】
【0049】第3の極推定方法は、各音響伝達特性Hj
(z)に対して第2の極推定方法と同様に計算された各
AR係数をMA係数に展開した後、MA係数について平
均操作を施しその結果をAR係数に戻したものを極推定
値とする方法である。この方法によって推定されたAR
係数のもつ伝達特性aav ' (z)は、各音響伝達特性H
j (z)の分母項をA’j (z)と表すとき、(14)
式に示すように関係付けられる。
【0050】
【数10】
【0051】第3の極推定方法は、第2の極推定方法に
比べて演算量は増加するが、推定誤差が少ないことが期
待される。極推定部22は、いずれかの方法、またはそ
の他の方法で共通極を推定する。いずれの方法によって
も推定誤差(例えば、極推定値の誤差や、近接した値の
複数の極を1つの代表的な極として推定する誤差)が生
じ、推定された極と物理的極とが一致していない場合が
生ずる。しかし、一致していない場合であっても実用的
には問題のない極推定方法を選択することができる。ま
た、共通極の推定にあたって、MA係数の次数を0とし
てもよい。
【0052】極推定部22は、推定した共通極に対応す
る共通AR係数ai を等化部23に供給する。等化部2
3は、例えば、供給された共通AR係数ai をフィルタ
係数として持つFIRフィルタで構成される。その場
合、入力端12に入力された信号がx(k)であると
き、(15)式による演算を行い、y(k)を音源13
に対して出力する。このとき、受音器14で受音される
信号の周波数振幅特性は、入力端12に入力された信号
のそれとほぼ等しくなる。
【0053】
【数11】
【0054】次に、本発明による音響伝達特性等化装置
を受音器が移動する状態でのハウリング抑圧に使用した
場合に、どのような効果が生ずるかについて説明する。
図3に示すように、受音器14が音源13の周囲の円周
上の16箇所で移動する場合を考える。
【0055】以下、計算機シミュレーションによる結果
を示す。ここでは、大きさ80m3、壁の反射率95%
の部屋を仮定して計算機シミュレーション鏡像法で作成
したインパルス応答を用いた。周波数帯域は60Hzか
ら320Hzで帯域内残響時間は約1.7秒である。
【0056】まず、16箇所の受音器位置のうちの9箇
所に受音器14を置いたときに、各位置について音響伝
達特性測定部21によって音響伝達特性を測定した。次
に、音響伝達特性測定部21に、測定した音響伝達特性
を極推定部22に対して送らせる。極推定部22は、共
通AR係数として第1の極推定方法で共通極を推定する
ものとした。なお、共通極の次数を200とした。その
後、極推定部22で推定された共通AR係数を等化部2
3に供給した。
【0057】図4は、周波数振幅特性を示すものであ
る。図中、実線は、本発明による音響伝達特性等化装置
を適用した場合を示し、破線は、本発明による音響伝達
特性等化装置を適用していない場合を示す。図に示すよ
うに、本発明によれば、特に、100Hz付近の2つの
鋭いピークが抑圧されていることがわかる。
【0058】図5は、16箇所の各受音器位置につい
て、本発明による音響伝達特性等化装置を適用した場合
にハウリングが初めて起こる増幅器31の増幅器利得
と、適用しない場合にハウリングが初めて起こる増幅器
利得と比較した結果を示すものである。ただし、最初
に、全ての条件でハウリングが起こらない増幅器利得を
基準利得(0dB)とした。増幅器利得を比較するとい
うことは、ハウリングを起こさずにどこまで拡音できる
かを比較することに対応する。横軸は受音器14の位置
を示す。
【0059】本発明による音響伝達特性等化装置を適用
しない場合には、例えば、5番目の位置や13番目の位
置に受音器14があると、1dB程度の増幅器利得でハ
ウリングが起こる。一方、本発明による音響伝達特性等
化装置を適用した場合には、受音器14の位置によら
ず、5dB程度まで増幅器利得を上げることができる。
これは、本発明による音響伝達特性等化装置が、音場に
共通な共振系によるピークを抑圧していることを示して
いる。
【0060】以上に説明したように、本発明による音響
伝達特性等化装置を用いると、音源13と受音器14と
の間の複数の位置関係についての音響伝達特性に共通な
周波数振幅特性のピークを抑圧することができる。その
結果、一度等化部23の設定を完了すれば、受音器14
が移動しても、ハウリングの発生は防止される。
【0061】ここでは、室内の音響伝達特性の場合につ
いて説明したが、例えば、音源であるスピーカの周波数
振幅特性をあらゆる方向に対して補正するといった目的
に、本音響伝達特性等化装置を適用することもできる。
図6は、本発明による音響伝達特性等化装置を、スピー
カの周波数振幅特性補正フィルタとして適用した場合を
示すブロック図である。
【0062】図に示すように、音響伝達特性測定部21
は、無響室61内に置かれた複数の受音器14からの信
号を導入し、各音響伝達特性Hj (z)を測定する。各
受音器14は、周波数振幅特性の補正対象となるスピー
カ63から、それぞれ異なる方向に配置される。
【0063】各受音器64の配置に対応した各音響伝達
特性Hj (z)は無響室61内のものであるから、音の
空間伝搬による遅れの効果を除けば、スピーカ63のも
つ方向別の音響伝達特性に等しい。したがって、極推定
部22が推定した共通極は、スピーカ63の方向別の音
響伝達特性に共通に含まれる極、すなわち、スピーカ6
3の指向特性に依存しないスピーカ特性ということにな
る。
【0064】極推定部22が推定した共通極を(5)式
に示すようにA(z)と表す。極推定部22は、等化部
23にA(z)を供給する。その結果、スピーカ63を
別の室内空間11に設置し、入力信号を等化部23に通
し等化部23の出力をスピーカ63に供給した場合に、
スピーカ63から放射される信号は、室内空間11のあ
らゆる箇所において、スピーカ63の音響伝達特性の共
通極の影響が取り除かれた信号となる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
音響伝達特性等化装置が、音響伝達特性測定部が測定し
た各音響伝達特性から音響系の持つ共通極を推定する極
推定部と、極推定部が推定した共通極を用いて音源に入
力する信号を等化する等化部とを有する構成となってい
るので、音響系内における複数の音響伝達特性について
まとめて等化することができ、受音器の移動を伴う拡声
系において、一度等化部の設定をしておけば受音器が移
動してもハウリングの発生を防止できるものを提供でき
る。また、スピーカの音響伝達特性の等化装置として用
いた場合には、スピーカの指向特性に依存しない音響伝
達特性の補正をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による音響伝達特性等化装置の動作原理
を説明するための説明図である。
【図2】本発明による音響伝達特性等化装置の適用例を
示すブロック図である。
【図3】本発明の効果を確認するための実験条件を示す
説明図である。
【図4】周波数振幅特性を示す説明図である。
【図5】受音器の移動に際して初めてハウリングの起こ
る増幅器利得を示す説明図である。
【図6】本発明による音響伝達特性等化装置の他の適用
例を示すブロック図である。
【図7】室内における音響伝達特性H(z)の説明のた
めの説明図である。
【図8】音響伝達特性等化装置の作用の説明のためのブ
ロック図である。
【図9】従来のイコライザの動作の説明のためのブロッ
ク図である。
【図10】閉ループを伴う拡音系の説明のための説明図
である。
【図11】拡音系にイコライザを挿入した構成を示すブ
ロック図である。
【図12】各周波数帯域毎の周波数振幅特性を示す説明
図である。
【図13】イコライザの各周波数帯域毎の利得を示す説
明図である。
【図14】イコライザを含む系の伝達特性の周波数振幅
特性を示す説明図である。
【符号の説明】
16 等化装置 21 音響伝達特性測定部 22 極推定部 23 等化部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01H 17/00 G01H 5/00 H04R 3/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音源から受音器に至る音響伝達特性の周
    波数振幅特性を平坦化する音響伝達特性等化装置におい
    て、 周波数振幅特性平坦化の対象となる音響系内の複数の異
    なる位置に配置された音源および受音器の各組を用いて
    複数の音響伝達特性を測定する音響伝達特性測定部と、 この音響伝達特性測定部が測定した各音響伝達特性か
    ら、前記音響系の持つ極を推定する極推定部と、 この極推定部が推定した前記音響系の極に対応する周波
    数成分を抑圧するように、前記音源に入力する信号を
    する等化部とを備えたことを特徴とする音響伝達特性
    等化装置。
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