JP3388570B2 - 多チャネル音響結合評価方法 - Google Patents

多チャネル音響結合評価方法

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JP3388570B2
JP3388570B2 JP6039297A JP6039297A JP3388570B2 JP 3388570 B2 JP3388570 B2 JP 3388570B2 JP 6039297 A JP6039297 A JP 6039297A JP 6039297 A JP6039297 A JP 6039297A JP 3388570 B2 JP3388570 B2 JP 3388570B2
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末廣 島内
陽一 羽田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数のスピーカ
と1つ以上のマイクロホン、あるいは、1つ以上のスピ
ーカと複数のマイクロホンとによって構成されるスピー
カ群とマイクロホン群とを同一音響空間内に持つ多チャ
ネル音響システムまたは、この音響システムに基づく拡
声システム、あるいは、拡声通話システムなどの設計、
制御、あるいは調整などに有益な情報を与え得るスピー
カ群とマイクロホン群との間の音響的な結合(音響結
合)の程度について評価する多チャネル音響結合評価方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1つのスピーカと1つのマイクロホンと
を同一音響空間内に持つ1チャネル音響システムによる
拡声システムや拡声通話システムに対しては、スピーカ
とマイクロホンとの間の音響的な結合の強さが以下のよ
うな方法により評価され、ハウリングやエコーの抑圧を
するため等に利用されている。
【0003】第1の評価方法は、信号がスピーカから再
生され、この再生音がマイクロホンで収音されたとき、
スピーカへの入力信号に対するマイクロホンからの出力
信号の振幅利得、あるいはパワー利得を求め、これを音
響結合量という評価量として利用する方法である。この
方法は簡単であるが、得られる評価量は、入力信号の性
質によっても異なり、ハウリング限界などの厳密な評価
には適さない。
【0004】第2の評価方法は、第1の評価方法をより
厳密にしたものであり、スピーカへの入力信号に対する
マイクロホンからの出力信号の振幅利得、あるいはパワ
ー利得を各周波数毎に求め、利用する方法である。つま
り、上記の音響結合量を周波数の関数として表し、各周
波数毎に評価を行うことができるようにしたものであ
る。
【0005】一方、複数のスピーカと1つ以上のマイク
ロホン、あるいは、1つ以上のスピーカと複数のマイク
ロホンとによって構成されるスピーカ群とマイクロホン
群とを同一音響空間内に持つ多チャネル音響システムの
評価においては、上述の音響結合量に相当する評価量に
ついて、十分な検討がされておらず、例えば、ハウリン
グ抑圧のためには、ハウリングの起きた周波数ピークに
対して一つ一つ損失を加えていくような、試行錯誤的な
方法が取られることが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しよう
とする課題は、複数のスピーカと1つ以上のマイクロホ
ン、あるいは、1つ以上のスピーカと複数のマイクロホ
ンとによって構成されるスピーカ群とマイクロホン群と
を同一音響空間内に持つ多チャネル音響システムの評価
において、1チャネル音響システムの音響結合の評価に
用いられている音響結合量に相当する評価量を導き出
し、この評価量に基づく、より系統的な評価方法を提案
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明によればスピー
カ群のスピーカの数をM、マイクロホン群のマイクロホ
ンの数をNとし、周波数をfとして、m(=1,2,
…,M)番目のスピーカとn(=1,2,…,N)番目
のマイクロホンとの間の伝達関数について周波数特性を
mn(f)とし、これらの周波数特性を要素として持つ
音響システム周波数特性行列
【0008】
【数3】 を構成し、T は転置を表し、上記スピーカ群のm(=
1,2,…,M)番目のスピーカへの入力信号の周波数
特性をXm (f)とし、これを全チャネル分まとめた入
力信号周波数特性ベクトルを
【0009】
【数4】 とし、‖G(f)x(f)‖,‖x(f)‖は、
それぞれベクトルG(f)x(f),x(f)の
各要素の2乗の総和の平方根で定義されるノルムとし
て、各周波数毎に、 ‖G(f)‖=max‖G(f (f)‖/‖x(f)‖ ただしx(f)≠0 (c) と定義される上記音響システム周波数特性行列G
(f)のノルム‖G(f)‖を多チャネル音響システ
ムの音響的な結合の周波数毎の強弱等の評価量として用
いることを特徴とする。
【0010】以下にこの発明の原理を説明する。前述の
課題を解決するために、まず、1チャネル音響システム
を用いた拡声通話システムにおいて、ハウリングを起こ
さないという意味でのシステムの安定性が、各地点にお
けるスピーカとマイクロホンとの間の音響結合量を用い
ることによって、どのように議論できるのかを、離散時
間系において考える。図1(a)において、地点Aのマ
イクロホン1aに信号U(z)が入力され、地点Bのス
ピーカ2bから信号V(z)が出力され、スピーカ2b
との間に因果的で安定な伝達関数Gb (z)で結合され
たマイクロホン1bが存在し、このマイクロホン1bの
出力は地点Aのスピーカ2aに供給され、スピーカ2a
とマイクロホン1aとの間に因果的で安定な伝達関数G
a (z)が存在するとしたとき、これらの入出力関係
は、図1(b)に示す等価回路からも分かるように、 V(z)=U(z)/(1−z-1a (z)Gb (z)) (1) となる。ここで、遅延素子z-1はシステムの最小限の遅
延を表現するために便宜上導入した。いま、システム全
体の伝達関数 H(z)=1/(1−z-1a (z)Gb (z)) (2) が因果性数列のz変換であるとすると、式(2)は、収
束領域において、 H(z)=Σz-n(Ga (z)Gb (z))n (3) Σはn=0から∞まで と等しくなる。この収束領域は、一般にz平面上で絶対
値最大の極を含む円の外側である。式(3)が単位円上
で収束すれば、システムの安定性は保証されることにな
る(参考文献:伊達訳,ディジタル信号処理(上),コ
ロナ社(1978))。従って、全ての角周波数に対し
て、 |Ga (exp(jω))Gb (exp(jω))|<1 (4) が成立することが、このシステムが因果的かつ安定であ
る必要十分条件となる。さらに、地点A,Bに要求され
る音響的条件が同程度であるとし、双方において、Ga
(exp(jω)),Gb (exp(jω))の振幅特
性(このdB値が音響結合量と呼ばれる)が、それぞれ
全ての角周波数ωに対して |Ga (exp(jω))|<1,|Gb (exp(jω))|<1 (5) を満たしていれば、式(4)が成立するのに十分であ
る。つまり、1チャネル拡声通話システムにおいて、ハ
ウリングが生じないためには、音響結合量が、どの周波
数に対しても0dB未満であれば十分ということにな
り、実際、式(5)は、システムが安定であるかどうか
を調べるための音響結合量による判定式として、システ
ムの設計や調整に用いられている。
【0011】次に、上記の考え方に基づき、多チャネル
拡声通話系の安定性を考察し、相応しい音響結合量を導
出する。図2は、Mチャネル拡声通話系の例であり、地
点Aに設けられたM個のマイクロホン11 〜1M は地点
Bに設けられたM個のスピーカ21 〜2M と接続され、
また地点Bに設けられたM個のマイクロホン31 〜3 M
は地点Aに設けられたM個のスピーカ41 〜4M に接続
されている。いま、地点Aのマイクロホン11 ,12
…,1M に信号U1 (z),U2 (z),…,U
M (z)がそれぞれ入力され、地点Bのスピーカ21
2 ,…,2M から信号V1 (z),V2 (z),…,
M (z)がそれぞれ出力されたとすると、これらの入
出力関係は、
【0012】
【数5】 となる。ここで、Iは単位行列を表し、G
a (z),Gb (z)は、各地点A,Bにおけるm
(=1,2,…,M)番目のスピーカとn(=1,
2,,…,M)番目のマイクロホンとの間の因果的で安
定な伝達関数Gamn (z),Gbm n (z)によって、そ
れぞれ
【0013】
【数6】
【0014】
【数7】 と表される伝達関数行列であり、T は転置である。伝達
関数行列 H(z)=[I−z-1a (z)Gb (z)]-1 (9) で表される多チャネルシステムの応答が因果的であると
すると、式(9)は、収束領域において、 H(z)=Σz-n(Ga (z)Gb (z))n (10) Σはn=0から∞ と等しくなる。この収束領域は、z平面上において、
I−z-1a(z) G b (z)の行列式の値を0に
するzのうち絶対値最大のものを含む円の外側である。
この場合も、単位円を収束領域に含めば、安定性が保証
されるから、全ての周波数に対して ‖Ga (exp(jω))Gb (exp(jω))‖<1 (11) が、システムが因果的かつ安定となる必要十分条件であ
る。ここで‖A‖は、AH Aの最大固有値の平方
根として定義される行列Aのノルムであり、任意のベ
クトルxに対する‖Ax‖/‖x‖の取り得る
最大利得に相当する(参考文献:山口,井上訳,線形代
数とその応用、産業図書(1993))。 H は共役転置
である。従って、地点A,Bに要求される音響的条件が
同程度であるとすると、全ての周波数に対して、 ‖Ga (exp(jω))‖<1,Gb (exp(jω))‖<1 (12) が満たされれば、ハウリングが発生しないシステムとな
る。また、式(12)は、M=1とすれば、1チャネル
の場合の式(5)と一致する。従って、この発明では、
スピーカの数がM、マイクロホンの数がMの多チャネル
音響システムについて、前述の音響結合量に相当する量
を、スピーカとマイクロホン間の伝達関数行列の周波数
特性のノルムのdB値として与え、これを多チャネル音
響結合量と呼ぶことにする。
【0015】さらに、より一般に、スピーカの数がM、
マイクロホンの数がNの多チャネル音響システムのm
(=1,2,…,M)番目のスピーカとn(=1,2,
…N)番目のマイクロホンとの間の伝達関数の周波数特
性をGmn(exp(jω))として、これらの周波数特
性を要素として持つ音響システム周波数特性行列を
【0016】
【数8】 とし、スピーカの数、マイクロホンの数がともにMの場
合と同様に、式(13)のG(exp(jω))に対
して、m(=1,2,…,M)番目のスピーカへの入力
信号の周波数特性をXm (exp(jω))とし、これ
を全チャネル分まとめた入力信号周波数特性ベクトルを
【0017】
【数9】 としたとき、前記Aのノルムが任意のベクトルxに
対する‖Ax‖/‖x‖の取り得る最大利得に相
当することから、各周波数ごとに、
【0018】
【数10】 によって、定義されるG(exp(jω))のノルム
を、対象とする音響システムの音響的な結合の評価に用
いるのが、前述した第1の発明の方法である。例えば、
スピーカの数がM、マイクロホンの数がNの場合におい
ても、‖G(exp(jω))‖のdB値を多チャネル
音響結合量と呼ぶとして、この量が、どの周波数におい
て0dBを越えているかを調べることにより、ハウリン
グの発振周波数を予知することができ、システムの音量
調整や周波数特性調整に役立てること等ができる。
【0019】第2の発明は、‖G(exp(jω))‖
の実際の求め方に関するものである。M個のスピーカへ
の入力信号を、上記入力信号周波数特性ベクトルx
(exp(jω))の方向が様々な向きとなるように様
々な組合せで入力し、それぞれの入力の組合せにおいて
N個のマイクロホンからの出力信号の周波数特性Y
m (exp(jω)),(n=1,2,…,N)を得、
このときの入力信号周波数特性ベクトルx(exp
(jω))と出力信号周波数特性ベクトル
【0020】
【数11】 のノルムの比‖y(exp(jω))‖/‖x(e
xp(jω))‖の最大値を‖x(exp(jω))
‖≠0について求め、これを‖G(exp(jω))
‖の測定値として利用する。第3の発明は、‖G(e
xp(jω)‖の実際の求め方に関するものである。
G(exp(jω)の各要素を、各スピーカとマイク
ロホンの間のインパルス応答を測定する等して、実際に
求め、このインパルス応答を周波数領域に変換してG
(f)を求めることにより、GH (exp(jω))
G(exp(jω))として正方行列化して、その固
有値のうち最大値を求め、H は共役転置であり、その最
大値の平方根を求め、これを‖G(exp(jω))‖
の測定値として利用する。
【0021】第4の発明は、‖G(exp(jω))
‖の実際の求め方に関するものである。G(exp
(jω))の各要素を、各スピーカとマイクロホンの間
のインパルス応答を測定する等して、実際に求め、更に
このインパルス応答を周波数領域に変換してG(ex
p(jω))を求めることにより、G(exp(j
ω))の特異値のうち最大となるものを求め、これを、
‖G(exp(jω))‖の測定値として利用する。
【0022】第5の発明も‖G(exp(jω))‖
の実際の求め方に関するものである。各スピーカへの入
力信号の平均パワー、各マイクロホンから出力信号の平
均パワーを用いて、各スピーカとマイクロホンとの間の
伝達関数の近似値を求めて利用する。第6の発明は、‖
G((exp(jω))‖の実際の求め方に関するも
のである。各スピーカとマイクロホンとの間の伝達関数
の相似性を用いて‖G(exp(jω))‖の近似値
を得て利用する。この際に、第5の発明も同時に利用す
ることもできる。作用 ‖G(exp(jω))‖は、入出力信号の性質によ
らないシステム固有の量である。従って‖G(exp
(jω))‖をシステムの評価に用いることにより、実
際の入出力信号の性質によってではなく、システムに固
有な性質によって発生するハウリングの予知等が厳密に
可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】ステレオ拡声通話系の評価 2個のスピーカと、2個のマイクロホンとによって構成
される音響システムを双方に持つ図3に示されるような
ステレオ拡声通話系のハウリング回避のために、音響結
合の評価を行う場合を考える。つまり地点Aの左、右の
マイクロホン1 1 ,12 の出力信号がネットワーク11
を介して地点Bの左、右のスピーカ21,22 へ供給さ
れ、地点Bの左、右のマイクロホン31 ,32 の出力が
ネットワーク11を介して地点Aの左、右のスピーカ4
1 ,42 へ供給される。この場合の地点Aにおけるマイ
クロホン11 ,12 とスピーカ41 ,42 との音響結合
と、地点Bにおけるスピーカ21 ,22 とマイクロホン
1 ,32 の音響結合とに要求される音響的条件が同程
度であるとすれば、図4に示すように片側の地点Bの音
響結合を評価すればよい。評価の時点では、通信回線は
接続する必要がなく、従って、実際にハウリングを発生
させることなく評価ができることに注意されたい。m
(=1,2)番目のスピーカ2mとn(=1,2)番目
のマイクロホン3nとの間の伝達関数の周波数特性をG
mn(exp(jω))として、これらの周波数特性を要
素として持つ音響システム周波数特性行列を とし、‖G(exp(jω))‖を評価に用いる(第
1の発明)。
【0024】第2の発明によると、2個のスピーカ
1 ,22 への入力信号を様々な組合せで入力し、つま
り、これら両入力信号振幅、位相を調整手段121 ,1
2 で制御して2個のそれぞれのマイクロホン31 ,3
2 からの出力信号を得、それらの入力信号周波数特性X
1 (exp(jω)),X2 (exp(jω))と出力
周波数特性Y1 (exp(jω)),Y2 (exp(j
ω))とについて、演算部13で入力信号周波数特性ベ
クトル と出力信号周波数特性ベクトル とのノルムの比‖y(exp(jω))‖/‖x
(exp(jω))‖の最大値を求め、評価に用いる。
【0025】第3の発明によると、G(exp(j
ω))の各要素を、各スピーカ2mとマイクロホン3n
の間のインパルス応答を測定するか、あるいはインパル
ス応答を適応フィルタ係数として推定するエコーキャン
セラが接続されていれば、そのフィルタ係数をフーリエ
変換などにより周波数領域に変換して実際にG(ex
p(jω))を求めることにより、G(exp(j
ω))H G(exp(jω))の固有値のうち最大値
を求め、その最大値の平方根を求め、これを、‖G(e
xp(jω))‖の測定値として利用する。この手順を
図5に示す。
【0026】第4の発明によると、G(exp(j
ω))の各要素を、各スピーカ2mとマイクロホン3n
の間のインパルス応答を測定するか、あるいはインパル
ス応答を適応フィルタ係数として推定するエコーキャン
セラが接続されていれば、そのフィルタ係数をフーリエ
変換するなどにより周波数領域を変換して実際にG
(exp(jω))を求めることによりG(exp
(jω))の特異値のうち最大となるものを求め、これ
を‖G(exp(jω))‖の測定値として利用す
る。この手順を図5に第3の発明の手順と兼用して示
す。
【0027】第6の発明によると、2チャネルのスピー
カとマイクロホン間の伝達関数が相似性として、音響シ
ステム周波数特性行列の対称性を仮定し、利用する。す
なわち、ここでは、音響システム周波数特性行列は と表せるものとする。このとき、各ωに対して、 ‖G(exp(jω))‖=max|G11(exp(jω)) ±G12(exp(jω))||G11(exp(jω))| +|G12(exp(jω)) (21) が成り立つ。第3の発明や第4の発明の場合のように、
11(exp(jω)),G12(exp(jω))か、
あるいはそれらの絶対値|G11(exp(jω))|,
|G12(exp(jω))|が求められれば、この時点
で、‖G(exp(jω))‖の近似値を得ることが
できる。
【0028】また、第5の発明によると、G11(exp
(jω)),G12(exp(jω))あるいはそれらの
絶対値|G11(exp(jω))|,|G12(exp
(jω))|も直接的に求められない場合は、|G
11(exp(jω))|と|G12(exp(jω))|
の周波数に対する平均値をG11′,G12′として、‖
G(exp(jω))‖の周波数に対して一定な近似
値を、G11′+G12′によって与えることにする。ここ
で、G11′,G12′は、スピーカ入力信号とマイクロホ
ン出力信号の短時間平均パワーsi1 2(k)′,si2 2
(k)′及びmo1 2(k)′,mo2 2(k)′によっ
て、近似的に が成り立つことから より求める。
【0029】以上のようにして得られる‖G(exp
(jω))‖について、例えば、そのdB値である多チ
ャネル音響結合量を求め、これが0dBより小さくなる
ようにシステムを調整あるいは制御すれば、ハウリング
は発生しない。ただし、第5の発明による近似値を用い
る場合等は多少のマージンが必要となる。 2スピーカ・1マイクロホンによる場内拡声システムの
評価および調整 図6に示すような2スピーカ・21 ,22 ・1マイクロ
ホン3を用いた場内拡声システムの音響結合の評価とハ
ウリングを回避するための調整方法を考える。G
1 (z),G2 (z)は、対応するスピーカ21 ,22
とマイクロホン3との各間の伝達関数であり、システム
を安定にするための調整器51 ,52 がスピーカ21
2 の各入力側に挿入され、調整器51 ,52 の伝達関
数A1 ,A2 は必要な場合は周波数依存性を持たせるも
のとする。いま、このシステムに信号U 1 (z),U2
(z)が図のように印加されたとき観測されるスピーカ
1 ,2 2 の出力V1 (z),V2 (z)は、 と表すことができる。信号U1(z),U2(z)は、実際、電
気ノイズ等として印加され得る信号である。さて、この
システムが安定であるためには、課題を解決するための
手段の項で述べたのと同様な考察により、全ての周波数
に対して、
【0030】
【数12】 が、満たされていればよい。このシステムにおいて、上
述の音響システム周波数特性行列に相当するのは、[G
1 (exp(jω)) G2 (exp(jω))]であ
る。従って、この発明での提案手法により‖[G1 (e
xp(jω))G2 (exp(jω))]‖を知ること
によって、調整器51 ,52 の伝達関数の周波数特性A
1 (exp(jω)),A2 (exp(jω))を、
【0031】
【数13】 を全ての周波数に対して満たすように調整することによ
って、システムはハウリングを回避できる。つまり式
(26)の右辺の分母を、前述した第3〜第6の発明の
何れかにより各周波数について、あるいは周波数に対す
る平均値として求め、この値はスカラー量であり、この
求めたスカラー量より、式(26)の左辺の値が小さく
なるという条件のもとに、A1 (exp(jω)),A
2 (exp(jω))を調整する。また式(26)を満
たせば、どのようにA1 (exp(jω)),A2 (e
xp(jω))を調整してもよく、音色の調整において
も、その調整範囲を示す指針が得られる。つまり例えば
音色調整のために調整器51 ,52 を調整して、高域周
波数領域をもち上げるような音色調整を行う場合に、前
述のように式(26)の右辺の値を求め、これより式
(26)の左辺の値が小さいという条件のもとで調整を
行えば、この調整により、ハウリングが生じるような悪
影響は生じない。また、必要な物理量は、G1 (exp
(jω)),G2 (exp(jω))に関するもののみ
であるから、音響的な閉ループを形成せずに測定可能で
あり、ハウリング等を発生させずにシステム調整が可能
である。
【0032】
【発明の効果】以上に説明したように、複数のスピーカ
と1つ以上のマイクロホン、あるいは、1つ以上のスピ
ーカと複数のマイクロホンとによって構成されるスピー
カ群とマイクロホン群とを同一音響空間内に持つ多チャ
ネル音響システムのスピーカ群からマイクロホン群へと
伝わる音響的な結合を評価する多チャネル音響結合評価
方法において、この発明方法は、上述音響システム周波
数特性行列のノルムを評価に用いる。この量は、その音
響システムに固有であり、測定に用いる入出力信号の性
質によらず、また、スカラー量であるため、大小比較が
容易である。従って、この発明による評価方法を利用す
ることにより、多チャネル音響システムの音響結合の強
弱に関して、より正確で、複数のシステムの比較等を容
易に評価できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は1チャネル音響システムを示す図、
(b)はその等価回路図である。
【図2】多チャネル音響システムを示す図。
【図3】双方向ステレオ拡声通話系を示す図。
【図4】図3のシステムにおける片側の音響結合を評価
する機能構成例を示す図。
【図5】図4の実施例における第3、第4の発明を適用
した処理手順を示す図。
【図6】2スピーカ・1マイクロホンの場内拡声システ
ムとそのハウリング回避の調整器を設けた図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−27775(JP,A) 特開 平7−154468(JP,A) 特開 昭57−162594(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 3/02 H04L 5/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のスピーカと1つ以上のマイクロホ
    ン、あるいは、1つ以上のスピーカと複数のマイクロホ
    ンとによって構成されるスピーカ群とマイクロホン群と
    を同一音響空間内に持つ多チャネル音響システムのスピ
    ーカ群からマイクロホン群へと伝わる音響的な結合を評
    価する多チャネル音響結合評価方法において、 上記スピーカ群のスピーカの数をM、上記マイクロホン
    群のマイクロホンの数をNとし、周波数をfとして、m
    (=1,2,…,M)番目のスピーカとn(=1,2,
    …,N)番目のマイクロホンとの間の伝達関数について
    周波数特性をGmn(f)とし、これらの周波数特性を要
    素として持つ音響システム周波数特性行列 【数1】 を構成し、T は転置を表し、上記スピーカ群のm(=
    1,2,…,M)番目のスピーカへの入力信号の周波数
    特性をXm (f)とし、これを全チャネル分まとめた入
    力信号周波数特性ベクトルを 【数2】 とし、‖G(f)x(f)‖,‖x(f)‖は、
    それぞれベクトルG(f)x(f),x(f)の
    各要素の2乗の総和の平方根で定義されるノルムとし
    て、各周波数毎に、 ‖G(f)‖=max‖G(f (f)‖/‖x(f)‖ ただしx(f)≠0 (c) と定義される上記音響システム周波数特性行列G
    (f)のノルム‖G(f)‖を上記音響システムの音
    響的な結合の周波数毎の強弱等の評価量として用いるこ
    とを特徴とする多チャネル音響結合評価方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の多チャネル音響結合評価
    方法において、 上記音響システム周波数特性行列G(f)のノルムの
    測定値を、上記入力信号周波数特性ベクトルx(f)
    の方向が様々な向きとなるように上記各スピーカに様々
    な組合せの信号を入力し、上記マイクロホンから出力信
    号を得、各スピーカ入力信号のパワーの総和に対する各
    マイクロホン出力信号のパワーの総和の比のうち最大と
    なる値を求め、この最大値によって与えることを特徴と
    する。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の多チャネル音響結合評価
    方法において、 上記音響システム周波数特性行列G(f)のノルムの
    測定値を、各スピーカから各マイクロホンへの経路のイ
    ンパルス応答を測定し、これらをそれぞれ周波数領域に
    変換することによりG(f)を構成し、GH (f)
    G(f)の固有値のうち最大値を求め、H は共役転置
    であり、その最大値の平方根によって与えることを特徴
    とする。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の多チャネル音響結合評価
    方法において、 上記音響システム周波数特性行列G(f)のノルムの
    測定値を、各スピーカから各マイクロホンへの経路のイ
    ンパルス応答を測定し、これらをそれぞれ周波数領域に
    変換することによりG(f)を構成し、G(f)の
    最大の特異値を求め、この最大特異値によって与えるこ
    とを特徴とする。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の多チャネル音響結合評価
    方法において、 上記音響システム周波数特性行列G(f)のノルムの
    測定値を、各スピーカへの入力信号の平均パワー、各マ
    イクロホンからの出力信号の平均パワーを用いて、各ス
    ピーカとマイクロホンとの間の伝達関数の近似値を求
    め、この近似値を利用して求めることを特徴とする。
  6. 【請求項6】 請求項1又は5記載の多チャネル音響結
    合評価方法において、 上記音響システム周波数特性行列G(f)のノルムの
    測定値を、各スピーカとマイクロホンとの間の伝達関数
    の相似性を用いて近似的に求めることを特徴とする。
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