JP2865038B2 - 発光性ケイ素系高分子化合物およびその製造方法 - Google Patents
発光性ケイ素系高分子化合物およびその製造方法Info
- Publication number
- JP2865038B2 JP2865038B2 JP33565195A JP33565195A JP2865038B2 JP 2865038 B2 JP2865038 B2 JP 2865038B2 JP 33565195 A JP33565195 A JP 33565195A JP 33565195 A JP33565195 A JP 33565195A JP 2865038 B2 JP2865038 B2 JP 2865038B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polysilane
- based polymer
- polymer
- polymer compound
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
- Silicon Polymers (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光材料および半
導体材料などに有用であり、特に可視領域で発光を示す
新規なケイ素系高分子化合物およびその製造方法を提供
するものである。
導体材料などに有用であり、特に可視領域で発光を示す
新規なケイ素系高分子化合物およびその製造方法を提供
するものである。
【0002】
【従来の技術】ケイ素系高分子化合物(以下ポリシラン
という)は主鎖骨格がSi−Si結合から構成されるポ
リマーであり、その主鎖に沿って広がるσ共役系電子構
造に起因して発光および光電導等の半導体に適した性質
が発現することが知られている。特に直鎖型ポリシラン
の発光機能に関しては、その励起時における電子遷移が
直接遷移型であるために効率良く発光が起こるので、蛍
光材料として有用性が高いが、ポリシランを表示素子用
の材料として使用する場合には、発光波長が400nm
以上の可視領域にあることが必要である。しかしなが
ら、従来から知られているポリシランの発光波長はほと
んど全て紫外領域にあった。例えば、代表的なポリシラ
ンであるポリ(メチルフェニルシラン)は353nm、
ポリ(ジ−n−ヘキシルシラン)は337nmを極大波
長とする発光が観測されているにすぎない〔R.D.Mille
r, Chemical Reviews, 89, No.6,(1989) 〕。
という)は主鎖骨格がSi−Si結合から構成されるポ
リマーであり、その主鎖に沿って広がるσ共役系電子構
造に起因して発光および光電導等の半導体に適した性質
が発現することが知られている。特に直鎖型ポリシラン
の発光機能に関しては、その励起時における電子遷移が
直接遷移型であるために効率良く発光が起こるので、蛍
光材料として有用性が高いが、ポリシランを表示素子用
の材料として使用する場合には、発光波長が400nm
以上の可視領域にあることが必要である。しかしなが
ら、従来から知られているポリシランの発光波長はほと
んど全て紫外領域にあった。例えば、代表的なポリシラ
ンであるポリ(メチルフェニルシラン)は353nm、
ポリ(ジ−n−ヘキシルシラン)は337nmを極大波
長とする発光が観測されているにすぎない〔R.D.Mille
r, Chemical Reviews, 89, No.6,(1989) 〕。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記で述べた様にこれ
まで検討されていたポリシラン類は紫外線領域での蛍光
しか示さない。このため可視領域の波長で発光し、表示
素子として利用可能な化合物が必要とされている。そこ
で本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、末端にオリゴチ
オフェンを含有する新規なポリシランが可視領域の波長
で発光するという機能を有することを見出し、本発明を
完成した。
まで検討されていたポリシラン類は紫外線領域での蛍光
しか示さない。このため可視領域の波長で発光し、表示
素子として利用可能な化合物が必要とされている。そこ
で本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、末端にオリゴチ
オフェンを含有する新規なポリシランが可視領域の波長
で発光するという機能を有することを見出し、本発明を
完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、式〔1〕で表
されるポリシランである。
されるポリシランである。
【0005】
【化3】
【0006】(Rは炭素数4〜8の直鎖アルキル基を示
し、nは5〜50の正数を示す)
し、nは5〜50の正数を示す)
【0007】
【発明の実施の形態】本発明における式〔1〕で表され
るポリシランは文献未載の新規化合物である。式〔1〕
におけるRを具体的に示すと、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基であり、有機
溶媒に対する溶解性が高く、薄膜作製等の加工性に優
れ、かつ機械的強度の高い薄膜が得られるという理由か
ら、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基が好まし
く、特にヘキシル基が好適である。さらに、mとnはそ
れぞれメチルフェニルシラン単量体単位とチオフェン単
量体単位の重合度であり、mは50〜500の正数およ
びnは1〜50の正数を示す。本発明におけるポリシラ
ンのゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(以下G
PCという)による重量平均分子量(ポリスチレン換
算)は10,000〜100,000が好ましく、さら
に好ましくは10,000〜50,000である。
るポリシランは文献未載の新規化合物である。式〔1〕
におけるRを具体的に示すと、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基であり、有機
溶媒に対する溶解性が高く、薄膜作製等の加工性に優
れ、かつ機械的強度の高い薄膜が得られるという理由か
ら、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基が好まし
く、特にヘキシル基が好適である。さらに、mとnはそ
れぞれメチルフェニルシラン単量体単位とチオフェン単
量体単位の重合度であり、mは50〜500の正数およ
びnは1〜50の正数を示す。本発明におけるポリシラ
ンのゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(以下G
PCという)による重量平均分子量(ポリスチレン換
算)は10,000〜100,000が好ましく、さら
に好ましくは10,000〜50,000である。
【0008】本発明におけるポリシランは、例えば、末
端にクロロシリル基を含有する式〔2〕で表されるオリ
ゴチオフェン(以下マクロチオフェンという)と、メチ
ルフェニルジクロロシランを縮重合させることによる製
造される。
端にクロロシリル基を含有する式〔2〕で表されるオリ
ゴチオフェン(以下マクロチオフェンという)と、メチ
ルフェニルジクロロシランを縮重合させることによる製
造される。
【0009】
【化4】
【0010】(Rは炭素数4〜8の直鎖アルキル基を示
し、nは1〜50の正数を示す)
し、nは1〜50の正数を示す)
【0011】前記マクロチオフェンも新規物質である。
例えば、式〔3〕で表されるジブロモチオフェンと式
〔4〕で表されるモノブロモチオフェンをグリニャール
重合させて得られる式〔5〕で表されるポリチオフェン
化合物を、塩化パラジウム触媒の存在下に四塩化炭素と
反応させることにより、前記マクロチオフェンは製造さ
れる。
例えば、式〔3〕で表されるジブロモチオフェンと式
〔4〕で表されるモノブロモチオフェンをグリニャール
重合させて得られる式〔5〕で表されるポリチオフェン
化合物を、塩化パラジウム触媒の存在下に四塩化炭素と
反応させることにより、前記マクロチオフェンは製造さ
れる。
【0012】
【化5】
【0013】(R1 は炭素数4〜8の直鎖アルキル基を
示す)
示す)
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】(R1 は炭素数4〜8の直鎖アルキル基を
示し、nは1〜50の正数を示す)
示し、nは1〜50の正数を示す)
【0017】次に本発明におけるポリシランの製造方法
について説明する。ポリシランは前記マクロチオフェン
とメチルフェニルジクロロシランを有機溶媒中で混合さ
せ、還元剤を加え脱ハロゲン縮重合させることにより製
造される。還元剤としては金属ナトリウム、金属カリウ
ムおよび金属リチウムが挙げられ、金属ナトリウムが好
適である。有機溶媒はマクロチオフェン、メチルフェニ
ルジクロロシランおよび生成するポリシランを溶解する
ものであれば特に限定なく用いることができ、具体的に
はトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ベンゼン
およびエチルベンゼンなどが挙げられ、好ましくはトル
エン、キシレンおよびテトラヒドロフランであり、特に
好ましくはトルエンである。
について説明する。ポリシランは前記マクロチオフェン
とメチルフェニルジクロロシランを有機溶媒中で混合さ
せ、還元剤を加え脱ハロゲン縮重合させることにより製
造される。還元剤としては金属ナトリウム、金属カリウ
ムおよび金属リチウムが挙げられ、金属ナトリウムが好
適である。有機溶媒はマクロチオフェン、メチルフェニ
ルジクロロシランおよび生成するポリシランを溶解する
ものであれば特に限定なく用いることができ、具体的に
はトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ベンゼン
およびエチルベンゼンなどが挙げられ、好ましくはトル
エン、キシレンおよびテトラヒドロフランであり、特に
好ましくはトルエンである。
【0018】上記反応におけるメチルフェニルジクロロ
シランに対するマクロチオフェンの重量比率は0.01
〜20重量%であることが好ましく、特に好ましくは
0.05〜10重量%である。反応温度は使用する溶媒
の沸点近傍が好ましく、例えば、トルエンを使用する場
合は100〜110℃、キシレンを使用する場合は13
0〜140℃が好ましい。反応時間は30分〜5時間が
好ましく、特に1〜2時間が好ましい。反応時間が5時
間より長くなると生成したポリシランが分解を起こす恐
れがある。
シランに対するマクロチオフェンの重量比率は0.01
〜20重量%であることが好ましく、特に好ましくは
0.05〜10重量%である。反応温度は使用する溶媒
の沸点近傍が好ましく、例えば、トルエンを使用する場
合は100〜110℃、キシレンを使用する場合は13
0〜140℃が好ましい。反応時間は30分〜5時間が
好ましく、特に1〜2時間が好ましい。反応時間が5時
間より長くなると生成したポリシランが分解を起こす恐
れがある。
【0019】さらに、例えば、反応生成物の濾過並びに
メタノールおよびn−ヘキサンなどで再沈殿させること
により、ポリシランを精製させることができる。
メタノールおよびn−ヘキサンなどで再沈殿させること
により、ポリシランを精製させることができる。
【0020】本発明により得られたポリシランは、58
0nm付近に極大波長を有する可視発光を示し、発光材
料および半導体材料などに有用である。
0nm付近に極大波長を有する可視発光を示し、発光材
料および半導体材料などに有用である。
【0021】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明する。 〈参考例〉マクロチオフェンの製造 50mlのナス型フラスコに金属マグネシウム0.24
g(10.0mmol)と磁気攪拌子を入れ、フラスコ
内部を乾燥窒素雰囲気にした。シリンジでテトラヒドロ
フランを10ml加えて、マグネチックスタ−ラ−で攪
拌しながら2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン
3.26g(10.0mmol)を添加した。発熱を伴
いながらグリニャ−ル反応が進行し、30分後に金属マ
グネシウムがすべて消費されて反応が終結し、均一透明
な溶液になった。これに2−ブロモ−5−メチルフェニ
ルヒドロシリルチオフェン0.28g(1,0mmo
l)とテトラヒドロフラン溶媒10mlを加えて攪拌し
た。そして触媒の塩化ニッケルジフェニルフォスフィノ
エタンを0.24g(2,5−ジブロモ−3−ヘキシル
チオフェンに対して0.33モル%)を加えて攪拌し
た。直ちに重合が開始され発熱が起きた。反応を1時間
行った後、溶液は赤褐色を呈し、副生成物の臭化マグネ
シウムが析出した。
説明する。 〈参考例〉マクロチオフェンの製造 50mlのナス型フラスコに金属マグネシウム0.24
g(10.0mmol)と磁気攪拌子を入れ、フラスコ
内部を乾燥窒素雰囲気にした。シリンジでテトラヒドロ
フランを10ml加えて、マグネチックスタ−ラ−で攪
拌しながら2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン
3.26g(10.0mmol)を添加した。発熱を伴
いながらグリニャ−ル反応が進行し、30分後に金属マ
グネシウムがすべて消費されて反応が終結し、均一透明
な溶液になった。これに2−ブロモ−5−メチルフェニ
ルヒドロシリルチオフェン0.28g(1,0mmo
l)とテトラヒドロフラン溶媒10mlを加えて攪拌し
た。そして触媒の塩化ニッケルジフェニルフォスフィノ
エタンを0.24g(2,5−ジブロモ−3−ヘキシル
チオフェンに対して0.33モル%)を加えて攪拌し
た。直ちに重合が開始され発熱が起きた。反応を1時間
行った後、溶液は赤褐色を呈し、副生成物の臭化マグネ
シウムが析出した。
【0022】生成ポリマ−を精製するために、5%塩酸
100mlを入れた分液漏斗に上記反応溶液を注いで振
り混ぜた。褐色の粗ポリマ−が水層上に析出したので、
これを分離して再度テトラヒドロフラン50mlに溶解
させ、さらに300mlのアセトン中にポリマ−溶液を
投入することにより再沈澱させた。ガラスフィルタ−で
これを回収し、減圧乾燥して精製ポリマ−0.59gを
得た。収率は32%であった。GPCにより求められた
数平均分子量は5,050(分散度1.24)であっ
た。プロトン核磁気共鳴スペクトルの積分比から重合度
nは30と認められた。得られたポリマ−の赤外吸収ス
ペクトルを図1に示した。3,030cm-1にチエニル
基のC−H伸縮振動、2,956、2,927、2,8
57cm-1にヘキシル基のC−H伸縮振動、2,130
cm-1に末端基のSi−H伸縮振動、825cm-1にチ
オフェン環のC−S伸縮振動の特性吸収が観測され、得
られたポリマ−は末端にヒドロシリル基を持ち、主鎖が
3−ヘキシルチエニル基で構成された前記式〔5〕で表
されるポリチオフェン化合物であることを確認した。
100mlを入れた分液漏斗に上記反応溶液を注いで振
り混ぜた。褐色の粗ポリマ−が水層上に析出したので、
これを分離して再度テトラヒドロフラン50mlに溶解
させ、さらに300mlのアセトン中にポリマ−溶液を
投入することにより再沈澱させた。ガラスフィルタ−で
これを回収し、減圧乾燥して精製ポリマ−0.59gを
得た。収率は32%であった。GPCにより求められた
数平均分子量は5,050(分散度1.24)であっ
た。プロトン核磁気共鳴スペクトルの積分比から重合度
nは30と認められた。得られたポリマ−の赤外吸収ス
ペクトルを図1に示した。3,030cm-1にチエニル
基のC−H伸縮振動、2,956、2,927、2,8
57cm-1にヘキシル基のC−H伸縮振動、2,130
cm-1に末端基のSi−H伸縮振動、825cm-1にチ
オフェン環のC−S伸縮振動の特性吸収が観測され、得
られたポリマ−は末端にヒドロシリル基を持ち、主鎖が
3−ヘキシルチエニル基で構成された前記式〔5〕で表
されるポリチオフェン化合物であることを確認した。
【0023】次に、上記で得られたポリチオフェン化合
物0.59gを乾燥窒素雰囲気に置換した100mlの
ナス型フラスコに入れ、四塩化炭素20mlに溶解させ
た。塩化パラジウムの粉末を10mg添加した後に、マ
グネチックスタ−ラ−で攪拌しながら24時間還流加熱
を行った。室温まで放冷してから触媒を濾過により取り
除いた。重合溶液を減圧乾燥することにより、濃紫色固
体状のポリマ−0.60gを得た。収率は100%であ
った。GPCにより求められた数平均分子量は5,50
0(分散度1.33)であり、プロトン核磁気共鳴スペ
クトルの積分比から重合度nは30と認められた。得ら
れたポリマ−の赤外吸収スペクトルを図2に示した。
3,055cm-1にチエニル基のC−H伸縮振動、2,
956、2,927、2,857cm-1にヘキシル基の
C−H伸縮振動、825cm-1にチオフェン環のC−S
伸縮振動の特性吸収が観測されたが、本反応を実施する
前に見られた2,130cm-1のSi−H伸縮振動が完
全に消失していた。さらにハロゲンの定性試験をバイル
シュタイン法により行ったところ陽性であった。この結
果、得られたポリマ−の末端ヒドロシリル基が全て塩素
化されたことを示し、式〔2〕で表されるα−メチルフ
ェニルクロロシリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフェ
ン)であることを確認した。
物0.59gを乾燥窒素雰囲気に置換した100mlの
ナス型フラスコに入れ、四塩化炭素20mlに溶解させ
た。塩化パラジウムの粉末を10mg添加した後に、マ
グネチックスタ−ラ−で攪拌しながら24時間還流加熱
を行った。室温まで放冷してから触媒を濾過により取り
除いた。重合溶液を減圧乾燥することにより、濃紫色固
体状のポリマ−0.60gを得た。収率は100%であ
った。GPCにより求められた数平均分子量は5,50
0(分散度1.33)であり、プロトン核磁気共鳴スペ
クトルの積分比から重合度nは30と認められた。得ら
れたポリマ−の赤外吸収スペクトルを図2に示した。
3,055cm-1にチエニル基のC−H伸縮振動、2,
956、2,927、2,857cm-1にヘキシル基の
C−H伸縮振動、825cm-1にチオフェン環のC−S
伸縮振動の特性吸収が観測されたが、本反応を実施する
前に見られた2,130cm-1のSi−H伸縮振動が完
全に消失していた。さらにハロゲンの定性試験をバイル
シュタイン法により行ったところ陽性であった。この結
果、得られたポリマ−の末端ヒドロシリル基が全て塩素
化されたことを示し、式〔2〕で表されるα−メチルフ
ェニルクロロシリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフェ
ン)であることを確認した。
【0024】〈実施例1〉滴下漏斗、玉入冷却管と温度
測定用ガラス管を備えた500ml4つ口フラスコにス
テンレス製の撹拌羽根を取り付け、粒状の金属ナトリウ
ム4.30g(187mmol)を入れて内部を乾燥窒
素ガス雰囲気にした。脱水精製したトルエン160ml
をシリンジで加え、ヒーターで加熱してトルエンを沸騰
させた後に高速で撹拌して金属ナトリウムを細かい粒子
として分散させた。次に、参考例で製造した数平均分子
量5500(重合度n=30)のα−メチルフェニルク
ロロシリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)とメ
チルフェニルジクロロシランをそれぞれ0.11g、1
0.8g(57mmol)採ってトルエン20mlに溶
解し、滴下漏斗から30分かけてゆっくりと滴下した。
このとき反応溶液の温度が100〜110℃となるよう
に滴下速度および加温熱量を調整した。原料溶液を全て
供給した後、1時間還流加熱を行って重合反応を進行さ
せた。室温まで冷却してから、析出した塩化ナトリウム
および未反応の金属ナトリウムを濾過し、重合溶液を5
00mlのメタノール中に投入してポリマーを沈殿させ
た。得られた粗生成物をテトラヒドロフラン100ml
に再度溶解させてから500mlのn−ヘキサンを加え
て再沈殿させた。沈殿したポリマーをガラスフィルター
で濾過した後、減圧乾燥により精製ポリマーを得た。収
率は31%であった。得られたポリマーを、検出波長4
40nmでGPC分析したところ、図3に示すように生
成したポリシランは原料化合物のα−メチルフェニルク
ロロシリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)と比
較して明らかに高分子量化しており、ポリスチレン換算
の分子量は重量平均分子量32,100(分散度1.4
0)であった。さらに図4に示した紫外可視吸収スペク
トルによれば、ポリシラン骨格のσ→σ* 遷移に基づく
吸収が極大吸収波長339nmに示されている他に、チ
オフェン鎖のπ→π* 遷移に由来する極大吸収が440
nmに観測された。以上の結果から、本発明により得ら
れたポリマーはメチルフェニルシラン単量体単位とチオ
フェン単量体単位を構成単位とする共重合体であること
が確認された。
測定用ガラス管を備えた500ml4つ口フラスコにス
テンレス製の撹拌羽根を取り付け、粒状の金属ナトリウ
ム4.30g(187mmol)を入れて内部を乾燥窒
素ガス雰囲気にした。脱水精製したトルエン160ml
をシリンジで加え、ヒーターで加熱してトルエンを沸騰
させた後に高速で撹拌して金属ナトリウムを細かい粒子
として分散させた。次に、参考例で製造した数平均分子
量5500(重合度n=30)のα−メチルフェニルク
ロロシリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)とメ
チルフェニルジクロロシランをそれぞれ0.11g、1
0.8g(57mmol)採ってトルエン20mlに溶
解し、滴下漏斗から30分かけてゆっくりと滴下した。
このとき反応溶液の温度が100〜110℃となるよう
に滴下速度および加温熱量を調整した。原料溶液を全て
供給した後、1時間還流加熱を行って重合反応を進行さ
せた。室温まで冷却してから、析出した塩化ナトリウム
および未反応の金属ナトリウムを濾過し、重合溶液を5
00mlのメタノール中に投入してポリマーを沈殿させ
た。得られた粗生成物をテトラヒドロフラン100ml
に再度溶解させてから500mlのn−ヘキサンを加え
て再沈殿させた。沈殿したポリマーをガラスフィルター
で濾過した後、減圧乾燥により精製ポリマーを得た。収
率は31%であった。得られたポリマーを、検出波長4
40nmでGPC分析したところ、図3に示すように生
成したポリシランは原料化合物のα−メチルフェニルク
ロロシリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)と比
較して明らかに高分子量化しており、ポリスチレン換算
の分子量は重量平均分子量32,100(分散度1.4
0)であった。さらに図4に示した紫外可視吸収スペク
トルによれば、ポリシラン骨格のσ→σ* 遷移に基づく
吸収が極大吸収波長339nmに示されている他に、チ
オフェン鎖のπ→π* 遷移に由来する極大吸収が440
nmに観測された。以上の結果から、本発明により得ら
れたポリマーはメチルフェニルシラン単量体単位とチオ
フェン単量体単位を構成単位とする共重合体であること
が確認された。
【0025】一方、紫外可視吸収スペクトルにおける各
吸収帯の極大吸収波長における吸光度をポリ(メチルフ
ェニルシラン)のケイ素ユニットあたりの吸光係数εSi
=9,300、原料に用いたα−メチルフェニルクロロ
シリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)のモル吸
光係数εT =95,500(実測値)で除して共重合組
成を求めると、前記式〔1〕におけるm=218、n=
30となった。この組成から共重合体の理論分子量を計
算すると31,222となりGPCより求められた重量
平均分子量とほぼ一致した。従って、本化合物はポリシ
ラン単量体単位とポリチオフェン単量体単位を構成単位
とするA−B型共重合体であると認められた。得られた
共重合体は420nmの光で励起したときに592nm
の可視発光が観測された(図5)。またこの発光を与え
るエネルギー順位を調べるために測定した励起スペクト
ルによれば、469nmと340nmに極大ピークが現
れた。このことは、可視発光を与える順位がチオフェン
鎖のπ→π* 遷移(極大波長469nm)のみならず、
ポリシラン骨格のσ共役系(極大波長340nm)にも
存在していることを示している。以上の結果より、本実
施例の化合物はπ共役系とσ共役系の2つのセグメント
に可視発光を与える励起順位をもつ新規なポリシランで
あり、発光材料として好適な性質を有することが確認さ
れた。
吸収帯の極大吸収波長における吸光度をポリ(メチルフ
ェニルシラン)のケイ素ユニットあたりの吸光係数εSi
=9,300、原料に用いたα−メチルフェニルクロロ
シリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)のモル吸
光係数εT =95,500(実測値)で除して共重合組
成を求めると、前記式〔1〕におけるm=218、n=
30となった。この組成から共重合体の理論分子量を計
算すると31,222となりGPCより求められた重量
平均分子量とほぼ一致した。従って、本化合物はポリシ
ラン単量体単位とポリチオフェン単量体単位を構成単位
とするA−B型共重合体であると認められた。得られた
共重合体は420nmの光で励起したときに592nm
の可視発光が観測された(図5)。またこの発光を与え
るエネルギー順位を調べるために測定した励起スペクト
ルによれば、469nmと340nmに極大ピークが現
れた。このことは、可視発光を与える順位がチオフェン
鎖のπ→π* 遷移(極大波長469nm)のみならず、
ポリシラン骨格のσ共役系(極大波長340nm)にも
存在していることを示している。以上の結果より、本実
施例の化合物はπ共役系とσ共役系の2つのセグメント
に可視発光を与える励起順位をもつ新規なポリシランで
あり、発光材料として好適な性質を有することが確認さ
れた。
【0026】〈実施例2〉重合度n=30のα−メチル
フェニルクロロシリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフ
ェン)とメチルフェニルジクロロシランをそれぞれ1.
0g、11.6g(61mmol)採ってトルエン50
mlに溶解した原料を用いたこと以外は実施例1と同様
にして重合を行い、収率11%で共重合体を得た。GP
Cによる分子量は25,100(分散度1.82)であ
った。実施例1と同様に共重合組成を計算するとm=1
15、n=30であった。得られた化合物の13C核磁気
共鳴スペクトルを図6に示す。図6によれば、−7pp
mにシリルメチル基、14〜32ppmにヘキシル基の
炭素に帰属されるピークが観測され、本化合物はポリメ
チルフェニルシリルセグメントおよび3−ヘキシルチエ
ニルセグメントからなる高分子であることが明らかであ
る。また、本化合物は420nmで励起したときに59
5nmの可視発光が観測され、発光材料として好適な性
質を有することが確認された。
フェニルクロロシリル−ポリ(3−n−ヘキシルチオフ
ェン)とメチルフェニルジクロロシランをそれぞれ1.
0g、11.6g(61mmol)採ってトルエン50
mlに溶解した原料を用いたこと以外は実施例1と同様
にして重合を行い、収率11%で共重合体を得た。GP
Cによる分子量は25,100(分散度1.82)であ
った。実施例1と同様に共重合組成を計算するとm=1
15、n=30であった。得られた化合物の13C核磁気
共鳴スペクトルを図6に示す。図6によれば、−7pp
mにシリルメチル基、14〜32ppmにヘキシル基の
炭素に帰属されるピークが観測され、本化合物はポリメ
チルフェニルシリルセグメントおよび3−ヘキシルチエ
ニルセグメントからなる高分子であることが明らかであ
る。また、本化合物は420nmで励起したときに59
5nmの可視発光が観測され、発光材料として好適な性
質を有することが確認された。
【0027】〈実施例3〉重合度n=20のα−メチル
フェニルクロロシリル−ポリ(3−n−オクチルチオフ
ェン)とメチルフェニルジクロロシランをそれぞれ0.
52g、10.3g(54mmol)採ってトルエン3
0mlに溶解した原料を用いたこと以外は実施例1と同
様にして重合を行い、収率25%で共重合体が得られ
た。GPCによる分子量は35,500(分散度1.4
5)であった。実施例1と同様に共重合組成を計算する
とm=264、n=20であった。また、本化合物は4
20nmで励起したときに590nmの可視発光が観測
され、発光材料として好適な性質を有することが確認さ
れた。
フェニルクロロシリル−ポリ(3−n−オクチルチオフ
ェン)とメチルフェニルジクロロシランをそれぞれ0.
52g、10.3g(54mmol)採ってトルエン3
0mlに溶解した原料を用いたこと以外は実施例1と同
様にして重合を行い、収率25%で共重合体が得られ
た。GPCによる分子量は35,500(分散度1.4
5)であった。実施例1と同様に共重合組成を計算する
とm=264、n=20であった。また、本化合物は4
20nmで励起したときに590nmの可視発光が観測
され、発光材料として好適な性質を有することが確認さ
れた。
【0028】
【発明の効果】本発明におけるポリシランは発光材料お
よび半導体材料などに有用な新規な化合物であり、特に
可視領域の波長で発光特性を持つため、表示素子等への
利用が可能な極めて有用な材料である。
よび半導体材料などに有用な新規な化合物であり、特に
可視領域の波長で発光特性を持つため、表示素子等への
利用が可能な極めて有用な材料である。
【図1】参考例で得られたポリチオフェンの赤外吸収ス
ペクトルを示す。
ペクトルを示す。
【図2】参考例で得られたマクロチオフェンの赤外吸収
スペクトルを示す。
スペクトルを示す。
【図3】実施例1で得られたポリシランおよび原料化合
物であるα−メチルフェニルクロロシリル−ポリ(3−
n−ヘキシルチオフェン)のゲルパーミエーションクロ
マトグラフ(GPC)分析チャートを示す。
物であるα−メチルフェニルクロロシリル−ポリ(3−
n−ヘキシルチオフェン)のゲルパーミエーションクロ
マトグラフ(GPC)分析チャートを示す。
【図4】実施例1で得られたポリシランの紫外可視吸収
スペクトルを示す。
スペクトルを示す。
【図5】実施例1で得られたポリシランの発光および励
起スペクトルを示す。
起スペクトルを示す。
【図6】実施例2で得られたポリシランの13C核磁気共
鳴スペクトルを示す。
鳴スペクトルを示す。
Claims (2)
- 【請求項1】メチルフェニルシラン単量体単位とチオフ
ェン単量体単位を構成単位とする式〔1〕で表されるケ
イ素系高分子化合物。 【化1】 (Rは炭素数4〜8の直鎖アルキル基を示し、mは50
〜500の正数およびnは5〜50の正数を示す) - 【請求項2】末端にメチルフェニルクロロシリル基を含
有する式〔2〕で表されるオリゴチオフェンと、メチル
フェニルジクロロシランを縮重合させることを特徴とす
る請求項1記載のケイ素系高分子化合物の製造方法。 【化2】 (Rは炭素数4〜8の直鎖アルキル基を示し、nは5〜
50の正数を示す)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33565195A JP2865038B2 (ja) | 1995-12-01 | 1995-12-01 | 発光性ケイ素系高分子化合物およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33565195A JP2865038B2 (ja) | 1995-12-01 | 1995-12-01 | 発光性ケイ素系高分子化合物およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09157358A JPH09157358A (ja) | 1997-06-17 |
JP2865038B2 true JP2865038B2 (ja) | 1999-03-08 |
Family
ID=18290992
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33565195A Expired - Fee Related JP2865038B2 (ja) | 1995-12-01 | 1995-12-01 | 発光性ケイ素系高分子化合物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2865038B2 (ja) |
-
1995
- 1995-12-01 JP JP33565195A patent/JP2865038B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09157358A (ja) | 1997-06-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Wang et al. | Synthesis, characterization, and properties of novel phenylene-silazane-acetylene polymers | |
CA2425039C (en) | Polymer containing 9-oxo-9-phosphafluorene-2,7-diyl skeleton in backbone and process for producing the same | |
Bacque et al. | New polycarbosilane models. 2. First synthesis of poly (silapropylene) | |
Peng et al. | Synthesis and optical properties of hyperbranched polyarylenes | |
Kim et al. | Synthesis and properties of poly (silylenephenylenevinylene) s | |
US20030092880A1 (en) | Conjugated poly(2,7-carbazole) derivatives and process for the preparation thereof | |
Kim et al. | Synthesis and properties of poly (silylenevinylene (bi) phenylenevinylene) s by hydrosilylation polymerization | |
US5229481A (en) | High-molecular weight, silicon-containing polymers and methods for the preparation and use thereof | |
JP2865038B2 (ja) | 発光性ケイ素系高分子化合物およびその製造方法 | |
Yan et al. | Molecular optical switches: synthesis, structure, and photoluminescence of spirosila compounds | |
Sacarescu et al. | Synthesis of new polysilane–crown ether | |
Budy et al. | Synthesis and Properties of Polymers with an Organosilicon–Acetylene Backbone | |
Wang et al. | Facile synthesis of σ–π conjugated organosilicon polymers via click polymerization | |
Park | Grignard Metathesis Polymerization and Properties of 1, 1-Disubstituted-2, 5-dibromo-3, 4-diphenylsiloles | |
Toulokhonova et al. | Synthesis and photophysical properties of novel fluorescent silicones | |
Rao et al. | Pd-catalyzed hydrosilylation polymerization of a dihydrosilane with diyne/triyne mixed systems affording crosslinked silylene–divinylene polymers and their properties | |
JP2956560B2 (ja) | ポリチオフェン化合物およびその製造方法 | |
Hu et al. | Synthesis and properties of novel conjugated poly (silylacetylene silazane) s | |
Park | Synthesis, Photoelectronic, and Electrochemical Properties of Poly [(1, 1‐dihexyl‐3, 4‐diphenyl‐2, 5‐silolene)‐co‐(disubstitutedsilylene)] s | |
Hengge | New ways to polysilanes | |
JP2725535B2 (ja) | 両末端ヒドロポリシランの製造方法 | |
JP2003073475A (ja) | 9−シラフルオレン−9,9−ジイル骨格を有する共重合体、その製造方法、及びそれを構成要素とする発光材料 | |
JP3951479B2 (ja) | 光伝導性ケイ素系高分子およびその製造方法 | |
JPH0959355A (ja) | 多分岐重合体及びその製造方法 | |
RU2321601C1 (ru) | Разветвленные полифенилены и способ их получения |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |