JP2864457B2 - 透水コンクリートの現場施工方法 - Google Patents

透水コンクリートの現場施工方法

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JP2864457B2 JP8073091A JP7309196A JP2864457B2 JP 2864457 B2 JP2864457 B2 JP 2864457B2 JP 8073091 A JP8073091 A JP 8073091A JP 7309196 A JP7309196 A JP 7309196A JP 2864457 B2 JP2864457 B2 JP 2864457B2
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    • Y02A30/60Planning or developing urban green infrastructure

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  • Road Paving Structures (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、骨材の剥離を防止
して十分な強度を有する透水コンクリートを施工するこ
とができる透水コンクリートの現場施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】透水コンクリートは、その体積の20〜
30%程度が互いに連続した空隙となっているコンクリ
ートであり、上記連続空隙を水や空気が自由に出入りで
きるため、極めて大きな透水性を有しているものであ
る。そして、このような透水コンクリートは、その特性
を生かして、従来より暗渠施設や雨水浸透処理施設のた
めのコンクリート二次製品に広く利用されているが、近
年では透水舗装用の材料として、現場施工も行なわれる
ようになった。現場施工に使用される透水コンクリート
を二次製品に使用されるものと比較すると、配合上、次
のような特徴がある。 (ア)水結合材比が大きい。一般的に0.35〜0.5
0程度であるが、これは現場施工においては、二次製品
の成形のように強い振動締め固めが行えないため、材料
の充填性を向上するための措置である。 (イ)セメント以外のバインダーを併用する。例えば特
公平7−99002号公報に記載の方法のようにセメン
ト重量の4%程度まで樹脂系エマルジョンを混入するこ
とが一般的に知られている。これは高い水結合材比に起
因する硬化後の強度の不足を補うための措置である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、透水コ
ンクリートを舗装材等、現場で施工する場合、工場で生
産するコンクリート二次製品では問題になることの少な
かった透水コンクリートの欠点、即ち透水コンクリート
が乾燥し易い材料であるという性質が大きな問題点とし
て現れるようになった。例えば透水コンクリート舗装に
おいて、透水コンクリートの乾燥の影響が最も顕著に現
れるのが、舗装表面の部分的な骨材の剥離であり、事
実、工事完成後の品質に関するクレームもこれが最も多
く、したがって透水コンクリートの現場施工に適した乾
燥対策の確立は重要な問題である。
【0004】透水コンクリートの乾燥のし易さは、その
性状ゆえの宿命とも言えるもので、その特徴である空気
の出入りの容易な大きな空隙率、並びに少ない単位水量
に起因する。透水コンクリートの乾燥とは、要するに骨
材粒を覆うセメントペーストの乾燥であり、水分の不足
したセメントペーストは、流動性と粘性を失い、振動締
め固めを行なっても隣り合う骨材粒を十分に接着するこ
とができなくなり、透水コンクリート舗装では、表面の
骨材剥離を引き起こす。また、乾燥の程度が特に大きい
場合には、セメントの硬化に必要な水分さえ確保でき
ず、舗装体としての十分な強度が得られないという結果
となる。骨材の剥離は結局のところ、乾燥した部分の硬
化不良または強度の不足が原因であるが、外気に接する
表面で最もその程度が大きい。また元来、強度を増加す
るために混入するポリマーディスパージョンは締め固め
を行う前に乾燥が起こった場合にはセメントペーストの
表面に樹脂膜を形成してしまい、締め固め時に骨材どう
しの接着を阻害する。したがって、特公平7−9900
2号公報に記載の方法では締め固めの不良を生じ、かえ
って強度低下の原因になることもある。透水コンクリー
トの現場施工において上述のような透水コンクリートの
乾燥による弊害が現れやすいのは、以下の理由によるも
のである。 (a)工場での生産(板状或いは桝状等の透水コンクリ
ート成形品の製造)では透水コンクリート(組成物)の
練り混ぜから成形までに要する時間が比較的短く、また
成形したのち直ちに養生が行なわれるのに対し、透水コ
ンクリートの現場施工では、生コンプラントでの練り混
ぜから、舗装の敷設までに要する時間が比較的長く、ま
た敷設後の養生(一般的には24時間程度のシート養生
で、乾燥対策でもある)も簡易的且つ期間も短く、さら
に透水コンクリートが乾燥した外気にさらされる時間が
長い。 (b)一般的に透水コンクリート(組成物)を薄く広く
敷設するので、施工面が大きいほど乾燥した外気に触れ
る表面積が大きい。
【0005】また、現場施工における透水コンクリート
の乾燥は、前記に限定されるものではなく、その一連の
工程(ダンプトラックによる輸送、現場でのコンクリー
トの捲き出し、コンクリートの締め固め及び表面の仕上
げ、及び養生)の何れの段階でも起こり得るものである
が、それが施工工事完了の透水コンクリートの品質に及
ぼす影響は、それぞれ次のように異なる。 (1)現場搬入後、捲き出しまでに生ずる乾燥 この段階では、透水コンクリート(組成物)は外気に直
接さらされる表面積が小さいために、乾燥の程度は小さ
い。 (2)捲き出しから締め固め及び表面仕上げ終了までに
生ずる乾燥 前記のように透水コンクリート(組成物)は薄く敷き広
げられるために乾燥し易くなる。乾燥の程度は当然表面
近傍で大きくなり、締め固めを行なっても十分な密度が
得られず、強度不足の原因となる。 (3)表面仕上げ後、養生開始までに生ずる乾燥 前項と同様に表面で乾燥の程度が大きい。この段階での
乾燥は、表層部分でセメントの硬化不良の原因となる。 (4)養生中に生ずる乾燥 この期間での乾燥は、透水コンクリートの長期強度に影
響を及ぼす。一般的な24時間程度のシート養生だけで
は、表面の乾燥対策として必ずしも十分であるとは言え
ない。
【0006】このように現場施工における透水コンクリ
ートの乾燥は、期間的には捲き出しから締め固め及び表
面仕上げ終了まで、並びに表面仕上げ後から養生開始ま
でにおいて特に重要であり、部位的には表面部分で特に
問題となって供用中の骨材の剥離という重大な問題を引
き起こす。
【0007】そして、現段階では、透水コンクリートの
捲き出しから養生開始までの乾燥への対策は、施工面積
の細分化による方法しかないのが現状である。
【0008】尤も、施工面積を細分化して施工する方法
は、極めて作業性が悪いことは説明するまでもない。ま
た、大型機械の使用や綿密な作業計画をもってしても気
候条件の変動等の不確定な要因によって作業工程にずれ
が生じる可能性があり、透水コンクリートがその影響を
特に受け易い材料であることを考えると、前記の対策で
は不十分である。したがって、透水コンクリートの現場
施工における乾燥対策の方法が嘱望されていた。
【0009】そこで、本発明者等は、透水コンクリート
は乾燥に極めて弱い材料であるという前提に立って、施
工中及び施工後の乾燥防止は勿論、万が一施工中に材料
が乾燥した場合にも、それが極端なものでない限り、強
度低下を抑え、舗装体の品質に悪影響がでるのを防ぐこ
とを目的とした。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑み提案
されたもので、透水コンクリートの現場施工において、
捲き出し終了後の透水コンクリートの表面に水性ポリマ
ーディスパージョンを散布し、その後、締め固め及び仕
上げ作業を行なうことを特徴とする透水コンクリートの
現場施工方法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の施工方法における水性ポ
リマーディスパージョンの散布は、以下の2つの作用に
より供用中の透水コンクリート表面の骨材剥離を極めて
少なくする効果を果たす。 締め固め、仕上げ作業以前の段階で透水コンクリー
トが乾燥したとしても、それによって透水コンクリート
表面に弱点ができるのを防ぐ作用; 即ち、たとえ締め固め、仕上げ作業以前の工程で、透水
コンクリートの乾燥が起こっても、表面に散布した水性
ポリマーディスパージョンがその後の振動締め固めによ
って透水コンクリートの空隙を伝ってその内部に浸透
し、個々の骨材をセメントペーストと一体になって結合
すると同時に、乾燥したセメントペーストの流動性を回
復し、充填性を高めるとともに、乾燥の著しい場合には
セメントの硬化に必要な水分を供給する。そして、これ
らの作用で透水コンクリート表面の骨材剥離の原因とな
る局部的な強度低下を防止するものである。 締め固め、仕上げ作業終了後においては、透水コン
クリートが乾燥するのを防ぎ、透水コンクリートが十分
な強度を発現するまでの間、良好な養生条件を生み出す
作用および樹脂膜による曲げ強度の改善作用; 即ち、水性ポリマーディスパージョンを散布することに
より形成された樹脂膜は、施工終了後の透水コンクリー
トからの水分の蒸発を防ぐことができ、かつ透水コンク
リートの補強を行う。
【0012】図1に本発明の施工手順を示す。これより
明らかなように、本発明において従来の透水コンクリー
トの現場施工方法と異なるのは水性ポリマーディスパー
ジョンの散布の工程だけであり、その他の工程は従来と
同様であって、施工方法並びに使用機械についても特に
変更する必要はない。
【0013】水性ポリマーディスパージョンの種類は、
特に限定するものではなく、例えばコンクリート混和剤
として市販されているゴム系ラテックス、樹脂系エマル
ジョンやコンクリート膜養生剤も含むことができる。こ
れらの材料はセメントの水和を阻害することなく被膜を
形成することが確認されている。また、その散布時期に
ついても、それらの使用方法にあるようなセメントコン
クリートの練り混ぜ時や仕上げ終了後ではなく、捲き出
し後から締め固め前でなければならない。これは締め固
め作業に伴う振動によってのみ散布した水性ポリマーデ
ィスパージョンが透水コンクリート内部の隅々まで浸透
し、これにより所要の効果が得られるからである。ま
た、その散布量は、透水コンクリートの敷設厚さを透水
舗装として一般的な10cm程度として、最小で、締め
固め時の振動によって、表面から使用骨材の最大粒径の
少なくとも2倍程度の深さまで浸透する量とし、最大
で、透水コンクリート層最下部まで浸透する量とするも
のとし、例えばヘキスト合成(株)製の商品名『モビト
ンLP3600』を一般的な道路用7号砕石を骨材に用
いた透水コンクリートに適用する場合、その散布量は最
低で0.1〜6.0kg/m2 の範囲にあり、施工時の
日射の有無、気温、湿度また風の強さ等の気候条件を考
慮して決定する。
【0014】水性ポリマーディスパージョンの散布方法
は、施工面積を考慮して決定するが、できるだけ均一に
散布できる手段、装置で散布すれば良い。また、水性ポ
リマーディスパージョンは通常低粘度なので、水を散布
するのと同じ機械を使用して散布することができる。
【0015】
【実施例】
[乾燥による部分的な曲げ強度低下に対する効果の確
認]強制的に乾燥させた透水コンクリートを使用して試
験体を作製し、水性ポリマーディスパージョンを散布す
ることにより、曲げ強度の低下をどの程度防ぐことがで
きるかを確認した。表1に示す標準的な配合で練り混ぜ
た透水コンクリート(組成物)をミキサー内部で強制的
に乾燥させ、乾燥時間を調整することによって乾燥の程
度の異なる数種類の透水コンクリートを用意した。それ
ぞれの材料を型枠に投入し、その表面に樹脂系エマルジ
ョン(商品名『モビトンLP3600』)を6kg/m
2 に相当する量で散布し、同一条件で締め固めを行な
い、材令7日で曲げ強度試験を行なった。尚、図2に実
験手順を示した。
【0016】
【表1】
【0017】表2に樹脂系エマルジョンを散布しない試
験体と散布したそれぞれの試験体の乾燥率(乾燥後、透
水コンクリート中に残った水分の練り混ぜ水量に対する
百分率で表した)、曲げ強度、及び乾燥しない試験体に
対する曲げ強度比を、図3に乾燥率と曲げ強度の関係を
示した。尚、本実施例は極めて乾燥の進んだ状態の試験
体も含んでいるため、樹脂系エマルジョンの散布量は試
験体内部の隅々まで十分に浸透する量とした。
【0018】
【表2】
【0019】表2より明らかなように、樹脂系エマルジ
ョンを散布しない透水コンクリートは、乾燥によって著
しく曲げ強度が低下するのに対し、樹脂系エマルジョン
を散布した透水コンクリートは、練り混ぜ水の約半分が
蒸発するような極めて乾燥が進んだ状態でも曲げ強度の
低下が殆ど見られず、乾燥率によってはかえって曲げ強
度が向上したものもあった。
【0020】[骨材剥離に対する抵抗性の確認]透水コ
ンクリート舗装体を模擬した試験体の表面を釘で引っ掻
くことで、骨材剥離に対する抵抗性を比較、評価するこ
とを試みた。
【0021】用いた試験体の種類は表3に示し、試験体
に使用した透水コンクリートの配合は表4に示した。
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】前記表3,4により配合、混練りした透水
コンクリートを、10×10×40cmの角柱供試体に
所定の密度が得られるように成形した後、試験体の表面
を強制的に乾燥した。尚、『エマルジョン散布』の試験
体については、『標準』の試験体と同一の材料で成形
し、成形後、30分で樹脂系エマルジョンを散布した。
その後、材令14日まで気中養生を行なった各試験体の
表面(10×20cm)を、幅10cmに釘10本を取
り付けた治具によって掻爬した。掻爬は一定圧力で合計
で50回繰り返し、10、30、50回行なったのちの
試験体重量を測定し、骨材の剥離量を算出した。図4に
各試験体の掻爬回数と欠損量(骨材の剥離量を1m2
たりに換算した値)との関係を示した。尚、本実施例
は、試験体表面の強さに関するものであり、樹脂系エマ
ルジョンの散布量は試験体表面にいきわたる量とした。
【0025】図4より明らかなように、『エマルジョン
散布』の試験体(樹脂系エマルジョンを散布した試験
体)の欠損量が極めて小さかった。これに対し、樹脂系
エマルジョンを混入(プレミックス)した試験体につい
ては混入量が増加すると共に欠損量が大きくなる結果と
なった。これは、強制乾燥によって樹脂系エマルジョン
がポリマーの膜となり、前述したように骨材どうしの接
着を阻害したものと考えられる。
【0026】尚、『エマルジョン散布』の試験体におけ
る樹脂系エマルジョンの散布量は、舗装厚を10cmと
してセメント量の0.25%(0.0025重量部)の
混入と等しいことを考慮すると、乾燥に起因する表面の
剥離防止を目的としての樹脂系エマルジョン散布は経済
的にも極めて有利であるといえる。
【0027】以上本発明を実施例に基づいて説明した
が、本発明は前記した実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限りど
のようにでも実施することができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、捲
き出し終了後から締め固め前の時期に透水コンクリート
の表面に水性ポリマーディスパージョンを散布するとい
う極めて簡易な工程を従来の施工工程に追加するだけ
で、透水コンクリートの乾燥に伴う弊害を防止すること
ができる。したがって、締め固めの不良を生ずることも
ないし、透水コンクリートの表面からの骨材剥離を防止
することができ、十分な強度を有する透水舗装を施工す
ることができる。
【0029】また、前記のように本発明は水性ポリマー
ディスパージョンを散布するという極めて簡易な工程を
従来の施工工程に追加するだけで良く、しかも特別な設
備や高価な薬剤を用いるものではないので、実用的価値
が極めて高いものである。
【0030】さらに、本発明では、樹脂系エマルジョン
などを混練組成物に添加する所謂ポリマーコンクリート
に比べて使用する樹脂系エマルジョンの量が少ないの
で、経済性も高いものとなる。尤も樹脂系エマルジョン
を透水コンクリートの混練時に適用した場合には前記本
発明のような乾燥を防止する効果はないことを確認して
いるので、比較すべきでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の施工方法の施工手順を示す流れ図であ
る。
【図2】実施例における実験手順を示す流れ図である。
【図3】実施例における乾燥による部分的な曲げ強度低
下に対する効果の確認結果を示すものであり、実施例と
してエマルジョン散布あり(樹脂系エマルジョンを6k
g/m2 散布した透水コンクリート)、比較例としてエ
マルジョン散布なし(通常の透水コンクリート)の各試
験体における乾燥率と曲げ強度の関係を示すグラフであ
る。
【図4】実施例における骨材剥離に対する抵抗性の確認
結果を示すものであり、実施例としてエマルジョン散布
(樹脂系エマルジョンを100g/m2 散布した透水コ
ンクリート)、比較例として標準(通常の透水コンクリ
ート)、水性ポリマーディスパージョンをプレミックス
した透水コンクリート(2例)の各試験体における掻爬
回数と骨材の欠損量との関係を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 舗装や法面被覆を目的とした透水コンク
    リートの現場施工において、捲き出し終了後の透水コン
    クリートの表面に水性ポリマーディスパージョンを散布
    し、その後、締め固め及び仕上げ作業を行なうことを特
    徴とする透水コンクリートの現場施工方法。
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