JP2863112B2 - 潜在水硬性粒子を含有する軽量固化物 - Google Patents

潜在水硬性粒子を含有する軽量固化物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トバモライトを含有
し、潜在水硬性粒子を有し、独立気孔を有する軽量固化
物に関し、特に建築用パネル等の建材、人工軽量骨材等
の固化物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】潜在水硬性粒子としては、石炭灰、高炉
スラグ、けい酸白土、火山灰、けい藻土等がある。ここ
で、潜在水硬性とは、それ自身では水硬性を示さない
が、少量のCa(OH)2 、NaOHなどのアルカリ性
物質が存在すると水硬性を示す性質をいう。代表的な潜
在水硬性粒子である石炭灰、高炉スラグについて以下に
述べる。
【0003】エネルギー源として石炭を利用している火
力発電所や各種の工場では、フライアッシュ等の石炭灰
が大量に産出されている。その量は、日本において約4
00万トンに達し、このうち、有効利用されるものは約
40%にすぎず、残りの約60%は埋め立て処分されて
いるのが現状である。しかしながら、石炭灰の埋め立て
処分場を確保することは必ずしも容易ではなく、漁業権
の保証やリサイクル法の制定により埋め立て処分場の確
保がますます困難になってきている。従って、今後さら
に増大するであろう石炭灰の有効利用が緊急の課題とな
っている。
【0004】現在のところでは、石炭灰は特開昭63−
17247号公報および特開平4−305044号公報
に示されているように無機質系の建築材料の一原料とし
て提案され、または特開平3−16176号公報に示さ
れているように多孔質の濾過助剤の一原料として提案さ
れている。また、特殊な例としては刊行物「日本工業新
聞:人工海底山脈を石炭灰で構築(平成5年2月26日
発行)」に示されているように、人工魚礁の一原料とし
ても提案されている。
【0005】また、高炉スラグは製鉄所の溶鉱炉で、鉄
鉱石に石灰石、コークスなど混合し銑鉄を製造する際に
得られる副産物である。スラグの量は、銑鉄に対し約6
5%であり、我が国の銑鉄年産を600万トンと考える
と、高炉スラグは約400万トン副生されていることに
なる。
【0006】これらの提案のうち建築材料として利用す
る場合には、これらの潜在水硬性粒子の大量の利用が期
待できる。しかし、建築材料として利用するためには、
軽量化、高強度化及び耐水性を図らなければならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に建築
材料は軽量化を図るため発泡剤を入れたセメント泥漿を
オートクレーブ養生しているが上記した潜在水硬性粒
子、例えば石炭灰も軽量建築材料としてALC等に一部
利用されている。しかし、その混合比率は必ずしも高く
なく、また石炭灰の混合比率を40重量%以上に高めよ
うとする場合には、軽量固化物の強度が低下するという
問題があった。また、水に対する寸法安定性も悪いとい
う問題もあった。ここで、水に対する寸法安定性が悪い
とは、固化物の湿度による体積変化が大きいことをい
う。
【0008】本発明はこのような従来の問題点を解決し
て、潜在水硬性粒子の混合比率が高く、軽量かつ高強度
で、強度のばらつきが小さく、水に対する寸法安定性が
良好な潜在水硬性粒子を含有し、独立気孔を有する軽量
固化物を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、種々検討の結果、潜在水硬性粒子の表
面にマトリックス中のトバモライトより細かいトバモラ
イトを含有する被覆膜が形成された固化物は、高い強度
を示し、強度のばらつきも小さく、水に対する寸法安定
性が良好なことを見いだした。その概要は、潜在水硬性
粒子とトバモライトから構成されている軽量固化物にお
いて、潜在水硬性粒子の表面に形成される第1のトバモ
ライトを含有する被覆膜と、潜在水硬性粒子間に形成さ
れる第2のトバモライトとを含有し、各潜在水硬性粒子
が前記被覆膜を介して接合し、潜在水硬性粒子間に形成
される気孔の大部分が独立気孔であり、前記第1のトバ
モライトが前記第2のトバモライトに比較し微細である
ことを特徴とするものである。そして、前記被覆膜の厚
さが0.05μm以上であること、独立気孔を有する軽
量固化物の気孔率が50〜80%であること、さらに、
潜在水硬性粒子の断面占有比率が、気孔を除いた固化物
の断面積の総和の60〜10%であることを好ましい実
施態様とするものである。
【0010】前記固化物中に認められる気孔には、直径
0.1mm以上の球状の気孔(以下、第1の気孔とい
う。)と、直径0.1mm未満の気孔(BET法で測定
される微細気孔も含む。)(以下、第2の気孔とい
う。)とが有る。潜在水硬性粒子の断面占有比率を求め
る際の気孔、及び独立気孔の判定は、前記第1の気孔を
採用した。また、気孔率の測定は、JIS R 220
5 の測定方法(煮沸法)にしたがって、開気孔と閉気
孔とを含む全気孔率を測定した。この全気孔率は、第1
の気孔及び第2の気孔を対象とする。なお、独立気孔と
は、気孔同士が連通状態になっていない気孔を意味す
る。また、この断面占有比率の測定は固化物の研磨断面
にて行う。また、第1のトバモライトは、繊維状又はシ
ート状(シート状のものが巻かれているものも含む)の
形態をし、その長さは0.5μm未満、厚さは数十オン
グストローム以下である。一方、マトリックス中に主に
形成される第2のトバモライトは、花びら状、針状の形
態をし、その長さは1μm以上、厚さは500オングス
トローム以上である。
【0011】
【作用】石炭灰、スラグ、シラス等の平均粒径10〜3
0μmの潜在水硬性粒子、水酸化カルシウム、金属アル
ミニウム粉末、起泡剤及び水とを混合し、その混合物を
相対湿度90%以上で60〜70℃の温度で4日間以上
養生し、その後、180℃で2日間以上オートクレーブ
養生することにより高強度で強度ばらつきの小さい軽量
固化物が得られる。
【0012】このメカニズムは定かではないが次のよう
に考えられる。平均粒径10〜30μmの潜在水硬性粒
子、水酸化カルシウム、金属アルミニウム粉末、起泡剤
及び水とを混合した直後では起泡剤による巻き込み気泡
が混合物中に均一分散した状態を呈しており、その混合
物を相対湿度90%以上の湿潤状態で60〜70℃の温
度で長時間養生すると、潜在水硬性粒子中のSiO2
分と水酸化カルシウムと水とが反応して、C−S−Hゲ
ルが生成する。また、水酸化カルシウムと金属アルミニ
ウム粉末と水とが反応して発生する水素により前記混合
物中に気泡が形成される。この気泡は起泡剤により安定
化されるため合体しにくく、そのままの状態で保持され
ると考えられる。従って、湿潤養生後では、起泡剤によ
る巻き込み気泡及び金属アルミニウム粉末による発泡気
泡が混在した水を含んだ柔らかい構造体となる。この構
造体中の潜在水硬性粒子の外周表面には被覆膜が形成さ
れる。この被覆膜は、潜在水硬性粒子と水酸化カルシウ
ムの反応により生成する非晶質のC−S−Hゲルで構成
されていると考えられる。その後、高温で長時間オート
クレーブ養生することにより、潜在水硬性粒子の外周に
繊維状又はシート状の第1のトバモライトを主とする被
覆膜が形成される。これは、被覆膜のC−S−Hゲルが
結晶質の第1のトバモライト(5CaO・6SiO2
5H2 O)に変化するものと考えられる。なお、オート
クレーブ養生の際、試料は水中に浸漬しない。
【0013】従来ALC等では、オートクレーブ養生前
の前養生は実施されているが、養生温度は30〜40℃
と低く、養生時間も3時間以下と短い。これは、単にア
ルミニウム等の発泡剤を発泡し、セメントを固化するた
めである。
【0014】また、オートクレーブ養生により潜在水硬
性粒子と水酸化カルシウムより直接トバモライトも生成
されるが、このトバモライトは主に花びら状、針状の第
2のトバモライト(結晶質)となりマトリックスを形成
すると考えられる。その結果、各潜在水硬性粒子が前記
被覆膜を介して互いに接合し、各潜在水硬性粒子が互い
に強固に固着し、マトリックスとも強固に固着した状態
で、マトリックス中に多数の独立気孔が分散した構造に
なって、高強度で、強度のばらつきの小さい軽量固化物
を得ることができる。
【0015】また、この固化物はセメントが少ないため
固化物にセメントクリンカーに含まれるエーライト(3
CaO・SiO2 )及びビーライト(2CaO・SiO
2 )等のケイ酸カルシウムが残存することはなく、ま
た、高温で長時間オートクレーブ養生するためC−S−
Hゲルの残存も少ない。このため水に対する寸法安定性
も優れている。なお、X線回折及び熱重量分析(TG)
よりトバモライトとC−S−Hゲルの量比を測定すると
トバモライトは重量比で7割以上であることが確認され
た。なお、本発明の固化物ではハイドロガーネット、ゾ
ノトライトは認められない。
【0016】また、軽量固化物の気孔率が50%〜80
%であることが好ましい。50%以上としたのは、所謂
ALC、軽量骨材等が、一般に気孔率が50%以上であ
り、本発明の固化物をALC、軽量骨材等に代わる材料
と考えていることによる。また、80%以上の気孔率と
なると充分な強度が得られないためである。独立気孔を
形成するため、起泡剤として高級アルコール硫酸ナトリ
ウムを用い、混練機によって潜在水硬性粒子、水酸化カ
ルシウム、金属アルミニウム粉末、起泡剤、水を300
rpmの回転で5分間の高速混練をする。この起泡剤
は、金属アルミニウム粉末により発生した気孔を安定化
し、合体しにくく、また連孔になりにくくするととも
に、それ自体混合により巻き込み気孔を発生させ気孔率
を増大させる効果があると考えられる。金属アルミニウ
ム粉末による発泡のみでは固化物の気孔径は大きくな
り、固化物の気孔率を50%以上にした場合、強度が著
しく低下する。また、高級アルコール硫酸ナトリウムに
よる巻き込み気孔のみでは気孔率を高くできない。従っ
て、高級アルコール硫酸ナトリウム及び金属アルミニウ
ム粉末の両者の併用が必要となる。高級アルコール硫酸
ナトリウムは両者による気孔を安定化する効果もあり最
適である。また、混合物の水分量は50〜70重量%に
する必要がある。50重量%未満では発泡及び気泡巻き
込みがうまくいかず、70重量%を越えると潜在水硬性
粒子の沈降が起きるためである。
【0017】また、潜在水硬性粒子の断面占有比率が、
気孔を除いた固化物の60〜10%であることが好まし
い。より好ましくは50〜30%である。この範囲外で
は固化物の強度が低下するからである。その理由は、潜
在水硬性粒子の断面占有比率が60%を越える場合、ト
バモライトの生成が少なくなり、固化しにくくなるた
め、また、潜在水硬性粒子の断面占有比率が10%未満
である場合、潜在水硬性粒子の骨材としての役割を充分
は足さないためと考えられる。この断面占有比率を60
〜10%とするには、潜在水硬性粒子と水酸化カルシウ
ムの混合比を重量比で7:3〜6:4とし、湿潤養生時
間を4日間以上、オートクレーブ養生時間を2日間以上
とした。
【0018】したがって、得られる石炭灰を含有する固
化物は、多数の気孔を内在するにもかかわらず、高強度
で、強度のばらつきも小さいものとなり、たとえば絶乾
比重が1.0以下の軽量なものとなり、大型パネルの製
作も可能となり、また、水に対する寸法安定性が良好で
あるため、水場での使用が可能である。従って、本発明
の潜在水硬性粒子を含有する固化物を、通常用いられて
いるロールクラッシャ、ジョークラッシャ等で所定の粒
状に粉砕すれば、人工軽量骨材として利用できる。この
ため、本発明の潜在水硬性粒子を含有する軽量固化物
は、広い分野で大量に利用することができるとともに、
当該潜在水硬性粒子を含有する軽量固化物の原料中の潜
在水硬性粒子の混合比が高いことから、潜在水硬性粒子
の大量利用が可能となる。
【0019】なお、潜在水硬性粒子、水酸化カルシウ
ム、金属アルミニウム粉末、起泡剤及び水とを混合し、
ALC並の低温で短時間の養生ではオートクレーブ養生
後、第2のトバモライトがマトリックス中に形成され、
各潜在水硬性粒子を接合する第1のトバモライトを含有
する被覆膜が必要量形成されないため、各潜在水硬性粒
子が接合されず固化物の強度が向上しないものと考えら
れる。ここで、潜在水硬性粒子が小さい場合には反応に
より消失してしまい強度向上効果をもたらさなくなる。
又、逆に巨大な場合には欠陥として作用し強度低下をも
たらすため、平均粒径10〜30μmが必要である。な
お、石炭灰では、第1のトバモライトが粒子周囲に生成
するように中実度の高い、嵩密度で1g/cm3 以上の
粒子を用いる。なお、潜在水硬性粒子のかわりにケイ
砂、ケイ石を用いた場合には、湿潤養生を実施したとき
C−S−Hゲルを主体とした被覆膜はほとんど生成され
ない。カルシウム供給源として水酸化カルシウムが強度
向上の点で良好な結果をもたらした。これは、水酸化カ
ルシウムはセメント等と比較してSiO2 成分等を含ま
ないため、直接刺激剤として作用し、そのため高強度化
がもたらされたものと考えられる。酸化カルシウムのみ
を用いた場合には湿潤養生において膨潤したため、固化
物にクラックが発生した。なお、湿潤養生において潜在
水硬性粒子の沈降する場合には、ポルトランドセメント
を少量(水酸化カルシウム重量の2割以下)添加すると
よい。なお、潜在水硬性粒子としては強度面で石炭灰が
好ましい。中でもフライアッシュがより好ましい。
【0020】また、強度向上の点で前記第1のトバモラ
イトの被覆膜の厚さが、好ましくは0.05μm以上、
より好ましくは0.1μm以上である。湿潤養生時間を
60℃〜70℃で4日間以上とすることにより、0.0
5μm以上の第1のトバモライトの被覆膜を得ることが
できた。これは養生としては比較的高い温度で長時間湿
潤養生することによりC−S−Hゲルが潜在水硬性粒子
の外周表面に多く生成し、これがオートクレーブ養生に
よりトバモライトに変化したものと考えられる。80℃
以上では気孔が巨大になり固化物の強度が低下した。
【0021】
【実施例】次に、本発明を潜在水硬性粒子として主に石
炭灰を用いた実施例に基づき説明する。用いられる石炭
灰としては一般に発生する微粉炭石炭灰のみならず、常
圧ないし加圧流動床燃焼発電システムより発生する石炭
灰を使用してもよい。
【0022】石炭灰、水酸化カルシウム、金属アルミニ
ウム粉末、起泡剤及び水とを混練機で混合する際には、
バインダー、減水剤、保水剤、防水剤、流動化剤、収縮
低減剤等の混和剤を添加してもよく、また固化物の強度
の向上、比重の調整、コストの低減などのために、パー
ライト、ALCの屑、ガラス繊維(好ましくは耐アルカ
リ性ガラス繊維)、合成繊維(ビニロン、ナイロン)、
パルプ等を添加することもできる。なお、起泡剤はプレ
フォーム法で用いてもよい。
【0023】このように調製された原料を使用して、流
し込み成形方法により所定の形状に成形する。また、こ
の成形の際、型枠に鉄筋等の補強材をいれた状態で成形
することも可能である。
【0024】(実施例)嵩密度が1g/cm3 以上で平
均粒径10〜30μmの石炭灰(フライアッシュ)(実
施例1〜7)及び高炉スラグ(実施例8)を使用すると
ともに、平均粒径10μmの水酸化カルシウムを使用
し、これらを重量比で7:3〜6:4で混合するととも
に、60重量%の水と、起泡剤を添加して混練機で混合
し、各種の石炭灰質原料を調製し、流し込み成形した。
ここで、混練機はスパイラルミキサを用い、300rp
mの回転数で5分間混練した。また、金属アルミニウム
粉末は平均粒径50μm以下のものを用い、石炭灰質原
料の固形分に対して0.0〜0.3重量%添加した。起
泡剤は高級アルコール硫酸ナトリウム(商品名:花王製
エマール)を用い、石炭灰質原料の固形分に対して0.
01〜0.1重量%添加した。なお、水酸化カルシウム
の重量の20%のポルトランドセメントを添加した。こ
うして得られた成形体を、60〜70℃、4〜7日間湿
潤状態(相対湿度95%)で養生を行い、円板状の固化
物素地(直径120mm、厚さ50mm)を得た。この
ようにして得た固化物素地を180℃の温度条件で2〜
7日間オ─トクレ─ブ養生を行った。なお、前記嵩密度
の測定はJIS Z 2504 の測定方法に準拠し
た。
【0025】こうして得られた固化物について外観を観
察するとともに,圧縮強度及び水に対する寸法安定性を
測定して,これらの結果を表1に示す。また、得られた
固化物について気孔の状態を観察するため、研磨した試
料を反射型顕微鏡で観察した。この結果を図4に示す。
気孔は独立気孔を形成していることが認められる。な
お、研磨面の観察では、直径0.1mm以上の気孔のう
ち95%以上が独立気孔である。また、得られた固化物
のX線回折分析を行った。そのチャートを図5に示す。
トバモライトの他石炭灰粒子に含まれるα−石英とムラ
イトのピークが認められる。さらに石炭灰粒子の表面に
形成されている被覆層の走査型電子顕微鏡写真、透過型
電子顕微鏡写真撮影を行った。それらを図1〜3に示
す。図3では微細トバモライトの被覆膜は微細なため明
確には認められないが、図1及び2のように拡大すると
明確に認められる。なお、比較例のものは、このような
微細トバモライトの被覆膜は認められない。なお、固化
物の外観の観察では固化物における亀裂などの損傷の有
無,形態保持性の強弱を判定し,良好なものを○印,不
良なものを×印で表示している。また,圧縮強度の測定
については,JIS A 1108 に従った。即ち、
試料の上下面に直径50mmの金属板をのせ、オートグ
ラフを用いこれに圧力をかけ、10個の試料の平均を圧
縮強度とし、その標準偏差をばらつきとした。寸法安定
性の測定は、JIS A 5416の測定方法にしたが
った。即ち、試料を乾燥器に入れ60℃24時間乾燥し
た。その後、デシケータで常温まで冷却し、20℃の水
中に3日間浸漬した。寸法を測定した後、温度20℃、
相対湿度60%の室内に静置し、含水率が40%以下と
なる寸法を測定した。この寸法変化率を百分率で表し
た。以上潜在水硬性粒子として、石炭灰粒子、高炉スラ
グを用いた実施例について説明したが、本発明は、これ
に限るものではなく、けい酸白土、火山灰、けい藻土等
の潜在水硬性粒子を用いても構わない。
【0026】(比較例)石炭灰を用いて実施例と同様に
流し込み成形まで実施し、40℃3時間湿潤状態で養生
し、その後180℃の温度条件で2日間オートクレーブ
養生を行った。これらの結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】以上説明からも明らかなように、本発明
による固化物は、潜在水硬性粒子の混合比率が高く、高
強度で、強度ばらつきが小さく、水に対する寸法安定性
が良好である。従って、パネル・ブロック・煉瓦・吸音
板等の建材、人工軽量骨材等広い分野に適用できるた
め、従来から苦慮していた産業廃棄物である石炭灰、高
炉スラグ等潜在水硬性粒子を有効に大量利用が実現で
き、本発明の効果は極めて多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 石炭灰粒子の表面に、微細トバモライトが形
成されている様子を示す透過型電子顕微鏡写真(×50
000)
【図2】 図1の一部を拡大した微細トバモライトの透
過型電子顕微鏡写真(×500000)
【図3】 本発明による固化物の破面の走査型電子顕微
鏡写真(×800)
【図4】 本発明による固化物の研磨断面の反射顕微鏡
写真(×10)
【図5】 本発明による固化物のX線回折チャート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C04B 28/18 18:08 18:14 20:10) 111:40 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 38/00 301 C04B 38/02 C04B 38/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潜在水硬性粒子とトバモライトから構成
    されている軽量固化物において、潜在水硬性粒子の表面
    に形成される第1のトバモライトを含有する被覆膜と、
    潜在水硬性粒子間に形成される第2のトバモライトとを
    含有し、各潜在水硬性粒子が前記被覆膜を介して接合
    し、潜在水硬性粒子間に形成される気孔の大部分が独立
    気孔であり、前記第1のトバモライトが前記第2のトバ
    モライトに比較し微細であることを特徴とする潜在水硬
    性粒子を含有する軽量固化物。
  2. 【請求項2】 前記被覆膜の厚さが0.05μm以上で
    ある特許請求の範囲第1項に記載の潜在水硬性粒子を含
    有する軽量固化物。
  3. 【請求項3】 軽量固化物の気孔率が50〜80%であ
    る特許請求の範囲第1項に記載の潜在水硬性粒子を含有
    する軽量固化物。
  4. 【請求項4】 潜在水硬性粒子の断面占有比率が、気孔
    を除いた固化物の断面積の総和の60〜10%である特
    許請求の範囲第1項に記載の潜在水硬性粒子を含有する
    軽量固化物。
JP11007395A 1995-03-30 1995-04-11 潜在水硬性粒子を含有する軽量固化物 Expired - Fee Related JP2863112B2 (ja)

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