JP2862543B2 - 複合撚合型抗張力体 - Google Patents
複合撚合型抗張力体Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は非自転性の複合撚合型抗張力体に関し、詳し
くは、通信用光ファイバケーブルの抗張力体、あるいは
海洋関連機器、地下探索機器の吊り索等に使用する複合
撚合型抗張力体に関する。
くは、通信用光ファイバケーブルの抗張力体、あるいは
海洋関連機器、地下探索機器の吊り索等に使用する複合
撚合型抗張力体に関する。
(従来の技術) 炭素繊維,アラミド繊維,ポリエチレン繊維等の高強
力低伸度繊維を抗張力部材とし、これを複数本撚りあわ
せ熱硬化性樹脂を含浸して線条体を形成し、この線条体
を複数本螺旋状に撚りあわせ、前記熱硬化性樹脂を加熱
硬化させて複合撚合体にする技術は、特公昭57−25679
号及び特公昭59−143995号に示されるように公知であ
る。通常、線条体中の高強力低伸度繊維は右もしくは左
の一方向に撚りあわせられており、以下、この繊維の撚
りあわせの方向を配合方向と呼ぶ。また、線条体自体の
螺旋状の撚りあわせ方向を以下、撚合方向と呼ぶ。この
ような、複合撚合体からなる抗張力体はワイヤロープに
比べて著しく軽量で、高耐食で、高耐久である等、優れ
た特性を有している。
力低伸度繊維を抗張力部材とし、これを複数本撚りあわ
せ熱硬化性樹脂を含浸して線条体を形成し、この線条体
を複数本螺旋状に撚りあわせ、前記熱硬化性樹脂を加熱
硬化させて複合撚合体にする技術は、特公昭57−25679
号及び特公昭59−143995号に示されるように公知であ
る。通常、線条体中の高強力低伸度繊維は右もしくは左
の一方向に撚りあわせられており、以下、この繊維の撚
りあわせの方向を配合方向と呼ぶ。また、線条体自体の
螺旋状の撚りあわせ方向を以下、撚合方向と呼ぶ。この
ような、複合撚合体からなる抗張力体はワイヤロープに
比べて著しく軽量で、高耐食で、高耐久である等、優れ
た特性を有している。
これら公知の技術は第4図に示すようにいずれも中心
部材4′の周囲に高強力低伸度繊維からなる線条体3′
を集合した撚合体(ストランド)構造である。この構造
では熱硬化性樹脂が加熱硬化される結果、線条体が螺旋
状に形付けされる上、相互に結着され一体構造となるた
め、張力が印加されても撚合体は撚り戻され難いと見な
されており、自転性についての検討は不十分であった。
しかし、発明者等は第4図に示される複合撚合体からな
る抗張力体の引っ張り試験を行った結果、予想に反し
て、従来の鋼線からなるストランドに比して自転性が大
きく、容易に回転が生じることを見いだした。この理由
としては、このストランド構造はトルクバランス構造で
なく、かつ細径な繊維材料を撚りあわせ、これに樹脂を
含浸した線条体の捻り剛性は、同一外径の鉄線に比べて
甚だしく小さいため、微小なトルクでも大きく回転しや
すいためと思われる。複合撚合体からなる抗張力体が大
きな自転性を有するという重大な問題点があることを従
来指摘した例は無く、当然、十分な非自転性を達成する
ための方策も示されていない。なお、図中1′は複合撚
合型抗張力体、5′はポリエチレン等の熱可塑性樹脂の
被覆層を示す。中心部材4′としては高強力低伸度繊維
からなる線条体もしくはポリエチレン等の樹脂からなる
スロットが用いられている。非自転性を得る構造とし
て、線条体もしくは撚合体を編組するものもあるが、こ
の構造の場合、線条体または撚合体がお互いに交錯し、
強度利用効率が著しく低下する欠点があった。
部材4′の周囲に高強力低伸度繊維からなる線条体3′
を集合した撚合体(ストランド)構造である。この構造
では熱硬化性樹脂が加熱硬化される結果、線条体が螺旋
状に形付けされる上、相互に結着され一体構造となるた
め、張力が印加されても撚合体は撚り戻され難いと見な
されており、自転性についての検討は不十分であった。
しかし、発明者等は第4図に示される複合撚合体からな
る抗張力体の引っ張り試験を行った結果、予想に反し
て、従来の鋼線からなるストランドに比して自転性が大
きく、容易に回転が生じることを見いだした。この理由
としては、このストランド構造はトルクバランス構造で
なく、かつ細径な繊維材料を撚りあわせ、これに樹脂を
含浸した線条体の捻り剛性は、同一外径の鉄線に比べて
甚だしく小さいため、微小なトルクでも大きく回転しや
すいためと思われる。複合撚合体からなる抗張力体が大
きな自転性を有するという重大な問題点があることを従
来指摘した例は無く、当然、十分な非自転性を達成する
ための方策も示されていない。なお、図中1′は複合撚
合型抗張力体、5′はポリエチレン等の熱可塑性樹脂の
被覆層を示す。中心部材4′としては高強力低伸度繊維
からなる線条体もしくはポリエチレン等の樹脂からなる
スロットが用いられている。非自転性を得る構造とし
て、線条体もしくは撚合体を編組するものもあるが、こ
の構造の場合、線条体または撚合体がお互いに交錯し、
強度利用効率が著しく低下する欠点があった。
(発明が解決しようとする課題) 例えば海底光ファイバケーブルの抗張力体や、海洋関
連機器の吊り索においては、数千メートルの長尺で使用
される場合が珍しくない。この場合、ケーブルや海底機
器部の自転数は数千回に達し、種々のトラブルを引き起
こす原因になり、非自転性が強く要求されることにな
る。従来、ワイヤロープの分野では中心となる線条体の
周囲に2層の線条体を内層と外層で撚り方向を逆にして
集合した構造の、いわゆるヘルクレス型ロープが非自転
性ロープとして一般的に用いられている。このようなス
トランドはその形状を保持するために、製造工程に於て
撚りあわせ前の線条体を螺旋状に塑性変形させる、いわ
ゆる形付けを施す必要がある。線条体の撚り角が小さす
ぎると強度低下が生じる。一方、撚り角が大きすぎる
と、形付けが困難となる。従ってワイヤロープの場合に
は第4図に示す撚り角θがarctan3〜arctan4の範囲に限
定する必要があった。内層および外層の線条体をすきま
なく配列した場合には、内層と外層の線条体の太さを種
々変化させても、上記の撚り角の範囲では外層の発生ト
ルクが内層に比べて大きくなり、完全なトルクバランス
構造を実現することは不可能であった。従って、従来の
ヘルクレス型ロープでは完全な非自転性を得ることはで
きず、破断張力の1/2程度の張力が作用したときの自転
量を0.4回転/m以下にすることは困難であった。高強力
低伸度繊維からなる線条体の自転性は従来のヘルクレス
型ロープよりも大きいので、非自転化が必要である。
連機器の吊り索においては、数千メートルの長尺で使用
される場合が珍しくない。この場合、ケーブルや海底機
器部の自転数は数千回に達し、種々のトラブルを引き起
こす原因になり、非自転性が強く要求されることにな
る。従来、ワイヤロープの分野では中心となる線条体の
周囲に2層の線条体を内層と外層で撚り方向を逆にして
集合した構造の、いわゆるヘルクレス型ロープが非自転
性ロープとして一般的に用いられている。このようなス
トランドはその形状を保持するために、製造工程に於て
撚りあわせ前の線条体を螺旋状に塑性変形させる、いわ
ゆる形付けを施す必要がある。線条体の撚り角が小さす
ぎると強度低下が生じる。一方、撚り角が大きすぎる
と、形付けが困難となる。従ってワイヤロープの場合に
は第4図に示す撚り角θがarctan3〜arctan4の範囲に限
定する必要があった。内層および外層の線条体をすきま
なく配列した場合には、内層と外層の線条体の太さを種
々変化させても、上記の撚り角の範囲では外層の発生ト
ルクが内層に比べて大きくなり、完全なトルクバランス
構造を実現することは不可能であった。従って、従来の
ヘルクレス型ロープでは完全な非自転性を得ることはで
きず、破断張力の1/2程度の張力が作用したときの自転
量を0.4回転/m以下にすることは困難であった。高強力
低伸度繊維からなる線条体の自転性は従来のヘルクレス
型ロープよりも大きいので、非自転化が必要である。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上記課題を解決するため高強力低伸度繊維
に熱硬化性樹脂を含浸した複合材料からなる線条体を中
心部材の外周に2層にすきまなく撚った複合撚合型抗張
力体において、内層と外層の撚合方向を逆方向とし、か
つ内層の撚り角をarctan3〜arctan4、外層の撚り角をar
ctan3〜arctan7の範囲でトルクバランスとしたことを特
徴とする複合撚合型抗張力体を本発明を要旨とし、高強
力低伸度繊維に熱硬化性樹脂等を含浸した線条体の、内
層と外層のトルクをバランスさせることによって、自転
を抑制し、さらに従来のワイヤロープに勝る非自転性を
実現するものである。
に熱硬化性樹脂を含浸した複合材料からなる線条体を中
心部材の外周に2層にすきまなく撚った複合撚合型抗張
力体において、内層と外層の撚合方向を逆方向とし、か
つ内層の撚り角をarctan3〜arctan4、外層の撚り角をar
ctan3〜arctan7の範囲でトルクバランスとしたことを特
徴とする複合撚合型抗張力体を本発明を要旨とし、高強
力低伸度繊維に熱硬化性樹脂等を含浸した線条体の、内
層と外層のトルクをバランスさせることによって、自転
を抑制し、さらに従来のワイヤロープに勝る非自転性を
実現するものである。
また、線条体の高強力低伸度繊維の配合方向と撚合体
の撚合方向とを逆方向とし、撚合体各層自体での発生ト
ルクを低減することによって、さらに非自転性を向上す
るものである。
の撚合方向とを逆方向とし、撚合体各層自体での発生ト
ルクを低減することによって、さらに非自転性を向上す
るものである。
(作用) 撚合体(ストランド)では線条体の強度利用効率と形
状保持性は重要な特性であり、これらの特性は線条体の
材質に依存する。本発明では高強力低伸度繊維に熱硬化
性樹脂等を含浸した線条体について、従来不明確であっ
たこれらの機械特性を調査することによりトルクバラン
スの成立する条件を見いだし、実用に足る非自転性を実
現した。
状保持性は重要な特性であり、これらの特性は線条体の
材質に依存する。本発明では高強力低伸度繊維に熱硬化
性樹脂等を含浸した線条体について、従来不明確であっ
たこれらの機械特性を調査することによりトルクバラン
スの成立する条件を見いだし、実用に足る非自転性を実
現した。
さらに、線条体の高強力低伸度繊維の配合方向と撚合
体の撚り方向が発生トルクに及ぼす影響について検討し
た。従来、この種の影響についての報告例はないが、実
験の結果、線条体の高強力低伸度繊維の配合方向と撚合
体の撚合方向を逆方向にすることは撚合体自体の発生ト
ルクを低減するのに効果があることを見いだした。
体の撚り方向が発生トルクに及ぼす影響について検討し
た。従来、この種の影響についての報告例はないが、実
験の結果、線条体の高強力低伸度繊維の配合方向と撚合
体の撚合方向を逆方向にすることは撚合体自体の発生ト
ルクを低減するのに効果があることを見いだした。
(実施例) 以下本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
なお、実施例は一つの例示であって、本発明の精神を逸
脱しない範囲で、種々の変更あるいは改良を行いうるこ
とは言うまでもない。
なお、実施例は一つの例示であって、本発明の精神を逸
脱しない範囲で、種々の変更あるいは改良を行いうるこ
とは言うまでもない。
(実施例1) 第1図は本発明の複合撚合型抗張力体の第1の実施例
を示す図である。外層の線条体の撚合方向と内層の線条
体の撚合方向を逆方向とし、トルクバランスをとったも
のである。1は複合撚合型抗張力体、2,3は高強力低伸
度繊維からなる線条体であり、2は外層の線条体、3は
内層の線条体、4は中心部材を示す。なお、線条体2及
び3はそれぞれ複数本からなる撚合体で、第1図では図
面を見やすくするため、それぞれ1本だけ示し、他の線
条体は一部を省略し、簡略化して示した。以下、他の図
面においても同様に線条体については1本に簡略化して
示す。図中の中心部材4としては高強力低伸度繊維から
なる線条体を用いても良いし、また、アルミニウムやポ
リエチレンからなるスロットに光ファイバを収納したも
の等を用いても良い。なお、線条体2及び3の高強力低
伸度繊維の配合方向は同じで、実施例ではZ方向を示し
ている。
を示す図である。外層の線条体の撚合方向と内層の線条
体の撚合方向を逆方向とし、トルクバランスをとったも
のである。1は複合撚合型抗張力体、2,3は高強力低伸
度繊維からなる線条体であり、2は外層の線条体、3は
内層の線条体、4は中心部材を示す。なお、線条体2及
び3はそれぞれ複数本からなる撚合体で、第1図では図
面を見やすくするため、それぞれ1本だけ示し、他の線
条体は一部を省略し、簡略化して示した。以下、他の図
面においても同様に線条体については1本に簡略化して
示す。図中の中心部材4としては高強力低伸度繊維から
なる線条体を用いても良いし、また、アルミニウムやポ
リエチレンからなるスロットに光ファイバを収納したも
の等を用いても良い。なお、線条体2及び3の高強力低
伸度繊維の配合方向は同じで、実施例ではZ方向を示し
ている。
第1図の構造でトルクバランスを成立させるには、外
層と内層の線条体2及び3が一定の関係を満足する必要
がある。この関係を見いだすため、予備実験として第4
図に示すような炭素繊維からなる線条体を中心部材4′
とし、その周囲に炭素繊維からなる線条体3′を7本S
撚合した複合撚合型抗張力体(1×7外径12.5mm)につ
いて、撚り角θを種々変化させて強度利用効率を調査し
た結果を第5図に示す。図中の横軸はtanθ、縦軸は強
度利用効率を示す。実験は線径が同一の線条体を用い、
tanθを2.5から5の間の6段階に変化させた6種類の複
合撚合型抗張力体の切断時の張力を調査した。この切断
時の張力と個々の炭素繊維の切断時の張力の比を強度利
用効率とした。複合撚合型抗張力体1の強度利用効率は
撚り角arctan3以下になると急激な強度低下を示してお
り、実際の使用には不適当なことを見いだした。さらに
この試料の形状保持性についての調査結果を第6図に示
す。実験はtanθを6から8の間の5段階に変化させた
5種類の複合撚合型抗張力体(試料:各20メートル)を
種々の曲率に曲げて、線条体の配列に生じるわらい等の
形崩れの発生状況を調べた。複合撚合体は、金属製撚合
体と異なり、撚合体成形後に加熱硬化させて撚合体を得
るので、線条体に形付けを施し易い。実験の結果、撚り
角arctan7を越えると、側の線条体3′が中心部材4′
をグリップする力を急激に失い、直径2000mmの曲率でも
形くずれを生じるようになり、実使用上、問題となるこ
とがわかった。金属製撚合体では撚り角がarctan4を越
えると形付けが困難であるのに比べ、複合撚合体は大き
な撚り角まで利用できることを見いだした。
層と内層の線条体2及び3が一定の関係を満足する必要
がある。この関係を見いだすため、予備実験として第4
図に示すような炭素繊維からなる線条体を中心部材4′
とし、その周囲に炭素繊維からなる線条体3′を7本S
撚合した複合撚合型抗張力体(1×7外径12.5mm)につ
いて、撚り角θを種々変化させて強度利用効率を調査し
た結果を第5図に示す。図中の横軸はtanθ、縦軸は強
度利用効率を示す。実験は線径が同一の線条体を用い、
tanθを2.5から5の間の6段階に変化させた6種類の複
合撚合型抗張力体の切断時の張力を調査した。この切断
時の張力と個々の炭素繊維の切断時の張力の比を強度利
用効率とした。複合撚合型抗張力体1の強度利用効率は
撚り角arctan3以下になると急激な強度低下を示してお
り、実際の使用には不適当なことを見いだした。さらに
この試料の形状保持性についての調査結果を第6図に示
す。実験はtanθを6から8の間の5段階に変化させた
5種類の複合撚合型抗張力体(試料:各20メートル)を
種々の曲率に曲げて、線条体の配列に生じるわらい等の
形崩れの発生状況を調べた。複合撚合体は、金属製撚合
体と異なり、撚合体成形後に加熱硬化させて撚合体を得
るので、線条体に形付けを施し易い。実験の結果、撚り
角arctan7を越えると、側の線条体3′が中心部材4′
をグリップする力を急激に失い、直径2000mmの曲率でも
形くずれを生じるようになり、実使用上、問題となるこ
とがわかった。金属製撚合体では撚り角がarctan4を越
えると形付けが困難であるのに比べ、複合撚合体は大き
な撚り角まで利用できることを見いだした。
撚合体各層の発生トルクは、線条体の本数,層心径及
び直径の2乗に比例し、tanθ(θは撚り角)に逆比例
する関係がある。ここで、層心径は撚合体の中心軸と線
条体の中心軸との距離を示す。線条体の直径を同一とす
れば内層の方が外層より本数が小となり、層心径が小と
なるので、発生トルクも小さくなる。従って、それに見
合うトルク分だけ外層のトルク発生を抑制する必要があ
る。
び直径の2乗に比例し、tanθ(θは撚り角)に逆比例
する関係がある。ここで、層心径は撚合体の中心軸と線
条体の中心軸との距離を示す。線条体の直径を同一とす
れば内層の方が外層より本数が小となり、層心径が小と
なるので、発生トルクも小さくなる。従って、それに見
合うトルク分だけ外層のトルク発生を抑制する必要があ
る。
以上の検討結果に基づき、これらのトラブル発生領域
を除外し、トルクバランスが保持できる範囲について検
討した結果を第7図に示す。計算は、第1図において、
任意の太さおよび任意の撚り角で隙間なく複数本配列さ
れた内層の線条体3の周囲に、隙間なく配列されるとい
う条件を満たす太さおよび撚り角の複数本の外層の線条
体2を想定し、これらの線条体に張力を加えた時に内層
および外層に生じるトルクのバランスする条件を見いだ
した。本発明者等は図中のハッチングが示すとおり、内
層の撚り角はarctan3〜arctan4に設定した。これは撚り
角がarctan3以下では急激に強度が低下し、またarctan5
以上では外層の本数が著しく増加し実用性を損なうため
である。また、外層の撚り角をarctan7以下に限定して
形くずれを防止した。このようにトラブル領域を除外し
ても、外層の線条体2の本数を16本以上とすれば内層の
線条体3の本数及び太さにかかわらず、完全なトルクバ
ランスを成立させられることを見いだした。
を除外し、トルクバランスが保持できる範囲について検
討した結果を第7図に示す。計算は、第1図において、
任意の太さおよび任意の撚り角で隙間なく複数本配列さ
れた内層の線条体3の周囲に、隙間なく配列されるとい
う条件を満たす太さおよび撚り角の複数本の外層の線条
体2を想定し、これらの線条体に張力を加えた時に内層
および外層に生じるトルクのバランスする条件を見いだ
した。本発明者等は図中のハッチングが示すとおり、内
層の撚り角はarctan3〜arctan4に設定した。これは撚り
角がarctan3以下では急激に強度が低下し、またarctan5
以上では外層の本数が著しく増加し実用性を損なうため
である。また、外層の撚り角をarctan7以下に限定して
形くずれを防止した。このようにトラブル領域を除外し
ても、外層の線条体2の本数を16本以上とすれば内層の
線条体3の本数及び太さにかかわらず、完全なトルクバ
ランスを成立させられることを見いだした。
(実施例2) 第2図は、本発明の第2の実施例を示した図であり、
線条体2及び3の内部の繊維の配合方向を撚合体各層の
撚り方向と逆方向、すなわち、線条体3はS配合,Z撚
合、線条体2はZ配合,S撚合とし、さらに外層の線条体
2の撚合方向と内層の線条体3の撚合方向を逆方向に
し、トルクバランスをとったものである。
線条体2及び3の内部の繊維の配合方向を撚合体各層の
撚り方向と逆方向、すなわち、線条体3はS配合,Z撚
合、線条体2はZ配合,S撚合とし、さらに外層の線条体
2の撚合方向と内層の線条体3の撚合方向を逆方向に
し、トルクバランスをとったものである。
(実施例3) 第3図は本発明の第3の実施例を示した図である。こ
の実施例は第2図の実施例の周囲にポリエチレン等の熱
可塑性樹脂層5を被覆したものである。
の実施例は第2図の実施例の周囲にポリエチレン等の熱
可塑性樹脂層5を被覆したものである。
各実施例の詳しい寸法及び評価結果をまとめて次表に
示す。
示す。
また、切断荷重及び4トン負荷時の回転角を第8図に
示す。なお、参考のため編組型抗張力体の特性も併記し
た。他の特性には大きな差異はないが公知例に比べ自転
特性には顕著な差異が生じており、本発明によれば従来
のワイヤロープ等では達成できなかった完全なトルクバ
ランスを実現できることがわかる。これらの実施例では
外層と内層の線条体の直径が同一であるが、第7図の関
係を満足すれば、外層と内層の線条体の外径は同一でな
くても良い。なお、第1図と第2図の構成の差は第4図
の公知の方法との差に比べると小さいが、しかし回転量
にして4倍の差があり、数千メートルにおよぶ長尺での
使用を考えると、この差異は大きい。
示す。なお、参考のため編組型抗張力体の特性も併記し
た。他の特性には大きな差異はないが公知例に比べ自転
特性には顕著な差異が生じており、本発明によれば従来
のワイヤロープ等では達成できなかった完全なトルクバ
ランスを実現できることがわかる。これらの実施例では
外層と内層の線条体の直径が同一であるが、第7図の関
係を満足すれば、外層と内層の線条体の外径は同一でな
くても良い。なお、第1図と第2図の構成の差は第4図
の公知の方法との差に比べると小さいが、しかし回転量
にして4倍の差があり、数千メートルにおよぶ長尺での
使用を考えると、この差異は大きい。
(発明の効果) 以上のべたように、高強力低伸度繊維に熱硬化性樹脂
を含浸した複合材料からなる線条体を中心部材の外周に
2層にすきまなく撚った複合撚合型抗張力体において、
内層と外層の撚合方向を逆方向とし、かつ内層の撚り角
をarctan3〜arctan4、外層の撚り角をarctan3〜arctan7
の範囲でトルクバランスとし、高強力低伸度繊維の配合
方向を撚合体の撚合方向と逆方向とした複合撚合型抗張
力体を用いれば、従来のワイヤロープでは達成不可能で
あった、強度利用効率が高く、形崩れの問題がなく、か
つ非自転性を有する抗張力体を実現することができる。
この結果、数千メートルに及ぶ長尺で用いられる海底光
ファイバケーブルや、海底探索機器の吊り索、また地下
探索機器の吊り索の自転によって生じるキンクや破断、
機器の損傷など様々なトラブルを防止することが可能と
なる。
を含浸した複合材料からなる線条体を中心部材の外周に
2層にすきまなく撚った複合撚合型抗張力体において、
内層と外層の撚合方向を逆方向とし、かつ内層の撚り角
をarctan3〜arctan4、外層の撚り角をarctan3〜arctan7
の範囲でトルクバランスとし、高強力低伸度繊維の配合
方向を撚合体の撚合方向と逆方向とした複合撚合型抗張
力体を用いれば、従来のワイヤロープでは達成不可能で
あった、強度利用効率が高く、形崩れの問題がなく、か
つ非自転性を有する抗張力体を実現することができる。
この結果、数千メートルに及ぶ長尺で用いられる海底光
ファイバケーブルや、海底探索機器の吊り索、また地下
探索機器の吊り索の自転によって生じるキンクや破断、
機器の損傷など様々なトラブルを防止することが可能と
なる。
第1図は本発明の第1の実施例を示す図、第2図は本発
明の第2の実施例を示す図、第3図は本発明の第3の実
施例を示す図、第4図は従来の抗張力体を示す図、第5
図は複合撚合型抗張力体の撚り角と強度利用効率の関係
を示す図、第6図は複合撚合型抗張力体の撚り角と形く
ずれ性の関係を示す図、第7図はノン−トルク線図、第
8図は本発明の実施例と従来例との回転量の差異を示す
図である。 1……複合撚合型抗張力体 2……外層の線条体 3……内層の線条体 4……中心部材 5……熱可塑性樹脂層
明の第2の実施例を示す図、第3図は本発明の第3の実
施例を示す図、第4図は従来の抗張力体を示す図、第5
図は複合撚合型抗張力体の撚り角と強度利用効率の関係
を示す図、第6図は複合撚合型抗張力体の撚り角と形く
ずれ性の関係を示す図、第7図はノン−トルク線図、第
8図は本発明の実施例と従来例との回転量の差異を示す
図である。 1……複合撚合型抗張力体 2……外層の線条体 3……内層の線条体 4……中心部材 5……熱可塑性樹脂層
フロントページの続き (72)発明者 根岸 幸康 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 木村 浩 茨城県新治郡出島村大字宍倉5707 東京 製綱株式会社研究所内 (56)参考文献 実開 昭61−122281(JP,U) 実開 昭50−134454(JP,U) 特公 昭57−25679(JP,B2) 特公 昭51−18537(JP,B1)
Claims (1)
- 【請求項1】高強力低伸度繊維に熱硬化性樹脂を含浸し
た複合材料からなる線条体を中心部材の外周に2層にす
きまなく撚った複合撚合型抗張力体において、内層と外
層の撚合方向を逆方向とし、かつ内層の撚り角をarctan
3〜arctan4、外層の撚り角をarctan3〜arctan7の範囲で
バランス構造とし、加熱硬化により前記線条体を螺旋状
に形付けし、線該条体を相互に結着したことを特徴とす
る複合撚合型抗張力体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63203034A JP2862543B2 (ja) | 1988-08-15 | 1988-08-15 | 複合撚合型抗張力体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63203034A JP2862543B2 (ja) | 1988-08-15 | 1988-08-15 | 複合撚合型抗張力体 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0253983A JPH0253983A (ja) | 1990-02-22 |
JP2862543B2 true JP2862543B2 (ja) | 1999-03-03 |
Family
ID=16467255
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63203034A Expired - Lifetime JP2862543B2 (ja) | 1988-08-15 | 1988-08-15 | 複合撚合型抗張力体 |
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JP (1) | JP2862543B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014122451A (ja) * | 2012-12-21 | 2014-07-03 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | ゴム補強用スチールコード及び空気入りタイヤ |
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-
1988
- 1988-08-15 JP JP63203034A patent/JP2862543B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014122451A (ja) * | 2012-12-21 | 2014-07-03 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | ゴム補強用スチールコード及び空気入りタイヤ |
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