JP2861390B2 - 制御システムおよび方法 - Google Patents

制御システムおよび方法

Info

Publication number
JP2861390B2
JP2861390B2 JP52556195A JP52556195A JP2861390B2 JP 2861390 B2 JP2861390 B2 JP 2861390B2 JP 52556195 A JP52556195 A JP 52556195A JP 52556195 A JP52556195 A JP 52556195A JP 2861390 B2 JP2861390 B2 JP 2861390B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amount
deviation
value
calculated
control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP52556195A
Other languages
English (en)
Inventor
守 恵木
勝行 稲毛
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Omron Corp filed Critical Omron Corp
Priority to JP52556195A priority Critical patent/JP2861390B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2861390B2 publication Critical patent/JP2861390B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Feedback Control In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は,複数のセンサからの検知信号に基づい
て,制御対象の複数のアクチュエータをコントローラに
よって制御するシステムにおいて,制御対象をそれがあ
る状態(たとえば初期状態)から他の状態(たとえば目
標状態)まで安定に遷移するように制御する制御システ
ムおよび方法に関する。この制御は次の2つに大別され
る。
その1つは,コントローラに与えるべき,目標状態を
表わす目標値を修正することにより,制御対象を目標状
態に安定に遷移させるものである。
他の1つは,制御対象が初期状態から目標状態まで遷
移するよう制御するために,その遷移経路を表すコント
ローラに与えるべき副目標値を修正することにより,制
御対象を目標状態に安定に遷移させるものである。
背景技術 目標状態を表わすコントローラに与えるべき目標値を
修正する制御システムの例として,温度制御システムが
ある。
コンベア炉,プッシャ炉等に用いられるトンネル型加
熱炉,樹脂成形機等に用いられるヒータプレート,等を
制御する温度制御システムにおいては,加熱炉,ヒータ
プレート等が複数の領域(この領域内の代表的な箇所を
加熱点という)に分割され,ヒータが領域毎に設けら
れ,各加熱点が所望の目標温度になるように温度制御が
領域毎に独立に行われる。加熱される製品,成形される
製品,等に応じて,領域毎にそれぞれの目標温度が設定
されることが多い。
このような温度制御システムにおいては,各領域の温
度は隣接する領域からの影響(干渉)を受けるので,各
領域がそれぞれの目標温度になるように温度制御するこ
とが困難なことが多い。
例えば,隣接するヒータから発生する熱の影響(干
渉)を受けて,各領域の温度がオーバーシュートするこ
とがある。とくにトンネル型加熱炉において一度オーバ
ーシュートが発生すると定常偏差が残り,加熱炉内の温
度が目標温度に回復するまでに時間がかかる。すなわ
ち,整定時間が長くなる。
このような干渉を防止する温度制御装置が,特開昭59
−35212号公報,特開昭61−145606号公報および特開昭6
1−156316号公報に記載されている。これらの温度制御
装置は,加熱点間の干渉をモデル化し,このモデルを用
いて操作量を決定し,干渉を防止しようとするものであ
る。
しかしながら,このような温度制御装置においては,
加熱点間の干渉をモデル化するために,各加熱点の温度
が計測され,この計測温度を用いて伝達関数のパラメー
タが算出される。加熱点が増加すると,モデルを表す伝
達関数のパラメータの算出に時間がかかる。
また,モデル化は,加熱炉,成形機等の制御対象毎に
行わなければならず,作業が煩雑である。同一種類の制
御対象であっても,個々に性能が異なる場合があるの
で,モデル化を制御対象毎に行わなければならない。
制御対象が初期状態から最終目標状態まで遷移するよ
うに制御するために,その遷移経路を表わす副目標値を
コントローラに与える制御システムの例として,クレー
ン等における位置制御システムがある。
従来の天井クレーン(Overhead Travelling crane)
の位置制御システムにおいて,吊り荷を初期位置から目
標位置まで搬送するとき,主桁とトロリを所定の速度パ
ターンでそれぞれ独立に移動させていた。この所定の速
度パターンは,吊り荷の振れができるだけ小さくなるよ
うに,加速,定速および減速するパターンである。
しかしながら,このような従来の位置制御システムで
は主桁とトロリの速度パターンが同じであるために,主
桁とトロリの移動距離が異なる場合,たとえば主桁の移
動距離がトロリの移動距離よりも大きい場合,トロリが
その停止位置に先に到達し,その後主桁がその停止位置
に到達することになる。したがって,トロリが停止位置
に到達した時には主桁がまだ移動しているため,吊り荷
の移動方向(移動ベクトル)が変わることになる。この
移動方向の変化によって吊り荷にコリオリカが生じ,こ
のコリオリカによって吊り荷が大きく振れることにな
る。
このため,主桁とトロリがそれらの停止位置(目標位
置)に到達したとしても,吊り荷の振れが小さくなるま
で,その吊り荷を降ろすことができない。また,吊り荷
が大きく振れることによって,作業領域の外に広い安全
領域が必要となる。
仮に,主桁とトロリをそれらの停止位置に同時に到達
するような速度パターンで移動させたとしても,主桁ま
たはトロリの駆動輪がスリップしたときには,このスリ
ップが考慮されていないため,それらが停止位置に同時
に到達できず,上述のように,コリオリカによって吊り
荷に大きな振れが生じることになる。
発明の開示 この発明は,制御対象をある状態(たとえば初期状
態)から他の状態(たとえば目標状態)まで安定に遷移
するように制御することを目的とする。
第1の発明は,最終の目標状態を表すコントローラに
与えるべき目標値を修正することにより,制御対象を目
標状態に安定に遷移させる制御システムおよび方法を提
供している。
アクチュエータにはヒータ,電磁石,発光器(LED,LD
等)等がある。アクチュエータがヒータの場合には,セ
ンサとして温度センサが用いられ,温度の空間分布が所
定の温度パターンになるように制御される。アクチュエ
ータが電磁石の場合にはセンサとしてホール素子を用い
た磁気センサが用いられ,磁束密度の空間分布が所定の
磁束パターンになるように制御される。アクチュエータ
が発光器の場合にはセンサとしてCCDカメラ等の撮像素
子または受光素子が用いられ,照度の空間分布が所定の
照度パターンになるように制御される。
第1の発明による制御システムは,空間的に存在する
複数のヒータ,上記複数のヒータのそれぞれに対応して
設けられ,かつ制御対象の温度を計測する複数の温度セ
ンサ,所与の最終目標温度に基づいて修正目標温度をヒ
ータ毎に生成する目標温度生成装置,および上記複数の
温度センサによって計測された計測温度がそれぞれ,上
記目標温度生成装置によって生成された修正目標温度に
近づくように操作量をそれぞれ算出し,これらの操作量
を上記複数のヒータにそれぞれ与えるコントローラを備
え,上記目標温度生成装置が,上記複数の温度センサに
よって計測された計測温度をそれぞれ対応する最終目標
温度によってそれぞれ正規化した正規化計測温度を算出
し,これらの正規化計測温度に基づいて基準値を決定
し,各正規化計測温度と上記基準値との基準値偏差をそ
れぞれ算出する基準値偏差算出手段,上記基準値偏差算
出手段によって算出された基準値偏差を時間微分するこ
とにより偏差微分値をそれぞれ算出する偏差微分値算出
手段,上記基準値偏差算出手段によって算出された基準
値偏差と,上記偏差微分値算出手段によって算出された
偏差微分値とに基づいて,すべての正規化計測温度が同
じ値になるように,補正ゲインをそれぞれ算出する補正
ゲイン算出手段,上記複数の温度センサによって計測さ
れた計測温度とそれぞれ対応する最終目標温度との偏差
を上記最終目標温度によって正規化した正規化偏差をそ
れぞれ算出する正規化偏差算出手段,上記正規化偏差算
出手段によって算出された正規化偏差に基づいて整定度
をそれぞれ算出する整定度算出手段,上記補正ゲイン算
出手段によって算出された補正ゲインと,上記整定度算
出手段によって算出された整定度と,所定の立上ゲイン
および所定の整定ゲインとに基づいて,補正量をそれぞ
れ算出する補正量算出手段,ならびに上記補正量算出手
段によって算出された補正量を用いて,上記最終目標温
度を修正することにより上記修正目標温度をそれぞれ算
出する目標温度算出手段を備えている。
第1の発明による制御方法は,空間的に存在する複数
のヒータ,上記複数のヒータのそれぞれに対応して設け
られ,かつ制御対象の温度を計測する複数の温度セン
サ,および上記複数の温度センサによって計測された計
測温度がそれぞれ,所与の修正目標温度に近づくように
操作量をそれぞれ算出し,これらの操作量を上記複数の
ヒータにそれぞれ与えるコントローラを設け,上記複数
の温度センサによって計測された計測温度をそれぞれ対
応する最終目標温度によってそれぞれ正規化した正規化
計測温度を算出し,これらの正規化計測温度に基づいて
基準値を決定し,各正規化計測温度と上記基準値との基
準値偏差をそれぞれ算出し,算出された基準値偏差を時
間微分することにより偏差微分値をそれぞれ算出し,算
出された基準値偏差と,算出された偏差微分値とに基づ
いて,すべての正規化計測温度が同じ値になるように,
補正ゲインをそれぞれ算出し,上記複数の温度センサに
よって計測された計測温度とそれぞれ対応する最終目標
温度との偏差を上記最終目標温度によって正規化した正
規化偏差をそれぞれ算出し,算出された正規化偏差に基
づいて整定度をそれぞれ算出し,算出された補正ゲイン
と,算出された整定度と,所定の立上ゲインおよび所定
の整定ゲインとに基づいて,補正量をそれぞれ算出し,
算出された補正量を用いて,上記最終目標温度を修正す
ることにより上記修正目標温度をそれぞれ算出するもの
である。
第1の発明によると,複数の温度センサによって計測
された計測温度がそれぞれ対応する所与の最終目標温度
によってそれぞれ正規化され,正規化計測温度が算出さ
れる。正規化計測温度は制御対象の温度が目標(最終目
標温度)にどの程度到達しているかを表す。すなわち,
正規化計測温度は応答の度合いを表している。正規化計
測温度が1に近いほど,制御対象の温度が目標温度に近
づいていることを表している。計測温度を最終目標温度
によって正規化しているので,最終目標温度が空間的に
均一でなく,それぞれが異なる値をもつパターンを設定
することができる。このようなパターンとしては,温度
の空間分布がランダムなもの,ワークの加工に適したも
の,一定の勾配をもつもの,階段状のもの,等がある。
これらの正規化計測温度に基づいて基準値が決定され
る。基準値はたとえば,過渡状態においてはすべての正
規化計測温度の平均値であり,定常状態においては1で
ある。ここで,過渡状態とはすべての正規化計測温度が
1以下のときをいい,定常状態とはいずれか一の正規化
計測温度が1を越えたときをいう。
各正規化計測温度と基準値との基準値偏差がそれぞれ
算出される。基準値偏差は,基準値がたとえば正規化計
測温度の平均値の場合には,制御対象が平均的な応答を
している位置の温度に対して,その他の位置の温度の応
答が速いかまたは遅いか表している。
基準値偏差がそれぞれ時間微分され,偏差微分値がそ
れぞれ算出される。偏差微分値は,基準値偏差が小さく
なる傾向にあるかまたは大きくなる傾向にあるかを表
す。すなわち,その位置の温度の応答がさらに速くもし
くは遅くなる傾向になるのかまたはその他の位置の温度
の応答と同じになりつつあるのかを表している。
各基準値偏差とその偏差微分値とに基づいて,すべて
の正規化計測温度が同じ値になるように補正ゲインがそ
れぞれ算出される。補正ゲインはたとえば,基準値偏差
が負の大きい値であれば補正ゲインが負の大きい値に設
定される。また基準値偏差が正の大きい値でありかつそ
の偏差微分値が正の大きい値であれば,さらに補正ゲイ
ンは大きい値に設定される。一方,基準値偏差と偏差微
分値がともにほぼ0に等しいときには,補正ゲインもほ
ぼ0に等しい値となる。
複数の温度センサによって計測された計測温度とそれ
ぞれに対応する最終目標温度との偏差がその最終目標温
度によって正規化され,正規化偏差がそれぞれ算出され
る。
正規化偏差に基づいて整定度がそれぞれ算出される。
整定度は,それぞれの計測温度が立上時にあるかまたは
整定時であるかを表す。正規化偏差が0に近いほど整定
時にあることを表し,0から離れるほど立上時にあること
を表す。
補正ゲインと整定度と立上ゲインおよび整定ゲインと
に基づいて,補正量がそれぞれ算出される。立上ゲイン
は立上時において補正ゲインを修正するためのゲインで
あり,整定ゲインは整定時において補正ゲインを修正す
るためのゲインである。整定度に応じて立上ゲインまた
は整定ゲインが用いられ,これらのゲインにより補正ゲ
インが修正され,補正量が算出される。
補正量を用いて最終目標温度が修正されることにより
修正目標温度が算出される。基準値偏差が正で大きいと
修正目標温度が最終目標温度より低く設定され,基準値
偏差が負に大きいと修正目標温度が最終目標温度より高
く設定されることになる。したがって,基準値偏差が正
で大きいもの(応答速度が速いもの)については修正目
標温度を小さく設定してその応答速度を遅らせ,基準値
偏差が負で大きいもの(応答速度が遅いもの)について
は修正目標温度を大きく設定することによりその応答速
度を速めようとしている。すなわちそれぞれの計測温度
の応答が対応する最終目標温度に近づく割合が制御空間
内で同じになるようにしている。
このようにして算出された修正目標温度がコントロー
ラに与えられる。
したがって,各位置における温度の応答速度が同じ値
になるように修正目標温度が生成されるので,隣接する
ヒータからの影響(干渉)受けたとしても,温度の変化
の割合が均一になる。これによって,相互干渉によるオ
ーバーシュートが発生しにくくなる。とくにトンネル型
炉の場合にはオーバーシュートが発生しないように制御
することによって,整定時間を短くすることができる。
正規化計測温度の応答速度が同じ値にになるようにし
ているので,従来のようにトンネル型加熱炉,ヒータ等
の制御対象毎にモデル化を行う必要がなくなり,種々の
制御対象に対して同一の制御で対応できる。
第1の発明を一般化した制御システムは,制御対象を
駆動するための空間的に存在する複数のアクチュエー
タ,上記複数のアクチュエータのそれぞれに対応して設
けられ,かつ上記制御対象の制御量を計測する複数のセ
ンサ,および上記複数のセンサによって計測された制御
量がそれぞれ,所与の目標値に近づくように操作量をそ
れぞれ算出し,これらの操作量を上記複数のアクチュエ
ータにそれぞれ与えるコントローラを備えた制御システ
ムにおいて,上記複数のセンサによって計測された制御
量を所与の最終目標値によってそれぞれ正規化した正規
化制御量を算出し,これらの正規化制御量に基づいて基
準量を決定し,各正規化制御量と上記基準量との基準量
偏差をそれぞれ算出し,各基準量偏差に基づいてすべて
の正規化制御量が同じ値になるように上記最終目標値を
修正することにより上記目標値をそれぞれ算出し,これ
ら目標値を上記コントローラに与える目標値生成装置を
備えていることを特徴とする。
第1の発明を一般化した制御方法は,制御対象を駆動
するための空間的に存在する複数のアクチュエータ,上
記複数のアクチュエータのそれぞれに対応して設けら
れ,かつ上記制御対象の制御量を計測する複数のセン
サ,および上記複数のセンサによって計測された制御量
がそれぞれ,所与の目標値に近づくように操作量をそれ
ぞれ算出し,これらの操作量を上記複数のアクチュエー
タにそれぞれ与えるコントローラを設け,上記複数のセ
ンサによって計測された制御量を所与の最終目標値によ
ってそれぞれ正規化した正規化制御量を算出し,これら
の正規化制御量に基づいて基準量を決定し,各正規化制
御量と上記基準量との基準量偏差をそれぞれ算出し,各
基準量偏差に基づいてすべての正規化制御量が同じ値に
なるように上記最終目標値を修正することにより上記目
標値をそれぞれ算出し,これら目標値を上記コントロー
ラに与えるものである。
第1の発明の一実施態様においては,上記アクチュエ
ータはヒータであり,上記センサは温度センサである。
第1の発明によると,複数のセンサによって計測され
た制御量がそれぞれ対応する所与の最終目標値によって
それぞれ正規化され,正規化制御量が算出される。正規
化制御量は,制御量が目標にどの程度到達しているかを
表す。すなわち,正規化制御量は応答の度合いを表し,
正規化制御量が1に近いほど目標に到達していることを
表している。制御量が最終目標値で正規化されるので,
最終目標値が均一でなく,それぞれが異なる値をもつよ
うなパターンを設定することができる。このようなパタ
ーンとしては,最終目標値の空間的分布がランダムなも
の,一定の勾配をもつもの,階段状のもの,等がある。
これらの正規化制御量に基づいて基準量が決定され
る。基準量はたとえば,過渡状態ではすべての正規化制
御量の平均値であり,定常状態では1である。ここで,
過渡状態とはすべての正規化制御量が1以下のときをい
い,定常状態とはいずれか一の正規化制御量が1を越え
たときをいう。
各正規化制御量と基準量との基準量偏差がそれぞれ算
出される。基準量偏差は,基準量がたとえば正規化制御
量の平均値の場合,制御対象が平均的な応答をしている
位置の制御量に対して,その他の位置の制御量の応答が
速いかまたは遅いかを表している。
これらの基準量偏差に基づいて,すべての正規化制御
量が同じ値になるように,すなわち,それぞれの制御量
の応答が対応する最終目標値に近づく割合が制御空間で
同じになるように,最終目標値が修正されることにより
目標値が算出される。目標値は,基準量偏差が正に大き
いほど最終目標値より小さく設定され,基準量偏差が負
に大きいほど最終目標値より大きく設定される。これに
より,応答速度が速い制御量については目標値を小さく
設定することによりその応答速度を遅らせ,応答速度が
遅い制御量については目標値を大きく設定することによ
りその応答速度を速めている。
したがって,それぞれの制御量において応答速度が同
じ値になるように目標値が生成されるので,隣接するア
クチュエータからの影響(干渉)受けたとしても,制御
量の変化の割合が均一になる。これによって,干渉によ
る制御量のオーバーシュートまたはアンダーシュートが
発生しにくくなる。したがって,オーバーシュートまた
はアンダーシュートが発生しないようにすることによっ
て整定時間を短くすることができる。
それぞれの制御量の応答速度が同じ値にになるように
目標値が算出されるので,従来のように制御対象毎にモ
デル化を行う必要がなく,種々の制御対象に対して同一
の制御で対応できる。
上記目標値生成装置は,上記複数のセンサによって計
測された制御量をそれぞれ対応する最終目標値によって
それぞれ正規化した上記正規化制御量を算出し,これら
の正規化制御量に基づいて上記基準量を決定し,各正規
化制御量と上記基準量との基準量偏差をそれぞれ算出す
る基準量偏差算出手段,および上記基準量偏差算出手段
によって算出された基準量偏差に基づいて,すべての正
規化制御量が同じ値になるように,上記最終目標値を修
正することにより上記目標値をそれぞれ算出する目標値
算出手段によって実現される。
第1の発明の一実施態様においては,上記目標値生成
装置には,上記基準量偏差算出手段によって算出された
基準量偏差を時間微分することにより上記偏差微分値を
それぞれ算出する偏差微分値算出手段がさらに設けら
れ,上記目標値算出手段は,上記基準量偏差算出手段に
よって算出された基準量偏差と,上記偏差微分値算出手
段によって算出された偏差微分値とに基づいて,すべて
の正規化制御量が同じ値になるように,上記最終目標値
を修正することにより上記目標値をそれぞれ算出するも
のである。
この実施態様によると,各基準量偏差が時間微分され
ることにより偏差微分値がさらに算出される。偏差微分
値は,基準量に対する正規化制御量の偏差が小さくなる
傾向にあるかまたは大きくなる傾向にあるかを表す。す
なわち,その位置の応答速度がさらに速くもしくは遅く
なる傾向にあるかまたはその他の位置の応答速度と同じ
になりつつあるかを表している。
基準量偏差に加えてその偏差微分値を用いて目標値が
それぞれ算出される。偏差微分値が正であれば目標値が
さらに小さく設定され,負であれば大きく設定される。
このようにして算出された目標値がコントローラに与
えられる。
したがって,基準量偏差に加えて偏差微分値が考慮さ
れるので,目標値をより正確に算出することができる。
第1の発明の好ましい実施態様においては,上記目標
値生成装置には,上記基準量偏差算出手段によって算出
された基準量偏差と,上記偏差微分値算出手段によって
算出された偏差微分値とに基づいて,補正ゲインをそれ
ぞれ算出する補正ゲイン算出手段,上記複数のセンサに
よって計測された制御量とそれぞれ対応する最終目標値
との偏差を上記最終目標値によってそれぞれ正規化した
正規化偏差を算出する正規化偏差算出手段,および上記
正規化偏差算出手段によって算出された正規化偏差に基
づいて,整定度をそれぞれ算出する整定度算出手段がさ
らに設けられ,上記目標値算出手段は上記補正ゲイン算
出手段によって算出された補正ゲインと,上記整定度算
出手段によって算出された整定度とに基づいて,すべて
の正規化制御量が同じ値になるように,上記最終目標値
を修正することにより上記目標値をそれぞれ算出するも
のである。
この実施態様によると,各基準値偏差とその偏差微分
値とに基づいて,すべての正規化制御量が同じ値になる
ように補正ゲインがそれぞれ算出される。補正ゲインは
たとえば,基準値偏差が負の大きい値であれば補正ゲイ
ンが負の大きい値に設定される。基準値偏差が正の大き
い値でありかつその偏差微分値が正の大きい値であれ
ば,さらに補正ゲインは大きい値に設定される。一方,
基準値偏差と偏差微分値がともにほぼ0に等しいときに
は,補正ゲインもほぼ0に等しい値となる。
複数のセンサによって計測された制御量とそれぞれ対
応する最終目標値との偏差がその最終目標値によってそ
れぞれ正規化され,正規化偏差が算出される。それぞれ
の正規化偏差に基づいて整定度がそれぞれ算出される。
整定度は,それぞれの制御量が立上時(過渡状態)にあ
るかまたは整定時(定常状態)であるかを表す。正規化
偏差が0に近いほど整定時にあることを表し,0から離れ
るほど立上時にあることを表す。
補正ゲインと整定度とに基づいて,整定度の値に応じ
て補正ゲインが修正され,この修正された補正ゲインに
基づいて目標値が算出される。
このようにして算出された目標値がコントローラに与
えられる。
したがって,基準量偏差と偏差微分値とに基づく補正
ゲインに加えて,整定度を考慮して目標値が算出される
から,過渡状態または定常状態に応じて適切な目標値を
算出することができる。
第1の発明のさらに好ましい実施態様においては,上
記目標値生成装置には,上記補正ゲイン算出手段によっ
て算出された補正ゲインと,上記整定度算出手段によっ
て算出された整定度と,所定の立上ゲインおよび所定の
整定ゲインとに基づいて,補正量をそれぞれ算出する補
正量算出手段がさらに設けられ,上記目標値算出手段
は,上記補正量算出手段によって算出された補正量を用
いて,上記最終目標値を修正することにより上記目標値
をそれぞれ算出するものである。
この実施態様によると,補正ゲインと整定度と立上ゲ
インおよび整定ゲインとに基づいて,補正量がそれぞれ
算出される。立上ゲインは立上時において補正ゲインを
修正するためのゲインであり,整定ゲインは整定時にお
いて補正ゲインを修正するためのゲインである。整定度
に応じて,立上ゲインまたは整定ゲインが用いられ,こ
れにより補正ゲインが修正された補正量が算出される。
補正量を用いて最終目標値が修正されることにより目
標値が算出される。
このようにして算出された目標値がコントローラに与
えられる。
したがって,立上時にあるかまたは整定時にあるかに
応じて所望の立上ゲインまたは整定ゲインを用いて目標
値の調整ができる。
第2の発明は,初期状態から目標状態までの遷移経路
を表すコントローラに与えるべき副目標値を修正するこ
とにより,制御対象を目標状態に安定に遷移させるもの
である。
第2の発明は,位置制御,姿勢制御等に適用される。
アクチュエータにはモータ,その他の駆動装置があり,
センサとして位置センサ,速度センサ等が用いられる。
第2の発明による制御システムは,制御対象を駆動す
るための複数の駆動装置,上記複数の駆動装置のそれぞ
れに対応して設けられ,かつ上記制御対象の位置を計測
する複数の位置センサ,所与の最終目標位置と所定の指
令速度とに基づいて修正指令速度を駆動装置毎に生成す
る指令速度生成装置,および上記複数の位置センサによ
って計測された位置に基づいて導出される速度がそれぞ
れ,上記指令速度生成装置によって生成された修正指令
速度になるように操作量をそれぞれ算出し,これらの操
作量を上記複数の駆動装置にそれぞれ与えるコントロー
ラを備え,上記指令速度生成装置が,制御の開始前また
は開始時に,上記複数の位置センサによって計測された
初期位置と上記最終目標位置とに基づいて最大距離をそ
れぞれ算出する最大距離算出手段,制御の開始後に,上
記初期位置と上記複数の位置センサによって計測された
計測位置との距離をそれぞれ対応する最大距離によって
それぞれ正規化した正規化距離を算出し,これらの正規
化距離に基づいて基準値を決定し,各正規化距離と上記
基準値との基準値偏差をそれぞれ算出する基準値偏差算
出手段,上記基準値偏差算出手段によって算出された基
準値偏差を時間微分することにより偏差微分値をそれぞ
れ算出する偏差微分値算出手段,上記基準値偏差算出手
段によって算出された基準値偏差と,上記偏差微分値算
出手段によって算出された偏差微分値とに基づいて,す
べての正規化距離が同じ値になるように,補正ゲインを
それぞれ算出する補正ゲイン算出手段,および上記補正
ゲイン算出手段によって算出された補正ゲインに基づい
て,上記指令速度を修正することにより上記修正指令速
度をそれぞれ算出する指令速度算出手段をを備えてい
る。
第2の発明による制御方法は,制御対象を駆動するた
めの複数の駆動装置,上記複数の駆動装置のそれぞれに
対応して設けられ,かつ上記制御対象の位置を計測する
複数の位置センサ,および上記複数の位置センサによっ
て計測された位置に基づいて導出される速度がそれぞ
れ,所与の修正指令速度になるように操作量をそれぞれ
算出し,これらの操作量を上記複数の駆動装置にそれぞ
れ与えるコントローラを設け,制御の開始前または開始
時に,上記複数の位置センサによって計測された初期位
置と上記最終目標位置とに基づいて最大距離をそれぞれ
算出し,制御の開始後に,上記初期位置と上記複数の位
置センサによって計測された計測位置との距離をそれぞ
れ対応する最大距離によってそれぞれ正規化した正規化
距離を算出し,これらの正規化距離に基づいて基準値を
決定し,各正規化距離と上記基準値との基準値偏差をそ
れぞれ算出し,算出された基準値偏差を時間微分するこ
とにより偏差微分値をそれぞれ算出し,算出された基準
値偏差と,算出された偏差微分値とに基づいて,すべて
の正規化距離が同じ値になるように,補正ゲインをそれ
ぞれ算出し,算出された補正ゲインに基づいて,上記指
令速度を修正することにより上記修正指令速度をそれぞ
れ算出するものである。
制御の開始前または開始時に,複数の位置センサによ
って計測された初期位置と所与の目標位置との最大距離
がそれぞれ算出される。
制御の開始後に,上記初期位置と上記複数の位置セン
サによって計測された計測位置との距離を,それぞれの
最大距離によって正規化した正規化処理がそれぞれ算出
される。駆動装置が移動する最大距離はそれぞれ異なる
ので,初期位置から移動した距離を最大距離で正規化す
る。これによって,目標位置にどの程度到達しているか
が正規化距離によって表わされる。
これらの正規化距離に基づいて基準値が決定される。
基準値はたとえば最大距離が最も大きい駆動装置に対応
する正規化距離である。移動する距離が最大のものがそ
の移動時間が大きくなり,応答速度が最小となるからで
ある。
各正規化距離と基準値との基準値偏差がそれぞれ算出
される。基準値偏差は,基準値(最大距離が最も大きい
正規化距離)に対する偏差であり,その基準値よりどの
程度速く移動しているかを表す。
基準値偏差が時間微分されることにより偏差微分値が
それぞれ算出される。偏差微分値は,基準値偏差が大き
くなる傾向にあるか小さくなる傾向にあるかを表す。
基準値偏差とその偏差微分値とに基づいて,すべての
正規化距離が同じ値になるように,補正ゲインがそれぞ
れ算出される。基準値偏差が正に大きい場合にはその補
正ゲインが大きく設定され,さらにその偏差微分値も正
に大きい場合にはさらに補正ゲインが大きく設定され
る。
補正ゲインに基づいて所定の指令速度が修正されるこ
とにより修正指令速度がそれぞれ算出される。所定の指
令速度はたとえば,加速,定速および減速をするような
速度パターンである。
このようにして算出された指定速度がコントローラに
与えられる。
したがって,正規化距離が同じ値になるように指令速
度が生成されるので,制御対象を安定に移動させること
ができる。
一の駆動装置に外乱が生じた場合,たとえば駆動装置
の駆動輪がスリップしたような場合でも,正規化距離が
同じ値になるように,そのスリップに応じてその他の駆
動装置の移動速度を落とすような指令速度が生成される
ことになる。したがって,そのようなスリップが生じた
場合であっても制御対象を安定に制御することができ
る。
第2の発明を一般的に規定した制御システムは,制御
対象を駆動するための複数のアクチュエータ,上記複数
のアクチュエータのそれぞれに対応して設けられ,かつ
上記制御対象の第1および第2の制御量をそれぞれ計測
する複数の第1および第2のセンサ,上記第1のセンサ
によって計測された第1の制御量が所与の最終目標値に
達するようにするために,コントローラに与えるべき修
正副目標値をアクチュエータ毎に生成する副目標値生成
装置,および上記複数の第2のセンサによって計測され
た第2の制御量がそれぞれ,上記副目標値生成装置によ
って生成された修正副目標値に近づくように操作量をそ
れぞれ算出し,これらの操作量を上記複数のアクチュエ
ータにそれぞれ与えるコントローラを備え,上記副目標
値生成装置は,制御の開始前または開始時に,上記複数
の第1のセンサによって計測された初期値と上記最終目
標値とに基づいて最大変化量をそれぞれ算出しておき,
制御の開始後に,上記初期値と上記複数の第1のセンサ
によって計測された第1の制御量との変化量をそれぞれ
対応する最大変化量によってそれぞれ正規化した正規化
変化量を算出し,これらの正規化変化量に基づいて決定
される基準量を決定し,各正規化変化量と上記基準量と
の基準量偏差をそれぞれ算出し,各基準量偏差とに基づ
いてすべての正規化変化量が同じ値になるように上記副
目標値を修正することにより上記修正副目標値を生成す
るものである。
第2の発明を一般的に規定した制御方法は,制御対象
を駆動するための複数のアクチュエータ,上記複数のア
クチュエータのそれぞれに対応して設けられ,かつ上記
制御対象の第1および第2の制御量をそれぞれ計測する
複数の第1および第2のセンサ,および上記複数の第2
のセンサによって計測された第2の制御量がそれぞれ,
所与の修正副目標値に近づくように操作量をそれぞれ算
出し,これらの操作量を上記複数のアクチュエータにそ
れぞれ与えるコントローラを設け,制御の開始前または
開始時に,上記複数の第1のセンサによって計測された
初期値と上記最終目標値とに基づいて最大変化量をそれ
ぞれ算出しておき,制御の開始後に,上記初期値と上記
複数の第1のセンサによって計測された第1の制御量と
の変化量をそれぞれ対応する最大変化量によってそれぞ
れ正規化した正規化変化量を算出し,これらの正規化変
化量に基づいて決定される基準量を決定し,各正規化変
化量と上記基準量との基準量偏差をそれぞれ算出し,各
基準量偏差とに基づいてすべての正規化変化量が同じ値
になるように上記副目標値を修正することにより上記修
正副目標値を生成するものである。
第2の発明の一実施態様においては,上記第1のセン
サと上記第2のセンサは同じものであり,上記第2の制
御量が上記第1の制御量に基づいて算出される。
上記アクチュエータは駆動装置であり,上記第1のセ
ンサは位置センサである。
上記第1の制御量は位置であり,上記第2の制御量は
速度である。
制御の開始前または開始時に,複数の第1のセンサに
よって計測された初期値と最終目標値とに基づいて最大
変化量がそれぞれ算出される。
制御の開始後に,初期値と複数の第1のセンサによっ
て計測された第1の制御量との変化量がそれぞれ対応す
る最大変化量によってそれぞれ正規化され,正規化変化
量が算出される。初期値からの制御量の変化量を最大変
化量により正規化することにより得られる正規化変化量
は目標にどの程度到達しているかを表している。
これらの正規化変化量に基づいて基準量が決定され
る。基準量はたとえば,最大変化量が最も大きい正規化
変化量である。最も最大変化量が大きいものが最も制御
量の応答の度合が遅くなり,目標に対する応答速度が最
小になるからである。アクチュエータの性能が異なる場
合にはその性能も考慮される。
各正規化変化量と基準量との基準量偏差がそれぞれ算
出される。基準値偏差は,基準値(最大変化量が最も大
きい正規化変化量)に対してどの程度速くまたは遅く応
答しているかを表している。
各基準量偏差とに基づいてすべての正規化変化量が同
じ値になるように副目標値が修正されることにより修正
副目標値がそれぞれ算出される。基準量偏差が正に大き
い場合には,修正副目標値が小さく設定され,基準量偏
差が負に大きい場合には修正副目標値が大きく設定され
る。副目標値は一定値または所定のパターンをもつ。
このようにして算出された修正副目標値がコントロー
ラに与えられる。
したがって,初期状態(初期値)から目標状態(最終
目標値)に到達するまでの間に,複数のアクチュエータ
のいずれかに外乱が生じたとしても,応答速度が同じに
なるように修正副目標値が算出されるので,制御対象を
安定に制御できる。
上記副目標値生成装置は,制御の開始前または開始後
に,上記複数の第1のセンサによって計測された上記初
期値と上記最終目標値とに基づいて上記最大変化量をそ
れぞれ算出する変化量算出手段,制御の開始後に,上記
初期値と上記複数の第1のセンサによって計測された第
1の制御量との変化量をそれぞれ対応する最大変化量に
よってそれぞれ正規化した上記正規化変化量を算出し,
これらの正規化変化量に基づいて上記基準量を決定し,
各正規化変化量と上記基準量との基準量偏差をそれぞれ
算出する基準量偏差算出手段,および上記基準量偏差算
出手段によって算出された基準量偏差に基づいて,すべ
ての正規化変化量が同じ値になるように,上記副目標値
を修正することにより上記修正副目標値をそれぞれ算出
する目標値算出手段によって実現される。
第2の発明の一実施態様においては,上記副目標値生
成装置には,上記基準量偏差算出手段によって算出され
た基準量偏差を時間微分することにより偏差微分値をそ
れぞれ算出する偏差微分値算出手段がさらに設けられ,
上記目標値算出手段は,上記基準量偏差算出手段によっ
て算出された基準量偏差と,上記偏差微分値算出手段に
よって算出された偏差微分値とに基づいて,すべての正
規化変化量が同じ値になるように,上記副目標値を修正
することにより上記修正副目標値をそれぞれ算出するも
のである。
この実施態様によると,基準量偏差がそれぞれ時間微
分されることにより偏差微分値がそれぞれ算出される。
偏差微分値は,基準値偏差が大きくなる傾向にあるかま
たは小さくなる傾向にあるかを表している。
基準量偏差と偏差微分値とに基づいて,すべての正規
化変化量が同じ値になるように,所定の副目標値が修正
されることにより修正副目標値がそれぞれ算出される。
基準量偏差が正に大きく,偏差微分値が負に大きいとき
は修正副目標値がさらに大きくなるように設定される。
したがって,基準量偏差に加えて偏差微分値も考慮す
ることによって,より適切な修正副目標値を算出するこ
とができる。
第2の発明の好ましい実施態様においては,上記副目
標生成装置には,上記基準量偏差算出手段によって算出
された基準量偏差と,上記偏差微分値算出手段によって
算出された偏差微分値とに基づいて,すべての正規化変
化量が同じ値になるように,補正ゲインをそれぞれ算出
する補正ゲイン算出手段がさらに設けられ,上記目標値
算出手段は,上記補正ゲイン算出手段によって算出され
た補正ゲインに基づいて,上記副目標値を修正すること
により上記修正目標値をそれぞれ算出するものである。
この実施態様によると,基準量偏差と偏差微分値とに
基づいて,すべての正規化変化量が同じ値になるよう
に,補正ゲインがそれぞれ算出される。補正ゲインに基
づいて,目標値を修正することにより修正副目標値がそ
れぞれ算出される。
第1の発明と第2の発明をさらに一般化した制御シス
テムは,制御対象を駆動するための複数のアクチュエー
タ,上記複数のアクチュエータのそれぞれに対応して設
けられ,かつ上記制御対象の制御量を計測する複数のセ
ンサ,および上記複数のセンサによって計測された制御
量がそれぞれ,所与の目標値に近づくように操作量をそ
れぞれ算出し,これらの操作量を上記複数のアクチュエ
ータにそれぞれ与えるコントローラを備えた制御システ
ムにおいて,上記複数のセンサによって計測された制御
量と,所与の最終目標値とに基づいて,すべての制御量
が同じ割合で応答するように目標値をそれぞれ算出し,
これらの目標値を上記コントローラに与える目標値生成
装置を備えていることを特徴とする。
第1の発明と第2の発明をさらに一般化した制御方法
は,制御対象を駆動するための複数のアクチュエータ,
上記複数のアクチュエータのそれぞれに対応して設けら
れ,かつ上記制御対象の制御量を計測する複数のセン
サ,および上記複数のセンサによって計測された制御量
がそれぞれ,所与の目標値に近づくように操作量をそれ
ぞれ算出し,これらの操作量を上記複数のアクチュエー
タにそれぞれ与えるコントローラを設け,上記複数のセ
ンサによって計測された制御量と,所与の最終目標値と
に基づいて,すべての制御量が同じ割合で応答するよう
に目標値をそれぞれ算出し,これらの目標値を上記コン
トローラに与えるものである。
この発明によると,複数のセンサによって計測された
制御量に基づいてすべての制御量が所与の最終目標値に
同じ割合で応答するように目標値がそれぞれ算出され,
これらの目標値がコントローラに与えられる。
制御量の変化の割合,すなわち,制御量の応答速度が
同じになるように目標値が算出されるので,応答が速い
ものは遅くなるように,応答が遅いものは速くなるよう
に調整される。これにより,応答速度が均一になるの
で,制御対象を安定に制御することができる。
図面の簡単な説明 第1図は金型成形機の温度制御システムの全体的構成
を示すブロック図である。
第2図はプレートヒータを構成する複数のヒータと,
各ヒータにそれぞれ対応して設けられる温度センサとの
配置を示す図である。
第3図は多点温度制御装置に与えられる目標温度が一
定の場合における計測温度のグラフを示す。
第4図は目標温度生成装置の詳細な構成を示す機能ブ
ロック図である。
第5a図は補正ゲイン推論知識のファジィ・ルールを示
し,第5b図はファジィ・ルールの前件部変数「基準値偏
差」に関して言語情報「NB」,「NS」,「ZR」,「PS」
および「PB」を表す5つのメンバーシップ関数を示し,
第5c図はファジィ・ルールの前件部変数「偏差微分」に
関して言語情報「NB」,「NS」,「ZR」,「PS」および
「PB」を表す5つのメンバーシップ関数を示し,第5d図
はファジィ・ルールの後件部変数「補正ゲイン」に関し
て言語情報「NB」,「NM」,「NS」,「ZR」,「PS」,
「PM」および「PB」を表す7つのシングルトンを示す。
第6a図は整定度推論知識のファジィ・ルールを示し,
第6b図はファジィ・ルールの前件部変数「正規化偏差」
に関して,言語情報「NS」,「ZR」,「PS」,「PM」お
よび「PB」を表す5つのメンバーシップ関数を示し,第
6c図はファジィ・ルールの後件部変数「整定度」に関し
て言語情報「NS」,「ZR」,「PS」,「PM」および「P
B」を表す5つのシングルトンを示す。
第7図は目標温度の生成装置における目標温度生成の
一連の処理手順を示すフロー・チャートである。
第8a図は目標温度生成装置によって生成された目標温
度を示すグラフであり,第8b図は第8a図に示す目標温度
で多点制御装置が動作した場合における計測温度を示す
グラフである。
第9図は天井クレーンの位置制御システムの全体的構
成を示す図である。
第10a図は従来制御により生成された指令速度を示す
グラフであり,第10b図は第10a図に示す指令速度により
制御されたときのフックの位置を示すグラフであり,第
10c図は第10a図に示す指令速度により制御されたときの
トロリとフックの軌跡を示すグラフである。
第11図は指令速度生成装置の詳細な構成を示す機能ブ
ロック図である。
第12図は指令速度生成装置における指令速度の生成手
順を示すフロー・チャートである。
第13a図は指令速度生成装置により生成された指令速
度を示すグラフであり,第13b図は第13a図に示す指令速
度により制御されたときのフックの位置を示すグラフで
あり,第13c図は第13a図に示す指令速度により制御され
たときのトロリとフックの軌跡を示すグラフである。
第14a図は従来制御において移動距離に応じて指令速
度の最大速度が変更されかつ主桁の駆動輪がスリップし
たとき,主桁とトロリの移動速度を示すグラフであり,
第14b図は第14a図に示す移動速度で主桁とトロリが移動
したときのトロリとフックの軌跡を示すグラフである。
第15a図は第14a図に示すグラフと同様に主桁の駆動輪
がスリップしたとき,指令速度を指令速度生成装置によ
り生成した主桁とトロリの移動速度を示すグラフであ
り,第15b図は第15a図に示す移動速度でトロリが移動し
たときのトロリとフックの軌跡を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態 [第1実施例] 第1図は金型成形機の温度制御システムの全体的構成
を示すブロック図である。
ワークWが連続的に搬送されながら,搬送路の上下に
配置された上部プレートヒータH1および下部プレートヒ
ータH2によって加熱される。その後,加熱されたワーク
Wが,プレス機械の上型P1と下型P2とによってプレス成
形される。
ワークWを加熱するプレートヒータH1およびH2はそれ
ぞれ,第2図に示すように,複数のヒータからなる。プ
レートヒータH1はヒータH1,1,H1,2,H1,3,H1,4,H1,5,H
1,6,H1,7およびH1,8からなり,プレートヒータH2はヒ
ータH2,1,H2,2,H2,3,H2,4,H2,5,H2,6,H2,7およびH2,8
からなる。
以下,プレートヒータH1およびH2のそれぞれを構成す
る複数のヒータを,単にHi,j(i=1,2:iはプレートヒ
ータH1またはH2を表す;j=1〜8:jはプレートヒータH1
またはH2をそれぞれ構成する複数のヒータを表す)で表
す。
また,ヒータHi,j(i=1,2;j=1〜8)はさらに複
数のヒータから構成されることがある。このような場合
には,それらのヒータをまとめてヒータHi,j(i=1,
2;j=1〜8)で代表させる。
ヒータH1,1,H1,2,H1,3,H1,4,H1,5,H1,6,H1,7,H1,8,H
2,1,H2,2,H2,3,H2,4,H2,5,H2,6,H2,7およびH2,8のそれ
ぞれには,後述する多点温度制御装置10から操作量U
1,1,U1,2,U1,3,U1,4,U1,5,U1,6,U1,7,U1,8,U2,1,U2,2,U
2,3,U2,4,U2,5,U2,6,U2,7およびU2,8が与えられる。
以下,ヒータHi,j(i=1,2;j=1〜8)にそれぞれ
与えられる操作量を,単にUi,j(i=1,2;j=1〜8)
で表す。
ワークWの搬送路内において,各ヒータの中央部に対
応する空間位置に,搬送路の雰囲気温度(ワークWの温
度にほぼ等しい)を計測するための温度センサがそれぞ
れ設けられる。すなわち,ヒータH1,1,H1,2,H1,3,
H1,4,H1,5,H1,6,H1,7およびH1,8にそれぞれ対応して温
度センサS1,1,S1,2,S1,3,S1,4,S1,5,S1,6,S1,7および
1,8が設けられ,これらの温度センサによってワーク
Wから上方に一定距離離れた位置の温度が計測される。
同様にヒータH2,1,H2,2,H2,3,H2,4,H2,5,H2,6,H2,7
よびH2,8にそれぞれ対応してセンサS2,1,S2,2,S2,3,S
2,4,S2,5,S2,6,S2,7およびS2,8が設けられ,温度セン
サによってワークWから下方に一定距離離れた位置の温
度が計測される。これらの温度センサはたとえば,熱電
対である。
以下,ヒータHi,j(i=1,2;j=1〜8)に対応する
温度センサを,単にSi,j(i=1,2;j=1〜8)で表
す。
温度センサS1,1,S1,2,S1,3,S1,4,S1,5,S1,6,S1,7,S
1,8,S2,1,S2,2,S2,3,S2,4,S2,5,S2,6,S2,7およびS2,8
のそれぞれによって計測された計測温度MT1,1,MT1,2,MT
1,3,MT1,4,MT1,5,MT1,6,MT1,7,MT1,8,MT2,1,MT2,2,MT
2,3,MT2,4,MT2,5,MT2,6,MT2,7およびMT2,8は,多点温度
制御装置10に与えられる。さらに,計測温度は多点温度
制御装置10から目標温度生成装置20に与えられる。
以下,温度センサSi,j(i=1,2;j=1〜8)によっ
て計測された計測温度をMTi,j(i=1,2;j=1〜8)で
表す。
多点温度制御装置10には後述する目標温度生成装置20
から,ヒータH1,1,H1,2,H1,3,H1,4,H1,5,H1,6,H1,7,H
1,8,H2,1,H2,2,H2,3,H2,4,H2,5,H2,6,H2,7およびH2,8
のそれぞれの目標温度TT1,1,TT1,2,TT1,3,TT1,4,TT1,5,
TT1,6,TT1,7,TT1,8,TT2,1,TT2,2,TT2,3,TT2,4,TT2,5,TT
2,6,TT2,7およびTT2,8が与えられる。
以下,ヒータHi,j(i=1,2;j=1〜8)の目標温度
を,単にTTi,j(i=1,2;j=1〜8)で表す。
多点温度制御装置10は,各ヒータHi,j(i=1,2;j=
1〜8)について,温度センサSi,jによって計測され
た計測温度MTi,jが,目標温度生成装置20から与えられ
る目標温度TTi,jになるように操作量Ui,jを決定するも
のである。多点温度制御装置10はたとえば,PID制御によ
り温度制御を行う離散時間型制御装置である。多点温度
制御装置10の制御周期はたとえば,2[sec]である。
多点温度制御装置10は,プレートヒータH1およびH2
それぞれについて別個の多点温度制御装置,すなわち,2
台の多点温度制御装置で構成してもよい。また,多点温
度制御装置10は,ヒータHi,j(i=1,2;j=1〜8)の
それぞれに別個の制御装置,すなわち,16台の制御装置
によって構成してもよい。
第3図は,目標温度生成装置20から与えられる目標温
度TTi,j(i=1,2;j=1〜8)のすべてが180[度]で
一定の場合において,温度制御システムの立上時におけ
るヒータH1,4,H1,5およびH1,6のそれぞれの計測温度M
T1,4,MT1,5およびMT1,6のグラフを示している。
このグラフにおいて,プレートヒータH1を構成する複
数のヒータHi,j(j=1〜8)のうち,外側に位置す
るヒータH1,4の計測温度MT1,4およびH1,6のMT1,6に比
して,中央に位置するヒータH1,5の計測温度MT1,5の応
答が速い。また中央に位置するヒータH1,5の計測温度M
T1,5はオーバーシュートも大きい。これは,ヒータH
1,5がその周囲のヒータH1,1,H1,2,H1,3,H1,4,H1,6およ
びH1,7からの熱の影響(干渉)を受けているからであ
る。
目標温度生成装置20は,このような干渉を防止するた
めに目標温度TTi,j(i=1,2;j=1〜8)を,各ヒータ
i,jの計測温度MTi,jの応答が一定の割合になるように
生成するものである。
目標温度生成装置20には,多点温度制御装置10に与え
るそれぞれの目標温度の基準となる基準目標温度が入力
される。すなわち,ヒータH1,1,H1,2,H1,3,H1,4,H1,5,
H1,6,H1,7,H1,8,H2,1,H2,2,H2,3,H2,4,H2,5,H2,6,H2,7
およびH2,8にそれぞれ対応する基準目標温度BT1,1,BT
1,2,BT1,3,BT1,4,BT1,5,BT1,6,BT1,7,BT1,8,BT2,1,BT
2,2,BT2,3,BT2,4,BT2,5,BT2,6,BT2,7およびBT2,8が目標
温度生成装置20に入力される。
以下,ヒータHi,j(i=1,2;j=1〜8)の基準目標
温度を,単にBTi,j(i=1,2;j=1〜8)で表す。
目標温度生成装置20にはまた,立上時用補正ゲインK0
および整定時用補正ゲインK1が入力される。
立上時用補正ゲインK0は,立上時(過渡状態)におけ
る目標温度を基準目標温度を用いて算出するときに用い
る補正量を調整するためのものであり,制御対象に応じ
て最適な値が設定される。立上時用補正ゲインK0は0〜
1であり,立上時用補正ゲインK0が入力されないときの
デフォルト値は1である。
整定時用補正ゲインK1は,整定時(定常状態)におけ
る目標温度を基準目標温度を用いて算出するときに用い
る補正量を調整するためのものであり,制御対象に応じ
て最適な値が設定される。立上時用補正ゲインK1は0〜
1であり,立上時用補正ゲインK1が入力されないときの
デフォルト値は1である。
目標温度生成装置20は,計測温度MTi,j(i=1,2;j=
1〜8)および基準目標温度BTi,j(i=1,2;j=1〜
8),ならびに立上時用補正ゲインK0および整定時用補
正ゲインK1に基づいて,目標温度TTi,j(i=1,2;j=1
〜8)を生成する。
プレートヒータH1を構成する複数のヒータHi,j(j
=1〜8)と,プレートヒータH2を構成する複数のヒー
タH2,j(j=1〜8)とがそれぞれ1つのグループを
形成する。目標温度は,これらのグループ毎に,グルー
プ内の各ヒータについて生成される。
第4図は目標温度生成装置20の詳細な構成を示す機能
ブロック図である。
目標温度生成装置20は,基準値偏差算出処理21,偏差
微分算出処理22,正規化偏差算出処理23,ファジィ推論処
理24,補正量算出処理25および目標温度算出処理26から
なる。目標温度生成装置20は,コンピュータ・システム
と,その上で動作するソフトウェアとによって実現され
る。各処理はプログラム・ルーチンである。
目標温度生成装置20は,多点温度制御装置10から与え
られる計測温度MTi,j(i=1,2;j=1〜8)を,一定の
生成周期Tsetで取込む。
今回の処理サイクルkで取込んだ計測温度MTi,j(i
=1,2;j=1〜8)を,MTi,j,k(i=1,2;j=1〜8)で
表す。生成周期Tsetについては制御システムに応じて最
適な値がオペレータによって設定される。生成周期Tset
は2〜60[sec]であり,たとえば20[sec]である。
また,目標温度生成装置20は,入力される基準目標温
度BTi,j(i=1,2;j=1〜8)ならびに立上時用補正ゲ
インK0および整定時用補正ゲインK1を取込む。
基準目標温度BTi,j(i=1,2;j=1〜8)ならびに立
上時用補正ゲインK0および整定時用補正ゲインK1は通常
一定値であるので,下添字kは用いずそのままで表現す
る。基準目標温度BTi,j(i=1,2;j=1〜8)ならびに
立上時用補正ゲインK0および整定時用補正ゲインK1の値
が,動作中に変更されたときには,その変更された値が
目標温度の生成に用いられる。
基準値偏差算出処理21は,計測温度MTi,j,k(i=1,
2;j=1〜8)毎に,計測温度MTi,j,kと基準目標温度BT
i,jとに基づいて基準値偏差εi,j,kをそれぞれ算出する
ものである。
基準値偏差εi,j,kは正規化計測温度NTi,j,kと基準値
NTBi,kとの偏差である。
正規化計測温度NTi,j,kは計測温度MTi,j,kを基準目標
温度BTi,jによって正規化したものである。すなわち,
正規化計測温度NTi,j,k(i=1,2;j=1〜8)は次式に
よって表される。
基準目標温度BTi,jは,ヒータHi,j,k毎に異なる値に
設定されることがあるので,計測温度MTi,j,kが基準目
標温度BTi,jによって正規化される。正規化計測温度NT
i,j,kは,各ヒータHi,jの計測温度MTi,j,kがどの程度
基準目標温度BTi,j,kに達しているかを表す。正規化計
測温度NTi,j,kがNTi,j,k=1のとき,計測温度MTi,j,k
が基準目標温度BTi,jと一致していることになる。
基準値NTBi,kはグループ毎(プレートヒータH1または
H2)に決定される。基準値NTBi,kの決定方法は,立上時
(過渡状態)であるか整定時(定常状態)であるかによ
って異なる。基準値NTBi,kは整定時においても立上時と
同一方法により決定してもよい。
この場合において立上時とは,1つのグループにおいて
そのグループ内の計測温度MTi,j,k(j=1〜8)のす
べてが基準目標温度BTi,j以下の場合,すなわち,すべ
ての正規化計測温度NTi,j,kがNTi,j,k≦1の場合をい
う。
また整定時とは,1つのグループにおいて,そのグルー
プ内の計測温度MTi,j,k(j=1〜8)のいずれか1つ
が基準目標温度BTi,jを超えた場合,すなわち,いずれ
か1つの正規化計測温度NTi,j,kがNTi,j,k>1の場合を
いう。
1つのグループ内の正規化計測温度NTi,j,k(j=1
〜8)のうちの所定数が,NTi,j,k>1になった場合,ま
たは正規化計測温度NTi,j,k(j=1〜8)の中の1ま
たは所定数が,1を中心に一定範囲内に収まった場合を整
定時とし,整定時以外を立上時としてもよい。
立上時(過渡状態) 基準値NTBi,kは,1つのグループ内の(プレートヒータ
H1またはH2を構成する)すべてのヒータHi,j(j=1
〜8)の正規化計測温度NTi,j,k(j=1〜8)の平均
値である。すなわち,基準値NTBi,k(i=1,2)は次式
によって表される。
基準値NTBi,kを正規化計測温度NTi,j,kの最低値のも
のにしてもよい。
整定時(定常状態) 基準値NTBi,kは1である。すなわち,基準値NTB
i,k(i=1,2)は次式によって表される。
NTBi,k=1 …(3) したがって,基準値偏差εi,j,k(i=1,2;j=1〜
8)は,次式によって表される。
εi,j,k=NTi,j,k−NTBi,k …(4) 式(4)にしたがって算出された基準値偏差εi,j,k
(i=1,2;j=1〜8)は,基準値偏差算出処理21から
偏差微分算出処理22およびファジィ推論処理24に与えら
れる。
偏差微分算出処理22は,基準値偏差εi,j,k(i=1,
2;j=1〜8)毎に,基準値偏差算出処理21から与えら
れる,今回の処理サイクルkにおいて算出された基準値
偏差εi,j,kおよび前回の処理サイクル(k−1)にお
いて算出された基準値偏差εi,j,k−1と,生成周期T
setとに基づいて,偏差微分dεi,j,kをそれぞれ算出す
るものである。
偏差微分dεi,j,k(i=1,2;j=1〜8)は次式によ
って算出される。
式(5)にしたがって算出された偏差微分dεi,j,k
(i=1,2;j=1〜8)は,偏差微分算出処理22からフ
ァジィ推論処理24に与えられる。
正規化偏差算出処理23は,各計測温度MTi,j(i=1,
2;j=1〜8)のそれぞれについて,取込んだ計測温度M
Ti,j,kと基準目標温度BTi,jとに基づいて,正規化偏差
i,j,kをそれぞれ算出する。
正規化偏差ei,j,kは,計測温度MTi,j,kと基準目標温
度BTi,jとの偏差を,基準目標温度BTi,jで正規化したも
のである。すなわち,正規化偏差ei,j,k(i=1,2;j=
1〜8)は次式によって表される。
式(6)にしたがって算出された正規化偏差ei,j,k
(i=1,2;j=1〜8)は,正規化偏差算出処理23から
ファジィ推論処理24に与えられる。
ファジィ推論処理24は,基準目標温度BTi,j(i=1,
2;j=1〜8)毎に,補正ゲインαi,j,kおよび整定度β
i,j,kをそれぞれ算出するものである。
ファジィ推論処理24は,基準目標温度BTi,j(i=1,
2;j=1〜8)毎に,あらかじめ設定された補正ゲイン
推論知識を用いて,基準値偏差算出処理21から与えられ
る基準値偏差εi,j,kと,偏差微分算出処理22から与え
られる偏差微分dεi,j,kとに基づいて補正ゲインα
i,j,kをそれぞれ算出する。
第5a図〜第5d図はファジィ推論処理24にあらかじめ設
定された補正ゲイン推論知識の一例を示す。この補正ゲ
イン推論知識において,前件部変数および後件部変数の
下添字i,j,kは省略されている。
第5a図は補正ゲイン推論知識のファジィ・ルールの一
例である。たとえば,この図の右下のファジィ・ルール
は,「IF ε=PB AND dε=PB THEN α=PB」とい
うものである。
第5b図は補正ゲイン推論知識のファジィ・ルールの前
件部変数「基準値偏差ε」に関して言語情報「NB(Nega
tive Big)」,「NS(Negative Small)」,「ZR(Zer
o)」,「PS(Positive Small)」および「PB(Positiv
e Big)」を表す5つのメンバーシップ関数の一例であ
る。
第5c図は補正ゲイン推論知識のファジィ・ルールの前
件部変数「偏差微分dε」に関して言語情報「NB」,
「NS」,「ZR」,「PS」および「PB」を表す5つのメン
バーシップ関数の一例である。
第5d図は補正ゲイン推論知識のファジィ・ルールの後
件部変数「補正ゲインα」に関して言語情報「NB」,
「NM(Negative Medium)」,「NS」,「ZR」,「P
S」,「PM(Positive Medium)」および「PB」を表す7
つのシングルトンの一例である。
補正ゲインαi,j,kは,正規化計測温度NTi,j,kと基準
値NTBi,j,kとの偏差εi,j,kと大きくなるほど大きくな
り,正規化計測温度NTi,j,kと基準値NTBi,j,kとの偏差
εi,j,kが小さくなるほど小さくなる。
ファジィ推論処理24はまた,基準目標温度BTi,j(i
=1,2;j=1〜8)毎に,あらかじめ設定された整定度
推論知識を用いて,正規化偏差算出処理23から与えられ
る正規化偏差ei,j,kに基づいて整定度βi,j,kをそれぞ
れ算出する。
第6a図〜第6c図はファジィ推論処理24にあらかじめ設
定された整定度推論知識の一例を示す。この整定度推論
知識において,前件部変数および後件部変数の下添字i,
j,kは省略されている。
第6a図は整定度推論知識のファジィ・ルールの一例で
ある。たとえば,この図の右端のファジィ・ルールは,
「IF e=PB THEN β=PB」というものである。
第6b図は整定度推論知識のファジィ・ルールの前件部
変数「正規化偏差e」に関して言語情報「NS」,「Z
R」,「PS」,「PM」および「PB」を表す5つのメンバ
ーシップ関数の一例である。
第6c図は整定度推論知識のファジィ・ルールの後件部
変数「整定度β」に関して言語情報「NS」,「ZR」,
「PS」,「PM」および「PB」を表す5つのシングルトン
の一例である。
整定度βi,j,kはその絶対値が0に近いほど計測温度M
Ti,j,kが基準目標温度BTi,jに整定している(整定時;
定常状態)。整定度βi,j,kは1に近いほど計測温度MT
i,j,kが基準目標温度BTi,jから離れている(立上時;過
渡状態)。
ファジィ推論により得られた補正ゲインαi,j,k(i
=1,2;j=1〜8)および整定度βi,j,k(i=1,2;j=
1〜8)は,ファジィ推論処理24から補正量算出処理25
に与えられる。
補正量算出処理25は,基準目標温度BTi,j(i=1,2;j
=1〜8)毎に,ファジィ推論処理24から与えられる補
正ゲインαi,j,kおよび整定度βi,j,kと,立上時用補正
ゲインK0および整定時用補正ゲインK1とに基づいて補正
量Gi,j,kをそれぞれ算出する。補正量Gi,j,k(i=1,
2;j=1〜8)は次式で表される。
i,j,k=αi,j,k・{|βi,j,k|・(K0−K1)+K1} =αi,j,k・{|βi,j,k|・K0+(1−|βi,j,k|)・K1} …(7) 補正量Gi,j,kにおいて,立上時(過渡状態),すな
わち,整定度βi,j,kが1に近いほど立上時用補正ゲイ
ンK0が有効になり,整定時(定常状態),すなわち,整
定度βi,j,kが0に近いほど整定時用補正ゲインK1が有
効になる。
式(7)にしたがって算出された補正量Gi,j,k(i
=1,2;j=1〜8)は補正量算出処理25から目標温度算
出処理26に与えられる。
目標温度算出処理26は,基準目標温度BTi,j(i=1,
2;j=1〜8)の毎に,基準目標温度BTi,jを補正量算出
処理25から与えられる補正量Gi,j,kを用いて修正する
ことにより目標温度TTi,j,kをそれぞれ算出するもので
ある。
目標温度TTi,j,k(i=1,2;j=1〜8)は次式によっ
て表される。
TTi,j,k=BTi,j・(1−Gi,j,k) …(8) 式(8)にしたがって算出された目標温度TT
i,j,k(i=1,2;j=1〜8)はそれぞれ目標温度TTi,j
(i=1,2;j=1〜8)として,目標温度算出処理25か
ら多点温度制御装置10に与えられる。
このようにして,目標温度生成装置20によって目標温
度が生成される。
第7図は目標温度生成装置20における目標温度生成の
一連の処理を示すフロー・チャートである。今回の目標
温度の生成を処理サイクルkとする。
目標温度生成装置20は,多点制御装置10から与えられ
る計測温度MTi,j(i=1,2;j=1〜8)を,一定の生成
周期Tsetで取込む(ステップ30)。今回の処理サイクル
kで取込んだ計測温度MTi,j(i=1,2;j=1〜8)を計
測温度MTi,j,k(i=1,2;j=1〜8)で表す。
基準値偏差算出処理21は,取込んだ計測温度MTi,j,k
(i=1,2;j=1〜8)毎に,計測温度MTi,j,kをその基
準目標温度BTi,jによって正規化して正規化計測温度NT
i,j,k(i=1,2;j=1〜8)をそれぞれ算出する(ステ
ップ31)。
基準値偏差算出処理21は,グループ毎に(プレートヒ
ータH1またはH2について),正規化計測温度NTi,j,k
基づいて基準値NTBi,k(i=1,2)をそれぞれ決定する
(ステップ32)。
基準値偏差算出処理21は,基準値偏差εi,j,k(i=
1,2;j=1〜8)毎に,正規化計測温度NTi,j,kと基準値
NTBi,jとの基準値偏差εi,j,k(i=1,2;j=1〜8)を
それぞれ算出する(ステップ33)。
偏差微分算出処理22は,基準値偏差εi,j,k(i=1,
2;j=1〜8)毎に,今回の基準値偏差εi,j,kと前回の
基準値偏差εi,j,k−1とに基づいて偏差微分dεi,j,k
(i=1,2;j=1〜8)をそれぞれ算出する(ステップ3
4)。
ファジィ推論処理24は,あらかじめ設定された補正ゲ
イン推論知識を用いて,基準値偏差εi,j,k(i=1,2;j
=1〜8)毎に,基準値偏差εi,j,kと偏差微分dε
i,j,kとに基づいて,補正ゲインαi,j,k(i=1,2;j=
1〜8)をそれぞれ算出する(ステップ35)。
正規化偏差算出処理23は,取込んだ計測温度MTi,j,k
(i=1,2;j=1〜8)毎に,計測温度MTi,j,kとその基
準目標温度BTi,jとの偏差をその基準目標温度BTi,jによ
って正規化した正規化偏差ei,j,k(i=1,2;j=1〜
8)をそれぞれ算出する(ステップ36)。
ファジィ推論処理24は,あらかじめ設定された整定度
推論知識を用いて,正規化偏差ei,j,k(i=1,2;j=1
〜8)毎に,正規化偏差ei,j,kに基づいて整定度β
i,j,k(i=1,2;j=1〜8)をそれぞれ算出する(ステ
ップ37)。
補正量算出処理25は,基準目標温度BTi,j(i=1,2;j
=1〜8)毎に,補正ゲインαi,j,kと整定度βi,j,k
基づいて,補正量Gi,j,k(i=1,2;j=1〜8)をそれ
ぞれ算出する(ステップ38)。
目標温度算出処理26は,基準目標温度BTi,j(i=1,
2;j=1〜8)毎に,基準目標温度BTi,jをその補正量G
i,j,kを用いて修正することにより目標温度TTi,j,k(i
=1,2;j=1〜8)をそれぞれ算出する(ステップ3
9)。
目標温度生成装置20は,目標温度TTi,j,k(i=1,2;j
=1〜8)をそれぞれ目標温度TTi,j(i=1,2;j=1〜
8)として多点温度制御装置10に出力する(ステップ4
0)。
多点温度制御装置10は目標温度生成装置20から出力さ
れる目標温度TTi,j(TTi,j,k)(i=1,2;j=1〜8)
を用いて制御を行う。多点温度制御装置10は,目標温度
生成装置20から次回の目標温度TTi,j,k+1(i=1,2;j
=1〜8)が与えられるまで,今回の目標温度生成処理
によって生成された目標温度TTi,j,k(i=1,2;j=1〜
8)を用いて制御を行う。
第8a図は,目標温度生成装置20によって生成された目
標温度TTi,j(i=1,2;j=1〜8)のうち,TT1,4,TT1,5
およびTT1,6のグラフを示す。また,第8b図は,第8a図
に示す目標温度で多点温度制御装置10が動作したときの
計測温度MTi,j(i=1,2;j=1〜8)のうち,MT1,4,MT
1,5およびMT1,6のグラフを示す。第3図の目標温度が一
定の場合と比較すると,ヒータH1,5については目標温
度TT1,5が基準目標温度BT1,5よりも低く抑えられている
ので,計測温度MT1,5はオーバーシュートが発生してい
ない。これにより,整定時間が短くなっている。
[第2実施例] 第9図は天井クレーン(Overhead Travelling cran
e)の位置制御システムの全体的構成を示す図である。
一方向に(これをX方向という)にのびる2本の平行
なレールRLxが適当な高さ位置に設けられている。これ
らのレールRLxに,レールRLx上を走行自在に主桁MBが支
持されている。主桁MBにもレールRLyが設けられてい
る。このレールRLyはX方向と直行する方向(これをY
方向という)にのびている。このレールRLyにはトロリT
RがレールRLyにそって移動自在に支持されている。トロ
リTRには巻上機が固定されている。巻上機によって昇降
させるワイヤWの先端に吊り荷を掛けるためのフックFK
が取付けられている。
主桁MBは主桁MBに備えられた走行用モータMxによって
走行駆動される。主桁MBの位置Xは走行用モータMxの回
転数を検出するためのエンコーダExによって検出され
る。エンコーダExによって検出された主桁MBの位置X
(以下,計測位置Xという)は,モータ制御装置41に与
えられ,さらに指令速度生成装置50に与えられる。
トロリTRはトロリTRに備えられた横行用モータMyによ
って走行駆動される。トロリTRの位置Yは横行用モータ
Mxの回転数を検出するためのエンコーダEyによって検出
される。エンコーダEyによって検出されたトロリTRのレ
ールRLx上における位置Y(以下,計測位置Yという)
はモータ制御装置41に与えられ,さらに指令速度生成装
置50に与えられる。
以下,トロリTRの座標を,主桁MBの計測位置X(トロ
リTRのX方向の計測位置)と,トロリTRの計測位置Yと
を用いて,(X,Y)で表す。
モータ制御装置41は,エンコーダExによって検出され
た計測位置Xに基づく主桁MBの移動速度MVxが,指令速
度生成装置50から与えられる指令速度SPxに等しくなる
ように走行用モータMxを制御する。
同様に,モータ制御装置42は,エンコーダEyによって
検出された計測位置Yに基づくトロリTRの移動速度MVy
が,指令速度生成装置50から与えられる指令速度SPy
等しくなるように,横行用モータMyを制御する。移動速
度は速度センサを各モータに設けて検出するようにして
もよい。
巻上機にはワイヤWを昇降させるための昇降用モータ
(図示略)が設けられている。オペレータが制御盤を操
作することによって昇降用モータが回転し,フックFKが
昇降される。
指令速度生成装置50は,天井クレーンにより搬送を行
う前の位置(以下,初期位置(X0,Y0)という)からオ
ペレータが入力する所望の位置(以下,目標位置(Xf,Y
f)という)まで,主桁MBとトロリTRを移動させるため
の,モータ制御装置41,42に与えるべき指令速度(SPx,S
Py)を生成するものである。
第10a図は,初期位置から目標位置まで,各方向に独
立に指令速度を,あらかじめ設定された速度パターンに
したがって生成する従来の制御による指令速度を示した
グラフであり,第10b図は第10a図に示す指令速度により
制御されたときのフックFKの位置を示すグラフであり,
第10c図はトロリTRの位置(計測位置)とフックFKの位
置を示したグラフである。
この従来制御による指令速度の速度パターンは,第10
a図に示すように,第1にトロリTRの初期位置(X0,Y0
から定常運転速度(最大速度)VssになるまでフックFK
ができるだけ振れないように加速する。第2に,最大速
度Vssに達すると,その速度を維持する。第3に,フッ
クFKが振れないようにかつ目標位置(Xf,Yf)で停止す
るように減速して停止する。ここで,主桁MBおよびトロ
リTRが,最大速度Vssから停止(速度0)にするまでに
要する距離または時間はあらかじめ分かるので,減速を
開始するタイミング(位置)は目標位置に基づいて決定
される。
第10a図から分かるように,Y軸方向の最大移動距離Ly
がX軸方向の最大移動距離Lxよりも小さいため,トロリ
TR(Y軸方向)が時刻T1で停止し,主桁MB(X軸方向)
が時刻Tfで停止している。このとき,第10a図および第1
0b図から分かるように,時刻Tfになると,トロリTRが停
止してしまい,主桁MBは移動し続ける。したがって,フ
ックFKの移動方向(速度ベクトル)が急激に変化し,こ
の移動方向の変化によってコリオリ力がフックFKに働
き,フックFKはX軸に対して垂直方向に振れる。
このようにフックFKが振動するため,トロリTRが目標
位置に到達しても,フックFKの振動が収まるまで吊り荷
を降ろすことができず,搬送時間が長くなる。またフッ
クFKが振動することで,作業領域以外にも安全領域を広
くとらなければならない。
指令速度生成装置50は,エンコーダEx,Eyによってそ
れぞれ検出された計測位置X,Y(以下,計測位置(X,Y)
で表す)に基づいて,制御盤またはその他の入力装置
(図示略)から入力される所望の目標位置(Xf,Yf
に,トロリTRをそれに吊られた吊り荷ができるだけ振れ
ないように搬送させるための指令速度(SPx,SPy)を生
成するものである。
指令速度生成装置は50は,一定の生成周期Tsetで指令
速度生成する。今回の処理サイクルをkで表す。
第11図は指令速度生成装置50の詳細な構成を示す機能
ブロック図である。指令速度生成装置50はコンピュータ
とその上で動作するソフトウェアにより実現される。指
令速度生成装置50のすべてをハードウェアにより実現す
ることもできる。指令速度生成装置50はまたその一部を
ソフトウェアにより実現し,その他の一部をハードウェ
アにより実現することもできる。
指令速度生成装置50は,移動距離算出処理51,正規化
距離算出処理52,基準値偏差算出処理53,偏差微分算出処
理54,ファジィ推論処理55,補正量算出処理56,速度パタ
ーン生成処理57および指令速度算出処理58を備えてい
る。各処理はプログラム・ルーチンである。
所望の目標位置(Xf,Yf)が移動距離算出処理51にオ
ペレータにより入力されると,エンコーダEx,Eyからの
計測位置(X,Y)がトロリTRの初期位置(X0,Y0)とし
て,モータ制御装置41,42を介して移動距離算出処理51
に取込まれる。これらの初期位置と目標位置とに基づい
て最大移動距離がX,Y軸方向についてそれぞれ,移動距
離算出処理51により算出される。最大移動距離(Lx,
Ly)は次式により算出される。
Lx=Xf−X0 …(9) Ly=Yf−Y0 …(10) 移動距離算出処理51により算出された最大移動距離
(Lx,Ly)は正規化距離算出処理52,基準値偏差算出処理
53および補正量算出処理56に与えられる。
目標位置が入力されたのちに制御が開始され,計測位
置(X,Y)が計測位置(Xk,Yk)として生成周期Tset間隔
で正規化距離算出処理52に取込まれる。取込まれた計測
位置(Xk,Yk)に基づいて初期位置(X0,Y0)から計測位
置(Xk,Yk)までの距離が,移動距離算出処理51から与
えられた最大移動距離(Lk,Ly)を用いて正規化され,
正規化距離(NLx,k,NLy,k)が正規化距離算出処理52に
おいて得られる。正規化距離(NLx,k,NLy,k)は次式に
より算出される。
この正規化距離(NLx,NLy)は,トロリTRが目標位置
にどの程度到達しているかを表す(目標達成率)。各方
向で移動距離が異なる場合でも,正規化距離に基づいて
トロリTRが目標位置に近いかまたは遠いかを0〜1で表
すことができる。正規化距離が1に近いほど目標位置に
近いことになる。
正規化距離算出処理52により算出された正規化距離
(NLx,k,NLy,k)は基準値偏差算出処理53に与えられ
る。
基準値偏差算出処理53において,最大移動距離(Lx,L
y)に基づいて基準値NLBkが決定されるとともに,この
基準値NLBkに対する正規化距離(NLx,k,NLy,k)の偏差
(εx,k,εy,k)が算出される。
基準値NLBkは最大移動距離(Lx,Ly)の大きさに応じ
て次のいずれかの値をとる。
Lx≧Lyのとき NLBk=NLx,k …(13) Lx<Lyのとき NLBk=NLy,k …(14) この基準値は,端的には,第10C図に示すように,最
大移動距離Lx>Lyのとき,Y軸方向がX軸方向よりも速く
目標位置に到達するから,X軸方向を最大速度で移動さ
せ,Y軸方向はX軸方向と同時に目標位置に到達するよう
に,最大速度よりも小さい速度で移動させるように決定
される。
基準値は,主桁MBとトロリTRの最大速度が異なる場合
には,最大移動距離に加えて最大速度を考慮して決定す
るようにしてもよい。
基準値偏差(εx,k,εy,k)は,基準値NLBkと正規化
距離(NLx,k,NLy,k)とに基づいて次式により算出され
る。
εx,k=NLBk−NLx,k …(15) εy,k=NLBk−NLy,k …(16) たとえば最大移動距離Lx>Lyのときには式(13)によ
りNLBk=NLx,kとなるから,基準値偏差は式(15)から
εx,k=0となる。したがって,基準値偏差は最大移動
距離(Lx,Ly)の大きさに応じて基準値NLBkとして選択
された方向以外の方向についてのみ算出すればよい。
基準値偏差算出処理53により算出された基準値偏差
(εx,k,εy,k)は偏差微分処理54およびファジィ推論
処理55に与えられる。
今回の基準値偏差(εx,k,εy,k)と前回の基準値偏
差(εx,k−1,εy,k−1)とに基づいて偏差微分(d
εx,k,dεy,k)が偏差微分処理54により算出される。偏
差微分(dεx,k,dεy,k)は次式により算出される。
偏差微分処理54により時間微分された偏差微分(dε
x,k,dεy,k)は,ファジィ推論処理55に与えられる。
ファジィ推論処理55において,基準値偏差(εx,k
εy,k)および偏差微分(dεx,k,dεy,k)について,
あらかじめ設定された補正ゲイン推論知識にしたがって
補正ゲイン(αx,k,αy,k)が算出される。補正ゲイン
推論知識は,第5a図〜第5d図に示す知識と同様のものが
用いられる。
ファジィ推論処理55により算出された補正ゲイン(α
x,k,αy,k)は補正量算出処理56に与えられる。
補正量算出処理56において,移動距離算出処理51から
与えられる最大移動距離(Lx,Ly)と,ファジィ推論処
理55によって算出された補正ゲイン(αx,k,αy,k)と
に基づいて,指令速度の補正量(Gx,k,Gy,k)が次式に
より算出される。
補正量算出処理56により算出された補正量(Gx,k,G
y,k)は,指令速度算出処理58に与えられる。
モータ制御装置41,42に与えるべき速度パターンVPk
速度パターン生成処理57により生成され,指令速度算出
処理58に与えられる。この速度パターンは,目標位置
(Xf,Yf)と計測位置(X,Y)とに基づいて生成され,第
10a図に示すように,加,減速時にはフックFKが振れ
ず,定速走行時には最大速度VSSで走行するように生成
されるパターンである。
指令速度算出処理58において,速度パターンVPkと補
正量(Gx,k,Gy,k)に基づいて指令速度(SPx,k,S
Py,k)が次式により算出される。
SPx,k=VPk・Gx,k …(23) SPy,k=VPk・Gy,k …(24) これらの指令速度(SPx,k,SPy,k)は指令速度(SPx,S
Py)として指令速度生成装置50からモータ制御装置41,4
2に与えられる。モータ制御装置41,42は指令速度(SPx,
SPy)に基づいてモータMx,Myをそれぞれ制御する。
以上のようにして指令速度(SPx,k,SPy,k)が生成さ
れる。
第12図は指令速度生成装置50における指令速度生成の
一連の処理を示すフロー・チャートである。今回の指令
速度の生成を処理サイクルkとする。
位置制御開始前に,移動距離算出処理51によって目標
位置(Xf,Yf)とモータ制御装置41,42を介してエンコー
ダEx,Eyから与えられる初期位置(X0,Y0)が取込まれ,
最大移動距離(Lx,Ly)が算出される。
指令速度生成装置50は,モータ制御装置41,42を介し
てエンコーダEx,Eyから与えられる計測位置(Xk,Yk
を,一定の生成周期Tsetで取込む(ステップ61)。
正規化距離算出処理52は,取込んだ計測位置(Xk,
Yk)に基づいて初期位置(X0,Y0)からの移動距離を算
出し,この移動距離をその最大移動距離(Lx,Ly)によ
って正規化して正規化距離(NLx,NLy)をそれぞれ算出
する(ステップ62)。
基準値偏差算出処理53は,正規化距離(NLx,k,N
Ly,k)に基づいて基準値NLBkを決定する(ステップ6
3)。
基準値偏差算出処理53は,正規化距離(NLx,k,N
Ly,k)と基準値NLBkとの基準値偏差(εx,k,εy,k)を
それぞれ算出する(ステップ64)。
偏差微分算出処理54は,今回の基準値偏差(εx,k
εy,k)と前回の基準値偏差(εx,k−1,εy,k−1
とに基づいて,偏差微分(dεx,k,dεy,k)をそれぞれ
算出する(ステップ65)。
ファジィ推論処理55は,あらかじめ設定された補正ゲ
イン推論知識を用いて,基準値偏差(εx,k,εy,k)と
偏差微分(dεx,k,dεy,k)とに基づいて,補正ゲイン
(αx,k,αy,k)をそれぞれ算出する(ステップ66)。
補正量算出処理56は,最大移動距離(Lx,Ly)と補正
ゲイン(αx,k,αy,k)に基づいて補正量(Gx,k,
Gy,k)をそれぞれ決定する(ステップ67)。
指令速度算出処理58は,速度パターンVPkをその補正
量(Gx,k,Gy,k)を用いて修正することにより指令速度
(SPx,k,SPy,k)をそれぞれ算出する(ステップ68)。
指令速度生成装置50は,指令速度(SPx,k,SPy,k)を
それぞれ指令速度(SPx,SPy)としてモータ制御装置41,
42に出力する(ステップ69)。
モータ制御装置41,42は指令速度生成装置50から出力
される指令速度(SPx,SPy)を用いてモータの制御を行
う。
第13a図は指令速度生成装置20により生成された指令
速度(SPx,SPy)の一例を示し,第13b図は第13a図に示
す指令速度により制御したときのフックFKとの位置を示
し,第13c図は第13a図に示す指令速度により制御したと
きのトロリTRとフックFKとの位置を示す。第13a図は〜
第13b図は第10a図〜第10b図に示す従来制御にそれぞれ
対応している。
指令速度は,図13a図に示すように,X軸方向の指令速
度SPxに対してY軸方向の指令速度SPyが,移動距離に応
じて小さくなっている。これにより,第13b図から分か
るように,第10b図に示す従来制御では,位置(X1,Yf
においてフックFKの移動速度が変化しているが,初期位
置(X0,Y0)から目標位置(Xf,Yf)までほぼ直線的にフ
ックFKが移動している。このようにして,主桁MBとトロ
リTRとが目標位置に同時に到達することにより,フック
FKの移動方向が変わらず,コリオリカを生じなくなる。
したがって,フックFKに生じる振れが最小限に抑えられ
る。フックFKの振れが小さく抑えられるため,フックFK
(吊り荷)の振れが小さくなるのを待つことなく吊り荷
の上げ下げができるので,作業時間が短縮される。ま
た,吊り荷の振れが小さいことから,作業領域の外に安
全領域を設ける必要もなくなる。
また,第14a図および第14b図は,主桁MBとトロリTRが
目標位置(Xf,Yf)にそれぞれ同時に到達するように,
最大速度を最大移動距離に応じて変更した従来制御によ
る制御結果を示すグラフである。これらの図は位置X2
X3において主桁MBの駆動輪にスリップが生じた場合であ
る。第14a図は主桁MBの移動速度MVxとトロリTRの移動速
度MVyを示し,第14b図はトロリTRとフックFKの軌跡を示
している。主桁MB(X方向)の駆動輪のスリップにより
フックFKの移動方向が変わり,これによりコリオリカが
フックFKに働きフックFKに振れが生じている。このスリ
ップにより主桁MBの目標位置への到達が遅れる。位置X3
(時刻T3)においてフックFKの移動ベクトルが再び変化
したことにより,目標位置においてさえ大きな振れがフ
ックFKに生じている。
第15a図および第15b図は,上述の従来制御と同様にス
リップが生じたとき,指令速度生成装置50が生成した指
令速度により制御したときのグラフを示している。第15
a図に示すように,主桁MBの駆動輪にスリップが生じ,X
方向の移動速度MVxが小さくなると,その大きさに応じ
てY方向の指令速度SPyが小さく変更される。これによ
り,トロリTR(フックFK)の移動方向の変化を小さく抑
えることができる。したがって,第15b図に示すよう
に,フックFKの振れを小さくすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G05B 11/32 G05B 13/00 - 13/02 G05B 19/407,19/415

Claims (27)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】空間的に存在する複数のヒータ,上記複数
    のヒータのそれぞれに対応して設けられ,かつ制御対象
    の空間的に分布する温度を計測する複数の温度センサ,
    所与の最終目標温度に基づいて修正目標温度をヒータ毎
    に生成する目標温度生成装置,および上記複数の温度セ
    ンサによって計測された計測温度がそれぞれ,上記目標
    温度生成装置によって生成された修正目標温度に近づく
    ように操作量をそれぞれ算出し,これらの操作量を上記
    複数のヒータにそれぞれ与えるコントローラを備え, 上記目標温度生成装置が, 上記複数の温度センサによって計測された空間的に分布
    する計測温度をそれぞれ対応する最終目標温度によって
    それぞれ正規化した正規化計測温度を算出し,これらの
    正規化計測温度を統計処理することにより,空間的に存
    在するヒータに共通の基準値を決定し,各正規化計測温
    度と上記基準値との基準値偏差をそれぞれ算出する基準
    値偏差算出手段, 上記基準値偏差算出手段によって算出された基準値偏差
    を時間微分することにより偏差微分値をそれぞれ算出す
    る偏差微分値算出手段, 上記基準値偏差算出手段によって算出された基準値偏差
    と,上記偏差微分値算出手段によって算出された偏差微
    分値とに基づいて,すべての正規化計測温度が同じ値に
    なるように,補正ゲインをそれぞれ算出する補正ゲイン
    算出手段, 上記複数の温度センサによって計測された計測温度とそ
    れぞれ対応する最終目標温度との偏差を上記最終目標温
    度によって正規化した正規化偏差をそれぞれ算出する正
    規化偏差算出手段, 上記正規化偏差算出手段によって算出された正規化偏差
    に基づいて整定度をそれぞれ算出する整定度算出手段, 上記補正ゲイン算出手段によって算出された補正ゲイン
    と,上記整定度算出手段によって算出された整定度と,
    所定の立上ゲインおよび所定の整定ゲインとに基づい
    て,補正量をそれぞれ算出する補正量算出手段,ならび
    に 上記補正量算出手段によって算出された補正量を用い
    て,上記最終目標温度を修正することにより上記修正目
    標温度をそれぞれ算出する目標温度算出手段, を備えている制御システム。
  2. 【請求項2】制御対象を駆動するための空間的に存在す
    る複数のアクチュエータ,上記制御対象の空間的に分布
    する制御量を計測する複数のセンサ,および上記複数の
    センサによって計測された制御量に関連する量がそれぞ
    れ,所与の目標値に近づくように操作量をそれぞれ算出
    し,これらの操作量を上記複数のアクチュエータにそれ
    ぞれ与えるコントローラを備えた制御システムにおい
    て, 上記複数のセンサによって計測された空間的に分布する
    制御量に関連する量を所与の最終目標値によってそれぞ
    れ正規化した正規化制御量を算出し,これらの正規化制
    御量を統計処理することにより,空間的に存在する複数
    のアクチュエータに共通の基準量を決定し,各正規化制
    御量と上記基準量との基準量偏差をそれぞれ算出し,各
    基準量偏差に基づいてすべての正規化制御量が同じ値に
    なるように上記最終目標値を修正することにより上記目
    標値をそれぞれ算出し,これら目標値を上記コントロー
    ラに与える目標値生成装置, を備えたことを特徴とする制御システム。
  3. 【請求項3】上記目標値生成装置が, 上記複数のセンサによって計測された空間的に分布する
    制御量に関連する量をそれぞれ対応する最終目標値によ
    ってそれぞれ正規化した上記正規化制御量を算出し,こ
    れらの正規化制御量を統計処理することにより,空間的
    に存在する複数のアクチュエータに共通の上記基準量を
    決定し,各正規化制御量と上記基準量との上記基準量偏
    差をそれぞれ算出する基準量偏差算出手段,および 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    に基づいて,すべての正規化制御量が同じ値になるよう
    に,上記最終目標値を修正することにより上記目標値を
    それぞれ算出する目標値算出手段, を備えている請求の範囲第2項に記載の制御システム。
  4. 【請求項4】上記目標値生成装置が, 上記複数のセンサによって計測された空間的に分布する
    制御量に関連する量をそれぞれ対応する最終目標値によ
    ってそれぞれ正規化した上記正規化制御量を算出し,こ
    れらの正規化制御量を統計処理することにより,空間的
    に存在する複数のアクチュエータに共通の上記基準量を
    決定し,各正規化制御量と上記基準量との上記基準量偏
    差をそれぞれ算出する基準量偏差算出手段, 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    を時間微分することにより上記偏差微分値をそれぞれ算
    出する偏差微分値算出手段,および 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    と,上記偏差微分値算出手段によって算出された偏差微
    分値とに基づいて,すべての正規化制御量が同じ値にな
    るように,上記最終目標値を修正することにより上記目
    標値をそれぞれ算出する目標値算出手段, を備えている請求の範囲第2項に記載の制御システム。
  5. 【請求項5】上記目標値生成装置が, 上記複数のセンサによって計測された空間的に分布する
    制御量に関連する量をそれぞれ対応する最終目標値によ
    ってそれぞれ正規化した上記正規化制御量を算出し,こ
    れらの正規化制御量を統計処理することにより,空間的
    に存在する複数のアクチュエータに共通の上記基準量を
    決定し,各正規化制御量と上記基準量との上記基準量偏
    差をそれぞれ算出する基準量偏差算出手段, 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    を時間微分することにより上記偏差微分値をそれぞれ算
    出する偏差微分値算出手段, 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    と,上記偏差微分値算出手段によって算出された偏差微
    分値とに基づいて,補正ゲインをそれぞれ算出する補正
    ゲイン算出手段, 上記複数のセンサによって計測された制御量に関連する
    量とそれぞれ対応する最終目標値との偏差を上記最終目
    標値によってそれぞれ正規化した正規化偏差を算出する
    正規化偏差算出手段, 上記正規化偏差算出手段によって算出された正規化偏差
    に基づいて,整定度をそれぞれ算出する整定度算出手
    段,および 上記補正ゲイン算出手段によって算出された補正ゲイン
    と,上記整定度算出手段によって算出された整定度とに
    基づいて,すべての正規化制御量が同じ値になるよう
    に,上記最終目標値を修正することにより上記目標値を
    それぞれ算出する目標値算出手段, を備えている請求の範囲第2項に記載の制御システム。
  6. 【請求項6】上記目標値生成装置が, 上記複数のセンサによって計測された空間的に分布する
    制御量に関連する量をそれぞれ対応する最終目標値によ
    ってそれぞれ正規化した上記正規化制御量を算出し,こ
    れらの正規化制御量を統計処理することにより,空間的
    に存在する複数のアクチュエータに共通の上記基準量を
    決定し,各正規化制御量と上記基準量との上記基準量偏
    差をそれぞれ算出する基準量偏差算出手段, 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    を時間微分することにより上記偏差微分値をそれぞれ算
    出する偏差微分値算出手段, 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    と,上記偏差微分値算出手段によって算出された偏差微
    分値とに基づいて,上記補正ゲインをそれぞれ算出する
    補正ゲイン算出手段, 上記複数のセンサによって計測された制御量に関連する
    量とそれぞれ対応する最終目標値との偏差を上記最終目
    標値によって正規化した上記正規化偏差をそれぞれ算出
    する正規化偏差算出手段, 上記正規化偏差算出手段によって算出された正規化偏差
    に基づいて,上記整定度をそれぞれ算出する整定度算出
    手段, 上記補正ゲイン算出手段によって算出された補正ゲイン
    と,上記整定度算出手段によって算出された整定度と,
    所定の立上ゲインおよび所定の整定ゲインとに基づい
    て,補正量をそれぞれ算出する補正量算出手段,ならび
    に 上記補正量算出手段によって算出された補正量を用い
    て,上記最終目標値を修正することにより上記目標値を
    それぞれ算出する目標値算出手段, を備えている請求の範囲第2項に記載の制御システム。
  7. 【請求項7】上記アクチュエータはヒータであり,上記
    センサは温度センサである,請求の範囲第2項から第6
    項のいずれか一項に記載の制御システム。
  8. 【請求項8】金型成形機の温度制御を行う,請求の範囲
    第1項から第7項のいずれか一項に記載の制御システ
    ム。
  9. 【請求項9】空間的に存在する複数のヒータ,上記複数
    のヒータのそれぞれに対応して設けられ,かつ制御対象
    の空間的に分布する温度を計測する複数の温度センサ,
    および上記複数の温度センサによって計測された計測温
    度がそれぞれ,所与の修正目標温度に近づくように操作
    量をそれぞれ算出し,これらの操作量を上記複数のヒー
    タにそれぞれ与えるコントローラを設け, 上記複数の温度センサによって計測された空間的に分布
    する計測温度をそれぞれ対応する最終目標温度によって
    それぞれ正規化した正規化計測温度を算出し,これらの
    正規化計測温度を統計処理することにより,空間的に存
    在する複数のアクチュエータに共通の基準値を決定し,
    各正規化計測温度と上記基準値との基準値偏差をそれぞ
    れ算出し, 算出された基準値偏差を時間微分することにより偏差微
    分値をそれぞれ算出し, 算出された基準値偏差と,算出された偏差微分値とに基
    づいて,すべての正規化計測温度が同じ値になるよう
    に,補正ゲインをそれぞれ算出し, 上記複数の温度センサによって計測された計測温度とそ
    れぞれ対応する最終目標温度との偏差を上記最終目標温
    度によって正規化した正規化偏差をそれぞれ算出し, 算出された正規化偏差に基づいて整定度をそれぞれ算出
    し, 算出された補正ゲインと,算出された整定度と,所定の
    立上ゲインおよび所定の整定ゲインとに基づいて,補正
    量をそれぞれ算出し, 算出された補正量を用いて,上記最終目標温度を修正す
    ることにより上記修正目標温度をそれぞれ算出する, 制御方法。
  10. 【請求項10】制御対象を駆動するための空間的に存在
    する複数のアクチュエータ,上記制御対象の空間的に分
    布する制御量を計測する複数のセンサ,および上記複数
    のセンサによって計測された制御量がそれぞれ,所与の
    目標値に近づくように操作量をそれぞれ算出し,これら
    の操作量を上記複数のアクチュエータにそれぞれ与える
    コントローラを設け, 上記複数のセンサによって計測された空間的に分布する
    制御量に関連する量を所与の最終目標値によってそれぞ
    れ正規化した正規化制御量を算出し,これらの正規化制
    御量を統計処理することにより,空間的に存在する複数
    のアクチュエータに共通の基準量を決定し,各正規化制
    御量と上記基準量との基準量偏差をそれぞれ算出し,各
    基準量偏差に基づいてすべての正規化制御量が同じ値に
    あるように上記最終目標値を修正することにより上記目
    標値をそれぞれ算出し,これら目標値を上記コントロー
    ラに与える, 制御方法。
  11. 【請求項11】上記アクチュエータはヒータであり,上
    記センサは温度センサである,請求の範囲第10項に記載
    の制御方法。
  12. 【請求項12】金型成形機の温度制御を行う,請求の範
    囲第9項から第11項のいずれか一項に記載の制御方法。
  13. 【請求項13】制御対象を駆動するための複数の駆動装
    置,上記複数の駆動装置のそれぞれに対応して設けら
    れ,かつ上記制御対象の位置を計測する複数の位置セン
    サ,所与の最終目標位置と所定の指令速度とに基づいて
    修正指令速度を駆動装置毎に生成する指令速度生成装
    置,および上記複数の位置センサによって計測された位
    置に基づいて導出される速度がそれぞれ,上記指令速度
    生成装置によって生成された修正指令速度になるように
    操作量をそれぞれ算出し,これらの操作量を上記複数の
    駆動装置にそれぞれ与えるコントローラを備え, 上記指令速度生成装置が, 制御の開始前または開始時に,上記複数の位置センサに
    よって計測された初期位置と上記最終目標位置とに基づ
    いて最大距離をそれぞれ算出する最大距離算出手段, 制御の開始後に,上記初期位置と上記複数の位置センサ
    によって計測された計測位置との距離をそれぞれ対応す
    る最大距離によってそれぞれ正規化した正規化距離を算
    出し,これらの正規化距離に基づいて基準値を決定し,
    各正規化距離と上記基準値との基準値偏差をそれぞれ算
    出する基準値偏差算出手段, 上記基準値偏差算出手段によって算出された基準値偏差
    を時間微分することにより偏差微分値をそれぞれ算出す
    る偏差微分値算出手段, 上記基準値偏差算出手段によって算出された基準値偏差
    と,上記偏差微分値算出手段によって算出された偏差微
    分値とに基づいて,すべての正規化距離が同じ値になる
    ように,補正ゲインをそれぞれ算出する補正ゲイン算出
    手段,および 上記補正ゲイン算出手段によって算出された補正ゲイン
    に基づいて,上記指令速度を修正することにより上記修
    正指令速度をそれぞれ算出する指令速度算出手段, を備えている制御システム。
  14. 【請求項14】制御対象から得られる主制御量が所与の
    最終目標値に達するようにするための副目標値を生成
    し,制御対象から得られる副制御量が上記副目標値に近
    づくように複数のアクチュエータを制御する制御システ
    ムにおいて, 制御対象を駆動するための複数のアクチュエータのそれ
    ぞれに対応して主センサおよび副センサを設け,これら
    の主センサおよび副センサにより制御対象の主制御量お
    よび副制御量をそれぞれ計測し, 上記複数の主センサによってそれぞれ計測された主制御
    量がそれぞれに対応する所与の最終目標値に達するよう
    にするために,コントローラに与えるべき修正副目標値
    をアクチュエータ毎に生成する副目標値生成装置,およ
    び上記複数の副センサによって計測された副制御量がそ
    れぞれ,上記副目標値生成装置によって生成された修正
    副目標値に近づくように操作量をそれぞれ算出し,これ
    らの操作量を上記複数のアクチュエータにそれぞれ与え
    るコントローラを備え, 上記副目標値生成装置が,制御の開始前または開始時
    に,上記複数の主センサによって計測された初期値と上
    記最終目標値とに基づいて最大変化量をそれぞれ算出し
    ておき,制御の開始後に,上記複数の主センサによって
    計測された主制御量の上記初期値からの変化量をそれぞ
    れ対応する最大変化量によってそれぞれ正規化した正規
    化変化量を算出し,これらの正規化変化量に基づいて基
    準値を決定し,各正規化変化量と上記基準量との基準量
    偏差をそれぞれ算出し,各基準量偏差に基づいてすべて
    の正規化変化量が同じ値になるように上記副目標値を修
    正することにより上記修正副目標値を生成するものであ
    る, 制御システム。
  15. 【請求項15】上記副センサが,上記主センサと,上記
    主センサから得られる主制御量に基づいて上記副制御量
    を算出する手段とから構成される,請求の範囲第14項に
    記載の制御システム。
  16. 【請求項16】上記主制御量が位置であり,上記副制御
    量が速度である,請求の範囲第14項または第15項に記載
    の制御システム。
  17. 【請求項17】上記副目標値生成装置が, 制御の開始前または開始時に,上記複数の主センサによ
    って計測された上記初期値と上記最終目標値とに基づい
    て上記最大変化量をそれぞれ算出する変化量算出手段, 制御の開始後に,上記初期値と上記複数の主センサによ
    って計測された主制御量との変化量をそれぞれ対応する
    最大変化量によってそれぞれ正規化した上記正規化変化
    量を算出し,これらの正規化変化量に基づいて上記基準
    量を決定し,各正規化変化量と上記基準量との上記基準
    量偏差をそれぞれ算出する基準量偏差算出手段,および 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    に基づいて,すべての正規化変化量が同じ値になるよう
    に,上記副目標値を修正することにより上記修正副目標
    値をそれぞれ算出する目標値算出手段, を備えている請求の範囲第14項から第16項のいずれか一
    項に記載の制御システム。
  18. 【請求項18】上記副目標値生成装置が, 制御の開始前または開始時に,上記複数の主センサによ
    って計測された上記初期値と上記最終目標値とに基づい
    て上記最大変化量をそれぞれ算出する変化量算出手段, 制御の開始後に,上記初期値と上記複数の主センサによ
    って計測された主制御量との変化量をそれぞれ対応する
    最大変化量によってそれぞれ正規化した上記正規化変化
    量を算出し,これらの正規化変化量に基づいて上記基準
    量を決定し,各正規化変化量と上記基準量との上記基準
    量偏差をそれぞれ算出する基準量偏差算出手段, 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    を時間微分することにより偏差微分値をそれぞれ算出す
    る偏差微分値算出手段,および 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    と,上記偏差微分値算出手段によって算出された偏差微
    分値とに基づいて,すべての正規化変化量が同じ値にな
    るように,上記副目標値を修正することにより上記修正
    副目標値をそれぞれ算出する目標値算出手段, を備えている請求の範囲第14項から第16項のいずれか一
    項に記載の制御システム。
  19. 【請求項19】上記副目標値生成装置が, 制御の開始前または開始時に,上記複数の主センサによ
    って計測された上記初期値と上記最終目標値とに基づい
    て上記最大変化量をそれぞれ算出する変化量算出手段, 制御の開始後に,上記初期値と上記複数の主センサによ
    って計測された主制御量との変化量をそれぞれ対応する
    最大変化量によってそれぞれ正規化した上記正規化変化
    量を算出し,これらの正規化変化量に基づいて上記基準
    量を決定し,各正規化変化量と上記基準量との上記基準
    量偏差をそれぞれ算出する基準量偏差算出手段, 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    を時間微分することにより上記偏差微分値をそれぞれ算
    出する偏差微分値算出手段, 上記基準量偏差算出手段によって算出された基準量偏差
    と,上記偏差微分値算出手段によって算出された偏差微
    分値とに基づいて,すべての正規化変化量が同じ値にな
    るように,補正ゲインをそれぞれ算出する補正ゲイン算
    出手段,および 上記補正ゲイン算出手段によって算出された補正ゲイン
    に基づいて,上記副目標値を修正することにより上記修
    正目標値をそれぞれ算出する目標値算出手段, を備えている請求の範囲第14項から第16項のいずれか一
    項に記載の制御システム。
  20. 【請求項20】上記アクチュエータは駆動装置であり,
    上記主センサは位置センサである,請求の範囲第14項か
    ら第19項のいずれか一項に記載の制御システム。
  21. 【請求項21】天井クレーンの位置制御を行う,請求の
    範囲第13項から第20項のいずれか一項に記載の制御シス
    テム。
  22. 【請求項22】制御対象を駆動するための複数の駆動装
    置,上記複数の駆動装置のそれぞれに対応して設けら
    れ,かつ上記制御対象の位置を計測する複数の位置セン
    サ,および上記複数の位置センサによって計測された位
    置に基づいて導出される速度がそれぞれ,所与の修正指
    令速度になるように操作量をそれぞれ算出し,これらの
    操作量を上記複数の駆動装置にそれぞれ与えるコントロ
    ーラを設け, 制御の開始前または開始時に,上記複数の位置センサに
    よって計測された初期位置と上記最終目標位置とに基づ
    いて最大距離をそれぞれ算出し, 制御の開始後に,上記初期位置と上記複数の位置センサ
    によって計測された計測位置との距離をそれぞれ対応す
    る最大距離によってそれぞれ正規化した正規化距離を算
    出し,これらの正規化距離に基づいて基準値を決定し,
    各正規化距離と上記基準値との基準値偏差をそれぞれ算
    出し, 算出された基準値偏差を時間微分することにより偏差微
    分値をそれぞれ算出し, 算出された基準値偏差と,算出された偏差微分値とに基
    づいて,すべての正規化距離が同じ値になるように,補
    正ゲインをそれぞれ算出し, 算出された補正ゲインに基づいて,上記指令速度を修正
    することにより上記修正指令速度をそれぞれ算出する, 制御方法。
  23. 【請求項23】制御対象から得られる主制御量が所与の
    最終目標値に達するようにするための副目標値を生成
    し,制御対象から得られる副制御量が上記副目標値に近
    づくように複数のアクチュエータを制御する制御方法に
    おいて, 制御対象を駆動するための複数のアクチュエータのそれ
    ぞれに対応して主センサおよび副センサを設け,これら
    の主センサおよび副センサにより制御対象の主制御量お
    よび副制御量をそれぞれ計測し, 上記複数の副センサによって計測された副制御量がそれ
    ぞれ,所与の修正副目標値に近づくように操作量をそれ
    ぞれ算出し,これらの操作量を上記複数のアクチュエー
    タにそれぞれ与えるコントローラを設け, 制御の開始前または開始時に,上記複数の主センサによ
    って計測された初期値と上記最終目標値とに基づいて最
    大変化量をそれぞれ算出しておき, 制御の開始後に,上記複数の主センサによって計測され
    た主制御量の上記初期値からの変化量をそれぞれ対応す
    る最大変化量によってそれぞれ正規化した正規化変化量
    を算出し,これらの正規化変化量に基づいて基準量を決
    定し,各正規化変化量と上記基準量との基準量偏差をそ
    れぞれ算出し,各基準量偏差に基づいてすべての正規化
    変化量が同じ値になるように上記副目標値を修正するこ
    とにより上記修正副目標値を生成する, 制御方法。
  24. 【請求項24】上記主センサが上記副センサを兼ね,上
    記副制御量を上記主制御量に基づいて算出する,請求の
    範囲第23項に記載の制御方法。
  25. 【請求項25】上記主制御量が位置であり,上記副制御
    量が速度である,請求の範囲第23項または第24項に記載
    の制御方法。
  26. 【請求項26】上記アクチュエータは駆動装置であり,
    上記主センサは位置センサである,請求の範囲第23項か
    ら第25項のいずれか一項に記載の制御方法。
  27. 【請求項27】天井クレーンの位置制御を行う,請求の
    範囲第22項から第26項のいずれか一項に記載の制御方
    法。
JP52556195A 1994-03-31 1995-03-30 制御システムおよび方法 Expired - Fee Related JP2861390B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP52556195A JP2861390B2 (ja) 1994-03-31 1995-03-30 制御システムおよび方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6-83794 1994-03-31
JP8379494 1994-03-31
JP52556195A JP2861390B2 (ja) 1994-03-31 1995-03-30 制御システムおよび方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2861390B2 true JP2861390B2 (ja) 1999-02-24

Family

ID=26424836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP52556195A Expired - Fee Related JP2861390B2 (ja) 1994-03-31 1995-03-30 制御システムおよび方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2861390B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58149512A (ja) * 1982-02-27 1983-09-05 Fanuc Ltd 数値制御方式
JPS63264407A (ja) * 1986-01-16 1988-11-01 ピーピージー インダストリーズ インコーポレーテッド 殺生物剤
JPH0414102A (ja) * 1990-05-08 1992-01-20 Omron Corp プロセス制御装置
JPH0424801A (ja) * 1990-05-21 1992-01-28 Omron Corp ハイブリッドプロセス制御装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58149512A (ja) * 1982-02-27 1983-09-05 Fanuc Ltd 数値制御方式
JPS63264407A (ja) * 1986-01-16 1988-11-01 ピーピージー インダストリーズ インコーポレーテッド 殺生物剤
JPH0414102A (ja) * 1990-05-08 1992-01-20 Omron Corp プロセス制御装置
JPH0424801A (ja) * 1990-05-21 1992-01-28 Omron Corp ハイブリッドプロセス制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5216342A (en) Sliding mode control method with a feedforward compensation function
CN101114166A (zh) 一种复杂轨迹的轮廓控制方法
EP0753802A1 (en) Control system and method
KR20100049629A (ko) 모드에 기초한 금속 스트립 안정화장치
Ali et al. Combined ANFIS method with FA, PSO, and ICA as Steering control optimization on electric car
Hussien et al. The effects of auto-tuned method in PID and PD control scheme for gantry crane system
CN113359421A (zh) 一种压电精密气体流量阀的复合控制系统及方法
JP2861390B2 (ja) 制御システムおよび方法
CN108693776A (zh) 一种三自由度Delta并联机器人的鲁棒控制方法
Mistry et al. Indirect control of a class of nonlinear dynamic systems
CN110701187B (zh) 一种五自由度磁轴承的智能双积分滑模控制方法及设备
KR100293185B1 (ko) 흔들림방지기능을구비한무인천정크레인제어장치
Thuong et al. Adaptive Control for Mobile Robots Based on Inteligent Controller
Kouhkord et al. Design of a genetic based optimized fuzzy logic controller for enhanced trajectory tracking accuracy of a 3P robot
JP3456526B2 (ja) 圧延機の制御方法
KR20230069996A (ko) 차량의 적어도 하나의 휠의 슬립을 제어하기 위한 방법 및 제어 장치
JPH0475113A (ja) 制御装置
US5219109A (en) Level control method for spliced strip materials having different unit weights
CN116568990A (zh) 磨损量推定装置、磨损量学习装置及磨损量监视系统
GB2280045A (en) Anti-swing automatic control systems for unmanned overhead cranes
Li et al. Tracking control algorithm based on fuzzy logic for batch-feeding AGV
KR100897354B1 (ko) 로봇의 진동 감쇄 방법
JP7508920B2 (ja) 制御装置、設計方法
Kircanski et al. Resolved rate and acceleration control in the presence of actuator constraints
KR100981812B1 (ko) 디스터번스 오버저버를 포함하는 크레인 제어 장치 및 방법

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees