JP2856855B2 - 角形ニッケル水素蓄電池の製造方法 - Google Patents

角形ニッケル水素蓄電池の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は正極板と負極板をセパレータを介して積層し
た角形電池、特に負極に水素吸蔵金属を、正極にニッケ
ル酸化物を、それぞれ主成分として有する角形ニッケル
水素蓄電池の製造方法に関する。
(従来の技術) 近年、機器の小型軽量化にともない体積効率の高い角
形電池の開発が行われている。また最近、円筒形電池に
おいて一層の高容量化を目的として負極に水素吸蔵金属
を用いるアルカリ蓄電池の開発も活発になっている。
ところで、従来の角形アルカリ蓄電池、例えばニッケ
ルカドミウム蓄電池においては、第5図に示される構造
のものが知られている。すなわち第5図において、1は
負極端子を兼ねる有底直方体の金属ケース容器である。
この容器1の内部には、カドミウムを主成分とする負極
板2、セパレータ3、ニッケル酸化物を主成分とする正
極板4とがこの順序で積層して構成された発電要素5が
配置されている。この正極板4,負極板2にはそれぞれ集
電端子11,10を形成し、それぞれの集電端子11及び10は
それぞれ纏めて金属性蓋体8及び金属ケース容器1に接
続されている。9は電池内圧が上昇した際に外部にガス
を排出する機構を有する弾性体6を内蔵した封口板であ
り、絶縁性ガスケツト7を介して金属ケース1の開口端
部をかしめることにより、容器1内の発電要素などの各
部材を密閉している。
上記発電要素のうち、正極板としてはニッケル粉末の
焼結体に溶液状の活物質を含浸充填する焼結式極板が用
いられてきたが、従来その電極容量密度は最高450mAh/c
c程度であり、より一層の高容量化のためには容量密度
を向上させることが必要とされるようになってきた。
そこで、電極容量密度を高める上で有利となる発泡メ
タルや焼結繊維などの三次元構造基板に活物質を直接充
填する方法によるペースト式極板が開発され、それらの
電極では500mAh/cc以上の容量密度が得られている。
(発明が解決しようとする課題) 正極にニッケル酸化物,負極にカドミウム酸化物及び
金属カドミウムを採用した従来のニッケルカドミウム蓄
電池は、充電過程において正極の厚みが増大し、負極の
厚みが減少する。また放電過程においては各々その逆の
傾向を有している。一方、負極に水素吸蔵合金を主成分
として有するニッケル水素アルカリ蓄電池においては、
充電過程において負極では水素吸蔵合金が水素を吸蔵す
るために負極の厚みが若干増大し、正極厚みの増大と重
なって極板群厚の増大がニッケルカドミウム電池よりも
顕著となる。この現象は正極が焼結式極板よりもペース
ト式極板に代表される非焼結式極板の方が顕著であり、
更に正極が未化成の電極である場合には初充電時に化成
により大幅に厚みが増大するため、セパレータから電解
液を押し出してしまい電解液が安全弁を通して外部に排
出されてしまうこともある。このような電極の膨潤によ
り電池が厚さ方向に膨らむため、封口方法として金属ケ
ース開口端のかしめを採用した角形電池では、アルカリ
電解液の漏液の原因となるおそれもある。
また非焼結式正極板、例えばペースト式極板を用いて
高容量の電池を構成しようとする場合には、正極板の容
量密度しては500mAh/cc以上が要求される。そのペース
ト式極板は活物質を含むペースト状物を多孔性基板に塗
布乾燥することにより形成されているため、充放電によ
り膨潤を生じ、その結果必要とされる電解液量は焼結式
極板の場合よりも多くなってしまうが、円筒形電池の場
合と異なって角形電池には渦巻式極板群の巻芯に相当す
る部分の空間が存在しないために、電解液の注入性が極
端に劣ってしまう。また万一電解液の不足が生じた場合
には電極反応の不均一が生じて、電池容量の不足及び電
極の劣化に伴う電極容量バランスの崩れを生じ、充放電
サイクル寿命の低下を引き起こしてしまう。さらに、前
述したように非焼結式極板が膨潤し電解液をセパレータ
から電極内に取り込んでしまうため、セパレータ中に適
量の電解液量を確保することが困難となり、充放電サイ
クル寿命を低下させてしまうというように、種々の問題
があった。
本発明は上記問題点を解消するためになされたもの
で、その目的は、極板群の厚み増大による電池厚みの増
大がなく、電解液の注入性を向上させると共に放電特性
が良好でサイクル劣化の小さい角形ニッケル水素蓄電池
を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明は負極性端子を兼
ねる有底角筒金属ケース内に帯状のニッケル正極板と水
素吸蔵金属を主成分とする負極板とをセパレータを介し
て横方向に交互に重ね合わせた極板群およびアルカリ電
解液を収納した角形ニッケル水素蓄電池の製造方法にお
いて、正極が電極容量密度500mAh/cc以上である未化成
の非焼結式ニッケル極を備え、金属ケース挿入前の極板
群厚みを金属ケースの積層方向の内径の95%以下とした
極板群を内装しているとともに、密閉後少なくとも1サ
イクル充放電した後、極板群の厚み方向から金属ケース
を圧縮し厚みを減少させることを特徴とするものであ
る。
(作 用) 本発明によると、角形金属ケースの厚み方向の膨れを
抑えると共に、適量の電解液を注入することが容易とな
り、セパレータの電解液保持性を良好な状態で保つこと
を可能とすることができるため、充放電サイクル特性及
び大放電特性が良好でスペース効率の優れた高容量の角
形電池が得られる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
実施例 1 第1図は本発明の一実施例である角形ニッケル水素電
池の発電要素収納直後の縦断面図である。
図に示すように、0.2mm厚の袋状セパレータ23内に水
酸化ニッケルを主体とするペースト状活物質を三次元網
状構造を有するニッケル基板に充填,乾燥,プレスした
電極容量密度500mAh/ccの未化成の正極板24と、水素吸
蔵合金を主体としたペースト状活物質をパンチドメタル
基板に充填,乾燥,プレスした負極板22とを交互に重ね
合わせて極板群25を形成した。この際、正極と負極の容
量バランスが適正となるようにするとともに極板群の厚
みが金属ケース内面の厚み寸法の95%となるように正負
極の厚みを調節した。その後、両面にニッケルメッキを
施した鋼板を深絞り成形して得られる0.4mm厚の有底角
形金属ケース21内に極板群を収納し、アルカリ電解液を
注入後、絶縁ガスケット27内に正極端子29,弾性体26を
備え、正極板24と接続された金属性蓋板28を収めた封口
部材を金属ケース21の開口部に注入、載置する。この正
極板24,負極板22にはそれぞれ集電端子31,30が形成され
ており、それぞれの集電端子31及び30はそれぞれ纏めて
金属性蓋体28及び金属ケース21に接続されている。そし
て、金属ケース21の開口部を折り曲げて封口し、密閉式
角形電池を完成させた。そして引き続き、0.2CmAの電流
で8時間充電し、1CmAの電流で電池電圧が1Vになるまで
放電した後、極板群の厚み方向からプレスにより金属ケ
ース21の側面を圧縮し、プレス部の厚みが電池の厚みの
95%となるようにした。この状態の断面図を第2図に示
す。
次に本発明の効果を確認するために、上記実施例と同
様の電極構成を用いて、次に示す各電池を製作し、各電
池の製造時における電池性状を調べた。
(1)金属ケースを厚み方向から圧縮しなかった場合
(比較例1)、 (2)密封後、直ちに厚み方向からケースを圧縮した場
合(比較例2)、 (3)密封後、同様の充放電サイクルを5サイクルした
後、厚み方向からケースを圧縮した場合(実施例2)、 (4)予め金属ケースを圧縮し、厚みを減少したケース
に極板群を挿入し、その後封口した場合(比較例3)。
これらについて電池性状を比較してみると、 (1)の金属ケースを厚み方向から圧縮しなかったもの
は、充放電後、0.1〜0.15mm程度膨らみを生じた。
(2)の密封後直ちに金属ケースを圧縮したものは、圧
縮の際安全弁からの電解液が噴き出してしまうことがあ
った。これらに対して(3)の5サイクル充放電を行っ
てから金属ケースを圧縮したものは、上記実施例と同様
に良好な特性の電池を得た。(4)の場合は、予め厚み
を減少したケースに極板群を挿入するため、電極の崩れ
及びその微粉末による短絡を誘発し、これらを防止する
ために予め極板群の厚みを小さくすると、ニッケル水素
蓄電池として利点である高容量のメリットがなくなって
しまうことになる。
また、これらの電池を0.2CmAで7時間充電した後、放
電電流を段階的に設定した際の各放電率での電池容量を
第3図に、0.2CmAで7時間充電し、1CmAで電池電圧が1V
になるまで放電するサイクルを繰り返した際の電池容量
維持率を第4図に示す。なお放電特性については放電終
止電圧を800mVとし、各放電率での容量は、0.2CmA放電
時における放電容量を100%とし、充放電サイクルにお
いては初期におけるコンディション後の放電容量を100
%としたときのサイクル後の容量維持率%を示した。
以上の結果から分かるように、本発明の実施例はいず
れも、放電特性が比較例1及び2よりも優れているとと
もに充放電サイクル特性が優れていることが分かる。こ
れは極板群の厚み方向に金属ケースが圧縮されるため、
正極と負極の極間距離が小さくなったためであり、比較
的崩れ易いペースト式極板を抑え込むことによって、電
極自身の膨潤を抑制しセパレータ中に適量の電解液を保
持させることができるためである。さらには耐振動性や
耐衝撃性の点から見てもよい効果をもたらすものであ
る。
なお前記実施例では負極板の基板としてパンチドメタ
ルを用いたが、金網やラスメタル等、二次元構造基板及
び発泡メタル等の三次元構造基板に充填したものでもよ
い。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によると、充放電時にお
ける発電要素の膨潤に伴う容器の膨れを抑えると共に大
電流放電特性が優れ、長寿命のエネルギー密度の高い角
形ニッケル水素蓄電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例である角形ニッケル水素電池
の発電要素収納直後の縦断面図、第2図は第1図の電池
を1サイクル充放電した後極板の厚み方向から金属ケー
スを圧縮した状態を示す縦断面図、第3図は本発明の実
施例および比較例の電池の各放電率における放電容量の
維持率を示す図、第4図はサイクル充放電に伴う電池容
量の維持率を示す図、第5図は従来の角形ニッケルカド
ミウム蓄電池の縦断面図である。 21……有底角形金属ケース 22……負極板 23……セパレータ 24……正極板 25……極板群 26……弾性体 27……絶縁ガスケット 28……金属性蓋板 29……正極端子 30,31……集電端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−126566(JP,A) 特開 昭64−2261(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 10/24 - 10/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】負極性端子を兼ねる有底角筒金属ケース内
    に帯状のニッケル正極板と水素吸蔵金属を主成分とする
    負極板とをセパレータを介して横方向に交互に重ね合わ
    せて構成した極板群およびアルカリ電解液を収納した角
    形ニッケル水素蓄電池の製造方法において、正極が電極
    容量密度500mAh/cc以上である未化成の非焼結式ニッケ
    ル極を備え、金属ケース挿入前の極板群厚みを金属ケー
    スの積層方向の内径の95%以下とした極板群を内装して
    いるとともに、密閉後少なくとも1サイクル充放電した
    後極板群の厚み方向から金属ケースを圧縮し厚みを減少
    させることを特徴とする角形ニッケル水素蓄電池の製造
    方法。
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