JP2843758B2 - 流量調整弁装置 - Google Patents

流量調整弁装置

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JP2843758B2
JP2843758B2 JP6108653A JP10865394A JP2843758B2 JP 2843758 B2 JP2843758 B2 JP 2843758B2 JP 6108653 A JP6108653 A JP 6108653A JP 10865394 A JP10865394 A JP 10865394A JP 2843758 B2 JP2843758 B2 JP 2843758B2
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久昭 牧野
慶一 下村
勝郎 高橋
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Tohoku Electric Power Co Inc
Motoyama Eng Works Ltd
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Tohoku Electric Power Co Inc
Motoyama Eng Works Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、石炭焚火力
発電所に設けられた排煙脱硫装置に設けられる流量調整
弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、石炭焚火力発電所の排煙系に
は、この排煙の脱硫を行う排煙脱硫装置が設けられてい
る。そして、この排煙脱硫装置は、石灰スラリ−系の流
量を調節する流量調整弁装置(以下、単に「流量調整
弁」と称する)を具備する。
【0003】この石灰スラリ−系の流量調整弁は、流体
中に酸性亜硫酸カリウムが含まれた固液混相流を取扱う
ものであるから、内部にエロ−ジョン(磨耗)、コロ−
ジョン(腐食)が生じやすいということがある。
【0004】このため、上記流量調整弁の弁箱には耐蝕
性に優れたオ−ステナイト系ステンレス鋼が使用され、
混相流の縮流部となる弁体および弁座部分は耐摩耗性を
考慮してステライト肉盛り加工による表面硬化処理を施
しているのが一般的であった。
【0005】一方、石炭焚火力発電所の排煙脱硫装置に
おいて採られる脱硫方式は、冷却塔と吸収塔とが別々に
設置されるス−ツ分離方式と、冷却および吸収を一つの
塔で行うス−ツ混合方式とに大別されるが、今後は、後
者の方式が主流となると予想されている。
【0006】この後者の方式では、上述したように冷却
および吸収を一つの塔で行わなければならないため、上
記流量調整弁には、より高い耐蝕性能および耐摩耗性能
が要求されるということがある。
【0007】例えば、上述したように弁体と弁座とにス
テライト肉盛り処理を施している場合であっても、エロ
−ジョンの激しい場合には、磨耗による弁間隔の増加に
伴って流量制御性能が低下するため、弁体、弁座の寿命
は6か月しかもたないというケ−スも報告されている。
【0008】このような問題を解決するために、現在で
は、弁体および弁座をファインセラミックスで成形して
なる流量調整弁が考案され使用されている。また、上記
ファインセラミックスとしては、特に硬度、強度、耐蝕
性、製造技術、コストなどの観点からアルミナを原料と
するものが広く採用されるようになっている。
【0009】このような流量調整弁としては、従来、図
6〜図8に示すものがある。図6に示す流量調整弁は、
アルミナセラミックスで形成されたシ−ト1(流体流
路)と、このシ−ト1の中途部内に突没自在に設けら
れ、同じくアルミナセラミックスで形成された棒状のバ
ルブ2とを具備するものであり、このバルブ2を突没さ
せることで上記シ−ト1により区画された流体流路の開
閉を行うように構成されている。
【0010】図7に示す流量調整弁は、弁箱3の上流側
内と下流側内とに挿着されたアルミナセラミックス製の
一対のシ−ト4、5と、一対のシ−ト4、5間に垂直軸
線回りに回動自在に設けられた同じアルミナセラミック
ス製のボ−ル弁6とを有する。
【0011】このボ−ル弁6は上部に設けられた駆動軸
7と下部に設けられた支持軸8とにより保持されてい
る。したがって上記駆動軸7を回転駆動することで、上
記ボ−ル弁6を回動させ、上記シ−ト4、5により区画
された流体流路の開閉を行うように構成されている。
【0012】図8に示す流量調整弁は、実願昭1−83
541号明細書に開示されたものであり、弁箱10と、
この弁箱10の下流側に挿着されたアルミナセラミック
ス製の弁座11と、上記弁箱10に挿通された駆動軸1
2により偏心保持されこの駆動軸12を回動させること
で上記弁座11により区画される流体流路を開閉する弁
体14とを具備するものである。上記弁体14も、上記
弁座11と同様にアルミナセラミックスで成形されてい
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の流量調整弁には、以下に説明する解決すべき課題が
ある。図6に示す流量調整弁においては、接液面がすべ
てアルミナセラミックスで覆われているものであるた
め、耐蝕性および耐摩耗性に非常に優れるという利点が
ある。しかし、流体を遮断する機能(弁座漏洩防止機
能)と流量制御性とを考えた場合には、図7および図8
に示す回転式の流量制御弁に劣るということがある。
【0014】一方、図7に示す流量調整弁においては、
上記ボ−ル弁6とシ−ト4、5による遮断が完全でない
と、ボ−ル弁6とシ−ト4、5の隙間から漏洩した流体
がこのボ−ル弁6の上側および下側に侵入し、この流体
に含まれるスラリが上記駆動軸7との結合部及び支持軸
8による支持部に付着し固化するというとことがある。
また、上記スラリが、このボ−ル弁6と上記弁箱3の隙
間や上記シ−ト4、5との隙間に堆積固化するというこ
ともある。
【0015】上記アルミナセラミックスは、引張強度が
弱く脆弱で応力集中に基づく破損を生じやすいという欠
点があるため、この状態で上記駆動軸を無理に駆動しよ
うとすると、上記ボ−ル弁6や上記シ−ト4、5に局部
的な応力集中が生じてこれらが破損するという不都合が
ある。
【0016】一方、図8に示す流量調整弁においては、
上記弁体14を偏心支持するようにすることで、この弁
体14を上記弁座11から離間しつつ回動するように構
成することができる。
【0017】また上記弁体14は上記駆動軸12に直接
連結されるのではなく、支持部材15を介して保持され
ているので図7に示す流量調整弁のような不都合は生じ
ない。
【0018】しかし、このような構成においては、上記
金属製の弁箱10の内面がスラリを含む流体に常に晒さ
れることとなるため、この部分に腐食が生じるという問
題が生じる。
【0019】この問題を解決するため、上記弁箱10自
体をセラミックス製とすることも考えられるが、この弁
箱10は上記弁体14の駆動軸12を支持したり外部へ
の取り付け部となるため、種々の不規則外力が加わる恐
れがあり、信頼性に劣る。
【0020】また、図6および図7に示す流量調整弁と
同様にこの弁箱10の内面に焼結体セラミック製のシ−
トを挿着することも考えられるが、この弁箱10の内面
形状は、図6および図7に示す流量調整弁と異なり、複
雑な3次元形状であるから、そのような形状に対応する
流路の加工は非常に難しく応力集中も生じやすくなる。
さらに、製作コストが非常に高くなるということがあ
る。
【0021】一方、耐蝕性を有するハステロイ−Cなど
の金属もある。しかし、このような金属は一般に高価で
ありコスト高となる欠点がある。したがってこの弁箱1
0は通常のステンレス等の金属製であるのが最も好まし
いのであるが、金属製であると上述したようにこの弁箱
10の内面に腐食が生じるということがあり、この流量
弁の信頼性を低下させるという不都合があった。
【0022】この発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたものであり、簡単で安価な構成を有し、かつスラリ
−系に対する耐蝕性、耐摩耗性に優れ、信頼性の高い流
量調整弁を提供することを目的とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る本発明の流量調整弁装置は、 金属製
の弁箱と; この弁箱の内部に設けられ、流体の流線方向に沿う上流
端と下流端との間に大径に膨らむ大径部分を有する流体
流路と; この流体流路の上記大径部分よりも下流側に配置された
ファインセラミックス製の弁座と 上記弁箱に支持され、上記流体流路に導出されるととも
に、 その回転軸線を上記流体流路の中心線から偏心させ
て位置させた駆動軸と この駆動軸に取り付けられ上記駆動軸を軸回り方向に
回動させることで、上記弁座に接離されて上記流体流路
を開閉するセラミック製の弁体と;を備えている。 そし
て、上記弁箱は、上記流体流路を有するとともに、この
流体流路の流線方向に沿う中途部に、上記流体流路の大
径部分に連なる取付孔が開口されたボデーと、このボデ
ーの取付孔に取り外し可能に挿入された先端部を有し、
上記駆動軸を回動可能に保持する保持部と、に分割され
ており、 上記ボデーの流体流路に臨む内面に、この流体
流路の上流端、下流端および上記取付孔を通じてファイ
ンセラミックスを溶射することで保護膜を形成するとと
もに、上記流体流路に臨む上記保持部の先端部の表面に
も、ファインセラミックスを溶射してなる保護膜を形成
したことを特徴としている。
【0024】
【0025】また、請求項2に係る本発明の流量調整弁
装置は、 上記請求項1に記載された保護膜の表面に、フ
ッ素樹脂が塗布含浸され、上記保護膜の表面に生じた気
孔、割れの封孔処理が施されていることを特徴としてい
る。
【0026】
【作用】このような構成によれば、複雑な形状の流体流
路を有するボデーに、この流体流路の大径部分に開口す
る取付孔を形成したので、弁箱の内部に奥まった流体通
路の大径部分を取付孔を通じてボデーの外方に露出させ
ることができる。このため、流体流路に臨むボデーの内
面にセラミックスの保護膜を形成するに当り、流体流路
の上流端、下流端および取付孔の三方向からファインセ
ラミックスを溶射することができ、流体流路の上流端お
よび下流端から離れている大径部分にも均一に保護膜を
形成することができる。
【0027】また、ファインセラミックスの溶射により
形成した保護膜にフッ素樹脂を塗布含浸させることで、
耐蝕性に優れかつ熱変化に強い保護膜を得ることができ
る。
【0028】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図面を参照して
説明する。図1に、この発明の流量調整弁の全体を示
す。この流量調整弁は図に二点鎖線で示す上流側配管1
5と下流側配管16との間に設置され、上記両配管1
5、16内を流通する流体の流量を制御する役割を有す
る。
【0029】図中17は、この流量調整弁の弁箱であ
る。この弁箱17は、上記上流側配管15と下流側配管
16との間に挿入され両配管15、16を連結するボデ
−18と、このボデ−18の長さ方向中途部に取り付け
られ、このボデ−18と操作部(図に19で示す)とを
接続する接続部20(この発明の保持部)とからなる。
【0030】上記ボデー18の両端にはこのボデー1
8と上記両配管15、16とを連結するためのフランジ
部18aが形成されている共に、このボデー18の内部
には上記両配管15、16を互いに連通させる流路2
2が形成されている。流路22は、図3および図4の
(a)から明らかなように、その上流端と下流端との間
に球状に膨らむ大径部分22aを有し、流路22が複雑
な3次元的形状をなしている。また、このボデー18の
中途部に位置する周壁には、図に符号23で示す取付
孔がこのボデー18を貫通して形成されている。取付孔
23は、流路22の大径部分22aに連なっている。
【0031】この取付孔23には、上記接続部20の先
端部が着脱自在に挿入・固定されるようになっていると
共に、この流量調整弁の点検時にはボデー18の内部
状態を点検するための覗き窓としても機能するようにな
っている。
【0032】一方、上記接続部20は、この接続部20
内を軸方向に貫通する貫通孔24を有する円筒棒状に形
成され、先端部を上記ボデ−18に形成された取付孔2
3の中途部にまで嵌挿すると共に、図に20aで示すフ
ランジ部の一面をこのボデ−18の外面に当接させるこ
とで、このボデ−18に取り付けられるようになってい
る。
【0033】したがって、この接続部20の先端面は、
上記ボデー18内に露出し上記流路22の一部を構成
すると共に、上記貫通孔24はこの流路22内に開放す
るようになっている。
【0034】なお、上記ボデ−18および接続部20
は、いずれもオ−ステナイト系ステンレス鋼で形成され
ている。そして、互いに組み合わされる上記取付孔23
の内周面および上記接続部20の先端部の外周面は、所
定のはめあい寸法で形成されている。
【0035】また、図3に拡大して示すように、上記流
22を構成する上記ボデー18内面および上記接続
部20の先端部の表面には、アルミナセラミックスが溶
射されてなる溶射コーティング被膜26(この発明の保
護膜)が形成されている。
【0036】次に、この溶射コ−ティング被膜26の形
成について説明する。上記アルミナセラミックスの溶射
は、例えばプラズマ溶射と呼ばれる手法で行われる。こ
の溶射方法は、溶射材料を高温のプラズマ環境中に導入
することで溶融または半溶融状態の微粒子とし、ワ−ク
の表面に吹き付けて被膜を形成する公知の表面処理技術
である。
【0037】このプラズマ溶射には、大気プラズマ溶射
法と減圧プラズマ溶射法とがあるが、いずれもプラズマ
熱源を利用した溶射ガンと称される装置を用いる。この
溶射ガンは、内部に、対向配置されてなる陽極および陰
極とを具備し、この電極間に飛ぶア−ク電流によってプ
ラズマガスにエネルギを与えて高温化し、部分的にプラ
ズマ化させた状態でノズルの細孔からジェットとして噴
出する装置である。
【0038】上記ボデ−18にアルミナセラミックスを
溶着する場合には、図4に示すボデ−18を大気溶射法
では大気中に、減圧溶射法では減圧チャンバ中に置く。
ついで第1、第2の溶射ガンのノズルを上記ボデ−18
の上流側および下流側の開口に対向させ、第3の溶射ガ
ンのノズルを上記取付孔23に対向させる。
【0039】まず上記第1、第2の溶射ガンを作動させ
る。この溶射ガンを作動させると、上記高温のガスがプ
ラズマジェットとして上記ノズルから噴出される。この
溶射ガンのノズル先端部には、粉末化されたアルミナセ
ラミック材料を供給する供給管が配設されおり、上記プ
ラズマジェット内に上記粉末状のアルミナセラミックス
材料を投入する。
【0040】投入されたアルミナセラミックス材料は瞬
間的に溶融して上記ボデ−18の内面に衝突し被膜を形
成することとなる。なお、この際、上記ボデ−18は上
記軸線(イ)回りに所定の速度で回転駆動される。この
ことによって上記アルミナセラミックスはボデ−18の
内面に均一に溶射される。
【0041】次に、上記第3の溶射ガンを作動させる。
この際には、上記ボデー18を上記軸線(イ)とは直交
する軸線(ロ)回りに所定の速度で回転駆動する。この
ことで、上記ボデー18の内面の特に流路22の大径部
分22aに対応した位置にアルミナセラミックスを溶射
することができる。
【0042】このような工程により、上記ボデ−18の
内面22の両端部および中途部(図に太線で示す部位)
に略均一にアルミナセラミックスの溶射コ−ティング被
膜を形成することができる。
【0043】次に、この溶射コ−ティングの表面を研磨
し寸法精度を確保すると共に、バリ等を除去する。この
研磨は、図に×印で示す接液面以外の部位に対して行
う。なお、同図(a)中のA部〜C部を同図(b)〜
(d)に拡大して示す。各図において26が上記アルミ
ナセラミックスの溶射コ−ティング被膜である。
【0044】研磨が終了したならば、上記溶射コ−ティ
ング26の表面に同図(b)〜(d)に27で示すフッ
素樹脂を塗布含浸させる。上記溶射コ−ティング被膜2
6の最表面の層に形成される「気孔」並びに「割れ」が
上記ボデ−18の耐蝕性を損なう要因になることから、
上記フッソ樹脂27を含浸させることで上記気孔および
割れを封孔するものである。
【0045】また、図5に示す接続部20についても、
図に太線で示す先端部の表面に対して同様の手法でアル
ミナセラミックスの溶射コ−ティング被膜26を形成す
る。そして、図に×で示す接液面以外の部位の研磨を行
った後、フッ素樹脂27を塗布含浸させ上記溶射コ−テ
ィング被膜26の封孔処理を施すようにする。
【0046】このようにして形成された上記ボデ−18
内の下流側内(流路内)には、図1および図3に示すよ
うに弁座30が挿着されている。この弁座30は略円筒
形をなし、その外周面には図に30aで示す環状凸部が
形成されている。
【0047】この弁座30は、上記ボデ−18内に下流
側から挿入され、図3に示すように、上記環状凸部30
aの一面を上記ボデ−18の内面に突設された突起部3
1に対してOリング32を介して係合させることで、こ
のボデ−18内に挿着される。
【0048】また、この弁座30は、同図に33で示す
ホルダをこのボデ−18の下流側の端面に取り付けるこ
とで、このボデ−18内に固定される。すなわち、この
ホルダ33の一端部33aは上記弁座30の外周面と上
記ボデ−18の内面との間に延出され、その先端面と上
記弁座30の環状凸部起30aの他面との間にOリング
34を介在させた状態で上記弁座30を保持するように
なっている。
【0049】従って、上記ホルダ33および弁座30は
その内面で流体吐出路(液体流路)を区画すると共に、
上記弁座30は、上記2つのOリング32、34によ
り、上記流体の流れ方向に若干量移動自在となるよう弾
性的に保持されている。
【0050】また、上記ホルダ33および上記弁座30
は、上記流体内に含まれるスラリ−に対する耐摩耗性お
よび耐蝕性を向上させるべく、アルミナセラミックス
(AlO2 )またはジルコニア(ZrO2 )の焼結体で
形成されている。
【0051】一方、上記接続部20の貫通孔24内に
は、図1に35で示す長尺なる駆動軸が挿入されてい
る。この駆動軸35は、上記操作部側から挿入され、そ
の先端部を上記流路22の中心軸(イ)と略直角をなす
状態で上記流路内に延出させている。
【0052】また、この駆動軸35は、上記接続部20
内に設けられた軸受36と、上記ボデ−18の内面に凹
設された軸受部37とによって、中心軸線(ロ)まわり
に回転自在に支持されている。
【0053】また、この駆動軸35の中心軸線(ロ)
は、図2の水平断面図(横断面図)に示すように、上記
流路の中心軸線(イ)と交わらず、この流路22の中心
軸(イ)から所定距離tだけ離間して位置するようにな
っている。すなわち、この駆動軸35は、上記流路22
の中心軸線(イ)から偏心した状態で設けられている。
【0054】この駆動軸35の先端部には、上記弁座3
0の上流側の端面と当接して上記流体吐出路を開閉する
弁体38が設けられている。図1〜図3において、上記
弁体38は上記流体吐出路を閉塞する位置に停止されて
いる。この弁体38の構成をこの状態を基準にして説明
する。
【0055】上記駆動軸35には、図2および図3に3
9aで示すブラケット部を下流側に延出させてなる支持
部材39が嵌着されている。上記弁体38は、この支持
部材39の上記ブラケット部39aの先端部に接着材お
よび図3に41で示す押しボルトにより固定されてい
る。
【0056】この弁体38は、外形円形をなし、かつ下
流側に対向する面は、中央部が上流側に向かって凸状に
形成されてなる曲面に形成されている。図2に示す状態
で、上記支持部材39のブラケット部39aおよび上記
弁体38は、その中心線(ニ)を上記流路22の中心軸
線(イ)に一致させており、上記弁体38の下流側の面
を上記弁座30の先端面に当接させることで、この弁座
30により区画される上記流体吐出路を閉塞するように
なっている。
【0057】上記流体吐出路を開放する際には、上記駆
動軸35を図2に示す状態から0〜90°の範囲で回動
駆動し、上記弁体38を上記弁座30からずらすことで
行う。図1に示す操作部19内には、上記駆動軸35を
回動駆動する図示しない駆動機構、例えば空気圧駆動機
構が設けられている。
【0058】なお、上記弁体38の下流側の面および上
記弁座30の先端面の形状は、閉塞時に上記弁体38が
上記弁座30に対して所定のくさび角をもって食い込ん
で良好な閉塞状態が得られるような曲面形状に設計され
ている。
【0059】また、開放時における上記弁体38と上記
ボデ−18の内面との緩衝を防止しつつ良好な流体力学
上の性能が得られるように、上記ボデ−18の内面形状
および上記駆動軸35の偏心量tが決定されている。す
なわち、上記弁座30の先端面、上記弁体38の閉塞面
およびボデ−18の内面はFEMによる解析に基づいて
決定される複雑な3次元形状となっている。
【0060】なお、上記弁体38が開いた場合には、上
記支持部材39および上記駆動軸35の下端部はボデ−
18内を流通する流体に晒されることとなる。従って、
上記支持部材39はハステロイ−C等の耐蝕性、耐摩耗
性を有する金属で形成され、上記駆動軸35の先端部の
上記支持部材39の上下に位置する部位には図1および
図3に示すアルミナセラミックスまたはジルコニア製の
カラ−41、42が外挿されている。
【0061】次に、この流量調整弁の動作について説明
する。上述した開放状態から上記弁体38を閉じる場合
には、上記駆動軸35を回動駆動する。
【0062】このとき、図2に示すように、上記駆動軸
35の軸線(ロ)は上記流路の中心軸線(イ)から偏心
して設けられているから、上記弁体38は上記弁座30
の先端面に対向する位置に移動しつつ上記弁座30の方
向に押し出されるように駆動され、上記流体吐出路を閉
塞することとなる。
【0063】すなわち、上記弁体38は、上記弁座30
と略対向する位置に至って初めて上記弁座30と当接す
るようになっており、上記弁座30との摺動面積を極力
小さくすることができる構成になっている。
【0064】また、上記弁体38は上記弁座30に対し
て所定のくさび角をもって押し付けられ、くさび状に食
い込むこととなるから上記弁座30により区画される流
体吐出路を確実に閉塞することができる。また、上記弁
体38が上記弁座30に押し付けられる際には、上記O
リング32、34の弾性作用により上記弁座30と上記
弁体38の衝撃が緩和されるようになっている。
【0065】また弁体38の開放は、閉塞時の動作と逆
の動作によって行うようになっており、上記弁体38
は、上記弁座30から離間しつつこの弁座30と対向す
る位置からずれるように駆動されるようになっている。
このとき、上記弁体38に堆積したスラリは上記弁座3
0の先端面により掻き落とされる。
【0066】なお、このとき、この弁体38が、上記弁
座30やボデ−18の内面と緩衝することはなく、良好
な動的性能が得られるようになっている。次に、この流
量調整弁の点検について説明する。
【0067】この流量調整弁が適用されるスラリ系の仕
様は、例えば、石灰石濃度8パ−セント、圧力500k
Pa、差圧100kPa・温度50℃前後である。この
発明の流量調整弁においては、上記弁体38および弁座
30がアルミナセラミックス成形されているから、その
点検周期を従来の弁体および弁座をステンレスで形成し
ているものの点検周期(6カ月)に比べ1〜3年以上と
かなり長く設定することができる。
【0068】この流量調整弁を点検する場合には、この
流量調整弁を上記上流側配管15および下流側配管16
から取り外すことなく行う。すなわち、上記ボデ−18
を上記両配管15、16に取り付けたままの状態で、こ
のボデ−18から上記接続部20を取り外す。このこと
で、上記駆動軸35および上記弁体38はこの接続部2
0と一体的に上記ボデ−18から取り外されることとな
る。
【0069】ついで、上記接続部20を取り外した後に
上記ホデ−18に開口する取付孔23を通して上記ボデ
−18の内面および上記弁座30の先端面を点検するよ
うにする。また、上記取り外した上記弁体38の表面お
よび上記接続部20の先端面の状態を点検する。また、
必要なメンテナンスを同時に行うようにする。
【0070】点検が終了したならば、上記接続部20、
駆動軸35および弁体38を一体的に上記ボデ−18に
組み付け、上記取付孔23を閉塞するようにする。この
ような構成によれば、以下に説明する効果がある。
【0071】第1に、上記弁箱17をボデ−18と接続
部20の2分割式とし、上記ホデ−18に形成された接
続部20取付用の取付孔23を用いて、上記ボデ−18
の内面にアルミナセラミックスの溶着コ−ティングを施
すようにした。
【0072】このことで、上記弁体38を偏心駆動方式
とすると共にこの弁体38及び弁座30をアルミナセラ
ミックス製としたことと合わせて、この流量調整弁の耐
蝕性および耐摩耗性をさらに向上させることができる効
果がある。
【0073】すなわち、従来、この型の流量調整弁の弁
箱17は金属製の一体成形品であった(図8参照)。こ
のため、この弁箱の内面は常時流体に晒されることとな
り、この部分の腐食が問題となっていた。
【0074】また、上記弁箱17の内面は、上述したよ
うに複雑な3次元形状であり、特に流路22は、その上
流端と下流端との間に球状に膨らんだ大径部分22aを
有しているために、この弁箱17が一体成形品の場合に
本発明のような溶射を施すことは困難であり考え
られなかった。
【0075】一方、上記弁箱17全体を耐蝕性を有する
セラミックス製にすることも考えられるが、この弁箱1
7には曲げや捩じりなどの外力が加わること、及び上記
3次元形状の形成および研磨が困難でコスト高になると
いうことがあった。
【0076】さらに、図6、図7に示す従来例のように
内部にセラミックス製のシ−トを挿入する方法もある
が、シ−ト内面を上述した3次元形状に成形しなければ
ならず、応力集中が発生しやすい形状となるため、成形
性および強度の面から採用は無理であった。
【0077】さらに、この弁箱17全体をハステロイ−
C等の耐蝕性の金属で成形することはコスト高となると
いうことがあった。しかるに、この発明では、上記弁箱
17をボデー18と接続部20とに分割することによ
3次元的な複雑な形状を有する流路22の大径部分
22aを、上記取付孔23を通じて外部に露出可能とし
たので、流路22に臨むボデー18の内面に溶着コーテ
ィング被膜26を形成するに当って、このボデー18の
内面に対し流路22の上流端、下流端および取付孔23
の三方向からファインセラミックスを溶射することがで
きる。このため、弁箱17の内方に奥まるとともに、流
路22の上流端および下流端から離れている流路22の
大径部分22aに対しても、通常のプラズマ溶射により
均一な溶着コーティング被膜26を形成することができ
。このことで、加工が容易でかつコスト高とならず、
耐摩耗性及び耐蝕性に優れた流量調整弁を得ることがで
きる効果がある。
【0078】第2に、上記溶着コ−ティング被膜26の
表面に、フッソ樹脂を塗布含浸させることで、上記溶着
コ−ティング被膜26の表面に生じた気孔及び割れを封
孔することができ、焼結体セラミックスと略同等の耐磨
耗効果および耐蝕効果を得ることができる。
【0079】すなわち、溶着コ−ティング被膜の封孔を
行うには、無機化された水ガラスを用いる方法が従来公
知であった。しかし、この方法は、耐蝕効果については
優れているが、温度変化による熱膨張、収縮のサイクル
に弱く、割れが生じやすいという欠点があり、本発明の
流量調整弁には不適切である。
【0080】これに対して、本発明の上記フッソ樹脂エ
ポキシ系を用いて封孔する技術によれば、その弾性力に
より熱膨張、収縮のサイクルに強いものとすることがで
きる。
【0081】このことで、上記流量調整弁の耐蝕性をさ
らに向上させ、より信頼性の高い流量調整弁を得ること
ができる効果がある。第3に、上記ボデ−18と接続部
20を分割するようにしたことで、上記取付孔23を用
いて内部を点検することができる。このことにより、上
記流量調整弁全体を配管15、16から脱着しなくとも
点検が行える。また、上記接続部20を外す際に上記駆
動軸35および弁体38を上記ボデ−18内から一体的
に取り外すことができる。
【0082】このことにより、この流量調整弁の点検作
業およびメンテナンスをより容易に行うことができる効
果がある。すなわち、上記流量調整弁によれば、上記弁
体38および弁座30をセラミックス製とすると共に上
記弁体38を偏心的に保持して開閉を行える構成とする
ことで耐摩耗性および耐蝕性による破損を少なくできる
のであるが、簡単な点検は適宜行う必要がある。
【0083】この際に、上記流量調整弁を上記両配管か
ら取り外し分解整備をするとなると、その取り外し作
業、分解作業および全てのガスケットの交換などが必要
となり面倒である。
【0084】しかし、この発明では、点検の作業が上記
接続部20をボデ−から取り外すだけで行えるから、点
検作業およびメンテナンスが容易となる。したがって、
破損を少なくすることができることと相まって、点検お
よびメンテナンス労力の非常に少ない信頼性の高い流量
調整弁を得ることができる効果がある。
【0085】なお、この発明は上記一実施例に限定され
るものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変
形可能である。例えば、上記一実施例では、上記弁座を
2つのOリングにより弾性的に保持するようにしたが、
バネ部材を用いて弾性的に支持するようにしても良い。
【0086】また、上記一実施例では、上記弁箱17を
オ−ステナイト系ステンレス鋼で成形するようにした
が、これに限定されるものではなく、これより安価な低
合金鋼を採用しても良い。
【0087】すなわち、この発明は、弁箱17の内面に
溶射コ−ティング被膜26を形成することにより耐摩耗
性および耐蝕性に優れた流量調整弁を得るようにしたも
のであるから、反対に上記弁箱17自体に要求される耐
摩耗性および耐蝕性の条件を低くすることが可能にな
る。したがって、上述したように、上記弁箱17の材料
として安価なものを選択することが可能になる効果があ
る。
【0088】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、3次元的
な複雑な形状を有する流体流路の内面に対し、流体流路
の上流端、下流端および取付孔の三方向からファインセ
ラミックスを溶射することができ、弁箱の内方に奥ま
り、しかも、流体流路の上流端および下流端から離れて
いる流体流路の大径部分に対しても、均一な保護膜を簡
単かつ安価に形成することができる。したがって、コス
トアップを伴うことなく、より高い耐摩耗性及び耐蝕性
を実現でき、信頼性の高い流量調整弁装置を得ることが
できる。また、上記取付孔を通してボデー内部の点検を
行なえるから、流量調整弁装置の点検作業をより容易に
行なうことができる効果がある。
【0089】
【0090】
【0091】また、上記保護膜の表面にフッ素樹脂を塗
布含浸し、上記保護膜の表面に生じた気孔、割れの封孔
処理が施すようにしたので、耐蝕性が高くかつ耐久力の
高い流量調整弁装置を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す縦断面図。
【図2】同じく、弁体および弁座を拡大して示す横断面
図。
【図3】同じく、要部を拡大して示す縦断面図。
【図4】同じく、ボデ−の縦断面図および一部拡大断面
図。
【図5】同じく、接続部(保持部)の縦断面図および一
部拡大断面図。
【図6】第1の従来例を示す縦断面図。
【図7】第2の従来例を示す縦断面図。
【図8】第3の従来例を示す縦断面図。
【符号の説明】
17…弁箱、18…ボデー、20…接続部(保持部)、
22…流路(流体流路)、22a…大径部分、23…取
付孔、26…溶射コーティング被膜(保護膜)、30…
弁座、35…駆動軸、38…弁体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 勝郎 宮城県仙台市青葉区堤町一丁目12番1号 株式会社本山製作所内 (56)参考文献 特開 昭58−131487(JP,A) 実開 平3−23262(JP,U) 実開 昭60−77855(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16K 1/00 - 1/228 F16K 27/00 - 27/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製の弁箱と この弁箱の内部に設けられ、流体の流線方向に沿う上流
    端と下流端との間に大径に膨らむ大径部分を有する流体
    流路と; この流体流路の上記大径部分よりも下流側に配置された
    ファインセラミックス製の弁座と 上記弁箱に支持され、上記流体流路に導出されるととも
    に、 その回転軸線を上記流体流路の中心線から偏心させ
    て位置させた駆動軸と この駆動軸に取り付けられ上記駆動軸を軸回り方向に
    回動させることで、上記弁座に接離されて上記流体流路
    を開閉するセラミック製の弁体とを具備する流量調整
    弁装置において、 上記弁箱は、上記流体流路を有するとともに、この流体流路の流線方
    向に沿う中途部に、上記流体流路の大径部分に連なる取
    付孔が開口された ボデーと、このボデーの取付孔に取り
    外し可能に挿入された先端部を有し、上記駆動軸を回動
    可能に保持する保持部と、に分割され、上記ボデーの流体流路に臨む内面に、この流体流路の上
    流端、下流端および上記取付孔を通じてファインセラミ
    ックスを溶射することで保護膜を形成するとともに、上
    記流体流路に臨む上記保持部の先端部の表面にも、ファ
    インセラミックスを溶射してなる保護膜を形成した こと
    を特徴とする流量調整弁装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、上記保護膜の
    表面には、フッ素樹脂が塗布含浸され、上記保護膜の表
    面に生じた気孔、割れの封孔処理が施されていることを
    特徴とする流量調整弁装置。
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