JP2843689B2 - 電子加速装置 - Google Patents

電子加速装置

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JP2843689B2
JP2843689B2 JP9597691A JP9597691A JP2843689B2 JP 2843689 B2 JP2843689 B2 JP 2843689B2 JP 9597691 A JP9597691 A JP 9597691A JP 9597691 A JP9597691 A JP 9597691A JP 2843689 B2 JP2843689 B2 JP 2843689B2
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清隆 石橋
明 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,半導体の微細加工や各
種分析のためのX線光源などとして用いる電子シンクロ
トロンあるいは電子蓄積リングである電子加速装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】電子シンクロトロンあるいは電子蓄積リ
ングなどの電子加速装置は,半導体の微細加工や各種分
析のための新しいX線光源として注目を集めており,各
種の中エネルギー(電子エネルギー1〜2GeV)のも
のが実用化されており,また高エネルギー(8GeV)
のものが開発されつつある。これらの装置はリングの周
長が100mから1500mと規模が大きいので,産業
用としての実現性に乏しい。このため,周長10〜20
m,外形寸法で(3〜4)m×(6〜7)mの小型の装
置の開発も行われている。これらの電子加速装置は線形
加速器等の電子入射器で,予め電子をある一定のエネル
ギーまで加速し,この電子をリング内に入射した後,光
を利用するために必要な電子エネルギーまで加速する。
十分な光の強度を得るために必要な蓄積電子の電流が1
回の入射で得られない場合には,上記の入射過程を必要
な電流が得られるまで繰り返す。このような複数回にわ
たる入射,即ち多重入射を行う場合,すでに蓄積されて
いる電子に影響を与えないようにするために,入射電子
の軌道はすでにリング内に蓄積されている電子の軌道,
即ち平衡軌道とは異なったものにしなければならない。
この入射電子は平衡軌道の回りで振動しており,放射減
衰と呼ばれる過程によって,平衡軌道に近づいていく。
従って,1回の入射後十分に時間を置くと,以前に入射
した電子は入射軌道から平衡軌道に移っており,入射軌
道には電子が存在しないため,再び入射が可能になる。
ところが,この放射減衰によって入射電子が平衡軌道に
近づいていく時間は,入射される電子のエネルギーの3
乗に逆比例するため,あまり低エネルギーにすることは
できない。一般に多重入射を可能にするためには,電子
入射器による予備加速を50〜100MeV以上にしな
ければならないことが知られている。このような入射器
を線形加速器で構成すると長さが10m〜20mにな
り,たとえリングを小型化しても,装置全体を小型化す
ることはできない。また,入射器をマイクロトロンで構
成することも可能であるが,マイクロトロンで100M
eVまで加速しようとすると,電子ビームの電流を大き
くとれない。またコストも大きくなる。一方,低エネル
ギーで大電流の線形加速器を用いることによって1回の
入射で必要な電流を得ようとする例を図23に示す。こ
の例は電子蓄積リングで,入射エネルギーが15MeV
である。図24に,この例での入射器の構成を示す。電
子銃1で発生された電子ビーム2は,線型加速器3へ導
かれここで15MeVまで加速される。更にこの加速さ
れた電子ビームはエネルギーの分散を小さくするために
ECS (Energy Compression System)4へ導かれ,線型
加速器の出力時の1/10までエネルギー分散が減らさ
れる。これは電子加速装置が受け入れることができる電
子のエネルギー分散が線型加速器の出力時よりも小さい
ためであり,このECS4を用いることによって入射の
効率を高められるためである。このように,多重入射が
できないために電子の入射効率をあげるための装置を付
加する必要があり,入射器の全長は10m近くになって
しまう。また大電流の電子ビームを加速するために,線
形加速器3にエネルギーを投入するクライストロン5は
最大出力10MWという大電力のものを必要とするた
め,コストが高くなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように電子入射装
置が大型化あるいは高コスト化する理由は,前述のよう
に電子加速装置中での放射減衰に要する時間が,電子エ
ネルギーの3乗に逆比例するからである。小型・低コス
トの入射器を用いるのに適当な20MeV以下の入射エ
ネルギーでは,この時間が数分から数十分にもなり,数
十回の入射を行うと,入射に必要な時間が数時間にも及
ぶ。入射を行っている間は,電子加速装置は光を用いる
電子エネルギーよりも低い電子エネルギーで運転されて
いるから,装置を利用できない。従って入射にこのよう
な長時間を割り当てることは現実的ではなく,入射エネ
ルギーは50〜100MeV以上に選ばざるを得ない。
また前述のように多重入射を行わないようにしても,入
射器の大型化は避けられない。本発明は,放射減衰に替
わる減衰効果を与える装置を電子加速装置に付加するこ
とによって,上記のような低エネルギー入射の場合に於
いても多重入射を短時間で行えるようにすることを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は,電子を加速するための第1の高周波加速空
洞と,少なくとも電子入射時には電子を減速させるよう
にした第2の高周波加速空洞とを備えたことを特徴とす
る電子加速装置である。この第2の高周波加速空洞を配
置した場所でのベータトロン関数は,第1の高周波加速
空洞を配置した場所でのベータトロン関数よりも大きく
なるように,両空洞を配置する。また,第1の高周波加
速空洞または第2の高周波加速空洞のいずれかは,電子
の横方向の運動に対して集束力あるいは発散力を与える
よう構成し,電子の平衡軌道からのずれと,そのときの
電子軌道の平衡軌道に対する傾きとが,比較的高い相関
関係を有する電子蓄積リング上の場所に配置される。ま
た,前記電子の横方向の運動に対して集束力あるいは発
散力を与えるよう構成される高周波空洞は,ノーズコー
ンを有するリエントラント型高周波加速空洞の,電子の
入口側のノーズコーンと,出口側のノーズコーンとの内
径を異にしたもの,あるいは,ノーズコーンを有するリ
エントラント型高周波加速空洞の,ノーズコーンの電子
の入口側のノーズコーンと出口側のノーズコーンとの対
向面にテーパーを形成したもの,あるいは,ノーズコー
ンを有するリエントラント型高周波加速空洞の,ノーズ
コーンの電子の入口側のノーズコーンと出口側のノーズ
コーンとの内径を異にすると共に,対向面にテーパーを
形成したもの,あるいは,ノーズコーンを有するリエン
トラント型高周波加速空洞の,ノーズコーンの電子の入
口側のノーズコーンから出口側のノーズコーンにかけて
内径を変化させたもの,あるいは,電子の軌道と平行に
4本の導電性の円柱を,電子の軌道から一定距離隔てた
位置に配置したもの,あるいは,空洞の側面から4本の
円筒を,空洞内に突出させたもの,あるいは,4極電磁
石を電子軌道の周囲に配置したもの,あるいは,ノーズ
コーンを有するリエントラント型高周波加速空洞の,電
子の入口側のノーズコーンと出口側のノーズコーンとの
面にフィンガー状の突起を互いに交差する位置に設けた
もので構成することができる。また,前記第2の高周波
加速空洞を,電子入射後は加速するために再設定できる
よう構成することもでき,この電子加速装置の適用対象
を自由電子レーザー装置とすることもできる。
【0005】
【作用】まず,通常の放射減衰がどのようにして生じる
のかを図2,図3および図4を用いて説明する。図2に
おいて,一般に高エネルギーに加速された電子を磁場あ
るいは電場を用いてその軌道7を偏向すると,その軌道
の接線方向に電磁波(光)6を放射する。このとき電子
は放射した光のエネルギーだけその運動エネルギーを失
い,放射した光の運動量だけ運動量を失う。高エネルギ
ー電子が放射する光は接線方向に出て行くことから,電
子が光を出す過程で失う運動量は図2の8で示すように
電子の進行方向に平行で逆向きである。電子は光を放射
する際にエネルギーを失うので,電子加速装置中で安定
に電子を蓄えておくために,高周波加速空洞を用いて電
子が失ったエネルギーを補充している。このとき,加速
空洞が電子に与える運動量は常に平衡軌道の方向になる
ように設定されているので,加速後の電子の運動は図3
に示すように,9を加速される前の電子の運動量とすれ
ば,加速後は10のようになる。電子は電子加速装置中
を何度も回るために,上記の過程が繰り返され電子の運
動のうち平衡軌道に対して垂直方向の成分は図4に示す
ように次第に減衰していくことがわかる。平衡軌道から
ずれた電子の運動は,平衡軌道のまわりの振動となるた
め,横方向の運動量が減少すると,平衡軌道からのずれ
も減少していく。この放射減衰の効果は光を放射するこ
とに依存している。電子が電場あるいは磁場中で光を放
射することによって失うエネルギーは電子のエネルギー
の4乗に比例するため,電子のエネルギーが大きいほど
放射減衰の効果は大きい。即ち放射減衰によって入射電
子が平衡軌道へ移るのに要する時間は,入射電子のエネ
ルギーが大きいほど速い。従って低エネルギーでは放射
減衰によって入射電子が平衡軌道に移るのに要する時間
が非常に長くなる。そこで,本発明においては集束力あ
るいは発散力を持つ加速空洞を用いて放射減衰を加速す
るようにしている。電子加速装置内の平衡軌道上のある
一点,例えば図5の12の点で観測すると,電子が通過
する位置と,そのときの平衡軌道に対する電子軌道の傾
きを1周毎にプロットして行くと楕円を描くことが知ら
れている。この楕円は観測する位置12を変えて行くと
形が変化していくが,その面積は不変である。この楕円
の面積をエミッタンスと呼び,電子ビームあるいは放射
される光の質を決める値である。軌道上の適当な点では
図6に示すような楕円を描く場所がある。そこでは,電
子の通過する点の平衡軌道からのずれの大きさと,電子
軌道の平衡軌道に対する傾きに強い相関があることがわ
かる。電子軌道の平衡軌道に対する傾きは電子の横方向
の運動量であるから,この場所では電子の平衡軌道から
のずれと横方向の運動量の間に強い相関があることにな
る。この場所を通過する電子の運動の様子を図7に示
す。そこで,この場所に図8に示すような減速力を持つ
高周波加速空洞を置くと,光を放射する場合と同様な運
動量の減少が生じる。この減速力は,電子を減速すると
同時に電子に集束力を与えている。次に,電子加速装置
中の他の場所に置かれた通常の高周波加速空洞で,先の
減速によって減少したエネルギーを補充すると,電子の
横方向の運動が減少する。これらの様子は先に説明した
放射減衰の場合とまったく同様である。
【0006】上記の方法による電子の振動の減衰法は,
高周波加速空洞に集束力を持たせることによっている
が,電子軌道上では電子の振動の振幅が大きい場所と小
さい場所がある。この電子の振動の振幅はベータトロン
関数によってあらわされる。先に述べたように電子の軌
道上の一点で電子の振動の様子を観察し,電子の通過す
る位置の平衡軌道からのずれと,そのときの電子軌道の
平衡軌道に対する傾きをプロットした楕円の面積は,電
子軌道上の他の場所で同様にして描かれた楕円とおなじ
面積である。このことは,電子の振動の振幅の大きい場
所では,電子の軌道の平衡軌道に対する傾きは小さいこ
とをあらわしており(図9),逆に電子の振動の振幅が
小さい場所では電子の軌道の平衡軌道に対する傾きは大
きいことをあらわしている(図10)。このような電子
軌道上で平衡軌道に対する傾きが異なるような場所で,
加速,減速を行うと図11に示すように減速時の横方向
の運動量の増加に比べて加速時の横方向の運動量の減少
を大きくすることができるので,電子の振動の振幅を小
さくすることができる。図11において,40は平衡軌
道に対する電子の運動の傾きが大きい場所(図10)で
加速した場合を示し,41は平衡軌道に対する電子の運
動の傾きが小さい場所(図9)で減速した場合を示して
いる。上記したように電子加速装置では,蓄えられてい
る電子のエネルギーが高くなるほど,光を放射すること
により電子エネルギーの損失が大きくなる。この電子エ
ネルギー損失は高周波加速空洞で補われるが,電子のエ
ネルギーを高くすると高周波加速空洞の負荷が大きくな
る。そこで,入射時に減速モードで用いていた第2の高
周波加速空洞を,加速モードに切り替えることによっ
て,第1の加速空洞の負荷を減らし,より高エネルギー
で高電流の電子を加速,蓄積できるようになる。光を利
用する電子エネルギーまで加速した後も第2の高周波加
速空洞を減速モードに保つことによって,低エミッタン
スの電子ビームを得,質のよい光を取り出すことができ
る。とくに低エミッタンスの電子ビームを必要とされる
自由電子レーザーに用いると効果的であり,本発明を用
いない場合に比べて高い増幅率を得ることができる。
【0007】
【実施例】図1に,小型電子加速装置で用いられる2回
対称のチャスマン・グリーンラティスと呼ばれる装置に
本発明を適用した例を示す。17は第1の高周波加速空
洞であり,18は第2の高周波加速空洞である。第2の
高周波加速空洞の位置での電子が通過する位置と,その
ときの平衡軌道に対する電子軌道の傾きをプロットする
と図6のようになる。ここでは,先に述べたような電子
の通過位置とそのときに電子軌道の傾きによい相関があ
ることがわかる。電子は次のようにして入射される。ま
ず,第1の高周波加速空洞17が加速モードに,第2の
高周波加速空洞18が減速モードになるように移相器2
1を調整する。次に,適当なエネルギー,例えば15M
eVまで加速された電子ビームを電子加速装置に入射す
る。このとき入射用電磁石19を用いて入射軌道を23
のようにする。(ここでは入射軌道23の平衡軌道22
からのずれを誇張して描いてある)入射軌道23上を運
動しているある電子に着目すると,まず第1の高周波加
速空洞17で図4の10のように加速力を受ける。次に
この電子はリング内を運動し,第2の高周波加速空洞1
8で図4の8のように減速力を受ける。この結果電子の
運動エネルギーは第1の高周波加速空洞17で減速され
る前のエネルギーと同じになるが,横方向の運動量は減
少している。この入射エネルギーでは,電子が光を放射
することによって失うエネルギーは1周あたり1eV程
度と非常に小さいので問題にしなくてよい。このように
1周毎に上記のような横方向の運動量の減少が起こるた
め,次第に入射された電子の運動の横方向の振動の振幅
は減少して行くので,電子の運動はやがて平衡軌道22
に到達する。この時間は図11の41に示すような電場
を生じる第2の高周波加速空洞を用いて,第1高周波加
速空洞の電場の最大値が10kV,第2の高周波加速空
洞の電場の最大値が8kV,両者の空洞に与えられる高
周波電場の間の位相差を45°,減速に用いられる高周
波加速空洞での,電子軌道に沿った減速成分の電場と,
電子軌道に垂直な集束成分の電場の比を100:1とし
た場合,電子の横方向の運動の減衰時間は100mse
c程度となり,1秒間に数回の多重入射を可能とする。
上記の入射過程を繰り返して,十分な電流が蓄積される
と,偏向電磁石15,4極電磁石16の磁場を次第に増
加させながら,第1の高周波加速空洞17を用いて,蓄
積された電子のエネルギーを光を利用するのに適当なエ
ネルギーまで増加させていく。このとき第2の高周波加
速空洞18が加速モードに切り替わるように移相器21
を調整することによって,光を放射することによる電子
エネルギーの損失を十分補えるようにでき,電子エネル
ギーを1GeV程度まで加速することができる。これを
用いない場合には電子を600MeV程度までしか加速
できない。
【0008】図12に通常の加速に用いられる高周波加
速空洞の構成と,その内部での電場の様子を示す。この
ような高周波加速空洞では,中心軸,すなわち平衡軌道
からずれた粒子に対して,軸に直交する方向の電場25
の成分が存在するが,電子ビームの入口側24と出口側
24とで打ち消しあい,トータルでは電子は平衡軌道に
対して直交する力,すなわち集束力は受けない。ところ
が,図13に示すような高周波加速空洞を用いればビー
ムに集束力を与えることが出来る。この高周波加速空洞
は,ノーズコーン24を持つリエントラント型と呼ばれ
るものであるが,電子の入口側のノーズコーン24の大
きさと,出口側のノーズコーン24´の大きさが異なる
ようにつくられている。第14図にはこの高周波加速空
洞のギャップ付近での電場25の様子を示した。このよ
うに電子の入口側と出口側で非対称な電場を用いて電子
を減速すると,図8に示すような力を電子が受けるため
に電子の横方向の運動が減少して行くことがわかる。図
15には,他の高周波加速空洞の構成例を示す。この例
では二つのノーズコーンの対向する面26をテーパー加
工することによって電子ビーム軌道に対して直交する電
場の成分を発生させている。この例でも中心軸からずれ
た軌道を通る電子は入口側と出口側で軌道と直交する方
向の電場が完全に打ち消しあわないことから集束力を受
ける。図16には,ノーズコーン24,24´の内径が
電子の入口側と出口側で異なるようにし,かつ対向する
面を円錐状に加工することによって,より強い集束作用
を持たせたものである。電場の分布は図15に示したも
のとほぼ同じであるが,入口側と出口側での電場の電子
軌道と直交する成分の打ち消しあいが少なく,より強い
集束力が与えられている。
【0009】図17には,ノーズコーン24,24´の
内径が電子の入口側から出口側へ行くにしたがって減少
するようにした例を示す。この例でも電場25の分布は
図15,16に示したものと同様に集束力が生じるよう
になる。図18(a)(b)には,導電性の円柱27を
空洞26の内部に設け,空洞26の共振モードの内,集
束力を持つものが強く生じるように構成した例を示す。
また,図19(a)(b)には,空洞26の内部に四本
の円筒28を突き出させることによって,空洞の共振モ
ードのうち集束力を持つ成分が強く生じるように構成し
た例を示す。図12に示した電場の分布は高周波加速空
洞の基本モードと呼ばれるものであるが,空洞の共振に
はより高次の集束力を持ったモードが存在する。通常は
図12に示したモードが最も強く共振し通常の加速が行
われるが集束力は生じない。図18あるいは図19のよ
うな構成をとれば,通常のモードは抑制され,集束力を
持つモード(図18,19に示した電場分布を持つ)が
優先的に共鳴するので,容易に集束力を得ることが出来
る。図20(a)(b)には,加速空洞26の内部に4
極電磁石29を設け,4極磁場によって集束力を与える
ようにした例を示す。図21(a)(b)には,ノーズ
コーン24にフィンガー30を設けて集束力を持つ電場
25を生じるようにした例を示す。図22に上記の電子
加速装置を自由電子レーザー装置として適用した例を示
す。自由電子レーザーは電子軌道の一部に電子を蛇行さ
せることによって放射光を発生させるアンジュレータ3
1を備え,このアンジュレータから発生した光を鏡32
によってアンジュレータ31に戻すことによって光を干
渉させながら強めて行くことにより,レーザー発振を行
わせるものである。自由電子レーザーが発振する条件を
満足するためには電子ビームの質,すなわちエミッタン
スがよくなければならない。前述のようにエミッタンス
がよいとは,図5の楕円の面積が小さいことであり,こ
れは横方向の振動の振幅が小さくビーム径が小さいこと
である。この例では,電子を前記の手段によって入射蓄
積を行った後も第2の高周波加速空洞18を減速モード
のまま保つ。このことによって,電子は常にベータトロ
ン振動の振幅を減少させようとする力を受けるため,よ
り小さな電子ビーム径を得ることができる。自由電子レ
ーザー装置では,電子ビーム径が小さいほど発振条件を
満たすことが容易になり,より小型の自由電子レーザー
装置を構成することができる。
【0010】
【発明の効果】本発明は,以上の説明のように従来の放
射減衰に替わる減衰効果を与える高周波加速空洞を具備
して構成される。従来,放射減衰に要する時間が大きく
なることを解決するために,高エネルギー入射によって
入射回数を減らさんがため,入射器が大型化,高コスト
化していたが,本発明によれば,低エネルギー入射で多
重入射を短時間で行うことができる。従って,小型,低
コストの入射器を構成することができ,産業用として適
した小型,小スペースの電子加速装置を実現することが
できる。また,減衰効果を与えるための高周波加速空洞
は,入射後は電子を加速するために再設定することがで
き,電子の加速エネルギーをより大きくすることができ
る。このように減速,加速のモード切替えを可能にした
ことにより,小型でありながら,大きな加速エネルギー
が得られると共に,自由電子レーザー装置への適用をも
可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関る実施例装置の模式図。
【図2】 電子の放射減衰の説明図。
【図3】 電子の放射減衰の説明図。
【図4】 電子の放射減衰の説明図。
【図5】 電子の平衡軌道からのずれと傾きを示す説明
グラフ。
【図6】 電子の平衡軌道からのずれと傾きを示す説明
グラフ。
【図7】 図6における電子の運動を示す説明図。
【図8】 図7の電子に与える電磁力の説明図。
【図9】 電子の平衡軌道からのずれと傾きを示す説明
グラフ。
【図10】 電子の平衡軌道からのずれと傾きを示す説
明グラフ。
【図11】 電子の加速,減速方法を示す説明図。
【図12】 従来のノーズコーンを有する高周波加速空
洞の断面説明図。
【図13】 実施例のノーズコーンを有する高周波加速
空洞の断面説明図。
【図14】 図13における電場の分布を示す説明図。
【図15】 ノーズコーンを有する高周波加速空洞の実
施態様の説明図。
【図16】 ノーズコーンを有する高周波加速空洞の実
施態様の説明図。
【図17】 ノーズコーンを有する高周波加速空洞の実
施態様の説明図。
【図18】 高周波加速空洞の実施態様の説明図。
【図19】 高周波加速空洞の実施態様の説明図。
【図20】 高周波加速空洞の実施態様の説明図。
【図21】 高周波加速空洞の実施態様の説明図。
【図22】 本発明を適用した自由電子レーザー装置の
模式図。
【図23】 従来例電子加速装置の設置を示す平面図。
【図24】 従来例電子入射器の説明図。
【符号の説明】 18…第2の高周波加速空洞 19…第1の高周波加速空洞 24…入口側のノーズコーン 24´…出口側のノーズコーン 26…空洞 27…円柱 28…円筒 29…4極電磁石 30…フィンガー状突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 明 神戸市垂水区福田4丁目6−23 (72)発明者 鈴木 敏司 神戸市灘区新在家南町2−2−5 (56)参考文献 特開 昭62−136800(JP,A) 特開 昭63−96898(JP,A) 特開 平3−138900(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05H 13/04 H05H 7/18 G21K 1/087 H01S 3/30 JICSTファイル(JOIS)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子を加速するための第1の高周波加速
    空洞と,少なくとも電子入射時には電子を減速させるよ
    うにした第2の高周波加速空洞とを備えたことを特徴と
    する電子加速装置。
  2. 【請求項2】 第2の高周波加速空洞を配置した場所で
    のベータトロン関数は,第1の高周波加速空洞を配置し
    た場所でのベータトロン関数よりも大きくなるように,
    両空洞を配置した請求項1記載の電子加速装置。
  3. 【請求項3】 第1の高周波加速空洞または第2の高周
    波加速空洞のいずれかは,電子の横方向の運動に対して
    集束力あるいは発散力を与えるよう構成した高周波加速
    空洞である請求項1記載の電子加速装置。
  4. 【請求項4】 第2の高周波加速空洞を,電子の平衡軌
    道からのずれと,そのときの電子軌道の平衡軌道に対す
    る傾きとが,比較的高い相関関係を有する電子蓄積リン
    グ上の場所に配置する請求項1記載の電子加速装置。
  5. 【請求項5】 ノーズコーンを有するリエントラント型
    高周波加速空洞の,電子の入口側のノーズコーンと,出
    口側のノーズコーンとの内径を異にした請求項3記載の
    高周波加速空洞。
  6. 【請求項6】 ノーズコーンを有するリエントラント型
    高周波加速空洞の,ノーズコーンの電子の入口側のノー
    ズコーンと出口側のノーズコーンとの対向面にテーパー
    を形成した請求項3記載の高周波加速空洞。
  7. 【請求項7】 ノーズコーンを有するリエントラント型
    高周波加速空洞の,ノーズコーンの電子の入口側のノー
    ズコーンと出口側のノーズコーンとの内径を異にすると
    共に,対向面にテーパーを形成した請求項3記載の高周
    波加速空洞。
  8. 【請求項8】 ノーズコーンを有するリエントラント型
    高周波加速空洞の,ノーズコーンの電子の入口側のノー
    ズコーンから出口側のノーズコーンにかけて内径を変化
    させた請求項3記載の高周波加速空洞。
  9. 【請求項9】 電子の軌道と平行に4本の導電性の円柱
    を,電子の軌道から一定距離隔てた位置に配置した請求
    項3記載の高周波加速空洞。
  10. 【請求項10】 空洞の側面から4本の円筒を,空洞内
    に突出させた請求項3の高周波加速空洞。
  11. 【請求項11】 4極電磁石を電子軌道の周囲に配置し
    た請求項3の高周波加速空洞。
  12. 【請求項12】 ノーズコーンを有するリエントラント
    型高周波加速空洞の,電子の入口側のノーズコーンと出
    口側のノーズコーンとの面にフィンガー状の突起を互い
    に交差する位置に設けた請求項3記載の高周波加速空
    洞。
  13. 【請求項13】 第2の高周波加速空洞を,電子入射後
    は加速するために再設定できるよう構成した請求項1記
    載の電子加速装置。
  14. 【請求項14】 適用対象を自由電子レーザー装置とし
    た請求項1記載の電子加速装置。
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