JP2837646B2 - 補聴器ケースの製造方法 - Google Patents

補聴器ケースの製造方法

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  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外耳道に挿入する
補聴器ケースのうち厚みの薄いケースの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、外耳道に挿入する補聴器のケース
の製造方法として、特開平5−130697号公報に開
示される技術が知られている。この技術は外耳部の皮膚
と同色か或は調和された色調の補聴器ケースを一回の操
作で製造する方法であり、透明又は半透明の材料からな
る母型に外耳道の形状に合せた凹部を形成し、この凹部
に着色剤等を含有せしめた可視光硬化性樹脂組成物を充
填し、母型の外側から可視光線を照射して凹部に接する
可視光硬化性樹脂組成物を所定の厚みで硬化させた後、
未硬化の樹脂組成物を除去して、外耳道に挿入可能なケ
ースを製造するようにしている。
【0003】そして、この透明又は半透明の母型の材料
としては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)ペーストゾ
ル、硬化型のシリコーン樹脂組成物、ゼラチン粉末溶解
液、コンニャク粉末溶解液、或いはアルギン酸水溶液を
用いるようにしており、これら母型材料の中に外耳道の
内部形状から型取った原型より母型材料をゲル化或いは
硬化させ、原型を抜き出すことで、母型に外耳道形状を
型取った凹部を成形するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した母
型は、本来1つの母型を用いて同じ形状のケースを多量
に生産するよう使用されるべきものではなく、個人個人
の外耳道の形状に合せて夫々別個の母型を成形し、その
母型からその人に合ったケースを成形するよう使用され
るべきものである。すなわち、使用する人の外耳道の形
状にケースの形状を合せて成形することで、外耳道に挿
入した時に耳にフィットして違和感がなく、使い心地が
良好になる。
【0005】斯かる点で、上記のように母型材料として
ポリ塩化ビニル(PVC)ペーストゾルとか硬化型のシ
リコーン樹脂を用いると、1回母型として使用した材料
を再度使用することができず、経済効率が良くない。
【0006】また、ゼラチン粉末溶解液とか、コンニャ
ク粉末溶解液をゲル化する場合は、ゲル化した時に母型
として必要な強さ、こわさ等が不足しがちとなり、感光
性高分子材料を充填した時に型形状が変形してケースの
形状が正規な形から歪みがちになるという難点がある。
また、アルギン酸水溶液も1回母型として使用すると、
再度形を作り直すことができず、経済効率が良くなか
い。
【0007】このため、手軽に何回でも繰り返して使用
でき、且つゲル化した状態では母型としての強さ、こわ
さを有するような材料が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、透明又は半透明の母型に外耳道の形状に合わ
せた凹部を形成し、この凹部に感光性高分子材料組成物
を充填し、母型の外側から内部に向けて光を照射して凹
部に接する感光性高分子材料組成物を硬化させるように
した補聴器ケースの製造方法において、母型の組成割合
を、可逆性水成コロイドである寒天12〜18重量部、
調節剤等3〜6重量部、水60〜120重量部とした。
そして、このように母型材料の主成分を寒天にすること
で何回でも繰り返して使用することができ、個人個人毎
に母型を作り直す場合でも経済的である。ここで、調整
剤とは、ゾルの粘性、ゲルの強さ、こわさ等を調整する
材料であり、例えばワックス、ホウ酸塩、硫酸塩等であ
るが、これらの量を調整することで所望の粘性、強さ、
こわさ等が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態の一
例について添付した図面に基づき説明する。ここで図1
は本発明の補聴器ケースの製造方法を説明する工程図、
図2は補聴器を外耳道に挿入した状態を示す図、図3は
補聴器の内部構造の断面図である。
【0010】図2、図3に示すように、外耳道10に挿
入される補聴器1は厚みの薄い弾力性のあるケース2内
に小型の電池3、アンプ4、イヤホン5、マイクロホン
6等の機器を収容して構成され、ケース2の外形は外耳
道10の形状に合わせて形成されている。そして本発明
は、この補聴器1のケース2を感光性高分子材料から製
造するにあたり、ケース2の形状を外耳道10に合せて
精度良く製作し、外耳道10に挿入する際スムーズな挿
入感が得られるよう図ったものである。
【0011】ケース2の製造は、先ず、外耳部の形状に
合わせた母型11を成形する工程から始まる。すなわ
ち、例えば外耳道10の形状に対応する形状の原型12
を成形(例えばシリコーン樹脂、アルジネートのような
印象材を外耳道に挿入し型取ることで成形)した後、こ
の原型12を容器13内に収容し、しかる後、加温して
ゾル状にした寒天を主体とする母型材料11aを図1
(A)に示すように、容器13内に流し込み冷却する。
【0012】すると母型材料11aの粘性は、原型12
の外形形状の細部までゆきわたる程の低粘度であるが、
常温まで温度が低下すると、全体がゲル化した母型11
が製作される。そこで図1(B)に示すように、ゲル化
した母型11から原型12を抜き出すと、外耳道と同形
の凹部cが形成される。
【0013】ここで、母型材料11aの組成について説
明する。母型材料11aは、寒天12〜18重量部、調
節剤3〜6重量部、水60〜120重量部の組成からな
る可逆水成コロイドである。ここで調整剤とは、ゾルの
粘性、ゲルの強さ、こわさ等を調整するためのもので、
例えばホウ酸塩、硫酸塩、硬質ワックス、チクソトロピ
ーを示す物質等からなる。このうち、例えばホウ酸塩は
ミセルの骨組みの強さないし密度を高める何等かの機構
に作用し、また、硬質ワックスもゲルのこわさとゾルの
粘性を高めるよう作用する。また、チクソトロピーを示
す物質は材料のチクソトロピー(攪拌することで粘性が
低下し放置することで粘性が増大する性質)が高まるよ
う作用する。そして、上記成分組成にすることで、外耳
道10形状の再現性が良く、しかもゲル化した時の強
さ、こわさが適切で変形しにくくなり、型としての機能
を損なわない。
【0014】こうして形成された母型11は半透明であ
り、次に図1(C)に示すように、母型11の凹部cに
感光性高分子材料14を充填する。この感光性高分子材
料14は、可視光又は紫外光で硬化する硬化性樹脂組成
物を主成分とし、その他に、フィラー、肌色に近い色合
いの顔料等を含んでいる。そして、母型11の凹部cの
全周から照射光源15にて可視光又は紫外光を照射する
と、光は半透明の母型11を貫通して凹部c内の感光性
高分子材料14に作用し、凹部cに接する感光性高分子
材料14を所定の厚みで重合又は架橋等の連鎖反応を起
こさせ硬化させる。
【0015】以下の表は寒天及び高透明シリコーンの光
透過率と照射光の波長との関係を示すものであり、この
(表)から明らかなように、紫外光から可視光領域にな
るにしたがって光透過率は上昇する。尚、光の透過率は
寒天に加える水の量を増やせば高くなるが、水の量を増
やすと強度が低下するので、前記した範囲とする。
【0016】
【表】
【0017】以上の如くして所定の厚みの感光性高分子
材料14が硬化した後、図1(D)に示すように内部の
未硬化の感光性高分子材料14を除去すると、凹部cの
型面に沿って硬化14a層が残り、図1(E)に示すよ
うに、この硬化層14aを取り出し必要に応じて再度光
を照射してケース2とする。そして、図3に示すよう
に、このケース2内に電池3、アンプ4、イヤホン5、
マイクロホン6等を組込むんで補聴器1にすると、ケー
ス2の外形は外耳道10の形状に合せて精度良く製作さ
れているためフィット感が良く、長時間外耳道に挿入し
ても違和感がなく使い心地は良好である。
【0018】尚、以上のようなケース2の製造方法は、
母型11が可逆水成コロイドであるため、再度加熱して
ゾル化すれば、繰り返して何回でも使用でき、個人個人
の外耳道形状に応じた母型11に作り直すのに都合が良
く経済的である。
【0019】因みに、ゲル化した母型11は長時間空気
中に放置すると離液が始まってゲルが収縮し、ある程度
の寸法変化が避けらないため、成形したケース2の形状
が歪むような不具合が生じ兼ねない。このため、母型1
1の成形から型として使用するまで長時間要するような
場合は、例えば硫酸カリウムの2%溶液に浸漬するか、
或いは100%の相対湿度の雰囲気中で保存すると寸法
変化が少ないことが判っている。
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明の補聴器ケースの製
造方法は、寒天を主成分とする材料から外耳部の形状に
合わせて成形した母型に感光性高分子材料を充填し、母
型の外側から内部に向けて光を照射して母型の型面に接
する感光性高分子材料を所定の厚みで硬化させるように
したたため、母型を何回でも作り直すことができ、個人
個人の外耳道の形状を精密に再現したケースを効率良く
製造できる。また、母型の組成を、寒天12〜18重量
部、調節剤等3〜6重量部、水60〜120重量部とす
ることで、ゾルの粘性、ゲルの強さ、こわさ等が適切に
調整され、母型の型形状が正確に再現できるとともに、
この母型に充填して成形する感光性高分子材料の形状も
正確に再現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の補聴器ケースの製造方法を説明する工
程図
【図2】補聴器を外耳道に挿入した状態の説明図
【図3】補聴器の内部構造の説明図
【符号の説明】
1……補聴器、2…ケース、10…外耳道、11…母
型、14…感光性高分子材料。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明又は半透明の母型に外耳道の形状に
    合わせた凹部を形成し、この凹部に感光性高分子材料組
    成物を充填し、母型の外側から内部に向けて光を照射し
    て凹部に接する感光性高分子材料組成物を硬化させるよ
    うにした補聴器ケースの製造方法において、前記母型の
    組成割合は、寒天12〜18重量部、調節剤等3〜6重
    量部、水60〜120重量部としたことを特徴とする補
    聴器ケースの製造方法。
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US6393130B1 (en) 1998-10-26 2002-05-21 Beltone Electronics Corporation Deformable, multi-material hearing aid housing
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