JP2837579B2 - 放射線環境下に曝される材料の余寿命推定方法とその装置 - Google Patents

放射線環境下に曝される材料の余寿命推定方法とその装置

Info

Publication number
JP2837579B2
JP2837579B2 JP4145965A JP14596592A JP2837579B2 JP 2837579 B2 JP2837579 B2 JP 2837579B2 JP 4145965 A JP4145965 A JP 4145965A JP 14596592 A JP14596592 A JP 14596592A JP 2837579 B2 JP2837579 B2 JP 2837579B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
relationship
exposure
critical
exposure period
irradiation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4145965A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05333189A (ja
Inventor
静 島貫
清智 仲田
英哉 安斉
静雄 松下
茂樹 笠原
道好 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP4145965A priority Critical patent/JP2837579B2/ja
Publication of JPH05333189A publication Critical patent/JPH05333189A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2837579B2 publication Critical patent/JP2837579B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高エネルギー粒子また
は電磁波さらされる材料の余寿命推定方法および装置
に関し、特に、高温水中・中性子照射下で使用され、応
力腐食割れを発生する金属材料に好適な余寿命推定方法
および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】原子炉内で使用されるオ−ステナイトス
テンレス鋼等の材料は、高温水の腐食性環境下にあっ
て、放射線照射をうけるので、腐食損傷や材質変化に起
因した照射誘起応力腐食割れ(IASCC)発生の可能
性がある。照射誘起応力腐食割れ(SCC)は、その破
断面の形状によって粒内型と、粒界型に分類される。
【0003】これらの原子炉プラントでは、万一事故が
発生するとその社会的波及効果が大きく、したがって事
故を未然に防止することが不可欠である。照射誘起応力
腐食割れ(IASCC)を抑制する方法として、現在で
は水素を注入する方法が提案されている。この方法で
は、水素を注入することにより溶存酸素濃度を低減し、
または腐食電位を低下させる。
【0004】また、従来、前記材料の応力腐食割れに対
する安全性は、毎年定期点検を行うことで確認されてお
り、定期点検以後の使用に対する保証が与えられてい
る。しかし、この方法では、定検時点での安全性は確認
できるが、次の定期点検までに応力腐食割れが発生する
かどうかの寿命予測はできない。
【0005】また、金属材料の応力腐食割れ寿命診断シ
ステムとして、特開昭64ー69942号公報に記載の
技術がある。この技術は、新生面の活性溶解に対する電
荷量および腐食の局在化係数を求めることにより、応力
腐食割れ特性を評価するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭64ー69
942号公報に記載の技術では、試料の余寿命を測定す
るためには、新生面の活性溶解に対する電荷量および腐
食の局在化係数を求めなければならない。従って、試料
に簡単な検査を行うだけで、粒子の照射を受け脆化する
材料の余寿命を測定することはできないという問題があ
る。
【0007】本発明の目的は、試料の物理的特性を簡単
に測定することによって、高エネルギー粒子または電磁
波にさらされることにより不安定破壊を生じる可能性の
ある材料の余寿命を測定することができる、原子炉に適
用可能な余寿命推定装置および方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の態様によれば、高エネルギー放射線
に曝されることによって機械的性質が劣化する材料を複
数の曝露条件下で高エネルギー放射線に曝して得た複数
種類のモデル試料の物理量と曝露期間との関係を求める
第1のステップ、第1のステップで得られた関係から該
試料が不安定破壊を起こすに至る臨界曝露期間を求める
第2のステップ、該モデル試料と実質的に同一の組成を
有する材料からなる実試料を、該材料を構成部材として
含む測定対象の高エネルギー放射線照射環境下に設置す
る第3のステップ、該実試料の照射後の物理量を随時測
定する第4のステップ、第1のステップで求めた物理量
と曝露期間との関係から、第4のステップで得られた実
試料の物理量に対応する実曝露期間を求め、これを該測
定対象の実曝露期間とする第5のステップ、第2のステ
ップの臨界曝露期間と第4のステップの該測定対象の
曝露期間の差を求める第6のステップを含む、余寿命推
定方法が提供される。
【0009】上記第1のステップは、複数種類モデル
試料の物理量と曝露量との関係を求める第1の1のステ
ップと、該曝露量とその曝露量に対応する測定対象の曝
露期間との関係を求める第1の2のステップとを含み、
前記第2のステップは、第1の1のステップで得られた
関係から該材料が不安定破壊を起こすに至る臨界脆化量
とその臨界脆化量に対応する臨界曝露量とを求める第1
の1のステップと、第1の2のステップで求めた曝露量
曝露期間との関係から、臨界曝露量に対応する測定対
象の臨界曝露期間の関係を求める第2の2のステップ
を含む
【0010】また、本発明の第2の態様によれば、高エ
ネルギー放射線に曝されることによって機械的性質が劣
化する材料を複数の曝露条件下で高エネルギー放射線に
曝して得た複数種類のモデル試料に基づいて求めた該出
る試料の物理量と曝露期間との関係を記憶する第1の記
憶手段、第1の記憶手段に記憶された関係から該材料が
照射による不安定破壊を起こすに至る臨界曝露期間を求
める第1演算手段、該モデル試料と実質的に同一の材料
を構成部材として含む測定対象の高エネルギー放射線照
射環境下に設置され、かつ、該モデル試料と実質的に同
一の組成を有する材料から成る実試料から得られた照射
後の物理量を取り込む手段、第1の記憶手段の記憶する
物理量と曝露時間との関係から、該取り込み手段が取り
込んだ実試料の物理量に対応する実曝露期間を求め、こ
れを該測定対象の実曝露期間とし、該測定対象の実曝露
期間と第1の演算手段が求めた臨界曝露期間との差を求
める手段と含む、余寿命推定装置が提供される。
【0011】上記第1の記憶手段は、複数種類のモデル
試料の物理量と曝露量との関係を記憶する第1の1の記
憶手段と、該曝露量とその曝露量に対応する測定対象の
曝露期間との関係を記憶する第1の2の記憶手段とを備
え、前記第1の演算手段は、第1の1の記憶手段が記憶
する関係から該材料が不安定破壊を起こすに至る臨界脆
化量と、その臨界脆化量に対応する臨界曝露量とを求め
る第1の1の演算手段と、第1の2の記憶手段が記憶す
る関係を用いて、該臨界曝露量に対応する測定対象の臨
界曝露期間の関係を求める第1の2の演算手段とを備え
ることができる。
【0012】
【作用】本発明の第1の態様に係る余寿命推定方法にお
いて、実試料は、寿命の監視を行なう被寿命監視部と実
質的に同組成を有する材料を含む、前記被寿命監視部と
実質的に同環境の高エネルギー放射線下に配置される。
【0013】ここで、高エネルギー放射線は中性子、イ
オン、α線、γ線などの、高エネルギー粒子および電磁
波をいう。本発明では、特に0.1MeV以上で金属材
料に対し、脆化を生じさせるようなエネルギーをもつ高
エネルギー粒子および電磁波を高エネルギー放射線など
という。
【0014】また、予め実験として、複数種類のモデル
試料を、前記被寿命監視部と実質的に同環境に配置し
て、前記環境下での曝露期間と前記モデル試料の物理量
の測定を行なう。これにより、前記環境下での曝露期間
と前記モデル試料の物理量との関係を求める。また、モ
デル試料の曝露期間と物理量の関係から、実試料を構成
する材料の不安定破壊を起こすに至る臨界曝露期間を求
めておく。本発明において、不安定破壊は、高エネルギ
ー放射線の照射下の寿命監視部に配置した実試料で発生
する応力腐食割れまたはその割れが進展して成長して、
瞬時に破壊に至る状態を示し、脆性破壊と延性破壊の両
者を含むものとする。
【0015】つぎに、前記被寿命監視部と実質的に同環
境に配置された前記実試料の物理量を随時測定する。
【0016】前記物理量と曝露期間の関係を用いて、前
記実試料の物理量に対応する前記物理量と曝露期間の関
係を求める。つぎに、この前記実試料の物理量と、前記
臨界曝露期間との差を求め、これを前記被寿命監視部の
余寿命とする。
【0017】前記物理量は、コンプライアンス、硬さ、
強度、伸びなどの機械的特性や応力腐食割れ性を用いる
ことができる。
【0018】本発明の余寿命推定方法および装置は、核
融合炉、原子炉、粒子加速装置等を行使する材料の余寿
命を推定するのに適している。
【0019】
【実施例】本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0020】(実施例1)本発明の第1の実施例の原子
炉構成部材のオーステナイトステンレス鋼の余寿命推定
装置は、図17のように、図14に示す試料11の物理
量としてコンプライアンスλを測定する測定装置14
と、予め実験により求めた、試料11のコンプライアン
スλと経過時間tとの関係を表す関数g、および、試料
11が寿命となるまでの経過時間tcとを記憶する記憶
装置112と、測定装置14の測定結果と記憶装置11
2の記憶内容を用いて余寿命を演算する演算装置19と
を備える。さらに、余寿命を表示する表示装置10と、
記憶装置112の記憶内容の関数gを補償する関数補償
装置111と、補償に用いる経過時間toを出力するタ
イマ113とを備えて構成される。本実施例において、
経過時間tは前述の曝露期間に、対応する。また、寿命
となるまでの経過時間tcは、前述の不安定破壊を起こ
すに至る臨界曝露期間に対応する。
【0021】測定装置14は、図15のように、試料1
1と、試料11に連結されて試料11を引っ張る引っ張
り治具18と、試料11に一定変位Φを与えた状態で、
引っ張り治具18を拘束治具15に固定するねじ16を
備えている。引っ張り治具18には、試料11に加わっ
ている引っ張り荷重pを測定して、電気信号に変換する
ロードセル13が連結されている。ロ−ドセル13は、
放射線照射をうける370℃以下、150気圧以下の高
温高圧水中で使用可能な、許容最大荷重500kg、精
度±1kgのものを使用した。
【0022】本実施例では、前述のモデル試料および実
試料として、試料11を用いている。試料11は、寿命
を測定する原子炉構成部材と同組成のオーステナイトス
テンレス鋼製で、図14に示すように、板厚B=約5m
m、幅W=約12mmの大きさで、引っ張り治具18に
連結するための貫通孔11a、11bを有している。ま
た、貫通孔11a、11bの間には、荷重が加えられて
いないときの開口部の幅がΦ0の切欠き11cが設けら
れている。また、切欠き11cの先端部には、約1.5
mm長さの疲労予亀裂12が設けられている。疲労予亀
裂12は、規格(ASTM E−399)にもとづい
て、試料11の貫通孔11a、11bを、引っ張り試験
機に連結し、室温大気中において、試料11の構成材料
の破壊靭性値の60%以下の応力拡大係数値で、図14
の矢印の方向に引っ張ることにより、設けた。これによ
り、疲労予亀裂12の先端は、試料11の幅Wの約1/
2の位置に達した。この疲労予亀裂12は、試料11を
モデル試料に用いる場合にも、実試料に用いる場合にも
等しく設ける。
【0023】疲労予亀裂12を設けた試料11を、引っ
張り治具18と、内部ロ−ドセル13とに直結し、これ
を引張試験機で、切欠き部11cの開口が一定変位Φに
なるまで引張る。そして、引張った状態でこれらを拘束
治具15にネジ16で固定することにより、試料11を
測定装置14にセットする。
【0024】実試料として試料11を搭載した測定装置
14は、図17および図16に示すように、原子炉17
内の中性子計装管170内に配置される。本実施例で
は、上記測定装置14を、原子炉の稼働当初から炉内に
装荷する。中性子計装管170の肉厚は約1.5mmで
あり、中性子照射の金属内透過能力である10数cmに
比べ、十分小さいので、計装管170内での中性子照射
と直接照射とは、ほとんど差異がなく、原子炉構成部材
とほぼ同環境である。ロードセル13の信号線は、中性
子計装管170の内部を引き回し、原子炉17の外部に
出して、演算装置19に接続する。
【0025】次に、記憶装置112の構成を説明する。
記憶装置112は、図23のように、第1記憶手段11
2aと第2記憶手段112bを有している。第1記憶手
段112aには、予め複数のモデル試料を用いて実験に
より求めた、試料11のコンプライアンスλと試料の亀
裂長さaとの関係を示す関数λ=g1(a)の数式が記
憶されている。関数λ=g1(a)のグラフを図19に
示す。また、第2記憶手段112bには、同じく予め複
数のモデル試料を原子炉模擬環境におく実験により求め
た、試料11の亀裂長さaと、原子炉内に配置されてか
らの経過時間tとの関係を示す関数a=g2(t)の数
式と、オーステナイトステンレス鋼が不安定破壊を生じ
て寿命となるまでの時間tcが記憶されている。関数a
=g2(t)と、寿命となるまでの時間tcのグラフを
図20に示す。
【0026】関数g1は、室温大気中において、図18
に示すように、亀裂長さの異なる複数の試料11を用い
て、これら試料11の荷重pと変位Φとの関係を求める
ことにより得た。原子炉運転温度288℃への適用は、
ヤング率補正によって行なった。関数g2,寿命t
cは、実験的に作成した原子炉模擬環境(288℃、8
0気圧高温高圧水、γ線105〜108R/H照射)に、
モデル試料として試料11を搭載した測定装置14を配
置して、配置してからの経過時間tと、亀裂進展にとも
なって生じる荷重Pの変化を図19から、亀裂長さaに
換算して求めたものである。この環境下で、予め形成し
た亀裂は、経過時間tとともに、ゆるやかに安定に進行
し、その長さaは次第に長くなる。亀裂長さaは、一定
時間経過ごとに、実際に亀裂の先端部を顕微鏡で確認し
て測定した。
【0027】また、試料11のコンプライアンスλは、
以下の様に測定した。コンプライアンスλは、λ=EB
Φ/p(E:ヤング率、B:試料11の板厚)で与えら
れる。図18は、亀裂長さaが異なる(図中a1〜a5
5本の試料11について求められた、弾性範囲内での荷
重Pと亀裂開口変位Φの関係である。図18に示すよう
に、亀裂長さが大きくなるにしたがって直線の勾配が小
さくなることがわかる。コンプライアンスλは、図18
の勾配の逆数(Φ/P)にヤング率Eと試験片板厚Bを
乗じ標準化した値である。本実施例の測定装置14は、
試料11の開口変位を一定変位Φに保ち、この時の試料
11に加わっている荷重pをロードセル13の出力荷重
pとして得る。したがって、Φは定数として与えられ、
荷重pのみを測定することにより、コンプライアンスλ
が得た。このコンプライアンスλと、亀裂長さaを、図
19のようなグラフに表し、関数λ=g1(a)を表す
数式を得た。図19のように、亀裂長さaの進行と共
に、荷重pは小さくなり、コンプライアンスλは大きく
なる。
【0028】また、経過時間tを別途測定し、対応する
亀裂長さaとの関係を、図20のようなグラフに表し、
関数a=g2(t)を表す数式を得た。亀裂長さaが、
大きくなり、試料11を構成する材料の応力拡大係数K
値、材料の破壊靭性値Kicに等しくなる時点qで、亀
裂が急速に伸び、試料11は破断する。原子炉模擬環境
下での実験を、モデル試料である試料11が不安定破壊
を生じて破断するまで続けて、破断時q点までの経過時
間tcを得て、これを寿命となるまでの経過時間tcと
した。
【0029】これらg1,g2,tcを記憶装置112
に記憶させた。関数g1,g2は、それぞれ図19、図
20を読み取った数式g1=k1a5+k2a4+k3a
3+k4a2+k5a+k6(k1〜k6は定数)、g2
=m1t5+m2t4+m3t3+m4t2+m5t+m6
(m1〜m6は定数)の形で記憶された。また、亀裂長
さaの測定検出限界は、±0.01mmであった。予亀
裂長さは、1/2・W=6mmであるので、亀裂長さa
=6.02mm以下は、検出限界であり、余寿命予測可
能範囲は、図20に示す範囲となる。
【0030】次に、演算装置19の構成について説明す
る。演算装置19は、第1の演算手段19aと、第2の
演算手段19bを備えている。第1演算手段19aは、
第1記憶手段112aの関数g1を読み込み、実試料と
して試料11を登載した測定手段14が測定した荷重p
oを、関数g1に代入する。これにより得られたλo=E
BΦ/po=g1(af)から、荷重poに対応するaf
求め、第2演算手段19bに出力する。第2演算手段1
9bは、第2記憶手段112bの関数g2を読み込み、
第1演算手段19bから入力された亀裂長さafを、関
数g2に代入する。これにより得られたaf=g2
(tf)から、亀裂長さafに対応するtfを求める。さ
らに、第2演算手段19bは、第2記憶手段112bか
ら、寿命までの経過時間tcを読み込み、余寿命tc−t
fを計算して、表示装置10に出力する。また、さら
に、第2演算手段19bは、これまで得たデータaf
ら、afの時間変化率daf/dtfと、応力拡大係数K
=fσ√a=f・po/WB・√a(ここで f;予め
与えられる形状係数、σ;応力、a;亀裂長さ)を計算
し、表示装置10に出力する。
【0031】次に、関数補償装置111の構成について
説明する。関数補償装置111は、補償演算手段111
aと、最小2乗法プログラムを記憶するプログラム記憶
部111bを有している。関数補償装置111は、af
に対応するpo測定時の時間toを、タイマ113より受
信し、第2演算手段に、関数g2から時間toに対応す
るaoを計算させる。関数補償装置111は、関数a=
g2(t)から求めた(af,tf)と、実際の時間経過
oから逆算した(ao,to)の、afとaoとを比較す
る。afとaoとの差が、予め定めた値より大きい場合に
は、プログラム記憶部111bから最小2乗法プログラ
ムを読み込む。そして、これまでに得た複数のデータ
(afn,ton)(n:データの順番を示す数)と、
(ac,tc)とを用いて、最小2乗法により関数g2に
フィッティングを施し、g2を異なる関数af=g2’
(to)に、補償する。(ac,tc)を用いるのは、寿
命となる時間tcに対応するac=g2(tc)は固定と
し、関数g2’がac=g2’(tc)を満たすようにす
るためである。
【0032】また、表示装置10は、CRT10aと、
プリンタ10bとを有している。CRT10aは、余寿
命tc−tfと、応力拡大係数Kと、afの時間変化率
daf/dtfとを表示する。プリンタ10bは、これら
を用紙上にプリントアウトする。
【0033】次に本実施例の原子炉構成部材オーステナ
イトステンレス鋼の余寿命測定装置の動作を図22のフ
ローチャートを用いて説明する。
【0034】測定装置14は、ロードセル13により、
実試料である試料11に加わる荷重poを測定し、演算
装置19に出力する(ステップ181)。演算装置19
の第1演算手段19aは、荷重poを受信し、記憶装置
112の第1記憶手段112aの関数g1を用いて、p
oに対応する亀裂長さafを求める(ステップ182)。
そして、この亀裂長さafが、亀裂の測定限界X0=0.
02mmより大きければ、第2演算手段19bにaf
出力し、小さければステップ181にもどる(ステップ
183)。
【0035】関数補償装置111は、afに対応するpo
測定時の時間toを、タイマ113より受信し、これを
第2演算手段に出力し、第2演算手段19bに、関数g
2から、時間toに対応するaoを計算させる(ステップ
184)。そして、関数補償装置111はafとaoを比
較し(ステップ185)、この差が予め定めた値より大
きい場合には、上述の様に最小2乗法を用いて関数g2
を、関数g2’に補償する(ステップ186)。第2演
算装置19bは、補償された第2記憶手段112b中の
関数g2を用いて、afに対応する時間tfを求める。さ
らに、第2記憶手段112b中の寿命となる経過時間t
cから、tc−tfを計算し、これを余寿命として、表示
装置10に出力する。また、さらに、第2演算手段19
bは、これまで得たデータから、afの時間変化率daf
/dtfと、応力拡大係数Kf=Fσ√af=F・po/W
B・√af(ここで F;形状係数、σ;応力、af;亀
裂長さ)を計算し、表示装置10に出力する(ステップ
187)。表示装置10は、余寿命(tc−tf)と、応
力拡大係数Kfと、daf/dtfを表示する(ステップ
188)。
【0036】この様に、本実施例の余寿命測定装置は、
実試料として予め予亀裂を設けた試料11を、原子炉の
ほぼ同環境に配置し、その荷重を測定するという簡単な
構成で、原子炉構成部材のオーステナイトステンレス鋼
の応力腐食割れに対する不安定破壊に対する余寿命を、
容易に精度良く測定することができる。通常、構造物は
亀裂進展を生じない応力条件(図21の亀裂発生限界応
力拡大係数Kth以下の応力条件)で使用されるが、溶接
欠陥や介在物等を起点として亀裂が発生進展することが
ある。発生した亀裂は、時間とともにゆるやかに安定に
進むが、亀裂長さが大きくなりK値が既知の材料の破壊
靭性値Kicに等しくなると、図20及び図21に示され
るように、亀裂が急速に伸び、不安定破壊により破断す
る。本実施例の余寿命測定装置は、このような亀裂の進
展を、実際の炉内の環境で実試料の試料11上に引き起
こし、これの機械特性値を用いて、シミュレーションす
ることで、精度良く、余寿命を測定するものである。
【0037】また、本発明は、試料11のコンプライア
ンスλを変数とし、これを試料11に一定変位Φを与え
る測定装置14により測定することとした。これによ
り、試料11に加わる荷重pを測定するのみで良く、過
酷な環境条件である原子炉内での実測を可能にしてい
る。さらに、関数補償装置111により、既知の亀裂進
展曲線である関数g2は、実測された亀裂長さと大きく
異なる場合に修正される。これにより、精度の高い寿命
予測ができる。また、上述では、関数補償装置111
は、図22のステップ184から186を測定の度に行
なう動作を説明したが、必ずしも測定の度に行なう必要
はなく、任意の時間間隔で数回に一度行なうように構成
することももちろん可能である。また、破壊靭性値Kic
には、安全率(裕度)を持たせることができる。
【0038】本発明では、上記実測された亀裂長さaや
寿命予測装置から算出された亀裂進展速度daf/dtf
及び応力拡大係数Kがディスプレイやプリンタ等の装置
に表示され、炉内材料の亀裂進展挙動が一目で確認され
るようになっている。従って、非常に使い勝手の良い余
寿命測定装置となっている。
【0039】また、第1の実施例では、記憶装置112
内に記憶させる関数をλ=g1(a)とa=g2(t)
に分けて、一旦、亀裂長さaを求めて構成した。ここ
で、λ=g1・g2(t)=g(t)と表すことができ
るので、一つの関数gで、直接経過時間tから、余寿命
を求めることももちろん可能である。
【0040】さらに本実施例では、寿命を監視する部分
と同組成の試料11を用いたが、寿命を監視する部分
と、試料11との機械的特性の経時変化の関係が予め明
らかであれば、異なる組成の材料で試料11を形成する
ことも可能である。また、本実施例では、測定装置14
を中性子計装管170の内部に配置したが、中性子計装
管170付近の環境と、異なる環境に配置された部分で
あっても、その環境の差からくる余寿命の差が明らかな
部分であれば寿命監視を行なうことができる。これらの
場合、その余寿命の差を用いて演算手段で補正を行な
う。
【0041】また、本実施例では、モデル試料として、
実試料と同形状の試料11を用いたが、これに限定され
るものではない。曝露期間と、コンプライアンスλとの
関係を求められるものであれば、種々の形状のモデル試
料を用いることができる。
【0042】(実施例2)本発明の第2の実施例を、図
1,2を用いて説明する。図1は、本実施例に係る余寿
命測定装置のブロック図であり、図2は、本実施例に係
る余寿命測定方法のフローチャートである。
【0043】図1に示すように、この余寿命測定装置
は、中性子等の高エネルギー粒子または電磁波の照射を
受けた実試料の機械的特性値変化量を入力するキーボー
ド1などの入力手段と、予め所定の情報を記憶している
記憶部3と、図示しないメモリに書き込まれているプロ
グラムに従って所定の演算を行う演算部2と、演算部3
から出力される余寿命を表示するCRT4などの出力手
段とを備えて構成されている。
【0044】記憶部3は、予め定めた量の粒子を照射し
た数種のモデル試料の機械的特性値変化量と、このモデ
ル試料への粒子照射による脆化の程度を示す照射脆化量
との関係を予め記憶している第1記憶手段と、上記モデ
ル試料への粒子照射量と上記モデル試料の照射脆化量と
の関係、および、このモデル試料の応力腐食割れによる
破壊が発生する臨界照射脆化量に対応する照射量である
臨界照射量を予め記憶している第2記憶手段と、上記モ
デル試料と略同組成である実試料への粒子照射量と、こ
の実試料への粒子照射期間との関係を予め記憶している
第3記憶手段とを備えて構成されている。
【0045】上記記憶部3に記憶されている内容につい
て、図3を用いて説明する。図3は、記憶部3に記憶さ
れている内容を示すグラフである。図3(a)は、第1
記憶手段の内容を示すグラフであり、縦軸は機械的特性
値変化量、横軸は照射脆化量を示す。縦軸に示す機械的
特性値変化量とは、例えば、イオンや中性子等の粒子照
射前後の硬さの変化量、0.2%耐力の増加量等をい
う。横軸に示す照射脆化量とは、前述の不安定破壊によ
る脆化量を表しており、試料の脆性破壊による脆化と、
延性破壊による脆化とを含んでいる。具体的には、粒子
照射前後の破断伸びの比(粒子照射後の破断伸び/粒子
照射前の破断伸び)をいう。
【0046】図3(b)は、第2記憶手段の内容を示す
グラフであり、縦軸はモデル試料への粒子照射量を示
し、横軸は照射脆化量を示す。また、同図に示す臨界照
射脆化量とは、割れが発生するときの照射脆化量をい
い、この臨界照射脆化量に対応する粒子照射量を、臨界
粒子照射量という。
【0047】図3(c)は、第3記憶手段の内容を示す
グラフであり、縦軸は実試料の粒子照射量を示し、横軸
は粒子照射期間を示す。ここで、粒子照射臨界期間と
は、臨界粒子照射量に対応する粒子照射期間をいう。
【0048】上記した図3(a),(b),(c)の内
容は、必要に応じて、CRT4などの出力手段表示して
もよい。
【0049】演算部2は、CPUからなり、粒子が照射
された実試料の機械的特性値変化量に対応する照射脆化
量を、第1記憶手段から求める第1演算手段と、第1演
算手段から求めた照射脆化量に対応する実試料への粒子
照射量を、第2記憶手段から求める第2演算手段と、第
2演算手段から求めた実試料への粒子照射量に対応す
る、実試料への粒子照射期間を第3記憶手段から求める
第3演算手段と、第2記憶手段に記憶されている臨界照
射量に対応する臨界照射期間を、第3記憶手段から求
め、この臨界照射期間と上記粒子照射期間とを比較し、
その差および比のいずれか、または、両方を算出する第
4演算手段とを備えて構成されている。
【0050】次に、この余寿命測定装置100を用い
て、材料の余寿命を測定する方法について説明する。一
般に、材料は、中性子などの粒子が照射されると、硬さ
や強度及び伸びの変化を生じる。一方、このような材質
変化とともに、材料は照射により脆化する。そこで、材
料の余寿命を測定するために、中性子などの粒子を照射
した材料について、硬さ・強度などの機械的特性値変化
量と、照射脆化量との関係を求める。さらに、照射脆化
量と粒子照射量との関係、および、粒子照射期間と粒子
照射量との関係を求める。そして、硬さ・強度などの機
械的性質の変化から、照射脆化量が求められるように
し、余寿命を測定した。
【0051】この方法を、図2に示すフローチャートに
従って説明する。まず、粒子の照射を受けた実試料の機
械的特性値変化量を入力する(ステップ41)。次に、
予め定めた量の粒子を照射した、上記実試料と略同組成
のモデル試料の機械的特性値変化量と照射脆化量との関
係を記憶している第1記憶手段から、上記実試料の機械
的特性値変化量に対応する照射脆化量を求める(ステッ
プ42)。前述のように照射脆化量は、不安定破壊によ
る脆化量を示す。次に、モデル試料への粒子照射量とモ
デル試料の照射脆化量との関係、および、モデル試料の
破壊が発生する臨界照射脆化量に対応する照射量である
臨界照射量を予め記憶している第2記憶手段から、実試
料の照射脆化量に対応する実試料への粒子照射量を求め
る(ステップ43)。次に、実試料への粒子照射量が、
臨界照射量以上のときは(ステップ44)、その旨を出
力し、材料の交換などを表示する(ステップ45)。ま
た、実試料への粒子照射量が、臨界照射量未満のとき
は、実試料への粒子照射量と実試料への粒子照射期間と
の関係を予め記憶している第3記憶手段から、上記粒子
照射を受けた実試料の粒子照射量に対応する粒子照射期
間を求める(ステップ46)。次に、この粒子照射期間
と臨界照射量に対応する粒子照射臨界期間との差および
比のいずれか、または、両方を求め(ステップ47)、
CRTなどに余寿命を出力する(ステップ48)。
【0052】以上の処理が、本実施例に係る余寿命測定
装置100を用いることによって行なわれるので、作業
者は、実試料の機械的特性値変化量を、この余寿命測定
装置100に入力することにより、この実試料と同じ材
料で構成されている構造物の余寿命を知ることができ
る。この機械的特性値変化量とは、粒子照射前・後の
0.2%耐力、硬さ、破断伸びおよび引張伸び率の差あ
るいは比などをいう。また、機械的特性値変化量に替え
て、照射前・後の電気抵抗および渦電流の差などの電気
的特性値変化量を入力してもよい。
【0053】(実施例3)次に、本発明の第3実施例に
ついて、図4,5,6,7,8,9,10,11,12
を用いて説明する。
【0054】本実施例は、原子炉内において中性子照射
を受け、応力腐食割れを生じる材料の余寿命を測定する
例である。中性子が金属内で原子に衝突すると、カスケ
ード過程により多数の照射欠陥(点欠陥)が形成され
る。それらはカスケード内で、10~3秒程度で短時間で
移動消滅し、その数は一定値に達する。それらの各カス
ケード内で生き残った点欠陥は、長距離移動して転位や
ボイドなどの2次欠陥を形成し、それらが転位の運動の
抵抗を高めることによって、脆化や硬化を引きおこす。
【0055】一方、照射によって材料中に形成された格
子間原子や空孔等は、溶質原子と相互作用し、P,S
i,Cr,Ni,Mnなどの化学成分の偏析現象を引き
起こす。これによって、材料の応力腐食割れ感受性が影
響される。
【0056】このように、材料、特に、金属材料は中性
子照射をうけることにより、照射脆化や硬化などの機械
的性質の変化とともに、応力腐食割れ感受性の変化を生
じる。従って、両者の関係が求められれば、硬さや強度
及び伸びの変化等から応力腐食割れ特性が定められる。
【0057】原子炉材料として使用されるオーステナイ
ト系ステンレス鋼と同組成のモデル試料について、中性
子照射後に、低歪速度(約10~7S~1)引張り試験(サ
ート試験)による高温水(288℃、85気圧、32p
pmDO)中での、応力腐食割れ特性と破断伸び(破断
に至るまでの伸び)との関係を調べた結果、図12に示
す関係があることがわかった。本実施例において、モデ
ル試料は、脆性破壊と延性破壊を含んだ不安定破壊によ
って破断に至る。図12は、中性子照射を受けたオース
テナイト系ステンレス鋼の、照射前後の破断伸びの比
(照射後の破断伸び/照射前の破断伸び)により求めた
照射脆化と、粒界型応力腐食割れ破面率との関係を示す
グラフであり、横軸に照射前後の破断伸びの比を示し、
縦軸に粒界型応力腐食割れ破面率を示す。また、丸印
は、SUS304系材料についての結果であり、三角印
はSUS316系材料についての結果である。
【0058】図12に示すように、中性子照射による破
断伸びの低下が大きくなるに従って、粒界型応力腐食割
れ破面率は大きくなり、照射脆化量が大きいと、耐応力
腐食割れ性も悪くなることが示唆される。また、中性子
照射前と中性子照射後との破断伸びの比が約60%以上
では、粒界型応力腐食割れの発生がないことがわかり、
粒界型応力腐食割れを発生しない限界の照射脆化量が存
在すること判明した。また、この結果は、原子炉内での
中性子照射と、後述する図11に示すイオン加速器によ
る粒子照射との間で差異が見られず、加速器を用いる実
験によって、原子炉内の材料を評価できることがわか
る。なお、このモデル試料は、板幅約3mm、長さ約1
5mm、板の厚さ約0.3mmである。
【0059】本実施例では、上記モデル試料と同形状同
組成の実試料を、原子炉の稼働当初から炉内に装荷す
る。原子炉内での実試料の装荷位置について、図7,8
を用いて説明する。図7は、実試料を装荷する中性子計
装管を示す断面図である。図8は、中性子計装管軸方向
の中性子照射量の強度分布を示すグラフであり、縦軸は
中性子計装管の長さ(全長約4m)、横軸は中性子照射
量強度である。
【0060】実試料は、図7に示すように、中性子計装
管170内に装荷される。この中性子計装管170は、
中性子束を計測するフルエンスモニタ171と、スペー
サ172と、引張試片集合体を装荷する引張試片集合体
装荷位置173と、硬さ試片集合体を装荷する硬さ試片
集合体装荷位置173とを備えて構成される。この中性
子計装管170の肉厚は約1.5mmであり、中性子照
射の金属内透過能力である10数cmに比べ、十分小さ
いので、計装管内での中性子照射と直接照射とは、ほと
んど差異がない。上記二つの試片173,174は、図
8に示すような中性子照射量強度分布をもつ試片挿入部
180に装荷する。
【0061】次に、図4を用いて、本実施例に係る余寿
命測定装置について説明する。図4は、本実施例に係る
余寿命測定装置のブロック図である。図4に示すよう
に、この余寿命測定装置は、原子炉内で中性子照射され
た実試料の機械的特性値変化量を入力するキーボード1
などの入力手段と、予め所定の情報を記憶している記憶
部70と、図示しないメモリに書き込まれているプログ
ラムに従って所定の演算を行うCPUからなる演算部6
0と、余寿命を表示するCRT4などの出力手段とを備
えて構成されている。
【0062】記憶部70は、予め定めた量のイオンを照
射したモデル試料の機械的特性値変化量と脆化の程度を
示す照射脆化量との関係を予め記憶している第1記憶手
段と、上記モデル試料の応力腐食割れ感受性と上記試料
の照射脆化量との関係を予め記憶している第2記憶手段
と、上記モデル試料へのイオン照射量を中性子照射量に
換算したときの中性子照射量と照射脆化量との関係を予
め記憶している第3記憶手段と、中性子照射量と、上記
モデル試料と略同組成である実試料を構成材料とする原
子炉の運転期間との関係を予め記憶している第4記憶手
段とを備えて構成されている。
【0063】次に、各記憶手段の内容について、図6を
用いて説明する。図6は、予め記憶しておくデータの内
容を示すグラフである。図6(a)は、第1記憶手段の
内容を示すグラフであり、縦軸は機械的特性値変化量、
横軸は照射脆化量を示す。縦軸に示す機械的特性値変化
量とは、例えば、イオン照射前後の硬さの変化量、0.
2%耐力の増加量等をいう。横軸に示す照射脆化量と
は、イオン照射前後の破断伸びの比(イオン照射後の破
断伸び/イオン照射前の破断伸び)をいう。
【0064】この実測例を図9,10に示す。図9は、
イオン照射を受けたモデル試料の硬さの変化量と照射脆
化量との関係を示すグラフであり、縦軸は照射変化量を
示し、横軸は硬さの変化量を示す。図10は、イオン照
射を受けたモデル試料の0.2%耐力の増加量と照射脆
化量との関係を示すグラフであり、縦軸は照射変化量を
示し、横軸は0.2%耐力の増加量を示す。両図からわ
かるように、硬さや強度の変化量が増加するとともに、
照射脆化量は低下し、破断伸びが減少し、モデル試料が
脆化していくことがわかる。また、図13は、中性子照
射を受けたオーステナイト系ステンレス鋼の、照射前後
の破断伸びの比(照射脆化量)と硬さの増加量との関係
を示すグラフであり、横軸に照射前後の破断伸びの比を
示し、縦軸に硬さの増加量を示す。また、丸印は、SU
S304系材料についての結果であり、三角印はSUS
316系材料についての結果である。図9に示す結果
と、同様の結果が得られた。
【0065】図6(b)は、第2記憶手段の内容を示す
グラフであり、縦軸はイオン照射したモデル試料の応力
腐食割れ感受性、横軸は照射脆化量を示す。縦軸に示す
応力腐食割れ感受性とは、照射前後の粒界型応力腐食割
れ破面率の比をいう。また、同図に示す臨界照射脆化量
とは、粒界型応力腐食割れ破面が観察され始めるときの
照射脆化量をいい、一般に、応力腐食割れが発生するお
それが大きくなるときの照射脆化量に相当する。
【0066】この実測例を図11に示す。図11は、照
射脆化量と粒界型応力腐食割れ(IGSCC)破面率と
の関係を示すグラフである。このIGSCC破面率は、
破断後の試料を電子顕微鏡で観察して求めた。
【0067】図6(c)は、第3記憶手段の内容を示す
グラフであり、縦軸はモデル試料に照射したイオン照射
量に相当する中性子照射量、横軸は照射脆化量を示す。
この照射脆化量は、粒子照射による脆化量を表す統一的
な量であり、一定の脆化量となるイオン照射量を、中性
子照射量に換算することができる。この換算結果を示す
グラフが、図6(c)に示すグラフである。この換算方
法は、1dpa≒1×1021n/cm2である。dpa
という単位は、入射粒子1原子あたりの、ターゲット原
子のはじきだし数を表す。また、中性子臨界照射量と
は、同図(b)に示す臨界照射脆化量に対応する中性子
照射量をいう。
【0068】図6(d)は、第4記憶手段の内容を示す
グラフであり、縦軸は原子炉内に装荷した実試料の中性
子照射量、横軸は原子炉の運転期間を示す。ここで、原
子炉運転臨界期間とは、中性子臨界照射量に対応する原
子炉運転期間をいう。
【0069】上記した図6(a),(b),(c),
(d)の内容は、必要に応じて、CRT4等の出力手段
に表示してもよい。
【0070】次に、演算部60について説明する。演算
部60は、上記実試料の機械的特性値変化量に対応する
照射脆化量を、第1記憶手段から求める第1演算手段
と、第1演算手段から求めた照射脆化量に対応する実試
料への中性子照射量を、第3記憶手段から求める第2演
算手段と、第2演算手段から求めた中性子照射量に対応
する原子炉運転期間を、第4記憶手段から求める第3演
算手段と、第2記憶手段に記憶されている応力腐食割れ
が発生する臨界照射脆化量に対応する実試料への中性子
臨界照射量を、第3記憶手段から求める第4演算手段
と、第4演算手段から求めた中性子臨界照射量に対応す
る原子炉運転臨界期間を、第4記憶手段から求め、この
原子炉運転臨界期間と上記原子炉運転期間とを比較し、
その差から余寿命を算出する第5演算手段とを備えて構
成されている。
【0071】次に、この余寿命推定装置200を用い
て、材料の余寿命を測定する方法について説明する。こ
の方法を、図5に示すフローチャートに従って説明す
る。図5は、本実施例に係る余寿命推定方法のフローチ
ャートである。まず、原子炉内で中性子照射を受けた実
試料の機械的特性値変化量を入力する(ステップ8
1)。次に、予め定めた量のイオンを照射した、上記実
試料と略同組成のモデル試料の機械的特性値変化量と、
このモデル試料の照射脆化量との関係を予め記憶してい
る第1記憶手段から、上記実試料の機械的特性値変化量
に対応する照射脆化量を求める(ステップ82)。次
に、イオン照射量を中性子照射量に換算したときの、中
性子照射量と照射脆化量との関係を予め記憶している第
3記憶手段から、モデル試料へのイオン照射量に相当す
る中性子照射量を求める(ステップ83)。次に、モデ
ル試料へのイオン照射量とモデル試料の照射脆化量との
関係、および、モデル試料において粒界型応力腐食割れ
破面が観察され始めるときの照射脆化量である臨界照射
脆化量に対応する臨界イオン照射量を予め記憶している
第2記憶手段から、実試料の照射脆化量に対応する実試
料への中性子照射量を求める(ステップ84)。次に、
実試料への中性子照射量が、中性子臨界照射量以上のと
きは(ステップ85)、その旨を出力する(ステップ8
6)。次に、実試料への中性子照射量が、中性子臨界照
射量未満のときは、実試料への中性子照射量と実試料へ
の中性子照射期間との関係を予め記憶している第4記憶
手段から、上記実試料の中性子照射量に対応する中性子
照射期間を求める(ステップ87)。次に、この中性子
照射期間と中性子臨界照射量に対応する中性子照射臨界
期間との差および比のいずれか、または、両方を求め
(ステップ88)、余寿命を表示する(ステップ8
9)。
【0072】この場合、実試料の機械的性質の変化量か
ら第1の記憶手段によって求められた照射脆化量を実試
料が受けた中性子照射量の関係が第3記憶手段と異なる
場合には、第3記憶手段の中性子照射量と照射脆化量と
の関係を補正することができる。また、応力腐食割れが
発生する臨界脆化量には、安全率を用いることができ
る。
【0073】以上の処理が、本実施例に係る余寿命推定
装置200を用いることによって行なわれるので、作業
者は、原子炉内で中性子照射した金属試片である実試料
の硬さや強度等の変化量を測定することによって、高温
で中性子照射をうける原子力材料の応力腐食割れに対す
る寿命を予測することができ、原子力プラントの予防保
全に対して大きな効果がある。この機械的特性値変化量
とは、粒子照射前・後の0.2%耐力、硬さ、破断伸び
および引張伸び率の差などをいう。また、機械的特性値
変化量に替えて、照射前・後の電気抵抗および渦電流の
差などの電気的特性値変化量を入力してもよい。
【0074】臨界照射脆化量とは、材料が応力腐食割れ
感受性を示すところの脆化量を表すが、その応力腐食割
れ破面が、ある値、例えば10または20%、まで許容
される場合には、これに対応する脆化量を臨界照射脆化
量とすることができる。
【0075】次に、稼働中の原子炉の余寿命について、
第2実施例の技術を適用する場合を説明する。現在まで
に使用されてきた原子力部材の脆化量を求める。このた
めには、例えば、稼働中の原子炉の使用済材等を供試材
として用いる。求めた脆化量と等価な脆化量を、冷間加
工と熱処理との組合わせによって、実試料に与える。こ
の実試料を、稼働中の原子炉に装荷し、余寿命推定に用
いる。さらに、稼働中の原子炉中に配置した実試料の固
さを測定する方法として、超音波を用いた測定方法を用
いることができる。この方法は、稼働中の原子炉に配置
した試料に超音波を送り、試料からの反射波を受け、反
射波の特徴から試料の硬さを測定する。この方法は、試
料を原子炉から取り出すことなく、また、試料を損傷す
ることなく硬さを測定することができる。
【0076】上述の第2、第3の実施例では、測定結果
をキーボート1によってユーザが入力する構成を示した
が、これに限定されるものではなく、第1の実施例と同
様に試料から測定装置14から直接入力させることもも
ちろん可能である。
【0077】本発明はオーステナイトステンレス鋼のほ
か、バネ,ボルト材に用いられるインコネル合金及び燃
料被覆管材であるジルコニウム合金等にも適用できる。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、高エネルギー粒子また
は電磁波の照射を受ける材料の脆化による余寿命を、単
純なコンプライアンスや硬さや強度などの物理量から判
断できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2実施例に係る余寿命推定装置のブロック
図。
【図2】第2実施例に係る余寿命推定方法のフローチャ
ート。
【図3】第2実施例に係る余寿命推定装置の記憶部の内
容を示すグラフ。
【図4】第3実施例に係る余寿命推定装置のブロック
図。
【図5】第3実施例に係る余寿命推定方法のフローチャ
ート。
【図6】第3実施例に係る余寿命推定装置の記憶部に予
め記憶しておくデータの内容を示すグラフ。
【図7】実試料を装荷する中性子計装管を示す断面図。
【図8】中性子計装管軸方向の中性子照射量の強度分布
を示すグラフ。
【図9】イオン照射を受けた試料の硬さの変化量と照射
脆化量との関係を示すグラフ。
【図10】イオン照射を受けた試料の0.2%耐力の増
加量と照射脆化量との関係を示すグラフ。
【図11】照射脆化量と粒界型応力腐食割れ破面率との
関係を示すグラフ。
【図12】中性子照射を受けたオーステナイト系ステン
レス鋼の照射前後の破断伸びの比と粒界型応力腐食割れ
破面率との関係を示すグラフ。
【図13】中性子照射を受けたオーステナイト系ステン
レス鋼の照射前後の破断伸びの比と硬さの増加量との関
係を示すグラフ。
【図14】本発明の第1の実施例に係る試料の形状を示
す斜視図。
【図15】本発明の第1の実施例に係る測定装置の構成
を示す斜視図。
【図16】本発明の第1の実施例を適用した原子炉の構
成を示す切欠き斜視図。
【図17】本発明の第1の実施例の余寿命推定装置の構
成を示すブロック図。
【図18】試料の亀裂長さaの異なる試験片に対する荷
重Pと亀裂開口変位Φの関係を示すグラフ。
【図19】原子炉模擬環境における試料のコンプライア
ンスλ(=EBΦ/P、E;ヤング率、B;試験片板
厚)と亀裂長さaの関係を示すグラフ。
【図20】原子炉模擬環境における亀裂長さaと時間t
の関係を示すグラフ。
【図21】原子炉模擬環境における亀裂進展速度da/
dtと応力拡大係数Kの関係を示すグラフ。
【図22】本発明の第1の実施例の余寿命予測装置によ
る寿命予測の動作を示すフローチャート。
【図23】本発明の第1の実施例の構成を示すブロック
図。
【符号の説明】
1…キーボード、2,60…演算部、3,70…記憶
部、4…CRT、170…中性子計装管、21,61…
第1演算手段、22,62…第2演算手段、23,63
…第3演算手段、24,64…第4演算手段、65…第
5演算手段、31,71…第1記憶手段、32,72…
第2記憶手段、33,73…第3記憶手段、74…第4
記憶手段、11…試料、12…疲労予亀裂、13…耐放
射線用内部ロ−ドセル、14…亀裂測定装置、15…拘
束治具、16…ネジ、17…原子炉圧力容器、19…演
算装置、111…関数補償装置、113…タイマ、11
2…記憶装置、170…中性子計装管、10…表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松下 静雄 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 笠原 茂樹 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 山本 道好 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 昭61−28859(JP,A) 特開 昭53−120585(JP,A) 特開 昭53−120584(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21C 17/003 G01N 33/20

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高エネルギー放射線に曝されることによっ
    て機械的性質が劣化する材料を複数の曝露条件下で高エ
    ネルギー放射線に曝して得た複数種類のモデル試料の物
    理量と曝露期間との関係を求める第1のステップ、 第1のステップで得られた関係から該材料が不安定破壊
    を起こすに至る臨界曝露期間を求める第2のステップ、 該モデル試料と実質的に同一の組成を有する材料からな
    る実試料を、該材料を構成部材として含む測定対象の高
    エネルギー放射線照射環境下に設置する第3のステッ
    プ、 該実試料の照射後の物理量を随時測定する第4のステッ
    プ、 第1のステップで求めた物理量と曝露期間との関係か
    ら、第4のステップで得られた実試料の物理量に対応す
    る実曝露期間を求め、これを該測定対象の実曝露期間と
    する第5のステップ、 第2のステップの臨界曝露期間と第4のステップの該測
    定対象の実曝露期間の差を求める第6のステップを含
    み、 第1のステップは、複数種類のモデル試料の物理量と曝
    露量との関係を求める第1の1のステップと、該曝露量
    とその曝露量に対応する測定対象の曝露期間との関係を
    求める第1の2のステップとを含み、 前記第2のステップは、第1の1のステップで得られた
    関係から該材料が不安定破壊を起こすに至る臨界脆化量
    と、その臨界脆化量に対応する臨界曝露量とを求める第
    2の1のステップと、第1の2のステップで求めた曝露
    量と曝露期間との関係から、臨界曝露量に対応する測定
    対象の臨界曝露期間の関係を求める第2の2のステッ
    プ、 とを含む 、余寿命推定方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、該材料は鉄系構造材料
    である余寿命推定方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、該測定対象は原子力プ
    ラントである余寿命推定方法。
  4. 【請求項4】請求項1において、該物理量は鉄系材料の
    照射脆化量を必須のパラメータとして含む余寿命推定方
    法。
  5. 【請求項5】高エネルギー放射線に曝されることによっ
    て機械的性質が劣化する材料を複数の曝露条件下で高エ
    ネルギー放射線に曝して得た複数種類のモデル試料の物
    理量と曝露期間との関係を求める第1のステップ、 第1のステップで得られた関係から該材料が不安定破壊
    を起こすに至る臨界曝露期間を求める第2のステップ、 該モデル試料と実質的に同一の組成を有する材料からな
    る実試料を、該材料を構成部材として含む測定対象の高
    エネルギー放射線照射環境下に設置する第3のステッ
    プ、 該実試料の照射後の物理量を随時取り込む第4のステッ
    プ、 第1のステップで求めた物理量と曝露期間との関係か
    ら、第4のステップで得られた実試料の物理量に対応す
    る実曝露期間を求め、これを該測定対象の実曝露期間と
    する第5のステップ、 第2のステップの臨界曝露期間と第4のステップの該測
    定対象の実曝露期間の差を求める第6のステップを含
    み、 第1のステップは、複数種類のモデル試料の物理量と曝
    露量との関係を求める第1の1のステップと、該曝露量
    とその曝露量に対応する測定対象の曝露期間との関係を
    求める第1の2のステップとを含み、 前記第2のステップは、第1の1のステップで得られた
    関係から該材料が不安定破壊を起こすに至る臨界脆化量
    と、その臨界脆化量に対応する臨界曝露量とを求める第
    2の1のステップと、第1の2のステップで求めた曝露
    量と曝露期間との関係から、臨界曝露量に対応する測定
    対象の臨界曝露期間の関係を求める第2の2のステッ
    プ、 とを含む 、余寿命推定方法。
  6. 【請求項6】請求項において、該材料は鉄系構造材料
    である余寿命推定方法。
  7. 【請求項7】請求項において、該測定対象は原子力プ
    ラントである余寿命推定方法。
  8. 【請求項8】請求項において、該物理量は鉄系材料の
    照射脆化量を必須のパラメータとして含む余寿命推定方
    法。
  9. 【請求項9】高エネルギー放射線に曝されることによっ
    て機械的性質が劣化する材料を複数の曝露条件下で高エ
    ネルギー放射線に曝して得た複数種類のモデル試料の物
    理量と曝露期間との関係を求める第1のステップ、 第1のステップで得られた関係から該材料が不安定破壊
    を起こすに至る臨界曝露期間を求める第2のステップ、 該モデル試料と実質的に同一の組成を有する材料からな
    る実試料と、該実試料とその物理量を測定する手段と
    を、該材料を構成部材として含む測定対象の高エネルギ
    ー放射線照射環境下に設置する第3のステップ、 該実試料の照射後の物理量を随時測定する第4のステッ
    プ、 第1のステップで求めた物理量と曝露期間との関係か
    ら、第4のステップで得られた実試料の物理量に対応す
    る実曝露期間を求め、これを該測定対象の実曝露期間と
    する第5のステップ、 第2のステップの臨界曝露期間と第4のステップの該測
    定対象の実曝露期間の差を求める第6のステップを含
    み、 第1のステップは、複数種類のモデル試料の物理量と曝
    露量との関係を求める第1の1のステップと、該曝露量
    とその曝露量に対応する測定対象の曝露期間との関係を
    求める第1の2のステップとを含み、 前記第2のステップは、第1の1のステップで得られた
    関係から該材料が不安定破壊を起こすに至る臨界脆化量
    と、その臨界脆化量に対応する臨界曝露量とを求める第
    2の1のステップと、第1の2のステップで求めた曝露
    量と曝露期間との関係から、臨界曝露量に対応する測定
    対象の臨界曝露期間の関係を求める第2の2のステッ
    プ、 とを含む 、余寿命推定方法。
  10. 【請求項10】請求項において、該材料は鉄系構造材
    料である余寿命推定方法。
  11. 【請求項11】請求項において、該測定対象は原子力
    プラントである余寿命推定方法。
  12. 【請求項12】請求項において、該物理量は鉄系材料
    の照射脆化量を必須のパラメータとして含む余寿命推定
    方法。
  13. 【請求項13】高エネルギー放射線に曝されることによ
    って機械的性質が劣化する材料を、複数の曝露条件下で
    高エネルギー放射線に曝して得た複数種類のモデル試料
    に基づいて求めた該モデル試料の物理量と曝露期間との
    関係を記憶する第1の記憶手段、 第1の記憶手段に記憶された関係から該材料が照射によ
    る不安定破壊を起こすに至る臨界曝露期間を求める第1
    演算手段、 該モデル試料と実質的に同一の材料を構成部材として含
    む測定対象の高エネルギー放射線照射環境下に設置さ
    れ、かつ、該モデル試料と実質的に同一の組成を有する
    材料からなる実試料から得られた照射後の物理量を取り
    込む手段、 第1の記憶手段の記憶する物理量と曝露期間との関係か
    ら、該取り込み手段が取り込んだ実試料の物理量に対応
    する実曝露期間を求め、これを該測定対象の実曝露期間
    とし、該測定対象の実曝露期間と第1の演算手段が求め
    た臨界曝露期間との差を求める手段を含む、 余寿命推定装置。
  14. 【請求項14】請求項13において、前記第1の記憶手
    段は、複数種類のモデル試料の物理量と曝露量との関係
    を記憶する第1の1の記憶手段と、該曝露量とその曝露
    量に対応する測定対象の曝露期間との関係を記憶する第
    1の2の記憶手段とを備え、 前記第1の演算手段は、第1の1の記憶手段が記憶する
    関係から該材料が不安定破壊を起こすに至る臨界脆化量
    と、その臨界脆化量に対応する臨界曝露量とを求める第
    1の1の演算手段と、第1の2の記憶手段が記憶する関
    係を用いて、該臨界曝露量に対応する測定対象の臨界曝
    露期間の関係を求める第1の2の演算手段とを備える、
    余寿命推定装置。
  15. 【請求項15】請求項13において、該材料は鉄系構造
    材料である余寿命推定装置。
  16. 【請求項16】請求項13において、該測定対象は原子
    力プラントである余寿命推定装置。
  17. 【請求項17】請求項13において、該物理量は鉄系材
    料の照射脆化量を必須のパラメータとして含む余寿命推
    定装置。
  18. 【請求項18】高エネルギー放射線に曝されることによ
    って機械的性質が劣化する材料を、複数の曝露条件下で
    高エネルギー放射線に曝して得た複数種類のモデル試料
    に基づいて求めた該モデル試料の物理量と曝露期間との
    関係を記憶する第1の記憶手段、 第1の記憶手段に記憶された関係から該材料が照射によ
    る不安定破壊を起こすに至る臨界曝露期間を求める第1
    演算手段、 該モデル試料と実質的に同一の材料を構成部材として含
    む測定対象の高エネルギー放射線照射環境下に設置さ
    れ、かつ、該モデル試料と実質的に同一の組成を有する
    材料からなる実試料と、その実試料の機械的特性に関す
    る物理量を出力する手段、 該出力手段が出力した該実試料の照射後の物理量を随時
    取り込む手段、 第1の記憶手段の記憶する物理量と曝露期間との関係か
    ら、該取り込み手段が取り込んだ実試料の物理量に対応
    する実曝露期間を求め、これを該測定対象の実曝露期間
    とし、該測定対象の実曝露期間と第1の演算手段が求め
    た臨界曝露期間との差を求める手段を含む、余寿命推定
    装置。
  19. 【請求項19】請求項18において、前記第1の記憶手
    段は、複数種類のモデル試料の物理量と曝露量との関係
    を記憶する第1の1の記憶手段と、該曝露量とその曝露
    量に対応する測定対象の曝露期間との関係を記憶する第
    1の2の記憶手段とを備え、 前記第1の演算手段は、第1の1の記憶手段が記憶する
    関係から該材料が不安定破壊を起こすに至る臨界脆化量
    と、その臨界脆化量に対応する臨界曝露量とを求める第
    1の1の演算手段と、第1の2の記憶手段が記憶する関
    係を用いて、該臨界曝露量に対応する測定対象の臨界曝
    露期間の関係を求める第1の2の演算手段とを備える、
    余寿命推定装置。
  20. 【請求項20】請求項18において、前記出力手段から
    の物理量は実試料に対する荷重である余寿命推定装置。
  21. 【請求項21】高エネルギー放射線に曝されることによ
    って機械的性質が劣化する材料を、複数の曝露条件下で
    高エネルギー放射線に曝して得た複数種類のモデル試料
    に基づいて求めた該モデル試料の物理量と曝露期間との
    関係を記憶する第1の記憶手段、 第1の記憶手段に記憶された関係から該材料が照射によ
    る不安定破壊を起こすに至る臨界曝露期間を求める第1
    演算手段、 該モデル試料と実質的に同一の材料を構成部材として含
    む測定対象の高エネルギー放射線照射環境下に設置さ
    れ、かつ、該モデル試料と実質的に同一の組成を有する
    材料からなる実試料から得られた照射後の物理量を随時
    出力する手段、 第1の記憶手段の記憶する物理量と曝露期間との関係か
    ら、該出力手段が出力した実試料の物理量に対応する実
    曝露期間を求め、これを該測定対象の実曝露期間とし、
    該測定対象の実曝露期間と第1の演算手段が求めた臨界
    曝露期間との差を求める手段を含む、余寿命推定装置。
  22. 【請求項22】請求項21において、前記第1の記憶手
    段は、複数種類のモデル試料の物理量と曝露量との関係
    を記憶する第1の1の記憶手段と、該曝露量とその曝露
    量に対応する測定対象の曝露期間との関係を記憶する第
    1の2の記憶手段とを備え、 前記第1の演算手段は、第1の1の記憶手段が記憶する
    関係から該材料が不安定破壊を起こすに至る臨界脆化量
    と、その臨界脆化量に対応する臨界曝露量とを求める第
    1の1の演算手段と、第1の2の記憶手段が記憶する関
    係を用いて、該臨界曝露量に対応する測定対象の臨界曝
    露期間の関係を求める第1の2の演算手段とを備える、
    余寿命推定装置。
  23. 【請求項23】請求項21において、該実試料は曝露環
    境下に設置する前に、予めノッチを形成してある余寿命
    推定装置。
JP4145965A 1991-06-06 1992-06-05 放射線環境下に曝される材料の余寿命推定方法とその装置 Expired - Lifetime JP2837579B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4145965A JP2837579B2 (ja) 1991-06-06 1992-06-05 放射線環境下に曝される材料の余寿命推定方法とその装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13518891 1991-06-06
JP4-74507 1992-03-30
JP3-135188 1992-03-30
JP7450792 1992-03-30
JP4145965A JP2837579B2 (ja) 1991-06-06 1992-06-05 放射線環境下に曝される材料の余寿命推定方法とその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05333189A JPH05333189A (ja) 1993-12-17
JP2837579B2 true JP2837579B2 (ja) 1998-12-16

Family

ID=27301527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4145965A Expired - Lifetime JP2837579B2 (ja) 1991-06-06 1992-06-05 放射線環境下に曝される材料の余寿命推定方法とその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2837579B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004325246A (ja) * 2003-04-24 2004-11-18 Toshiba Corp 欠陥検査装置

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2938758B2 (ja) 1994-07-08 1999-08-25 株式会社日立製作所 金属材料の耐腐食性評価方法、高耐食合金の設計方法、金属材料の腐食状態診断方法およびプラントの運転方法
KR101140337B1 (ko) * 2010-08-31 2012-05-03 한국전력공사 잔여수명 평가방법

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6128859A (ja) * 1984-07-20 1986-02-08 Hitachi Ltd 含フエライトステンレス鋼実機部材の高温脆化損傷検知方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004325246A (ja) * 2003-04-24 2004-11-18 Toshiba Corp 欠陥検査装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05333189A (ja) 1993-12-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Geelhood et al. PNNL stress/strain correlation for Zircaloy
US5307385A (en) Method of and apparatus for estimating remaining service life of material being exposed to radiant ray irradiation
JP2938758B2 (ja) 金属材料の耐腐食性評価方法、高耐食合金の設計方法、金属材料の腐食状態診断方法およびプラントの運転方法
Lim et al. Crack growth and cracking behavior of Alloy 600/182 and Alloy 690/152 welds in simulated PWR primary water
Kuleshova et al. Study of the flux effect nature for VVER-1000 RPV welds with high nickel content
Bosch et al. Microstructure, mechanical properties and IASCC susceptibility of stainless steel baffle bolts after 30 years of operation in a PWR
Xiong et al. Effects of dissolved hydrogen on low-cycle fatigue behaviors and hydrogen uptake of 316LN austenitic stainless steel in simulated pressurized water reactor primary water
Bang et al. Temperature-dependent axial mechanical properties of Zircaloy-4 with various hydrogen amounts and hydride orientations
McRae et al. Diffusivity of hydrogen isotopes in the alpha phase of zirconium alloys interpreted with the Einstein flux equation
Jezequel et al. Stress corrosion crack initiation of Zircaloy-4 cladding tubes in an iodine vapor environment during creep, relaxation, and constant strain rate tests
Onimus et al. Polycrystalline modeling of the behavior of neutron-irradiated recrystallized zirconium alloys during strain path change tests
Yook et al. Post-LOCA ductility assessment of Zr-Nb Alloy from 1100° C to 1300° C to explore variable peak cladding temperature and equivalent cladding reacted safety criteria
US9280688B2 (en) Apparatus and method for limiting and analyzing stress corrosion cracking in pressurized water reactors
Cui et al. Determining SCC resistance of stainless steel claddings in high-temperature water by constant load crack growth tests and slow strain rate tests
JP2837579B2 (ja) 放射線環境下に曝される材料の余寿命推定方法とその装置
Zhou et al. Local mechanical properties of corrosion layers formed on T91 and SS316L steels after exposure to static liquid LBE at 500° C for 1000 h obtained by nano-indentation
Muránsky et al. Assessment of welding-induced plasticity via electron backscatter diffraction
JP2934100B2 (ja) 軽水炉プラントを構成する材料の余寿命推定方法とその装置
Ning et al. Effect of environmental media on the fatigue property of Chinese A508-3 steel of AP1000
Song et al. An improved life prediction strategy at elevated temperature based on pure creep and fatigue data: Classical strain controlled and hybrid stress–strain controlled creep-fatigue test
Carassou et al. REFLET Experiment in OSIRIS: Relaxation under Flux as a Method for Determining Creep Behavior of Zircaloy Assembly Components
Sukarno et al. Preliminary Study on the Remaining Life Estimation Method for Research Reactor Tank Liner
Métais et al. European contributions to environmental fatigue issues experimental research in France, Germany and Finland
Negut et al. The irradiation effects on zirconium alloys
Li Sodium Exposure Tests of A709 Steel (FY2020 Progress Report)