JP2836581B2 - 磁気抵抗効果素子およびその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子およびその製造方法

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oxide film
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果素子
およびその製造方法に係り、特に記録の高密度化および
その高感度検出を可能とした磁気抵抗効果素子およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大容量磁気記録を実現するためには、記
録の高密度化が必要である。記録を高密度にするために
は記録マークを小さくすることが有効な手段である。磁
気記録方式における記録情報の検出は、記録マークから
漏れ出た磁界を電気抵抗値変化に変換する効果,いわゆ
る磁気抵抗効果(MR効果)を用いることが一般的であ
る。記録マークが小さくなると磁界が減少することか
ら、高密度に記録した情報を読みだすためには、高感度
に検出できる磁気抵抗素子が必要になる。
【0003】上記の観点から磁界の変化を高感度に検出
できる素子に用いる材料、素子の構成などが研究され、
開発が進められている。こうしたなかでスピンバルブ型
磁気抵抗素子は、磁界の変化に対する磁気抵抗変化が従
来の磁気抵抗素子と比較して数倍大きいことから、次世
代の高密度磁気ヘッド素子を構成する要素として重要視
されている。
【0004】スピンバルブ型磁気抵抗素子において磁気
検出に特に重要な構成要素は、磁気抵抗効果を示す層
(以下「MR層」という)および当該MR層の磁区安定
化させるために設けられるバイアス層(以下、単に「バ
イアス層」と記す)である。MR層の代表的なものには
軟磁気特性に優れたパーマロイ膜(NiFe合金薄膜)
がある。また、バイアス層材料には室温以上にネール温
度のある反強磁性薄膜材料が用いられる。
【0005】反強磁性薄膜としては、金属薄膜および酸
化物薄膜が開発されている。金属材料としては鉄マンガ
ン合金やニッケルマンガン合金が、また酸化物材料とし
てはニッケル酸化物膜やコバルト酸化物膜が主として用
いられている。現在では金属材料である鉄マンガン合金
やニッケルマンガン合金は耐酸化性に著しく劣るため、
磁気ヘッド加工プロセスに耐えることがきず、長期信頼
性の保証ができない。このため、耐酸化性に優れた酸化
物材料として、ニッケル酸化物膜やコバルト酸化物膜が
利用される場合が多い。
【0006】ニッケル酸化物膜は主として磁区を安定化
するために、コバルト酸化物膜は保磁力の調節のために
用いられており、両者を組み合わせたニッケル酸化物/
コバルト酸化物2膜層をバイアス層として用いた良好な
磁気抵抗素子が開発されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気抵抗素
子のデバイス特性で重要な指標は、磁区の安定化をあら
わす因子,即ち「交換結合磁界」である。この交換結合
磁界は、バイアス層からMR層に印加される磁場の強さ
をあらわしている。この磁場の影響で磁区の動きが固定
され、磁壁移動の履歴に起源を持つバルクハウゼンノイ
ズを低減することができる。したがって、十分な交換結
合磁界の大きさをMR層に印加できるバイアス層の作製
が、磁気抵抗素子には不可欠となる。こうしたことか
ら、大きな交換結合磁界を発生させられるニッケル酸化
物膜の開発が、従来より必要とされていた。
【0008】しかしながら、ニッケル酸化物膜の交換結
合磁界は、一方では作成条件に依存して大きく変化して
しまうという問題があり、磁気特性が変化する要因につ
いても不明確であった。このため交換結合磁界を制御す
る指針が得られず、高い交換結合磁界を得るためのニッ
ケル酸化物膜の持つべき特性に関しても不明な点が多か
った。更に、再現性の良い膜を作製するために必要な評
価手段も明らかになっていなかった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例に有する不都合
を改善し、特にニッケル酸化物膜に対して、高い交換結
合磁界を発生させると共にその再現性を可能とし、同時
に当該交換結合磁界の増大と動作の安定を図り得る磁気
抵抗効果素子およびその製造方法を提供することを、そ
の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、全体的には、平衡状態では立方対称構
造を有するニッケル酸化物の格子に歪みを持たせ、菱面
対称となるようなニッケル酸化物薄膜を成膜条件あるい
は添加元素を調節して作製し、この菱面対称に於いて結
晶軸のなす角度を60°よりも大きくすることにより、
100〔Oe〕以上の交換結合磁界を持つバイアス層を
作製する。また、結晶軸の長さの比に着目した解析手法
を用いることにより、簡便で迅速な膜状態評価が可能に
なり、所望とするニッケル酸化物薄膜作製の条件設定を
容易することができる。
【0011】次に、請求項に基づいて個別に説明する。
【0012】請求項1記載の発明では、磁気抵抗効果を
利用した磁気ヘッドの磁気検出部分に装備され、交換結
合磁界を発生させるためのバイアス層としてニッケル酸
化膜が設けられて成る磁気抵抗効果素子において、ニッ
ケル酸化膜を、菱面体構造で且つ当該ニッケル酸化膜に
おける結晶軸間の成す角度を60°よりも増加した状態
に設定する、という構成を採っている。
【0013】この請求項1記載の発明では、バイアス層
としてのニッケル酸化膜における結晶構造を歪ませるこ
とによって結晶軸間の成す角度を60°よりも増加した
状態に設定する。ここで、いま、成膜条件で作製したニ
ッケル酸化物の構造を、X線回析法で測定すると共に得
られた回析パターンに基づいて格子定数を求め、菱面体
構造となるニッケル酸化物膜の結晶軸のなす角度とニッ
ケル酸化物上にパーマロイ薄膜を積層した2層膜で測定
した交換結合磁界との関係を調べてみると、図2に示す
ようになる。
【0014】また、結晶軸のなす角度が60°である立
方対称構造のニッケル酸化物膜をバイアス層としたと
き、交換結合磁界は0〔Oe〕であるのに対して、この
請求項1記載の発明では、角度の増加と共に交換結合磁
界は直線的に増加し、角度が約62°以上では100
〔Oe〕以上の交換結合磁界を得ることができるという
結果を得ることができた。
【0015】この場合、格子を立方対称から歪ませるた
めに有効な成膜方法としては、入射粒子のエネルギーが
高いスパッタ法である。このスパッタ法を用いると、成
膜ガス圧や投入パワーを変えることによって入射粒子の
エネルギーを調節することができ、成膜されるニッケル
酸化物の構造に歪みをもたせることができる。
【0016】請求項2記載の発明では、前述した請求項
1記載の発明において、菱面体構造のニッケル酸化膜を
構成するニッケルの一部を、白金等の原子半径の異なる
金属元素で置換する、という構成を採っている。
【0017】この請求項2記載の発明では、ニッケル中
に添加した白金の量(原子パーセント)と結晶軸のなす
角度との間には、図5に示すような関連性があることを
実験的に得ることができた。これにより、白金約5原子
パーセント間での範囲で、角度が60°から62.5°
の範囲で変化するという結果を得ることができた。
【0018】更に、結晶軸のなす角度の増加とともにほ
ぼ直線的に正の相関性をもって交換結合磁界が増加する
とも確認することができた。また、この試料を270
〔°C〕で1時間熱処理しても交換結合磁界が変化しな
かった。
【0019】請求項3記載の発明では、前述した請求項
1記載の発明において、菱面体構造のニッケル酸化膜を
構成する酸素の一部を、原子半径の異なる硫黄等のVI
族の何れかの元素で置換する、という構成を採ってい
る。
【0020】この請求項3記載の発明では、硫黄約10
原子パーセント間の範囲で角度が60°から62°の範
囲で、前述した請求項2記載の発明と同様に交換結合磁
界が増加することを確認することができた。また、この
試料を270〔°C〕で1時間熱処理しても交換結合磁
界が変化しなかった。
【0021】請求項4記載の発明では、前述した請求項
1記載の発明において、菱面体構造のニッケル酸化膜を
構成する酸素の一部を、原子半径の異なるハロゲン元素
で置換する、という構成を採っている。
【0022】この請求項4記載の発明でも、前述した請
求項3記載の発明と同等の作用効果を得ることができ
る。
【0023】請求項5記載の発明では、前述した請求項
1記載の発明において、菱面体構造のニッケル酸化膜を
構成するニッケル等の一部に、進入型にて固溶するホウ
素等の元素を添加する、という構成を採っている。
【0024】この請求項5記載の発明では、図9で開示
したように、ニッケル酸化物中に添加したホウ素約5原
子パーセント間で、結晶軸のなす角度が60°から62
°の範囲で変化するという結果を得ることができる。
【0025】また、図10に示すように、ホウ素(B)
の添加量と共に増加する角度の増加にほぼ直線的に、交
換結合磁界が増加するという実験結果を得ることができ
た。また、この試料を270〔°C〕で1時間熱処理し
ても交換結合磁界が変化せず安定した状態を維持する事
ができる。
【0026】請求項6記載の発明では、磁気抵抗効果を
利用した磁気ヘッドの磁気検出部分に装備され、交換結
合磁界を発生させるためのバイアス層としてニッケル酸
化膜が成膜されて成る磁気抵抗効果素子において、ニッ
ケル酸化膜をスパッタ法により成膜すると共に、このス
パッタ法によるニッケル酸化膜の成膜条件として、安定
したプラズマ放電が可能な範囲で成膜ガス圧を低く設定
する、という構成を採っている。
【0027】この請求項6記載の発明では、格子を立方
対称から歪ませるために有効な成膜方法として、入射粒
子のエネルギーが高いスパッタ法を採用している。この
スパッタ法を用いると、成膜ガス圧や投入パワーを変え
ることによって入射粒子のエネルギーを調節することが
でき、形成されるニッケル酸化物の構造に歪みをもたせ
ることが可能となる。
【0028】そして、成膜条件のなかで最も構造との関
わりが深いガス圧をパラメータとし、角度の関係を調べ
ると、図3のような結果を得ることができた。そして、
同時に、プラズマ放電の生じる範囲で最も成膜のガス圧
が低い場合に構造の歪みが大きくなる、という結果を得
ることができた。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる複数の実施
の形態を順次説明する。
【0030】
【第1の実施の形態】図1乃至図4に本発明の第1の実
施形態を示す。この内、図1は、スピンバルブ型磁気ヘ
ッドに装備されたスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の磁
気検出部分における断面図を示す。また、図2乃至図3
は、後述するように本発明にかかる磁気抵抗効果素子の
特性を示す線図である。
【0031】まず、図1において、下方から、バイアス
層としてのニッケル酸化膜薄膜1,MR層としてのニッ
ケル鉄合金薄膜2,銅薄膜3,およびMR層としてのニ
ッケル鉄合金薄膜4が、順次積層されている。また、符
号5,6は、それぞれ強磁性コバルト薄膜を示す。バイ
アス層としてのニッケル酸化膜薄膜1は、真空蒸着法、
スパッタ法、又はイオンクラスタービーム法等によって
作製される。
【0032】ここで、異なる装置,成膜条件で作製した
ニッケル酸化物の構造を、X線回析法で測定すると共に
得られた回析パターンに基づいて格子定数を求め、菱面
体構造となるニッケル酸化物膜の結晶軸のなす角度とニ
ッケル酸化物上にパーマロイ薄膜を積層した2層膜で測
定した交換結合磁界との関係を調べてみた。その結果を
図2に示す。
【0033】この場合、結晶軸のなす角度が60°であ
る立方対称構造のニッケル酸化物膜をバイアス層とした
とき、交換結合磁界は0〔Oe〕であるのに対して、角
度が増加すると共に交換結合磁界は直線的に増加し、角
度が約62°以上では100〔Oe〕以上の交換結合磁
界を得ることができた。
【0034】この場合、格子を立方対称から歪ませるた
めに有効な成膜方法としては、入射粒子のエネルギーが
高いスパッタ法である。このスパッタ法を用いると、成
膜ガス圧や投入パワーを変えることによって入射粒子の
エネルギーを調節することができ、形成されるニッケル
酸化物の構造に歪みをもたせることができる。
【0035】成膜条件のなかで最も構造との関わりが深
いガス圧をパラメータとし、角度の関係を調べると、図
3のような結果を得ることができた。この場合、プラズ
マ放電の生じる範囲で最も成膜のガス圧が低い場合に構
造の歪みが大きくなる、という結果を得ることができ
た。
【0036】この関係の結晶軸のなす角と交換結合磁界
の線形的な相関とから、成膜条件を変えること(具体的
には成膜条件を安定したプラズマ放電が可能な範囲で最
も低くすること)によって、交換結合磁界の大きさを制
御すると共に、当該交換結合磁界の大きい磁気抵抗効果
素子を得ることができた。
【0037】ここで、上述した交換結合磁界について詳
述する。
【0038】物質の磁性は、その物質の構造や組織に依
存して敏感に変化する。このことは、逆にとらえると、
構造や組織を制御することにより磁性をある程度は制御
することができる。本発明に関わるMR膜に印加される
交換結合磁界は、主としてバイアス層の磁性に依存す
る。このことから、発明者は、ニッケル酸化物の磁性を
構造を通じて制御すれば、上述したように交換結合磁界
も制御することができることを見いだした。
【0039】ニッケル酸化膜は、ニッケルと酸素の組成
比が1:1の岩塩構造となるときにネール温度525K
以下で反強磁性体になる。このとき、ニッケル(2+)
の磁気モーメントは約1.8〔μB〕であり、磁性を担
うニッケルの3d電子の一部は酸素の2p電子と混成し
て結合に寄与している。
【0040】そして、こうした電子の混成がある場合、
構造が変化すると局在するd電子の量が変化して磁気モ
ーメントの大きさが変わる。一般的には格子が伸びる場
合、結合電子が減少するため、磁気モーメントが大きく
なる。一方、岩塩構造は立方対称であり、磁気モーメン
トは互いに違いに向き合いその大きさが等しい。このた
め、発生する磁場が打ち消しあってしまう。したがって
膜の外部に磁場が漏れず、交換結合磁界が発生しない。
【0041】ところで、ニッケル酸化物では反強磁性状
態では岩塩構造から<111>方向に歪んで菱面体構造
となることで磁気モーメントの配列が安定化されること
が知られている。この場合、磁気モーメントが等方的で
はなく異方性を持つようになる。立方対称では互いに打
ち消しあっていた各サイトの磁気モーメントの大きさや
分布に差が現れて結晶の配列に依存した磁気異方性が発
生する。こうした異方性があると、膜の外部にも磁場が
漏れだして交換結合磁界が発生する。
【0042】磁気異方性は結晶が歪むほど大きくなる。
また磁気モーメントの大きさは結晶格子が伸びるほど大
きくなる。
【0043】これらのことから、岩塩構造を<111>
方向に歪ませた菱面体のニッケル酸化物薄膜を作製すれ
ば、上述したように、MR膜に強い交換結合磁界を印加
可能なバイアス膜を得ることができる。
【0044】更に、図1に示す本第1の実施形態は、前
述したように図2乃至図3に示した構造歪みと交換結合
磁界の関係を用いて、菱面体構造ニッケル酸化膜の結晶
軸のなす角度を60°より大きくなるように制御して成
膜し、これによってスピンバルブ型磁気ヘッドを作製し
たものである。この磁気ヘッドは磁気ディスクに書き込
まれた記録マーク幅が3〔μm〕,6000TPI(T
rack per Inch )に対応するように作製した。比較
のため立方対称構造のニッケル酸化物をバイアス層とし
た磁気ヘッドも作製した。両磁気ヘッドの再生信号を図
4に示す。
【0045】角度が61°以上のニッケル酸化物膜を用
いた場合の再生信号にはバルクハウゼンノイズによる信
号の歪みが現れない。これに対して立方対称のニッケル
酸化物では再生信号波形に歪みが発生していることがわ
かる。即ち、ニッケル酸化物薄膜の構造制御によって、
バルクハウゼンノイズを確実に低減することができ、実
用上,有用性の高いことが判明した。
【0046】
【第2の実施の形態】上記第1の実施の形態では、バイ
アス層を成すニッケル酸化物薄膜の構造歪みを、スパッ
タ法等による成膜条件の調節により形成する場合につい
て例示した。このため、この第2の実施の形態では、ニ
ッケルの一部を原子半径の異なる他の元素で置換し化学
的な変化によってニッケル酸化物薄膜の構造歪みを実現
する手法を試みた。
【0047】まず、上記第1の実施の形態における図2
で示したように、菱面体構造となるニッケル酸化物薄膜
の結晶軸のなす角度とニッケル酸化物薄膜上にパーマロ
イ薄膜を積層した2層膜で測定した交換結合磁界には、
正の相関関係があることが明らかとなった。
【0048】これに対して、化学的に結晶構造を歪ませ
るため、本実施形態では、ニッケル酸化物のニッケルを
白金で置換したニッケル酸化物薄膜を形成した。この場
合、ニッケル中に添加した白金の量(原子パーセント)
と結晶軸のなす角度の関係を図5に示す。白金約5原子
パーセント間での範囲で、結晶軸のなす角度が60°か
ら62.5°の範囲で変化した。
【0049】図6に白金添加量と交換結合磁界の関係を
示す。この場合も結晶軸のなす角度の増加とともにほぼ
直線的に正の相関性をもって交換結合磁界が増加した。
また、この試料を270〔°C〕で1時間熱処理しても
交換結合磁界が変化しなかった。その他の構成について
は前述した図1の場合と同一となっている。
【0050】以上のことにより、少なくとも約5原子パ
ーセントまでの範囲で白金を添加することによって、交
換結合磁界の大きさが制御でき、且つ耐熱性の高い磁気
抵抗効果素子を得ることが可能となった。
【0051】
【第3の実施の形態】上述した第2の実施形態の場合と
同様に、異なる大きさの元素をニッケルあるいは酸素と
置換させる目的でニッケル酸化物の酸素を原子半径の異
なる元素(ここでは硫黄)で置換した。ニッケル酸化物
中に添加した硫黄の量(原子パーセント)と結晶軸のな
す角度の関係を図7に示す。
【0052】この図7に示す結果より、硫黄約10原子
パーセント間の範囲で角度が60°から62°の範囲
で、明らかに交換結合磁界が変化した。図8に硫黄添加
量と交換結合磁界との関係を示す。この場合も、角度の
増加と共にほぼ直線的に正の相関性をもって交換結合磁
界が増加した。また、この試料を270〔°C〕で1時
間熱処理しても交換結合磁界が変化しなかった。その他
の構成については前述した図1の場合と同一となってい
る。
【0053】以上のことにより、少なくとも10電子パ
ーセントまでの範囲で硫黄を添加することによって、交
換結合磁界の大きさを自在に設定制御することが可能と
なり、且つ耐熱性の高い磁気抵抗効果素子を得ることが
可能となった。
【0054】
【第4の実施の形態】ニッケル酸化物の構造を歪ませる
方法としては、上述した各実施形態のほか、各原子サイ
トの間に侵入型に固溶する元素を添加する方法がある。
侵入型固溶体を形成する典型的な元素は、ホウ素
(B)、炭素(C)、窒素(N)である。この第4の実
施の形態では、ホウ素(B)をニッケル酸化物に添加し
た。ニッケル酸化物中に添加したホウ素の量(原子パー
セント)と角度の関係を図9に示す。ホウ素約5原子パ
ーセント間での範囲で角度が60°から62°の範囲で
変化した。
【0055】図10に、ホウ素(B)の添加量と交換結
合磁界の関係を示す。この場合も角度の増加と共にほぼ
直線的に正の相関性をもって交換結合磁界が増加した。
また、この試料を270〔°C〕で1時間熱処理しても
交換結合磁界が変化せず安定した状態を維持する事が判
明した。その他の構成については前述した図1の場合と
同一となっている。
【0056】以上のことにより、少なくとも5原子パー
セントまでの範囲でホウ素(B)を添加することによ
り、交換結合磁界の大きさを自在に設定制御することが
可能となり、且つ耐熱性の高い磁気抵抗効果素子を得る
ことがことが可能となった。
【0057】
【第5の実施の形態】前述した第1の実施の形態で示し
た関係を用い、菱面体構造ニッケル酸化膜の結晶軸のな
す角度を60°より大きくなるように制御して成膜し、
スピンバルブ型磁気ヘッドを作製した。
【0058】ここでは磁気ディスクに書き込まれた記録
マーク幅が1.5〔μm〕12000TPI(Track
per Inch )に対応するように磁気ヘッドを作製し
た。比較のため立方対称構造のニッケル酸化物をバイア
ス層とした磁気ヘッドも作製した。各磁気ヘッドの再生
信号を図11に示す。
【0059】この図11からも明らかのように、パラジ
ウム等を添加し結晶軸の成す角度が61°以上のニッケ
ル酸化物膜を用いた場合の再生信号には、バルクハウゼ
ンノイズによる信号の歪みが現れない。これに対して、
立方対称のニッケル酸化物では、再生信号の波形には信
号歪みが発生していることがわかる。即ち、ニッケル酸
化物の構造制御によってバルクハウゼンノイズを確実に
低減することを可能とすることができた。その他の構成
および作用効果は、前述した図1の第1の実施例形態と
同一となっている。
【0060】尚、上記各実施形態にあっては結晶軸の成
す角度を60°より増加する場合について例示したが、
結晶軸の成す角度を60°より減少する場合について
も、同様の成果を得ることができる。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、成膜条
件の調節あるいは第3元素の添加による菱面体構造で結
晶軸の成す角度が60°より大きく設定したニッケル酸
化物膜のバイアス層を用いることにより、交換結合磁界
が大きく且つバルクハウゼンノイズによる信号の歪みが
有効に排除された高感度の再生信号を取り出すことがで
きるという従来にない優れた磁気抵抗効果素子を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す磁気抵抗効果
素子の磁気検出部分を示す概略断面図である。
【図2】図1に開示された菱面体構造のニッケル酸化物
薄膜における結晶軸のなす角度と交換結合磁界との関係
を示す特性図である。
【図3】図1に開示された菱面体構造のニッケル酸化物
薄膜の形成時におけるガス圧と結晶軸のなす角度との関
係を示す特性図である。
【図4】図1における磁気抵抗効果素子を装備し且つ記
録マーク幅が3〔μm〕で6000TPIに対応するよ
うに作製された磁気ヘッドによる再生信号を示す説明図
である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に装備したニッケル
酸化物薄膜のニッケルの一部を白金で置換したときの、
白金添加量と結晶軸の成す角度との関係を示す特性図で
ある。
【図6】本発明の第2の実施の形態に装備したニッケル
酸化物薄膜のニッケルの一部を白金で置換した場合の、
白金添加量により変化する結晶軸の成す角度と交換結合
磁界との関係を示す特性図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に装備したニッケル
酸化物薄膜の酸素の一部を硫黄で置換したときの硫黄添
加量と結晶軸の成す角度との関係を示す特性図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に装備したニッケル
酸化物薄膜の酸素の一部を硫黄で置換した場合の、硫黄
添加量により変化する結晶軸の成す角度と交換結合磁界
との関係を示す特性図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に装備したニッケル
酸化物薄膜に侵入型固溶体ほう素を添加したときの、ほ
う素添加量と結晶軸のなす角度との関係を示す特性図で
ある。
【図10】本発明の第4の実施の形態に装備したニッケ
ル酸化物薄膜に侵入型固溶体ホウ素を添加した場合のホ
ウ素添加量と交換結合磁界との関係を示す特性図であ
る。
【図11】本発明の第5の実施の形態における磁気抵抗
効果素子を装備し且つ記録マーク幅が1.5〔μm〕で
12000TPIに対応するように作製された磁気ヘッ
ドによる再生信号を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ニッケル酸化物薄膜 2 ニッケル鉄合金薄膜 3 銅薄膜 4 ニッケル鉄合金薄膜 5,6 強磁性コバルト合金薄膜

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗効果を利用した磁気ヘッドの磁
    気検出部分に装備され、交換結合磁界を発生させるため
    のバイアス層としてニッケル酸化膜が設けられて成る磁
    気抵抗効果素子において、 前記ニッケル酸化膜を、菱面体構造で且つ当該ニッケル
    酸化膜における結晶軸間の成す角度を60°よりも増加
    した状態に設定したことを特徴とする磁気抵抗効果素
    子。
  2. 【請求項2】 前記菱面体構造のニッケル酸化膜を構成
    するニッケルの一部を、白金等の原子半径の異なる金属
    元素で置換したことを特徴とする請求項1記載の磁気抵
    抗効果素子。
  3. 【請求項3】 前記菱面体構造のニッケル酸化膜を構成
    する酸素の一部を、原子半径の異なる硫黄等のVI族の
    何れかの元素で置換したことを特徴とする請求項1記載
    の磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 前記菱面体構造のニッケル酸化膜を構成
    する酸素の一部を、原子半径の異なるハロゲン元素で置
    換したことを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素
    子。
  5. 【請求項5】 前記菱面体構造のニッケル酸化膜を構成
    するニッケル等の一部に、進入型にて固溶する元素を添
    加したことを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素
    子。
  6. 【請求項6】 磁気抵抗効果を利用した磁気ヘッドの磁
    気検出部分に装備され、交換結合磁界を発生させるため
    のバイアス層としてニッケル酸化膜が成膜されて成る磁
    気抵抗効果素子において、 前記ニッケル酸化膜をスパッタ法により成膜すると共
    に、このスパッタ法によるニッケル酸化膜の成膜条件と
    して、安定したプラズマ放電が可能な範囲で成膜ガス圧
    を低く設定することを特徴とした磁気抵抗効果素子の製
    造方法。
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