JP2824793B2 - 細胞濃度と細胞活性の同時自動測定装置 - Google Patents

細胞濃度と細胞活性の同時自動測定装置

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JP2824793B2 JP26170989A JP26170989A JP2824793B2 JP 2824793 B2 JP2824793 B2 JP 2824793B2 JP 26170989 A JP26170989 A JP 26170989A JP 26170989 A JP26170989 A JP 26170989A JP 2824793 B2 JP2824793 B2 JP 2824793B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、細胞懸濁液の細胞濃度と細胞活性を同時に
測定する装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、発酵工程などの監視は、細胞懸濁液中の細胞濃
度や細胞活性の測定により行なつている。
細胞懸濁液の細胞濃度は、顕微鏡法、コロニーカウン
ト法、乾燥重量測定法、濁度測定法などにより測定さ
れ、一方細胞懸濁液の細胞活性は、細胞の呼吸速度の測
定、酵素活性の測定、細胞のアデノシントリフオスフエ
ート(ATP)濃度の測定などの方法により求めている。
しかし、細胞濃度及び細胞活性の測定には、従来から
手分析法が主に採用されているため、測定に多くの時間
を要し、又操作が煩雑で人為的誤差を与えやすい等の問
題があつた。特に、細胞濃度と細胞活性の両方を測定す
る場合には、別々のサンプルでは両方の相関関係が得ら
れないので同一サンプルを用いて連続的に測定する必要
があるが、細胞濃度や細胞活性は生命活動によつて経時
的に変化するから、片方を測定している間に他方が変化
してしまうと云う問題があつた。
又、細胞活性の測定にはATP濃度の分析が有効であつ
て多く用いられている。この分析は、ルシフエリンとMg
2+の存在下でルシフエラーゼの触媒作用によつてATPを
アデノシンモノフオスフエート(AMP)に分解し、下記
反応に伴なう発光量からATP濃度を測定するものであ
る: しかし従来の手分析法では、容器に採取したサンプル
液に素早くルシフエリンとルシフエラーゼを含む発光試
薬とATP抽出液をほぼ同時に加え、容器ごと光度計にセ
ツトするので、サンプル液の採取や発光試薬等の添加に
時間を要し、生命活動によつて経時的に変動する細胞内
のATP濃度を正確に求めることが困難であつた。更に、
上記従来の方法ではATP抽出液により細胞内から遊離さ
れたATPと細胞外のATPの合計濃度が求められることにな
り、細胞内のATP濃度と細胞外のATP濃度とを別々に簡単
に測定することは困難であつた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、サンプル液である細胞懸濁液中の細胞濃度
と細胞活性とを、夫々濁度測定とATP濃度測定によりほ
ぼ同時に且つ自動的に測定する装置を供給すること、特
に細胞活性については細胞内のATP濃度と細胞外のATP濃
度とを別々に測定できる装置を提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明の細胞濃度と細胞活
性の同時自動測定装置では、流れ分析装置において、細
胞が懸濁したサンプル液をキヤリア液に注入するサンプ
ル液供給路と、キヤリア液に注入されたサンプル液を混
合器を経て移送するサンプル流路と、ルシフエリンとル
シフエラーゼを含む発光試薬をキヤリア液に注入し混合
器を経て移送する試薬流路と、サンプル流路と試薬流路
とを合流し混合器を経て移送する検出流路と、検出流路
に設けた化学発光検出器と、前記サンプル液供給路、サ
ンプル流路又は検出流路の何れかに設けた吸光度検出器
とを具え、更に必要に応じてサンプル流路に混合器の手
前でATP抽出液を注入する抽出液供給路を具えたことを
特徴とする。
〔作用〕
本発明では、流れ分析法を採用して装置化することに
より、サンプル液の迅速な採取、ATP抽出液や発光試薬
の速やかな注入と発光量の測定、及びこれらと平行した
濁度の測定を実現し、しかも必要に応じて細胞内及び細
胞外のATP濃度を別々に正確に測定するようにした。
本発明装置を第1図により説明すると、この測定装置
は、細胞が懸濁したサンプル液Sをキヤリア液C1に注入
するサンプル液供給路1と、キヤリア液C1に注入された
サンプル液Sを混合器11を経て移送するサンプル流路2
と、サンプル流路2に混合器11の手前でATP抽出液Rを
注入する抽出液供給路3と、キヤリア液C2にルシフエリ
ンとルシフエラーゼを含む発光試薬Eを注入し混合器12
で混合して移送する試薬流路4と、サンプル流路2と試
薬流路4とを合流し混合器13を経て化学発光検出器6及
び吸光度検出器7に移送する検出流路5とを具えてい
る。
上記測定装置により細胞外のATP濃度と濁度を測定す
る場合、細胞が懸濁したサンプル液Sをポンプ15により
インジエクター9に供給し、インジエクター9を回転し
て流路をキヤリア液C1の流路に切り替えることにより、
切取られたサンプル液Sはポンプ14により圧送されるキ
ヤリア液C1に挟まれて送られ、混合器11で混合される。
一方、発光試薬Eはポンプ18により別のインジエクター
10に供給され、上記と同様にインジエクター10により切
取られた発光試薬Eは、ポンプ17により圧送されるキヤ
リア液C2に挟まれて混合器12に送られ混合される。混合
器11を経たサンプル液Sを含むキヤリア液C1と、混合器
12からの発光試薬Eを含むキヤリア液C2とは合流して検
出流路5を流れ、混合器13で混合されて反応し、化学発
光検出器6及び吸光度検出器7を通過して排出される。
化学発光検出器6では上記ATPの分解反応に伴なう発光
量が検出され、吸光度検出器7では混合器11、13で混合
希釈されたサンプル液Sの吸光度が検出され、共に電気
信号として処理装置8に送られてデータ処理され、得ら
れた値とブランク値の差が細胞外ATP濃度及び濁度とし
て表示又はプリントアウトされる。
又、細胞内のATP濃度を測定する場合には、インジエ
クター9によりキヤリア液C1に注入されたサンプル液S
が混合器11に達する前に、ATP抽出液Rをポンプ16によ
り抽出液供給路3からサンプル流路2に注入することに
より、細胞を破壊して細胞内のATPを遊離させ、以下前
記と同様に発光試薬Eとの反応による発光量を測定して
細胞内外の全ATP濃度を求める。この全ATP濃度から前記
の如く測定した細胞外ATP濃度を差引けば細胞内ATP濃度
が求められる。
尚、この場合には濁度の測定は行なわない。
このように本発明装置では、各ポンプとインジエクタ
ーを測定対象に応じて組合せ、例えばポンプ15、18とイ
ンジエクター9、10をタイミングをとつて動作させ及び
/又は流路の長さや内径を調節することにより、サンプ
ル液Sと発光試薬Eを検出流路5で合流させ反応させる
ことが出来るので、ブランク値、細胞外ATP濃度、濁
度、及び全ATP濃度と細胞内ATP濃度が短時間内(例えば
5分以内)に連続的に測定される。
尚、濁度を測定する吸光度検出器7は、サンプル液S
の濃度に応じて、サンプル液供給路1、サンプル流路2
又は検出流路5の何れかに設ければ良く、測定波長は通
常500〜700nmである。
〔実施例〕
実施例1 第1図の測定装置を使用し、ドライイースト懸濁液に
ついてATP濃度と濁度を測定した。
ドライイースト懸濁液は、ドライイーストを蒸留水に
懸濁し、希釈して各種の濃度に作成したサンプルを用い
た。キヤリア液C1は1mMのEDTAを加えたpH7.75のHEPES緩
衝液、キヤリア液C2は1mMのEDTAと10mMのMg2+を加えたp
H7.75のHEPES緩衝液、発光試薬Eは0.2mMのルシフエリ
ンと1U/mlのルシフエラーゼを加えたpH7.75のHEPES緩衝
液、ATP抽出液Rは界面活性剤を用いた。
尚、ATP濃度と濁度の測定操作は前記の通りである
が、インジエクター9と10を連動させ、測定の確度を高
めるため同一サンプル液を2回連続して注入し、流路の
長さを調整することにより各サンプル液Sと発光試薬E
とを検出流路5でタイミングを合せて合流させて反応さ
せ、同一サンプルにつき2回連続して測定した。細胞外
ATP濃度と濁度の測定ではキヤリア液C1の流速を1.5ml/m
in、キヤリア液C2の流速を0.96ml/minとし、又全ATP濃
度の測定ではキヤリア液C1の流速を0.5ml/min、キヤリ
ア液C2の流速を0.35ml/minとし、ATP抽出液Rは150mlを
注入し、吸光度は波長600nmで測定した。
第2図は各2回連続測定した化学発光検出器6と吸光
度検出器7の出力の応答曲線であり、ピークAは10g/
のドライイースト懸濁液の全ATP濃度に、ピークBは同
懸濁液の細胞外ATP濃度及びピークCは同懸濁液の濁度
に夫々対応し、ピークD、E、Fは5g/のドライイー
スト懸濁液の全ATP濃度、細胞外ATP濃度及び濁度に対応
し、ピークG、H、Iは2g/のドライイースト懸濁液
の全ATP濃度、細胞外ATP濃度及び濁度に対応するもので
あつて、これらが各サンプルについて約5分で測定でき
た。
第3図に上記の各測定で得られたドライイースト濃度
と、細胞内ATP濃度(曲線A)、細胞外ATP濃度(曲線
B)、及び濁度(曲線C)との関係を示した。
実施例2 第1図の測定装置を使用し、培養開始後一定時間ごと
の酵母培養液について、実施例1と同じ測定条件でATP
濃度と濁度を測定した。
尚、酵母の培養は、菌体としてS.Cerevisiaeを用い、
培地としてグルコース4%、ポリペプトン1%、イース
トエキス0.5%、及びリン酸水素カリウムと硫酸マグネ
シウム0.2%を純水に溶かした溶液(pH6.0)を用いて行
なつた。
第4図に酵母の培養時間と、培養液の濁度(曲線
A)、生菌数(曲線B)、細胞内ATP濃度(曲線C)、
及びグルコース濃度(曲線D)の関係を示した。尚、生
菌数は培養液を減菌した蒸留水で適当な濃度に希釈し、
上記培地を用いた寒天培地に1mlを分取して植菌し、30
℃で30時間以上培養して生成するコロニー数をコロニー
カウント法で求めた。グルコース濃度はグルコース電極
を用いたグルコース計で測定した。
第4図から判るように、グルコース濃度がゼロになり
細胞の増殖が停止するまでは、濁度、生菌数、細胞内AT
P濃度とも同じ傾向で増加する。増殖が停止して静止状
態になると、濁度と生菌数はほぼ一定のままであるが、
細胞内ATP濃度は少しずつ低下する。これは、濁度が細
胞濃度を及び細胞内ATP濃度が細胞活性を良く現わして
いることを示している。
実施例3 実施例2と同様に、培養開始後一定時間ごとの大腸菌
培養液のATP濃度と濁度を測定した。
尚、大腸菌の培養は、菌体としてE.Coliを用い、培地
として肉エキス1%、ポリペプトン1%及びNaCl0.2%
を純水に溶かした溶液(pH7.2)を用いて行なつた。
第5図に大腸菌の培養時間と、培養液の濁度(曲線
A)、生菌数(曲線B)、及び細胞内ATP濃度(曲線
C)の関係を示した。尚、生菌数は実施例2に述べたコ
ロニーカウント法によつた。第5図においても、濁度が
細胞濃度を及び細胞内ATP濃度が細胞活性を良く現わす
ことが判る。
〔発明の効果〕
本発明によれば、極めて短い時間内に、同一視できる
サンプル液について濁度と、細胞外ATP濃度、細胞内ATP
濃度及び全ATP濃度を別々に且つほぼ同時に、しかも自
動的に測定出来る。
従つて、本発明は、例えば発酵の工程をリアルタイム
に監視する場合等に非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明装置の一具体例を示す概略構成図であ
る。第2図は実施例1でのATP濃度と濁度の出力の応答
曲線であり、第3図は実施例1によるドライイースト培
養液のドライイースト濃度と、細胞内ATP濃度(曲線
A)、細胞外ATP濃度(曲線B)、及び濁度(曲線C)
との関係を示したグラフである。第4図と第5図は夫々
実施例2と実施例3による酵母培養液と大腸菌培養液の
濁度(曲線A)、生菌数(曲線B)、細胞内ATP濃度
(曲線C)、及びグルコース濃度(曲線D)の関係を示
したグラフである。 1……サンプル液供給路 2……サンプル流路、3……抽出液供給路 4……試薬流路、5……検出流路 6……化学発光検出器、7……吸光度検出器 8……処理装置、9、10……インジエクター 11、12、13……混合器 14、15、16、17、18……ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−91900(JP,A) 特開 昭63−61144(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12M 1/34 C12Q 1/66

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流れ分析装置において、細胞が懸濁したサ
    ンプル液をキヤリア液に注入するサンプル液供給路と、
    キヤリア液に注入されたサンプル液を混合器を経て移送
    するサンプル流路と、ルシフエリンとシフエラーゼを含
    む発光試薬をキヤリア液に注入し混合器を経て移送する
    試薬流路と、サンプル流路と試薬流路とを合流し混合器
    を経て移送する検出流路と、検出流路に設けた化学発光
    検出器と、前記サンプル液供給路、サンプル流路又は検
    出流路の何れかに設けた吸光度検出器とを具えたことを
    特徴とする細胞濃度と細胞活性の同時自動測定装置。
  2. 【請求項2】請求項(1)の流れ分析装置において、サ
    ンプル流路に混合器の手前でATP抽出液を注入する抽出
    液供給路を更に具えたことを特徴とする細胞濃度と細胞
    活性の同時自動測定装置。
JP26170989A 1989-10-06 1989-10-06 細胞濃度と細胞活性の同時自動測定装置 Expired - Lifetime JP2824793B2 (ja)

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