JP2821647B2 - アンテナの整合装置 - Google Patents

アンテナの整合装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明はマイクロストリップアンテナ等に好適な、
アンテナの整合装置に関する。
[発明の概要] この発明は、狭帯域のアンテナと給電線との間に介挿
して広帯域で整合させるようにしたアンテナの整合装置
において、第1の所定長でアンテナ側の高インピーダン
ス線路と、第2の所定長で給電線側の低インピーダンス
線路とを直列接続することにより、簡単な構造で小型化
できるようにしたものである。
[従来の技術] 従来、第6図に示すように、接地導体(11)上に、誘
電体層(12)を介して、放射素子(13)を配設したマイ
クロストリップアンテナ(10)が、簡単な構造と低い高
さで、所望の単一指向性が得られることから、特にUHF/
SHF帯で、航空機・自動車等の無線通信に使用されてい
る。
[発明が解決しようとする課題] ところで、前述のようなマイクロストリップアンテナ
は、Qが高く周波数帯域幅が狭いので、例えば、送受2
周波数方式の無線通信で共用することができないという
欠点があった。
この欠点を解消する技法としては、例えば、無給電素
子を放射素子の正面に装荷して、2共振状態により広帯
域化するものが知られているが、無給電素子の装荷によ
り、アンテナ全体の高さが増大するという問題が生ず
る。
一方、第6図に示すように、スタブを含む整合器をア
ンテナと給電線との間に介挿する技法が、例えば特開昭
62−279704号公報により知られている。
即ち、第6図において、整合器(20)は接地導体(2
1)上に、誘電体層(22)を介して、線路導体(23)〜
(25)が直列に配設されると共に、中間点PMからL字
状のスタブ(26)が分岐され、負荷側,入力側のコネク
タ(27),(28)が線路導体(23),(25)にそれぞれ
接続されて構成される。アンテナ(10)の給電点(14)
が、同軸給電線(15)とコネクタ(16)とを介して、整
合器(20)の一方のコネクタ(27)に接続される。他方
のコネクタ(28)には、給電線(図示を省略)が接続さ
れる。
所望の2周波数f1,f2(f1<f2)において、整合器(2
0)の中間点PMからアンテナ(10)側を見たコンダクタ
ンス成分が等しくなり、サセプタンス成分B1,B2(|B1|
>|B2|)が異符号となるように、給電点(14)と中間点
PMとの距離l1が設定される。
また、スタブ(26)の長さl2と特性インピーダンス
は、中間点PMから見たスタブ(26)のサセプタンス成
分が、周波数f1,f2においてそれぞれ−B1,−B2となるよ
うに設定される。
これにより、所望の2周波数f1,f2において、中間点
PMから見たスタブ(26)とアンテナ(10)側との合成
アドミタンスがそれぞれ等しくなる。
中間部の線路導体(24)は周知のλ/4(但し、λは波
長を示す)インピーダンス変換器であって、中間点PM
から見た合成アドミタンスが、入力側のコネクタ(28)
から見規準値[1]になるように変換される。
このようにして、整合器(20)の使用により、所望の
2周波数f1,f2において、アンテナ(10)のインピーダ
ンスが整合して、広帯域化が達成される。
なお、上述の整合器は、第7図に示すように、双方の
接地導体を共通化して、アンテナと一体化することがで
きる。この第7図において、(17)は接続導体、(29)
は非接地導体であって、非接地導体(29)は第6図の給
電線(15)と線路導体(23)〜スタブ(26)を代表す
る。
ところが、上述の整合器(20)では、スタブ(26)が
線路導体(23)から分岐されているため、スタブ(26)
をL字状としても、整合器(20)の寸法が比較的大きく
なるという問題があった。
また、同軸線路で構成する場合、構造が複雑になると
いう問題があった。
かかる点に鑑み、この発明の目的は、小型で構造が簡
単なアンテナの整合装置を提供するところにある。
[課題を解決するための手段] この発明は、狭帯域のアンテナと給電線との間に介挿
してアンテナと給電線とを広帯域で整合させるようにし
たアンテナの整合装置において、長さがほぼ(1/4)波
長で、インピーダンスがほぼ50Ωの高インピーダンス線
路をアンテナ側に配し、長さがほぼ1波長で、インピー
ダンスが50Ωより十分低い低インピーダンス線路を給電
線側に配し、高インピーダンス線路と低インピーダンス
線路とを直列接続したアンテナの整合装置である。
〔作用〕
この発明によれば、長さがほぼ(1/4)波長で、イン
ピーダンスがほぼ50Ωの高インピーダンス線路をアンテ
ナ側に配し、長さがほぼ1波長で、インピーダンスが50
Ωより十分低い低インピーダンス線路を給電線側に配
し、高インピーダンス線路と低インピーダンス線路とを
直列接続して、アンテナの整合装置を構成したので、ア
ンテナと給電線とを広帯域で整合させることができる。
[実施例] 以下、第1図〜第5図を参照しながら、この発明によ
るアンテナの整合装置の一実施例について説明する。
この発明の一実施例の構成を第1図に示す。この第1
図において、前出第6図に対応する部分には同一の符号
を付して一部説明を省略する。
第1図において、マイクロストリップアンテナ(10)
の放射素子(13)は、中心から所定距離rfだけオフセッ
トして給電点(14)が設けられ、TM21モードで励振され
る。
例えば、2.5GHzの周波数帯では、誘電体層(12)の厚
さと誘電率が d12=3.2mm ε=2.6 であるとき、放射素子(13)の半径raと、給電点(14)
のオフセット距離rfは、それぞれ次のように設定され
る。
ra=35.5mm rf=17.5mm (30)は整合器であって、接地導体(図示を省略)上
に、例えばフッ素樹脂のような、低損失の誘電体層(3
2)を介して、3部分の線路導体(33),(34),(3
5)が直列に配設されて、マイクロストリップライン構
成とされる。
なお、前出第7図に示したと同様に、この実施例でも
整合器(30)とアンテナ(10)の接地導体を共通化し
て、両者を一体化することができる。
両端部の線路導体(33),(35)は、特性インピーダ
ンスが標準の50Ωとなるように、その幅W33,W35が共に
狭く設定される。一方、中間部の線路導体(34)は、特
性インピーダンスが例えば数Ωと格段に低くなるよう
に、その幅W34が広く設定される。
また、幅狭の線路導体(33)の長さL33はλ/4(但
し、λは波長を示す)弱に設定され、幅広の線路導体
(34)の長さL34はほぼ1λに設定される。
幅狭の一方の線路導体(33)がアンテナ(10)の給電
点(14)に接続され、他方の線路導体(35)がコネクタ
(36)に接続される。このコネクタ(36)には、特性イ
ンピーダンス50Ωの給電線(図示を省略)が接続され
る。
次に、第2図〜第5図をも参照しながら、この発明の
一実施例の動作について説明する。
この実施例では、第5図に破線で示した反射損(リタ
ーンロス)が鋭いV字状であることから容易に判るよう
に、アンテナ(10)単体の周波数帯域幅がきわめて狭
く、線路導体(33)の一端PLDからアンテナ側を見た負
荷インピーダンスZLDは、スミスチャート上で、第2図
に示すようになる。
このような負荷インピーダンスZLDは、特性インピー
ダンスが50Ωで長さがλ/4弱の線路[導体(33)に対
応]により、スミスチャート上で回転されて、幅広の線
路導体(34)との接続中点PMからアンテナ側を見た中
間インピーダンスZMは第3図に示すようになる。
そして、特性インピーダンスが数Ωでほぼ1λの長さ
の線路[導体(34)に対応]により、この中間インピー
ダンスZMに対して、所要の周波数領域でこれとほぼ共
役なインピーダンスが等価的に付加されて、幅広の線路
導体(34)の他端PINからアンテナ側を見た入力インピ
ーダンスZINは、第4図に示すように、スミスチャート
上で中心を繞るように、かなりの部分がその近傍に集中
する。
これにより、線路導体(34)の他端PINにおける(総
合の)リターンロスは第5図に実線で示すようにU字状
となり、約50MHzと比較的広い周波数領域にわたって、
マイクロストリップアンテナ(10)と給電線とが整合し
ていることが判る。
上述のように、この実施例では、それぞれ所定長の幅
狭・幅広の線路導体を直列接続するだけの簡単な構成
で、整合器を小型化することができる。
上述の実施例では、整合器(30)が開放型のマイクロ
ストリップライン構成とされたが、線路導体の両側にそ
れぞれ誘電体層と接地導体とを配した遮蔽型、いわゆる
トリプレット型のマイクロストリップライン構成とすれ
ば、線路導体の幅がほぼ半減されると共に、長さがほぼ にまで低減されて、一層の小型化が可能となる。
整合器(30)がトリプレット型の場合、例えば、2.5G
Hzの周波数帯では、誘電体層の厚さと誘電率が d=1.6mm ε=2.6 であるとき、両線路導体(33),(34)の幅と長さはそ
れぞれ次のように設定される。
W33=1.1mm W34=12mm L33=15mm L34=75mm 以上、この発明をマイクロストリップラインに適用し
た実施例について説明したが、この発明は同軸線路にも
同様に適用することができて、この場合も構造はきわめ
て簡単になる。
[発明の効果] 以上詳述のように、この発明によれば、狭帯域のアン
テナと給電線との間に介挿してアンテナと給電線とを広
帯域で整合させるようにしたアンテナの整合装置におい
て、長さがほぼ(1/4)波長で、インピーダンスがほぼ5
0Ωの高インピーダンス線路をアンテナ側に配し、長さ
がほぼ1波長で、インピーダンスが50Ωより十分低い低
インピーダンス線路を給電線側に配し、高インピーダン
ス線路と低インピーダンス線路とを直列接続したので、
小型かつ簡単な構造で、狭帯域のアンテナを広帯域で給
電線に整合させることができるアンテナの整合装置が得
られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明によるアンテナの整合装置の一実施例
の構成を示す展開図、第2図〜第4図はこの発明の一実
施例の動作を説明するための線図、第5図はこの発明の
一実施例の特性を示す線図、第6図は従来のアンテナの
整合装置の構成例を示す斜視図、第7図は他の従来例の
構成を示す断面図である。 (10)はアンテナ、(30)は整合器、(33)は高インピ
ーダンス線路導体、(34)は低インピーダンス線路導体
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 浩二 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−318304(JP,A) 特開 昭62−279704(JP,A) 特開 昭57−176802(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01Q 13/08 H01P 5/02 603

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】狭帯域のアンテナと給電線との間に介挿し
    て上記アンテナと上記給電線とを広帯域で整合させるよ
    うにしたアンテナの整合装置において、 長さがほぼ(1/4)波長で、インピーダンスがほぼ50Ω
    の高インピーダンス線路をアンテナ側に配し、 長さがほぼ1波長で、インピーダンスが50Ωより十分低
    い低インピーダンス線路を給電線側に配し、 上記高インピーダンス線路と上記低インピーダンス線路
    とを直列接続したことを特徴とするアンテナの整合装
    置。
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