JP2821280B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2821280B2
JP2821280B2 JP3088780A JP8878091A JP2821280B2 JP 2821280 B2 JP2821280 B2 JP 2821280B2 JP 3088780 A JP3088780 A JP 3088780A JP 8878091 A JP8878091 A JP 8878091A JP 2821280 B2 JP2821280 B2 JP 2821280B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非磁性支持体と磁性層か
らなる磁気記録媒体に関するものであり、特に重層構成
の磁性層を有する磁気記録媒体に関するものである。本
発明は特にS−VHSビデオ等の磁気記録媒体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体、とくに1/2インチのS
−VHSビデオテープにおいては高画質化とともに特に
高音質化の要求が大きい。このため、従来はいわゆるH
iFi−VTRと称し、音声信号を従来のAMバイアス
記録から、FM記録へと変えて高音質化が図られてい
る。FM化された音声信号は画像信号とは別に、専用の
音声用回転ヘッドで記録される。また映像信号は専用の
映像ヘッドで記録される。この時、映像信号は、音声信
号が記録されたトラックの上に重畳されて記録される。
従って、磁気記録媒体の表面部分の音声信号は映像信号
により部分的に消去される。これがいわゆるVHS−H
iFiの深層記録である。また、近年になりS−VHS
ビデオテープを使用し、音声をPCM信号として記録す
ることが提唱されている。PCM信号は従来のFM化さ
れた音声信号(1.3MHz、1.7MHz)より更に
高周波数帯域(3MHz)でFM信号と同時に従来の音
声用回転ヘッドで記録される。PCM信号は周波数が高
く波長が短いためためFM信号より更に磁性層の表層に
記録される。このため、映像ヘッドで映像信号を重畳記
録すると従来のHiFi信号より消去されやすいことが
わかった。高音質化のために、画像信号重畳後のPCM
信号の出力を高くすることが要求されている。
【0003】しかし、従来の方法ではPCMの出力を高
くしようとすると、映像信号に最適な抗磁力でなくなる
ために画質が悪化したり、磁気記録媒体の全消去率が悪
くなり、再記録時に以前の記録が消去されず、画質、音
質が劣化したりする。このため深層記録部分の記録効率
を上げるための試みが特開平2−254623号公報で
なされてはいる。しかし、前記特許では深層部での記録
再生効率を上げることが手段とされているがS−VHS
のPCM信号やHiFi信号は音声用回転ヘッドで一度
記録された後、ビデオ信号が重ね書きされるためにビデ
オ信号で表層部が消去されるために結果として深層記録
になってしまうだけであって、記録そのものはヘッドに
近い表層部にある方が好ましい。これは、深層部よりヘ
ッドでの読み書きの効率が高いので、表層部の記録効率
を上げる方が画質と音質の両立が容易になると言うこと
である。該特許では下層のHcを上層より高くしている
が下層のHcが高いと記録効率が大幅に低下するためか
えって好ましくないことが判明した。したがって、従来
の磁気記録媒体では高画質と高音質を両立することが困
難であった。
【0004】上記問題を部分的に解決する手段としては
重層構造の磁性層があるが単に上層磁性層のHcを高く
するだけでは充分な結果は得られ難かった。また、上層
磁性層のSFD値を規定した技術が、例えば、特開平2
−240824号公報に開示されているが、この技術は
上層磁性層のSFD(Switching Field
Distribution)値は低い方が好ましく下
層磁性層のSFD値には特に限定はない。そのためビデ
オ画質及びアナログ記録の音声の向上には効果がある
が、PCMオーディオの性能向上には余り効果がなかっ
た。画質と音質の両方を向上させる技術としては、その
他に以下のような技術が提案されている。即ち、特開昭
63−187419号公報(上層磁性層の強磁性粉体の
軸長0.3μm以下、下層磁性層の強磁性粉体の軸長
0.3μm以上)、特開平1−106333号公報(上
層磁性層Hc600〜1200Oe、下層磁性層Hc5
00〜1000Oe)、特開平2−192019号公報
(上層磁性層Hc650〜1000Oe、下層磁性層H
cは上層磁性層Hcの0.6〜1.0)特開平2−24
0824号公報(上層磁性層/下層磁性層=CoFeO
x/CoFeOx)などである。上記公報に記載されて
いる技術は、PCMオーディオの出力の改善については
余り効果がなかった。
【0005】その他の酸化鉄磁性粉末を使用した磁性層
を重層にしてビデオ画質と音質の双方を共に向上させる
技術としては更に以下のような技術が提案されている。
即ち、特公昭51−29806号公報(上層磁性層/下
層磁性層=Co−Fe 23/Fe34)、特公昭54−
8286号公報(上層磁性層/下層磁性層=Co−Fe
23/Fe23)、特公昭56−30608号公報(上
層磁性層/下層磁性層=Co−Fe34/Co−Fe2
3)、特開昭55−108928号公報(上層磁性層
/下層磁性層=Co酸化鉄/マグネタイトまたはCoマ
グネタイト)、特開昭56−143532号公報(上層
磁性層/下層磁性層=混合Co−FeOx/混合磁
材)、特開昭58−56230号公報(上層磁性層/下
層磁性層=Co−Fe23/Fe23)、特開昭58−
146025磁性層(上層磁性層/下層磁性層=CoF
eOx/Fe23)、特開昭58−159238号公報
(上層磁性層/下層磁性層=Co−FeOx/Fe
23)等である。しかしながら、これらの技術はいずれ
も、上層の磁性層の消去特性を決めるHcやSFDにつ
いての工夫がないために、PCMオーディオ出力の改善
についてはまだ不充分であった。
【0006】本発明者らは、磁性層の消去特性、特に上
層磁性層中の強磁性粉体の高Hc成分に着目して研究を
重ねた結果、上層磁性層に平均Hcの1.2倍以上の高
Hc成分が一定割合以上含まれている時にビデオ画質や
消去特性に悪影響を与える事なく、PCMオーディオ信
号の出力を高められる事を見いだし本発明に至った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、同一
トラック上にPCMデジタル信号を含むオーディオ信号
を記録し、その上にビデオ信号を重畳記録する磁気記録
媒体において、PCMデジタル信号が消去されずに高い
出力を発揮することができる磁気記録媒体を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上層磁性
層、下層磁性層の特性を鋭意研究した結果、以下の構成
の磁気記録媒体を用いたときに、従来の問題が解決され
ることを見いだし本発明に至った。すなわち、本発明の
前記目的は、非磁性支持体上に強磁性粉体を結合剤に分
散した下層磁性層と上層磁性層を含む複数の磁性層を設
け、メタルヘッドによって同一トラック上にPCMデジ
タル信号を含むオーディオ信号を記録し、その上にビデ
オ信号を重畳記録する磁気記録媒体において、前記上層
磁性層は、Hcが950Oe以上1200Oe以下であ
り、SFDが0.40以上0.60以下であり、前記下
層磁性層は、Hcが800Oeより高く1000Oe未
満で上層磁性層より低く、SFDが0.30以上0.5
5以下であり、前記下層磁性層のHcとSFDの積が前
記上層磁性層のHcとSFDの積より小さいことを特徴
とする磁気記録媒体によって達成することができる。ま
た、本発明の磁気記録媒体を、PCMデジタル信号が搬
送周波数3MHz以上であり、前記ヒデオ信号が最短記
録波長6MHz以上である再生記録条件で使用すること
により、本発明の目的を更に効果的に達成することがで
きる。
【0009】なおまた、非磁性支持体上に強磁性粉体を
結合剤に分散した下層磁性層と上層磁性層を含む複数の
磁性層を設け、メタルヘッドによって同一トラック上に
PCMデジタル信号を含むオーディオ信号を記録し、そ
の上にビデオ信号を重畳記録する磁気記録媒体におい
て、前記上層磁性層は、Hcが950Oe以上1200
Oe以下であり、SFDが0.40以上0.60以下で
あり、Brが1600ガウス以上であり、乾燥厚みが
0.3μm以上1.0μm以下であり、かつ、強磁性粉
体として平均長軸長が0.18μm以下であるコバルト
変性酸化鉄を含み、前記下層磁性層はHcが800Oe
より高く1000Oe未満で上層磁性層より低く、SF
Dが0.30以上0.55以下であり、前記下層磁性層
のHcとSFDの積が前記上層磁性層のHcとSFDの
積より小さく、かつ、強磁性粉体としてコバルト変性酸
化鉄を含むことを特徴とする磁気記録媒体によって、さ
らに本発明の目的は有効に達成することができる。ここ
でSFDとは、Switching Field Di
stributionの略で反転磁場の分布で、磁性層
中に含まれるHcの分布を示すものであり、5KOeの
磁場による磁気ヒステリシス曲線の微分曲線の半値幅を
Hcで除した値で示される。
【0010】上層の強磁性粉体はコバルト含有酸化鉄が
比較的安価でHcやSFDの調整が比較的容易で、工業
的に得やすいので好ましい。上層磁性層のHcは950
Oe以上1200Oe以下であり、特に、950Oe〜
1100Oeが好ましい。上層のHcが950Oe未満
ではビデオ出力の他、PCM出力やHiFi出力が低下
するので好ましくない。またHcが約1200Oeを越
えるとS−VHSモードではビデオ出力は飽和し増加が
見られず、一方、カラー出力が低下するため好ましくな
い。
【0011】本発明の目的である従来の画像信号を損な
うことなくPCM信号を高める為には、SFDは0.4
0以上が好ましい。また特に0.42以上が好ましい。
0.40未満ではPCM信号の出力の増加が見られない
ため信号のエラーレイトが増加し、音声の歪が増加した
り、ミューティングがかっかてしまうため好ましくな
い。これはSFDが小さいと高Hc成分が少なくなるた
めビデオ信号の重ね書きにより磁性層表層部分のPCM
信号が消去されやすくなる為と思われる。
【0012】上層磁性層の厚みは0.3〜1.0μmが
好ましく、特に0.4〜0.8μmが好ましい。約0.
2μm以下では上層磁性層が薄すぎるため電磁変換特性
が下層磁性層と同等になり好ましくない。また、約1.
0μmを超えると長波長、中波長域での出力の改善が見
られなくなるので好ましくない。また、上層磁性層のノ
イズレベルが大きいとPCM信号のS/N比が小さくな
りエラーレイトが増加するため好ましくない。このため
上層磁性層の強磁性粉体の粒子サイズは小さい方が好ま
しく、粒子の長軸長では0.18μm以下、特に好まし
くは0.16μm以下である。また、BET法による比
表面積では45m2/gが好ましい。上層磁性層のBr
は1600ガウス以上が好ましい。上層磁性層のBrが
大きいとすべての周波数において出力の向上が見られる
ので好ましい。下層磁性層の強磁性粉体はコバルト含有
酸化鉄が工業的に安価に得られるので好ましい。下層磁
性層のHcは800Oeより高く1000Oe未満であ
り、特に850Oe〜950Oeが好ましい。下層磁性
層のHcが800Oe以下では上層磁性層の厚みが薄く
なったときにFM音声の出力が低下したり、信号の転写
が生じ易くなったり、編集時に必要なリニアオーディオ
の周波数特性が低下するので好ましくない。また、Hc
が1000Oe以上になると低周波数の信号が記録され
にくくなりカラー信号の出力が低下するので好ましくな
い。
【0013】下層磁性層のSFDは0.30以上0.5
5以下が好ましい。0.30未満は工業的に得難く、
0.55を越えるとC−S(カラー出力)や消去が悪化
するので好ましくない。下層磁性層のSFDは0.40
〜0.50が特に好ましい。下層磁性層のHcとSFD
の積は上層磁性層より小さいことが特に好ましい。下層
磁性層はPCM信号は殆ど記録されないのでPCM音声
の品質には関係がないが、下層磁性層のHcとSFDの
積が上層磁性層より大きいとカラーの出力が低下した
り、信号の消去率が悪化したりするので好ましくない。
下層はヘッドからの距離が離れているためBrは上層磁
性層より高い必要は少ない。下層に使用されるCo含有
酸化鉄は平均長軸径が0.05〜0.5μmであり、好
ましくは0.01〜0.3μmである。下層磁性層に使
用される強磁性粉末は上層磁性層に使用される強磁性粉
末よりも平均長軸径が大きい方が分散が容易で好まし
い。
【0014】また、下層磁性層に使用される強磁性粉体
をBET法による比表面積で表せば20〜80m2/g
であり、好ましくは25〜60m2/gである。20以
下ではノイズが高くなり、80以上では分散しにくいた
め好ましくない。本発明に使用するCo変性γ−FeO
x(x=1.33〜1.5)強磁性粉末には所定の原子以
外にAl、Si、S,Sc、Ti、V,Cr、Cu,
Y,Mo,Rh,Pd,Ag、Sn、Sb、Te、B
a、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、
Ce、Pr、Nd、P,Co,Mn,Zn、Ni、S
r、Bなどの原子を含んでもかまわない。
【0015】本発明で用いられるCo変性酸化鉄は公知
の方法に従って製造することができる。上層磁性層に必
要なSFDを得るためには、Co被着反応時に反応が不
均一になるようにCoを不均一または多めに添加する等
の反応条件の調整、または反応後の焼成時にCoの磁材
表面の分布が不均一になるように焼成温度を高くする、
上下に変化させる等の方法がある。酸化鉄のFe2+とF
3+のモル比は0:100〜50:100が好ましく、
特に20:100〜50:100が好ましい。
【0016】本発明に使用される強磁性粉体の結晶子サ
イズは50〜450オングストロ−ムであり、好ましく
は100〜350オングストロ−ムである。長軸長に対
する短軸長の比、すなわち針状比は2〜20である。こ
こで言う長軸とは粒子の3つの軸でもっとも長い軸、短
軸とはもっとも短い軸を意味する。形状については先に
示した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、粒
状、米粒状、板状いずれでもかまわない。また、本発明
に用いられる強磁性粉体は空孔が少ないほうが好ましく
その値は20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以
下である。空孔が多いと磁束の乱れにより磁化効率が低
下し、Hcやσsが低下するので好ましくない。
【0017】また、本発明に使用される強磁性粉体のσ
sは70emu/g以上、好ましくは75emu/g以
上、であり、また、含水率は0.01〜2%とするのが
好ましい。結合剤の種類によって強磁性粉体の含水率は
左記範囲内で最適化するのが好ましい。強磁性粉体のp
Hは用いる結合剤との組合せにより最適化することが好
ましい。その範囲は4〜12であるが、好ましくは6〜
10である。強磁性粉体はAl、Si、Pまたはこれら
の酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量
は強磁性粉体に対し0.1〜10%である。
【0018】下層磁性層、上層磁性層の強磁性粉体とも
可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオ
ンを含む場合があるが500ppm以下であれば特に特
性に影響を与えない。本発明に使用される強磁性粉体は
所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、C
r、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、
Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、B
i、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、
Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。これ
らの強磁性粉体にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面
活性剤、帯電防止剤、各種カップリング剤などで分散前
にあらかじめ処理を行ってもかまわない。本発明の磁気
記録媒体の磁気特性は磁場5KOeで測定した場合、角
型比が各層とも0.6以上、好ましくは0.7以上、さ
らに好ましくは0.8以上が好ましい。
【0019】上層磁性層を1.0μm以下の薄さに塗布
することは従来の塗布方法を使用し、下層磁性層を塗
布、カレンダ、硬化させた後再度塗布するいわゆる逐次
重層でも不可能ではない。しかし、コスト、厚みの均一
性等の観点から、特開昭58−109162号公報、特
開昭62−124631号公報、特開昭62−2129
33号公報、、特開昭62−214524等に示される
同時重層塗布で行うのが好ましい。磁性層の中心線平均
表面粗さ(以下Raと略す)はカットオフ値0.25mm
で15nm以下が好ましく、特に0.1〜10nmが好
ましい。Raが約20nmを越えると磁性層とヘッドと
の接触が悪化し、スペーシングロスが増大するため短波
長域での出力が低下するので好ましくない。また、表面
の粗さによる変調ノイズの増大がありC/N、S/Nが
低下するので好ましくない。一方、Raが約0.1nm
未満では表面が平滑過ぎるため磁気記録媒体の摩擦係数
が増加し、走行性が悪化する恐れがあるため好ましくな
い。
【0020】本発明に使用される結合剤はより優れた分
散性と耐久性を得るために、−COOM、−SO3M、
−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(O
M)2、(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金
属塩基)、−OH、−NR2、−NR3(Rは炭化水素
基)エポキシ基、−SH、−CN、などから選ばれる少
なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で
導入したものをを用いることが好ましい。このような極
性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは1
-2〜10-6モル/gである。
【0021】これら結合剤はガラス転移温度が−100
〜150℃、数平均分子量が1000〜200000、
好ましくは10000〜100000、重合度が約50
〜1000程度のものである。ポリウレタン樹脂の構造
はポリエステルポリウレタン、ポリエ−テルポリウレタ
ン、ポリエ−テルポリエステルポリウレタン、ポリカ−
ボネ−トポリウレタン、ポリエステルポリカ−ボネ−ト
ポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公
知のものが使用できる。
【0022】本発明に用いられるこれら塩化ビニル系樹
脂やポリウレタン樹脂の結合剤の具体的な例としてはユ
ニオンカ−バイト社製 VMCH、VAGF、VAG
D、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYS
G、日信化学工業社製、MPR−TSN、MPR−TM
F、MPR−TM、電気化学社製、DX80、DX8
1、DX82、DX83、日本ゼオン社製MR110、
MR100、400X110A、日本ポリウレタン社
製、ニッポランN2301、N2302、N2304、
大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3
080、T−5201、バ−ノックD−400、D−2
10−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社
製UバイロンR8200、UR8300、RV530、
RV280、大日精化社製、ダイフェラミン4020、
5020、5100、5300、9020、9022、
7020、三菱化成社製、MX5004、三洋化成社
製、サンプレンSP−150、旭化成社製、サランF3
10、F210などがあげられる。
【0023】本発明に用いられる結合剤は下層磁性層、
上層磁性層とも各層の強磁性粉体に対し、5〜50%の
範囲、好ましくは10〜30%の範囲で用いられる。塩
化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30%、ポリウレタ
ン樹脂合を用いる場合は2〜20%、ポリイソシアネ−
トは2〜20%の範囲でこれらを組み合わせて用いるの
が好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場
合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが1
00〜2000%、破断応力は0.05〜10Kg/c
2、降伏点は0.05〜10Kg/cm2が好ましい。
【0024】本発明に用いるポリイソシアネ−トとして
は、トリレンジイソシアネ−ト、4−4’−ジフェニル
メタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ
−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1、
5−ジイソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシアネ−
ト、イソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタン
トリイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、これ
らのイソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成物、ま
た、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソ
シアネ−ト等を使用することができる。これらのイソシ
アネート類の市販されている商品名としては、日本ポリ
ウレタン社製、コロネートL、コロネ−トHL、コロネ
−ト2030、コロネ−ト2031、ミリオネ−トMR
ミリオネ−トMTL、武田薬品社製、タケネ−トD−1
02、タケネ−トD−110N、タケネ−トD−20
0、タケネ−トD−202、住友バイエル社製、デスモ
ジュ−ルL、デスモジュ−ルIL、デスモジュ−ルNデ
スモジュ−ルHL、等がありこれらを単独または硬化反
応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで下
層磁性層、上層磁性層とも用いることができる。
【0025】本発明に使用されるカ−ボンブラックはゴ
ム用ファ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、
アセチレンブラック、等を用いることができる。カ−ボ
ンブラックの比表面積は5〜500m2/g、DBP吸
油量は10〜400ml/100g、粒子径は5〜30
0mμ、PHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タ
ップ密度は0.1〜1g/CC、が好ましい。本発明に用
いられるカ−ボンブラックの具体的な例としてはキャボ
ット社製、BLACKPEARLS 2000、130
0、1000、900、800、700、VULCAN
XC−72、旭カ−ボン社製、0、0、5、0、5、
三菱化成工業社製、400B、300、00、000
0、0、0B、コンロンビアカ−ボン社製、CONDU
CTEX SC、RAVEN 150、50、40、1
5などがあげられる。カ−ボンブラックを分散剤などで
表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表
面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわ
ない。また、カ−ボンブラックを磁性塗料に添加する前
にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。
【0026】これらのカ−ボンブラックは単独、または
組合せで使用することができる。カ−ボンブラックを使
用する場合は強磁性粉体に対する量は0.1〜30%で
用いることが好ましい。カ−ボンブラックは磁性層の帯
電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの
働きがあり、これらは用いるカ−ボンブラックにより異
なる。従って本発明に使用されるこれらのカ−ボンブラ
ックは各層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイ
ズ、吸油量、電導度、PHなどの先に示した諸特性をも
とに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であ
る。本発明で使用できるカ−ボンブラックは例えば「カ
−ボンブラック便覧」(カ−ボンブラック協会編)を参
考にすることができる。
【0027】本発明に用いられる研磨剤としてはα化率
90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダ
ム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカ
−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素など主
としてモ−ス6以上の公知の材料が単独または組合せで
使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研
磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよ
い。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素
が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効
果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.0
1〜2μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異
なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分
布を広くして同様の効果をもたせることもできる。タッ
プ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、
PHは2〜11、比表面積は1〜30m2/g、が好ま
しい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、
サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有
するものが研磨性が高く好ましい。本発明に用いられる
研磨剤の具体的な例としては、住友化学社製、AKP−
20AKP−30、AKP−50、HIT−50、日本
化学工業社製、G5、G7、S−1、戸田工業社製、1
00ED、140ED、などがあげられる。これらの研
磨剤はあらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中
に添加してもかまわない。
【0028】本発明に使用される、添加剤としては潤滑
効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などをもつ
ものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングス
テングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコ−
ンオイル、極性基をもつシリコ−ン、脂肪酸変性シリコ
−ン、フッ素含有シリコ−ン、フッ素含有アルコ−ル、
フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコ−
ル、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属
塩、、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属
塩、ポリフェニルエ−テル、フッ素含有アルキル硫酸エ
ステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の
一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐して
いてもかまわない)、および、これらの金属塩(Li、
Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一
価、二価、三価、四価、五価、六価アルコ−ル、(不飽
和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、
炭素数12〜22のアルコキシアルコ−ル、炭素数10
〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また
分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、
二価、三価、四価、五価、六価アルコ−ルのいずれか一
つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわ
ない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エ
ステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド
重合物のモノアルキルエ−テルの脂肪酸エステル、炭素
数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族ア
ミン、などが使用できる。これらの具体例としてはラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノ−ル
酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチ
ル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、
ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、
アンヒドロソルビタンモノステアレ−ト、アンヒドロソ
ルビタンジステアレ−ト 、アンヒドロソルビタントリ
ステアレ−ト、オレイルアルコ−ル、ラウリルアルコ−
ルがあげられる。
【0029】また、アルキレンオキサイド系、グリセリ
ン系、グリシド−ル 系、アルキルフェノ−ルエチレン
オキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミ
ン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダン
トイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニ
ウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフ
ォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの
酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノ
スルホン酸類、アミノアルコ−ルの硫酸または燐酸エス
テル類、アルキルベダイン型等の両性界面活性剤等も使
用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性
剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されて
いる。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100
%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反
応物、分解物、酸化物等の不純分がふくまれてもかまわ
ない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに
好ましくは10%以下である。本発明で使用されるこれ
らの潤滑剤、界面活性剤は各層でその種類、量を必要に
応じ使い分けることができる。
【0030】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添加しても
かまわない。例えば、混練工程前に強磁性粉体と混合す
る場合、強磁性粉体と結合剤と溶剤による混練工程で添
加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加す
る場合、塗布直前に添加する場合などがある。
【0031】本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率
でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノ−
ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、イソブチ
ルアルコ−ル、イソプロピルアルコール、メチルシクロ
ヘキサノールなどのアルコ−ル類、酢酸メチル、酢酸ブ
チル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチ
ル、酢酸グリコ−ル等のエステル類、グリコ−ルジメチ
ルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサ
ン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香
族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライ
ド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリ
ン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N、N−
ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用でき
る。
【0032】本発明の磁気記録媒体の厚み構成は非磁性
支持体が1〜100μm、好ましくは6〜20μm、下層
磁性層が0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであ
る。また、非磁性支持体と下層磁性層の間に密着性向上
のために下塗り層、または帯電防止のためのカ−ボンブ
ラックを含む層などの中間層を設けてもかまわない。こ
れらの厚みは0.01〜2μm、このましくは0.05
〜0.5μmである。また、非磁性支持体の磁性層側と
反対側にバックコ−ト層を設けてもかまわない。この厚
みは0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.0μmであ
る。これらの中間層、バックコ−ト層は公知のものが使
用できる。
【0033】本発明に用いられる非磁性支持体はポリエ
チレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレート、等
のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ストリ
アセテ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、などの公知の
フィルムが使用できる。これらの支持体にはあらかじめ
コロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、
除塵処理、などをおこなっても良い。本発明の目的を達
成するには、非磁性支持体として中心線平均表面粗さが
0.03μm以下、好ましくは0.02μm以下、さら
に好ましくは0.01μm以下のものを使用する必要が
ある。また、これらの非磁性支持体は単に中心線平均表
面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起が
ないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じ
て支持体に添加されるフィラ−の大きさと量により自由
にコントロ−ルされるものである。これらのフィラ−と
しては一例としてはCa,Si、Tiなどの酸化物や炭
酸塩の他、アクリル系などの有機微粉末があげられる。
本発明に用いられる非磁性支持体のテ−プ走行方向のF
−5値は好ましくは5〜50Kg/mm2、テ−プ幅方
向のF−5値は好ましくは3〜30Kg/mm2であ
り、テ−プ長手方向のF−5値がテ−プ幅方向のF−5
値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高
くする必要があるときはその限りでない。
【0034】また、非磁性支持体のテ−プ走行方向およ
び幅方向の100℃、30分での熱収縮率は好ましくは
3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃、3
0分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好まし
くは0.5%以下である。破断強度は両方向とも5〜1
00Kg/mm2、弾性率は100〜2000Kg/m
2が好ましい。本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製
造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、および
これらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程から
なる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていて
もかまわない。
【0035】本発明に使用する強磁性粉体、結合剤、カ
−ボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤な
どすべての原料はどの工程の最初または途中で添加して
もかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分
割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを
混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工
程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成する
ためには、従来の公知の製造技術のを一部の工程として
を用いることができることはもちろんであるが、混練工
程では連続ニ−ダや加圧ニ−ダなど強い混練力をもつも
のを使用することにより本発明の磁気記録媒体の高いB
rを得ることができる。
【0036】連続ニーダーまたは加圧ニーダーを用いる
場合は、強磁性粉体と結合剤のすべてまたはその一部
(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)および強磁
性粉体100部(以下「部」は「重量部」を意味する)
に対し15〜500部の範囲の有機溶剤で混練処理され
る。これらの混練処理の詳細については特開平1−10
6338号公報、特開平1−79274号公報に記載さ
れている。また、本発明の磁気記録媒体の上層磁性層の
厚みは1.5μm以下であるがこのような厚みを実現す
るためには従来の下層磁性層を塗布し、乾燥したのちに
上層磁性層をその上に設ける逐時重層方式では塗布欠陥
が生じ実質的に製造することは困難である。本発明で
は、特開昭62−212933号公報に示されるような
同時重層塗布方式を用いることにより、上層磁性層の膜
厚を1.5μm以下にすることができた。
【0037】本発明の上層磁性層のSFDを得るために
は強力な配向を行う必要がある。1000G以上のソレ
ノイドと2000G以上のコバルト磁石を併用すること
が好ましく、さらには乾燥後の配向性が最も高くなるよ
うに配向前に予め適度の乾燥工程を設けることが好まし
い。さらに、本発明の磁気記録媒体は従来のカレンダ処
理をするが、そのロール材質は磁性層面に当たるロ−ル
は金属ロール、非磁性層面側に当たるロ−ルは金属ロ−
ル、プラスチックロール、コットンロール等が使用され
る。処理温度は40℃以上120℃以下で50〜500
Kg/cmの線圧力で磁気記録媒体を処理することがで
きる。
【0038】本発明の磁気記録媒体の磁性層面およびそ
の反対面のSUS420Jに対する摩擦係数は好ましく
は0.5以下、さらに0.3以下、表面固有抵抗は好ま
しくは10-5〜10-12オ−ム、磁性層の0.5%伸び
での弾性率は走行方向、幅方向とも好ましくは100〜
2000Kg/mm2、破断強度は好ましくは1〜30
Kg/cm2、磁気記録媒体の弾性率は走行方向、長い
方向とも好ましくは100〜1500Kg/mm2、残
留のびは好ましくは0.5%以下、100℃以下のあら
ゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好
ましくは0.5%以下、もっとも好ましくは0.1%以
下である。磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは1
00mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2
下であり、上層磁性層に含まれる残留溶媒が下層磁性層
に含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。磁性層
が有する空隙率は下層磁性層、上層磁性層とも好ましく
は30容量%以下、さらに好ましくは10容量%以下で
ある。下層磁性層の空隙率が上層磁性層の空隙率より大
きいほうが好ましいが下層磁性層の空隙率が5%以上で
あれば小さくても構わない。本発明の磁気記録媒体は下
層磁性層と上層磁性層を有するが、目的に応じ下層磁性
層と上層磁性層でこれらの物理特性を変えることができ
るのは容易に推定されることである。例えば、上層磁性
層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に下
層磁性層の弾性率を上層磁性層より低くして磁気記録媒
体のヘッドへの当りを良くするなどである。
【0039】
【実施例】以下本発明を実施例及び比較例を用いてさら
に具体的に説明し、本発明の新規な効果を−層明確にす
る。以下の実施例、比較例中、「部」は「重量部」を意
味する 実施例、比較例 Co被着酸化鉄磁材のCo被着条件を添加を数回に分け
る、または添加時の温度を変える等の方法により変え、
また焼成温度を焼結しない範囲で通常より高めに変え
る、焼成温度を変動させる等の方法により、種々のSF
Dの強磁性粉体を得た。得られた強磁性粉体を使用して
以下の処方で重層テープを作成した。
【0040】 上層液(A液) Co−γ−FeOx 100部 (x=1.45、長軸長0.20μm) 塩化ビニル共重合体 10部 (スルホン酸基0.25重量%含有) ポリエステルポリウレタン 5部 (スルホン酸基0.1重量%含有) ポリイソシアネート(コロネートL) 6部 ステアリン酸(工業用) 1部 ブチルステアレート(工業用) 1部 α−アルミナ(粒径0.2μm) 10部 導電性カーボン(粒径70mμ) 1部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=7/3溶剤 200部
【0041】 下層液(B液) Co−γ−FeOx 100部 (x=1.45、長軸長0.25μm) 塩化ビニル共重合体 11部 (スルホン酸基0.25重量%含有) ポリエステルポリウレタン 4部 (スルホン酸基0.1重量%含有) ポリイソシアネート(コロネートL) 6部 ステアリン酸(工業用) 1部 ブチルステアレート(工業用) 1部 導電性カーボン(粒径20mμ) 5部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=7/3溶剤 200部
【0042】上記の組成でニーダー、サンドグラインダ
等を使用し調液した塗布液で、同時重層及び単層塗布を
行った。非磁性支持体は中心線平均表面粗さ(Ra)が
4nm、14μm厚のPETを使用した。上記塗布後、
公知の方法で長手方向に配向、乾燥してバルクロールを
得た。得られたバルクロールを更にカレンダーロール処
理を行った。カレンダロール処理はショアA硬度80
度、Raが0.5nmの金属ロ−ルを7段重ね、温度8
0℃、線圧300Kgで処理した。上記カレンダーロー
ル処理を行った後、60℃で24時間バルクサーモ処理
を行い磁性層を硬化させ、その後1/2インチ幅にスリ
ットしビデオテープを得た。得られたビデオテープの表
面粗さを測定したところすべて5〜6nmであった。得
られたビデオテープをS−VHS形カセットに組み込み
ビデオカセットテープを得た。得られたテープを使用
し、以下の条件で測定、評価した。
【0043】測定法 1.上層磁性層、下層磁性層の磁化曲線(B−H)特性
と粒子長 各層を表1の厚さに塗布し、評価した。B−H特性はV
SMを使用し、外部磁場5KOeで測定した。本発明で
のSFDとはHcの半値幅をHcで割った値で、従来か
ら当業界で公知のものである。粒子長は強磁性粉体の透
過型電子顕微鏡像をコンピュータで画像解析した平均長
軸長である。
【0044】2.評価 松下電器社製「ビデオデッキ NV−V10000」を
改造して使用した。通常の信号処理同様に輝度信号とカ
ラー信号はビデオ信号記録用回転ヘッドで、HiFi信
号とPCM信号はFMオーデイオ信号記録用ヘッドで記
録再生を行なった。測定はSVHS、EP(3倍)モー
ドで行なった。エラーレイト以外の各項目の測定値は実
施例No2を0.0dBとしたときの相対値で示した。
【0045】PCMエラー(PCMエラーレイト) 3MHz搬送波でPCM信号を記録再生した時のブロッ
クエラーレイト。FMオーディオ信号用のヘッドを使用
しHiFi音声信号と同時に記録し、同一トラックにビ
デオ信号を重畳記録した。結果は10の乗数単位で評価
した。数値が小さいほどエラーレイトが低く好ましい。
また、10-3以上ではエラーレイトが大く再生したアナ
ログ音声の歪が増加し耳で聞こえる様になり、好ましく
ない。
【0046】Y−S(輝度信号出力) S−VHSモード、7.0MHz正弦波での輝度信号の
出力。0.5dB単位で評価した。数値が大きいものほ
ど出力が高く好ましい。
【0047】C−S(カラー出力) 630KHz正弦波での色信号の出力。(輝度信号も同
時に記録)0.5dB単位で評価した。数値が大きいも
のほど出力が高く好ましい。
【0048】HiFi出力 1.7MHz正弦波HiFi信号のビデオ信号重畳記録
後の出力。0.5dB単位で評価した。数値が大きいも
のほど出力が高く好ましい。
【0049】消去率 1KHzの正弦波を固定オーディオヘッドで記録し、全
消去後の消去率を測定した。0.5dB単位で評価し
た。数値が大きいものほど消去率が高く好ましい。
【0050】判定 PCMエラーレイトを判定の重点項目とし、その他の項
目で実施例2より1.5dB以上悪い項目があるもの、
3項目以上悪いものが有る場合に×と判定した。尚、表
1のNoでC表示は比較例、その他は実施例を示す。ま
た、網点項目は、本発明の請求範囲外の実施項目及び、
性能が劣る評価項目を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】No1〜3とC1、C2から、本発明の重
層テープの上層磁性層のHcは950Oe以上1200
Oe以下がPCMのエラーレイトとその他の評価項目の
バランスが良いことが判った。Hcが約900Oe以下
ではPCMのエラーが増加し本発明の目的には合わな
い。またHcが1200Oeを越えるとカラーの出力が
低下するので好ましくなかった。No4、2、5とC
3、C4から本発明の重層テープの上層磁性層のSFD
は0..40以上がPCMのエラーレイトが低く好まし
い事が判った。SFDが0.40未満ではエラーレイト
が急激に高くなるので好ましくなかった。またNo2、
6、7とC5から下層磁性層のSFDが0.55より大
きく、またHcとSFDの積が上層磁性層より大きいと
消去特性が悪化するので好ましくなかった。No8、
2、9とC6、C7から本発明の重層テープの上層磁性
層の厚みは0.25〜1.0μmが好ましいことが判っ
た。上層が0.2μm以下ではHcの低い下層磁性層に
特性が近づくためかエラーレイトが増加し好ましくなか
った。また、上層磁性層が1.0μmを越えると今度は
上層単層に特性が近づくためかC−Sと消去が悪化し、
好ましくなかった。No10、2、11とC8から粒子
長が0.20μmを越えると粒子性のノイズが増加する
ためかPCMのエラーレイトが増加し好ましくないこと
が判った。No2、12とC9から上層磁性層のBrは
1600ガウス以上がY−S、C−Sが高く好ましいこ
とが判った。No2、13とC10、C11から下層の
Hcが950を越え上層磁性層以上になるとC−S、消
去等が悪化するので好ましくなかった。またC12では
下層磁性層のHc、SFDを大きくしても本発明の目的
であるPCM音声の向上にはつながらないことが判っ
た。また、C13、C14に示す単層では本発明の目的
であるPCM音声と画像ともに優れた磁気テープを得る
ことは出来なかった。以上の結果から本発明の磁気テー
プは従来の単層や重層のテープよりもPCM音声と画像
ともに優れている事が判った。
【0053】
【発明の効果】非磁性支持体上に強磁性粉体を結合剤に
分散した下層磁性層と上層磁性層を含む複数の磁性層を
設け、同一トラック上にPCMデジタル信号を含むオー
ディオ信号を記録し、その上にビデオ信号を重畳記録す
る磁気記録媒体において、前記上層磁性層は平均Hcの
1.2倍以上の高Hc成分を前記下層磁性層に用いた強
磁性粉体より多く含む強磁性粉体を用いることにより、
前記PCMデジタル信号を含むオーディオ信号が消去さ
れずPCM音声と画像ともに優れた磁気テープを得るこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/716 G11B 5/706 G11B 5/70

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に強磁性粉体を結合剤に分
    散した下層磁性層と上層磁性層を含む複数の磁性層を設
    け、メタルヘッドによって同一トラック上にPCMデジ
    タル信号を含むオーディオ信号を記録し、その上にビデ
    オ信号を重畳記録する磁気記録媒体において、 前記上層磁性層は、Hcが950Oe以上1200Oe
    以下であり、SFDが0.40以上0.60以下であ
    り、 前記下層磁性層は、Hcが800Oeより高く1000
    Oe未満で上層磁性層より低く、SFDが0.30以上
    0.55以下であり、 前記下層磁性層のHcとSFDの積が前記上層磁性層の
    HcとSFDの積より小さいことを特徴とする磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】前記PCMデジタル信号が搬送周波数3M
    Hz以上であり、前記ヒデオ信号が最短記録波長6MH
    z以上であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体。
  3. 【請求項3】前記上層磁性層は、Brが1600ガウス
    以上であり、乾燥厚みが0.3μm以上1.0μm以下
    であり、かつ、強磁性粉体として平均長軸長が0.18
    μm以下であるコバルト変性酸化鉄を含み、 前記下層磁性層は、強磁性粉体としてコバルト変性酸化
    鉄を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
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