JP2820978B2 - 波形成形線路 - Google Patents

波形成形線路

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JP2820978B2 JP1275364A JP27536489A JP2820978B2 JP 2820978 B2 JP2820978 B2 JP 2820978B2 JP 1275364 A JP1275364 A JP 1275364A JP 27536489 A JP27536489 A JP 27536489A JP 2820978 B2 JP2820978 B2 JP 2820978B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、粒子ビームや自由電子レーザなどの発生用
電源部のパルス回路に用いられる波形成形線路に関する
ものである。
従来の技術 従来のパルス回路に用いられる波形成形線路は、例え
ばインピーダンス1〜50Ω、電圧0.1〜10MV、パルス幅1
0〜100nsという極めて急峻な矩形波を形成するために用
いられる。
このような波形は、通常同軸円筒や平行平板による波
形成形線路を用いて、いわゆる進行波理論によるところ
の矩形波を得ている。これらを用いた波形成形線路の従
来例を第4図に示す。
1は波形成形線路、2は第1のスイッチ3を閉じるこ
とによって、波形成形線路1にパルス的に電荷を供給す
る高電圧のパルス電源である。波形成形線路1は同軸円
筒の低圧側外電極4と高圧側内電極5からなり、その間
に誘電体6を充填すると、コンデンサが形成されるとと
もに、サージインピーダンスZ1が形成される。絶縁物7
を介して高圧側内電極5と第1の端子8aまたは8bは電気
的に接続され、かつ図示しない方法で気密に保持されて
いる。同様に絶縁物7を介して低圧側外電極4と第2の
端子9aまたは9bは電気的に接続され、かつ図示しない方
法で気密に保持されている。
第1の端子8aと第2の端子9aとは第1のスイッチ3と
パルス電源2とで閉回路を構成する。第1の端子8bと第
2の端子9bとは第2のスイッチ10と回路に既成するイン
ダクタンス11ならびにインピーダンスZ2である負荷12と
で閉回路を構成する。
さて、次に動作について説明すると、第1のスイッチ
3を閉じて、パルス電源2より、サージインピーダンス
Z1の波形成形線路1にパルス的に電荷を供給し、低圧側
外電極4と高圧側内電極5の間の空間に誘電体6を充填
してなるコンデンサを充電し、電圧が最大値付近に達し
た時点で、第2のスイッチ10を閉じてインダクタンス11
を介してインピーダンスZ2の負荷12へ電荷を供給する。
負荷12に印加される電圧は、通常Z2=Z1となるようにイ
ンピーダンス整合がとられているため、波形成形線路1
に充電される電圧の1/2の電圧の矩形波が負荷12に与え
られ、その矩形波のパルス幅は波形成形線路1の長さに
比例したτとなる。式で表すと下記の通りとなる。
従って、パルス幅の長い矩形波を必要とする場合は、
比誘電率の大きい誘電体6を選んだり、また波形成形線
路1の長さを長くする方法をとり、インピーダンスの設
定は誘電体6の選定に加えて、低圧側外電極4と高圧側
内電極5の比を適当に選ぶなどして設計していた。
発明が解決しようとする課題 上述の通り、従来の波形成形線路の考え方によると、
インピーダンスが高くて、かつパルス幅の長い矩形波を
得ようとすると、実現は困難なものとなった。例えば、
波形成形線路1の使用電圧が1MV、インピーダンスZ1=5
0Ω、パルス幅τ=300nsの矩形波を得たい時、耐電圧特
性の優れた誘電体6に比誘電率の小さい絶縁油 と逆に大きい純水 を用いた場合の波形成形線路1の設計寸法を第1表に示
す。
なお、高圧側内電極5の表面最大電位傾度を150kV/cm
とした。
第1表から明らかなように絶縁油の場合は、波形成形
線路1の必要長さがあまりにも長すぎるし、純水の場合
は低圧側外電極内径があまりにも大きすぎて、波形成形
線路は非現実的な形状になる欠点があった。
課題を解決するための手段 本発明は、波形成形線路を分割して集中定数としての
複数のコンデンサに置き替え、そのそれぞれの間をコイ
ルで結合した複数段のパルス・フォーミング・ネットワ
ーク回路を構成し、そのコンデンサとコイルのインダク
タンス値を適正値に選定することによって、インピーダ
ンス、パルス幅を決める方法を採用すれば、現実的な波
形成形線路を形成することができる。
すなわち、パルス電源より電荷の供給を受けて、矩形
波を生成する波形成形線路において、誘電体を充填した
金属製容器内に平板状の高圧電極と低圧電極とを複数組
交互に配置して単位コンデンサをそれぞれ形成し、かつ
上記それぞれの高圧電極間はコイルで接続し、上記それ
ぞれの低圧電極は電気的に同電位としてパルス・フォー
ミング・ネットワーク回路を構成したことを特徴とする
波形成形線路である。
実施例 理解しやすくするために、角形容器に内蔵した平行平
板形電極で構成される波形成形線路の実施例を第1図に
示す。なお、第1図において第4図の従来例と同一機能
のものについては、同一符号を付したので、その説明を
省略する。
金属製で平板状をなす複数個の高圧電極15は、図示し
ない方法で、絶縁物からなる電極支持具17に固定してそ
れぞ電気的に絶縁し、金属製容器18に保持されている。
同様に金属製で平板状をなす複数個の低圧電極16は電位
的に同じにするため便宜的に一体化した構造で示し、高
圧電極15と交互に挿入し合うように配置して碍子19で容
器18より絶縁される。低圧電極16と容器18は電位を同じ
にするために導体20で接続される。電位が同じならば、
碍子19で絶縁する必要がなく一体でも良いが、一般的に
は接地電位である容器18に急峻な電流や大電流を流した
場合、ノイズの発生原因となったり、安全面でも支障を
来すことが多く、そのため低圧電極16と容器18を絶縁
し、容器18に電流が流れないようにしたのである。これ
らの問題が生じない場合、低圧電極16と容器18は一体で
もかまわない。それぞれの高圧電極15は、複数のコイル
13により電気的に接続されており、またそれぞれのコイ
ル13は、第3の端子14aと14bの間に直列に電気的に接続
され、低圧電極16と高圧電極15の相対する面の間に生じ
る単位コンデンサ、即ち静電容量ΔCとコイル13の有す
る単位インダクタンスΔLとで、要求される矩形波の形
状によって必要個数に分割されたn段のパルス・フォー
ミング・ネットワーク回路を構成する。また、第1の端
子8aと第3の端子14aと絶縁物7と容器18ならびに第1
の端子8bと第3の端子14bと絶縁物7と容器18が図示し
ない方法で気密に保持され、第1の端子8aと第3の端子
14aとが、また第1の端子8bと第3の端子14bとが電気的
に接続されている。そして容器18には、適正に選択され
た誘電体6が充填され、高圧電極15と低圧電極16の間の
耐電圧の保持と、所定の静電容量を確保する。
さて、負荷12のインピーダンスZ2にマッチングをとっ
たパルス・フォーミング・ネットワーク回路のインピー
ダンスZ1を構成するには、次の式を満足させる必要があ
る。
L:パルス・フォーミング・ネットワーク回路の合成
インダクタンス C:高圧電極と低圧電極の間に生じた合成静電容量 また、パルス幅τは、次式で表される。
さて、要求矩形波の形状によって、上記L・Cの値を
n段に分割するが、そのそれぞれの単位インダクタンス
ΔLならびに単位コンデンサの静電容量ΔCは次式で表
される。
次に動作を説明する。
第1のスイッチ3を閉じて、パルス電源2より、イン
ピーダンスZ1の波形成形線路1にパルス的に電荷を供給
し、コイル13を介しながら複数の高圧電極15と低圧電極
16の間の相対する空間に充填された誘電体6よりなる単
位コンデンサをそれぞれ充電し、電圧が最大値付近に達
した時点で、第2のスイッチ10を閉じて、インダクタン
ス11を介して負荷12へ電荷を供給する。
第2図は第1図に示す波形成形線路の等価回路であ
る。
この等価回路は一般の矩形波を生成するパルス・フォ
ーミング・ネットワーク回路である。従って、負荷12に
印加される電圧は通常Z2=Z1に定められるため、波形成
形線路1に充填された電圧の1/2の電圧が負荷12に与え
られ、その矩形波のパルス幅τは である。
さて、上記例に従って、同一条件即ち波形成形線路1
の使用電圧が1MV、インピーダンスZ1=50Ω、パルス幅
τ=300nsとした時、(高電圧電極15と両面に相対する
低圧電極16の間の平均電位傾度を150kV/cmとする)の各
部定数を示す。
波形成形線路の合成静電容量 C=3nF 〃 の合成インダクタンス L−7.5μH パルス・フォーミング・ネットワーク回路の段数をn
=5とした時 単位コンデンサの静電容量 ΔC=600pF 単位インダクタンス ΔL=1.5μH 誘電体6に絶縁油(比誘電率 ε=2.2)を用いた時
の波形成形線路1の具体的寸法は次の通りとなる。
・高圧電極15と低圧電極16の間の距離 6.7cm ・上記電極の相対する面の電極寸法 102×102cm ・各電極の単位の厚みを1cmとした時 全コンデンサ部の合計寸法(n=5) 誘電体部厚さ 6.7cm×5段×2面=67cm 電極部厚さ 1cm×11個 =11cm 合 計 =78cm この計算では、上述の通り電極間の平均電位傾度を15
0kV/cmとしたが、電極の厚みが比較的薄いため、その電
極端部の電解強度が上述値を相当上回ると考えられる
が、それを考慮するとともに、コイルの単位インダクタ
ンス値ΔL=1.5μHの実効的寸法を考慮しても、容器1
8は、1.5m立法の寸法におさめることが可能である。第
1表と比較すると、波形成形線路1の長さは非常に短く
て良く、製作容易な寸法である。すなわち、実用的な高
インピーダンス、長パルス幅の波形成形線路を作ること
ができる。また、誘電体6に純水(比誘電率 ε=80)
を使用すると、一層小形の波形成形線路1を作ることが
できる。
第1図は単純な角形の電極を用いた例について記述し
たが、円板状など任意の形状でも高圧電極と低圧電極の
間の相対する面間で、所定の静電容量を確保できれば良
い。
第3図は本発明の波形成形線路の他の実施例で、比較
的大きい静電容量を必要とする場合の高圧電極15と低圧
電極16を積層ユニット化して組合せた斜視図である。第
3図において、第1図と同一機能のものについては、同
一符号を付し、かつその動作も同じであるので説明を省
略する。
次に本発明の応用例について記述する。通常パルス・
フォーミング・ネットワーク回路を構成する複数の単位
コンデンサと単位インダクタンスの値は平坦な矩形波を
得るために、それぞれ同一の値にしていたが、各単位コ
ンデンサの値もしくは、単位インダクタンスの値のどち
らか一方、または両方をパルス・フォーミング・ネット
ワーク回路の各段毎にそれぞれ適正な値に変化させる
と、矩形波の波尾を上げたり、あるいは下げたりするこ
とが意図的にできる。
例えば、第2図において、コイル13の単位インダクタ
ンス値ΔLを各段とも同じにして、単位コンデンサ静電
容量値ΔCをパルス電源に近い方は大きく、負荷12に近
づくにつれて各段毎に小さくすると、パルス・フォーミ
ング・ネットワーク回路のインピーダンスが徐々に大き
くなり、負荷12に発生する矩形波電圧の波尾を持ち上げ
ることができる。
単位コンデンサの静電容量値の変更は高圧電極15に例
えば、上下へスライドする機構を設ければ、低圧電極16
との相対する面の面積を連続的に変えることができるの
で容易に実現できる。
発明の効果 本発明によれば、従来の高電圧矩形波発生装置におい
て、その波形成形線路技術の概念をあまり変えることな
く、高インピーダンス、長パルス幅の矩形波を成形する
ことが可能である。そして構造的寸法のみならず、充填
する誘電体としてガス、油、純水、その他の絶縁体を適
正に選択することが可能である。
また、コイルについては、綿、棒、パイプ、板などに
よって任意の形状、巻数に作ることができるので、コイ
ルのインダクタンスとコンデンサの静電容量を適正に選
定することによって、インピーダンス数百Ω、パルス幅
数μsに至る実用的な小形の波形成形線路を作ることが
可能であるなどの効果があり、工業的ならびに実用的価
値大なるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の波形成形線路の一実施例の一部切欠い
た斜視図、第2図は第1図に示す波形成形線路の等価回
路、第3図は本発明の波形成形線路の他の実施例に係
り、高圧電極と低圧電極を積層ユニット化して組合せた
斜視図、第4図は従来の波形成形線路の一例の正断面図
である。 1:波形成形線路、2:パルス電源 6:誘電体、2:負荷、13:コイル 15:高圧電極、16:低圧電極、18:金属製容器
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03K 3/53 H03K 3/543 H03K 3/55 H03K 3/57 5H790 KK01

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パルス電源より電荷の供給を受けて、矩形
    波を生成する波形成形線路において、誘電体を充填した
    金属製容器内に平板状の高圧電極と低圧電極とを複数組
    交互に配置して単位コンデンサをそれぞれ形成し、かつ
    上記それぞれの高圧電極間はコイルで接続し、上記それ
    ぞれの低圧電極は電気的に同電位としてパルス・フォー
    ミング・ネットワーク回路を構成したことを特徴とする
    波形成形線路。
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