JP2819288B2 - 砂などの粒状材とセメント類などの粉体および液体による混合物の調整法 - Google Patents

砂などの粒状材とセメント類などの粉体および液体による混合物の調整法

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JP2819288B2 JP63076211A JP7621188A JP2819288B2 JP 2819288 B2 JP2819288 B2 JP 2819288B2 JP 63076211 A JP63076211 A JP 63076211A JP 7621188 A JP7621188 A JP 7621188A JP 2819288 B2 JP2819288 B2 JP 2819288B2
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    • B28WORKING CEMENT, CLAY, OR STONE
    • B28CPREPARING CLAY; PRODUCING MIXTURES CONTAINING CLAY OR CEMENTITIOUS MATERIAL, e.g. PLASTER
    • B28C7/00Controlling the operation of apparatus for producing mixtures of clay or cement with other substances; Supplying or proportioning the ingredients for mixing clay or cement with other substances; Discharging the mixture
    • B28C7/02Controlling the operation of the mixing

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 「発明の目的」 本発明は砂などの粒状材とセメント類などの粉体およ
び液体による混合物の調整法に係り、粉体、粒体、更に
は塊状体および水のような液体からなる混合物に関し、
その硬化前における流動特性ないし分離性および硬化後
における物性について当該混合物の固体分と液体分とが
相対的に影響し合う液量および細骨材のような粒状材と
の混合物に関する水中最密状態の単位容積重量その他の
新しいデータを即席的に求め、これを用いて前記した混
合物についての配合計画を決定し、又斯かる混合物の物
性を予測ないし制御し、合理的且つ的確な混合調整を得
ようとするものである。
(産業上の利用分野) 粉体、粒体(塊状物を含む)および水のような液体の
混合物を調整するに当ってその配合計画を決定し、又そ
の硬化前および硬化後における特性を予測、制御する技
術。
(従来の技術) モルタルまたはコンクリートのような粉体、粒状材
(細骨材)、塊体(粗骨材)および水のような液体を用
いた複合混合物は各種土木、建築などに広く利用されて
おり、このような混合物の配合については粒体、塊体に
ついてのJISによる吸水率Qや細骨材についての単位容
積重量(ρSD)を絶乾基準として採用し、統計的手法に
より目的に沿った計画配合を求めるのが一般的であっ
て、適宜に添加剤や繊維材などを添加した場合において
も基本的には同じ関係である。
ところが、このような調整に当っては前記したような
資料粉粒の液体存在下における吸着現象(その反面にお
ける分散現象)などがあり、所期する均斉な調整物を得
ることができないことは周知の通りである。このような
現象はそうした調整物を用いて目的製品を得る場合にお
ける成形性ないし充填性、ブリージング性ないし分離
性、更には該混練物の成形硬化によって得られる製品の
強度その他の特性に影響し、又該調整物の搬送その他の
荷役取扱いに影響する。
従ってこの吸着現象などに関してはそれなりに検討が
加えられているが、従来では単に論理的ないし定性的に
理解するものである。このような従来一般の技術的状態
において、本発明者等は曩に特願昭58−5216号(特開昭
59−131164号)や特願昭58−245233号(特開昭60−1394
07号)のような提案をなし、特にコンクリートないしモ
ルタルに用いられる細骨材表面における吸着液の定量化
に関する試験測定法ないしそのような試験測定結果を利
用した混練物の調整に関する1連の手法を提案した。即
ちこれらの先願技術は前記のような粒子ないし粉体表面
に附着介在する水などの液体に関し、毛細管現象的に粉
粒間に保留停滞されたものと粉粒表面に吸着されたもの
に区分して考察し、特にその後者について定量的に試験
測定しようとするもので、しかも複数個の試料に対し同
一遠心力条件による能率的な測定が可能であり、それだ
けに上記したようなコンクリートやモルタルなどの調整
に関し従来の漫然として同じ液体と理解把握されている
ものを区分して理解し、しかもその測定結果を夫々の条
件下に即応して定量的に得しめるものであることからそ
の混練、調整上画期的を改善結果を得しめている。
なお上記したような混合物を得るに当って細骨材自体
に吸水される吸水量ないし吸水率については従来からそ
れなりに考慮されているところであって、JIS A1109に
おいても吸水率Qとして式を示して規定されている。
又このような混合物についてその流動性が成形性ない
し充填性について重要な要因をなすことは明かで、斯う
した流動性の測定についてはJISR5201においてセメント
の物理試験方法としてフロー値の測定が規定されてい
る。即ち上記のような混合物についてフローテーブルに
おいて流動性をその展開直径として求めるものである。
(発明が解決しようとする課題) 前記したような従来一般的な技術は、JIS規定の如き
により細骨材に関し、例えば表面乾燥飽水状態による吸
水率と粗粒率、実積率等の測定データを用い上記したよ
うな混練物等の液分を把握調整しようとするものであっ
て、具体的な混練物の調整に当ってはその物性を的確に
把握し制御することができない。即ちこのような混練物
に関しては分離ブリージング性ないしワーカビリティ、
圧送性、締固め性等の物性が必要であることは周知の通
りであるが、これらの物性は水セメント比や砂セメント
比が同じであっても得られた混練物の特性はやはり変動
する。更に斯うした混練物を密実に充填成形するために
は振動その他の圧密処理を加えることが一般的である
が、そうした振動その他の圧密処理に際して混練物の示
す挙動ないし変化は同じJIS規定による測定値のもので
あっても大幅に異っていることが殆んどである。又厚層
にコンクリート打ちをなし或いは型枠を縦型としてコン
クリートを打設充填した場合において打設充填された生
コンクリートまたはモルタルの示す様相は種々に変動し
たものとなる。
ところで本発明者等は斯かる混練のための配合水を分
割し、その特定範囲における一部を均等に細骨材へ附着
させてからセメントを添加して1次混練し、次いで残部
の水を加えて2次混練することにより、ブリージングや
分離が少く、しかもワーカビリティにおいて優れた混練
物を得しめ、又それによって得られる成形体の強度その
他を同じ配合条件において相当に高めることのできる有
利な技術を開発し業界の好評を得ているが、そうした新
技術を採用しても細骨材が異なることによって具体的に
得られた混練物における前記したような諸効果の程度は
種々に異ったものとなる。
このような課題を解決すべく本発明者等によって提案
された前記先願技術では粒子表面における吸着液と、そ
うでないものとを区分するだけでなく、その吸着液に関
して定量的な解明を図るものであって、頗る有効な手法
と言えるが、この技術に関して具体的な測定をなし、そ
の結果を用いてコンクリートやモルタルの調整をなした
多数の結果について仔細を検討したところ、夫々のモル
タルやコンクリートなどの調整において、なおそれなり
の的確性を有し得ない傾向が認められた。即ちこれらの
実験結果によると、細骨材のような骨材類と粉体間の相
互干渉性(セメントと骨材間のなじみ)および骨材(細
骨材を含む)の制御を確保することが容易でない。つま
りこれら資材の表面粗度、材質、形状、表面吸着力等
は、従来のJIS規定などで解明できない骨材の性質がコ
ンクリートやモルタルの分離ブリージング性、ワーカビ
リティ、圧送性、締固め性などに大きく関与しているも
のと推定されるが、このような関係を的確に解明し、合
理的な混練物を得ることができない。
従って具体的には試し練りを繰返し、できるだけ有利
な配合混練条件を決定することとなることはこのような
コンクリートなどの施行に関する各種文献に記載の通り
であるが、斯うした試し練りは1つの結果を得るために
相当の工数と時間を必要とし、例えば得られる製品の強
度まで求めようとすると一般的に4週間をも必要とす
る。況して繰返して調整し試験するとすれば著しい長時
間が消費され、具体的施工に即応できない。この故にこ
の試し練りは基本的には夫々の作業者等による経験ない
し勘により、又比較的短時間内に測定結果の求められる
もののみを試験して全般を推定するようなこととならざ
るを得ず、合理性を欠くと共に的確な合致を得ることが
できず、相当の誤差範囲を見込むことが必要である。吸
水率についてJISの規定するところは一応それなりの根
拠を有するものの如くで、斯うした吸水率を考慮して具
体的な配合水量などを決定することが行われている。然
しこのような従来のJIS規定による吸水率を扣除ないし
加算して配合水量を決定する従来法によるものは、それ
によって得られる混練物ないし製品の特性が必ずしも特
定ないし特定状態のものとならないことは周知の如く
で、従来においては斯うした変動の生ずることは天然的
に得られる砂などを採用することによる不可避的な現象
と理解されている。
又このような混合物についての流動性ないし成形性を
測定する従来のフロー値は勿論それなりの合理性を有す
るものではあるけれどもフローテーブル上における混練
物の展開直径によって得られた値についての解明が困難
で、例えばこのフロー値に対して決定的要因をなすこと
の明かな水セメント比との関係を図表化しても直角座標
上において曲線とならざるを得ず、この結果によって解
析することは頗る困難である。
「発明の構成」 (課題を解決するための手段) 1.砂や粒状スラグ、人工細骨材その他のこれらに準じた
粒状材に対しセメント類、フライアッシュ、粉末スラグ
などの粉体と水その他の液体を用いたモルタルまたはコ
ンクリートのような混合物を得るに当り、前記粒状材装
入面を液面と略一致させた水中条件下で圧密充填操作し
た水中最密状態充填物を準備し、該水中最密状態におけ
る前記粒状材の水中単位容積重量を求め、該水中単位容
積重量により前記混合物の調整条件を決定することを特
徴とする砂などの粒状材とセメント類などの粉体および
液体による混合物の調整法。
(作用) 粒状材装入面と液面とを略一致させた水中条件下で圧
密充填操作した水中最密状態充填物による単位容積重量
はこのような混合物におけるその他の単位容積重量に比
し最大値を得しめ、しかもこのような水中単位容積重量
は実際のモルタルまたはコンクリートの打設充填状態に
最も近似した値と推定され、このような打設充填状態を
代表する。即ち斯うした水中単位容積重量を指標として
斯様な混合物の調整条件を決定することにより的確な性
状ないし特性を求め得る。
前記した水中単位容積重量と絶乾状態における絶乾単
位容積重量との差は粒状材中に存在する流動性微粒が粒
状材間の間隙に前記のような水中条件下で充填されたこ
とに原因するものと推定され、斯うした流動性微粒量は
水セメント比(混入空気をも水として求める)などとの
間に的確な対応関係を示す。
前記のような水中単位容積重量によって求められる粒
状材の水中緩み率も具体的な充填打設物における適切な
指標となる。
セメントのような粉体に対する粒状材の比表面積を変
化させた、即ち粒度分布を異にした複数の混合物に対し
夫々脱液エネルギーを作用させ、その脱液エネルギー上
昇によっても実質的に含有液量が低下しない所定の値以
下の脱液処理を行った後における各残存含液率が粒状材
の比表面積変化に伴い比例的に変化する相対限界吸着水
率を上記比表面積と残存含液率の関係で示した直角座標
による図表において得られる直線と比表面積零軸との交
点は粒状材の表面積のない状態で含有される液率であっ
て、この液率を当該粒状材に関する真の吸水率と理解せ
しめる。該吸水率によって粒状材を用いた上記混合物に
関する液量を求めることによりその物性と適切に合致し
たデータを得しめる。
前記混合物の流動性に関してフローテーブルにおける
試験値として展開直径(従来からのフロー値)もさるこ
とながら展開面積を求めることにより実際の打設注入時
における流動展開状態に即応したデータを提供し、的確
な配合調整条件を提供する。
上記したフロー試験の展開面積を、液体と粉体との配
合比を変えた複数のモルタルについて求め、それらの展
開面積と当該液体粉体の配合比との間におけるフロー値
2乗に比例する図表上の直線状態は法則的であり、この
ような直線状態により上記混合物の全般的様相を的確に
把握せしめ、具体的な試験測定を経ないでも上記配合比
の変動による流動特性を理解せしめる。
前記展開面積は液体と粉体との配合比のみならず粒状
材と粉体との配合比をも変えた複数の試料について夫々
求めることにより、上記同様に粒状材と粉体との関係に
ついて比較的少ない試料による試験結果の図表化により
該混合物の全般的関係を任意の混合条件について求め、
その特性を把握せしめる。
前記粒状材、粉体および液体による混合物に関し、そ
の粉体に対する粒状材の比表面積を変化させた複数個の
混合物に対し脱液エネルギーの上昇によっても実質的に
含有液量が低下しない所定値以上の脱液処理を行った後
における各残存液率が上記粒状材の比表面積変化に伴い
比例的に変化する相対限界吸着水率として得られ、この
相対限界吸着水率がその比表面積と残存含液率との関係
で示した直角座標において形成する直線と比表面積零軸
と交点は非表面積が零でしかも吸水される液率であるこ
とから真の吸水率として理解され、このような真の吸水
率により従来のこのような混合物に関して解明できなか
った適正な全般的関係が解明される。
前記流動性微粒量を水中緩み率の関数として基本流動
水量WWを求め、この基本流動水量により混合物の配合条
件を予測決定することにより得られた混合物の流動性の
如きが的確に求められる。
普通混練に当り前記した真の吸水率を用い混合物の流
動性と配合条件を予測決定することにより精度の高い混
合物が調整される。
配合水の一部を添加して1次混練してから残部の配合
水を添加して混練し、1次混練により粒状材表面に安定
な造殻被覆を形成するに当り、その1次混練水量を粒状
材の相対保有水率によって決定することにより前記造殻
被覆を安定化し、最も高精度且つ高品質の混合物を得し
める。
粗骨材を用いたコンクリートを得るに当り、該コンク
リートにおいて求められるスランプ値と粗骨材の間隙率
によりモルタルのフロー値を求め、このフロー値と目的
とするコンクリート強度から導かれるW/Cにより配合条
件を決定することにより合理的で精度の高いコンクリー
トが得られる。
制御盤にフロー値またはフローテーブル上における展
開面積とW/Cとの関係からS/Cの関数演算機構を設けると
共に計数決定部を接続することによって的確なS/C関係
が迅速且つ的確に求められる。
制御盤に流動性微粒重量または容量と粒状材比表面積
との関数演算機構とそれに接続された係数決定部を組込
むことにより、これらの関係も常に的確で迅速に決定さ
れる。
制御盤に目的混合物における配合条件としてのスラン
プ値と強度から求められるW/Cと粗骨材間隙率Ψの入
力手段とを設けると共に前記スランプ値とΨとの関数
演算機構とそれに接続されたモルタルのフロー値決定部
および判定演算部とコンクリートの配合決定部を設ける
ことによりコンクリートの配合関係が迅速且つ正確に得
られる。
(実施例) 上記したような本発明について更に説明すると、本発
明者等は既述したような砂の如き粒体、セメントのよう
な粉体および水などの液体から成る混練物について、そ
の配合、混練によって得られる混合物ないしその混合物
によって成形された製品の特性などを的確に予測し、そ
の適切な配合設計を決定しあるいは計画配合条件を解析
して合理的な混合物を企画ないし調整し更には具体的製
品を得ること(これらを総合して本発明では調整法とい
う)について多くの実地的検討を重ねると共に推考を重
ねた。即ちこのような混合物に関しては従来から各方面
において多くの検討、研究がなされ、示方配合、現場配
合などに関し土木学会やJIS規格などに種々の既定ない
し標準示方が示されてはいるが、上限または下限を規定
し或いはそれなりに広い範囲を規定するものであって、
結局は試し練りによって決定すべきこととなることは既
述の如くで、各種文献にも記載されている通りである
(例えば「新しいコンクリート工学」(1987年5月20日
朝倉書店発行など)。然しこの試し練りによるときの困
難さ、不合理さは前述のように明確である。
本発明者はこのような実情を打開することについて検
討した結果、上述のような天然または人工の各種砂や粒
状スラグ、それら砂の基準的粒度組成を有するように調
整されたガラス玉その他の粒体とセメントなどの粉体お
よび水その他の液体(以下代表的に単に水という)を用
いた混合物に関して、該混合物における骨格的組織ない
し機能を果す細骨材、即ち前記粒体の実際を解明すべ
く、所定量の収容部をもった容器その他(以下単に容器
という)において粒体上面が水面と常に略一致する状態
の下に該粒体間の間隔が最小状態となるように締固めた
充填物(以下水中最密状態充填物という)についての単
位容積重量(以下水中単位容積重量という)が上記混合
物の性状ないし特性を的確に解明し、配合設計ないし具
体的な混合物の調整あるいは施工または製造を合理的且
つ的確に実施するための指標となることを確認し、この
ような指標を用いることにより前記混合物の配合決定、
その特性予測、具体的な混練調整操作を円滑適正に実施
できる。
斯うした本発明の経緯について先ず説明すると、本発
明者は上記したような細骨材などの粒体に関して、それ
ら粒体に充分且つ大量の水を附着含有させたものに対し
遠心力などの脱水作用力を作用させることによりその附
着含有水が除去され、その除去は脱水力の如何によって
変化し、附着含有水量は脱水力の増大に伴って次第に低
下することとなる。然し斯かる低下がある一定限度に達
すると、それ以上に脱水力が増大しても殆んど含水量を
低下することのない限界相対吸着水率βの存することを
確認している。なおこのβについてはセメントのような
粉体を混合したもので求め得ることは明らかであるが、
又例えば特開昭60−139407号公報に示されるような手法
で細骨材だけを用いて求めることができ、その何れによ
ってもよい。又このことは粉体においても粉体粒子相互
が接触ししかも実質的に粉体粒子間に水が充満していて
空気の存在しないキャピラリー域に達した状態において
は該粉体の限界吸着水率αの存することが確められてい
る。更に前記粒体についての限界相対吸着水率βを測定
するに当って粉体を併用することにより粒体間の接点液
の如きによる影響を回避し的確な相対吸着水率測定結果
の得られる手法などを確立した。
本発明においてはこれらの本発明者等による新規開発
技術に加えて前記したような細骨材の如き粒体の水中に
おける最密状態充填物に関する解明を重ね、その水中単
位容積重量ρSWや粒体間の間隔率ΨSW(この逆数は水中
充填率となることは当然)、あるいは微粒率MS、基本単
位水量WW、実際の流動性を与える水量WBなどを定量的に
求め、そうして数値により的確な配合設計、企画ないし
混練調整を得しめる。
前記した限界吸着水率は用いられた骨材、粉体あるい
は水の何れか1つまたは2つ以上が変化することによっ
てそれなりに変化し、従って具体的に得られる吸着水率
は相対限界吸着水率となるが、斯うした相対限界吸着水
率α、βなるものは多数の実験結果からどのような混合
系においても存在し、又同じ混合組成のものにおいては
常に一定である。例えば富士川産川砂(Q:2.49、F.M.:
2.65、比重表乾ρH:2.58、ρD:2.52、ρV:1.739、ε:31
%、Sm:65.3cm2/g)と普通ポルトランドセメントおよび
代表的液体である水を用い、砂セメント比(S/C)を
0、1、2、3と変化させた各試料について本発明者等
が曩に提案した特願昭58−245233号(特開昭60−139407
号)の方法により遠心力30G(Gは重力)より1000Gに亘
る多様な脱水処理を行った結果は、S/Cが0であるセメ
ントペーストの含水率WP/Cは前記したように作用する遠
心力の如何によってそれなりに異ると共に、これに砂が
混合され、S/Cの値が高くなるに従って含水率が高くな
るが、上記セメントペーストの場合を基点としてS/Cの
上昇に伴い含水率の上昇する度合は、一定遠心力(例え
ば150G〜200G)以上となってもその遠心力増大にも拘わ
らず殆んど変化がない。即ち100G以下のような重力の比
較的低い領域においては30G、60G、80G、100Gの如く相
当に少い遠心力差条件を以て処理測定しているのに対し
て、200G以上においては100G以上のような大きい遠心力
差条件で処理測定したものであっても、150Gから200Gと
なるまでは何れのS/Cの場合においても比較的大きい含
水率の低下があり、それより遠心力条件が大となること
によってこの含水率低下の程度が大幅に低減する様相が
示され、しかもそのS/Cの増加に伴う直角座標による図
表上の上昇傾斜角θは略一定であって、殆んど変化の
ない直線として求めることができる。例えば438Gと1000
Gとでは500G以上の遠心力増大があるに拘わらずその上
昇傾斜角θは一定状態であり、200Gの場合においても
上記1000Gの場合と実質的に平行状態である。つまり遠
心力(脱脂作用力)の増大によっても脱水できない細骨
材の相対保有水率の存在することが確認される。
前記したような結果について、その遠心力作用後の全
含水量をWZとし、Cをセメント量、Sを砂量とすると共
に遠心力作用後の粉体の含水量をWP、また遠心力作用後
の砂を含水量をWSとなし、更に遠心力処理後の前記のよ
うに略一定化した傾斜角θの正接(tan θ)を前記
のような細骨材(粒状材)の相対保有水率βとすると、
上記WZ/Cは次のI式のようになる。
WZ/C=WP/C+β・S/C …I また、βは次のII式のように表わされる。
従って前記した砂の含水量WSは、次のIII式のように
なる。
WS=WZ−WP …III 即ちβは砂の含水量を砂量で除した含水率となり、こ
れを上記のような粒状材の限界相対吸着水率とする。然
して具体的にWZ/CをI式によって求めると共に実際の測
定値との間の精度(r2)を検討すると、次の第1表の如
くであって、少くとも0.98以上であることが確認され、
頗る高精度のものであることは明かである。
又このような結果について、その遠心力Gと前記β、
即ちWS/Sの関係は前記した200Gまでは相対吸着水率βが
次第に低下するが、200Gを超えることにより殆んど相対
吸着水率βは低下しないで略水平状の直線的な脱水結果
が得られる様相は明かである。即ち上記した150〜200G
までの相対吸着水率β低下が150〜200G以上の遠心力作
用時における略水平状直線とのなす角度θが求めら
れ、このθは夫々の骨材によってそれなりに異ること
になるが、θの角度如何は夫々の骨材における脱水エ
ネルギーの大きさによる脱水特性を代表する1G当りの界
面脱水率ということができる。前記のように遠心力が増
大しても相対吸着水率に殆んど変化のない値は当該骨材
に関する限界吸着水率(β)と言うことができる。又
最大相対吸着水率β0maxはθの傾斜直線と遠心力0点
との交点であり、骨材の全相対吸着水率βGOは限界吸着
水率βにβ0maxを加えたものとなり、遠心力処理によ
って、該吸着水率β0maxが脱水される関係をなすもので
あり、又、前記のように遠心力増大により吸着水率の実
質的に変化しない遠心力値をGmaxとして求めることがで
きる。
一方粉体のペーストに関してキャピラリー域における
含水率が混練操作時におけるトルクの最高値近辺となる
ことについては同じく本発明者等により特開昭58−5681
5号公報の第4図などに発表されている(該公報ではフ
ァニキュラーないしキャピラリーとされているが、その
後の検討によりキャピラリー域たることが確認されてい
る)。即ち絶乾状態の粉体に対し次第に加水しながら混
練した場合において、その加水量が次第に増加するに従
って混練トルクは増大するが、斯うして水量増加に伴い
次第に増加したトルクがトルク最高点に達した後に更に
水量が増加するならば今度は次第にトルクが減少するこ
ととなる。これはペースト中における水が粉体粒子間の
空隙を完全状態に満たしてスラリー状態となり、しかも
その粉体粒子間水量が次第に増加することによって流動
性が大となることによるものである。つまり粉体粒子間
の空隙が完全に水で満たされる(スラリーとなる)直前
のキャピラリー域においては混練トルクが最大状態とな
るわけで、このような混練トルク最大状態で調整された
混練物を用いるときはブリージング水の発生を有効に縮
減し、斯うした混練物による製品は強度その他の特性に
おいて卓越したものとなることが前記公開公報に示され
ており、本発明ではこのようなキャピラリー域の含水率
(WP/C)をαとし、前記限界吸着水率βと共に重要な
ファクターとして採用するものである。
ところで本発明者は上述したような粉体、粒体および
液体からなる混練物について前記のようにそれ以上に作
用力を増大しても吸着水率βの実質的に低下しない状態
を遠心力で実施した場合を検討した結果、その遠心力が
例えば150〜200G(粒体の性状によって夫々の場合に若
干の差がある)のように高いことから充填組織内に気孔
が発生し、単に脱水する場合は兎も角としても実際の充
填打設組織と異なることになることに鑑み、上記のよう
な気孔を発生しない遠心力以外の方法により前記遠心力
150〜200Gを作用せしめたものと同じ状態を形成するこ
とについて検討した結果、突き固め方式や振動ないし衝
撃方式によっても同等の状態を形成し得ることを確認し
た。即ちこのような方法として本発明者は多くの細骨材
とセメント粉体との組合わせについて仔細に検討した結
果、直径が11.4cmで高さが9.8cmの容量100ccを有する円
筒形容器(容量マス)に試料約500ccを装入してから重
量500gのテーブルフロー用突き棒で容器内全般に亘って
平均に25回以上の突き固め操作を行い、次いで支持台面
から2〜3cm上げて落下させるスタンピング操作を3回
以上行って突き固め充填状態を平均化し、その後更に約
500ccの試料を装入して同じ突き固め操作とスタンピン
グを行う方法が好ましいものであって、上記のような直
径の容器に対し前記の程度の試料を装入した条件下にお
いて突き棒による25回程度の突き固めで最も密度の高い
状態となるものの如くで、これより以上に突き固め操作
しても単位容積重量が実質的に変動することがなく、ス
タンピング操作についても3回程度で充分で上記した50
0cc程度の量の場合においてはそれ以上繰返しても実質
的変化がない。特に本発明においては上記したような突
き固め操作ないしスタンピング操作をなすに当って前記
容器内における試料面に対し随時に加水(あるいはスポ
イドで過剰分を除去)し水面が略合致した同一レベル条
件で実施するものであって、このような状態からして水
中での締固め操作があることは明かであるが、しかも同
じく水中であっても試料面の上に更にそれなりの水量が
形成された状態の場合とは異り、水と試料とが常に略同
一レベル条件下であること、つまり試料中の全量が分離
偏析せしめられることのない条件下での水中突き固めを
要件とするものである。
ところで、このような方法に従い、同じS/Cによる試
料に対し、W/Cを次第に変化させた各種のものについて
検討したところによると、得られた突き固め充填物にお
いて、そのW/Cが特定の値を採った場合に最高容重(単
位容積重量)値が得られる。例えば細骨材たる砂の粒径
組成と合致し、しかも形状的に揃った基準材として0.07
5〜5mmの径を有するガラス玉、即ちこのような砂類によ
る細骨材に関し代表的ないし基準的粒度組成を有するよ
うに準備したガラス玉であって、FMが2.71であり、次の
第2表に示すような粒度分布を有し、真比重ρが2.45
のものを用意した。
然してこのようなガラス玉に対し、ポルトランドセメ
ントを砂セメント比(S/C)を1として配合した試料に
ついて、その水セメント比(W/C)を順次且つ種々に変
化させた各試料について上記したような水中突き固め操
作による充填を行った場合には次の第3表のような結果
が得られた。即ちW/Cを28%としたものが単位容積重量
(以下適宜に容重という)ρにおいて2235gであって、
最高の充填状態を得しめ、これよりW/Cが低くても、高
くても容重ρが小となっている。
同様に同じガラス玉とポルトランドセメントを用い、
S/Cを3とした場合にはW/Cが33%程度のときに容重ρが
2227gであって、このW/C値より1%高くなり或いは低く
なった場合には夫々に容重ρの低くなる様相は第3表の
場合と同じであり、更にS/Cを6とした場合にはW/Cが48
%程度のときに容重ρが最高値を示し、これよりW/C値
が変動することにより高くなっても低くなっても容重ρ
は低下する。
斯うした様相は上記基準材としてのガラス玉が細骨材
として一般的に用いられている天然砂(川砂や海砂、山
砂)、人工砂(砕砂やスラグ粒)の場合においても全く
同様であって、このようなW/C値との関係でピーク点の
存在する様相は粉体(セメント)について混練トルクの
ピーク点の存在する様相と共通するものがあり、しかも
上記のように容重ρがピーク点を示すW/Cが前記した150
G〜200Gの遠心力処理したときのそれと実質的に同じで
あって測定誤差範囲内程度の差しか認められない。
なおこのような本発明の試料と水を同一レベルとした
水中最密状態充填に関してはメスシリンダーを用い、例
えば容量1000ccのメスシリンダーに試料砂と水を入れて
高さ5cmの位置からテーブル上に150回落下させ、その衝
撃による充填を繰返すような方法を採用することができ
るが、同じ充填操作をなしても本発明による水中同一レ
ベル最密状態充填をなしたものの方がその他の絶幹砂を
用いて水の用いられない条件のもの、あるいは水を用い
ても過剰の水の中に試料を投入して充填操作したものよ
りも高い単位容積重量を示す。例えばFMが3.12でJIS規
定による吸水率が1.33、比重が2.58の厚木砕砂について
夫々の方法で最密状態充填操作した結果の単位容積重量
は次の第4表の如くである。
即ち突き固め充填またはメスシリンダー充填のように
方法が異ることによって測定された単位容積重量がそれ
なりに異るとしても本発明により同一レベルの水中最密
充填法によるものは何れにしても高い値を示すものであ
り、又同じ試料について多数個を同じ条件で最密充填操
作しそのバラツキ範囲を求めた結果においても絶乾試料
によるものは±0.018〜0.020kg/程度の範囲でバラツ
クのに対し水中最密方法によるものは0.003〜0.006kg/
程度のバラツキ範囲であって、安定した的確な最密充
填による測定結果を得しめるものであることが確認され
た。
即ち本発明においてはこのような手法による充填状態
を最密充填状態となし、この状態が略同一レベルの水中
で行われることにより実際のこの種混練物の充填打設状
態によく合致していることから好ましい代表的試験方法
として利用することとし、突き棒による突き固めは上下
各層について25回、スタンピングは各層毎に3回の夫々
一定のものとして実施することは前記の通りである。
ところで斯うした最密充填状態による試験測定を多く
の試料について実施した結果、この種混練物における水
量に関してそのセメント量、砂量に対し、前記したα値
およびβ値を以てしても解明することのできない要因の
存することを発見した。即ち斯うした要因は、セメント
および砂を種々に変化させたどのような試料においても
求められるものであるが、前記した第2表のガラス玉お
よび相模川砕砂と富士川砂を粒状材として用い、これに
普通ポルトランドセメントを粉体として採用し、S/Cを
種々に変化させた多様な混練物を準備して前記最密充填
状態を夫々形成したものにおける水量W/Cを、そのセメ
ント量に対して前述したようなα、βにより計算して求
めた結果と、実際の混練物についての実測値とを対比す
ると、計算値に対して実測値がS/C=2で4〜5%もず
れ、これよりS/Cが高くなると、その計算値と実測値の
ずれが加速度的に増大しており、α、β以外の第3の要
因が、斯うしたそれ以上に操作力を与えても実質的に含
水量に変動を来さない最密充填状態において存在するも
のと言える。詳言すると、成程S/Cが1程度の相対的に
砂の少ない状態においては砂粒子間において粉体(セメ
ント)が多量に存在するから、そのような多量に存在す
るセメントが斯うした第3の要因であるかのように考え
られるとしても、このS/Cが2ないし3以上となって粉
体(セメント)が相対的に少ない状態となってもこのよ
うな計算値と実測値との間の偏差は全く減少しないもの
で、規則的且つ大幅に増加する傾向を示す。即いこのよ
うな粉体、粒体および液体よりなる混練物における液体
においては前記α、βのみならず、更に第3の要因が作
用することは明確である。
そこで本発明者はこのような第3の要因を解明するこ
とについて検討を重ねた結果、この第3の要因は結局に
おいて充填された混練物の構造ないし組織に原因して内
部に保持される水分と言うべきであるが、このような混
練物の充填組織に関し斯かる構造ないし組織を考察する
場合において、その骨格的機能ないし構造をなすものは
砂であることが明らかであって、そのような骨格的機能
ないし構造を形成している砂のような粒体間の間隙度合
(緩み率ないし充填状態)が支配的機能をなすものと考
えられる。然してこのような混練物用原料として入手さ
れる砂のような粒体においては前記のような骨格的機能
ないし構造をなさない程度の微粒分(微砂分)を附着混
入することが不可避であって、斯うした微粒分(微砂
分)を差引いたものを用いなければ適切な解明をなし得
ない。ところが斯うした微粒分(微砂分)を何を以て、
どのように求めることが妥当であるかについては従来に
おいて勿論考慮されたことがなく、仮りにこれを細小フ
ルイ目による分別を行なうようなことで考慮するとして
もどの程度から前記第3要因として影響するか不明であ
ると共に、粒状材に対し微粒分の附着したままで分別さ
れる傾向が大きいことなどからして的確性を有するもの
でない。
一方前記したような砂の実績率測定については粒度、
粒径なども影響することは当然であるが、それらが同じ
であるとしても含水率の如何により変動し、即ち細骨材
に表面水があるとその付着力によって骨材粒子の落ちつ
きが妨げられ、一般的に含水率が約6〜12%の間で単位
異容積重量が極小となり、絶乾状態より20〜30%も減少
することが知られており、これは見掛け上、容積の膨脹
現象(bulking)と理解されるところから絶乾状態で測
定すべきものとされている。然して本発明者がこの絶乾
状態の砂についてその粒体間の間隙を最小とするような
締固め状態を形成して単位容積重量を測定した場合と、
この締固め状態をその粒子間間隙が水で満たされる程度
の水中条件下で実施した場合において、採用される締固
め操作条件が全く同じであるに拘わらず、上記水中条件
下で実施した場合にはその実積率(単位容積重量)が絶
乾の場合より大きくなる事実を発見していることは前述
した第4表の如くである。即ちこのような測定結果の1
例として既述したような標準粒度ガラス玉と普通ポルト
ランドセメントを用い、S/Nを6以下として得られた各
種モルタルないしペーストについての同一レベル水中最
密充填状態による測定結果を要約して細粒材の水中緩み
率(ΨSW)を横軸となし、水量(W)、セメント単位容
積(CV)、砂単位容積(SV)を縦軸としてそれらの関係
およびそれらに伴うCV+SV+α・C+β・S、CV+α・
C、CV+SV、CV、SV+β・SおよびSVやSDVの変化状
態、基本単位水量WWおよび単位容積当り流動性微粒分量
MSの関係は第1図に示す如くであって、このようなモル
タルについての具体的な関係状態を的確に解析すること
ができる。
又この標準粒度ガラス玉を用い、0.15mm以下、0.3mm
以下および0.6mm以下を夫々カットしたもの及び元砂に
ついての上述したような最密充填状態に関する水中単位
容積重量ρSWと絶乾単位容積重量ρSDを示したのが第2
図であって、何れの場合においても相当の隔りがある。
即ち人工的に得られたガラス玉としてその周面におけ
る凹凸や気孔などの比較的少い試料であることの明かな
この試料においてすらも絶乾条件における最密充填状態
の単位容積重量ρSDと、本発明でいう水中同一レベル条
件下最密充填状態における単位容積重量ρSWとの間にお
いては30〜80g/近い差を有しているわけである。この
ようなガラス玉について0.15mm以下、0.3mm以下および
0.6mm以下を夫々カットしたものについての各最密充填
状態のρSDおよびρSWとの間の差は次第に縮少される
が、実質的に吸水孔などを有しない人工的なガラス玉に
おいて、その最密充填状態が水中で形成されたか絶乾条
件であったかにより、この第2図のような差異の存する
ことは注目すべき現象と言える。
この第1、2図のような関係はその他の天然又は人工
(砕石など)の細骨材についても求められたが、一般的
にこのような細骨材に関しては粗粒率(MF)の如何によ
り絶乾単位容積重量(ρSD)と本発明で採用した水中単
位容積重量(ρSW)との間にそれなりの上記同様な変動
関係があり、特に第2図のような関係は一般的細骨材の
場合はその差が拡大するものと言える。
ところで前記したような最密充填状態における単位容
積重量ρSDとρSWとの差、特にρSW>ρSDの関係は前述
したような従来のbulkingの技術思考を以てしては理解
し難いところであるが、本発明者の仔細に検討推考した
ところによると、これは結局において微粒分(微砂分)
によるものと言うことができ、即ち前記第2図において
もカットされたフルイ目値が高くなることによってρSW
−ρSDの値が縮少しているものと言うことができ、前記
第1図においてはこのことが全域に亘って示されている
わけであるが、斯うした単位容量当りの微粒率(悲憤
率)MSは具体的に次のI式によって求めることができ
る。
但し、ρは粒体の真比重である。
又上記のようにして微粒率(微粉率)MSを求めた場合
において、前述したような第3の要因として重要な骨格
的機能を果す砂などの粒体間の間隙率Ψは、本発明の
ように水中条件下でρSWを求めた場合においては水中状
態であり、この水中状態における間隙率ΨSWは次のII式
によって得られる。
更にこのような水中状態のΨSWは適宜に絶乾状態を基
準としたものに置換することができ、この絶乾状態の粒
体間間隙率ΨSDは次のIII式のようになる。
又前記したII式による水中状態のΨSWの具体的な測定
は上述した容重マスによる突き固め後の測定以外に、容
重マスと500mlのメスシリンダーに水を用意し、前記容
重マス(1000cc)に100mlの水を入れ、次に容器深さの
3分の1に相当した絶乾砂を入れ、棒でよく撹拌した後
左右両側面を各10回(計20回)木槌で軽く叩き、更に3
分の2までの深さに相当した砂を入れて同様に撹拌し木
槌で合計20回軽く叩き、この時水が砂の上面に数mm出る
ように必要に応じて注水する。同様容器上面から2〜3m
m下となるように砂と水を交互に入れ、20回叩き、次に
容器上面で砂面と水面とが同一になるように砂だけを入
れ、又必要に応じては注水するか、ピペットで水を吸い
取るかし、吸い取った水はメスシリンダーに戻すような
操作をなし、容器上面で砂面と水面とが同一で且つ平滑
になるように金べらなどで均らし、その全重量(W)を
測定して次のIV式により水中単位容積重量ρSWを求める
ことができる。
但し、a:容器の風袋。
b:メスシリンダーに残った水量。
V:容器の容積で、この場合は1000cc。
上記した絶乾状態の単位容積重量ρSDについては絶乾
状態の砂を用い、ρSWを用いる場合と同じ操作ないし計
算条件で求められることは明かであるが、上記ΨSWと絶
乾条件での間隙率ΨSDについてはその絶乾条件で得られ
たρSDを用い、次のV式のようになる。
又絶乾単位容積重量ρSDの測定は上記の容器(マス)
に絶乾砂を3層に分けて入れ、その各1層毎に左右両側
面を各10回(計20回)木槌で軽く叩き、充填終了後その
上面を角部を3角状とした定木で平面状に均らし、その
重量を測定することによっても得られる。
上記したような各方法で前記した径0.075〜5mmの細骨
材に関する基準的粒度分布を有するように準備さゑたガ
ラス玉および富士川砂、相模川砕砂を用い、砂
(ガラス玉)/セメントの重量比(S/C)を0〜6とし
た各試料について前記したρSW、ρSDや粒体間の間隔率
(または充填率)ΨSW、ΨSDや微粒率ないし微粉率など
を求めた結果は次の第5表から第7表に示す如くであ
る。
なおこれら第5表〜第7表において、WPはセメントの
キャピラリー域含水量、SWは砂の限界相対吸着水量であ
って、WP/C×100が前記αであり、又SW/S×100が前記β
である。更にWWは前記セメント(C)、砂(S)とそれ
らのαおよびβ以外構造内水量であって、その如何が具
体的に流動ないし成形化するか否かは兎も角として基本
的に必要な単位水量である。
又これら第5〜7表のものとは別にFMが2.59で真比重
が2.55の千葉県君津産山砂、FMが3.12で真比重が2.58
の神奈川県厚木産砂砕を準備した。第5〜7表に示し
た細骨材〜と共にこのの細骨材についてJIS規
定による吸水率、比表面積Sm、細骨材の吸着水率βなど
を要約して示すと次の第8表の如くである。
然して上記のような各細骨材について上記したよ
うな本発明による水中単位容積重量ρSW、水中粉粒間隙
率ΨSWおよび水中最密充填状態を形成したときに砂量
(Sv)、セメントなどの粉体量(Cv)、砂の拘束吸着す
る水量(βs)およびセメントなどの粉体が拘束吸着す
る水量(α,c)以外に前記のような水中最密充填状態に
おいて必要とされる基本的な単位容量水量(Ww)を求め
た結果は次の第9表の如くである。
なお前記した水中での最密充填に対し絶乾状態での同
様な最密充填をなしたものは絶乾最密状態充填物であっ
て、その単位容積重量ρSDや緩み率ΨSDを同様に求める
ことができ、この値は前記した第5〜7表において絶乾
嵩比重ρSDおよび絶乾緩み率ΨSDとして示す如くであっ
て、ρSDおよびΨSDの何れの値においても前記したよう
な水中嵩比重ρSWまたは水中緩み率ΨSWよりもこの
ρSDSDの方が低いものである。
前記したような細粒材を用いると共に粉体として普
通ポルトランドセメントを用いた混合物について上述し
たような水中最密充填状態を形成したものについての単
位水量(W)、CV、SV、水中緩み率ΨSWや基本単位水量
(Ww)、単位容積重量(ρSWおよびρSD)、単位容積当
り流動性微粒分量(Ms)などの関係を状態図として示し
たものが第1図であって、このような混合物における夫
々の要因関係を的確に解明することができ、同様のこと
はその他の前記した各細粒材〜についても同じにそ
の状態を図示解明することができる。
又この基準的に人工調整されたガラス球細粒材につ
いて、0.15mm、0.3mmおよび0.6mm以下をカットしたもの
を準備し、斯うした細粒材についての絶乾単位容積重量
ρSDと水中単位容積重量ρSWを求めた結果は、その元砂
と共に第2図において要約して示す如くであり、人工的
な調整物として孔隙などの皆無状態であるこの細粒材
において何れの粒度の場合においても水中単位容積重量
ρSWの方がそれなりに高い値を示していることはこの水
中単位容積重量ρSWと前記ρSDとが明かに異っているこ
とを示すものである。
前記したような第3表の各細粒材〜について単位
微粒量〔MSV:(ρSW−ρSD)/ρ×1000〕を求め、そ
の関数K,kを用い、水中緩み率ΨSWと基本単位水量Wwと
の関係から、 Ww=K・ΨSW k の式によって配合予測をなすことができ、このような配
合予測によって求められた値は具体的に混合物を調整し
て測定した結果と略適切に符合していることが確められ
た。本発明者等が具体的に前記〜の細粒材に関して
上記した式の場合における前記関数K,kの値は次の第10
表の如くである。
以上の如く細骨材の材料試験を適切に行い粒体のβお
よびMSVの測定値を使用することによりWwの値が予測で
きる。又、Ww=1000−CV+SV+α・C+β・Sであるか
ら第1図の如く以上の関係から最密状態の配合が決定で
きる。
ところで前記した細粒材について普通ポルトランド
セメントを配合して得られたモルタルのJIS規定による
フロー値とW/Cに関し具体的にペーストおよびS/C=1〜
6のものについて測定した結果を要約して示しているの
が第3図であり、成程W/Cが高くなるに従いフロー値も
高くなるものであるとしてもその変化状態は図表上曲線
を形成するものであり、このような曲線を描く状態はそ
の他の細骨材〜についても同様であるが、勿論その
状態は夫々の細骨材においてそれなりに異っている。然
してこのような第3図の結果に基いて具体的な配合混練
物に関する様相を予測し解析することについて検討した
がこの第3図に顕われたような曲線の故に、成程今日に
おけるコンピューターなどを駆使して解析検討してみて
も非常に複雑煩瑣なこととなり、それなりに誤差介入の
可能性も高くなって精度的にも措信し得ない。
そこで本発明者等は更に検討を重ね、同じくフロー試
験結果とW/Cの関係を検討するに当り、実際のフロー現
像はフローテーブル上において面積を以て展開される事
実を考慮しフロー面積を採用して水セメント比(W/C)
との関係を検討した結果、解析に好ましい結果の得られ
ることを確認した。即ちフロー面積(SFl)はフロー試
験時における展開物の長径と短経によって求められるも
のであるが、一般式としては次のVI式のようになる。
然して上記した第3図のような結果の得られている厚
木砕砂を用いたフロー試験に関して、これを上記したよ
うなフロー面積(SFl)をフロー値(Fl)に代えて採用
し、図表として示したのが第4図であって、S/Cが0,1,
3,6の何れの場合においても整然とした直線として図表
上整理されるものであることを確認し、即ち上記VI式の
如くS/Cを一定としてW/Cを変化させたときのフロー値の
2重に比例していることを確認した。勿論このようなこ
とは代表的に厚木砕砂に関して示したけれどもその他
の細粒材〜においても同様である。
なおこの第4図のような結果は更にS/Cが種々に変化
した条件においてもこの図表による結果から容易且つ的
確にSFlとW/Cの関係を求めることができる。即ちSFl(c
m2)とW/C(%)の関係は、S/Cを関数とする直線関係に
なり、一般式としては次のVII式による直線式となる。
SFl=−A+BS/C ……VII 更にこのことについて詳述すると、上述したようにフ
ロー値(mm)とW/Cの関係は図表上曲線となるものであ
るからS/Cを一定としたある混合物についてその曲率
(ないし曲線)を決定するには第3図において示すよう
に同じS/Cだけに関して少なくとも4つ以上の試料を準
備しそれぞれ試験測定して結果をプロットしなければな
らない。しかもS/Cが異なったならばどのようになるか
も軽々に予測できないので著しく大量の試料について夫
々試験測定しなければ当該混合物の様相を把握できず、
その煩雑さは明白で、実際上は的確な予測をなし得な
い。ところが上記した第4図のように直線となるのであ
れば2つの測定値をプロットするだけで、ある第1のS/
Cの場合の直線が決定され、又それとS/Cを異にしたもう
1つの第2のS/Cによる試料によってW/Cを変え同じく2
つの測定値をプロットして得られる第2の直線を得たな
らば、第1のS/C値と第2のS/C値との関係から前記VII
式によりS/Cを関数として計算するとどのようなS/Cの場
合においてもそのSFlとW/Cを求め得ることとなり、結局
4点のプロットが得られることで全般の様相が解明さ
れ、予測し得ることとなる。つまり4点程度の測定でこ
のような混合物におけるSFlとW/Cの全容を把握解明して
適宜に決定し得ることは従来のこの種分野の技術観念か
らして頗る大きい改革であり、その意義ないし効果は著
しく大きい。
具体的に次の第11表に示すように、S/Cを1、3と
し、W/Cを夫々変化させたモルタルについてFl値を測定
し、SFlを算出したものを前記VII式により計算すると、
SFl=−A+B S/Cにおいて実験常数は次のようにな
る。
A=438.9e0.031 S/C B=20.9−8.4log e S/C 上記のようなA、Bを計算すると第5図のように任意
のS/CとW/C・SFlの関係が得られ、該モルタルの配合と
流動性の関係をそれ以上に試験を繰返すことなく簡易に
予測することができ、的確な解明をなし得る。
又前記した第11表のような4点の試験用モルタルは細
骨材の相対保有水率(β)試験を行なうに当って作成し
たモルタルを利用することが可能であり、このようにす
れば試料の作成が合理化できる。
上記した直線関係は粒状材の比表面積(Sm)と微砂量
(MSV)を関数とした回帰式により同様に求めることが
できる。即ちこのような細粒材におけるフロー面積(SF
l)とW/Cの関係を複合混練とした君津産山砂によるモ
ルタルを例とすると後に示すように次のVIII式の関係と
なる。
SFl=−A+B・(W−β・S)/C ……VIII 然してこのVIII式により比表面積SmとMSVを関数とし
て計算した結果と、実測との関係を比較すると、A項、
B項は下記の関係となり、理論式と実測式とがほぼ一致
する。
論理式 実測式 A=279.0e0.104・S/C A=291.6e0.126・S/C B=20.6−5.33・logs/c B=18.7−5.28・logs/c 従って砂のような細粒材のβ、Sm、MSVが実測される
ことにより、該細粒材によるモルタルのフローと(W−
β・S)/Cとの関係が予測され、その時の与えられたS/
Cから配合関係が予測決定できる。
第6図には前記した厚木砕砂と普通ポルトランドセ
メントを用いた場合についての第1図と同様なモルタル
の理論配合関係を示したが、フロー値100mm(フロー測
定の限界値)におけるペーストのW/CをαFとすると、
このαFは前記した第4図におけるペーストの直線(○
の測定点)とFl=100mmの1点鎖線との交点であり、具
体的にはW/Cが19%である。又αは普通ポルトランドセ
メントに加水混練した場合のトルク最大点のW/Cであっ
て前記第5〜7表におけるペースト(S/C=0)のW/C
で、この場合には略25%である。更にこの細粒材につ
いての吸着水率β=2.71(前記第8表における参照)
は遠心力試験の結果、βが安定化した大きさの遠心力で
あって、約100〜500G又はそれ以上の遠心力を作用させ
た値である。然してβFは使用ミキサーのミキシングエ
ネルギーを遠心力に換えた値で、この場合βF≒1.8、
β=4.88であり、遠心力で20〜30Gに相当する。
前記した第4図の混合物について等フロー値(Fl)が
100mmから250mmの測定点は白丸を以て示す如くであり、
Fl=100mmのΣ点を前記したα=19%、β=4.88%とし
たもので、これは本発明者等の開発した複合混練(ダブ
ルミキシング:Sand enveloped with cement法)モルタ
ルにおける最適W1/C(最適1次混練水率)であって、下
記IX式となる。
W1/C=19+4.88S/C ……IX このような最適W1/Cにより1次混練したモルタルに、
次いで2次水を投入し、目的のフロー値(例えば150m
m)をもったモルタルを得るには第5図においてW/C軸に
平行な(150mm)の等フロー線における各S/Cの配合を求
めた値の差に相当した水を添加混合すればよい。第6図
におけるソリッドの正方形測定点(■)は、α=25%、
β=2.71の厚木砕砂を使用したモルタルの最密充填S/C
=1.3.6のモルタルにおける1000−WWを求めたもので、
次のX、XI式の通りであり、αは前記した如くペースト
の混合トルクの最大点である。
Σ=1000−WWCV+SV+α・C・S ……X W1=Σ−(CV+SV)=α・C+β・S ……XI 上記XI式の両項をCで除去すると、 W1/C=α+βS/C=25+2.71S/C が得られ、以上これが複合混練(SEC)モルタルにおけ
る最適W1/Cの求め方は上記何れの方法でもよいが、第6
図により所定のフロー値を得る場合にはα・Fを使用し
なければならない。又αを使用する場合はαF、βFを
換算して使用する必要がある。
第7図には上記した第4図のようなSFl(フロー面
積)とW/Cの関係について既述したように本発明者等に
より提案された複合混練(SEC工法)による場合と普通
混練による場合が共に示されており、その精度(r)
は、何れにしても0.98以上の高いものである。又同一ま
たは略同じW/C値をもつ混合物であってもその流動性(S
Fl)は複合混練による白抜き測定点によるものが常に高
い値を示し、その程度も一目瞭然である。なおこの場合
混練によるモルタルを用いたものが強度その他の特性に
関してもこの第7図に示されたところと同じに優れてい
ることが確認されている。
然してこの第7図に示されたような関係は第5図に示
し、上記したようなVII式による直線式として適宜に展
開し、4点以上の測定点を求めることで簡易に解明され
得ることは既述の如くで、何れの混練物(混合物)に関
してもその特性を予測決定し、配合条件を求め得る。
第8図においては前記したような厚木砕砂と君津山
砂を用い、これに普通ポルトランドセメントを添加混
合したモルタル(オープンの測定点)および厚木砕砂
にフライアッシュを添加混合したモルタル(ソリッドの
測定点)について、それぞれ各細粒材の粒度分布を
調整し(各元砂における比表面積Smは第8表に示したよ
うにが53.5cm2/g、が42.2cm2/g)、遠心力Gを作用
せしめβの遠心力増加によっても残存水量の低下しない
安定化した脱水処理を行なった結果を要約して比表面積
(Sm)と残存した相対保有水率βとの関係の直角座標に
より示したが、何れの混合物においてもSmの増大に伴い
増加するβの増加が、この図表上において略正確な直線
を形成することが確認された。なおこの第8図において
は上記のようにして得られる直線をそのまま延長し、比
表面積Smの零軸との交点を夫々の測定点に括弧を附して
示したが、このような比表面積零軸の交点におけるβ値
は当該細粒材の比表面積Smとは関係なしに得られる
値であって、これをそれら細粒材における真の吸水値Q0
と理解することができる。然してこの真の吸水率Q0から
横軸に平行に引かれた直線に対して上記のようにSmの増
加に伴い増加するβ値の描く直線のなす角度θは各細粒
材または粉体の如何により差があり、tanθはそれら細
粒材における固有の表面吸着水率である。
ところでこの第8図のような結果について考察してみ
ると、上記した細骨材についてのJIS規定による吸
水率Qはそれぞれ1.61%および1.33%であることは既述
第8表の如くであり、このJIS吸水率Q値よりも本発明
による真の吸水率Q0値は明らかに異なっていると共に高
い値を示しているが、そのQとQ0の差は細粒材によって
相違し、のものよりのものの方が大きい差を示して
いる。これは天然に得られた細粒材の組織の差によるも
のと推定されるが、何れにしても比表面積Smが零の点に
おいて求められる吸水率Q0は、フローコーンによる試料
が崩壊したかどうかによって得られるJIS吸水率Qより
も的確に求め得ることは明らかで、しかもこのような真
の吸水率Q0を用いることにより夫々の混練物における特
性を的確に予測推定し合理的な配合決定がなされる。即
ち比表面積Smと関係のない吸水率βは細粒材の組織内
における水率であって、そうした細粒材を用いて得られ
る混合物の流動性や強度に関係のない水である。従って
このQ0はJIS規定による吸水率の如く骨材体積を変えず
に吸水された水量だけ重量が増加したと看做す表乾比重
の扱いと同様に扱うことができる。これに対し上記のよ
うなtanθによって得られる水率は細粒材の表面におけ
る相対表面吸着水率であって、得られた混合物における
流動性や強度に対し明らかに影響する水であり、細骨材
の比表面積が計測されると、その細骨材の表面吸着水率
はtanθ×Smとなる。従って相対保有水率βは下式のよ
うになる。
β=Q0・tanθ・Sm 上記のように同じく所定以上の脱水処理によっても変
動することのない安定した相対保有水率βであっても更
に上記Q0値を求め、解析して配合計画をなすことにより
的確な予測、設計をなすことが可能となる。
前記した厚木砕砂を用いた普通混練法によるモルタ
ルについて、その水量に関し上記したような細骨材の拘
束水量β・S、第8図に示し前記したような本発明によ
る吸水率Q0および在来から一般的に用いられている単な
る水セメント比(W/C)を用い、そのS/Cを1、3および
6とした各モルタルについて、その流動性(フロー)の
関係を検討した結果は次の第12表に示す如くであって、
単なるW/Cによる場合の変動係数は18.5%であるのに対
し、β・SまたはQ0・Sによるものは12.5あるいは10.6
%と夫々大幅に低下している。
又同じ厚木砕砂を用い、前記したような複合混練法
(細骨材に対し1次水を均等に附着させてからセメント
粉を添加混合し、その後に残部の水を添加して再び混合
し目的の水量による混練物とする)による各種モルタル
を上記第12表の場合と同様にβ・SおよびQ0とW/Cを用
いて流動性を検討した結果は次の第13表の如くである。
即ちこの場合における変動係数はW/Cの場合でも13.0%
であって第12表の場合より相当に低いものであり、β・
SおよびQ0を用いた場合においては4.3%あるいは8.8%
と夫々に変動係数が低下している。
然して前記した第12表と第13表の結果について検討す
ると、普通混練法によるものより複合混練法によるもの
の方が変動係数の少ないことは明らかであるとしても、
β・SとQ0・Sを用いた場合に関しては普通混練法のと
きにはQ0・Sが最も低き変動係数であるのに対し、複合
混練法のときにはβ・Sが4.3%と著しく低い値を示
し、Q0・Sにおいては8.8%と(普通混練よりは低いと
しても)相当に高い。即ち混練法の如何により変動係数
の低い結果の得られるものが異なるわけであり、同様の
関係はその他の細骨材〜を用いた場合においても認
められた。つまり普通混練の場合においてはその混練条
件からして既述したような細骨材の真の吸水率Q0が枢要
な地位を占め大きく影響するものであるのに対し、複合
混練では細骨材の周面に安定なセメントによる被覆が形
成されるものであることから細骨材の周面における拘束
水量の如何が大きく支配するものと認められる。従って
本発明においては混練法の如何により、β・SまたはQ0
・Sの何れかを採用するもので、普通混練および複合混
練による多くのモルタルに関し実際に適用検討した結果
においても全く第12、13表に示す如くであって、普通混
練ではQ0・S、複合混練ではβ・Sを用いて変動の少な
いモルタルを得ることができた。
更に第9図においては上記した厚木砕砂によるモル
タルを用いたコンクリートに関して、そのモルタルのフ
ロー値によるコンクリートの粗骨材間隙率ΨG(その逆
数は粗骨材充填率となることは当然)とスランプ値(S
L:cm)の関係が示してある。即ちこの場合のスランプ値
(SL)は次の一般式XIIによって求められ、ΨGとスラ
ンプ値による直角座標による図表上において直線となる
ことは図示の通りである。
SL=M+0.47・ΨG ……XII M=0.28・Fl−76 砂な粒状スラグ、人工細骨材その他のこれらに準じた
粒状材に対しセメント類、フライアッシュ、粉末スラグ
などの粉体と水その他の液体を用いたモルタルによるコ
ンクリートのような混合物を得るに当り、最適S/a(砂
対粗骨材比)または閉塞性、分離性、経済性等により粗
骨材量を決定し、粗骨材間隙率ΨGが決定されるなら
ば、任意の流動性(スランプ)とW/Cによりコンクリー
トの配合を決定し得ることはこの第9図によって明らか
である。即ち用いられる粗骨材の量および粒度分布の如
きを考慮して最適S/aや閉蓋性、分離性、経済性などか
ら粗骨材量が決定されるならば、この粗骨材量を用いた
コンクリートにおける粗骨材間隙率ΨG(その逆数は水
中充填率となることは当然)が決定され、そうした粗骨
材間隙率ΨGに対する好ましいスランプ値と目的強度か
ら導かれるW/Cによりコンクリートの好ましい配合条件
が合理的且つ的確に決定される。
実際にこのようにして求められた配合条件によりコン
クリートを調整し施工したものの精度は目的とする圧縮
強度に対し0.92〜0.98であって、頗る高精度のものであ
った。
上記したようにして求められる測定ないし決定値によ
り具体的に混合物を調整する設備の1例についての概要
は第10図に示されている。即ちセメント計量ホッパー
1、細骨材計量ホッパー2、粗骨材計量ホッパー3、第
1水計量槽4、第2水計量槽5、減水剤計量槽6からミ
キサー9に夫々材料が供給されるように成っており、こ
れらのホッパー1〜3あるいは計量槽4〜6には貯槽11
〜13および供給源14、15からそれぞれの材料が供給計量
され、これらのホッパー1〜3および計量槽4〜6に附
設されたセンサー1a〜6aからの信号が制御盤7に送られ
るように成っている。又このような制御盤7には設定部
8からの入力により設定値が入力され、例えば表示部17
の下段に表示され、このような設定値に対し上記のよう
に供給計量されて得られる信号が合致することにより貯
槽11〜13または供給源14、15からの供給が停止するよう
に成っている。ミキサー9にはモータ10が設けられてい
て上記ホッパー1〜3または計量槽4〜6からの材料を
受入れて駆動されることにより目的の混合物が調整され
る。
上記した制御盤7における設定入力関係の仔細は別に
第11図に示されている通りであって、上記したような本
発明により、前記した第4図のαF、粒体保有水率α、
セメントの真比重ρ、細骨材の絶乾比重ρ、細骨材
の絶乾単位容積重量ρSD、細骨材の水中単位容積重量ρ
SW、細骨材の相対保有水率β、細骨材の比表面積Sm、細
骨材の限界表面吸着水率βlim、細骨材の本発明による
真の吸水率Q0、粗骨材の絶乾比重ρおよび粗骨材の絶
乾単位容積重量ρGDが前記設定部8において入力され得
ることは明らかで、このような入力は夫々の計量測定機
構から制御盤7に対し直接に結線し入力することができ
る。なお前記した細骨材の限界表面吸着水率βの如きは
セメントなどの粉体を配合したものあるいは細骨材単味
によるものの何れによって求めたものでもよいことは前
記した通りである。斯うした入力による演算ないし決定
をなすための構成として前記した第5図に示したような
各S/CとW/CおよびSFlの関係を設定したS/C関数演算機構
31と、前記ρ、ρSDおよびρSWの力から得られる単位
微粒量MSVと前記Smとの関係で、MSV、Smの関数演算機構
32とが用いられ、これらの機構31、32には夫々係数決定
部31a、32aが接続されている。又これらの係数決定部31
a、32aは複合混練フロー値決定部33および普通混練フロ
ー値決定部34に接続され、更にこれらのフロー値決定部
33、34は判定演算部35に連結されている。複合混練の場
合における1次混練水(W1)については細骨材の相対保
有水率(β)または相対限界表面吸着水率(βlim)の
何れかを利用して決定する。然してこの判定演算部35に
は配合条件としてスランプ値SLと目的強度(σ)から
求められるW/Cと、SL−ΨGの関数演算部36がモルタル
のフロー決定部37を介して接続され、前記SL−ΨGの関
数演算部36は上記ρGDとΨGの設定部38とが連結されて
いる。なお前記ρGDは別に単位粗骨材量決定部39に接続
されると共に上記ΨG設定部38の単位粗骨材量決定部39
に接続されている。
前記判定演算部35は上記のように接続された構成によ
ってS/Cを決定するS/C決定部35′を具備し、該S/C決定
部35′は配合決定部40に接続され、該配合決定部には前
記した単位粗骨材量決定部39および目的強度から求めら
れたW/Cからの信号が入力されていると共に、上記した
ρ、ρおよびρが入力されていて目的とするコン
クリートのm3当り計量設定値が求められ、斯うした計量
設定値は上記した第10図の制御盤7における表示部17の
下段に表示されるように成っている。又上記S/C決定部3
5′は上記αFおよびαとβが入力されている複合混練
のためのW1/C決定部41に接続されており、該W1/C決定部
41は上述した制御盤7に組込まれている。
上記した単位粗骨材量決定部39は既述したような最適
S/aまたは閉塞性、分離性、経済性などにより単位粗骨
材量を決定するもので、上記ρGDまたはΨG38の出力を
受けて配合決定部40に出力するものである。
「発明の効果」 以上説明したような本発明によるときは砂などの細粒
材とセメント類などの粉体および液体による混合物、更
にはこれらに粗骨材のような塊状体を混合したコンクリ
ートの如きを調整するに当り、水中最密状態における単
位容積重量、流動性微粉分量、真の吸水率、水中緩み率
(充填率)、拘束水量その他の新しい多くの要因を解明
し、これら要因を適切に採用して従来技術においては不
可能とされ、結局において試し練りのような工数大で、
しかも的確性に欠けた手法によることなしに有効な配合
計画を決定せしめ、あるいは制御して合理的且つ適切な
混合調整を簡易に得しめるものであるから工業的にその
効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の技術的内容を示すものであって、第1図
は標準粒度のガラス玉と普通ポルトランドセメントを用
いたモルタルの最密充填状態における配合状態図、第2
図は同じく標準粒度ガラス玉についての水中単位容積重
量と絶乾単位容積重量について元砂および0.15mm以下、
0.3mm以下および0.6mm以下をカットして測定した結果を
示す図表、第3図は厚木砕砂モルタルについて普通ポル
トランドセメントを用いたペーストの場合をも含めその
水セメント比(W/C)とフロー値(Fl:mm)との関係を示
した図表、第4図は第3図と同じ厚木砕砂モルタルにつ
いてフロー値に代えフロー面積(SFl)を用いた場合のW
/Cとの関係を示した図表、第5図は厚木砕砂モルタルに
ついて各種S/Cに関しフロー面積およびフロー値とW/Cの
関係を求めた結果についての図表、第6図は厚木砕砂と
普通ポルトランドセメントを用いたモルタルについての
配合状態を解析的に示した図表、第7図は厚木砕砂につ
いてW/Cとフロー面積の関係を重複混練と普通混練(1
回混練)のものを対比して示した図表、第8図は各種混
合砂についての比表面積Smと遠心力438G、30分の脱水処
理後における相対保有水率βの関係を示した図表、第9
図は厚木砕砂モルタルを用いたコンクリートの各種フロ
ー値の場合における粗骨材緩み率ΨGとスランプ値SLと
の関係を示した図表、第10図は本発明による装置の全般
的構成関係の説明図、第11図はその制御盤に関する設定
入力関係の仔細を示した説明図である。 然してこれらの図面において、1はセメント計量ホッパ
ー、2は細骨材計量ホッパー、3は粗骨材計量ホッパ
ー、4は第1水計量槽、5は第2水計量槽、6は減水剤
計量槽、7は制御盤、8は設定部、9はミキサー、10は
モータ、11〜13はそれぞれ貯槽、14、15はそれぞれ供給
源、31はS/C関数演算機構、31aはその係数決定部、32は
MSV、Smの関数演算機構、32aはその係数決定部、33は複
合混練フロー値決定部、34は普通混練フロー値決定部、
35は判定演算、36はSL−ΨGの関数演算部、37はモルタ
ルのフロー決定部、38はΨGの設定部、39は単位粗骨材
量決定部、40はコンクリートの単位容積当り計量設定値
である配合決定部、41はW1/C決定部をそれぞれ示すもの
である。
フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭60−41728(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B28C 7/02 - 7/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】砂や粒状スラグ、人工細骨材その他のこれ
    らに準じた粒状材に対しセメント類、フライアッシュ、
    粉末スラグなどの粉体と水その他の液体を用いたモルタ
    ルまたはコンクリートのような混合物を得るに当り、前
    記粒状材装入面を液面と略一致させた水中条件下で圧密
    充填操作した水中最密状態充填物を準備し、該水中最密
    状態における前記粒状材の水中単位容積重量を求め、該
    水中単位容積重量により前記混合物の調整条件を決定す
    ることを特徴とする砂などの粒状材とセメント類などの
    粉体および液体による混合物の調整法。
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