JP2817837B2 - 統計的干渉計測法を利用した物体のひずみの非接触測定方法及び装置 - Google Patents

統計的干渉計測法を利用した物体のひずみの非接触測定方法及び装置

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JP2817837B2
JP2817837B2 JP6359396A JP6359396A JP2817837B2 JP 2817837 B2 JP2817837 B2 JP 2817837B2 JP 6359396 A JP6359396 A JP 6359396A JP 6359396 A JP6359396 A JP 6359396A JP 2817837 B2 JP2817837 B2 JP 2817837B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物体のひずみの測
定方法、特に光を用い、統計的干渉計測法を利用するこ
とにより、物体のひずみを、非接触で、比較的微小な領
域で精度良く測定を行える測定方法及び装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】物体のひずみを測定する従
来の測定方法として、例えば、機械構造材料等の物体の
ひずみは、電気的ひずみゲージを被測定物体に張り付
け、物体のひずみに伴うひずみゲージの電気抵抗の変化
を計測することにより測定する方法が広く用いられてい
る。
【0003】しかしながらこの方法では、被測定物体へ
のひずみゲージの張り付け方に技術を要する他、表面の
柔らかい物体に対する測定はできない等の課題がある。
【0004】一方、材料の熱膨張係数の測定等における
熱ひずみに関する測定においては、被測定物体をオーブ
ン等に入れて温度を変化させながら測定を行うため、電
気的ひずみゲージの使用は適さない。このため従来、熱
ひずみの測定は、ひずみゲージに代えて、被測定物体の
熱膨張を電気マイクロメータ等を用いて測定する方法等
が行われている。この方法では、被測定物体と共にその
ホルダーが加熱または冷却されるため正確な基準点が得
られないので、熱膨張計数が既知である標準物体を用意
し被測定物体と比較測定することにより相対的な熱膨張
を測定する方法がとられている。
【0005】これらの接触式のひずみ測定法では数ミリ
以下の微小な測定領域で計測を行うことは困難であり、
ある程度大きな試料を必要とする。また、薄いフィルム
状の試料に対してこれらの測定法を適用することも困難
である。
【0006】一方、物体の変位、変形、ひずみを非接触
で測定する方法として、光を用いた干渉法があるが、従
来の干渉法は確定的な波面を用いる技術であり、高精度
化のために精密な光学部品や波面を制御するための変調
素子などが必要となる。
【0007】例えば、現在最も高精度な干渉計測が可能
とされているヘテロダイン干渉計の例では、光源として
ゼーマンレーザあるいは超音波光変調器、検出装置とし
てロックインアンプなど複雑かつ高価な装置が必要とな
る。
【0008】また、確定的な波面を用いる干渉法を、光
の波長に比べて非常に粗い表面を有する物体に適用しよ
うとすると、レーザースペックルと呼ばれるランダムな
斑点模様が生じ、このレーザースペックルパターンは、
このような干渉法では計測精度を低下させるための有害
なノイズとして、その発生を抑制しなければならない。
従って、この干渉法では、粗面物体の計測には適用がで
きず、被測定物体の表面を鏡面状に加工する必要がある
ため、そのための時間及びコストが大きな問題である。
【0009】また、粗面物体に対して適用可能な干渉計
測法として、レーザースペックル干渉法あるいは電子的
スペックルパターン干渉法(ESPI)が知られてい
る。しかし、この技術は通常、物体の2次元的な変位・
変形分布を計測する際に有効に用いられているが、スペ
ックルパターンが本来持つ斑点状のランダムなノイズに
より物体上の各点における計測精度は高くない。
【0010】そこで本発明者は、従来の干渉計測法とは
発想を完全に逆転し、確定的な波面を用いるのではな
く、スペックル場の完全なランダムさを積極的に利用し
て計測を行う統計的干渉計測法を提案してきた。この方
法は、十分に発達したスペックル場の各点の位相値が−
π〜πの範囲で一様に分布する性質を、統計的な意味に
おいて位相決定の基準とする新しい干渉計測法である。
この方法は、確定的な波面を用い、高精度化のためには
精密に波面をコントロールすることが必要な従来の干渉
法とは異なり、スペックル場のランダムな波面が本質的
な役割を果たすものであるため、用いられる光学素子等
に高い面精度が要求されず、計測精度は単に用いられる
スペックルデータ点数のみに依存するという特徴を有す
るものであり、これまでに、物体の面内や面外変位を高
精度に計測可能であることを示してきた。尚、統計的干
渉計測法については、 [1] H. Kadono and S. Toyooka, "Statistical inte
rferometry based onthe statistics of speckle phas
e," Opt. Let., Vol.16, pp.883-885(1991). [2]門野博史、豊岡了、“統計的干渉計測法”,第7
回光波センシング技術研究会講演論文集,pp.103-109(1
991). [3]門野博史, 武井広志, 豊岡了、“スペックル位相
に基づく統計的干渉計測法,“第38回応用物理学関係
連合講演会講演予稿集,pp.835(1991). [4]門野博史、豊岡了、“統計的干渉計測法による高
精度変位計測,”光技術コンタクト,Vol.35, pp.249-2
55(1994). [5]谷田貝豊彦,“応用光学光計測入門,”pp.110-1
11. 等を参照のこと。
【0011】本発明は、以上の点に鑑みて創案されたも
のであり、即ち、上述した統計的干渉計測法を合理的に
適用することにより、上述した従来の課題を解決するひ
ずみ測定方法及び装置を提供することを目的とするもの
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明では、コヒーレント光源からの光を2つ
の平行な光束に分けて被測定物体上の2点に垂直に照射
することにより独立した2つのスペックル場を生じさせ
て干渉させ、このスペックル場を撮像素子に入力して統
計的干渉計測法により位相解析を行い、被測定物体上の
2点の相対的変位に対応する位相変化を求めてひずみを
算出する統計的干渉計測法を利用した物体のひずみの非
接触測定方法を提案するものである。
【0013】以上の方法において、本発明では、統計的
干渉計測法による位相解析は、2つのスペックル場の少
なくとも3つの干渉パターンにつき行うことを提案す
る。
【0014】また本発明では、光源からの光を被測定物
体に導く照明光学系と、物体から生じたスペックル場を
撮像素子に入力する撮像系と、撮像素子により入力され
たスペックル画像を統計的干渉計測法に基づいて位相解
析する演算処理系とから成り、照明光学系は、光源から
の光を2つの平行な光束に分けて被測定物体の2点を照
射する構成とした統計的干渉計測法を利用した物体のひ
ずみの非接触測定装置を提案する。
【0015】以上の構成において、光源からの光を2つ
の平行な光束に分ける光学系は、例えば、ウォラストン
プリズムと凸レンズ、グレーティングと凸レンズ、ケス
タープリズム又はビームスプリッターと光軸を傾斜させ
たミラーにより構成する等、適宜に構成することができ
る。
【0016】以上の方法においては、被測定物体上の2
点が相対的にΔx変化すると、干渉する2光波間の位相
差は、 Ψ=(2π/λ)Δxsinθ だけ変化し、こ
の位相差は、後述するように統計的干渉計測法を利用し
て求めることができ、従ってΔxを求めることができ
る。
【0017】被測定物体の面内、面外の並進運動では2
点間に相対変化が起らないので測定には影響されず、従
って、非常に単純な光学系で、各種の物体のひずみを非
接触、高精度に測定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に本発明を、実施の形態と共に
詳細に説明する。図1は本発明を適用した物体のひずみ
測定系の実施の形態の一例を示すものであり、この測定
系は、被測定物体としての紙の、引っ張りによる2点間
の微小な面内ひずみを測定するものであり、図中、統計
的干渉計測法と記した右側の部分が本発明に対応し、左
側の部分は、従来のヘテロダイン干渉法の測定系を示す
ものである。
【0019】本発明に対応する測定系は、光源からの光
を被測定物体に導く照明光学系と、物体から生じたスペ
ックル場を撮像素子に入力する撮像系と、撮像素子によ
り入力されたスペックル画像を統計的干渉計測法に基づ
いて位相解析する演算処理系とから構成している。即
ち、照明光学系において、コヒーレント光源としてのHe
-Neレーザ1から出射した光は、ミラー2を経てウォラ
ストンプリズム3に入射し、このウォラストンプリズム
3により、2つの直交する直線偏光光束L1,L2に分け
られ、次いで凸レンズ4で互いに平行にされた後、試料
上の2点を照射する。
【0020】図1の照明光学系では、光源からの光を2
つの平行な光束に分ける光学系は、ウォラストンプリズ
ム3と凸レンズ4により構成しているが、この他、図1
0に示すようにグレーティングと凸レンズで構成した
り、図11に示すようにケスタープリズムで構成した
り、又は図12に示すようにビームスプリッターと光軸
を傾斜させたミラーにより構成する等、適宜に構成する
ことができる。
【0021】被測定物体としての紙5は片側を固定端と
しており、他端はPZT6により変位可能なホルダ7に固
定されている。これにより、任意のひずみを紙5に与え
ることができる。
【0022】紙5表面は光学的に十分粗いため、上述し
たように紙5の2点の夫々に入射した光束により、夫々
独立して十分発達したスペックル場が発生し、これらは
互いに重ね合わされランダムな干渉パターンが生じる。
【0023】撮像系の撮像素子であるCCDカメラ8は、
紙5の法線から角度θ方向に位置させ、紙5とCCDカメ
ラ8間には偏光板9を設置しており、CCDカメラ8によ
り偏光板9を通して検出した干渉画像を演算処理系とし
てのコンピュータ10に取り込みフレームメモリー上に
随時記録する。このようにして演算処理系に取り込ん
だ、紙5の面内ひずみに対する複数の干渉画像のデータ
から上述した統計的干渉計測法を用いて、紙5のひずみ
に対応する未知の位相を求める。尚、上記偏光板9は、
光源からの光を2つの平行な光束に分ける光学系として
ウォラストンプリズム3を利用する場合等に必要なもの
であって、必ずしも必須の要素ではない。
【0024】図2は本発明の2光束によるひずみ計測の
原理を概念的に示すもので、図に示すように、被測定物
体としての紙5の2点が相対的にΔxだけ変化すると、
干渉する2光波間の位相差は、 Ψ=(2π/λ)Δx sinθ (1) だけ変化する。尚、λは光の波長である。
【0025】上述したとおり、本発明では、紙5の2点
に、平行な光束を垂直に入射させているため、紙5の面
外、面内方向の並進運動では2点間に相対変化が起ら
ず、従って測定に影響を及ぼさない。この点により測定
系の簡素化、低価格化を計れ、実用上有益である。
【0026】図1に示す測定系では、本発明の方法を適
用した測定精度を検討するために、光による測定方法に
おいて、最も計測精度が高いとされているヘテロダイン
干渉法でも同時に紙5のひずみに対応する変位を測定す
るように構成している。
【0027】即ち、図1のヘテロダイン干渉計と記した
左側の光学系がヘテロダイン干渉法の測定系(光学系)
である。上述したとおり、ヘテロダイン干渉法では、紙
5の全引っ張り量を測定しそれを2点間の距離に換算し
て、本発明の方法で測定した値と比較する。尚、ヘテロ
ダイン干渉計の動作は周知であるので、説明は省略す
る。
【0028】次に統計的干渉計測法の原理を説明する。
図3で示されたコンピュ−タ内のフレームメモリに随時
記録された複数の干渉画像から任意の3つの干渉画像の
組み合せについて考える。図4の下段のフェ−ザ図にお
いて、粗面物体変位(ひずみ)の最初(t=t0)と最
後(t=tn)の状態をstep1、step3とし、このとき
得られる干渉強度パターンを画像I1(X)、I3(X)と
する。また、物体変位(ひずみ)の最初の状態から時刻
t=tk経過したときの変位(ひずみ)状態をstep2と
して、この時間的な位相変化に対する干渉強度パターン
を干渉画像I2(X)とする。3つの画像の選択は任意で
あるが、ここでは、物体変位(ひずみ)の最初と最後の
状態に対する画像I1(X)、I3(X)を基準画像として
固定し、時間的な位相変化に対する干渉画像I2を随時
取出、この3つの強度画像間の物体変位(ひずみ)を統
計的手法を用いて決定する。そして、時刻t=tkに対
する物体変位の位相項が実軸に乗るように回転させた座
標系を考える。このような座標系において、step1、st
ep3の位相を、ψ1、ψ3とおく。次に、図4に示すフェ
−ザ図のように式的な取扱いを簡単に住めために成分分
解を行う。step1、step3の未知の位相量ψ1、ψ3に対
して、任意の対称な仮想的な位相量−ψ、ψを設定し、
これからの差を対称位相量Δψs、反対称位相量Δψaの
2つの位相量に分けると、各位相量は、
【数1】 となる。(7)〜(9)式から分かるように未知の位相
量ψ1、ψ3は、対称位相量Δψs、反対称位相量Δψaの
2つの位相量を決定することに帰着できる。その決定方
法として、以下に示すようにスペックル位相の確率密度
分布を用いる。
【0029】平均面を中心とする微視的な凹凸の標準偏
差即ち、表面粗さがレ−ザ光の波長に比べて十分に粗い
表面を持つ物体にレ−ザ光を照射して得られる十分に発
達したスペックル場でのスペックル位相φの確率密度分
布Pφ(φ)は、−π〜πの範囲で一様に分布すること
が知られている。つまり、
【数2】 となる。この統計的性質な粗面の表面粗さ、光学素子の
面精度や光学系のパラメータとは無関係に非常に安定し
た性質であることが知られている。従って、この性質を
非常に精度の高い位相決定の基準として用いることがで
きる。
【0030】図4で述べた座標変換と成分分解を行った
ことにより、任意に選択された3つの干渉画像I1
(X)、I2(X)、I3(X)は、
【数3】 となる。ここで、I0は平均強度、αはビジビリティ、
φはランダムなスペックル位相である。(11)〜(1
3)式から分かるように、空間上のある点xで、5つの
未知数(I0、α、φ、ψ1、ψ3)に対して3つの方程
式しか与えられていないため、未知の位相量ψ1、ψ3に
対して連立方程式を解くことはできない。そこで、ラン
ダムなスペックル位相φに着目して−ψ1=ψ3=ψと仮
定することができれば、3つの未知数(I0、α、φ)
に対して3つの方程式となるので、スペックル位相φは
次式のように決定することができる。
【数4】 しかし、このような仮定は一般には成り立たず、仮想位
相ψからの偏差を表す2つの位相量Δψs、Δψaにより
(11)〜(13)式を(16)式に強制的に代入して
仮定に反した条件でスペックル位相を求めても、真のス
ペックル位相φとは異なる見かけ上のスペックル位相
φ′が算出される。しかしこのようにして計算された見
かけ上のスペックル位相の確率密度分布を求めること
で、2つの位相量(Δψs、Δψa)の影響を顕著に表す
ことができる。十分に発達したスペックル場では、真の
スペックル位相の確率密度分布は(10)式から分かる
ように−π〜πの範囲で一様に分布している。しかし、
(11)〜(13)式で表せる任意に選択した3つの干
渉画像を(16)式に代入して計算された見かけ上のス
ペックル位相の確率密度関数Pφ′(φ′)は、確立変
数φからφ′への変換として、
【数5】 となる。ここで、
【数6】 である。図5に(17)、(18)〜(21)より得ら
れた (a)…Δψs=λ/100 (b)…Δψa=λ/50
に対する見かけ上のスペックル位相の確率密度分布の理
論計算結果を示している。図5により反対称位相量Δψ
a、対称位相量Δψsの影響は、本来一様になるべきスペ
ックル位相の確率密度分布に対して、夫々cos2φ′、s
in2φ′で与えられる成分を持つ不均一な分布として顕
著に表れることが分かる。その影響はλ/100(λは
光の波長)の比較的小さな変位量に対しても明確に表れ
ることが分かる。ここで、次の3つの量T,U,Vを導
入する。
【数7】 これらの量を用いると対称位相量Δψs、反対称位相量
Δψaは、
【数8】 となる。ここで
【数9】 である。
【0031】成分分解で用いた対称な仮想位相量ψは既
知であり、対称位相量Δψs、反対称位相量Δψaは(2
6)と(27)式より求められる。従って、最初の状態
から時刻t=tkでの時間的な物体変位は Ψ1=−Ψ−ΔΨs+ΔΨa (31) として決定される。このように本発明が適用する統計的
干渉計測法は、スペックル位相の完全なランダムさを位
相決定の基準にしている。このことは粗面の表面粗さ、
光学素子の面精度とは無関係な非常に安定した特性であ
る。また、統計的な手法であることから、精度は確率密
度分布を計算するときに用いられるデータサンプリング
の数のみに依存する。
【0032】
【実施例】
実施例…1 図1に示した光学系を用いて紙5の面内ひずみ測定を行
った。本実施例では2つの光束を照射する2点間の距離
は3mmとした。また、上述したとおり本発明による測定
精度を検討するために、マイケルソンタイプのヘテロダ
イン干渉計を組み込み、紙全体の引っ張り量を同時に測
定する。図4に紙の面内引っ張りひずみの測定結果を示
す。横軸は同時に測定したヘテロダイン干渉法の測定値
を示し、縦軸は統計的干渉計測法による測定値である。
両測定値は非常によく一致していることが分かる。PZT
による2点間の変形量139nmに対し、2つ方法による測
定差は約λ/250程度(ひずみ量:0.8×10‐6スト
レイン)であり、高い精度が得られることを確認した。
このことから、統計的干渉計測法により2点間の面内ひ
ずみが高精度に測定できることが確かめられた。
【0033】実施例…2 次に、本発明により、物体の熱ひずみ測定を行った。図
5に測定系を示す。測定系は基本的には図1に示す紙の
引っ張りひずみ測定の光学系と同じであり、被測定物体
の2点間における微小な面内の熱ひずみを測定する。こ
こでは、被測定物体の温度制御を行うためにペルチエ素
子を被測定物体の裏面にマウントする。実際の温度測定
は、試料の表面及び裏面に取り付けられた熱伝対によっ
て測定する。本実験では照射2点間の距離を1.3mmとし
た。被測定物体にはテフロンを用いる。この物体は、20
℃付近に転移点をもつことが知られている。
【0034】図6にテフロンの冷却時に得られた測定結
果、図7に加熱時の測定結果を示す。横軸はテフロンの
測定温度を示し、縦軸は本発明による測定値である。こ
の図から分かるように、冷却した場合では21℃付近に、
加熱した場合では19℃付近から22℃付近にかけてはっき
りと傾きが変わっている。線膨張係数を算出したところ
加熱時では16〜19℃では0.69(10-4/℃),19〜22℃では1.
83(10-4/℃),22〜28℃では(10-4/℃)となり、16〜19℃
での標準偏差は0.03(10-4/℃)となった。
【0035】以上説明した本発明では、次のような特徴
がある。まず、全体的には、 (1)スペックル場のランダムさが本質的な役割を果た
すため、用いる光学素子に高い面精度が要求されない、 (2)試料表面は粗面のままでよい。 (3)計測精度は単に確率密度を計算するために用いる
スペックル強度のデータ点数のみに依存する。数万点の
強度データよりλ/1000の計測精度が得られる。そ
して、数万点の強度データは、高集積度のCCD素子によ
り、容易に得ることができる。 (4)非常に単純な光学系により面内、面外、ひずみな
どの干渉計側が行える。 また、ひずみの測定に関しては、 (1)従来は、ひずみをひずみゲージを用いて測定して
いたが、本方法では光を用いることにより非接触で行う
ことができる。したがって、ひずみゲージを張り付ける
ことのできない柔らかな物体についても測定可能であ
る。 (2)試料上の微小領域の測定が可能である。測定領域
の大きさは2つの照射光の距離で決まるが、1mm以下
にすることが可能である。 (3)高感度である。基礎実験により1×10−6スト
レインの精度を確認した。 (4)従来の干渉光学系に比べて光学系が単純である。
また熱ひずみ測定に関しては (5)従来、被検試料と熱ひずみ量が既知である標準物
体を参照物体として熱による物体変位を比較測定してい
たが、本方法では試料上の2点間のひずみを直接測定す
ることが可能である。 (6)これは、光学系の特性上試料の面内・面外の並進
に感度を持たないことによる。
【0036】
【発明の効果】本方法では、被測定物体を2つのレーザ
ービームで照射し、物体より生じた物体ひずみに対応す
るる2つのスペックル場のランダムな干渉パターンを撮
像素子を介して取り込んで統計的な手法で解析すること
により、非常に単純な光学系で物体のひずみを非接触、
高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した物体のひずみ測定系の実施
の形態の一例を示すものである。
【図2】 本発明の2光束によるひずみ計測の原理を概
念的に示すものである。
【図3】 3つの干渉画像の選択方法と物体位相の座標
変換を示す説明図である。
【図4】 物体位相の成分分解を示す説明図である。
【図5】 スペックル位相の確率密度分布に対するΔΨ
sとΔΨaの影響を示す説明図である。
【図6】 紙の面内ひずみの測定結果の一例を示すもの
である。
【図7】 本発明を適用した物体の熱ひずみ測定系の実
施の形態の一例を示すものである。
【図8】 テフロン冷却時の測定結果を示すものであ
る。
【図9】 テフロン加熱時の測定結果を示すものであ
る。
【図10】 光を平行な2光束に分ける他の例を示す説
明図である。
【図11】 光を平行な2光束に分ける他の例を示す説
明図である。
【図12】 光を平行な2光束に分ける他の例を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 He-Neレ−ザー(コヒ−レント光源) 2 ミラー 3 ウォラストンプリズム 4 凸レンズ 5 紙 6 PZT 7 ホルダ 8 CCDカメラ 9 偏光板 10 コンピュータ

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コヒーレント光源からの光を2つの平行
    な光束に分けて被測定物体上の2点に垂直に照射するこ
    とにより独立した2つのスペックル場を生じさせて干渉
    させ、このスペックル場を撮像素子に入力して統計的干
    渉計測法により位相解析を行い、被測定物体上の2点の
    相対的変位に対応する位相変化を求めてひずみを算出す
    ることを特徴とする統計的干渉計測法を利用した物体の
    ひずみの非接触測定方法
  2. 【請求項2】 統計的干渉計測法による位相解析は、2
    つのスペックル場の少なくとも3つの干渉パターンにつ
    き行うことを特徴とする請求項1記載の統計的干渉計測
    法を利用した物体のひずみの非接触測定方法
  3. 【請求項3】 光源からの光を被測定物体に導く照明光
    学系と、物体から生じたスペックル場を撮像素子に入力
    する撮像系と、撮像素子により入力されたスペックル画
    像を統計的干渉計測法に基づいて位相解析する演算処理
    系とから成り、照明光学系は、光源からの光を2つの平
    行な光束に分けて被測定物体の2点を照射する構成とし
    たことを特徴とする統計的干渉計測法を利用した物体の
    ひずみの非接触測定装置
  4. 【請求項4】 光源からの光を2つの平行な光束に分け
    る光学系は、ウォラストンプリズムと凸レンズにより構
    成したことを特徴とする請求項3記載の統計的干渉計測
    法を利用した物体のひずみの非接触測定方法
  5. 【請求項5】 光源からの光を2つの平行な光束に分け
    る光学系は、グレーティングと凸レンズにより構成した
    ことを特徴とする請求項3記載の統計的干渉計測法を利
    用した物体のひずみの非接触測定方法
  6. 【請求項6】 光源からの光を2つの平行な光束に分け
    る光学系は、ケスタープリズムにより構成したことを特
    徴とする請求項3記載の統計的干渉計測法を利用した物
    体のひずみの非接触測定方法
  7. 【請求項7】 光源からの光を2つの平行な光束に分け
    る光学系は、ビームスプリッターと光軸を傾斜させたミ
    ラーにより構成したことを特徴とする請求項3記載の統
    計的干渉計測法を利用した物体のひずみの非接触測定方
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