JP2807934B2 - 空気調和機 - Google Patents

空気調和機

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JP2807934B2
JP2807934B2 JP3241485A JP24148591A JP2807934B2 JP 2807934 B2 JP2807934 B2 JP 2807934B2 JP 3241485 A JP3241485 A JP 3241485A JP 24148591 A JP24148591 A JP 24148591A JP 2807934 B2 JP2807934 B2 JP 2807934B2
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猛 中越
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    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
    • F25B2600/00Control issues
    • F25B2600/21Refrigerant outlet evaporator temperature

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  • Air Conditioning Control Device (AREA)
  • Devices For Blowing Cold Air, Devices For Blowing Warm Air, And Means For Preventing Water Condensation In Air Conditioning Units (AREA)
  • Compression-Type Refrigeration Machines With Reversible Cycles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、強制対流に加えて輻
射による熱移動を利用した空気調和機に関し、特に、空
気調和機の輻射パネルを通過する冷媒の過熱度を膨張弁
によって制御する空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、空気調和機に関する快適性の要求
は非常に高まっている。快適性とはたとえば、運転中の
騒音を低くすること、室内の温度を均一にすること、運
転中に風をできるだけ弱くすること、衛生的にするこ
と、自動運転を可能とすることなどである。快適性を高
める1つの手段として、冷暖房に赤外線を放射する機能
をもった輻射パネルの使用が注目されている。本願明細
書を通じて、「輻射」とは、赤外線を放射することをい
うものとする。輻射を利用する効果の代表的なものとし
て、以下のものがある。
【0003】(1) 輻射は、空気の流れ(強制対流)
を必要としないので、運転時に騒音が発生しない。
【0004】(2) 輻射は、空気の流れを必要としな
い。そのため、運転時の風による不快感がない。
【0005】(3) 輻射は、空気を透過して直接物体
に作用し過熱または冷却を行なう。そのため空気調和機
の運転の立ち上り時など、室内温度が設定値に達してい
ない場合にも冷暖房効果がある。
【0006】(4) 室内空気温度が同一の場合、輻射
パネル暖房では、対流のみによる暖房よりも輻射がある
分温かく感じられ、輻射パネルを用いた冷房の場合にも
同様により涼しく感じられる。言葉を変えると、輻射パ
ネルを用いることにより、同じ快適環境を得るときの室
内空気温度を、強制対流のみによる場合よりも暖房では
低く、冷房では高く設定することができる。したがって
エネルギ消費を節約することができる。
【0007】強制対流と輻射とによる熱移動を利用した
空気調和機においては、特に冷房運転時、輻射パネル表
面に結露が発生するおそれがある。そのため冷房運転と
同時に除湿運転を行ない、かつ露点温度と輻射パネル表
面温度とを計測して、輻射パネル表面温度が露点温度を
下回らないように制御する必要がある。
【0008】従来から用いられる冷媒のR22やR12
を直接輻射パネルで蒸発させる方式は直膨式と呼ばれ
る。直膨式冷凍サイクルにおいては、除湿と強制対流冷
房とのためには、冷媒蒸発温度を0℃〜10℃とするこ
とが必要である。一方で、輻射パネルによる輻射冷房の
ためには、冷媒蒸発温度を15℃〜25℃とする必要が
ある。しかし、直膨式冷凍サイクルでは、この2つの冷
媒蒸発温度を両立させ、運転制御するのは非常に困難で
あった。そのため従来は、輻射パネルの温度制御が比較
的簡単にできるブラインを熱媒体として用いる例が多か
った。
【0009】強制対流と輻射とによる伝熱を利用した、
ブラインを用いた従来の空気調和機を図11に示す。図
11を参照して、従来の空気調和機1bは、管路7より
なる循環路内を熱媒体としての冷媒が流通する室外側の
冷凍サイクル40と、ブライン管27よりなる循環路内
を熱媒体としてのブラインが流通する室内側のブライン
サイクル41とを含む。
【0010】室外側の冷凍サイクル40は、管路7内に
設けられた圧縮機2と、圧縮機2から吐出された高温高
圧の冷媒を、外気との熱交換により凝縮液化させるため
の凝縮器3と送風機18と、凝縮器3から管路7を流通
してくる液化された冷媒を減圧し、低圧の気液2相状態
とするための膨張弁28と、低圧の気液2相状態となっ
た冷媒に、上述のブラインサイクル41との間で熱交換
を行なわせるための冷媒・ブライン熱交換器29とを含
む。冷媒・ブライン熱交換器29の冷媒の出口は、管路
7を介して圧縮機2に連結されている。
【0011】ブラインサイクル41は、ブライン管27
にブラインを供給するためのブライン供給槽33と、前
述の冷媒・ブライン熱交換器29と、輻射パネル8とを
含む。管路27の、冷媒・ブライン熱交換器29の上流
側には、ブライン管27内のブラインを冷媒・ブライン
熱交換器29に送り込むための循環ボンプ31が設けら
れている。ブライン管27は途中2か所で枝分かれし、
輻射パネル8と並列のブライン管27a、27bを形成
している。ブライン管27aには循環ポンプ32が設け
られており、ブライン管27aの他端は三方混合弁30
によってブライン管27に連結されている。ブライン管
27bには、輻射パネル8と並列になるように設けられ
た蒸発器(室内側熱交換器)6が連結されている。蒸発
器6には、熱交換のために蒸発器6に対して空気を送り
込むための送風機19が設けられている。
【0012】図11に示される従来の空気調和機は以下
のように動作する。室外側の冷凍サイクル40におい
て、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒は、凝縮器
3に与えられる。凝縮器3内において、この冷媒は送風
機18により送られる外気との間で熱交換を行なって放
熱することにより凝縮液化する。凝縮液化した冷媒は膨
張弁28に与えられ、膨張弁28で減圧されて低圧の気
液2相状態となる。気液2相状態となった冷媒は、冷媒
・ブライン熱交換器29を通過し、このとき室内側のブ
ラインサイクル41のブラインとの間で熱交換を行な
い、ブラインから吸熱する。冷媒はこの熱により蒸発気
化して低温低圧の蒸気となり、圧縮機2に戻る。室外側
の冷凍サイクル42においては、この動作が繰返され
る。
【0013】室内側のブラインサイクル41において
は、循環ポンプ31から吐出されたブラインは冷媒・ブ
ライン熱交換器29に与えられる。ブラインは、冷媒・
ブライン熱交換器29内で室外側の冷凍サイクル40の
冷媒との間で熱交換し、放熱により冷却される。冷却さ
れたブラインの一部は矢印Cに示されるように三方混合
弁30に、他の一部は矢印Dで示されるように蒸発器6
に供給される。蒸発器6に供給されたブラインは、送風
機19により送り込まれる室内空気との間で熱交換を行
なって強制対流により室内を冷房すると同時に昇温され
る。昇温されたブラインは再び循環ポンプ31に与えら
れる。
【0014】一方、三方混合弁30は、冷媒・ブライン
熱交換器29から供給されるブラインと、循環ポンプ3
2から送り込まれるブラインとを混合して、輻射パネル
8に供給する。輻射パネル8内でブラインは輻射により
熱を吸収して昇温する。昇温されたブラインの一部はブ
ライン管27aから循環ポンプ32に供給され、他の一
部は循環ポンプ31に供給される。
【0015】三方混合弁30には、冷媒・ブライン熱交
換器29から冷却されたブラインが、循環ポンプ32か
ら輻射パネル8によって昇温されたブラインがそれぞれ
供給される。三方混合弁30は、この温度の異なるブラ
インを混合して得られたブライン(矢印E)の温度が、
輻射パネル8の表面に結露を生じない程度となるように
制御される上述の空気調和機1bでは、室内空気の露点
と輻射パネル8との表面温度とが測定され、輻射パネル
8の温度が室内空気の露点以下とならないように三方混
合弁30が制御される。このように輻射パネル8の熱媒
体として相変化のないブラインを用いると、容易に輻射
パネル8の表面温度を制御することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ブラインを熱
媒体として用いる上述の空気調和機には、直膨式のシス
テムと比較して以下のような欠点がある。
【0017】(1) 冷凍サイクルとブラインサイクル
との間に「冷媒・ブライン熱交換器」が必要である。2
つのサイクル間で熱交換を行なう必要があり、エネルギ
効率が悪くイニシャルコストも大きい。
【0018】(2) ブラインサイクル内には、ブライ
ンを循環させるための循環ポンプが少なくとも1台必要
である。このような循環ポンプを必要としない直膨式シ
ステムと比較して消費電力が増大し、エネルギ効率が悪
くイニシャルコストも大きい。
【0019】(3) ブラインサイクルに用いられるブ
ラインの濃度や量の管理、またブラインに含まれる防錆
剤の濃度管理、2〜3年毎のブライン交換などを行なう
必要がある。このような作業は上述の「快適化」に相反
するものである。
【0020】そこで、冷凍サイクルのみを用いて直膨式
の室内熱交換器を採用し、かつ輻射パネル8の結露を防
止するような、輻射パネルを含むシステムを実現する方
法として、たとえば以下のようなものが考えられる。そ
の方法では、圧縮機を2台用意する。1台の圧縮機は室
内の蒸発器に供給される冷媒の圧縮用に用いられる。他
の1台は輻射パネルに送られる冷媒を圧縮するために用
いられる。輻射パネル8用の圧縮機の容量を変化させる
ことにより、輻射パネル8の表面温度を制御することが
できる。しかし、このような方法では、各圧縮機を制御
することが難しく、加えて2台の圧縮機を必要とするた
め製造コストが嵩む。したがってこの方法は現実的では
なく、実用化されていない。
【0021】
【0022】請求項1または6に記載の発明の目的は、
従来装置よりも少ないエネルギ消費で、輻射を利用して
空気調和を実現するとともに、輻射パネルなどの輻射熱
交換手段の表面に結露が生ずるのを防止することであ
る。
【0023】請求項2に記載の発明の目的は、従来装置
よりも少ないエネルギ消費で、輻射を利用して、かつ輻
射パネルなどの輻射熱交換手段の表面に結露が生ずるの
を防止できる空気調和を実現するとともに、空気調和の
制御系の制御精度をより高度にすることである。
【0024】請求項3に記載の発明の目的は、従来装置
よりも少ないエネルギ消費で、輻射パネルなどの輻射熱
交換手段の表面に結露が生ずるのを防止しながら、輻射
を利用してより高度な制御精度で空気調和を実現すると
ともに、制御精度を容易に変更できる空気調和機を提供
することである。
【0025】請求項4に記載の発明の目的は、従来装置
よりも少ないエネルギ消費で、輻射パネルなどの輻射熱
交換手段の表面に結露が生ずるのを防止しながら、輻射
を利用して、より高度に制御でき、かつ容易に変更可能
な制御精度で空気調和を実現するとともに、輻射パネル
数の変化など、構成の変化に応じて制御動作を変化させ
るように容易に制御系を調整することができる空気調和
機を提供することである。
【0026】請求項5に記載の発明の目的は、従来装置
よりも少ないエネルギ消費で、輻射パネルなどの輻射熱
交換手段の表面に結露が生ずるのを防止しながら、輻射
を利用してより高度な制御動作により、かつ容易に変更
可能な制御精度で空気調和を実現し、さらに輻射パネル
数の変化など、構成の変化に対しても制御動作が最適な
なるように簡単な操作で制御系を調整することができる
空気調和機を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の空気調
和機は、冷媒が所定の方向に流通する管路と、この管路
中に所定の方向に沿ってこの順序で連結されて冷凍サイ
クルを構成するための圧縮機と、凝縮器と、第1の膨張
弁と、蒸発器とを含み、さらに、蒸発器と並列に、冷凍
サイクル内に組込まれるように管路に連結され、輻射熱
を吸収して熱交換により冷媒に伝達するための輻射パネ
ルなどの輻射熱交換手段と、輻射熱交換手段と凝縮器と
の間の管路に設けられ、他から与えられる制御信号に応
答して、凝縮器から管路を流通してくる冷媒を断熱膨張
させるとともに制御信号により特定される量だけ輻射熱
交換手段に与えるための第2の膨張弁と、室内温湿度を
検出するための温湿度検出センサなどの室内温湿度検出
手段と、輻射熱交換手段における冷媒の過熱度を検出す
るための温度センサなどからなる過熱度検出手段と、室
内温湿度検出手段と過熱度検出手段との出力に応答し
て、第2の膨張弁の操作量を決定し、制御信号を第2の
膨張弁に与えるための膨張弁操作量決定手段とを含む。
【0028】膨張弁操作量決定手段は、室内温湿度検出
手段の出力に基づいて室内露点温度を算出するための露
点温度算出手段と、室内温湿度検出手段の出力する室内
温度と露点温度算出手段の出力とに基づいて、室内温度
と露点温度との差の、単位時間当たりの変化量を検出す
るための室内温度露点温度差変化量検出手段と、予め定
める目標過熱度と、過熱度検出手段の出力する検出過熱
度との差を検出するための過熱度偏差検出手段と、過熱
度偏差検出手段の出力する過熱度偏差に基づいて、過熱
度偏差の単位時間当たりの変化量を検出するための過熱
度偏差変化量検出手段と、室内温度露点温度差変化量検
出手段と過熱度偏差検出手段と過熱度偏差変化量検出手
段との出力を入力変数として、所定の推論形式に従い推
論を行ない第2の膨張弁の操作量を決定するための推論
手段とを含む。
【0029】請求項2に記載の空気調和機は、請求項1
に記載の空気調和機であって、その推論手段は、室内温
度の露点温度差変化量検出手段と、過熱度偏差検出手段
と、過熱度偏差変化量検出手段との出力を入力変数とし
て、ファジィ推論を行ない第2の膨張弁の操作量を出力
変数として決定するためのファジィ推論手段を含む。
【0030】請求項3に記載の空気調和機は、請求項2
に記載の空気調和機であって、その膨張弁操作量決定手
段はさらに、各入力変数の値にそれぞれ所定の換算係数
を乗ずることによって規格化してファジィ推論手段に与
えるための規格化手段を含む。
【0031】請求項4に記載の空気調和機は、請求項3
に記載の空気調和機であって、その膨張弁操作量決定手
段はさらに、換算係数の値を、冷凍サイクルの被制御系
の条件に応じて変化させるための換算係数変更手段を含
む。
【0032】請求項5に記載の空気調和機は、請求項4
に記載の空気調和機であって、その換算係数変更手段
は、冷凍サイクルの被制御系における輻射熱交換手段の
制御定数を設定するための制御定数設定手段と、輻射熱
交換手段の、予め定める複数個の制御定数の値と、各制
御定数の値に応じてそれぞれ予め一通りに定められる、
各入力変数の換算係数の値との組を格納するための記憶
手段と、制御定数記憶手段に設定された制御定数に対応
した換算係数を記憶手段から読出して規格化手段に与え
るための読出手段とを含む。請求項6に記載の空気調和
器は、冷媒が所定の方向に流通する管路と、この管路中
に、冷媒の流通方向に沿ってこの順序で連結されて冷凍
サイクルを構成するための圧縮器と、凝縮器と、第1の
膨張弁と、蒸発器とを含む。この空気調和器はさらに、
蒸発器と並列に冷凍サイクル内に組込まれるように管路
に連結された輻射パネルと、輻射パネルと管路との間に
設けられた第2の膨張弁とを含む。第2の膨張弁は断熱
膨張された冷媒を他から与えられる制御信号により特定
される量だけ輻射パネルに与える。空気調和器はさら
に、輻射パネルの近傍に設けられる湿度センサと、輻射
パネルの入口および出口における冷媒の温度を検出する
ための温度センサと、湿度センサの出力と、温度センサ
の出力とに応答して、第2の膨張弁の操作量を決定し、
制御信号を前記第2の膨張弁に与えるための処理プログ
ラムを実行する中央処理装置とを含む。この中央処理装
置が実行する処理プログラムが実現する機能は、湿度セ
ンサの出力する室内温湿度に基づいて室内露点温度を算
出する露点温度算出手段と、湿度センサの出力する室内
温度と、露点温度算出手段で算出される室内露点温度と
に基づいて、室内温度と室内露点温度との差の、単位時
間あたりの変化量を検出するための室内温度露点温度差
変化量検出手段と、予め定める目標過熱度と、温度セン
サの出力より計算される、輻射パネルの過熱度との差を
検出するための過熱度偏差検出手段と、過熱度偏差検出
手段の出力に基づき、過熱度偏差の単位時間あたりの変
化量を検出するための過熱度偏差変化量検出手段と、室
内温度露点温度差変化量検出手段と、過熱度偏差検出手
段と、過熱度偏差変化量検出手段との出力を入力変数と
して、所定の推論方式に従って推論を行ない第2の膨張
弁の操作量を決定するための推論手段とを含む。
【0033】
【作用】請求項1に記載の空気調和機においては、室内
温湿度検出手段により室内温湿度が、過熱度検出手段に
より輻射熱交換手段における冷媒の過熱度がそれぞれ検
出され、膨張弁操作量決定手段に与えられる。膨張弁操
作量決定手段は与えられた情報に基づいて第2の膨張弁
の操作量を決定し、第2の膨張弁に制御信号を与える。
第2の膨張弁は、この制御信号に応答して、凝縮器から
管路を流通してくる冷媒を断熱膨張させるとともに制御
信号により特定される量だけ輻射熱交換手段に与える。
輻射熱交換手段は、輻射により吸収した熱を、熱交換に
より冷媒に与える。冷媒は管路を流通して圧縮機で圧縮
され凝縮器に貫流する。すなわち、輻射による空気調和
が、輻射以外による空気調和と同一の冷凍サイクルを用
いて行なわれ、かつその温度制御が独立に行なわれる。
【0034】また、室内温湿度検出手段の出力に基づい
て室内露点温度が、室内温度と室内露点温度とに基づい
て室内温度露点温度差変化量が、予め定められる目標過
熱度と検出過熱度とから過熱度偏差と過熱度偏差変化量
とがそれぞれ求められ、入力変数として推論手段に与え
られる。推論手段は、所定の推論形式に従って、入力変
数の値に応じた第2の膨張弁の操作量を決定し、制御信
号として出力する。入力変数として過熱度偏差のみなら
ず室内温度露点温度差変化量と過熱度偏差変化量とが用
いられるため、制御系の将来のふるまいを予測して操作
量を推論することができる。
【0035】請求項2に記載の空気調和機においては、
請求項1に記載の空気調和機の作用に加えて、推論手段
においてファジィ推論による処理が行なわれる。ファジ
ィ推論によれば、その制御精度を任意に設定することが
でき、ファジィ制御特有のソフトな制御をすることがで
きる。
【0036】請求項3に記載の空気調和機においては、
請求項2に記載の空気調和機の作用に加えて、各入力変
数の値は、それぞれ所定の換算係数か乗せられて規格化
される。各換算係数を変化させることにより、ファジィ
推論の方式そのものを変化させることなく、各入力変数
に与えられた重み付けを容易に変化させることができ
る。
【0037】請求項4に記載の空気調和機においては、
請求項3に記載の空気調和機の作用に加えて、換算係数
変更手段を用いることにより、換算係数の値を、冷凍サ
イクルの被制御系の条件に応じて容易に変化させること
ができる。
【0038】請求項5に記載の空気調和機においては、
請求項4に記載の空気調和機の作用に加えて、制御定数
設定手段に、冷凍サイクルの被制御系における輻射熱交
換手段の制御定数を設定することができる。また記憶手
段には、予め、様々な制御定数の値に応じて最適な換算
係数を格納しておくことができる。読出手段は、設定さ
れた制御定数の値に対応した換算係数を記憶手段から読
出して規格化手段に与える。空気調和機の構成に変化が
あり、制御定数が変化する場合にも、その都度換算係数
を設定しなおす必要がなく、空気調和機の構成の変化に
応じて制御定数を設定しなおすだけで制御動作を調整す
ることができる。請求項6に記載の空気調和機において
は、湿度センサにより室内温湿度が検出され、温度セン
サによる輻射パネルの入口および出口における冷媒の温
度の検出から輻射パネルの過熱度がそれぞれ検出され、
中央処理装置に与えられる。中央処理装置は、処理プロ
グラムを実行し、与えられた情報に基づいて第2の膨張
弁の操作量を決定し、第2の膨張弁に制御信号を与え
る。第2の膨張弁は、この制御信号に応答して、凝縮器
から管路を流通してくる冷媒を断熱膨張させるとともに
制御信号により特定される量だけ輻射パネルに与える。
輻射パネルは、輻射により吸収した熱を、熱交換により
冷媒に与える。冷媒は管路を流通して圧縮機で圧縮され
凝縮器に貫流する。すなわち、輻射による空気調和が、
輻射以外による空気調和と同一の冷凍サイクルを用いて
行なわれ、かつその温度制御が独立に行なわれる。ま
た、湿度センサの出力に基づいて室内露点温度が、室内
温度と室内露点温度とに基づいて室内温度露点温度差変
化量が、予め定められる目標過熱度と検出過熱度とから
過熱度偏差と過熱度偏差変化量とがそれぞれ求められ、
入力変数として推論手段に与えられる。推論手段は、所
定の推論形式に従って、入力変数の値に応じた第2の膨
張弁の操作量を決定し、制御信号として出力する。入力
変数として過熱度偏差のみならず室内温度露点温度差変
化量と過熱度偏差変化量とが用いられるため、制御系の
将来のふるまいを予測して操作量を推論することができ
る。
【0039】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明にかかる空気調
和機の一実施例につき説明する。図2は、本発明の一実
施例にかかる空気調和機の制御系統を示すブロック図で
ある。図2を参照して、本発明の一実施例にかかる空気
調和機1は、冷媒が流通する管路7と、管路7内にこの
順で設けられた圧縮機2と、凝縮器3および送風機18
と、膨張弁(第1の膨張弁)4と、蒸発器6および送風
機19とを含む。管路7にはさらに、蒸発器6と並列に
なるように輻射パネル8が設けられている。輻射パネル
8の、冷媒の入口側および出口側の管路7にはそれぞ
れ、膨張弁(第2の膨張弁)5および膨張弁9が設けら
れている。膨張弁5は、輻射パネル8の冷房負荷を調節
するためのものである。膨張弁9は、輻射パネル8にお
いて蒸発する冷媒の蒸発温度を調節するためのものであ
る。各膨張弁4、5、9は管路7の冷媒の流路に設けら
れた弁を有し、この弁を開閉自在に強制できる。各膨張
弁4、5、9は、それぞれ制御性に優れたステッピング
モータ(図示せず)によって駆動されている。
【0040】さらに空気調和機1は、蒸発器6の冷媒入
側に設けられ、冷媒入口温度Thexiを検出するため
の温度センサ14と、蒸発器6の冷媒出側に設けられ、
冷媒出口温度Thexoを検出するための温度センサ1
5と、輻射パネル8の冷媒入側に設けられ、輻射パネル
8の冷媒入口温度Tpiを検出するための温度センサ1
6と、輻射パネル8の冷媒出側に設けられ、輻射パネル
8の冷媒出口温度Tpoを検出するための温度センサ1
7と、輻射パネル8に設けられ、輻射パネル8の表面温
度Tpsを検出するための温度センサ11と、輻射パネ
ル18の近傍に設けられ、輻射パネル8の近傍の室内空
気温度Taおよび湿度Rxを検出するための室内温湿度
検出手段としての湿度センサ10と、温度センサ11、
14〜17の出力と温湿度センサ10の出力とに応答
し、膨張弁4、5、9の開量をそれぞれ計算して制御す
るための膨張弁制御装置12とを含む。
【0041】図3を参照して、膨張弁制御装置12はマ
イクロコンピュータに類似した機能を有しており、CP
U(中央処理装置)22と、CPU22の制御の下に実
行されるプログラムおよびデータなどが予め記憶される
ROM(Read−OnlyMemory)25と、随
時データを書込/読出することができるRAM(Ran
dom Access Memory)26と、CPU
22により起動がかけられたことに応答して計時を開始
し、その計時データがCPU22によって読取られるタ
イマ23と、CPU22の動作周波数を定めるためのク
ロック信号を発生するクロック発振回路24と、図2に
示される輻射パネル8の数を1〜9まで設定することが
でき、設定値をCPU22に与えるための輻射パネル台
数設定装置20と、温度センサ11、14〜17、湿度
センサ10、膨張弁4、5、9およびCPU22に接続
され、上述の各部とCPU22との間の信号の入出力を
行なうための入出力回路21とを含む。
【0042】CPU22によって実行されるプログラム
の制御の構造は、図1および図10に示されるようにな
っている。このプログラムによって、特許請求の範囲に
記載の露点温度算出手段と、室内温度露点温度差変化量
検出手段と、過熱度偏差変化量検出手段と、ファジィ推
論手段と、規格化手段と、換算係数変更手段とが実現さ
れる。また、このプログラムの一部と温度センサ16、
17によって過熱度偏差検出手段が実現される。
【0043】膨張弁制御装置12による各膨張弁4、
5、9の開度を計算する処理の詳細は後述することにし
て、図2、3に示される装置の動作の概略を説明する。
圧縮機2は、管路7内を還流してくる昇温された冷媒を
圧縮し、高温高圧にして凝縮器3に与える。凝縮器3
は、高温高圧の冷媒と、送風機18によって送り込まれ
る外気との間の熱交換を行ない、冷媒を凝縮液化して管
路7内に送り出す。管路7に送り出された冷媒は、蒸発
器6および輻射パネル8に向けて矢印A、Bで示される
ように分流され、それぞれ膨張弁4、5に至る。
【0044】膨張弁4に導かれた冷媒は、膨張弁4によ
って減圧され低温低圧の気液2相状態となって蒸発器6
に与えられる。蒸発器6は、送風機19によって送り込
まれる室内空気と冷媒との間で熱交換を行なう。熱交換
の結果冷媒は蒸発気化し、低温低圧の蒸気となる。一方
室内空気は冷却・除湿されて室内に戻され、室内の冷房
に供される。蒸発気化した冷媒は再び圧縮機2に還流す
る。なお、膨張弁4の開度は膨張弁制御装置12によっ
て制御される。
【0045】一方、膨張弁5に導かれた冷媒は、この膨
張弁5によって減圧され低温低圧の気液2相状態とな
り、輻射パネル8に与えられる。輻射パネル8は、室内
の輻射熱を吸収して冷媒との間で熱交換を行なう。この
熱交換の結果冷媒は輻射パネル8内で蒸発し、低温低圧
の蒸気となる。気化した冷媒は膨張弁9を経て圧縮機2
に還流する。このとき、輻射パネル8の冷媒蒸発温度
は、膨張弁制御装置12による膨張弁9の開度の制御に
よって、パネルの表面に結露が生じないように調整され
る。輻射パネル8によって室内からの輻射熱が吸収され
るため、輻射冷房が行なわれる。
【0046】以上のように圧縮機2、凝縮器3、輻射パ
ネル8および蒸発器6によって冷凍サイクルが形成さ
れ、強制対流および輻射による冷房が行なわれる。
【0047】図1、3、10を参照して、上述の空気調
和機1の各膨張弁4、5、9の制御処理手順を説明す
る。図1、図10に示されるフローチャートは図2のR
OM25に格納されている、CPU22で実行されるプ
ログラムの制御構造のフローチャートである。
【0048】ステップS0において、操作者により、図
3に示される輻射パネル台数設定装置20を用いた輻射
パネル台数Nnの設定が行なわれる。輻射パネル台数を
このように予め設定するのは、以下のような理由によ
る。膨張弁4、5、9は前述のようにステッピングモー
タによって駆動されている。この駆動制御は、PI制御
やPID制御で行なうのが一般的である。Pは比例制
御、Iは積分制御、Dは微分制御をそれぞれ表わす。P
I制御やPID制御は、ある特定の条件においては最適
な制御を行なうことが可能であることが知られている。
しかし、PI制御やPID制御は、被制御系の条件(時
定数や制御感度)がある程度変ると、比例定数や積分定
数などを再調整しなければ大きなオーバーシュートやハ
ンチングを発生し、さらには発散してしまうこともあ
り、常に最適な制御をすることは困難であるとされてい
る。
【0049】本発明にかかる空気調和機において用いら
れている輻射パネルの場合、その配管長さが非常に長く
なる。たとえば輻射パネル1m2 当たりの配管の長さは
4〜6mにも及ぶ。この場合冷凍サイクルを制御するた
めの時定数が大きくなってしまい、膨張弁を制御するこ
とが大変難しい。また、輻射パネルの設置台数は部屋の
大きさや設備予算などで制限される。輻射パネル配管長
さは輻射パネルの設置台数に左右され、一様ではない。
したがってシステムごとに膨張弁の制御定数を試運転を
繰り返しながら調整しなければならないという不都合が
ある。また一旦設置された空気調和機において、輻射パ
ネルの設置台数を変更することもあり得る。この場合に
も上述のような調整をしなければならない。
【0050】輻射パネル台数設定装置20は、上述のよ
うな手間を省略することを目的として設けられたもので
ある。すなわち、ROM25に、輻射パネルの台数によ
り索引付けられた制御定数のテーブルを用意しておき、
このプログラムの実行時に輻射パネル台数設定装置20
から与えられる輻射パネルの台数に応じてROM25か
ら適当な制御定数を読出し、この制御定数を用いて空気
調和機の制御が行なわれる。このようにすることによ
り、輻射パネルの台数を装置20で設定することのみに
より、制御動作を最適に調整することができる。また、
輻射パネルの台数に変更があった場合にも容易に最適な
制御を実現することができる。
【0051】再び図1を参照して、ステップS0の後制
御はステップS1に進む。ステップS1およびS2にお
いて、各膨張弁4、5、9は初期状態に設定される。す
なわちステップS1において膨張弁4、5、9はすべて
一旦全閉状態とされる。続いてステップS2において、
各膨張弁4、5、9はそれぞれ、予め各弁について定め
られた開度に設定される。たとえば、すべての弁は中間
の開度に設定される。制御はステップS3に進む。
【0052】ステップS3においては、各温度センサ1
0、11、14〜17により検出された温度データTh
exi、Thexo、Tpi、Tpo、Tps、Taお
よびRhが入力される。室内温度Taおよび湿度Rhか
ら室内空気露点温度Tadが算出される。制御はステッ
プS4に進む。
【0053】ステップS4においては、幅射パネルの表
面温度Tpsが室内空気露点温度Tadよりも2度以上
高いか否かが判断される。判断の答がYESであれば制
御はステップS6に進み、さもなければ制御はステップ
S5に進む。このステップS4の処理は、輻射パネル8
の表面に結露が生ずることを防ぎつつ輻射パネル8によ
る冷房運転をするか否かを定めるためのものである。輻
射パネルの表面の結露を防ぐためには、表面温度Tps
が室内空気の露点Tadよりも高くなければならない。
ステップS4における判断は、この条件にさらに室内空
気の温湿度分布や各温度センサの測定精度を考慮した上
で定められたものである。
【0054】ステップS4の処理により、表面温度Tp
sが室内空気の露点温度Tadより2℃以上高い場合に
は輻射パネルを用いた冷房運転がステップS6以下で行
なわれる。一方、上述の条件が成り立たない場合には膨
張弁5、9がステップS5の処理によって全閉とされ
る。ステップS5の処理により、室内に設置された蒸発
器6による室内空気の除湿が促進されることになる。そ
してステップS4に記載された条件が満たされるまで輻
射パネル8による冷房の運転が中止される。ステップS
5の後制御はステップS14に進む。
【0055】一方、ステップS4から制御がステップS
6に進んだ場合、ステップS6においては、膨張弁5、
9がそれぞれ適切な開度にあるか否かの判断が行なわれ
る。判断の答がYESであれば制御はステップS8に進
み、さもなければ制御はステップS7に進む。
【0056】制御がステップS7に進んだ場合には、膨
張弁5、9はそれぞれ適した開度に設定される。ステッ
プS7の後制御はステップS3に戻る。
【0057】ステップS6から制御がステップS8に進
んだ場合、輻射パネル冷媒入口温度Tpiと、輻射パネ
ル冷媒出口温度Tpoと、室内温度Taおよび室内空気
露点温度Tadに基づき、ファジィ推論により膨張弁5
の操作量が決定される。このファジィ推論の内容は、図
10を参照して後に詳しく説明される。通常の空気調和
機においては、蒸発器入側の膨張弁4の制御が、蒸発器
6の過熱度(蒸発器冷媒出口温度−蒸発器冷媒入口温
度)に応じて制御される。本実施例にかかる空気調和機
1の蒸発器6および輻射パネル8においても、その膨張
弁4、5は同様の過熱度に基づき制御される。ただし、
冷房運転に当たっては、まず輻射パネル8の過熱度を調
整するための膨張弁5の制御が最初に実行される。S8
の後制御はステップS9に進む。
【0058】ステップS9においては、ステップS8に
よって決定された操作量に従って膨張弁5の開度を調整
する処理が行なわれる。すなわち、図3に示されるCP
U22から入出力回路21を経て膨張弁5を駆動するた
めの図示されないステッピングモータに対して制御信号
が送られる。ステップS9の後制御はステップS10に
進む。
【0059】ステップS10〜S11における処理は、
輻射パネル8の冷媒蒸発温度を調整するための膨張弁9
を制御するための処理である。この場合にも輻射パネル
8の表面に結露を生ずることがないように膨張弁9の開
度が制御される。すなわちステップS10において、輻
射パネル8の表面温度Tpsが室内空気の露点Tadよ
りも5℃以上高いか否かが判断される。判断の答がYE
Sであれば制御はステップS11に進み、さもなければ
制御はステップS12に進む。TpsがTadよりも高
ければ結露を生ずることがないが、ステップS10にお
ける判断においては室内温度の温湿度分布あるいは各温
度センサの測定精度を考慮して、TpsがTadよりも
5℃以上大きいか否かによって膨張弁9の開度を大きく
するか否かを定めるようにされている。
【0060】ステップS11に制御が進んだ場合には、
輻射パネル8の表面に結露を生ずるおそれがないため、
膨張弁9の開度が大きくされる。それにより輻射パネル
8における冷媒蒸発温度が下げられる。制御はステップ
S14に進む。
【0061】ステップS10からステップS12に制御
が進んだ場合、TpsがTad+3℃よりも低いか否か
が判断される。+3℃という値も、上述の温湿度分布あ
るいは各温度センサの測定精度を考慮したものである。
ステップS12における判断の答がYESであれば制御
はステップS13に進み、さもなければ制御はステップ
S14に進む。
【0062】ステップS13に制御が進んだ場合、輻射
パネルの表面温度と露点温度Tadとの違いが少なく、
輻射パネル8の表面に結露が生ずるおそれがある。その
ため膨張弁9の開度を小さくする処理が行なわれ、パネ
ルの表面に結露が生ずることが防がれる。すなわち、輻
射パネル8の出側を通る冷媒の量が減少し、輻射パネル
8における冷媒蒸発温度が上昇する。ステップS12に
おける判断の答がNOであれば膨張弁9の開度は適正な
ところにあると考えられ、その調整は行なわれない。
【0063】ステップS14〜S17において行なわれ
る処理は、蒸発器6の過熱度を適正にするために膨張弁
4の開度を制御する処理である。過熱度(Thexo−
Thexi)についても、輻射パネル8の場合と同様に
過熱度について所定の温度幅(3〜5℃)が予め設定さ
れている。そして過熱度が5℃を越えた場合には膨張弁
4の開度を大きくして蒸発器6の冷房負荷を大きくし、
過熱度が3℃以下のときには膨張弁4の開度を小さくす
る。すなわち、ステップS14においては、過熱度が5
℃を越えているか否かの判断が行なわれる。判断の答が
YESであれば制御はステップS15に進み、さもなけ
れば制御はステップS16に進む。
【0064】ステップS15に進んだ場合には、前述の
ように過熱度が所定の温度幅を越えたため、膨張弁4の
開度が大きくされる。これによって蒸発器6の冷房負荷
は大きくなる。制御はその後ステップS3に戻る。
【0065】ステップS14からステップS16に制御
が進んだ場合、過熱度が3℃以下であるか否かの判断が
行なわれる。判断の答がYESであれば制御はステップ
S17に進む。判断の答がNOであれば過熱度が適正な
温度幅内にある訳であるから、膨張弁4の開度の調節は
行なわれず制御はステップS3に戻る。
【0066】ステップS17においては、過熱度が適切
な温度幅を下回っているため、膨張弁4の開度を小さく
処理が行なわれる。これにより蒸発器6の冷房負荷は小
さくなる。ステップS17の後制御はステップS3に戻
る。
【0067】以上のようにステップS3〜S17の処理
を繰返し実行することより、本発明の一実施例にかかる
空気調和機が制御される。上述の説明から明らかなよう
に、本発明の実施例の空気調和機1によれば、輻射パネ
ル8の冷媒入側の膨張弁5により輻射パネル8における
冷媒の過熱度も調節することができる。また、冷媒出側
の膨張弁9によって、輻射パネル8内の冷媒蒸発温度
(圧力)を調節することができる。従来のように輻射パ
ネル8および蒸発器6をともに駆動するためのブライン
サイクルを用いる必要がなく、冷凍サイクルのみによっ
て強制対流と輻射とを利用した冷房を行なうことができ
る。しかも膨張弁5、9の制御により輻射パネル8に結
露を生ずるおそれはない。従来のようにブラインサイク
ルと冷凍サイクルとを設け、その両者の間で冷媒・ブラ
イン熱交換器を介在させたりする必要もない。加えてブ
ライン用の循環ポンプも不要であり、それらを駆動する
ための動力も必要ではない。したがって本実施例の空気
調和機1は、従来の空気調和機よりも簡素な構成で、製
造コストも低減でき、運転時の熱効率もよくてエネルギ
消費を少なく押さえることができる。
【0068】図10は、図1のステップS8において行
なわれるファジィ推論のためのルーチンのフローチャー
トである。図10について説明する前に、一般的なファ
ジィ推論についての説明を以下において行なっておく。
ファジィ推論とは、「大きい」、「早い」など、人間の
主観に伴う曖昧さを取扱うファジィ理論がシステムの制
御に応用された際に、システム側において実行される制
御状態を決定するための推論処理である。
【0069】典型的なファジィ推論においては、ファジ
ィルールと呼ばれる1または複数個のルールが予め用意
される。そして、現実のシステムの状態が個々のファジ
ィルールを満足する度合いを求め、その結果を各ルール
について合成し(max−min演算)、合成結果の重
心を求め(デファジファイヤ)、これを推論結果とす
る。
【0070】ファジィルールは、入力値と出力値との関
係を定式化したものである。たとえば入力値A、Bと出
力値Xとの間に、「Aが大きく、かつBが普通ならば、
Xは小さくせよ」のような形で関係を定義している。
【0071】ファジィ推論においては、入力値はすべて
[0,1]の範囲の値に変換された後、前述のmax−
min演算以下の処理に供される。この入力値の変換を
定義するのが、「メンバシップ関数」と呼ばれる関数で
ある。
【0072】メンバシップ関数は、ファジィ・ルールが
扱う命題(上述の例で言えば「大きい」、「普通」およ
び「小さい」など)ごとに定義される。メンバシップ関
数は、入力値が上述の命題をどの程度満足するかを
〔0,1〕の区間の値に変換する。この値は、ある入力
値が上述の命題で規定される集合にどの程度属するかを
表わす値を示すと考えられる。この集合は、従来考えら
れていた集合と異なり、「属する」「属さない」のみで
なく、その中間の値をも許すもので、ファジィ集合と呼
ばれる。各命題には、その命題を特定するためのファジ
ィ・ラベルと呼ばれるラベルが付されるため、ファジィ
集合がファジィ・ラベルによって一意に特定される。
【0073】図4は、2つのファジィ・ルール、2入力
値および1出力値の場合におけるファジィ推論の最も一
般的な方法を説明するための図である。この図は「ファ
ジィ・チップ相次ぎ登場、高速推論で機器組込みを狙
う」(浅見直樹、稲葉則夫、「日経エレクトロニクス」
1988年10月3日号、No.457、pp.157
−168)の第160頁に記載された図である。なお図
4においては、上述の「日経エレクトロニクス」に示さ
れた図に対し、若干付け加えられた部分がある。図4を
参照して、このフォーカスはルール1、ルール2、…の
2つ以上のファジィルールを用いる。ルール1において
は3つの命題「BIG」「NORMAL」「SMAL
L」が用いられている。各命題「BIG」「NORMA
L」「SMALL」には、図4に示されるように同じ名
前で表わされるメンバシップ関数「BIG」「NORM
AL」「SMALL」というメンバシップ関数が各入力
値ごとに定義されている。図4に示されるルール1の場
合、入力値Aをメンバシップ関数BIGに通すことによ
り、入力値Aに対するメンバシップ値BIG(A)が求
められる。同様に入力値Bをメンバシップ関数NORM
ALに通すことにより、入力値Bに対するメンバシップ
値NORMAL(B)が求められる。
【0074】ルール1において、メンバシップ関数BI
G、NORMALにより与えられる、入力値A、Bに対
するファジィ集合は前件部と呼ばれる。メンバシップ関
数SMALLにより与えられる、出力値Xに対するファ
ジィ集合は後件部と呼ばれる。ファジィ・ルール1は、
「AがBIGであり、かつBがNORMALであるなら
ば、XをSMALLにせよ」というルールを記述してい
る。
【0075】ファジィルール2も同様に「もしBがVE
RY BIGであり、かつCがSMALLであるなら
ば、XをNORMALにせよ」というルールを記述して
いる。このルール2には、3つの命題VERY BI
G、SMALL、NORMALが用いられている。各命
題に対しては、同じ名前を有するメンバシップ関数VE
RY BIG、SMALL、NORMALが定義されて
いる。そして、入力値Bもメンバシップ関数VERY
BIGに通すことによりメンバシップ値VERY BIG
(B)が得られ、入力値Cをメンバシップ関数SMAL
Lに通すことにより、メンバシップ値SMALL(C)
が得られる。
【0076】図4のメンバシップ関数により示されるフ
ァジィ集合によって特定されたシステムにおいて、入力
変数A、BおよびCとして入力値A0、B0およびC0
がそれぞれ与えられるものとする。ルール1の前件部に
おいては、メンバシップ関数BIG(A0)によりメン
バシップ値A1が求められる。入力値B0についても、
メンバシップ関数NORMAL(B0)によりメンバシ
ップ値B1が求められる。続いて、入力値A0、B0が
ルール1を満足する度合いを求めるために、メンバシッ
プ値A0、B0の最小値が求められる。この演算はmi
n演算と呼ばれる。ルール1においては最小値はB1で
ある。ルール1において得られたメンバシップ値の最小
値B1を用いて、ルール1の後件部のファジィ集合を制
限する。すなわち、ルール1の後件部のメンバシップ関
数SMALLを、min演算で得られた値B1で切り取
る(頭切り)。後件部のメンバシップ関数SMALLの
残った部分(図4の斜線部)をm1X′(X)とする。
【0077】ルール2においても、同様の処理が行なわ
れる。この場合図4には図示されていないが、メンバシ
ップ値の最小値は入力値C0に対応する値C1であるも
のとする。続いてルール2の後件部で、min演算によ
って得られた値C1でメンバシップ関数NORMALを
頭切りし、斜線部分を得る。この斜線により表わされる
部分をm2X′(X)とする。他のルールにおいても同
様の処理が行なわれる。
【0078】続いて、各ルールにおける後件部によって
得られたメンバシップ関数m1X′(X)、m2X′
(X)、…の論理和を取る。論理和をとることにより、
変数Xに対して、メンバシップ関数m1X′、m2
X′、…の値の最大値をとるような新たなメンバシップ
関数mXが得られる。この演算をmax演算と呼ぶ。
【0079】ファジィ推論により、メンバシップ関数m
X(X)が得られたわけであるが、このままでは現実の
システムの制御を行なうことはできない。そのため、以
下のようにして制御のための出力変数を定める。一般的
には、新たに定義されたメンバシップ関数mX(X)と
X軸との間に挟まれる部分の重心のX座標を求める。得
られたX座標Xgが、出力Xに対する推論結果として出
力され、システムの制御に用いられる。以上がファジィ
推論の最も一般的な方法である。
【0080】ファジィ推論においては、(1)メンバシ
ップ値の計算、(2)最小値の計算(min演算)、
(3)最大値の計算(max演算)および(4)出力値
(重心座標)の計算を一連の処理で実行する必要があ
る。ファジィ推論を通常のコンピュータのソフトウェア
で実行する場合、各ルールに対する処理を逐次1つずつ
行なう必要がある。すなわち、まず各ルールごとに順次
メンバシップ値の計算、min演算を実行する。すべて
のルールに対して前件部の処理が行なわれた後、各ルー
ルの出力結果に対してmax演算を実行する必要があ
る。したがって、通常のコンピュータで実行されるソフ
トウェアを用いたファジィ推論においては、使用される
ルール数とファジィ推論の処理速度とは比例関係にある
ことになる。
【0081】以上の一般的なファジィ推論の方法につい
ての説明が、本発明で実行されるファジィ推論について
も当てはまる。すなわち、本発明の一実施例にかかる空
気調和機においても、図5に示されるような7つのファ
ジィラベルが使用される。この7種類のファジィラベル
は、一般的に使用されているものである。しかし、本発
明はこの7種類のファジィラベルを用いるようなファジ
ィ推論に限定されるものではない。すなわち、よりきめ
細かな制御を行なう場合にはより多くのファジィラベル
を、大まかな制御でよい場合にはより少ない数のファジ
ィラベルを用いてもよい。
【0082】図5に示されるファジィラベルのうちZO
は中心位置(0)を、PSは少し正の方向、PMは中位
に正の方向、PBは大きく正の方向を表わすファジィ集
合であり、NSは少し負の方向、NMは中位に負の方
向、NLは大きく負の方向をそれぞれ表わすファジィ集
合である。
【0083】各ファジィラベルに対応するメンバシップ
関数が図9に示されている。図9において横軸は入力値
および出力値を表わし、縦軸は入力値および出力値に対
するメンバシップ値を表わす。図9に表わされるメンバ
シップ関数は、処理の高速化のためにすべて直線のみで
構成される三角形の形を基本としている。そしてファジ
ィラベルZOに対応するメンバシップ関数はその頂点が
“0”の位置にある。そして他のファジィラベルPS、
PM、PBについてはその頂点が順次正の方向に移動す
るようにメンバシップ関数が選ばれている。逆にファジ
ィラベルNS、NM、NBについては、三角形の頂点の
位置が徐々に負の方向に移動するようにメンバシップ関
数が選ばれている。
【0084】ファジィ推論を行なう上で最も重要な要素
の1つに入力変数と出力変数との決定がある。ルールは
入力変数および出力変数と、命題とから成り立ってお
り、命題を別とすれば入力変数と出力変数との選びかた
により推論結果に影響が出てくるからである。本発明に
おいては、下に示すような3つの入力変数と、1つの出
力変数とをファジィ推論に用いている。
【0085】(1) 輻射パネル過熱度偏差SH。これ
は、輻射パネルの目標過熱度と実際の輻射パネルの検出
過熱度との差を表わす。
【0086】(2) 輻射パネル過熱度偏差変化量ΔS
H。これは、輻射パネル過熱度偏差SHの、単位時間当
たりの変化量を表わす。
【0087】(3) 室内温度露点温度差変化量ΔTA
D。これは、室内温度Taと露点温度Tadの差の、単
位時間当たりの変化量を表わす。
【0088】ファジィ出力変数としては以下の1つであ
る。 (1) 膨張弁操作量ΔU。これは、上述の各入力変数
に従ってファジィ推論し、導かれた第2の膨張弁5の操
作量を表わす。
【0089】制御の目的からして、出力変数が「膨張弁
操作量ΔU」となることは明らかである。一方、入力変
数としては出力変数と異なり多種の選択をすることが可
能である。しかし、以下の理由により輻射パネル過熱度
変化SHと、輻射パネル過熱度変化量ΔSHと、室内温
度露点温度差変化量ΔTADとを選択した。
【0090】入力変数は目的の実現に沿ったものでなく
てはならない。本実施例の場合にはその目的は「輻射パ
ネルにおける冷媒過熱度を、目標とする目標過熱度に速
やかに到達させ、かつ目標過熱度の値に安定に保つ」で
あると考えられる。この目的の実現に適したものとし
て、輻射パネルにおける冷媒過熱度を的確に表わす入力
変数が必要である。そのため輻射パネル過熱度偏差SH
と、輻射パネル過熱度偏差変化量ΔSHとを選択した。
【0091】しかし、輻射パネル過熱度を制御するため
には上述の2つの入力変数のみでは不十分である。それ
は以下のような理由による。「輻射パネル過熱度偏差S
H」、「輻射パネル過熱度偏差変化量ΔSH」は、確か
に輻射パネルにおける冷媒の過熱度の状態を示してはい
る。しかし、先に述べたように輻射パネルの時定数は一
般的に大きいため、入力変数SH、ΔSHのみに基づい
て膨張弁を制御したとしても、それは過去の結果に対処
しているに過ぎず、現在のシステムの状態を適切に変化
させることはできない。これは、天体望遠鏡で遠くの天
体を観測して、何かの現象を発見するのに似ている。現
象を発見したのは現在であっても、その現象は実際には
はるか昔に起こったことである。したがってその現象を
観測しながらその現象に何か変化を与えることはできな
い。
【0092】過熱度が変化する原因は、実は過熱度が変
化するかなり以前にあると考えられる。その1つが室内
温度変化であり、あるいは輻射パネル表面温度変化であ
る。輻射パネルの放熱量または吸熱量は、室内温度と輻
射パネルの表面温度とで決定される。冷房の場合を例に
とると室内温度が高くなる程、また輻射パネル表面温度
が低くなるほど吸熱量が多くなり、したがって冷媒循環
量を多く必要とする。冷媒循環量を増加しなければ過熱
度は大きくなってしまう。
【0093】しかし、輻射パネル表面温度の変化も実
は、二次的なものである。なぜなら、輻射パネル表面温
度は、室内空気の露点温度を下回らないように輻射パネ
ルの冷媒出口に設けられた第3の膨張弁9によって制御
されているからである。これらの温度変化と輻射パネル
の過熱度変化とは、互いにリアルタイムの関係で進行し
ているものと考えられる。
【0094】以上の議論を総合すると、室内温度と露点
温度との差の単位時間当たりの変化量ΔTADを測定す
ることにより、今後の過熱度の変化をある程度予測する
ことが可能であると判断できる。
【0095】以上の説明により決定された3つの入力変
数SH、ΔSH、ΔTADおよび1つの出力変数ΔU
と、前述の7つのファイルラベルとを用いることにより
ファジィ・ルールを記述することができる。図6〜図9
には、本発明の一実施例においてファジィ推論に採用さ
れたファジィ・ルールのセットの一例が示されている。
図6〜図8においては、21のルールが示されている。
しかし本発明はこのルール数およびルール内容には限定
されない。つまり、推論速度を犠牲にしてもより厳密な
ファジィ制御を望むならばさらにファジィルールを追加
することもでき、反対にファジィ制御の厳密さを犠牲に
してもファジィ推論の高速化を望むならばファジィルー
ルの数を削減してもよい。
【0096】SH、ΔSH、ΔTAD、ΔUに対して
は、すべて前述のファジィラベルで特定されるメンバシ
ップ関数が定義されている(図3参照)。図3に示され
るメンバシップ関数についてはすでに説明しているため
その詳細は繰返されない。しかし、図9の各メンバシッ
プ関数において、その横軸が区間[−12,12]に規
格化されていることに注意する必要がある。このように
全体集合を区間[−12,12]に規格化することによ
り、各メンバシップ関数によって表現されるファジィ集
合を標準化することができる。このような規格化を行な
うために、入力値SH、ΔSH、ΔTAD、および出力
値ΔUを所定の換算係数によって換算し、区間[−1
2,12]に規格化しておく必要がある。この換算係数
も、ファジィ推論における制御の精度を左右する重要な
パラメータである。なお、規格化の区間を[−12,1
2]としたのは一例にすぎず、他の区間に規格化しても
かまわない。
【0097】表1は、このシステムに接続される輻射パ
ネル8の台数Nnと入力変数ΔTADの換算係数Knと
の間の関係を示している。
【0098】
【表1】
【0099】表1を参照して、換算係数Knは、輻射パ
ネルの台数Nnが大きいほど大きくなるように設定され
ている。つまり、システムに接続される輻射パネル8の
台数が多い場合には、その時定数が大きくなり、応答が
悪くなる。応答を改善するため、ΔTADの換算係数を
この場合は大きくすれば、出力変数ΔUへのΔTADの
影響度が相対的に大きくなる。そのため時定数が大きく
なった場合にも先の過熱度の状態を予想した遅れの少な
い制御が可能となる。
【0100】反対にNnが少ない場合には、時定数が小
さくなりシステム状態が不安定となるおそれがある。こ
の場合にはΔTADの換算係数を小さく設定する。これ
により、出力値であるΔUへのΔTADの影響度を相対
的に少なくでき、時定数が小さくともオーバーシュート
やハンチングの少ない安定した制御が可能となる。
【0101】以上説明してきたファジィ推論を行なうた
めのルーチン(図1におけるステップS8における処
理)のフローチャートが図10に示されている。図10
を参照して、ステップS21において、第1のデータ取
込み処理が行なわれる。このデータ取込み処理により取
込まれるデータは、輻射パネル台数Nnおよび輻射パネ
ル目標過熱度SHIである。制御はステップS22に進
む。
【0102】ステップS22においては、室内温度露点
温度差変化量ΔTADの換算係数を決定する処理が行な
われる。この処理は、予めROM25に格納されてい
た、NnとΔTADとの関係を示すテーブル(表1参
照)をNnをキーとして参照することにより行なわれ
る。制御はステップS23に進む。
【0103】ステップS23においては、第2のデータ
取込み処理が行なわれる。このデータ取込み処理で取込
まれるデータは、室内空気温度Taと、室内相対湿度R
hと、輻射パネル冷媒入口温度Tpiと、輻射パネル冷
媒出口温度Tpoとである。制御はステップS24に進
む。
【0104】ステップS24においては、ファジィ推論
処理における入力変数を算出する処理が行なわれる。ま
ず第1に、輻射パネル目標過熱度SHIと実際の過熱度
(Tpo−Tpi)の差を求めることにより、輻射パネ
ル過熱度偏差SHが算出される。次に、算出された輻射
パネル過熱度偏差SHの単位時間当たりの変化量を計算
することにより、輻射パネル過熱度偏差変化量ΔSHが
算出される。さらに、室内空気温度Taと室内相対湿度
Rhとによって露点温度Tadが計算された後、室内温
度Taと露点温度Tadとの差の単位時間当たりの変化
量を調べることにより、室内温度露点温度差変化量ΔT
ADが算出される。制御はステップS25に進む。
【0105】ステップS25においては、ステップS2
4において得られたファジィ入力変数の実際値を、区間
[−12,12]内に規格化するように換算する処理が
行なわれる。この換算係数は通常予め定められている
が、ΔTADについては、ステップS22において行な
われる処理により、輻射パネル台数Nnに対応した最適
なものが選択されている。制御はステップS26に進
む。
【0106】ステップS26においては、図6〜図8に
示されるファジィ・ルールの前件部内のファジィ・ラベ
ルのメンバシップ関数に対する、各入力変数の満足度を
求める処理が行なわれる。制御はステップS27に進
む。
【0107】ステップS27においては、各ファジィ・
ルールにおいて、各入力変数の前件部のメンバシップ値
の最小値から後件部の満足度を求める処理が行なわれる
(min演算)。制御はステップS28に進む。
【0108】ステップS28においては、すべてのファ
ジィ・ルールの後件部に得られた満足度を重ね合わせ、
出力値ΔUの区間[−12,12]におけるメンバシッ
プ値の最大値を求め、新たなメンバシップ関数を定める
(max演算。)制御はステップS29に進む。
【0109】ステップS29においては、ステップS2
8によって得られたメンバシップ関数の重心を求める処
理が行なわれる(重心計算)。制御はステップS30に
進む。
【0110】ステップS30においては、ステップS2
9によって求められた重心のX座標Xgを求め出力値と
する。制御はステップS31に進む。
【0111】ステップS31においては、ステップS3
0によって得られた出力値Xgを、所定の換算係数を用
いて換算することにより実際の操作量ΔUを求める処理
が行なわれる。制御はステップS32に進む。
【0112】ステップS32においては、ステップS3
1において得られた操作量ΔUを出力する処理が行なわ
れる。
【0113】以上のように図10に示される手順に従っ
て第2の膨張弁5の操作量を求めることにより、以下の
ような効果がある。すなわち、膨張弁操作量は輻射パネ
ル過熱度偏差と、輻射パネル過熱度偏差変化量と、室内
温度露点温度差変化量および輻射パネルの台数に基づい
て決定することができる。運転中における実際の冷媒過
熱度を、運転中の冷媒過熱度の変化の度合いに応じて調
節することができ、速やかに目標過熱度に達し、かつそ
こで安定して動作するように制御することができる。さ
らに、室内温度露点温度差変化量を検出するとともに、
そのファジィ推論における換算係数を輻射パネルの台数
に応じて変化させることにより、冷媒過熱度変化を輻射
パネルの台数に変化があっても適切に予測でき、輻射パ
ネルの表面に結露を生ずることなく、目標過熱度に速や
かに達するように冷媒流量を調節し、かつハンチングや
オーバーシュートを起こさず安定維持することができ
る。ブラインを用いる従来のものと比較して、冷凍サイ
クルが1つですみ、しかも循環ポンプも必要とせず、エ
ネルギ消費を少なくすることもできる。
【0114】
【発明の効果】以上のように請求項1または6に記載の
空気調和機においては、輻射による空気調和が、輻射以
外による空気調和と同一の冷凍サイクルを用いて行なわ
れ、かつその制御も独立に行なわれる。従来のように2
つのサイクルを使用する必要も、複数個の循環ポンプを
使用する必要もない。したがって、消費エネルギが従来
よりも少ない、輻射を利用した空気調和を実現すること
ができる。
【0115】また、推論の入力変数として過熱度偏差の
みならず室内温度露点温度差変化量と過熱度偏差変化量
とが用いられるため、制御系の将来の振る舞いを予測し
て操作量を推論できる。第2の膨張弁の操作により輻射
パネルなどの輻射熱交換手段付近の温度がどのように変
化するかまでも予め予測して第2の膨張弁の操作量を決
定できるため、輻射パネルなどの輻射熱交換手段の表面
に結露を生ずることを防止できるという効果がある。
【0116】請求項2に記載の空気調和機においては、
請求項1に記載の空気調和機の効果に加えて、ファジィ
推論による処理が行なわれるため、その制御精度を任意
に設定でき、ファジィ制御特有のソフトな制御をするこ
とができる。その結果、空気調和機の制御精度をより高
度にすることができるという効果がある。
【0117】請求項3に記載の空気調和機においては、
請求項2に記載の空気調和機の効果に加えて、各入力変
数の規格化のための換算係数を変化させることにより、
ファジィ推論の方式そのものを変化させることなく、各
入力変数に与えられた重み付けを容易に変化させること
ができる。その結果、制御精度を容易に変更できる空気
調和機を提供できる。
【0118】請求項4に記載の空気調和機においては、
請求項3に記載の空気調和機の効果に加えて、換算係数
の値を、冷凍サイクルの被制御系の条件に応じて容易に
変化させることができる。その結果、空気調和機の構成
に変化があるときでも、制御系の動作を容易に調整でき
るという効果がある。
【0119】請求項5に記載の空気調和機においては、
請求項4に記載の空気調和機の効果に加えて、輻射パネ
ルの数など、輻射熱交換手段の制御定数を制御定数設定
手段に設定するだけで、設定された制御定数の値に対応
した最適な換算係数が自動的に選択され、ファジィ制御
の入力変数の規格化に用いられる。その結果、輻射熱交
換手段の構成に変化がある場合でも、制御系の動作を最
適に設定することが容易に行なえるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例にかかる空気調和機
を制御するためのプログラムのフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の一実施例にかかる空気調和機
の制御系のブロック図である。
【図3】図3は、図2に示される膨張弁制御装置12の
より詳細なブロック図である。
【図4】図4は、ファジィ推論を説明するための模式図
である。
【図5】図5は、本発明の一実施例の空気調和機のファ
ジィ推論において用意されるファジィラベルを示す図で
ある。
【図6】図6は、本発明の一実施例の空気調和機のファ
ジィ推論において用いられるルールの一部を示す図であ
る。
【図7】図7は、本発明の一実施例の空気調和機のファ
ジィ推論に用いられるルールの一部を示す図である。
【図8】図8は、本発明の一実施例の空気調和機のファ
ジィ推論において用いられるルールの一部を示す図であ
る。
【図9】図9は、本発明の一実施例の空気調和機のファ
ジィ推論において用いられる、各ファジィラベルに対応
したメンバシップ関数を示す図である。
【図10】図10は、本発明の一実施例の空気調和機の
ファジィ推論処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、従来の、輻射パネルを用いた空気
調和機の制御系のブロック図である。
【符号の説明】
1 空気調和機 2 圧縮機 3 凝縮器 4、5、9 膨張弁 6 蒸発器 7 管路 8 輻射パネル 10 室内温湿度検出センサ 11 輻射パネル表面温度検出センサ 12 膨張弁制御装置 14〜17 温度検出センサ 18、19 送風機 20 輻射パネル台数設定装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F25B 5/02 520 F24F 1/00 346 F24F 11/02 102 F25B 13/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷媒が所定の方向に流通する管路と、こ
    の管路中に、前記方向に沿ってこの順序で連結されて冷
    凍サイクルを構成するための圧縮器と、凝縮器と、第1
    の膨張弁と、蒸発器とを含む空気調和器であって、さら
    に前記蒸発器と並列に前記冷凍サイクル内に組込まれる
    ように前記管路に連結され、輻射熱を吸収して熱交換に
    より前記冷媒に伝達するための輻射熱交換手段と、 前記輻射熱交換手段と前記管路との間に設けられ、他か
    ら与えられる制御信号に応答して、前記凝縮器から前記
    管路を流通してくる前記冷媒を断熱膨張させるととも
    に、前記制御信号により特定される量だけ前記輻射熱交
    換手段に与えるための第2の膨張弁と、 室内温湿度を検出するための室内温湿度検出手段と、 前記輻射熱交換手段における前記冷媒の過熱度を検出す
    るための過熱度検出手段と、 前記室内温湿度検出手段と、前記過熱度検出手段との出
    力に応答して、前記第2の膨張弁の操作量を決定し、前
    記制御信号を前記第2の膨張弁に与えるための膨張弁操
    作量決定手段とを含み、 前記膨張弁操作量決定手段は、 前記室内温湿度検出手段の出力する室内温湿度に基づい
    て室内露点温度を算出するための露点温度算出手段と、 前記室内温湿度検出手段の出力する室内温度と前記露点
    温度算出手段の出力する前記室内露点温度とに基づい
    て、前記室内温度と前記室内露点温度との差の、単位時
    間あたりの変化量を検出するための室内温度露点温度差
    変化量検出手段と、 予め定める目標過熱度と、前記過熱度検出手段の出力す
    る検出過熱度との差を検出するための過熱度偏差検出手
    段と、 前記過熱度偏差検出手段の出力に基づき、過熱度偏差の
    単位時間あたりの変化量を検出するための過熱度偏差変
    化量検出手段と、 前記室内温度露点温度差変化量検出手段と、前記過熱度
    偏差検出手段と、前記過熱度偏差変化量検出手段との出
    力を入力変数として、所定の推論方式に従って推論を行
    ない前記第2の膨張弁の操作量を決定するための推論手
    段とを含む、空気調和機。
  2. 【請求項2】 前記推論手段は、前記室内温度露点温度
    差変化量検出手段と、前記過熱度偏差検出手段と、前記
    過熱度偏差変化量検出手段との出力を入力変数として、
    ファジィ推論を行ない前記第2の膨張弁の操作量を決定
    するためのファジィ推論手段を含む、請求項1に記載の
    空気調和機。
  3. 【請求項3】 前記膨張弁操作量決定手段はさらに、各
    前記入力変数の値に、それぞれ所定の換算係数を乗ずる
    ことによって規格化して前記ファジィ推論手段に与える
    ための規格化手段を含む、請求項2に記載の空気調和
    機。
  4. 【請求項4】 前記膨張弁操作量決定手段はさらに、前
    記換算係数の値を、前記冷凍サイクルの被制御系の条件
    に応じて変化させるための換算係数変更手段を含む、請
    求項3に記載の空気調和機。
  5. 【請求項5】 前記換算係数変更手段は、前記冷凍サイ
    クルの被制御系における前記輻射熱交換手段の制御定数
    を設定するための制御定数設定手段と、 前記輻射熱交換手段の、予め定める複数個の制御定数の
    値と、各前記制御定数の値に応じてそれぞれ予め一通り
    に定められる、各前記入力変数の換算係数の値との組を
    格納するための記憶手段と、 前記制御定数設定手段に設定された制御定数に対応した
    換算係数を前記記憶手段から読出して前記規格化手段に
    与えるための読出手段とを含む、請求項4に記載の空気
    調和機。
  6. 【請求項6】 冷媒が所定の方向に流通する管路と、こ
    の管路中に、前記方向に沿ってこの順序で連結されて冷
    凍サイクルを構成するための圧縮器と、凝縮器と、第1
    の膨張弁と、蒸発器とを含む空気調和器であって、さら
    に前記蒸発器と並列に前記冷凍サイクル内に組込まれる
    ように前記管路に連結された輻射パネルと、 前記輻射パネルと前記管路との間に設けられた第2の膨
    張弁とを含み、前記第2の膨張弁は断熱膨張された前記
    冷媒を他から与えられる制御信号により特定される量だ
    け前記輻射パネルに与え、さらに、 前記輻射パネルの近傍に設けられる湿度センサと、 前記輻射パネルの入口および出口における前記冷媒の温
    度を検出するための温度センサと、 前記湿度センサの出力と、前記温度センサの出力とに応
    答して、前記第2の膨張弁の操作量を決定し、前記制御
    信号を前記第2の膨張弁に与えるための処理プログラム
    を実行する中央処理装置とを含み、 前記中央処理装置が実行する前記処理プログラムが実現
    する機能は、 前記湿度センサの出力する室内温湿度に基づいて室内露
    点温度を算出する露点温度算出手段と、 前記湿度センサの出力する室内温度と、前記露点温度算
    出手段で算出される前記室内露点温度とに基づいて、前
    記室内温度と前記室内露点温度との差の、単位時間あた
    りの変化量を検出するための室内温度露点温度差変化量
    検出手段と、 予め定める目標過熱度と、前記温度センサの出力より計
    算される、前記輻射パネルの過熱度との差を検出するた
    めの過熱度偏差検出手段と、 前記過熱度偏差検出手段の出力に基づき、過熱度偏差の
    単位時間あたりの変化量を検出するための過熱度偏差変
    化量検出手段と、 前記室内温度露点温度差変化量検出手段と、前記過熱度
    偏差検出手段と、前記過熱度偏差変化量検出手段との出
    力を入力変数として、所定の推論方式に従って推論を行
    ない前記第2の膨張弁の操作量を決定するための推論手
    段とを含む、空気調和機。
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