JP2806659B2 - 指向追尾装置 - Google Patents

指向追尾装置

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JP2806659B2
JP2806659B2 JP26929291A JP26929291A JP2806659B2 JP 2806659 B2 JP2806659 B2 JP 2806659B2 JP 26929291 A JP26929291 A JP 26929291A JP 26929291 A JP26929291 A JP 26929291A JP 2806659 B2 JP2806659 B2 JP 2806659B2
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好徳 有本
光夫 野原
恵三 稲垣
雅行 藤瀬
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株式会社エイ・ティ・アール光電波通信研究所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、周回衛星から静止衛星
を指向追尾する衛星間通信システムのための指向追尾装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】将来の宇宙における人類の活動を支える
基盤技術として衛星間通信システムの研究が進められて
いる。例えば、周回軌道に打ち上げられた地球観測衛星
によって取得された地球全体に関する大量のデータを効
率よく地上の管制局に伝送するためのデータ中継システ
ムにおいて、光又はマイクロ波による衛星間通信の技術
が用いられようとしている。
【0003】例えば衛星間光通信においては、非常に鋭
いビームを有するレーザ光を相手局の衛星に正確に指向
させる必要がある。特に、周回衛星に搭載される光通信
機においては、対向する衛星の方向が互いの軌道配置に
よって大きく変化するため、高い精度と広い指向範囲を
もった指向追尾制御装置が必要になる。このような広い
指向範囲を実現するため、地上の望遠鏡の駆動軸に関す
る研究成果などに基づいて、多くの方式が、例えばダブ
リュー・エル・キャーシー(W.L.Casey)ほか
による文献「代表的な指向光学系と関連するジンバル特
性(Representative pointed
optics and associated gim
bal characteristics)」SPI
E,Vol.887,アクィジションとトラッキングと
ポインティング(Acquisition,Track
ing and Pointing)II,1988年
(以下、第1の文献という。)に紹介されている。この
第1の文献においては、半球以上にわたる指向追尾を実
現するための2軸ジンバル方式が議論されており、その
中で、2軸ジンバルを用いる限り、アジマス軸に平行な
方向でいわゆるジンバルロックが必ず発生し、この方向
から少なくとも5度以上離れないと正常な指向追尾制御
を行なうことができないことが述べられている。
【0004】また、高速に運動している周回衛星を追尾
する望遠鏡システムとして、ベイカー・ナン(Bake
r−Nunn)・カメラが、ケー・ジー・ヘナイズ
(K.G.Henize)による文献「ベイカー・ナン
衛星トラッキングカメラ(TheBaker−Nunn
satellite tracking camer
a)」スカイ・アンド・テレスコープ(Sky and
Telescope),Vol.16,pp.108
−111(以下、第2の文献という。)に提案されてい
る。このベイカー・ナン・カメラは従来の2軸ジンバル
に第3の駆動軸を設けて、高速に運動している周回衛星
を追尾している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】いま、代表的な2軸A
z・Elマウント型ジンバル(以下、2軸ジンバルとい
う。)を、代表的な低高度周回軌道の1つである太陽同
期極軌道上を運動するランドサット衛星(以下、LEO
衛星という。)に設け、図2に示すように、LEO衛星
から静止衛星(以下、GEO衛星という。)を追尾した
場合について説明する。図2において、各衛星のY軸を
速度ベクトルの反対方向にとり、Z軸を軌道面に対する
法線方向にとり、さらに、X軸をY軸とZ軸に対してと
もに垂直な方向にとる。なお、GEO衛星のZ軸は、天
球上の北極の方向に一致し、また、各衛星の軌道が円で
ある場合には、各衛星のX軸は地球の中心に向かう方向
(以下、地球方向という。)に一致する。ここで、2軸
ジンバルは互いに直交するアジマス軸(方位角軸)とエ
レベーション軸(仰角軸)とを有し、当該エレベーショ
ン軸に対して垂直な方向に放射方向を有する光アンテナ
を上記エレベーション軸に連動して回転可能に設け、ア
ジマス軸とエレベーション軸をステッピングモータを用
いて回転駆動させることにより指向追尾を行なう。ま
た、当該2軸ジンバルはそのアジマス軸が図2に示した
LEO衛星のZ軸に平行となるように設けられる。
【0006】図3は、LEO衛星からGEO衛星を見た
ときの経過時間に対するアジマスを示すグラフであり、
図4は、LEO衛星からGEO衛星を見たときの経過時
間に対するエレベーション(仰角)を示すグラフであ
る。図3及び図4のシミュレーション結果から明らかな
ように、LEO衛星に設けられる指向追尾装置において
は、アジマスを±180度の範囲で変化させかつエレベ
ーションを±90度の範囲で変化させる指向追尾機能を
設ける必要があることがわかる。また、図3から明らか
なように、GEO衛星に対する方向がアジマス軸に概ね
平行となるとき、すなわち図4に示すようにエレベーシ
ョンが±90度付近であるとき、当該平行となる前後で
アジマス軸を反転させるようなアジマスの急激な変化
(図3における中央部及び右端部)が生じるとともに、
反転はしないがGEO衛星がアジマス軸の方向に近付く
に従ってアジマスが急激に変化する場合(図3における
左端部)が生じる。実際の指向追尾装置においては、各
軸の駆動速度は有限であり、また、従来の技術ではアジ
マスを反転させることができないので、このような急激
な変化が生じると追尾を継続することができなくなる。
このような現象が、上記のジンバルロックである。
【0007】また、第2の文献で提案されたベイカー・
ナン・カメラは、周回衛星に対して地上の望遠鏡を効率
的に駆動することを目的とするもので、衛星間通信で必
要とされる広い指向追尾範囲を実現するものではなく、
衛星間通信で用いるための具体的な駆動方法は開示され
ていない。
【0008】本発明の第1の目的は以上の課題を解決
し、少なくとも半球以上の広い指向方向にわたって上記
ジンバルロックを回避することができ周回衛星から静止
衛星を安定に指向追尾することができる指向追尾装置を
提供することにある。本発明の第2の目的は以上の課題
を解決し、すべての指向方向にわたって上記ジンバルロ
ックを回避することができ周回衛星から静止衛星を安定
に指向追尾することができる指向追尾装置を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載の指向追尾装置は、周回衛星から静止衛星を指向追尾
する衛星間通信システムのために上記周回衛星に設けら
れ、互いに直交するアジマス軸とエレベーション軸とを
有するジンバルを備えた指向追尾装置において、上記周
回衛星を原点としかつ当該原点から地球方向への軸を基
準軸とした座標系において、上記静止衛星の軌道半径に
対する上記周回衛星の軌道半径の比の値の逆正接の角度
だけ、上記周回衛星の軌道面の法線方向から地球方向に
傾斜された方向に、上記アジマス軸が平行となるよう
に、上記ジンバルを設けたことを特徴とする。
【0010】また、本発明に係る請求項2記載の指向追
尾装置は、周回衛星から静止衛星を指向追尾する衛星間
通信システムのために上記周回衛星に設けられ、互いに
直交するアジマス軸とエレベーション軸とを有するジン
バルを備えた指向追尾装置において、上記ジンバルはさ
らに上記アジマス軸に対して垂直な第3軸を備え、上記
指向追尾装置はさらに、上記周回衛星を原点としかつ当
該原点から地球方向への軸を基準軸とした座標系におい
て、上記静止衛星の軌道半径に対する上記周回衛星の軌
道半径の比の値の逆正接の角度だけ、上記周回衛星の軌
道面の法線方向から地球方向に傾斜された方向に、上記
アジマス軸が平行となるように、上記第3軸を回転させ
る制御手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
【作用】請求項1記載の指向追尾装置においては、上記
周回衛星を原点としかつ当該原点から地球方向への軸を
基準軸とした座標系において、上記静止衛星の軌道半径
に対する上記周回衛星の軌道半径の比の値の逆正接の角
度だけ、上記周回衛星の軌道面の法線方向から地球方向
に傾斜された方向に、上記アジマス軸が平行となるよう
に、上記ジンバルを設けている。これによって、例えば
上記アジマス軸がアジマス±180°にわたって回転駆
動される場合に、上記静止衛星が存在しない方向とジン
バルロックが発生する仰角+90度の方向(図1におけ
る上方向)とを一致させることができる。このとき、図
5を参照して詳細後述するように、上記静止衛星が存在
しない所定の方向の領域(後述するNP領域に対応す
る。)の中心に向かう方向を中心とする、少なくとも半
球の指向方向にわたってジンバルロックを回避すること
ができる。すなわち、駆動軸を少し傾斜させることによ
って新たな装置及び機構を追加することなしに少なくと
も半球にわたってジンバルロックを回避することができ
る。
【0012】また、請求項2記載の指向追尾装置におい
ては、上記ジンバルはさらに上記アジマス軸に対して垂
直な第3軸を備え、上記制御手段は、上記周回衛星を原
点としかつ当該原点から地球方向への軸を基準軸とした
座標系において、上記静止衛星の軌道半径に対する上記
周回衛星の軌道半径の比の値の逆正接の角度だけ、上記
周回衛星の軌道面の法線方向から地球方向に傾斜された
方向に、上記アジマス軸が平行となるように、上記第3
軸を回転させる。これによって、上記周回衛星の軌道面
に対して上下両方の半球についても、上記周回衛星の軌
道面の法線方向から地球方向に上記角度だけ傾斜された
方向を方向領域の中心としかつ上記静止衛星が上記静止
衛星が存在しない2つの方向領域に近付くときに、当該
方向領域(後述するNP領域に対応する。)の中心にア
ジマス軸を向けることができる。従って、すべての指向
方向にわたってジンバルロックを回避することができ
る。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明に係る実施例に
ついて説明する。
【0014】<第1の実施例>図1は、本発明に係る第
1の実施例である2軸ジンバル100を備えた指向追尾
装置の斜視図及びブロック図である。
【0015】この第1の実施例の指向追尾装置は、互い
に直交したアジマス軸1とエレベーション軸2とを有す
る2軸ジンバル100を備え、LEO衛星からGEO衛
星を見たときにGEO衛星に対する方向を極座標(co
s(El),Az)で図5に図示した、GEO衛星が存
在しないヌル・ポインティング領域(Null Poi
nting Region)(以下、NP領域とい
う。)NPRの中心NPRCに対する方向が上記アジマ
ス軸と平行となるように上記2軸ジンバルをLEO衛星
に設けたことを特徴としている。ここで、Elはエレベ
ーションであり、Azはアジマスである。
【0016】図5に、LEO衛星からGEO衛星を見た
ときの単位方向ベクトルの軌道面に対する射影方向を示
す。図5は、アジマスAzとエレベーションElを極座
標(cos(El),Az)で表示した図であり、ここ
で、1分毎のGEO衛星の方向を記号□で示している。
図5において、極座標(1(=cos0°),0°)の
点Eaが地球方向であり、当該極座標の中心からこの地
球方向の点Eaに向かう軸を基準軸として上記中心から
反時計回りの偏角がアジマスに相当し、上記中心からの
動径がエレベーションElの余弦値に相当する。さら
に、図5における右側の空白領域NSAは、GEO衛星
が地球の陰に入ってLEO衛星から見えなくなることを
示している。
【0017】図5から明らかなように、図5の極座標の
中心(0,0)から図上右側方向の上記基準軸上に中心
NPRCを有する円形の空白領域が存在する。この空白
領域は、上述のようにGEO衛星が存在しないNP領域
NPRであり、LEO衛星から見たGEO衛星の方向の
変化は、当該NP領域NPRの中心NPRCを中心とし
た渦巻き状の運動をなす。このNP領域NPRの中心N
PRCの極座標(sin(E0),A0)とその半径r0
を、LEO衛星とGEO衛星の幾何学的配置を示す図6
を参照して以下に求める。なお、当該計算においても、
「発明が解決しようとする課題」の項で述べた、図2に
おける座標軸の定義を用いる。
【0018】当該計算を簡単化するために、2つの衛星
の軌道はともに円であるとし、図6における各パラメー
タ及び各位置の点を次のように定義する。 (a)点A:LEO衛星の周回軌道における最北端の位
置である。 (b)点B:LEO衛星の周回軌道における最南端の位
置である。 (c)au:LEO衛星の軌道半径である。 (d)ae:GEO衛星の軌道半径である。 (e)θ:LEO衛星において軌道面と赤道面がなす角
度である軌道面傾斜角iの90°からの偏差の絶対値│
90°−i│である。 (f)点P:点AとGEO衛星の位置Sとを結ぶ直線
と、地球の中心OからLEO衛星の軌道面に対して垂直
に引いた垂線との交点である。 (g)点Q:直線BSと直線OPとの交点である。 (h)点S’:直線BPと直線AQとの交点である。 (i)点O’:直線OPと直線SS’との交点である。 (j)点R:直線OPに平行な直線を点Aから引いたと
きの、直線SS’との交点である。
【0019】従って、直線RO’と直線AOは互いに平
行であってそれらの長さはauに等しくなる。ここで、
上記NP領域NPRの中心NPRCの軌道面法線に対す
る傾斜角E0は∠O’ARとなり、図6における三角形
OAO’の関係から、上記E0は次の「数1」で表され
る。
【数1】E0=tan-1(au/ae
【0020】また、LEO衛星の座標軸の定義から、上
記A0は次の「数2」で表される。
【数2】A0=0
【0021】さらに、NP領域NPRは、点Aから、点
O’を中心とする半径O’Sの円の内側を見た方向に相
当し、その半径r0は次の「数3」で表される。
【数3】r0≒θ
【0022】上記「数3」から明らかなように、厳密な
極軌道(i=90°であり、従って、θ=0°)を除け
ば、NP領域NPRの半径r0は一定の大きさθを有
し、NP領域NPRは必ず存在することがわかる。ま
た、その中心NPRCは、点Oを中心とする半径au
円運動を行なうLEO衛星の軌道運動に伴うGEO衛星
に向かう方向の見かけの方向の変化である視差によって
LEO衛星の軌道面の法線OPから角度E0だけ地球方
向に傾斜しており、その傾斜角E0は上記「数1」で示
すように、静止軌道の半径aeと周回軌道の半径auの比
で決定される。
【0023】また、図5における記号□の間隔から、G
EO衛星に向かう方向の渦巻き状の変化は、NP領域N
PRを中心とするLEO衛星の公転速度に同期した角速
度が一定の円運動と、GEO衛星の公転運動の周期に同
期した半径の増減変化の合成になっていることがわか
る。
【0024】図1を参照して、以下本実施例の2軸ジン
バル100を備えた指向追尾装置について、GEO衛星
とLEO衛星間で光通信を行なうことを仮定して説明す
る。
【0025】図1に示すように、2軸ジンバル100
は、互いに直交するアジマス軸1とエレベーション軸2
とを有し、当該アジマス軸が上記NP領域NPRの中心
NPRCに向かう方向と平行となるように、すなわちL
EO衛星の軌道面の法線方向から上記計算された所定の
角度E0だけ地球方向に傾斜された方向と平行となるよ
うに、当該2軸ジンバル100がLEO衛星に設けられ
る。ここで、アジマス軸1をアジマス±180°にわた
って回転駆動するためにエレベーション軸2を支持する
U形状の支持部材23の下部にステッピングモータ21
が設けられ、また、エレベーション軸2を±90°のエ
レベーションElにわたって回転駆動するために支持部
材23の両先端部23a,23bのうちの一方23bの
外側にステッピングモータ21が設けられる。さらに、
LEO衛星からの放射方向100がエレベーション軸2
と直交するようにエレベーション軸2と連動して回転可
能にカセグレン型光アンテナ10が支持部材23の各先
端部23a,23b間に設けられる。
【0026】光アンテナ10は、光通信機30と接続さ
れた放射器(図示せず。)と主反射鏡11と副反射鏡1
2とを備え、光通信機30から出力される光信号は当該
放射器から放射された後、副反射鏡12及び主反射鏡1
1で反射された後、エレベーション軸2と垂直な方向の
放射方向100でGEO衛星に向けて放射される。ま
た、GEO衛星からLEO衛星に向けて放射される光信
号は主反射鏡11及び副反射鏡12で反射された後、放
射器を介して光通信機30に入力される。
【0027】光通信機30は、GEO衛星に搭載される
光通信機との光通信を行なうための送受信機(図示せ
ず。)と、GEO衛星からの光信号に基づいてLEO衛
星からGEO衛星を見たときの方向を検出する方向検出
器31を備える。方向検出器31は、当該光アンテナ1
0で受信されたGEO衛星からの光信号に基づいて、現
在GEO衛星に向いている光アンテナ10の放射方向1
00と、LEO衛星からGEO衛星を見たときの実際の
方向との間の誤差情報を含む追尾誤差信号を発生してコ
ントローラ32に出力する。コントローラ32は、入力
される追尾誤差信号に基づいて、光アンテナ10の放射
方向100がGEO衛星の方向となるような、アジマス
軸1の駆動角度及び角速度と、エレベーション軸2の駆
動角度及び角速度とを計算した後、計算された前者に基
づいて駆動信号を発生してステッピングモータ21に出
力して回転駆動するとともに、計算された後者に基づい
て駆動信号を発生してステッピングモータ22に出力し
て回転駆動する。これによって、光アンテナ10の放射
方向100がGEO衛星の方向からずれた場合であって
も、GEO衛星の方向を指向追尾することができる。
【0028】以上説明したように、本実施例において
は、2軸ジンバル100のアジマス軸1をLEO衛星の
軌道面の法線方向から上記計算された所定の角度E0
け地球方向に傾斜された方向と平行となるように設けた
ので、アジマス軸1が上記NP領域NPRの中心NPR
Cに向かう方向と平行となる。従って、アジマス軸1が
アジマス±180°にわたって回転駆動される場合に、
GEO衛星が存在しない方向とジンバルロックが発生す
る仰角+90度の方向(図1における上方向)とを一致
させることができる。このとき、図5を参照して詳述し
たように、GEO衛星が存在しないNP領域NPRの中
心NPRCに向かう方向を中心とする、少なくとも半球
の指向方向にわたってジンバルロックを回避することが
できる。すなわち、駆動軸を少し傾斜させることによっ
て新たな装置及び機構を追加することなしに少なくとも
半球にわたってジンバルロックを回避することができ
る。
【0029】さらに、このような2つの衛星の軌道運動
を考慮した軸配置をとることにより、各軸の駆動速度が
一様になり、サーボ系の装置構成が簡単になる。すなわ
ち、アジマス軸1は周回軌道の軌道周期に同期したほぼ
一様な回転運動となり、エレベーション軸2は静止軌道
の軌道周期(1日)に同期した反復運動となる。従っ
て、アジマス軸1については片方向の回転のみに限定
し、エレベーション軸2については小さな駆動速度のみ
に限定して指向追尾の制御を行なうように装置構成を行
なうことができる。
【0030】<第2の実施例>図7は、本発明に係る第
2の実施例である指向追尾装置のための3軸ジンバル2
00の斜視図である。
【0031】この第2の実施例の指向追尾装置は、第1
の実施例と同様にLEO衛星に設けられる装置であっ
て、図7に示すように、互いに直交するアジマス軸1a
とエレベーション軸2aを備えるとともに、アジマス軸
1aに対して垂直な軸方向を有する第3軸3をエレベー
ション軸2aの下部に設け、GEO衛星がLEO衛星の
軌道面の上側に位置するNP領域NPRに近付くときに
アジマス軸1aが上記所定の角度+E0だけ地球方向に
傾斜し、一方、GEO衛星がLEO衛星の軌道面の下側
に位置するNP領域NPRに近付くときにアジマス軸1
aを上記所定の角度−E0だけ地球方向に傾斜するよう
に第3軸3を回転駆動することを特徴としている。な
お、図7においては、各軸1a,2a,3を回転駆動す
るためのステッピングモータ21a,22a,24に駆
動信号を出力するコントローラ及び光通信機について
は、第1の実施例と同様に構成されるので、その図示及
びその説明を省略する。また、本実施例において、上下
の位置関係は、図7において図上上側を向いているLE
O衛星の軌道面の法線ベクトルを基準にして当該法線ベ
クトルの方向を上側の方向とし、その反対方向を下側の
方向とする。ここで、当該LEO衛星の軌道面法線ベク
トルは、右ねじの法則に従ってLEO衛星の公転運動に
対応して設定される。
【0032】ところで、上述の第1の実施例において
は、すべての方向にわたってジンバルロックを回避する
ことができない。なぜならば、図5は、GEO衛星に向
かう方向のLEO衛星の軌道面への射影成分の変化を示
しており、図5における1点はLEO衛星の軌道面の上
側と下側の2つの方向を示しており、この2つの方向は
軌道面に関して互い鏡像の関係にある。従って、第1の
実施例のように固定した1つの軸配置では、鏡像関係に
ある軌道面に対する上下2つのNP領域NPRの中心N
PRCに向かう方向にアジマス軸を一致させることはで
きない。そこで、第2の実施例においては、図7に示す
ように、第3軸3を設け、この第3軸3を静止軌道の軌
道周期に同期して最大±E0の角度だけ傾斜させる。な
お、図7において、+E0で示された1点鎖線の方向が
LEO衛星の軌道面に対して上側のNP領域NPRの中
心NPRCに向かう方向であり、−E0で示された1点
鎖線の方向がLEO衛星の軌道面に対して下側のNP領
域NPRの中心NPRCに向かう方向である。
【0033】図7に示すように、当該3軸ジンバル20
0は、アジマス軸1aと、エレベーション軸2aと、第
3軸3とを備え、エレベーション軸2aは回転可能に設
けられるアジマス軸1aと直交しかつアジマス軸1aか
らオフセットされて回転可能に設けられ、また、第3軸
3はLEO衛星の軌道面内にあり、アジマス軸1a及び
地球方向と直交しかつアジマス軸1aから地球方向にオ
フセットされてエレベーション軸2aよりも下部に設け
られる。なお、第3軸3によってアジマス軸1aを傾斜
させないときは、アジマス軸1aがLEO衛星の軌道面
の法線方向に一致するように、3軸ジンバル200がL
EO衛星に設けられる。さらに、アジマス軸1aとエレ
ベーション軸2aと第3軸3はそれぞれ、各軸に設けら
れたステッピングモータ21a,22a,24によって
回転駆動される。
【0034】以上のように構成された第2の実施例の指
向追尾装置において、GEO衛星がLEO衛星の軌道面
の上側に位置するNP領域NPRに近付くときにアジマ
ス軸1aが上記所定の角度+E0だけ地球方向に傾斜
し、一方、GEO衛星がLEO衛星の軌道面の下側に位
置するNP領域NPRに近付くときにアジマス軸1aを
上記所定の角度−E0だけ地球方向に傾斜するように第
3軸3を回転駆動する。これによって、LEO衛星の軌
道面に対して上下両方の半球についてもGEO衛星がN
P領域NPRに近付くときにNP領域NPRの中心NP
RCにアジマス軸1aを向けることができる。従って、
すべての指向方向にわたってジンバルロックを回避する
ことができる。
【0035】以上の第2の実施例において、エレベーシ
ョン軸2aをアジマス軸1aに対してオフセットして設
けているが、これはアジマス軸1aの下方向を追尾する
ときの駆動軸のブロッキングを回避するためであり、本
発明はこれに限定されない。また、第3軸3をアジマス
軸1aに対してオフセットして設けているが、これも本
質的でなく、本発明はこれに限定されない。
【0036】<他の実施例>以上の実施例において、L
EO衛星からGEO衛星を指向追尾するためにLEO衛
星に設けられる指向追尾装置について述べているが、本
発明はこれに限らず、静止衛星を指向追尾するために周
回衛星に設けられる指向追尾装置に広く適用することが
できる。
【0037】以上の実施例においては、衛星間光通信へ
の適用について述べているが、本発明はこれに限らず、
マイクロ波を用いた衛星間通信にそのまま適用すること
ができる。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る請求項
1記載の指向追尾装置によれば、周回衛星から静止衛星
を指向追尾する衛星間通信システムのために上記周回衛
星に設けられ、互いに直交するアジマス軸とエレベーシ
ョン軸とを有するジンバルを備えた指向追尾装置におい
て、上記周回衛星を原点としかつ当該原点から地球方向
への軸を基準軸とした座標系において、上記静止衛星の
軌道半径に対する上記周回衛星の軌道半径の比の値の逆
正接の角度だけ、上記周回衛星の軌道面の法線方向から
地球方向に傾斜された方向に、上記アジマス軸が平行と
なるように、上記ジンバルを設けている。従って、少な
くとも半球の指向方向にわたってジンバルロックを回避
することができる。すなわち、駆動軸を少し傾斜させる
ことによって新たな装置及び機構を追加することなしに
少なくとも半球にわたってジンバルロックを回避するこ
とができるという利点がある。
【0039】また、請求項2記載の指向追尾装置におい
ては、上記ジンバルはさらに上記アジマス軸に対して垂
直な第3軸を備え、上記指向追尾装置はさらに、上記周
回衛星を原点としかつ当該原点から地球方向への軸を基
準軸とした座標系において、上記静止衛星の軌道半径に
対する上記周回衛星の軌道半径の比の値の逆正接の角度
だけ、上記周回衛星の軌道面の法線方向から地球方向に
傾斜された方向に、上記アジマス軸が平行となるよう
に、上記第3軸を回転させる制御手段を備えている。従
って、上記周回衛星の軌道面に対して上下両方の半球に
ついても、上記周回衛星の軌道面の法線方向から地球方
向に上記角度だけ傾斜された方向を方向領域の中心とし
かつ上記静止衛星が上記静止衛星が存在しない2つの方
向領域に近付くときに、当該方向領域の中心にアジマス
軸を向けることができ、これによって、すべての指向方
向にわたってジンバルロックを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施例である2軸ジンバ
ルを備えた指向追尾装置の斜視図及びブロック図であ
る。
【図2】 LEO衛星とGEO衛星の各軌道配置と各座
標軸を示す斜視図である。
【図3】 LEO衛星からGEO衛星を見たときの経過
時間に対するアジマスを示すグラフである。
【図4】 LEO衛星からGEO衛星を見たときの経過
時間に対するエレベーションを示すグラフである。
【図5】 LEO衛星からGEO衛星を見たときの単位
方向ベクトルの軌道面に対する射影方向を極座標で示す
図である。
【図6】 LEO衛星とGEO衛星の幾何学的配置を示
す斜視図である。
【図7】 本発明に係る第2の実施例である指向追尾装
置のための3軸ジンバルの斜視図である。
【符号の説明】
1,1a…アジマス軸、 2,2a…エレベーション軸、 3…第3軸、 10…光アンテナ、 21,22,21a,22a,24…ステッピングモー
タ、 30…光通信機、 31…方向検出器、 32…コントローラ、 100…放射方向、 NPR…NP領域、 NPRC…NP領域の中心。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 恵三 京都府相楽郡精華町大字乾谷小字三平谷 5番地 株式会社エイ・ティ・アール光 電波通信研究所内 (72)発明者 藤瀬 雅行 京都府相楽郡精華町大字乾谷小字三平谷 5番地 株式会社エイ・ティ・アール光 電波通信研究所内 (56)参考文献 特開 平2−242114(JP,A) 特開 平3−100483(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周回衛星から静止衛星を指向追尾する衛
    星間通信システムのために上記周回衛星に設けられ、互
    いに直交するアジマス軸とエレベーション軸とを有する
    ジンバルを備えた指向追尾装置において、 上記周回衛星を原点としかつ当該原点から地球方向への
    軸を基準軸とした座標系において、上記静止衛星の軌道
    半径に対する上記周回衛星の軌道半径の比の値の逆正接
    の角度だけ、上記周回衛星の軌道面の法線方向から地球
    方向に傾斜された方向に、上記アジマス軸が平行となる
    ように、上記ジンバルを設けたことを特徴とする指向追
    尾装置。
  2. 【請求項2】 周回衛星から静止衛星を指向追尾する衛
    星間通信システムのために上記周回衛星に設けられ、互
    いに直交するアジマス軸とエレベーション軸とを有する
    ジンバルを備えた指向追尾装置において、 上記ジンバルはさらに上記アジマス軸に対して垂直な第
    3軸を備え、 上記指向追尾装置はさらに、 上記周回衛星を原点としかつ当該原点から地球方向への
    軸を基準軸とした座標系において、上記静止衛星の軌道
    半径に対する上記周回衛星の軌道半径の比の値の逆正接
    の角度だけ、上記周回衛星の軌道面の法線方向から地球
    方向に傾斜された方向に、上記アジマス軸が平行となる
    ように、上記第3軸を回転させる制御手段を備えたこと
    を特徴とする指向追尾装置。
JP26929291A 1991-10-17 1991-10-17 指向追尾装置 Expired - Lifetime JP2806659B2 (ja)

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