JP2805716B2 - 有機金属化合物中の不純物分析法 - Google Patents

有機金属化合物中の不純物分析法

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JP2805716B2
JP2805716B2 JP16420391A JP16420391A JP2805716B2 JP 2805716 B2 JP2805716 B2 JP 2805716B2 JP 16420391 A JP16420391 A JP 16420391A JP 16420391 A JP16420391 A JP 16420391A JP 2805716 B2 JP2805716 B2 JP 2805716B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばジメチル亜鉛、
トリメチルガリウムおよびトリメチルアルミニウムのよ
うな有機金属化合物に含まれる不純物を分析する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機金属化合物は主に半導体等の電子材
料の製造原料に用いられている。電子材料は微量の不純
物が混在していても性能が低下するため、その製造原料
である有機金属化合物は限りなく高純度であることと、
製品としての純度を保証出来ることが強く望まれてい
る。有機金属化合物には純度向上のための精製技術とと
もに、純度を評価する高精度な分析技術の確立が大きな
要素技術となっている。しかし、不純物の分析技術は確
立されたものとは言えず、分離性や精度の面で以下のよ
うな問題がある。
【0003】有機化合物中の不純物の分析には一般にガ
スクロマトグラフが用いられてきたが、有機金属化合物
の場合はその種類により分析出来ない場合がある。例え
ば有機金属化合物の一種であるトリメチルガリウムは、
ガスクロマトグラフを用いて不純物を分離、分析するこ
とが可能である。しかしジメチル亜鉛を分析すると、主
成分であるジメチル亜鉛の溶出ピークと不純物であるヨ
ウ化メチルの溶出ピークが重なってしまい、熱伝導型検
出器や水素炎イオン化検出器のような一般的な検出器で
はヨウ化メチルを検出することが出来ない。ジメチル亜
鉛とヨウ化メチルの沸点が近く、保持時間が近接してい
るからである。この方法では液相にメチルシリコンを用
いた無極性カラムを採用しているために成分が沸点順に
溶出してしまい、近似沸点成分の重なりを避けられな
い。近似沸点成分の分離には、液相にポリエチレングリ
コールのような極性溶媒を用いた極性カラムの使用が一
般的であるが、高活性な有機金属化合物は強極性な液相
と反応して分解してしまうので、極性カラムは使用出来
ない。
【0004】また、試料としてトリメチルガリウムをガ
スクロマトグラフ分析した場合、主成分であるトリメチ
ルガリウムと不純物であるヨウ化メチルは分離分析出来
る。このとき、両成分の濃度はクロマトグラムのピーク
面積比から算出されるが、検出器の感度特性が物質によ
って異なるために、トリメチルガリウム中のヨウ化メチ
ルの相対的な増減は判定出来るが、この方法のみでヨウ
化メチルの絶対量を決定することは出来ない。このよう
な場合、不純物の既知量を有機金属化合物に加える内部
標準法を採用して相対感度を補正する必要があるが、試
料が高活性なために内部標準を添加することは不可能で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の課題を
解決するためなされたもので、有機金属化合物に含まれ
る多種類の不純物を正確かつ迅速に分析出来る分析法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明者らは、試料である有機金属化合物を予め
強極性物質(分解溶液)と接触させて分解し、不純物で
ある有機化合物を回収して測定することを試みた。有機
金属化合物の試料溶液を、不活性ガスで置換された分解
装置内の分解溶液に滴下して完全に分解した後、不純物
を分解装置内の溶液から回収する。分解操作と並行し
て、分解装置内の気相中の不純物をも捕集トラップで回
収する。それらの溶液をガスクロマトグラフへ導入すれ
ば、不純物を高精度に分析することが可能になる。この
分析法によれば、トリメチルガリウムをはじめ、ジメチ
ル亜鉛やトリメチルアルミニウムなど全ての有機金属化
合物の分析が可能である。しかし、この方法ではヨウ化
メチルのように分析可能な不純物が限られており、例え
ば、電子材料の品質特性上、特に問題になるテトラメチ
ルシランは測定できない。
【0007】本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、不純
物の検出の可否が不純物の沸点により決定されることを
見い出した。検出可能なヨウ化メチルは沸点が42.5℃で
あるために、その大部分は分解後の溶液中に存在してお
り、一部の気化したヨウ化メチルもトラップ捕集によっ
て完全に回収される。一方、検出不可能なテトラメチル
シランは、沸点が26.5℃と低く常温で気化するため、分
解後の溶液中には存在しない。また、気化したテトラメ
チルシランも捕集トラップを通過してしまい、捕集する
ことができない。
【0008】上記の知見に基いてなされた本発明の有機
金属化合物中の不純物分析法は、実施例に対応する図1
に示すように、滴下容器3、分解槽4および捕集トラッ
プ5がこの順に連結し、滴下容器3と分解槽4とが不活
性ガス源2に接続され、分解槽4に高極性物質水溶液か
らなる分解溶液24が収容され、捕集トラップ5に冷却
装置30が設けられた分解装置に、不活性ガス源2から
不活性ガスを送気して少なくとも滴下容器3内をガス置
換した後、滴下容器3を不活性ガス雰囲気に配置する工
程と、不活性ガス雰囲気下で有機金属化合物の試料を採
取して有機金属化合物に不活性な溶媒で希釈した試料溶
液20を滴下容器3に入れる工程と、分解装置内部を不
活性ガス置換する工程と、試料溶液20を分解溶液24
に滴下して有機金属化合物を分解するとともに、不活性
ガスの送気により分解装置内の気相中の不純物を冷却下
の捕集トラップ5で捕集して第1の分析用溶液を得る工
程と、試料溶液20の滴下およびトラップ捕集終了後に
分解槽4内部の試料溶液20と分解溶液24とから不純
物を含む試料溶液20を分液して第2の分析用溶液を得
る工程と、分解溶液24から不純物を抽出して第3の分
析用溶液を得る工程と、各分析用溶液中の不純物を分析
する工程とを含むことを特徴としている。
【0009】採取した有機金属化合物は、試料採取後の
分解を防止するためと、有機金属化合物を分解させる速
度を容易に制御するため、例えば、トルエン、キシレ
ン、ヘキサン、ベンゼンのような有機金属化合物に不活
性な有機溶媒で希釈している。溶媒は水分含有率が100p
pm以下のものを使用することが望ましい。水分含有率が
100ppm以上の場合は、採取した有機金属化合物が水分と
反応して分解するため、正確な定量値が得られなくな
る。
【0010】分解溶液24として用いる高極性物質水溶
液は、例えば 0.5〜20%の硝酸溶液が好適である。これ
以外にも、 0.2〜30%の塩酸溶液や 0.2〜30%の硫酸が
使用可能である。
【0011】捕集トラップ5の捕集溶液には、例えば、
トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエ
ーテル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、イソプロ
ピルアルコールのようなあらゆる有機溶媒が使用可能で
ある。捕集トラップ5の冷却温度は0〜-100℃の範囲が
好適である。
【0012】試料溶液20を分解溶液24に滴下する際
の有機金属化合物の滴下速度は0.1g/分以下に設定する
ことが望ましい。滴下速度が0.1g/分以上の場合は分解
ガスが急激に発生し、分解装置の気密性が破壊された
り、正確な定量値が得られなくなる。
【0013】不活性ガスの送気量は100ml/分以下に設定
することが望ましい。100ml/分以上の場合は分解装置の
気密性が破壊される場合があり、その場合は正確な定量
値が得られなくなる。また、捕集トラップ5での気液接
触時間が低下して捕集効率が低下する懸念がある。
【0014】本発明の不純物分析法が有効な有機金属化
合物としては、例えば、ジメチル亜鉛やトリメチルガリ
ウム、トリメチルアルミニウム、トリメチルインジウム
が挙げられる。
【0015】
【作用】試料である有機金属化合物は高活性であるが、
不活性ガス雰囲気下で採取、秤量されるために分解する
ことがなく試料重量が極めて高精度に秤量される。分解
溶液24に滴下された試料は主成分である有機金属化合
物が完全に分解し、不純物である有機化合物は滴下され
た試料溶液20や分解溶液24や分解装置内部の気相に
残留する。分解装置内部の気相中の不純物は、不活性ガ
スの送気により捕集トラップ5で捕集される。捕集トラ
ップ5は冷却されているために、気化しやすい低沸点の
不純物も確実に捕集される。試料溶液20や分解溶液2
4に残留した不純物および捕集トラップ5で捕集した不
純物を含む溶液には有機金属化合物が含まれていないた
め、分析用溶液として分析器に導入し、分離性の優れた
分析が可能である。また、内部標準の添加が可能なため
に高精度な定量分析が可能になる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。図
1に本発明の分析法に使用する分解装置の正面図を示
す。この装置は、不活性ガス供給部2、滴下容器3、分
解槽4および捕集トラップ5で構成される。
【0017】不活性ガス供給装置2は、高純度窒素が充
填された不活性ガス源11、バルブ12および流量調整
器13をこの順に接続したものである。流量調整器13
は配管14を介して滴下容器3へ接続される。
【0018】滴下容器3はコック付曲管15と均圧滴下
ロート16とで構成される。均圧滴下ロート16の出口
側にはコック16aが設けられている。また、ロート1
6には、その入口部と出口部とを連絡してコック16a
を迂回するバイパス流路17が並設される。バイパス流
路17の途中にはコック17aが設けられている。ロー
ト16は連結導入管18と平底フラスコ19とからなる
分解槽4に連結される。
【0019】連結導入管18はロート16から流入した
液体をフラスコ19に導く細管22と、フラスコ19に
気密に連結して内部の気体を外部へ排出するための分岐
管23とを一体に形成した管である。フラスコ19には
有機金属化合物を分解するための高極性物質水溶液から
なる分解溶液24が収容されている。分岐管23は曲管
27と塩化カルシウムを充填した水分吸収管28とを介
して捕集トラップ5に接続されている。捕集トラップ5
は、例えばトルエンやキシレンなどの有機溶媒15mlを入
れたトラップ管5a・5b・5cを直列に接続したもの
である。トラップ管5a・5b・5cは冷却槽30内に
配置される。
【0020】この装置は以下のように使用する。250ml
の平底フラスコ19に分解溶液24および回転子25を
入れる。フラスコ19に連結導入管18を取付けて分解
槽4を組立て、マグネティックスタラ26上に配置す
る。均圧滴下ロート16にコック付曲管15を取付けて
滴下容器3を組立て、分解槽4の連結導入管18へ接続
する。コック付曲管15には不活性ガス供給部2に接続
する。連結導入管18の分岐管23を曲管27および水
分吸収管28を介して捕集トラップ5へ接続する。捕集
トラップ5が配置された冷却槽30にはドライアイス−
メタノール(ドライアイスで冷却したメタノール)31
を入れ、トラップ管5a・5b・5cを−77℃程度に冷
却しておく。
【0021】コック15a・16aを開き、バルブ12
を操作して高純度窒素11を送気し、流量調整器13で
通気速度を100ml/分に設定する。このとき、各接続部か
ら漏洩のないことを確認しておく。30分間通気後にコッ
ク17aを開き、コック16aを閉じる。更に10分後に
バルブ12を操作して高純度窒素11の送気を停止し、
コック15a・17aを閉じる。この状態でコック付曲
管15から捕集トラップ5へ至る分解装置内部は不活性
ガスで置換される。
【0022】滴下容器3を不活性ガス供給部2および分
解槽4から分離し、窒素ガスを満たした不活性ガスボッ
クス(不図示)に入れる。
【0023】試料採取容器として蓋付テフロン容器を用
意する。試料採取容器には有機金属化合物に不活性な希
釈溶媒15mlを入れておく。試料採取容器を不活性ガスボ
ックスに入れ、窒素ガス雰囲気下で有機金属化合物の試
料ボンベから試料を採取して試料溶液を作成する。試料
の採取量は2g 程度で、その重量は採取前後の重量差か
ら求める。希釈溶媒はトルエンやキシレンのような有機
金属化合物に不活性な有機溶媒で、水分含有率が20ppm
以下のものを使用する。
【0024】次に、先に不活性ガスボックスに入れた滴
下容器3のコック付曲管15を外し、試料溶液20を試
料採取容器から滴下溶液3へ移した後、コック付曲管1
5を再度装着する。なお、不活性ガスボックスが十分大
きい場合には試料採取容器として滴下容器3そのものを
使用する方が望ましい。
【0025】試料溶液20を入れた滴下容器3を不活性
ガスボックスから取り出し、不活性ガス供給部2および
分解槽4に接続する。コック15aとコック17aを開
き、バイパス流路17を通じて高純度窒素11を分解装
置3へ送気する。送気速度は30ml/分に設定する。分解
装置3内部を窒素ガスで置換した後、マグネティックス
タラ26を稼動して分解溶液24を撹拌するとともに、
コック16aを操作して試料溶液20の滴下を開始す
る。試料溶液20は、試料の分解によって発生するメタ
ンガスで分解装置3の密閉が破壊されない速度で滴下さ
せる。滴下した試料溶液20のうち有機金属化合物は分
解溶液24と反応して加水分解される。不純物である有
機化合物の大部分は、滴下させた試料溶液20や分解溶
液24に残留し、残余の有機化合物は分解装置内の気相
中に拡散される。滴下の最中もバイパス流路17を通し
て分解槽4に高純度窒素11を送気し、連結導入管18
や平底フラスコ19内の気相に拡散している不純物をト
ラップ管5a・5b・5cで回収する。この送気量は30
ml/分程度にする。試料溶液20の滴下終了後も高純度
窒素11の送気を1時間程度継続し、気相中の不純物を
完全に捕集する。
【0026】高純度窒素11の送気を停止して分解装置
4を解体する。トラップ管5a・5b・5c内部の捕集
溶液を取り出し、第1の分析用溶液を得る。フラスコ1
9の内部では、滴下した試料溶液20に含まれる希釈溶
媒からなる有機相と、予め入れられた分解溶液24の相
とが分離している。その有機相を分液して第2の分析用
溶液とする。残余の分解溶液24から有機溶媒で不純物
を抽出して回収し、第3の分析用溶媒を得る。この抽出
操作は必要に応じて3回程度繰返す。
【0027】上記で得た第1の分析用溶液、第2の分析
用溶液および第3の分析用溶液を合わせ、その混合液に
内部標準溶液として規定量のヘキサメチルジシロキサン
を加え、ガスクロマトグラフの導入して分析を行なう。
添加量が既知の内部標準物質と不純物とのピーク面積比
から不純物物質量を算出すれば試料中の濃度が求められ
る。なお、各分析用溶液は別々に分析しても良い。
【0028】以下、具体的な実験例を説明する。
【0029】実験例1 前述した実施例の手順に従いトリメチルアルミニウムの
分析を行なう。分解溶液24には6%の硝酸溶液100ml
を用い、各トラップ管5a・5b・5cの捕集溶液には
トルエン15mlを使用する。試料であるトリメチルアルミ
ニウム1.662gを、トルエン15mlで希釈して試料溶液20
を作成し、40分間かけて滴下した。滴下終了後、トラッ
プ管5a・5b・5cの捕集溶液を取り出して第1の分
析用溶液を得る。フラスコ19内の有機相を分液して第
2の分析用溶液を得る。残された分解溶液24中の不純
物を前述と同一のトルエン10mlで3回抽出し、第3の分
析用溶液を得る。このようにして得た第1の分析用溶
液、第2の分析用溶液および第3の分析用溶液を夫々ガ
スクロマトグラフで分析する。
【0030】ガスクロマトグラフは島津製作所製の GC-
7A型を使用した。カラムは長さ4m、内径3mmのステン
レスカラムに、充填剤として20%シリコンDC-550を被覆
した60〜80メッシュの珪藻土を充填したものを用いた。
カラム温度は60℃で8分間保持後に毎分12℃にで 190℃
まで昇温した。検出器には水素炎イオン化式検出器(FI
D) を採用した。
【0031】マイクロシリンジで1μリットルの試料溶
液を注入して測定したところ、26の成分(トルエンおよ
びトルエン中の不純物2成分を含む)が検出された。
【0032】次に標準溶液として20ppm (重量/重量)
ヘキサンのトルエン溶液を同一条件で測定し、ヘキサン
のピーク面積を使用した絶対検量線によって各検出成分
の濃度を求め、試料溶液重量と試料採取重量から試料中
の濃度に換算した。表1および表2に測定結果を示す。
抽出操作は3回実施したが、有機相も実質的には抽出操
作であることから抽出溶媒を加えての抽出操作はこの試
料の場合には不要なことがわかった。なお、表1および
表2中の「*」を付したピーク番号は、測定のために使
用した有機溶媒(トルエン)やその不純物である。ま
た、C7H8はトルエンであるが、測定の主成分となり試料
中の存在量が判定できないので不明とした。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表1および表2に示す結果によれば、低沸
点のテトラメチルシラン(C4H12Si)もトラップ捕集され
ていることがわかる。
【0036】実験例2 実験例1と同様にして、その試料をさらに2回継続して
(試料量は3回の合計で7.195g)、実施例1と同一のト
ラップ管5a・5b・5cで捕集して各捕集溶液を測定
し、試料中の濃度に換算した。表3および表4に結果を
示す。成分は、日立製作所(株)製の M-80B型ガスクロ
マトグラフ−質量分析計を用いて分析し、同定した。な
お、同定成分のうち、メタン(沸点-162℃)はトリメチ
ルアルミニウムから本操作によって生成したものであ
り、大部分は捕集されずに気化している。なお、表3お
よび表4中の「*」を付したピーク番号は、測定のため
に使用した有機溶媒(トルエン)やその不純物である。
また、C7H8はトルエンであるが、測定の主成分となり試
料中の存在量が判定できないので不明とした。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】表3および表4に示す結果によれば、1本
目のトラップ管5aにより殆どの成分が捕集されている
ことがわかる。また、実験例1のトラップ捕集結果と実
験例2のトラップ捕集結果とがメタン(ピーク1)を除
く各成分の濃度において一致していることから、測定精
度が高いことが確認される。図2にトラップ管5aで得
た分析用溶液のガスクロマトグラフ測定チャートを示
す。
【0040】実験例3 トリメチルアルミニウムの精製工程から、精製度の異な
るトリメチルアルミニウム(未精製品、精製工程品、精
製後の抜取り品)をサンプリングし、実施例1と同様に
して不純物を分析した。同様に、トリメチルアルミニウ
ムの製品3点を分析する他、試料なしで分析を行なう空
試験を行なった。表5および表6に分析結果を示す。な
お、表5および表6中の「*」を付したピーク番号は、
測定溶媒に含まれている不純物である。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】これらの結果によれば、精製工程の進捗に
伴なう不純物挙動が把握できるため、本発明の分析法は
トリメチルアルミニウムの精製技術の改善に有効である
ことが実証される。この実験例の場合、測定溶媒にトル
エンを用いているため、ピークがトルエンやトルエンの
不純物と重なるトリメチルアルミニウムの高沸点な不純
物成分については、明確に分析することができなかっ
た。
【0044】実験例4 捕集溶液、希釈溶媒および抽出溶媒をトルエンからヘキ
サンに替える以外は、実験例1と同様の操作によってト
リメチルアルミニウムを分析した。試料には未精製品と
ロットが異なる製品2点を用い、カラム温度を60℃から
190℃まで毎分2℃の割合で昇温させた。表7および表
8に分析結果を示す。図3に未精製品のガスクロマトグ
ラフ測定チャートを示す。なお、表7および表8中の
「*」を付したピーク番号は、測定溶媒に含まれている
不純物である。ピーク番号7はトルエンである。
【0045】
【表7】
【0046】
【表8】
【0047】上記の結果によれば、実験例1〜3では得
られなかったC6H6以降の高沸点な不純物の情報を得るこ
とができ、未精製品にはトルエンが多量に含まれている
ことがわかった。また、製品の不純物にも大きなばらつ
きがあることから、精製工程管理の精度が良くないこと
も判明した。
【0048】実験例5 試料としてトリメチルガリウムを5.36g 採取し、実験例
1と同様に操作して不純物分析を行なったところ、C6H
14 が17ppmと、その他の低沸点化合物が2ppm検出され
た。
【0049】実験例6 試料としてトリメチルインジウムを0.43g 採取し、実験
例4と同様に操作して分析を行なったが不純物は全く検
出されなかった。このことから、製品としてのトリメチ
ルインジウムには、その製造過程で使用されているベン
ゼンやトルエンの混入がないことが実証された。
【0050】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明の不
純物分析法によれば、有機金属化合物のような高活性な
試料を分解することなく秤量した後、試料の主成分であ
る有機金属化合物を分解して不純物成分のみを分離して
分析しているため、試料の分解ガスと沸点が近い微量な
不純物をも分離可能である。テトラメチルシランのよう
な低沸点な化合物も冷却されたトラップ管により確実に
捕集され、有機金属化合物に含まれる多種類の不純物を
分析することが出来る。また、分析溶液に標準物質を加
えて分析することも可能なため、有機金属化合物中の不
純物を高精度で定量分析することが出来、有機金属化合
物の精製技術や品質評価技術の向上に大いに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する有機金属化合物中の不純物分
析法に使用する試料分解装置の正面図である。
【図2】本発明の実験例で得たクロマトグラムである。
【図3】本発明の実験例で得たクロマトグラムである。
【符号の説明】
2は不活性ガス供給部、3は滴下容器、4は分解槽、5
は捕集トラップ、5a・5b・5cはトラップ管、11は
不活性ガス源、12はバルブ、13は流量調整器、14は配
管、15はコック付曲管、15a・16a・17aはコック、16
は均圧滴下ロート、17はバイパス流路、18は連結導入
管、19はフラスコ、20は試料溶液、22は細管、23は分岐
管、24は分解溶液、25は回転子、26はマグネティックス
タラ、27は曲管、28は水分吸収管、30は冷却槽、31はド
ライアイス−メタノールである。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 健一 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地 の1 信越化学工業株式会社合成技術研 究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 31/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 滴下容器、分解槽および捕集トラップが
    この順に連結し、滴下容器と分解槽とに不活性ガス源が
    接続され、分解槽に高極性物質水溶液からなる分解溶液
    が収容され、捕集トラップに冷却装置が設けられた分解
    装置に、不活性ガス源から不活性ガスを送気して少なく
    とも滴下容器内をガス置換した後、滴下容器を不活性ガ
    ス雰囲気に配置する工程と、不活性ガス雰囲気下で有機
    金属化合物の試料を採取して有機金属化合物に不活性な
    溶媒で希釈した試料溶液を滴下容器に入れる工程と、分
    解装置内部を不活性ガス置換する工程と、試料溶液を分
    解溶液に滴下して有機金属化合物を分解するとともに、
    不活性ガスの送気により分解装置内の気相中の不純物を
    冷却下の捕集トラップで捕集して第1の分析用溶液を得
    る工程と、試料溶液の滴下およびトラップ捕集終了後に
    分解槽内部の試料溶液と分解溶液とから不純物を含む試
    料溶液を分液して第2の分析用溶液を得る工程と、分解
    溶液から不純物を抽出して第3の分析用溶液を得る工程
    と、各分析用溶液中の不純物を分析する工程とを含むこ
    とを特徴とする有機金属化合物中の不純物分析法。
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