JP2805500B2 - ロケットエンジンのための高性能組合せ推進剤 - Google Patents

ロケットエンジンのための高性能組合せ推進剤

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Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はロケットエンジンのための組合せ推進剤に関
する。さらに詳しくは、高性能を有し、かつ使用に先立
って長時間貯蔵することのできる組合せ推進剤に関す
る。
（従来の技術およびその課題） 例えば宇宙船において長時間貯蔵することのできる、
そして宇宙において宇宙船の位置を変えるだけでなく、
宇宙船を宇宙に向けて発射するために使用することがで
きる、組合せまたは単品の高性能推進剤が大いに必要と
されている。
従来の推進剤の貯蔵可能な組合せは、通常酸化剤成分
と燃料成分とからなり、広く使用されている極低温貯蔵
を要する組合せより劣った性能を有している。
すなわち、四酸化二窒素（N2O4）およびモノメチルヒ
ドラジド（N2H3CH3）の組合せで与えられるロケットエ
ンジンの比推進力（Isp）はおよそ3000m/secであり、一
方、液体酸素および水素の極低温貯蔵を要する混合物は
4000m/secより大きい比推進力を与える。
宇宙船の有効搭載量能力での比推進力の効果は劇的で
ある。もし、例えば2000m/secの速度が、宇宙船を軌道
にのせるために、または所定の軌道に変更するために必
要とされ、その時、2943m/secの比推進力を有するなら
ば、宇宙船の発射量の半分が推進剤からなるであろう。
比推進力を4415m/secに増加させると、推進剤の量は37.
5％に減少する。推進系自体の量を実質的に変化させる
必要がないなら、この12.5％の自由に使える質量を遠距
離通信等の軌道に乗る手段のために完全に使用すること
ができる。2000Kgの宇宙船にとっては、これは250Kgの
有効搭載量の増加を意味する。
本発明は、使用に先立って長時間貯蔵することがで
き、公知の組合せによって得られる比推進力に少なくと
も等しいか、それを超えた比推進力を与えることのでき
る組合せ推進剤を開発することを提供することに基づ
く。この探求は、特に固形組合せ推進剤に向けられた。
現在の（圧送）ロケットエンジンのためのノズルの燃
焼圧力およびスロート（throat）と口（mouth）の間の
膨脹比（Ae/At）は（およそ）以下のようである： 推進剤 燃焼圧力 膨脹比 Mpa 液体 1 125 固体 10 100 混成（hybrid） 1 125 開発されるべき新しいロケットエンジンについて、15
MPaの（ポンプ送り）燃焼チャンバー圧力および750の膨
脹比が予測される。
特に上記の運転条件に関して、新しい組合せの探求が
なされた。
良く知られているように、推進剤、もしくは組合せ推
進剤の理論上の性能は、通常以下の式： （ここで、ｒは比熱比、Cp/Cv、Roは気体定数、Tcは火
炎温度、Ｍは燃焼生成物の平均分子量、Pcは燃焼チャン
バー圧力、およびPeはノズル出口圧力である） で表すことができる。
この式は、比推進力がチャンバー温度の平方根に正比
例し、燃焼生成物の平均分子量の平方根に反比例し、Cp
/Cv比はまた比推進力に影響を及ぼすことを示してい
る。
燃焼チャンバー温度は第１に、推進剤成分の燃焼中に
放出されるエネルギーおよび燃焼生成物の比熱によって
決定される:Tc＝ΔH/Cp。
であるので、推進剤の性能に影響を及ぼす最も重要なパ
ラメータはＭ、CpおよびΔＨである。
本発明の特定の目的の１つは、固形組合せ推進剤を提
供することであり、これを用いると、出発物質も反応生
成物も人や環境に対して許容できないほどの危険を包含
していないと同時に、最適値を有するこれらのパラメー
タの組合せに至る。
（課題を解決するための手段） 本発明による固形組合せ推進剤は、 ポリグリシジルアジド［C3H5N3O］ｎまたはポリ−3,3
−ビス（アジドメチル）オキセタン［C4H6N6O］n;ホウ
素、アルミニウム、または水素化アルミニウム；およ
び、 ヒドラジニウムニトロホルメートN2H5C（NO2）３、ニ
トロニウムパークロレートNO2ClO4およびアンモニウム
パークロレートNH4ClO4からなる群より選ばれる化合物
を組合せて構成される。
言及される化合物はまた、次に以下の略号で表す： 四酸化二窒素:NTO テトラニトロメタン:TNM ポリグリシジルアジド:GAP ポリ3,3−ビス（アジドメチル）オキセタン:BAMO ヒドラジニウムニトロホルメート:HNF ニトロニウムパークロレート:NP アンモニウムパークロレート:AP ヒドロキシ末端 ポリブタジエン:HTPB モノメチルヒドラジン:MMH 本発明による組合せ推進剤において、成分例えば酸化
剤と燃焼成分の割合は重要ではない。概して、成分は、
混合比が化学量論比の前後となるような割合で、反応に
先立って互いに混合される。本発明による固形組合せ推
進剤においては、概して混合物総量に対して20％を超え
ない量の強力な結合剤（energetic binder）（BAMOまた
はGAP）が含まれる。
本発明による組合せ推進剤の好ましいものは、以下の
ようである： N2H5C（NO2）370〜80重量％＋Ｂ約10重量％＋GAPまた
はBAMO10〜20重量％、 NO2ClO466〜76重量％＋Ｂ約14重量％＋GAPまたはBAMO
10〜20重量％、 NH4ClO468〜78重量％＋Ｂ約12重量％＋GAPまたはBAMO
10〜20重量％、 N2H5C（NO2）359〜69重量％＋Al約21重量％＋GAPまた
はBAMO10〜20重量％、 NO2ClO461〜71重量％＋Al約19重量％＋GAPまたはBAMO
10〜20重量％、 NH4ClO457〜67重量％＋Al約23重量％＋GAPまたはBAMO
10〜20重量％、 NO2ClO4＋AlH3＋GAPまたはBAMO、または NH4ClO4＋AlH3＋GAPまたはBAMO。
概して、少量の、特には重量％で数％を超えない量ま
での物質、例えば一酸化窒素、フタレート、ステアレー
ト、銅または鉛の塩、カーボンブラック等を本発明の組
合せ推進剤に添加する。これらの添加物は、当業者に公
知であり、耐腐食性を促進すると共に、推進剤の安定
性、保持特性および燃焼特性を高めるために働く。
本発明による組合せ推進剤は、それ自体公知の技術を
用いて、混合物中に通常存在する成分と共に、使用に先
立って貯蔵される。
本発明による組合せ推進剤は、高性能であることによ
り、公知の配合物と区別される。
ヒドラジニウムニトロホルメート（HNF）、アルミニ
ウムおよびGAPまたはBAMOのような強力な結合剤に基づ
く組合せ推進剤は、214m/secの広く用いられているアン
モニウムパークロレート推進剤に比較して比推進力の改
善を示す。さらに、燃焼気体はより一段と清浄であり、
これは、HNFが塩素を含まず、環境が塩化水素ガスで汚
されないためである。
コンピュータの計算［参考文献:S.ゴードン（Gordo
n）およびB.J.マックブライド（McBride）著、錯体化学
平衡組成物、ロケット性能、入射および反射衝撃ならび
にチャップマン−ジョーゲット（Chapman−Jouguet）爆
発の計算のためのコンピュータプログラム、ナサ SP−
273、中間改訂版、1976年３月］および反応物と反応生
成物の熱力学的データ［参考文献:D.R.スタル（Stull）
およびH.プロフェット（Prophet）著、JANAF熱化学表、
第２版、NSRDS−NBS 37、1971およびJANAF補遺;I.バリ
ン（Barin）、O.ナッケ（Knacke）およびO.クバシェウ
スキー（Kubaschewski）著、無機物質の熱化学特性、ス
プリンガー−フェルラグ（Springer−Verlag）1977］を
用いることにより、組合せ推進剤の性能が立証された。
化学平衡（ef）および燃焼チャンバーの後の、宇宙にお
ける「凍結流動」（ff）条件の両方について計算を行っ
た。得られた値を以下の表１に表す。
本発明による組合せ推進剤の成分を構成する物質は、
そのうちのいくつかは推進剤成分としてそれ自体公知で
あるが、それらの製造法ならびに化学的および物理的性
質に関しては文献に記載されている。
この点については、特に以下の刊行物が参考にされ
る： B.シーゲル（Siegel）およびL.シーラー（Schiele
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製法、米国特許明細書第4,483,978号、1984、 M.B.フランケル（Frankel）およびE.R.ウィルソン（W
ilson）、トリス（２−オキシドエチル）アミンおよび
その製造法、米国特許明細書第4,449,723号、1985。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヨハネス マリア ムル オランダ国，2625 ジェイエス デルフ ト ファン ハーセルトラーン 683 (56)参考文献 特開 平２−14216（ＪＰ，Ａ) 米国特許3708359（ＵＳ，Ａ) 米国特許4806613（ＵＳ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C06D 5/00 C06B 33/08 ＣＡ（ＳＴＮ) ＲＥＧＩＳＴＲＹ（ＳＴＮ) ＷＰＩＤＳ（ＳＴＮ)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】ポリグリシジルアジド［C3H5N3O］ｎまた
    はポリ−3,3−ビス（アジドメチル）オキセタン［C4H6N
    6O］n;ホウ素、アルミニウム、または水素化アルミニウ
    ム；および、 ヒドラジニウムニトロホルメートN2H5C（NO2）３、ニト
    ロニウムパークロレートNO2ClO4およびアンモニウムパ
    ークロレートNH4ClO4からなる群より選ばれる化合物；
    ならびにその他の慣用の添加物を組合せて構成されるこ
    とを特徴とするロケットエンジンのための固形組合せ推
    進剤。
  2. 【請求項２】次の成分： N2H5C（NO2）370〜80重量％＋Ｂ約10重量％＋［C3H5N
    3O］ｎまたは［C4H6N6O］n10〜20重量％、 NO2ClO466〜76重量％＋Ｂ約14重量％＋［C3H5N3O］ｎま
    たは［C4H6N6O］n10〜20重量％、 NH4ClO468〜78重量％＋Ｂ約12重量％＋［C3H5N3O］ｎま
    たは［C4H6N6O］n10〜20重量％、 N2H5C（NO2）359〜69重量％＋Al約21重量％＋［C3H5N
    3O］ｎまたは［C4H6N6O］n10〜20重量％、 NO2ClO461〜71重量％＋Al約19重量％＋［C3H5N3O］ｎま
    たは［C4H6N6O］n10〜20重量％、 NH4ClO457〜67重量％＋Al約23重量％＋［C3H5N3O］ｎま
    たは［C4H6N6O］n10〜20重量％、 NO2ClO4＋AlH3＋［C3H5N3O］ｎまたは［C4H6N6O］ｎ、 または、 NH4ClO4＋AlH3＋［C3H5N3O］ｎまたは［C4H6N6O］ｎ、 から構成されることを特徴とする請求項１記載のロケッ
    トエンジンのための固形組合せ推進剤。
  3. 【請求項３】請求項１または２に処方された、酸化剤成
    分と少なくとも１の燃料成分とを混合することを特徴と
    するロケットエンジンのための推進剤を製造する方法。
  4. 【請求項４】請求項３に記載の方法により製造された推
    進剤を用いることを特徴とするロケット等を運転する方
    法。
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